えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

『暗くなるまで待って』

OG公演レビュー

ももいろクローバーZの珠玉のナンバーで綴るジュークボックスミュージカル『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』開幕!

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舞浜アンフィシアターにて、ももいろクローバーZの主演ミュージカル『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』が9月24日から上演中だ。(10月8日まで)
 
ももいろクローバーZは、2018年5月でデビュー10周年を迎えた。この10年の歩みの中で生まれた彼女たちの数々の楽曲は、聴くものをハッピーにし、時には心の痛みの代弁者ともなり、また、ちょっと傷ついた心を癒し、そして勇気を与えてくれた。その珠玉のナンバーをふんだんに織り込んだジュークボックスミュージカルが、この『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』だ。 
 
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主演を務めるのはもちろん、百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、佐々木彩夏。2015年に、映画&舞台『幕が上がる』で「女優」としてスクリーンと舞台に立ち、アーティストとして新たな一面を見せてくれた彼女たち。あれから3年、再び本広克行が彼女たちとタッグを組み、さらなる一歩を踏み出した。 
初日前日の9月23日、舞浜アンフィシアターにて初日前会見&舞台稽古を行なわれ、そのカラフルで、元気あふれる舞台がプレス関係者に公開された。
また会見中に、劇中で歌われる『天国のでたらめ』が、来年5月の結成日に発売されるアルバム『MOMOIRO CLOVER Z』の中に収録されることが、ももいろクローバーZのメンバーから発表。さらに、そのアルバムに収録される新曲が8月〜12月までの5カ月連続で先行配信販売を行なっていること、第3弾として『天国のでたらめ』が10月12日から配信販売することも発表された。
 
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【あらすじ】
高校のダンス部に所属しているカナコ、シオリ、レニ、アヤカの4人。彼女たちは、近々に控えているダンスの大会に向け、毎日稽古に励んでいた。いよいよ明日に大会を控えた彼女たちは、部活の帰りに交差点で信号待ちをしていた。そのとき交差点に一台の車が暴走。彼女たちはその車にはねられてしまう。一瞬で起こった悲劇。しかし、彼女たちの物語はここから始まる…。
死んだことに気づかないでいたカナコ。だがシオリ、レニ、アヤカは、早々と別の人格として生まれ変わってしまった。そんな3人を探すために、カナコは時空を駆ける!
そして、カナコを見守りつつ追いかける天使のミーニャと坂上。
4人は運命に逆らうことができるのか…。
4人の想いがひとつになったとき、奇跡は起こるのか…。
4人はまた出会うことができるのか…。
また踊ることができるのか…。
ここはどこだろう?いまはいつだろう? 

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ももクロの既存の曲だけでなく、このミュージカルのために作られた曲、そして新曲など、シーンに合わせてふんだんに織り込まれた約30曲が、生バンドによって奏でられ、また、新たなアレンジで次々に登場する。その曲に合わせて歌い踊る出演者たち!

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回転するステージやフライングなどもあり、観客もともに時空を旅しながら、彼女たちの巡り会いと再生の奇跡を心から祈りたくなる。観るものに勇気と温かな笑顔を与えてくれて、一緒に踊り出したくなる、それこそが、ももいろクローバーZのミュージカル『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』の素晴らしさなのだ!

【会見コメント】 
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本広克行 シルビア・グラブ 佐々木彩夏 百田夏菜子 玉井詩織 高城れに 妃海風

本広克行(演出) 
ミュージカルは初演出ですが、こんなに楽しいと思っていませんでした。ももクロと会って3年経って、どういう物語を紡ごうか色々考えていたら、台本が遅れてしまい、みんなに迷惑かけてしまって、すみません(笑)。びっくりしたのは、稽古2日目にはもう台本を手放していて。前回のときには台本をかなり手放せなくて苦労していたので、すぐ手放しているのを見て「俺もちゃんとやらなきゃ!」と(笑)、ちょっと緊張しました。成長だと思います。女優さんの顔になってきた。前とはえらい違いだなと思いました。
 
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百田夏菜子(千田カナコ役) 
明日初日を迎えますが、ステージに来るエレベーターの中で、本広(克行)監督にギリギリまでダメ出しされてました(笑)。それぐらい詰めて詰めて、素敵な作品になるように全力でやっているので、きっと沢山のお客様に楽しんでもらえる、素敵な作品になると思います。自分の楽曲を役で歌うことは、普段のライブで披露するのとは全く違いますね。お芝居の中に組み込まれているので、この曲がこういう風に聞こえる等、感じ方が変わるので、楽しんでもらいたいです。キャストとスタッフ、全力で力を合わせてがんばります。

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玉井詩織(玉木シオリ・遠藤しおり役) 
3年前に『幕が上がる』という舞台で本広監督とご一緒して、3年ぶりの舞台はミュージカル初挑戦です。ミュージカルは歌が大事で、私たち10年やってるんですが苦戦しながら、シルビアさん、妃海さんに勉強させていただいたり、明日いよいよ初日ですが、精一杯がんばります。ライブでは楽しんで、自分の感情を出して歌うけど、お芝居ではストーリー上で歌うので、新たな発見があり、歌詞の意味も違うので難しいけど楽しいです。沢山のお客様が楽しめる舞台になればいいなと思います。

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高城れに(高沢レニ・高田れに役) 
今回、初ミュージカルといことで、わからないことばかりで緊張しますが、物語はパラレルワールド、夢、死後の世界と出てくるワードはファンタジーですが、実は奥深くて、今後見てくださった方のプラスになるものを感じ取っていただけると思います。自分の楽曲を役で歌うことについては、ストーリーもあって新たな発見があります。歌詞の意味も違う方向から感じることができるので、違うももクロを見れると思います。

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佐々木彩夏(笹野アヤカ・渡辺あやか役) 
初ミュージカルで、わからないことだらけですが、キャストの皆さんに教わりながらがんばっています。ももクロらしい部分と、全然いつもと違うももクロも観れると思うし、自分でも楽しいです。観ていただいた方、皆さんの日々が次の日から充実したらいいなと思います。ライブでの自分のパートと違う部分を歌うので、聞いていただく方にも違うように感じることができると思います。3年前の幕が上がるを彷彿させる役なので嬉しいです。

