11月9日、月組トップスター瀬奈じゅんが本拠地の宝塚大劇場に別れを告げた。
その会見とパレードの模様をレポートする。
この日、最後の大階段を黒エンビという男役の正装で降りて来た瀬奈じゅん。8回のカーテンコールというファンの熱い思いを受け止めて、最後まで笑顔を絶やさなかった。
その直後の会見では、爽やかな表情で颯爽と登場。まず挨拶。
「本日、宝塚大劇場の千秋楽を無事終えることができました。東京公演も、インフルエンザも流行っておりますので、身体に気をつけて千秋楽に向けてがんばっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします」
記者との質疑応答が始まる。
ーーサヨナラショーの選曲はどんなふうに?
すごく具体的で申し訳ないのですが、著作権とかの関係でビデオにならないと困るので、いろいろ考えてみました(笑)。
ーー陽気でパワフルな感じでしたね?
私はやはり宝塚のショーが好きなので、サヨナラショーといえども、1つの作品として皆様にお届けしたいという思いがありましたので、歌って踊って、すごく楽しいショーでした。
ーー大空祐飛さんからの一言は?
内緒です(笑)。
ーー最後に黒のエンビで降りられようと思ったのはいつ頃から?
最初から決めてました。私は男役が大好きなので、舞台上では最後まで男役でいたいという気持ちがありましたので、男役の制服ともいうべき黒エンビで降りたいと思いました。
ーー何時ぐらいからそう考えて?
最初から、退団するときは必ずと、なぜか前から決めてましたので、そのためにもがんばって素敵な男役になろうと思いました。
宝塚は私の青春の全てなので、悔いは残りませんが、私の全てだったので、すぐにサヨナラするという実感が、まだあまりわからないし。でももう宝塚大劇場の舞台には立てないんだなと思うと、寂しい気持ちがあります。宝塚は私の全てでした。
ーー月組に5年トップになって4年、その時間は瀬奈さんにとって長かったか、短かった?
うーん、長かったような、短かったような。あっと言うまの出来事のような気もするんですが、5年以上月組にいた気もするので。月組のみんなとはたった5年とは思えない絆が生まれたと思います。
ーー86本の薔薇が素敵でしたが、月組のみんなと一体化したなと思ったのは何時ごろ?
いえ、そういうものは自然に。自然に絆というのは生まれてくるんだなと実感しました。
ーーこの公演のショーで裸足で踊られるところが素敵でしたが、込められた思いというのは?
先ほども申し上げましたが、宝塚のショーが大好きなので、この伝統を、宝塚でしかできない宝塚らしいショーというものを引き継いでいってほしいなという気持ちと、あとは私はこんなに宝塚を愛していますという思いと、お客様への感謝の気持ちを込めて踊っています。
ーー退団したら別の人生が始まるわけですが、やりたい事がありますか?
私はずっと、やりたいことがお稽古だったり、宝塚とともに歩むことだったりがやりたいことだったので、これがやりたいのに宝塚にいるからできないということは1つもないですね。やりたいことがすべて宝塚だったので。逆にこれからやりたいことを見つけていかないといけないなと思っております。
ーーそのやりたいことで今後の方向ですが、芸能界への転身とか、結婚とかは?
そうですね、ご想像のように、たぶん結婚の予定はまったくございません(笑)。芸能活動に関しては、まだ何も決まっておりませんが、とりあえず、今まで応援してくださったファンのかたたちが、喜んでいただける形でなにかできればいいなと思っております。
このあと手形を披露、明るい笑顔を記者団に向けて去って行った。
午後7時10分頃から始まったパレードは、約6500人のファンやギャラリーが集まった。劇場の敷地内にはイルミネーションの花道が作られ、5つの輪のアーチには月のマークが飾られている。
麗百愛、羽桜しずく、城咲あい、音姫すなおといった娘役たちは可愛らしい花束がよく似合う。清らかな笑顔でファンに応えながら去って行く。
男役の麻月れんかは柔かな、遼河はるひは凛々しく爽やかな笑顔だ。記者から「ここでもジャンプを」とサヨナラシーンの再現を頼まれ、「えーっ」と恥ずかしそうに笑う。
そして瀬奈じゅん。
ひときわ爽やかで美しい笑顔で、アーチをくぐり車のそばまでやってくる。
立ち止まってカメラマンの声に応えている瀬奈は、会見でも語ってたサヨナラの寂しさは、きっと心の奥にしまい込んでいるのだろう、どこか少年のように突き抜けた明るさがありキラキラした表情をしている。
ファンから「究極の男役、瀬奈じゅんさんに出会えて、本当に幸せでした」と声を揃えてのメッセージをひときわキラキラの笑顔で受け止める瀬奈じゅん。
パレードの車は左ハンドルの黒のオープンカー、深紅の薔薇で座席が飾られゴージャスで華やいでいる。その車に男役らしく颯爽と乗り込み、ファンに大きく手を振りながら、瀬奈じゅんは18年間生きた宝塚大劇場を後にした。
【取材・文/榊原和子】





























