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『不徳の伴侶 infelicity』

OG公演レビュー

大人気ソーシャルゲームが華麗に舞台化!ミュージカル「陰陽師」〜平安絵巻〜開幕!

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中国、深セン、上海、北京での本公演が決定しているミュージカル「陰陽師」〜平安絵巻〜が、3月9日東京・日本青年館ホールでプレビュー公演の幕を開けた(18日まで)

ミュージカル「陰陽師」〜平安絵巻〜は、中国のゲーム会社ネットイースゲームズが制作し、2016年9月に運営が開始されたソーシャルゲームが原案。細部まで描き込まれた美麗なグラフィックと豪華声優陣の起用で話題となり、全世界で2億ダウンロードを突破したメガヒットゲームとなった。プレイヤーは妖しが蠢く美しき平安時代を舞台に、様々な式神と共にに魑魅魍魎と戦い、謎を解き明かしていく。
その舞台化となるミュージカル「陰陽師」〜平安絵巻〜は、演出・脚本・作詞をミュージカル『薄桜鬼』や『黒執事』シリーズ『Messiah メサイア』シリーズなどの毛利亘宏が手がけ、天才陰陽師・晴明役に良知真次、黒晴明役に佐々木喜英が扮するのをはじめ、伊藤優衣、元宝塚雪組トップ娘役の舞羽美海など、豪華キャストが揃い、幻想的なゲームの世界が、こだわり抜いた衣装、音楽、装置、映像などで、目の前に立ち現れる、驚きと感動の舞台が展開されている。

そんな作品の公開ゲネプロが、初日を夜に控えた3月9日日本青年館で行われ、それに先立つ初日会見に、晴明役の良知真次、黒晴明役の佐々木喜英、源博雅役の三浦宏規、神楽役の伊藤優衣、八百比丘尼役の舞羽美海、大天狗役の矢田悠祐、酒呑童子役の君沢ユウキ、茨木童子役の遊馬晃祐に、脚本・演出・作詞の毛利亘宏が登場。公演への抱負を語ると共に、記者の質問に答えた。

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後列/遊馬晃祐、君沢ユウキ、矢田悠祐
前列/舞羽美海、佐々木喜英、良知真次、三浦宏規、伊藤優衣


【初日会見・挨拶】


遊馬 茨木童子役の遊馬晃祐です。1ヶ月間あった稽古もあっという間で今日初日を迎える訳ですが、僕の役、茨木童子としては君沢さんの酒呑童子を思って、常に考えて舞台上でも行動してますので、そこを是非見てもらえたら嬉しいです。そして僕のキャラはすごい強いキャラで、ゲームの中でなかなかゲットできないキャラなんです。遊馬だったら弱いんですけど、この衣装、キャラをお借りして最強のキャラ茨木童子を演じますので、是非注目して頂きたいです。そして…。
君沢 お前、1時間喋るつもり?(笑)
遊馬 いや、あの(笑)、本当に映像が素晴らしくて、僕は稽古中見られなかったのですが、場当たり中に見ていて本当に綺麗で、その中で演じさせてもらえるのがすごく幸せですし、最後まで怪我なく駆け抜けたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
君沢 酒呑童子役の君沢ユウキです。お足元の悪い中お集まり頂きありがとうございます。ご覧の通り見たことのないミュージカルになっております。僕は背中に壺を背負い、頭に赤いカリフラワーのようなものをかぶり(笑)、袖では皆に邪魔だと言われて(笑)。でもこの作品は本当に壮大で、すべてこの衣装が物語っていると思いますので、僕たちの全力をどうか楽しみにしていてください。あと写真でなるべく頭切らないでください(笑)。

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良知 良かったね、昨日から考えてたのウケて(笑)。
君沢 やめろって!(笑)
矢田 大天狗役の矢田悠祐です。本日はありがとうございました。僕も見ての通りすごく幅が広くて(笑)、初めてつけましたね、こういう翼を。君沢さんと袖で嫌われる二人(笑)、スペース的な意味で。人間的な意味じゃないんですよ(笑)。
君沢 わかってるよ!(笑)
矢田 そんなすごい衣装を着させてもらって、遊馬さんも言っていましたけれど、僕らも昨日初めて映像を見て、ゲームの世界に入り込めるような作り込んだ世界になっていると思うので、楽しみにして欲しいなと。個人的には大天狗は源博雅との関係性がゲームで深く描かれていて、そこを僕らなりに楽しみながら作っていったので、注目して観てください。よろしくお願いします。

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舞羽 本日はありがとうございます。八百比丘尼役の舞羽美海です。本当にゲームの幻想的な世界から飛び出したキャラクターの個性が、舞台上でぶつかって面白い作品になっています。ゲームの美しさを生身の人間がやるパワーと面白さを楽しんで頂けたら嬉しいです。よろしくお願いします。
伊藤 本日はありがとうございます。神楽役の伊藤優衣です。まさか10才以上も下の年齢の子を演じるとは思ってもいませんでした。最後まで若さを大事に頑張りたいと思いますので、見守って頂けたら嬉しいです。よろしくお願いします。
三浦 源博雅役の三浦宏規です。本当にゲームの世界そのままという感じで、ストーリーはもちろん音楽も、衣装も、映像もすごく素晴らしくて、総合芸術として皆さんに楽しんで頂きたいなと思います。そして、後は中国公演も1ヶ月ほどありますので、先輩方に嫌われないように、謙虚に頑張っていきたいと思います。

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佐々木 本日はありがとうございます。黒晴明役の佐々木喜英です。僕は良知さんが演じる晴明と、もう1人の晴明という黒晴明という役を演じるのですけれども、その黒晴明がどうして誕生したか?というストーリーも舞台の中で登場してきますので、是非楽しんでもらえたらいいなと思います。この「陰陽師」という素晴らしい作品を、日本でも、もっともっと知ってもらいたいですし、2.5次元という素晴らしいミュージカルをもっと世界に広めていきたいと思いますので、どうぞ応援よろしくお願いします。
良知 晴明役の良知真次です。ゲームの原作では晴明ではじまり、晴明で終わるんですけれども、中国の皆さんはもちろん、ゲームを知っている皆さんがお持ちの晴明像というのは、本当にカッコよくクールで、そういう晴明ではじまる物語がどんどん進んでいくので、今回のミュージカルもそうなっていて、僕は常に舞台上にいて、皆が次々に出ていくのを見守る。稽古場でも誰よりもずっと出ているのですが、それぞれがそれぞれのキャラクターのもと、しっかりとした作品が作れていると思います。ゲネプロ、初日に向けて頑張っていきたいと思います。
毛利 脚本・演出・作詞の毛利亘宏です。本日はありがとうございます。誰も見たことがないようなミュージカルに仕上がっているというような気がしております。ある種のエンターテインメントショーであり、すごく深いドラマがあり、短い時間にギュッとたくさんの楽しさや、色々なことが詰め込まれた作品になっております。舞台に接した皆さんに、驚いて、感動して帰って頂きたいと思いますので、よろしくお願い致します。

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【質疑応答】

──ゲームの中から飛び出したような衣装ですが、実際に身に着けてみて、衣装によって助けられたこと、また大変なことは?
遊馬 僕のキャラクターは右腕が半分ないです。なので基本的には左手を使っているのですが、利き手ではないので、アクションにしてもお芝居にしても、それがどうしても難しくて苦戦しましたが、稽古してきたので、是非そこにも注目して観て頂きたいです。
君沢 ご覧の通りお辞儀をするだけで一苦労です(笑)。でも、こういうものを着けてやっている人はあまりいないと聞いたので、それはそれで良かったなと思っています。こんな感じで(頭を振るので全員笑)。
矢田 僕は真っ直ぐ歩けなくて、斜めにならないといけない。舞台裏が普通の人が二人で歩けるくらいなので、僕はずっとカニ歩きで下手から上手まで移動しないといけない(笑)。こういう体験を初めてしました。
良知 ふざけてるのかと思った(笑)。
矢田 ふざけてない!横歩きだけど(笑)。でも素敵な翼なので、舞台上ではどんどん羽ばたいていこうかなと思います。

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舞羽 そんなに支障はない衣装で(笑)。でも本当に今回お衣装と、ウイッグと、色々なものに助けられているなと思いました。音楽もすごく世界観に合っていますし、すべてが揃って完成する感じがしています。
伊藤 神楽の衣装は刺繍がすごくて、すでにあったものではなくて、衣装さんが頑張って丁寧に刺繍して作ってくださったので、大事にしたいなという気持ちをずっと持っています。
良知 あと、頭に金魚がいるね!
伊藤 そうなんですよ!
良知 それも観て欲しいね。
三浦 弓がやはり大きいですね。持ち替えてしまいます。何回持ち替えたかわからないんですけど。弓を壊さないように気をつけて使いたいと思います。 
良知 何回か稽古場でね(笑)。