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妃海風 (執事・坂上役) 
ももクロの皆さんは「はじめまして」のときから、ハッピースマイル・ハッピーオーラで、真っ直ぐ人と向き合う感じで、ハッピーを沢山もらえましたし、アイドルってハッピーの心が大事なんだなと思いました。ミュージカルは何度か経験がありますが、今回初めてのことも多く、円形の舞台だったり、仕掛けも多く、アトラクション感覚です。ライブ感覚で楽しめる興奮する舞台になると思いますので、みんなで汗かいて楽しめたらと思います。最初に振付けをいただいた時は、アイドルみたいで嬉しかったです(笑)。でもミュージカルより100倍の汗をかきます。大変だけど楽しんでやっています。

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シルビア・グラブ(お局堕天使・ミーニャ役) 
普段やっているミュージカル作品とは全く異なる感覚で、コンサートとしても楽しめる新ジャンルのミュージカルだと思います。大劇場で回る舞台で、登場の仕方も下から上に上がったり、後半は素敵なシーンもあるので、演じていてとても楽しいです。珍しく、出演者がほとんど女性ばかりで華やかですので、楽しみにしていてください。ももクロのメンバーは、シチュエーションによって反応する対応力があるので、すごくいい女優さんだと思います。今後も演技を観てみたいなと思います。振付けがいつものももクロと全く同じ振付けで、最初は大変!と思ったけれど(笑)、今は楽しいです。

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【新曲概要】
『天国のでたらめ』
作詞・作曲:志磨遼平
編曲:ケンモチヒデフミ
『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』挿入歌 
10月12日(金)00:00配信販売スタート
【通常音源ダウンロード】レコチョク、iTunes、mora 他 各配信サイト
【ハイレゾ音源ダウンロード】mora、e-onkyo music、レコチョク 他 各ハイレゾ音源配信サイト
【ストリーミングサービス】Apple Music、Spotify、LINE MUSIC 他 各種ストリーミングサービス

〈公演情報〉
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『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』
作◇鈴木聡 
演出◇本広克行
出演◇ももいろクローバーZ(百田夏菜子 玉井詩織 高城れに 佐々木彩夏)
井田彩花 伊藤彩夏 大澤えりな 草野未歩 KUJINKO 小石川茉莉愛 佐藤マリン 滝澤梨吏華 
二橋南 MIO 八尋由貴 結木春衣 吉田 藍 大澤信児 加藤貴彦 sho-ta Ann/
妃海風 シルビア・グラブ
●9/24〜10/8◎舞浜アンフィシアター
〈料金〉9,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(月〜土 10:00〜18:00)



【取材/榊原和子 文/佐藤栄子 撮影/友澤綾乃】


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20世紀末を舞台に蘇る「永遠の美」を求める青年の運命 ミュージカル『ドリアン・グレイの肖像』上演中!

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19世紀末に一斉を風靡した芸術スタイル「デカダンス」の申し子、オスカー・ワイルドの代表作『ドリアン・グレイの肖像』を、鬼才荻田浩一が20世紀末ロンドンに移して描くミュージカル『ドリアン・グレイの肖像』が、銀座の博品館劇場で上演中だ(30日まで。のち10月10日〜11日大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティでも上演)。

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『ドリアン・グレイの肖像』は、この上なく美しい青年ドリアン・グレイが、享楽主義者のヘンリー・ウォットン卿に感化され、淫らで不道徳な生活へと堕ちていく中で、自らの美貌を永遠に留める為ならば魂を差し出しても構わない、と神の摂理に背いた願いを持ったことから起こる、数奇な運命を描いた作品。作者であるオスカー・ワイルド自身を象徴する作品として知られ、これまでにも幾度となく舞台化、映像化が為されてきた。
今回のミュージカル『ドリアン・グレイの肖像』は、オスカー・ワイルド自身を題材にしたミュージカル『WILDe BEAUTY』も手掛けている荻田浩一が、原作の時代設定を20世紀末、1990年代のロンドンに移し、現代のドリアン・グレイを描くことを目指した作品となっている。

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【STORY】
1990年代、ロンドン。映像作家のバジル(法月康平)は、路地裏で出会った天使のように美しい青年ドリアン・グレイ(良知真次)に惹かれ、彼の美を芸術そのものと考えその姿をカメラに収める。
バジルは芸術家たちが集う秘密クラブ『悪の華』へドリアンを伴う。芸術家たちが自由に、自らが求める美を創造するこの秘密クラブを主宰し、「卿」と呼びならわされるヘンリー・ウォットン(東山義久)は、ドリアンを芸術家たちのミューズと認める。更に、ドリアンに単なるモデルではなく、君自身が芸術家になるべきだと囁き不品行な生活へと誘おうとし、自らの妻ヴィクトリア(東京公演・彩輝なお、大阪公演・星奈優里)がドリアンに関心を示すこともむしろ推奨する。バジルは『悪の華』にドリアンを伴ったことを激しく後悔するが、ドリアンはヘンリーやその妹グラディス(風花舞)らの享楽的なものの考え方に染まっていき、自分に芸術としての価値を与えている自らの美貌が永遠に衰えず、自分の美を切り取り封じ込めたはずの写真、映像、肖像画が老いていくことを願う。

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その頃、ドリアンの叔母を名乗る女性アガサ(剣幸)は、探偵のエイブラハム(風間由次郎)に、ドリアンの捜索を依頼していた。かつて高名なカメラマンであったアガサはドリアンに惹かれ、彼を撮影するが、会心の1枚と信じた写真に写っていたものに驚愕し、ドリアンの元を去ったものの、時を経て再びドリアンを見たいと願っていた。
一方ドリアンは街角で即興劇を演じる女優シビル(蘭乃はな)と出会い愛し合うようになっていたが、ドリアンに夢中になったシビルが自らを独占し、束縛しようとすることに幻滅し、シビルを容赦なく棄ててしまう。絶望したシビルは自ら命を絶ち、シビルの弟のジェイムズ(木戸邑弥)は姉を死に追いやったドリアンに復讐を誓う。
シビルの自殺に刑事アラン(村井成仁)も動き出すが、常に若く美しいままのドリアンの周辺では、更に醜悪な事件が起こっていき……。

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美しいものを見ることは誰にとっても心躍る豊かなものに違いない。外見ではなく内面の美しさこそが何よりも尊いと説くのは、人が如何に外見の美しさに惑わされ、我を忘れるかが自明の理であるからこそだろう。極単純に美しい方が第一印象の良さは飛躍的にあがるし、美しいことによって開く世界は、そうでないことの何倍も多い。
けれども一方で美しさを、それも人が羨むほどの美しさを持って生まれた人にしかわからない苦悩があるのもまた事実のようだ。実際に美貌を持って生まれたが故に、老いていくことの恐怖で精神を病んでいった女優の話しや、美貌を留めようとしたが故に惨たらしい犯罪に手を染めたことで歴史に名を留める美女の話しも残っていて、つまりそれほど「美」とは人にとって、永遠に渇望されるものなのだなと思わされる。
そんな美への妄執を描いた、オスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』が、世紀末の一過性の流行に留まらず、今尚読み継がれ、幾たびとなく舞台、映像の世界に登場するのは、美に執着する人間の業を作品が描き出しているからこそで、今回脚本・演出の荻田浩一が舞台を20世紀末にスライドさせたのは、美への渇望というテーマの普遍性を信じた故だろう。実際、肖像画が本人に代わって醜く老いていくという原作の描写を、特殊効果がいくらでも加えられる映像にしてしまって成り立つのだろうか?と企画を聞いた時には、やや不安な思いも残ったものだが、そこは独特の世界観と才能を輝かせる荻田浩一のこと。肖像画1枚に集約されていた原作の老いていく象徴を、更に広げることで、ドリアンが若さを保つ為に養分にしているものが「芸術家の才能」という、新たなドラマが生まれる様にはここにしかない魅力がある。

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特に、従来「オスカー・ワイルドの分身=ヘンリー・ウォットン卿」と捉えることが一般的な中、荻田が「オスカー・ワイルドの分身=ドリアン・グレイ」と考えていることが、作品に独特の視点を与えている。これによって、作中のヘンリー・ウォットン卿の比重が後退するのに相まって、ドリアンが唯一無二の主人公に感じられ、舞台の真ん中で進んでいる芝居だけでなく、様々な場所で幾多の人間模様が重層的に進んでいく荻田ワールドに、ドリアンという支柱が明確に屹立する効果をあげていた。

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そのドリアン・グレイに扮した良知真次は、ドラマが進むに連れて研ぎ澄まされた美貌が際立ってくるのが役柄の根幹を支えている。もちろん元々とても美しい人だが、本人の資質にナルシシズムに通じる色合いがあまりないこともあって、常にまとっている柔らかな雰囲気が取り払われると、ここまで凄味ある美貌だったのか!と改めて驚かされる存在で魅了する。優れた表現力も功を奏し、登場人物のすべてがドリアンに魅了され、翻弄されていく作品に説得力を持たせていた。

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そんなドリアンに翻弄される人々では、やはりスペシャルゲストスターの格で登場した剣幸が群を抜く存在感を示している。一見原作に準拠していると思えるドリアンを巡る物語が、外側から見ているアガサの視点が徐々に作中に入っていくことによって、思わぬ扉が開く荻田版『ドリアン・グレイの肖像』のキーパーソンでもある役柄を、剣が優れた演技力と歌唱力で表出したことが、現代の『ドリアン・グレイの肖像』の興趣になっている。
 
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この剣を筆頭に今回の座組では、女優陣が全員元宝塚歌劇団のトップスターであることが、荻田作品独特の世界観を担っていて、風花舞のダンス力と適度に毒のある表現力。彩輝なおのどんなに猥雑な芝居を演じていても、時にハッとさせられるほど無垢なものが香り立つ稀有な個性。清楚な外見と宝塚の娘役の殻の中にひた隠しにされていた蘭乃はなのエキセントリックさが、それぞれの役柄に生きている。彩輝に代わって大阪公演でヘンリーの妻を演じる星奈優里のしなやかな強さが、役柄にどんな変化を加えるのかも楽しみだ。

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一方男優陣では、法月康平の持ち前の歌唱力と格段に進化を続ける演技力。木戸邑弥の目を引かずにはおかない美貌と燃えるような瞬発力。剣と共にドラマの外から中へと向かっていく風間由次郎の漂わせる食わせ物感。村井成仁の精悍さの中にあるからこそ際立つ脆さの表現。と、それぞれが気を吐く中、劇中にセットとして掲げられるのではなく、実体として存在する「肖像画」の長澤風海の、常に変わらぬ身体能力の高さと、ドリアンに代わって穢れていく変化を確かに描き出した力量が見事だった。

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そしてもう1人、良知主演公演に参加した東山義久が、ヘンリー・ウォットンに濃いアクセントを残している。前述したように「オスカー・ワイルドの分身=ドリアン・グレイ」という解釈の中で、ヘンリー・ウォットンがドリアンを悪の世界に導く、という構図が劇中ではやや後退しているにもかかわらず、きちんと視線を集めるのは常にフロントランナーとして走ってきた、東山本人の力量によるところが大きい。オスカー・ワイルド自身の物語だった『WILDe BEAUTY』で、主人公をを演じている経験も生きた、如何にも贅沢な起用になり、作品に豊潤さを加えていた。

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総じて「目が足りない」という感覚に陥る、視覚的な情報量の多さが顕著な「荻田ワールド」が、作品の普遍性に加えて、現代に舞台を移したからこその、変わらぬものへの憧れと同時に虚しさも立ち上っていて、感性を刺激する新たな『ドリアン・グレイの肖像』となっている。

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〈公演情報〉
ミュージカル
『ドリアン・グレイの肖像』
原作◇オスカー・ワイルド 
脚本・演出◇荻田浩一 
出演◇良知真次 / 風花舞 彩輝なお(東京) 星奈優里(大阪) 蘭乃はな / 法月康平 木戸邑弥 風間由次郎 村井成仁 長澤風海 / 東山義久 剣幸 (Special)
9/21〜30◎博品館劇場
〈料金〉9,000円(全席指定・税込)
10/10・11◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
〈料金〉9,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉
東京/博品館劇場 03-3571-1003
大阪/キョードーインフォメーション 0570-200-888 




【取材・文・撮影/橘涼香】


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二組の異なる魅力を持って花開いたミュージカル『マイ・フェア・レディ』上演中!