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三浦 やめてくださいよ!(笑)、何回かやってしまったので、本番では気をつけたいと思います。
佐々木 黒晴明は誰よりもメイクに時間がかかります。今日はまだ初日なのでメイクさんにもちょっと手伝って頂いたのですが、それでもメイク、衣装、ウイッグ、全部完成するまでに2時間ぐらいかかって、これから中国も回りますし、1人でなんとか1時間ぐらいでできるようにしたいと思いますので、日々メイクも上手くなっていくと思います。
良知 もう落とさなければいいんじゃない?(笑)。
佐々木 いや、外歩けないですよ!(笑)。
良知 僕は今回晴明をやるに当たって、結構扇子を使う動きがたくさんあるんですけれども、この扇子がちょっとお値段は言えないのですが、ウン十万円するということで、これは冗談ではなく本当なんです。これを結構回したり、舞ったりするので、それも是非観て頂きたいです。あとは僕、ネイルサロンというものに初めて行ったんです。で、女性がネイルをして男性に気づいてもらえなくてケンカするという話をよく聞きますが、その苦労を今回、34年間生きてきて「なるほど、こんなにネイルというのは大変なんだな」ということもわかりましたし、その大変さを、この衣装を含めて皆様に届けられるということが本当に一同幸せだと思っていますので、早く、ゲネ、初日を迎えて皆様に観て頂きたいなと思います。

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──中国公演もありますが、海外に行かれるにあたって楽しみにしていることは?
遊馬 僕は海外公演をしたことがないので、実際にお客様がどういう反応をするのか、先輩にはちょっと聞いているのですけれども、生で体験したことがないので、そこが楽しみの1つです。
君沢 僕はよく海外公演に行かせてもらうのですが、コスプレをしてきてくださる方がいらっしゃるので、皆のコスプレを楽しみに。(頭を示して)これをつけてきてくれる人がいるか、あ、でも邪魔かな?客席で(笑)。
良知 邪魔だよね!(笑)
君沢 そういうことを楽しみにしています。
矢田 僕は中国公演に行ったことがあるんですけど、日本と全然反応が違って面白かったのをすごく覚えているので、今からとても楽しみです。ミュージカルなので、ミュージカルとして楽しんで頂けるのが、こちらとしても楽しみです。
舞羽 私も初めて行かせて頂くのですが、皆から聞く反応の違いとかもすごく楽しみです! 
伊藤 私は早くタピオカが飲みたいです(笑)。プリンが1個丸ごと入ったタピオカがあるんですよ。ミルクティーの。それが本当に美味しくてとても楽しみです。
三浦 僕は中国は3回目になるので、今度こそは万里の長城に行ってみたいと思います。やっぱりすごいので、万里の長城って。
良知 この格好で行くってこと?(笑)
三浦 この格好では行きません!(笑)
 
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佐々木 僕も中国公演に行ったことがありまして、ミュージカルだったのですが、すごくお客様がライブのように盛り上がって楽しんでくださったので、それがすごく嬉しくて。なので今回も楽しい時はいっぱい笑って欲しいですし、感情を素直に出して楽しんで頂けたら嬉しいなと思います。
良知 僕は前回『NARUTO』という舞台で上海に行かせて頂きましたが、今回この「陰陽師」は深セン、上海、北京と三都市、約1ヶ月公演をさせてもらいます。制作発表で上海に僕と(伊藤)優衣ちゃんと行ったんですけれども、その時から反応が全然違って、本当に原作が中国のものなので、期待感がすごいんですね。制作発表だけでそれだけ思って頂いたので、今回全キャストが揃ってオープニングを迎えたら、これは多分お客様はすごくびっくりされるでしょうし、夢のようなことが現実に起こる瞬間だと思いますので、早く中国の皆様に届けたいと思います。
毛利 全く違う反応が返ってくるのが本当に楽しいですし、とにかく1つの日本発のミュージカルというものが、世界に認めてもらえる瞬間が目の前に迫っていると思うと、本当に興奮します。

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──では、最後に良知さんから公演を楽しみにされている方々にメッセージを。
良知 ミュージカル「陰陽師」〜平安絵巻〜全世界で2憶のダウンロードがあったゲームになります。その世界を今回2.5次元で僕たちが演じる訳ですけれども、今までの2.5次元のミュージカルと、今回は何が違うかと言うと、中国と日本が合作で創る作品になりますので、すごく規模も大きいですし、日本と中国が協力してここまで素晴らしい作品ができるんだ!という想いで僕たちも作っていますので、ミュージカルという以上は、歌あり、踊りあり、芝居あり、殺陣あり、そして映像ありと、すべての要素が入っておりますので、是非多くの方に観て頂きたいです。皆様知っての通り今回「陰陽師」というタイトルで、羽生結弦選手が金メダルを獲ったように、この2.5次元ミュージカルの「陰陽師」〜平安絵巻〜も、舞台で金メダルを獲れるように頑張っていきますので、是非マスコミの皆様、ファンの皆様、たくさん宣伝して頂いて、是非1人でも多くの方に観て頂きたいと思います。ありがとうございます。

【ゲネプロ】

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それぞれの個性的な挨拶に続いてゲネプロが行われ、陰界に属する魑魅魍魎が、人々の住む陽界にまで跋扈し、陽界の秩序が危機にさらされている、という作品の世界観の中で幕を開けた。

この時代に天文を読み解き呪術を操るだけでなく、陰陽二つの世界を自在に行き来し、陽界の平安を守る異能者を、人々は「陰陽師」と呼んでいた。中でも天才的な陰陽師として知られる晴明(良知真次)は、都にその名を轟かせていたが、その彼が自らが陰陽師であること自体の記憶を失っているという、非常にミステリアスな状況で物語は始まる。
それでも晴明の胸には「都を守らなければならない」という使命だけが強く残っていて、同じく記憶を失っている謎の少女・神楽(伊藤優衣)と共に、悪鬼を倒しながら記憶を取り戻そうとする。その道程の中で、人魚の肉を食べてしまった為に不老不死の身になったという八百比丘尼(舞羽美海)、皇室の血筋を引く貴族の青年で、弓術と結界術を得意としている源博雅(三浦宏規)等、仲間が増え、一行は徐々に力を蓄えてゆく。
遭遇する妖怪が増えていくにつれ、手掛かりも多くなり、やがて晴明は都を壊滅せんとする大きな陰謀があることに気付く。ところがこの陰謀の首謀者が、晴明自身であるとの嫌疑をかけられたことから、晴明は自らの分身である、黒晴明(佐々木喜英)の存在を知ることとなる。大天狗(矢田悠祐)、雪女(七木奏音)を従えて、都に仇なす黒晴明が何故生まれ出たのか。深まる謎に近づくことは、晴明が記憶を失うこととなった、すべての始まりに近づくことでもあって……。

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たたみかけるように進むドラマは、鮮やかな殺陣と多彩な音楽、更に美しい映像によってスピーディに進んでいく。大きな衣装を身に着けたまま、目の前で走り、飛び、戦うキャストの身体能力は目を瞠るばかりで、キャラクターが生きて動いている力感は圧倒的だ。

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中でも、晴明の良知真次、黒晴明の佐々木喜英、八百比丘尼の舞羽美海、大天狗の矢田悠祐等、ミュージカル経験の豊富なメンバーの高い歌唱力が、ミュージカルとしての「陰陽師」の醍醐味を深めたことも大きく舞台に貢献している。更に、文字通り出ずっぱりの良知真次が、あくまでもクールでありつつ、記憶がない晴明が、黒晴明の誕生の秘密を追い求める苦悩も的確に表し、物語に深いドラマを生む。源博雅の三浦宏規、酒呑童子の君沢ユウキ、茨木童子の遊馬晃祐、黒無常の平田裕一郎、白無常の内海啓貴らが生み出す豪快さと、黒晴明一派の佐々木、矢田、七木、彼らに翻弄される紅葉役の門山葉子等の、ダークでミステリアスなカラーとのメリハリもしっかりしていて、怒涛の展開を飽きさせない。中国生まれのゲーム世界の見事なミュージカル化が、母国である中国で喝采をあびることが予見できる、必見のプレビュー公演となっている。

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カーテンコールでは観客への撮影タイムも用意されていて、思い出を携帯電話やスマートフォンに記録できる(デジタル一眼レフカメラ等の専門機器の持ち込みは不可)。11日、13日、14日、15日、16日には公演終了後にキャストによるお見送りも予定されているなど、劇場で特別な体験ができる舞台だ。
(詳細は公式ホームページ参照) 