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ミュージカル界に燦然と輝く不朽の名作ミュージカル『マイ・フェア・レディ』が、新イライザに元宝塚宙組トップスター朝夏まなと、『キューティ・ブロンド』『1789』『屋根の上のヴァイオリン弾き』等、ミュージカル作品での大活躍を続けている神田沙也加を迎え、渋谷の東急シアターオーブで上演中だ(30日まで。後、福岡、広島、大阪、愛知、大分でも上演)。

ミュージカル『マイ・フェア・レディ』は、ロンドンの下町の花売り娘が、言語学者によるレッスンを受けて美しい貴婦人に変身していく姿を描いて、1956年にブロードウェイで初演された作品。戦後のブロードウエイを代表するミュージカルとも称され、1964年にはレックス・ハリソンとオードリー・ヘップバーン主演で映画版も製作。珠玉のミュージカルナンバーと共に、今尚愛され続けている。日本ではこの映画版公開より1年早い1963年、江利チエミ主演で上演され、日本人が日本語で上演した初めてのブロードウェイ・ミュージカル、今日の日本のミュージカル界の祖を拓いた作品として、永遠に記念すべき存在となっている。
そんな作品が、日本初演50年を記念した2013年、演出、訳詞を一新したリボーン(再誕生)版として登場。今回はG2によるその新演出版の3回目の上演で、朝夏まなとイライザに、リボーン版初回から言語学者ヒギンズ教授を演じ続けている寺脇康文。神田沙也加イライザに、今回ヒギンズ教授として初登場の別所哲也という、昨今のダブル、トリプルの組み合わせの妙を楽しませる公演形態とは一線を画し、二組のカップルを固定するというある意味で新鮮な形が組まれたことによって、同じ『マイ・フェア・レディ』が、全く異なる色を見せる舞台として展開されている。

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【STORY】
ロンドンのコベントガーデン、ロイヤルオペラハウスの前。オペラ鑑賞を終え、母親(伊東弘美)の為にタクシーを拾うことに気を取られていたフレディ(平方元基)は、花売り娘のイライザ(朝夏まなと/神田沙也加)にぶつかってしまう。売り物の花が散らばってしまったことに大声で悪態をつくイライザは、ロンドンの下町言葉であるコックニー訛り丸出し。するとその言葉に耳を止め、熱心に書き取っている男がいた。彼は言語学者のヒギンズ教授(寺脇康文/別所哲也)で、居合わせたピッカリング大佐(相島一之)に、自分ならこの貧しい花売り娘の言葉遣いを矯正し、6ヶ月以内にバッキンガム宮殿の舞踏会で踊る貴婦人に仕立て上げることができると豪語して、意気投合したピッカリング大佐と共に去っていく。だが残されたイライザは、ヒギンズの言葉に夜な夜な街を歩いて花を売り歩く暮らしから脱したい、という長年の想いに火がつくのを感じていた。 
翌日、ヒギンズ邸の書斎に女中頭のピアス夫人(春風ひとみ)に案内され、精一杯着飾ったイライザが現われる。レッスン料を払うから、ちゃんとした花屋の店員になれるよう、上品な話し方を教えて欲しいというイライザに、ヒギンズはほんの思い付きだった「下町の花売り娘に、美しい話し言葉と淑女になるための礼儀作法を教える」ことを実行に移すと宣言。本当にそんなことができるなら、費用はすべてわたしが持とうというピッカリング大佐の提案で、イライザはそのままヒギンズ家に住み込み、くる日もくる日もヒギンズによる発音のレッスンに取り組むことになる。娘が玉の輿に乗ったと誤解したイライザの父親のドゥーリトル(今井清隆)は、結納金をせしめようとヒギンズ邸にやってくるが、ヒギンズはそんなドゥーリトルのレトリックに満ちた話しぶりも気に入り、彼が望んだ5ポンドを払ってやりイライザのレッスンに没頭する。
永遠に続くかと思えたレッスンだったが、ある夜イライザは遂に正しい発音をマスター。勝利の喜びに浸るヒギンズは、母親(前田美波里)がボックス席を持っている紳士淑女の社交場、アスコット競馬にイライザを連れていくことにするが……。

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日本初演から数えて55年を迎えるこのミュージカル『マイ・フェア・レディ』は、作品自体を知らなくても1度はどこかで耳にしたことがあるに違いない、すでにスタンダードナンバー化している幾多のミュージカルナンバーの魅力と同時に、人と人との営みの中にある、非常に普遍的なテーマが描かれている。イライザと言えばの、モノトーンの美しいドレス姿から、貧しい下町娘が上流階級の貴婦人となる、という所謂「シンデレラストーリー」として認識されることが多いし、実際にイギリスの階級社会なくしては成立しない物語なのは確かだ。だが、その根底に男女の永遠にすれ違う心模様の機微や、女性の社会進出といった今日的なテーマが横たわっていることが、作品に古さを感じさせないポイントになっている。特にイライザが、ただ上流階級の紳士に見初められる「いつか王子様が」だけを夢見ている女性ではなく、自ら学び、新たな人生をつかみ取ろうとする前向きなキャラクターなことが、現代の目線から見てもヒロインを魅力的に見せる効果になっている。

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そんな『マイ・フェア・レディ』の普遍性に着目した演出のG2が、日本初演50周年に際して演出だけでなく、長く親しまれていた脚本、訳詞を一新し、リボーン版として作品を提示したのは大きな冒険だったと思う。前述したようにすでにスタンダード・ナンバー化しているミュージカルナンバーに、全く新しい歌詞をつけるというのは、相当な覚悟と勇気がなくてはできることではないし、やはり今尚、オーケストラの演奏などを聞いていると、頭に染みこんだ旧バージョンの歌詞がよぎるのも事実だ。それでもイライザのコックニー訛りを、江戸弁にそっくり置き換えるという方法論による新たな歌詞も、これが3演目となる今回格段に馴染んできているのを感じるし、その3演目にして更に練り直されて、ダンスナンバーの要素も豊富になった新生『マイ・フェア・レディ』が、初登場となったシアターオーブの大舞台を、きっちりと支えていることは、次の50年を目指した作品に新たな命が宿っていることを感じさせた。
更に大きな収穫は、今回主演コンビのWキャストを固定するという初めての形で上演された、それぞれの『マイ・フェア・レディ』が全く異なる色と輝きを放ったことで、伝統ある王道ミュージカルの、作品自体が持つ懐の深さを感じさせる。