〈公演情報〉
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ミュージカル「陰陽師」〜平安絵巻〜
原案◇本格幻想RPG「陰陽師」より (NetEase Inc./All Rights Reserved)
演出・脚本・作詞◇毛利亘宏
音楽◇佐橋俊彦
振付◇本山新之助
出演◇良知真次/三浦宏規/伊藤優衣/舞羽美海/矢田悠祐/君沢ユウキ/遊馬晃祐/平田裕一郎/内海啓貴/片山浩憲/七木奏音/門山葉子/佐々木喜英/西岡寛修 笹原英作 服部 悠 杉山諒二 松ヶ谷ほのか 渡邉 南 光岡茉美 佐竹真依 SATOCO
●プレビュー公演/3/9〜18◎東京 日本青年館ホール
●本公演/深セン・3/30〜4/1◎深セン保利劇院
上海・4/7〜15◎虹橋芸術センター
北京・4/20〜22◎北京展覧館劇場
〈料金〉プレビュー公演/S席 8,800円 A席 7,800円(前売、当日共・全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉ネルケプランニング 03-3715-5624(平日11:00〜18:00)



【取材・文・撮影/橘涼香】



帝劇『1789』


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三谷幸喜ワールド全開の奇想天外な幕末騒動『江戸は燃えているか』〜TOUCH AND GO〜初日前会見&フォトコールレポート

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中村蝶紫、磯山さやか、高田聖子、飯尾和樹、妃海風、吉田ボイス
藤本隆宏、田中圭、松岡昌宏、 中村獅童、松岡茉優、八木亜希子、三谷幸喜

 
2016年の大ヒット大河ドラマ『真田丸』をはじめ、年年歳歳快進撃を続ける劇作家三谷幸喜が「新橋演舞場史上、もっとも笑えるコメディ」をスローガンに書き下ろした新作喜劇『江戸は燃えているか』〜TOUCH AND GO〜が新橋演舞場で上演中だ(26日まで)。
 
『江戸は燃えているか』〜TOUCH AND GO〜は、歴史に名高い江戸無血開城をテーマに、歴史をつくった偉人たちと、歴史に名を残さなかった庶民たちを通して、可笑しくも愛おしい江戸を戦火から守るための、奇想天外な大芝居が描かれていく、三谷幸喜ならではの斬新な視点を持った作品。江戸っ子気質で喧嘩っぱやいが、実は小心者の勝海舟に中村獅童。勝の身代わりとして西郷隆盛との和平交渉に臨むことになる、庭師の平次にTOKIOの松岡昌宏という、豪華W主演の二人を軸に、劇団☆新感線の高田聖子、フリーアナウンサーの八木亜希子、元宝塚星組トップ娘役の妃海風等々、様々な出自を持つ個性溢れる俳優陣が集結。その異種格闘技にも似た、化学反応の面白さも含めて、すべてが笑いに包まれる舞台となっている。

そんな作品の初日前会見と、公開フォトコールが3月2日新橋演舞場のステージで行われ、中村獅童、松岡昌宏、松岡茉優、高田聖子、八木亜希子、飯尾和樹、妃海風、中村蝶紫、吉田ボイス、藤本隆宏、田中圭、そして作・演出の三谷幸喜が登壇。公演への抱負を語った。(文中では松岡昌宏は松岡、松岡茉優は茉優と表記)

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【初日前会見・登壇者挨拶】

三谷 どうも三谷幸喜です。『江戸は燃えているか』いよいよ初日を迎えます。新橋演舞場のこっち側(舞台上)に立ったことはなかったのですが、(劇場内に吊るされている)提灯がとっても素晴らしいですね。演劇は「祭り」だということを実感できる素敵な場所でやらせて頂けて、とても光栄に思ってます。とにかく笑えるお芝居をと思って作りました。ぜひ皆さんに来て頂いて、大いに笑って頂きたいと思います。よろしくお願い致します。
獅童 中村獅童です。本日はお集まり頂きましてありがとうございます。いよいよ初日を迎えますこと嬉しく思います。皆様に大いに笑って頂けたら嬉しいです。よろしくお願いします。
松岡 松岡昌宏です。よろしくお願いします。皆様お忙しいところありがとうございます。初の新橋演舞場の舞台でとても楽しみにしています。出演者一丸となって頑張りますので、是非1人でも多くの方にご覧頂きたいです。
茉優 皆様お集まり頂きましてありがうございます。松岡茉優です。今回の錚々たるメンバーの中で私が最年少になるので、歴史ある新橋演舞場になかなか来たことがないという、若い世代の方にもたくさん来てもらえるよう頑張ります。よろしくお願いします。
高田 皆さんこんにちは。高田と申します。とても楽しいお芝居になっております。皆さんにたくさん笑って頂けるように、たくさん汗をかいていきたいと思います。よろしくお願い致します。
八木 皆さんこんにちは。八木亜希子です。歳はもしかしたら私が一番重ねているかも知れないのですけれども、経験は一番少ないので、毎日皆さんに教わりながらここまでやってきました。本番の舞台も皆さんに教わりながら乗り越えたいと思います。よろしくお願いします。
飯尾 皆さん「ぺっこり45°」(共演者から大きな笑い)飯尾と申します。普段のパイプ椅子50席のライブハウスからこのようなところに、すごい差があるんですけど(笑)、頑張ります!よろしくお願い致します。
磯山 こんにちは!磯山さやかです。今日はお越しくださりありがうございます。三谷さん、そしてこんなに素晴らしい方たちと新橋演舞場の舞台で演じられることは、本当に幸せなことで(自分のテンションの高さに)うるさいですか?(笑)本当に光栄でございます。観た皆さんが「楽しかった〜腹筋使った〜」と思えるお芝居をしていきたいと思います!よろしくお願いします。
妃海 皆さんこんにちは。妃海風と申します。宝塚を退団後初めてこのような大きな舞台に立たせて頂き、さぞドキドキするかと思いましたが、皆様のおかげで私は今、ドキドキ8割ですが、2割ワクワクもしております。皆様にハッピーになって頂けるよう頑張りますので、よろしくお願い致します。
蝶紫 皆様こんにちは。中村蝶紫でございます。歌舞伎の舞台からこのようなお芝居に出させて頂けて大変嬉しく思っております。舞台でたくさん走り回っております。皆様のお力をお借りして、26日まで走り続けたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
吉田 どうもこんにちは!吉田ボイスです。今日はお越しくださいましてありがとうございます。非常に良いチームなので、チームプレイで皆さんを笑わせたいと思います。よろしくお願い致します。
藤本 藤本隆宏です。よろしくお願い致します。僕こういうの観るのは大好きなんですけれども、演るのは大変です。でもとにかく皆さんの芝居が可笑しくて、それに負けないようにしたいと思います。よろしくお願いします。
田中 田中圭です。皆のお芝居を観るのがすごく好きで、未だに笑いなしでは見られないシーンもあるんですけど、どうにか今日のゲネで慣れて本番中は笑わないようにしたいと思います。よろしくお願いします。

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【質疑応答】

──三谷さん、新橋演舞場で初めての作品、演出となりますが、この劇場を意識したことは?
三谷 花道がある舞台でやるのが初めてなので、今までやったことがないような使い方をと考えましたが、ほとんどのことはやられていると聞き、オーソドックスな感じになりました(出演者から口々に「オーソドックスなんですか?!」という声があがる)。
──バラエティに富んだジャンルの方たちが集まった座組で、印象に残っていることは?
獅童 稽古場で皆と一緒に過ごす時間がとても長かったですが、やっていて楽しかったですね。集中していたのであっという間でした。稽古中に我が家で鍋パーティをして皆仲良くなりました。初日が開いたら松岡君の家でもやります。
松岡 鍋は野菜たっぷりだしね。
──松岡さんはどうですか?
松岡 色々なジャンルの方がいらっしゃるので、それぞれ存在感や台詞の間が皆違うんです。それが一緒になるからこそ面白いんだと思います。うちの姫、松岡茉優が天真爛漫で。その良さがゆめという役に出ていると思います。それをキャッチして頂けたら。
茉優 大変恐縮ではございますが…
松岡 嘘つけ(爆笑)
茉優 言いたいことか1つあって。松岡さんにではなく、三谷さんに。
三谷 はい、何?
茉優 ここに初舞台で立たせて頂くのだから、花道を歩きたかったんです。
三谷 あぁ。今じゃあ(花道を示す)
茉優 今は歩かないけど!歩きたかったです。
松岡 ムービーの人たちが待ってるんじゃない?(笑)
茉優 だから、今は歩かないです!(爆笑)
──三谷さんは稽古の中で印象に残ったことは?
三谷 皆さんおっしゃいましたけれども、色々なジャンルの方たちが集まっていて。松岡さんだけ1回ご一緒する機会があったのですが、後の方たちは初めてご一緒する方ばかりで、初めてお会いする方もいらっしゃるし、まだどんな人かよくわかってない人もいます。僕、心を開くの苦手なので(笑)。僕の頼みの綱は高田聖子さんだったんです。やはり同じ世代に小劇場でずっと一緒にやってきたので「この人がいれば、まとまっていく」と思っていたらですね、新感線の舞台とこの稽古が重なってしまって。4時間の舞台を終えた高田さんは屍のようになっていて。
高田 すみませんでした!(立ち上がって頭を下げる)
三谷 どこのおばあちゃんが来たのかと思ったくらいだったのですが(笑)。この舞台は野球でいうなら全員野球で。全員で突っ走ってここまできたので、誰ひとり欠けても成立しない芝居です。本当に皆で頑張ってここまでこぎつけたという感じがしています。
──皆さんが考えるここが見どころ!というところを、今教えて頂ける範囲で教えてください。
八木 本来は勝さんと松岡さんが似ているという設定なのですが、私がお二人が似ていると思ったところは脚が綺麗なところです。
三谷 見どころだから!(笑)
八木 二人のおみ足が見どころです。
茉優 飯尾和樹さんのキャラ全部です。飯尾さんの長ゼリフがあるんですが、稽古初日には何を言っているのか分からなくて、大丈夫かなと思っていたんですが(笑)。笑えないところはないので、是非飯尾さんにご注目頂きたいです。
獅童 全部じゃないでしょうか。喜劇というのはわからないんですね。実際にお客様がお入りになって、ここで?というところでお笑いになったりもするので、笑って頂くのはある種怖い部分もありますが、ここで笑わせてやろうというのではなくて、きちんと演技をして笑って頂きたいです。あと、セットがとても隅々までリアルにできているんですね。こちらの客席は2階、3階までありますから、見え方が全然違います。下に水がありまして、それは1階席からは見えないのですけれども、上の方はよくご覧になれるので、2度、3度と観て頂きたいです。
松岡 出てくる人ですね。料理の「バクダン」のような公演ですので、是非、一人ひとりの味を楽しんで頂けたら。
田中 盛り上がりの後、皆でわいわいいうところですね。
藤本 獅童さんと飯尾さん、獅童さんと磯山さんの場面は、自分も笑わないようにするのが大変です。
蝶紫 皆さんおっしゃっているところは、本当に面白いですね。
磯山 個々に皆さんに面白い場面があるんですけど、1回1回違って楽しみなのは、勝先生と磯山さんの掛け合いが毎回面白いので、何回もご覧になるとより面白いと思います。
飯尾 始まりから終わりまでノンストップの芝居ですね。
高田 (妃海)風ちゃんの七変化が見どころだと思います。
妃海 そんな! ありがとうございます。皆さんおっしゃっていますが、ジャンルの違う方たち同士の芝居が見どころです。
吉田 ノンストップの笑い合戦に、セットを使った笑いどころもありますので注目して欲しいです。
三谷 前半に獅童さんと飯尾さん、後半に獅童さんと磯山さんの盛り上がるシーンがあって、毎回稽古場で笑ってしまうんですけど、その二つとも僕の台本にないんですよ(笑)。僕が書いたセリフじゃない。それが本当に腹立たしい(爆笑)。けど、面白いんですよ。ああいう的確にツッコみつつ、ボロボロになっていく獅童さんのお芝居を観たのは初めてでした。本当に面白いので是非観てください。
──獅童さんと、松岡さんについて面白いエピソードが何かありましたか?
八木 足が綺麗!
高田 肌が綺麗!
田中 机が綺麗!
松岡 俺の机が綺麗なんじゃなくて茉優のが汚いの!
茉優 違う〜!(笑)でも、私たちが「ここどうしようかな?」と迷っている時に、お二人ともよく声を掛けてくださいます。舞台をたくさん知っていらっしゃるから気にかけてくれて、優しい兄貴が二人いる感じです。
三谷 どんな演出の注文をしても、絶対にそれはできないと言わないで瞬時にやってくれる。しかも、あとで冷静にきちんと考えて、論理的に構築してやってくれる。本当にやりやすいです。

賑やかな会見に続いて、フォトセッションのあと、フォトコールとして三谷の解説のもと、二つの場面が公開された。
 
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【フォトコール・公開シーン1】

三谷 最初に観て頂くのは松岡さんの平次が、獅童さんの勝海舟のフリをさせられるシーンです。見どころは飯尾さんの滑舌の悪さです(爆笑)。こんなに悪いとは思わなかった。次はなるべくセリフを少なくしようと思います(笑)。ではご覧ください。

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勝海舟(中村獅童)と娘のゆめ(松岡茉優)
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山岡鉄太郎(飯尾和樹)

西郷隆盛が勝海舟に会いたいとすぐそこまで来ている、と山岡鉄太郎(飯尾和樹)に告げられた勝海舟(中村獅童)は「聞いていない!」と激しく狼狽。やっかいごとは明日にしたいと逃げ腰になり、娘のゆめ(松岡茉優)に、ここは肚を決めるしかないと諭されたことで、かえって逆上し屋敷から馴染みの店へと逃げ出してしまう。

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勝海舟(中村獅童)
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村上俊五郎(田中圭)、ゆめ、女中頭かね(高田聖子) 

このままでは江戸は火の海に。それだけは避けなければと、ゆめは勝家の女中頭かね(高田聖子)と、叔母の夫・村上俊五郎(田中圭)に、勝の身代わりを立てて西郷との会談を終わらせてしまおうと持ち掛け、女中・いと(磯山さやか)に勝を家に帰さず、店に引き留めておくようにと使いにやる。何故そうまでして江戸を守りたいのか?とかねに問われて、ゆめがどうしても壊してはいけないものとして、江戸の町の名所旧跡を1つ1つあげていく台詞が美しい。
 
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女中・いと(磯山さやか)、ゆめ、かね
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ゆめ、女中いと

西郷と勝は会ったことがない。この大博打はひよっとしたら成功するかも?だが誰が勝の代わりに?と全員が思った時、ゆめが迷わず白羽の矢を立てたのはずっと木の上で事態を傍観していた庭師の平次(松岡昌宏)。「そんなこと無理に決まってる!」と始めはにべもない平次だったが、報酬が上がっていくにつれてコロリと「やってみよう!」と替え玉を引き受ける、松岡の大真面目なちゃっかりぶりに笑わされる中、偽物に和平交渉を託した大芝居がはじまった!

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【公開シーン2】

三谷 次にご覧頂くシーンは、最初は歌うつもりじゃなかったんですけど、音楽の栗コーダーカルテットさんからとてもいい曲がたくさんできてきて、歌える人がいっぱいいるということもわかりまして、急遽「江戸は世界一」というナンバーを作りました。メインボーカルは妃海さんで、このナンバーのステージングもお願いしています。皆本気で歌っているんですけど、若干1名どうしても歌がうまく歌えないということで、1人だけ口パクの人がいます。それから見どころは八木亜希子の演技です。皆さんの認識はアナウンサーだと思いますが、名女優八木亜希子の誕生をご覧頂きます(「ではどうぞ」といったん去りかけて)、まだ準備ができていなということなので(笑)。先ほど、1人口パクの人がいると言いましたのは飯尾さんです(笑)。こんなにお待たせしたわりにはすぐに終わってしまうのですが(笑)、ではどうぞ。

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勝、俊五郎、勝の妻たみ(八木亜希子)、かね

勝の妻たみ(八木亜希子)が現われ、勝と別れ庭師の平次と家を出ていくと告げる。たみは完全にトランス状態で、誰が何を言おうと意に介さず、慌てた勝はたみを追いかけて走り去る。

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勝、俊五郎、ゆめ、たみ、かね

そんな勝に嫌われたと思い込んだデク(藤木隆宏)が帰ると言い出すので、俊五郎とかねがゆめに色仕掛けでデクを留まらせろとけしかけていると、平次といとがやってくる。いとにたみとの仲を疑われた平次は「ええ、面倒くせぇ」といとを抱きしめて唇を奪う。「女を黙らせるにはこれが一番手っとり早い」と嘯く平次に、かねは女の純情は怖いと、いとの年齢を告げる。いとが自分より年上と知ってたじろぐ平次。
 
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取的デク(藤木隆宏)
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ゆめ、かね、俊五郎

そこに勝の妹・順(妃海風)が、ほぼ何の脈絡もなく音楽と共に登場。当時の江戸の人口は推定だが100万人で、それはロンドンやパリをはるかにしのぐ、世界一の都市だということなのだが、この時私たちはそれを知らない、と歌う。
 
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勝の妹・順(妃海風)
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順、夫の俊五郎、女中たえ(中村紫蝶)、かね

その場にいたゆめ、俊五郎、かね、平次はもちろん、家のふすまが開くとキャスト全員が登場。「江戸は世界一〜」と全員で歌い踊る大ナンバーに発展した。
 
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中村半次郎(吉田ボイス)、たみ、勝、女中たえ
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順、俊五郎、ゆめ、かね

公開フォトコールはこれで終了。三谷幸喜ならではのぶっ飛びワールドが、作品への期待を大いに高める時間となっていた。


〈公演情報〉
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PARCO Production『江戸は燃えているか』〜TOUCH AND GO〜
作・演出◇三谷幸喜
出演◇中村獅童、松岡昌宏
松岡茉優、高田聖子、八木亜希子
飯尾和樹、磯山さやか、妃海風、中村蝶紫、吉田ボイス
藤本隆宏、田中圭 
●3/3〜26◎新橋演舞場
〈料金〉一等席13.000円、二等席8.500円、三等席A 4.500円、三等席B 3.000円 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉パルコステージ 03-3477-5858((月〜土 11:00〜19:00/日・祝 11:00〜15:00)



【取材・文・撮影/橘涼香】 


帝劇『1789』


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大人気アクションゲームの舞台版最新作 斬劇『戦国BASARA』第六天魔王 上演中!