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まず朝夏まなとと寺脇康文のコンビは、言うなればブロードウェイ・ミュージカルらしい華やぎと明るさのあるペア。宝塚退団後この作品が女優としてのミュージカル初出演となる朝夏まなとは、宝塚時代から「太陽の子」と称されたほどに、伸びやかで明るいキャラクターが愛されてきた人だが、その持ち味をそっくりそのままイライザ役に投影していて、伸び伸びと闊達なヒロインぶりに目を奪われる。初登場時の思いっきりの良い弾けた演技から、徐々にしとやかな貴婦人になっていく様の変貌ぶりが、まさに男役から女優へと変化していく朝夏そのままで、このイライザ役に代々宝塚の男役トップスターが多く扮しているのに、改めて納得する思いがした。
その朝夏に対して、これが3度目のヒギンズ教授役になる寺脇康文が、グッとダンディーさを前面に出した役作りになったのも大きな強みになっていて、元々の持ち味にやんちゃさがある寺脇の演じるヒギンズ像としても、これは絶妙な匙加減。コメディ—風味も適度で、大型の華やかなコンビに仕上がった。

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一方の神田沙也加と別所哲也のコンビは、この作品がミュージカルとして生れ出るそもそもの元になったのが、イギリスの作家バーナード・ショーの書いた戯曲『ピグマリオン』だったことを、鮮やかに思い出させる知的でロジックなペア。長年この作品を愛し、出演することを目標にも念願にもしていたという神田沙也加のイライザは、優れた知性と才能を持ちながら、生まれた階級故に貧しい花売り娘の立場にいるしかなかった女性が、ヒギンズとの出会いから、水を得た魚のように花開いていく様を瑞々しく描き出している。元男役スターではないイライザというのは、初代の江利チエミ、雪村いずみ、栗原小巻、そして神田と4人目で、30年以上ぶりに生粋の女優が演じるイライザなだけに、まずサイズ感から愛らしいのがこの頭の回転が速い理知的なイライザ像を支えていて面白い。
対する別所哲也は、そもそもの持ち味が紳士な人だけに、言語学者としてのヒギンズのある意味奇矯な部分を強調しても、ヒギンズが子供っぽく映らない利点が生きている。彼なりの精一杯の愛情表現の不器用さが切ないほどで、終幕に至るヒギンズのナンバー「あたまから離れない」に、特段の味わいがあった。

二組のペアの在りようが全く異なることからラストシーンの描き方も全く違い、幕が下りたあとを想像させる朝夏・寺脇ペアと、劇中イライザがヒギンズ邸を訪ねた最初の二人のやりとりに帰結する神田・別所ペアと、ラストシーンただひとつを取っても、そのオシャレな色合いの違いに胸を打たれる。これほど贅沢なWキャストも珍しいと思える興趣があり、双方を活かしたG2の演出と共に、是非なんとしても二組を観て欲しいWキャストになった。

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その贅沢さという意味では、共演陣の座組の贅沢さが群を抜いているのも、今回の『マイ・フェア・レディ』を豊かにしている何よりの要因で、ビッカリング大佐の相島一之は、長くこの役柄を持ち役にしていた名優・益田喜頓以来とも思える、品位ある役作りで魅了する。コメディ—も上手く、どちらかと言うとエキセントリックな役柄の印象が強い人だったが、温かく味わい深い人物像を巧みに表出して見事だった。

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イライザの父ドゥーリトルの今井清隆は、飲んだくれで女好きで、俗物なのに憎めないという役の根幹に、そこはかとない哀愁を感じさせたのが今井ならでは。ビッグナンバーを持つ役どころが、ミュージカル経験の豊富な今井によって存分に表現され、イライザとの別れにホロリとさせられた。

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また、若手ミュージカル俳優の登竜門的役柄と言えるフレディに、平方元基が参加したのが効いている。正直キャスティングを聞いた時には、平方がフレディでまた登場してくれるのか?と驚いたほどで、大役を次々に務め存在感を増している平方が扮したからこそ、フレディが思いっきり世間知らずのお坊ちゃま風味でも成立するのは大きかった。「君が住む街」の朗々とした歌いっぷりも素晴らしく、ミュージカルとしての至福の時間を届けた功績に拍手を贈りたい。

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ヒギンズ邸の女中頭ピアス夫人の春風ひとみは、心根の誠実さと屋敷を取り仕切る人としての適度なビジネスライクさとの塩梅が絶妙。さほど多くないだけにソロパートの歌声に感嘆するし、絶妙なウイットも場を支えた。もう1人やはりミュージカル作品での活躍が多い伊東弘美が、フレディの母親はじめ数役を演じ分け、特にワンポイントの出番であるトランシルバニア女王の位取りの高さは貴重で、場を印象的なものにしていた。
 
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そして、ヒギンズの母に扮したスペシャルゲストスターとも呼びたい前田美波里がまさに圧巻。この役柄には持ちナンバーがなく、これまでにも新劇系や映像系の女優陣が出演することも多くあったが、ミュージカル女優として活躍してきた前田が登場しただけで、歌わないながらも「ザ・ミュージカル」の香りが一気に醸し出されたことに感嘆した。今回のキャスティングの贅沢さここに極まれりで、得難い存在となった。

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更に美しいソロを聞かせた石井雅登、ドレス姿の着こなしが群を抜く大月さゆ、王族の気品高さが実によく似合った小南竜平、個性派の面目躍如の辰巳智秋をはじめ、働き場の多いアンサンブルの面々も多士済々。休憩込み3時間20分近い舞台を、多くの才能が彩る王道ミュージカルとなっている。