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大人気アクションゲームの舞台版として愛され続けている斬劇『戦国BASARA』。その最新作、斬劇『戦国BASARA』第六天魔王が、渋谷のAiiA2.5Theater Tokyoで3月2日、開幕した。(11日まで。のち16日〜18日まで大阪・森ノ宮ピロティホールでも上演)。
 
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歴史に名だたる戦国武将たちが、その歴史の枠を超えて闘いを繰り広げる斬劇『戦国BASARA』シリーズは、戦国アクションゲームの決定版として、長きに渡り熱い支持を受けてきた。その舞台版の最新作であるこのステージは、各地で戦火の上がる群雄割拠の日ノ本で、禍々しいまでに圧倒的な力でその名を轟かせる第六天魔王・織田信長が創る、恐怖の世をなくす為に、奥州筆頭・伊達政宗、武田軍大将・真田幸村をはじめ、様々な者たちが立ち上がる、というストーリーとなっている。

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なお、この初日に際して石田三成役沖野晃司が、劇場での舞台稽古中に怪我を負った。これにより、石田三成役のアクション部分のみ殺陣指導の泉紫太朗が演じている。

【出演者からのコメント】
 
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上段/大湖せしる、瀬戸裕介、唐橋充、伊藤裕一、汐崎アイル 
中段/桜田航成、高柳明音、井上正大、椎名鯛造、斉藤秀翼
下段/中尾拳也、眞嶋秀斗、松村龍之介、沖野晃司

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伊達政宗役/眞嶋秀斗
僕自身、稽古場に通う毎日がとても楽しく、役者をやっていて良かったと思いながら舞台に立つことができていると実感しています。最後の戦いまで、精進していきたいと思います。

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真田幸村役/松村龍之介
また『戦国BASARA』の世界に戻ってこられたことを嬉しく思います。一丸となって魂を込めて作品と向かい合います。どうぞ最後まで応援よろしくお願いいたします

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徳川家康役/中尾拳也
衝撃を与えられる作品になっていると思いますし、そこがすごく見どころだと思っております。今できる最高のパフォーマンスを、全キャストで作り上げたものを皆さまにお届けしたいと思っておりますので、最後までよろしくお願いします。

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石田光成役
沖野晃司
本日はご来場誠にありがとうございます。石田光成役 沖野晃司と申します。この度は、ご心配とご迷惑をおかけしたこと、本当に申し訳ないと思っております。稽古をやっていて、この作品を皆さまに観て頂ける機会だけに、自分としても必ずこの舞台に立ちたいと思い、この場にいさせて頂いております。スタッフとキャストに支えられて初日を迎えることができました。僕ができるすべての力を使って、この舞台に尽力してまいります。どうか、ご声援の程よろしくお願いします。

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猿飛佐助役
椎名鯛造
今日はお越し頂きありがとうございます。卒業ということを銘打っていただいているのですが、戦国BASARAを好きな方がたくさん観に来られると思いますので、観にきてくださる方に、楽しんで頂こうと考えております。何卒よろしくお願いします。

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片倉小十郎役
井上正大
今作、演出ヨリコジュンさんをはじめ、CAPCOM山本さん・小林さんから、斬新なことをやろうというところで、キャスト一丸となり、1か月間稽古をしてまいりました。お客さんの驚くような顔が、少しでも早くみたいと思っております。一キャストとして、片倉小十郎として、最後まで舞台に貢献できたらなと思っております。よろしくお願いします。

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明智光秀役/瀬戸裕介
明智光秀役を務めさせていただきます、瀬戸裕介です。今回、新しいキャストとしてこのカンパニーに入れて頂き、本編の方も仲間同士の絆や主従関係などが試される内容になっております。僕ら、このカンパニーでできる最大限のことを皆さまに見せたいなと思います。精一杯頑張ります。よろしくお願いします。

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後藤又兵衛役
汐崎アイル
本日は足をお運び頂き誠にありがとうございます。舞台というのは何が起こるか分かりません。一つ一つが大切な時間ですし、毎回が初日で千穐楽のつもりで、役者は立っております。今できることを自分たちで、全力でやり、長年の親友である椎名鯛造、そしてこのカンパニーみんなが、終わったときに、よくやった!と言えるだけのことを稽古場ではやってきました。ですので、最後まで駆け抜けて行きたいと思いますし、ここまで支えてくれたヨリコさんはじめ、CAPCOM小林さんや山本さんと一緒に、バサラの世界を作ってきたので、それを楽しんでみせたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

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島左近役
斉藤秀翼
本日はありがとうございます。1カ月稽古をしてきて感じたことが、チーム力の高さです。アクシデントが起きても、みんなで乗り越えて、みんなでいいものを作っていこうという気持ちが、みんな同じ方向に向いていることが、本当に素敵だなと感じました。最後までこのチーム力で頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

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浅井長政役
桜田航成
レギュラーでの出演として戦国BASARAに戻ってくるのは約2年ぶりになります。今回からは京極マリア・織田信長・明智光秀と、僕の周りも楽しくやらせて頂いております。このキャスト、スタッフ、最強のメンバーで、最大の熱量をもって、これが戦国BASARAだと、見せつけてやろうと思っております。よろしくお願いします。

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お市役(SKE48)
高柳明音
お市役を演じます、高柳明音です。今回、初めてこの作品に関わらせて頂くのですが、台本を読んだとき、舞台でこんな物語の作り方ができるんだと、衝撃を受けました。私自身この作品がすごく大好きになりましたので、舞台の上では、長政さまを愛し、私自身この作品を愛し、そして来てくださる皆さまにこの舞台を愛していただけるように頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

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京極マリア役
大湖せしる
京極マリア役の大湖せしるです。本日はありがとうございます。京極マリアとして、作品の良いスパイスとなるように努めて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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黒田官兵衛役
伊藤裕一
黒田官兵衛を演じます、伊藤裕一と申します。今回の作品は“心の強さ”が鍵となっていると思いますが、カンパニーの心の強さを皆さまにお見せできればいいなと思っております。本日はありがとうございました。よろしくお願いします。

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織田信長役
唐橋充
お忙しい中、本日はありがとうございます。戦国BASARAというビッグタイトルを舞台化するこのシリーズですが、ゲームでは表しきれないもの、あるいは演劇でしかできない素晴らしいものを作っていく日々でございましたが、とてもクリエイティブで、このゲームを応援してくださる方々、シリーズのこの舞台を応援してくださるお客様のプレッシャーを感じつつも、日々模索しておりました。光成役・沖野さんが怪我されましたけれども、それも一つのあるきっかけにすぎず、些細なもののひとつで、ご本人の気持ちは口惜しいものはあると思いますが、より素敵な表現を、この2-3日、模索することができました。本当にスペシャルなものになると思います。そして、椎名さんの卒業ということで、この素敵なカンパニーで一つになれるかなと思います。ご来場の程お待ちしております。

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演出
ヨリコジュン
演出のヨリコと申します。よろしくお願いします。毎回心がけていることですが、僕ら、殺陣も多いですし、キャストの皆さまのお芝居を作ろうというところを念頭に置いてディスカッションを重ね、ここまで作ってきました。先ほど何人かおっしゃっていましたように衝撃的な内容もあるのですが、個人的にはこのカンパニーしかり、今回の現状しかり、現代のデジタル化などで人と関わらなくなってきており、一人で何でもできてしまう現代の中で、大きな壁にぶつかってしまったときに、周りを見ずにどうしよう・・と悩んでいるときに、ふと周りを見ると一緒に戦ってくれる仲間がいることに気付ける内容になっていると思います。多くの皆様にぜひ見て頂けたら嬉しいなと思います。よろしくお願いします。