【囲み会見】

初日を翌日に控えた9月15日、囲み取材が行われ朝夏まなと、神田沙也加、寺脇康文、別所哲也が公演への抱負を語った。

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──初日を前にした気持ちを率直に教えてください。
朝夏 舞台でのお稽古を終えていよいよ始まるんだなという気持ちで、ドキドキワクワクしていて、ミュージカルナンバーにもあるように「じっとしていられない」という感じでおります。
神田 お稽古もびっくりするほどあっという間で、まだまだお稽古したい気持ちもありましたし、早く皆様に観て頂きたいという気持ちもありましたので、劇場に入ってからは特に両方が半々でした。でも先に(朝夏&寺脇コンビが)初日を迎えられますので、まずは全力でエールを送って、その初日を担って二日目も頑張ろう!と気持ちを新たにしているところです。

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寺脇 稽古場で我々一生懸命芝居を創る訳ですけれども、いくら頑張っても60〜70%ということなんですね。やはりお客様に入って頂いて、お客様に栄養分を頂いて、どんな花が咲くのか?を、今、待っている時間です。今回は二つの花がありますけれども、全く違う花ですので、その二つの花がどういう風に咲いていくのかな?というのを、初日、二日目、大切に見ていきたいなと思っています。
別所 歴史ある伝統的なこの作品に加わって、その重みと素晴らしさを実感しています。やはり皆さんと一緒に劇場に入って、劇場の空気を吸いながら、お客様に育てて頂けるような想いで、今まで僕たちがやってきたものを全て出して、新しい『マイ・フェア・レディ』の姿をお届けできればなと思っています。

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──朝夏さんは製作発表の席では「自分は初心者マークなので、全力でぶつかっていって自分なりのイライザをみつけられたら」とおっしゃっていましたが、どんなイライザになりそうですか?
朝夏 共演者の皆さんとお芝居をやっていく上で本当に色々な発見があって。前半から後半にかけての外見の変化ももちろんなのですが、イライザの心の変化もお客様に伝わるようなイライザになっていたら良いなと思っているので、それを目指して演じたいと思います。
──神田さんは念願のイライザ役とのことでしたが、実際に演じてみていかがでしょうか?
神田 本当に今日までずっと幸せで、毎日歌を歌わせて頂くのも、お衣装を着させて頂くのも全てが幸せで。でも念願でしたけれども、たどり着いたところがゴールではなくて、そこからイライザという役はこういう気持ちでこう動いていたのか、という発見もお稽古の中でたくさんしていて。その中で芝居の面白さも感じましたし、このシアターオーブに立ってみてからは、原点に立ち返ったと言いますか「ミュージカルって良いな!」とすごく思いました。ですので、とても幸せな体験をさせて頂いているとつくづく思います。

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──寺脇さんはお1人だけ『マイ・フェア・レディ』の経験者でいらっしゃいますが、改めていかがですか?
寺脇 3回目ということで、一番怖いのは自分の芝居をなぞってしまうことで、それでは新鮮味がなくなっていくので。ですから台詞に血を通わせていくという意味で、新鮮な気持ちをもう一度取り戻すという時間がありましたし、G2さんの演出意図に、前回、前々回よりも大人っぽいヒギンズに作り替えようということがありましたので、その為の勉強など苦労はしましたが、なんとかたどり着いたなという感じです。一番忘れてはいけないのは、ヒギンズというのは明るい、陽気な部分が絶対にあるので、そこだけはなくさないでというつもりで演じております。
──別所さんは大作ミュージカルにも多く出演していらっしゃいますが、ヒギンズを演じた中で改めて感じた『マイ・フェア・レディ』の魅力はどうですか?
別所 ヒギンズ教授というのは言語学者なので、言葉へのこだわりというのがこれだけあるのか!というのはやらせて頂いて非常に感じているのですが、同時にイライザと出会ってだんだん言葉の向こう側にあるものに対する思い、本来当たり前のことに気づいていくんですね。言葉というのは言霊で、その心がどこにあるのか?ということなんだというのを、イライザとの出会いで逆に教えてもらっているところがあるんじゃないか?と思います。イライザもそうですが、ヒギンズも寺脇さんを含めて諸先輩方が演じてこられた、素晴らしい俳優の皆さんが演じ継いできている役ですので、僕も情熱を持って神田イライザと共に創り上げたいと思います。

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──下町の花売り娘が貴婦人になる物語ですが、その変化をどう表現しようと思っていらっしゃいますか?
朝夏 前半を如何にワイルドに、がさつになれるか?というところと、後半どれだけレディになれるか?という、両方のバランスを取りながら、1人の人間として説得力があるような人物として描きたいと思ったので、そのあたりを気をつけて創っていました。でもやっぱり舞台に行くと、寺脇さんもそうですし、相島(一之)さんや皆さんから受けたものを、その瞬間に心で感じたものをストレートにお芝居できたら良いなと思っているので、その辺りを心がけながらやっていきたいと思っています。
神田 『マイ・フェア・レディ』ってすごくサクセスストーリーですとか、シンデレラストーリーとして見られがちなのですが、イライザの変化と言っても、1人の魅力ある女性が正しい言葉遣いや知性を身に着けたことで、元々持っていた魅力が浮彫りになってきた、という構図が後半に見えてくるかどうか?が勝負だなと思っていて。イライザの言葉遣いや、着させて頂くものの部分ではなく、イライザの普遍のものが見えてくるように、それをいつも持っているようにしようと思っています。ですから狙って何かをするとか、面白くしようとかではなくて、いつも全力で、いつも目の前にあるものに一生懸命な女性であれば、もともとの素質や魅力が華やかに最後に花開くように見えるのではないかと思っているので、奇をてらったようなことは何もしないという気持ちです。