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企画・原作監修
CAPCOM小林
戦国BASARAシリーズプロデューサーの小林です。よろしくお願いします。この舞台に関しては、シリーズ9年目くらいになりますが、CAPCOM山本と小林で原作監修を務めさせて頂きます。前作の小田原の終わり頃から、ヨリコさんとは、次回はどうしようかという話をしていました。山本と、今までとは違う内容の舞台をやってみようということで、チャレンジをしています。ネタバレになるのであまり言えないのですが、一幕、二幕と、素晴らしい内容になっております。すごく難しかったのですが、脚本をあげて、ヨリコさんはじめここにいるキャスト、スタッフのおかげで素晴らしい舞台の内容となっております。本日夜の初日、お客さんに衝撃を与える内容になっていると思います。本日は公開ゲネプロが中止になってしまい申し訳ないのですが、冒頭から20分くらいはお見せしたいと思いますので、この部分を記事にして頂き、初日を迎えるこの舞台の応援をよろしくお願いします。戦国BASARAシリーズ、来年は10年になりますが、いろんな役者の方々と関わってきて、今回も新キャストで3名の皆さんに関わっていただき、前作から出ているメンバー、前々作と最新作まで出て頂いている役者の皆さんの力をお借りして、第六天魔王、素晴らしい舞台になると思いますのでよろしくお願いします。そして戦国BASARAシリーズも、2018年、いろいろな企みをしておりますので、期待していてください。

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〈公演情報〉
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斬劇『戦国BASARA』第六天魔王
原作◇CAPCOM(「戦国BASARA」シリーズ)
構成・演出・映像◇ヨリコジュン
企画・原作監修◇小林裕幸(CAPCOM) 山本真(CAPCOM)
出演◇眞嶋秀斗 松村龍之介 中尾拳也 沖野晃司/椎名鯛造 井上正大 瀬戸祐介/汐崎アイル/斉藤秀翼 桜田航成/高柳明音 大湖せしる/伊藤裕一/唐橋 充
●3/2〜11◎AiiA 2.5 Theater Tokyo
●3/16〜18◎森ノ宮ピロティホール
〈お問い合わせ〉
東京公演 サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
大阪公演 キョードーインフォメーション 0570-200-888


【舞台撮影/友澤綾乃 資料提供/エイベックス・エンタテインメント】





水夏希・彩吹真央出演。夢幻朗読劇『一月物語』


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家族の愛と別れと再生への希望を描いたミュージカル『FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』

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自殺した父親と同じ年齢になった娘が、父の死という大きな衝撃に改めて立ち向かい、自らの幼少時、学生時代、そして家族の思い出をたどりながら、心から愛しながらもすれ違っていった父親との絆を見つめ直そうとするブロードウェイミュージカル『FUN HOME  ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』が、日比谷のシアタークリエで上演中だ(26日まで。のち兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール、愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホールでも上演)。

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ミュージカル『FUN HOME  ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』は、06年に出版されたアリソン・ぺクダルの自らの家族を描いた同名コミックを原作に13年オフブロードウエイで開幕し、高い評価を受け15年ブロードウエイに進出。ミュージカル作品賞を含む、その年のトニー賞5部門を獲得する栄誉を得た。
今回の日本版は、そんな作品の極めて早い段階での本邦初演で、今最も注目を集める演出家であり、18年9月より新国立劇場の演劇部門芸術監督にも就任が決まっている気鋭の演出家小川絵梨子が、初のミュージカルの演出を務め、瀬奈じゅん、吉原光夫、大原櫻子をはじめとした、豪華出演陣が揃った、力のこもった作品となっている。

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【STORY】
漫画家として活躍するアリソン(瀬奈じゅん)は、43歳。彼女にとってこの年齢は特別な意味を持っていた。アリソンの父ブルース(吉原光夫)が自ら命を絶ったのが、同じ43歳の時だったからだ。
父はなぜ自分達家族を残して死ななければならなかったのか。アリソンは父の死からずっと抱え続けてきた問いの答えを探しながら、家族と共に過ごしたアメリカの小さな町ペンシルバニアの家に思いを馳せる。
彼女の家族は父ブルース、母ヘレン(紺野まひる)、1才下の弟のクリスチャン(楢原嵩琉、若林大空Wキャスト)と、4才下の弟のジョン(阿部稜平、大河原爽介Wキャスト)、そして、小学生のアリソン(笠井日向、龍杏美Wキャスト)の6人家族。高校教師をしながらブルースが葬儀屋=FUNERAL HOMEを営む家を、家族は略して『FUN HOME』と呼んでいて、アリソンは父に軸になってもらい自らが飛ぶ飛行機ごっこ好み、弟たちとは「ファン・ホームへようこそ!」という葬儀屋のコマーシャルソングを歌い踊る遊びに興じ、元々ブルースの教え子で、卒業後にブルースに誘われ、庭仕事の助手兼ベビーシッターとしてベクダル家に出入りしているロイ(上口耕平)とも良好な関係を保っていた。 
だが、ブルースが最も愛情を注いでいたのは「家」そのものだった。古い家を改築して、アンティークの家具を修理し、完璧に整理整頓された室内は、彼の美意識そのもので、アリソンたちはしばしば家を見に訪れる客たちの為に、行動が制限されることにうんざりしていた。

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それでも、文学や芸術を愛するアリソンとブルースには共通点が多く、大学生のアリソン(大原櫻子)は、大学での授業内容のくだらなさや、求める至高の芸術について、電話や手紙でブルースと話し合う時間を多く持ち、アリソンは父を尊敬していた。
けれども、そんな日々の中でアリソンは自分がレズビアンではないか?という自覚に目覚め、否定と葛藤を繰り返しながらも、大学の友人ジョーン(横田美紀)との交流の中で、彼女を愛していると認めるに至る。このことを家族にいつまでも隠してはおけない。アリソンは両親にカミングアウトすることを決意し、手紙を書き送るが、帰ってきたのは思いもよらない母ヘレンからの答えだった。ブルースはゲイで、ヘレンはそのことにずっと悩み苦しんでいたのだと。
レズビアンであることを受け入れたアリソンと、ゲイであることを隠し通しながらも、衝動を抑えきれず遂に自死の道を選んだブルース。その原因が自分のカミングアウトにあったのでは?と呵責の念にかられながら、アリソンが追い続けた父の本当の想いとは……

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休憩なし100分の中に展開される物語は、極めてソリッドで挑戦的な仕掛けが施されている。何よりも卓越しているのは、劇中に43歳のアリソン、大学生のアリソン、小学生のアリソンが、全く自然に共存していることで、43歳のアリソンが時系列でなく、一見思い付くままに様々な時代を行き来しながら、過去をたどっていくのに無理がない。こういう時系列をまたがる物語というのは、往々にして映像に優位なものだが、この表現は逆に舞台空間でなければ成立しないもので、この作品がブロードウエイで高い評価を得たことに納得がいく作りになっている。

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しかも、性的マイノリティLGBTの抱える苦悩や、ぶつかる壁を極めてドライに描き出しつつも、ミュージカルナンバーが入ることによって、役者の歌声やメロディーの美しさ、軽快なリズムに乗って、純粋に音楽を楽しめる時間があるのが、作品の重いテーマをある意味で緩和する役割を果たしている。実際物語世界だけを見ると、これは彼我の感覚の違いも大きいと思うが、深くリアルに現実に踏み込んだ展開を「ある家族の悲喜劇」と呼ぶことにも若干の違和感を覚えるほどだ。だがそれだけに、観る者にも相当な体力を要求してくる重い物語を描くのに、ミュージカルという手法が最適だったことを改めて感じさせた。
特に、日本版演出の小川絵梨子が、ミュージカルだからこうしなければならない、と言った固定観念に惑わされることなく、ストレートプレイと同じく、作品と役柄に真摯な目線を注ぎ、きめ細かい展開を施しているだけでなく、この作品のテーマを単に一家族の物語である以上の、普遍的な人間すべてに関連する大きな物語として捉えていることが伝わるのが、舞台を引き締めている。ここにある現実を直視しながら、どこかで俯瞰もしているという表現が、より観る者に作品を深く考えさせるよすがとなった。

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その直視と俯瞰の象徴でもある43歳のアリソンに扮した瀬奈じゅんが、作品の根幹を支えている。瀬奈が演じるアリソンは、所謂ストーリーテラーとして作品世界に常に存在しながら、この作品全体を回想している、現実の時間軸にいるのは彼女1人という、非常に難しい役柄だ。何しろ作品のドラマチックな部分の大半を外側から見つめているだけで、所謂ミュージカルの主人公とは、全く違う舞台での立ち位置を要求されている。だが、そこはやはり宝塚歌劇団でトップスターの重責を担い、退団後も多彩な作品で主演を務めてきた瀬奈ならではの華とスター性が、舞台面のどこにいても現実のアリソンの存在が完全に消えてしまうことを防いでいる。もちろん出すぎてもいけないながら、現実のアリソンを観客が忘却してしまっては成り立たない劇構造中で、瀬奈の果たした役割は大きく、劇中の状況を「補足説明」と言いながら解説していく数々の台詞が、軽やかでコミカルだった前半から、後半になるに従って懊悩していく変化も見事。難役を果敢に表出した瀬奈に拍手を贈りたい。

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ブルースの吉原光夫は、本人の持ち味にビジュアルからくる強面系の雰囲気と、内実にある真摯な優しさとが同居しているのが、このブルースという役柄にベストマッチ。芸術に造詣の深い高校教師であり、良き夫であり、良き父親であろうとする表の顔と、同性の美しい青年たちに持つ抑えきれない衝動を抱える謂わば裏の顔とが如実に表れていて、ブルースの葛藤が真に迫る。思えば『レ・ミゼラブル』で、バルジャンとジャベールという光と影の象徴のような役柄を演じ分けることができているのも、吉原のこの資質故で、改めて貴重な役者だと感嘆させられた。

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大学生のアリソンの大原櫻子は、彼女の持つとびっきりの愛らしさと、持ち前の歌唱力だけでなく、豊かな身体表現と深い演技力が、自分自身と向き合うアリソンが己を受け入れていく様に生きている。何よりもアリソンがチャーミングであり、人間臭くもある存在感が抜群で、喜びを爆発させるソロナンバー「私のテーマはジョーン」の伸びやかな歌声も素晴らしい。決してとっつき易いとは言い難い新作ミュージカルに、彼女が登場してくれたことによる効果にも大きなものがあったはずで、是非今後も積極的に舞台活動を続けて欲しい逸材だ。

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ヘレンの紺野まひるは、夫が同性の愛人を持っている妻の苦悩を、台詞の端々、目線、受け答えのトーンなどで的確に表現していて、なんとか理性を保とうとしてきた感情が、娘のカミングアウトによって爆発する様の痛みがすさまじい。何をもって普通というのか、同性を愛することは普通ではないのか?というのは、常に考えられていることだし、偏見や差別がなくなってはいないものの、そうした考えが不適切なものだということまでは、ずいぶんと世の中に浸透してもいる。ただ、ヘレンの立場に立った時に、夫が同性の青年に惹かれていく様に苦しみ続けていた女性が、娘からも自らが同性愛者だと告白された混乱がいかばかりなものかは想像に難くないし、それは古い考えだと諭すことなどとてもできはしない。そのヘレンが直面した痛みがストレートにつたわり、尚家族を愛そうとする女性を、紺野が気丈に演じきったことが、作品にとっても尊いものになった。

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ブルースの元教え子であり愛人のロイを演じた上口耕平は、ブルースの本心をわかっていてむしろ翻弄していく美しい青年の残酷を巧みに表現している。素の温かさが活かされる役柄で放つ上口の魅力はよく知られているものだが、こうした魔性の表現にもゾクッとさせられる毒と色気があり、これは大きな収穫。他にもブルースに関わる役柄を数役演じ分けるが、その演じ分けの興趣と共に、それらを上口がすべて演じることも意味深長で、演劇的な面白さを生む力になった。

ジョーンの横田美紀は、女性に愛情を感じることにためらう大学生のアリソンをリードし、尚決して押しつけがましくない、サバサバとした大人の女性であることが、何をもって普通というのか?の問いに自ずと答えを出す存在になっている。アリソンの家族に「良い子だ」と受け入れられることも自然で、作品の重要なピースとなっていた。

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更に、ある意味でアリソンと父親の関係に於いて、最も重要なパートを握っているともいえる、小学生のアリソンをWキャストで演じる笠井日向と龍杏美が、実に達者な芝居を見せて、日本のミュージカル界の子役たちの地力の高さを改めて示している。ドレスを着せられることにとことん抵抗することが示唆するもの。はじめて同性への思いを感じる様を歌い上げる「鍵の束」のソロナンバー。そして、ブルースとの飛行機ごっこに込められた想い。それら全てを適確に描き出し、歌ったのには恐れ入った。一見幸福な家庭である描写に欠かせない、弟たち、クリスチャンの楢原嵩琉と若林大空、ジョンの阿部稜平と大河原爽介を含めて、子役陣が作品の熱量を高めた力にも、大きなものがあった。
 
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何よりも、決して派手さがある訳ではない、端的に言って相当な歯ごたえを持つブロードウエイ・ミュージカルをいち早く上演したことは、東宝ととりわけ10周年を迎えたシアタークリエという劇場が担ってきた、今日本で、この劇場で作品を上演する意義に、真摯に向き合った姿勢の表れに他ならず、シアタークリエ10周年の記念の年に相応しい舞台となっている。

〈公演情報〉
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ミュージカル『FUN HOME  ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』
原作◇アリソン・ベクダル
作曲◇ジニーン・テソーリ
脚本◇作詞:リサ・クロン
翻訳◇浦辺千鶴
訳詞◇高橋亜子
演出◇小川絵梨子
出演◇瀬奈じゅん、吉原光夫、大原櫻子、紺野まひる、上口耕平、横田美紀
笠井日向・龍杏美(Wキャスト)、楢原嵩琉・若林大空(Wキャスト)、阿部稜平・大河原爽介(Wキャスト)
●2/7〜26日◎シアタークリエ
〈料金〉10.800円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半〜17時半)
●3/3〜4◎ 兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
〈お問い合わせ〉お問い合わせ 芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-0255
●3/10◎愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
〈お問い合わせ〉キョードー東海 052-972-7466



【取材・文/橘涼香 写真提供/東宝演劇部】




帝劇ミュージカル『1789』
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日本版ならではの視点と感性が煌めく本邦初演ミュージカル『マタ・ハリ』

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第一次世界大戦の激動の中、二重スパイとして逮捕・処刑された伝説のダンサー、マタ・ハリを新たな視点で描き出したミュージカル『マタ・ハリ』が有楽町の東京国際フォーラムホールCで上演中だ(18日まで)。

ミュージカル『マタ・ハリ』はフランク・ワイルドホーン作曲、アイヴァン・メンチェル脚本、ジャック・マーフィ作詞という、世界で活躍するクリエーターたちの手により、2016年に韓国で初演されたミュージカル。スパイの代名詞ともなったマタ・ハリの知られざる人生に焦点を当てた作品は、2017年の再演と合わせて累計約20万人を動員した大ヒット作品となった。今回の上演はその日本初演で、マタ・ハリに元宝塚歌劇団トップスターで、現在女優として活躍する柚希礼音、マタ・ハリの運命を変える二人の男性、フランス諜報局の大佐ラドゥーとその部下アルマンを、ミュージカルスターとして、またアーティストとして進境著しい加藤和樹が日替わりで演じ、そのWキャストには佐藤隆紀(ラドゥー)、東啓介(アルマン)が登場するという、豪華キャストが実現。ミュージカルファン必見の話題作となっている。

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【STORY】
1917年、第一次世界大戦の暗雲たれこめるヨーロッパ。
オリエンタルな魅力と力強く美しい「寺院の踊り」というミステリアスなダンスで、パリのみならず、ヨーロッパ中で大人気を博しているダンサーがいた。彼女の名はマタ・ハリ(柚希礼音)。その踊りを求める声は引きも切らず、戦時下にも拘わらず、同盟国、敵国に関わらず、国境を越えて活動する自由を手に入れている稀有な存在となっていた。
そんなマタ・ハリに目をつけたフランス諜報局のラドゥー大佐(加藤和樹・佐藤隆紀Wキャスト)は、彼女にフランスのスパイとなることを要求する。国に縛られない自由なダンサーであるマタ・ハリは、当然の如くその申し入れを拒絶するが、ラドゥー大佐は、もし断れば、あなたが嘘つきであることを世に知らしめることになる、と、ほのめかす。生きる為に辛酸をなめてきたマタ・ハリは、過去に引き戻されることを恐れ、それを避ける為ならばどんなことでもすると自らを鼓舞する。
同じ頃、マタ・ハリはサインを求める性質の悪いファンに絡まれ、自分を助けようとして怪我を負った戦闘パイロットのアルマン(加藤和樹・東啓介Wキャスト)に出会う。アルマンの存在は、マタ・ハリの孤独な心を揺らし、二人はともに美しい夜明けのパリを眺めて、人生を語りあい、マタ・ハリは己が運命の恋に落ちたことを感じる。
一方ラドゥーの執拗な要求は続き、一度だけスパイをつとめる決心をしたマタ・ハリを、彼女の世話を続けてきた衣裳係アンナ(和音美桜)は、必死に思いとどまらせようとするが、運命を切り開くと誓ったマタ・ハリは、公演旅行で向かったベルリンで、彼女の崇拝者の1人ドイツ将校ヴォン・ビッシング(福井晶一)の邸宅での任務を無事遂行する。だが、フランスとドイツとの間で続けられる謀略戦はすでにマタ・ハリの想像を超えて進み、アルマンへの愛に目覚めた彼女の運命を、大きく歪めていき……。