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──今回Wキャストが固定されたキャスティングですが、自分達のコンビの魅力を語るとすると?
寺脇 そうですね、自分たちの魅力というよりは、今回G2さんの配慮もあり、僕らお互いのペアの稽古もほとんど見ていないんですね。こっちが揃ったら、こっちは帰るという(笑)。そうしてシャットアウトしていたのが、やっぱり良かった面が大きくて、こうして舞台に来て「あぁ、こんなに違うのか」と思いましたし、僕は別所君を見て「あー、こんな風にしているんだ、ここいただき!」(笑)みたいなところもあって。本当に全く色の違う花が咲いていると思いますので、僕らのというよりは、双方がとても魅力的なチームになったので、是非両方観て欲しいです。
別所 同じことになるのですが、本当にそれぞれがそれぞれの色と言いますか、鳥類と魚類くらい違うんです。同じ『マイ・フェア・レディ』なので、命としては同じなのですが、空に住むものと、海に住むものくらい違うので、それぞれの色が美しく出るように頑張りたいと思います。具体的には早口言葉の部分も違いますし。
寺脇 違うところが結構あるよね。
別所 色々な要素、要素で違うところがありますので、そこも楽しんで頂きたいですし、僕がやらせて頂く早口言葉は神田イライザが選んだものなので(笑)、その辺も両方ご覧頂いて、それぞれの『マイ・フェア・レディ』をお楽しみ頂きたいです。
寺脇 台詞も動きも全く違うよね。
神田 違いますね!
別所 そうなんです。
寺脇 あ、逆にいる!とかね。
朝夏 本当にそうですよね。
──では二組を是非観て頂きたいですね!
寺脇 てきれば!ちょっと、割引きはできませんけれども(爆笑)。

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──では改めてイライザのお二人から皆様にメッセージをお願いします。
朝夏 『マイ・フェア・レディ』55周年ということで、歴史のあるミュージカルに今回携わらせて頂けて本当に貴重な経験だなと思っております。シアター・オーブという素敵な劇場で、セットもお衣装もそしてオーケストラの音楽も本当に素晴らしいですし、その中で共演者の皆様と『マイ・フェア・レディ』の世界にイライザとして生きられることを幸せに思って、千秋楽まで頑張っていきたいです。まずは初日をしっかり開けて、(神田&別所の)お二人にお渡しできるように頑張りたいと思います。
神田 『マイ・フェア・レディ』が決まってから今日まで、そしてきっと千秋楽まで、これまでに感じたことのない感覚をたくさん味あわせて頂いて。一人間として、一女優として宝物を頂いたような気持ちでいます。スタッフの皆さんが私をイライザに変えてくれる、舞台の真ん中に立たせてくださる、という感覚もありましたので、たくさんの歌を歌いますし、たくさんの言葉も発しますけれども、決して独りよがりにならずに、共演者の皆さんの目をしっかり見て、台詞をしっかり聞いて、喜びを持ってステージに立てたらなと思います。皆さんに感謝して務めたいです。

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〈公演情報〉
ミュージカル『マイ・フェア・レディ』
脚本・歌詞◇アラン・ジェイ・ライナー
音楽◇フレデリック・ロウ
翻訳・訳詞・演出◇G2
出演◇朝夏まなと・神田沙也加(ダブルキャスト)、寺脇康文・別所哲也(ダブルキャスト)、相島一之、今井清隆、平方元基、春風ひとみ、伊東弘美、前田美波里 ほか
●201/9/16〜30◎東急シアターオーブ
〈料金〉S席12,500円、A席8,000円、B席4,000円
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777 Bunkamuraチケットセンター 03-3477-9999
〈公式ホームページ〉https://www.toho.co.jp/stage/ 

〈全国ツアー公演〉
●10/6〜7◎福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール
〈お問い合わせ〉ピクニックチケットセンター 050-3539-8330
●10/10〜11◎広島・上野学園ホール
〈お問い合わせ〉TSSテレビ新広島 事業部 082-253-1010
●10/19〜21◎大阪・梅田芸術劇場メインホール
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場メインホール06-6377-3800
●10/24〜25◎愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
〈お問い合わせ〉キョードー東海 052-972-7466
●10/31〜11/1◎大分・iichiko総合文化センター
〈お問い合わせ〉iichikoグランシアタ (公財)大分県芸術文化スポーツ振興財団 097-533-4004


【取材・文・撮影/橘涼香】





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龍真咲 LIVEツアー2018『Fiction』がスタート!

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元宝塚歌劇団月組トップスターで今は女優や歌手として活躍中の龍真咲。そのLIVEツアー2018『Fiction』が、9月8日に東京・原宿クエストホールで開幕した。

龍にとっては昨年12月に開催されたバースデーライブ以来、およそ9カ月ぶりのワンマンライブ。ステージでは、龍のファーストアルバム「L.O.T.C 2017」のナンバー「Silly game」「Long Island Icetea」をはじめ、J-POP、ミュージカルナンバーなどを披露した。

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パワフルで伸びのある龍の歌声とともに、しっとりと温かみのある空間を作り出した。そしてそんな龍に呼応するように、観客も楽しげな様子で声援を送るなど、大盛況のうちに東京公演は幕を下ろした。
そしてライブ終了後。東京公演の手応えについて「約半年ぶりにライブに挑戦させていただきましたが、感触としては新鮮でもあり、楽しかった」と語った龍。「ライブをやるごとに初心に戻っていくところがありまして、継続してやり続けることは大切だなと思います。もちろん宝塚で今までやってきたことというベースはありますが、毎回毎回が新しい一歩として進んでいけたらいいなと思いました。宝塚を卒業してから2年という節目となり、自分の中にある温かいものを届けたいと思った時に、裸にならないといけないと思いました。今までは殻をかぶり続けてきたけれども、それを拭い去って、お伝えすることが、一番素直な表現の仕方かなと思いました」と付け加えた。

本公演は今後、9月16日に大阪・梅田クラブクアトロで、そして9月22日には名古屋・インターナショナルレジェンドホールで行われる。
「ライブツアーをやるのは夢でした。当初はロック的なガンガンやって盛り上がるようなものを考えていたんですが、ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』を終えたあたりから、今やるべきはそこではなく、自分の中にある感謝の気持ちをお届けすることの方がベストなのではないかと思いました。一方通行ではなく、お客さまと通いあうものというのは今回の大きなテーマとなると思うので、そこを感じ取っていただけたらと思います」と語った龍。大阪は龍の地元ということで、「皆さんが温かく見守ってくださると思います。名古屋もそうですが、その土地ごとに感じる温かさというのはそれぞれ違ってくると思うので、それを感じながらやっていきたいと思います」と意気込んだ。

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そして最後に、大阪、名古屋のライブを楽しみにしているファンに向けて、「わたしがライブツアーをすることができるのは、普段から温かく応援してくださる皆さんのおかげだと思っています。わたしのことを知ってくれて、応援してくださる方はわたしにとってかけがえのない存在ですし、わたしにとっても原動力となります。わたしは99.9%頑張りますが、残りの0.1%は皆さんの気持ち、いつも感謝しています。皆さんと一緒にひとつのライブを作り上げたいなと思いますので、ぜひともお楽しみにしてください」とメッセージを送った。

龍真咲LIVEツアー2018『Fiction』
9月16日(日)大阪・梅田クアトロ
9月22日(土)名古屋・インターナショナルレジェンドホール
〈龍真咲Official Website〉http://www.ryumasaki-scp.com/





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3人から贈られる温かで力強いエール!『キセキのうた』〜私たちの「今」を歌おう〜上演中!