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人類史上最初の世界大戦である第一次世界大戦下で、フランスとドイツの二重スパイとして逮捕・処刑されたマタ・ハリの名は、のちにスパイの代名詞とさえなったほど著名なものだから、マタ・ハリ=スパイとの認識で、記憶している人は多いだろう。ただ、戦時下でありながらヨーロッパを股にかけて活躍していたマタ・ハリが、何がしかの情報をもたらしたことはあったにもせよ、それらはほとんど戦況に影響を与えるような重大な機密ではなく、彼女は長引く戦争に疲弊したフランス国民の不満を軍部から逸らし、戦意を高揚させるスケープゴートとして利用され、フランス軍の不利益の責任を押し付けられた形で処刑されたということが、現在ほぼ定説とされている。ただ、マタ・ハリの行動や、その真実の姿はほとんどわかっていず、ここにドラマを創る鉱脈がある、と捉えたフランク・ワイルドホーンをはじめとしたクリエーター達の着眼点は見事なものだった。実際、ここには戦時下という過酷な状況の中で、己を守る為に闘い、恋をし、運命に抗いながら信じる道を歩み続けた女性としての、マタ・ハリ像が鮮やかに描かれていて、彼女の行動と運命に観る者を共感させる力がある。これは新作ミュージカルにとって、極めて力強い利点で、ワイルドホーンならではの、多彩で壮大な楽曲にのせて、物語世界が広がる様には、ロマンとスリルがあふれていた。

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そんな作品の日本版演出を担った石丸さち子は、小劇場からこうした大劇場までの演出を自在にこなす逸材として、近年大きな注目を集めていて、今回も彼女ならではの緻密なアイディアが、作品の理解を深めている。まず時にマタ・ハリとアルマンが共に日の出を見る屋上になり、時にパーティ会場を見下ろす部屋になり、時に戦況を監視する兵隊の見張り小屋となるステンレスの階段をはじめとした舞台空間を縦にも使う大がかりな装置のいくつかで、舞台を大胆に埋めつつ、歌舞伎の定式幕を思わせる引き幕という、極めてアナログな手法で、フランス、ドイツを行き来する作品展開の状況説明を、あくまでもさりげなく行っている手腕が光る。両者のバランスが絶妙で、舞台面いっぱいに降り注ぐライトでフランスの三色旗を表す美しい場面があれば、椅子が並べられるだけでマタ・ハリが秘密裏に敵国に向かう汽車の中が表現される場面もあり、作品が壮大なグランド・ミュージカルの趣一辺倒に傾かず、人間ドラマとしての面もきちんと浮かびあがる効果になっていた。大劇場のミュージカルで、このきめ細やかさは貴重だし、アンサンブルの配置も実によく考えられていて、彼らの動きや歌を見るだけでも舞台を観る楽しさが充分に感じられる満足感があった。

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その出演者陣の頂点に立つタイトル・ロール、マタ・ハリの柚希礼音は、まず伝説のダンサーであるマタ・ハリ役を、持ち前の高い身体能力で支えている。舞台に登場した瞬間から観る者を惹きつける華があり、ワイルドホーンの壮大で難易度の高い楽曲もよく歌いこなしているし、ハスキーな歌声ながら高音部に無理がないのも嬉しい驚きだった。思えばダンサーとしていち早く注目を集めた宝塚での新人時代を経て、歌い手としてこの人が化けたのが『スカーレット・ピンパーネル』のショーヴラン役だったから、ワイルドホーンメロディーとの相性が元々良いのだろう。マタ・ハリが経て来た壮絶な過去には、柚希の持つ生来の明るさがややフィットしにくい面は確かにあるが、その陽性な個性があるからこそ、作品がマタ・ハリを描いている以上当然帰結するラストに、どこか救いを与えた効果になっていたのもキャスティングの妙。マタ・ハリが自分の踊りを神に捧げたものだと主張することも、彼女の健康的な持ち味のダンスが過度にセクシーにならなかったことと上手くつながり、上々の主演ぶりだった。

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その柚希とW主演という形で、マタ・ハリ運命の恋人アルマンと、フランス諜報局の大佐ラドゥーを日替わりで演じるという離れ業を成し遂げた加藤和樹が、ミュージカルスターとしての成長を、この困難な挑戦で更に印象づけている。正直なところ、二役があまりにも互いに大役な上、上司と部下として直接会話を交わす場面も多く、両方の役をこなしただけでも感動的なほどだが、アルマンの純粋な恋の表現と、ラドゥーの一癖も二癖もある捻じれた愛情表現との、双方で異なる魅力を見せたのはただあっぱれの一言。歌唱力にも長足な進歩が見られ、これだけ負担の大きな公演を成し遂げたことは、加藤の未来にとって大切な財産となることだろう。 
そのラドゥー大佐のWキャストの佐藤隆紀は、圧巻の歌唱力は言うまでもないとして、演技面での進歩に感嘆させられる。前述したようにラドゥーの愛情表現はかなり捻じれていて、マタ・ハリへの複雑な想いを表すには、相当に高い演技力が要求されるが、それをきちんと描き出していて、最早ただ歌の人ではない、俳優としての存在感を高めたのが素晴らしい。もちろんワイルドホーンメロディーの求める豊かな声量も頭1つ抜けていて、ミュージカル俳優としての佐藤の今後がますます楽しみになった。
アルマンのWキャストの東啓介は、若さからにじみでる生一本な質感が、役柄が持つ甘い二枚目の雰囲気を更に増幅していて爽やか。恵まれた長身の持ち主だが、長身の人特有のどうしても猫背になる癖が、軍服を着た時にやや気になるが、これは経験を重ねれば自ずと改善されていくことだろう。大役に臨んだチャンスを確実に活かしていて、動向に注目したい存在として鮮烈な記憶を残している。

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彼らの周りを固めた人材が非常に贅沢なのも、今回の布陣の特徴で、マタ・ハリの衣装係アンナの和音美桜は、マタ・ハリというスターに自らの夢を仮託してきた人の、慎み深さの中にある情熱を的確に表現している。美しいソプラノばかりでなく、マタ・ハリと交わす同じ会話の受け応えで、状況の変化を鮮やかに描き出したのはこの人の高い地力の賜物だろう。
またフランスの首相パンルヴェに栗原英雄、ドイツ将校ヴォン・ビッシングに福井晶一が揃い、両国の謀略の中にマタ・ハリの運命が定められていく怖さを、浮き彫りにするに十分な存在感をそれぞれが示している。マタ・ハリを逮捕しにくる警官役に二人が扮しているのも、非常に示唆的で、演劇の豊かさにつながる巧みな工夫だった。一方、若いパイロット・ピエールをWキャストで演じた西川大貴と百名ヒロキは、それぞれの持ち味を生かして、戦争の恐怖とそれに立ち向かう使命感を作品に記す役割を果たしている。

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他に、ラドゥーの妻キャサリンを少ない場面できちんと印象づけた則松亜海をはじめ、様々な役柄に扮する面々が躍動。「捕らえろスパイを」のナンバー等に代表される、舞台の登場人物でありつつ、真実を暴こうとする視線でもある、という存在に力感があり、作品の演劇的興奮を大きくしていた。
総じて、日本版ならではの新たなチャレンジが数多く観られ、そのチャレンジが醍醐味を生んだ舞台になっている。

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〈公演情報〉
ミュージカル『マタ・ハリ』
作曲◇フランク・ワイルドホーン 
劇作・脚本◇アイヴァン・メンチェル
作詞◇ジャック・マーフィー
翻訳・演出・訳詞◇石丸さち子
出演◇柚希礼音、加藤和樹、佐藤隆紀(Wキャスト)、東啓介(Wキャスト)、西川大貴・百名ヒロキ(Wキャスト)、栗原英雄、和音美桜、福井晶一他
●2/3〜18◎東京国際フォーラムホールC
〈料金〉S席 13000円 、 A席 9000円 、 B席 5000円 、 前方サイド注釈付S席 13000円 (全席指定・税込み)
〈お問い合わせ先〉梅田芸術劇場 0570-077-039 
http://www.umegei.com/matahari/




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【取材・文・撮影/橘涼香】
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