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観月ありさが発起人となり、昨年12月に誕生した“座・ALISA”。 今を生きる女性たちに勇気と感動を伝えたいという想いのもと、名作や名曲をもとに、歌とドラマ仕立てで綴られるシリーズの第2弾である。
今回の作品は『キセキのうた』〜私たちの「今」を歌おう〜というタイトルで、松任谷由実の楽曲から、名曲の数々をセレクト。元宝塚トップの湖月わたる、春野寿美礼を共演者に、「40代女性にエールを贈りたい」というコンセプトで作り上げ、渋谷のルリアンタワー能楽堂で上演中だ。
 
【物語】
ある日、元歌手グループの3人のもとにゼンマイ仕掛けのオルゴールが届いた。差出人は3人が20代でグループを作ったときのプロデューサーでマネージャーだった女性からで、不思議なことにその女性は1週間前に亡くなっていて、3人もその葬儀に参加したばかりだった。
グループの1人はオサ(春野寿美礼)、彼女の結婚を期にグループは解散、オサは今では子供を持つ主婦だ。アリ(観月ありさ)は解散後、歌うことをやめて他の仕事につき、最近ようやく結婚したばかり。ワタル(湖月わたる)は歌うことが好きでやめられず、今も細々とだが芸能活動を続けていた。
離ればなれになっていた3人だが、女性の死とオルゴールをきっかけに久しぶりに集まることに。それぞれの今を語り、心を通わせ、やがて店にあるジュークボックスの曲に乗せて、懐かしい曲を歌い出す。そんな中で3人は、次第に歌への情熱を甦らせていく・・・。

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オープニング、今はそこにいない1人の女性から3人への遺言のようなモノローグが語られる。彼女が最後までいとおしんだグループ3人への想い…
静かな開幕から一転するとフリフリのドレス姿の3人が! アイドルグループそのものという格好が華やかでキュートだ。
 
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そこから15年後へと場面が変わり、それぞれソロで今の生活をどこか映し出すような曲を歌い上げる。モノトーンをベースにした衣裳と、各々のヘアスタイルが、個性を際立たせてよく似合う。
アリを演じる観月ありさは、結婚したばかりで再結成には一番冷静な女性という役どころ。知的で大人な雰囲気が漂う。どこかユーミンに似た声質で、明るいけれど内面のドラマを感じさせる歌声を響かせる。

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ワタルの湖月わたるは、今も歌から離れずにいて、死んだ女性の残した想いを知りたいと願い、みんなを集める心優しい女性だ。伸びのある綺麗なソプラノが、ユーミンの曲のメロディラインを切なく伝えてくる。
 
オサの春野寿美礼は、普通の主婦になったものの、やっぱり歌を忘れられず、再結成も最初に言い出すという、ある意味勝手でそこが可愛い女性だ。情感のあるアルトで歌う春野のユーミンソングは、オリジナルとはまた違う陰影が浮かび上がる。

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公演のスタイルが「Reading Concert」とあるように、朗読とそれぞれのソロや合唱でストーリーは運ばれていくのだが、物語と曲の流れが絶妙に組み合わさって、さらに、場面にきめ細やかにフィットしたアレンジ(鎌田雅人)が、ドラマを巧みに盛り上げる。

「ルージュの伝言」「ツバメのように」「ダンデライオン」「DESTINY」「あの日にかえりたい」「Valentine’s RADIO」「ANNIVERSARY〜無限にCALLING YOU〜」「シンデレラ・エクスプレス」「卒業写真」「Save Our Ship」「Carry On」ほか、劇中で歌われる松任谷由実の歌は、どれも名曲ばかり。恋の切なさや愛の痛み、そんな日常の中で傷ついた心の上澄みを掬い取って、透明でキラキラとした世界へと昇華してみせる。その世界の美しさと優しさに、どれだけの人間が励まされ、癒されてきたことか。
 
「40代女性にエールを贈りたい」と作られたこのステージは、そんな松任谷由実へのリスペクトが見事に結晶したエンターテインメントとなっただけでなく、舞台上でユーミンワールドをしなやかに生きる40代女性3人から、あらゆる世代の男女に贈られる温かで力強いエールとなっている。

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3人の歌声はこちらで聴けます 
https://www.youtube.com/watch?v=9OJ5RWXgt8o 

〈公演情報〉
座・ALISA Reading Concert vol. 
『キセキのうた』〜私たちの「今」を歌おう〜
原作◇松任谷由実 楽曲集
上演台本・演出◇モトイキシゲキ
音楽監督◇鎌田雅人
出演◇観月ありさ 湖月わたる 春野寿美礼
※松下優也(大阪・愛知)
●8/26〜29、9/1〜3◎セルリアンタワー能楽堂
●9/22・23◎サンケイホールブリーゼ 
●9/29・30◎ウインクあいち大ホール
〈料金〉東京 10,000円(全席指定・税込)
〈料金〉大阪・愛知 8,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉
東京/サンライズプロモーション東京  0570-00-3337(全日10:00〜18:00)
大阪/キョードーインフォメーション  0570-200-888(全日10:00〜18:00)
愛知/中京テレビ事業:052-588-4477(平日10:00〜17:00)
〈公式twitter〉@za_alisa_info



【取材・文/榊原和子 写真提供/エイベックス・エンタテインメント】


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