えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

座・ALISA『キセキのうた』

OG公演レビュー

松平健&一路真輝らで東京公演が賑やかに開幕! ミュージカル・コメディ『キス・ミー・ケイト』

松平、一路、水、大山

ミュージカル・コメディ『キス・ミー・ケイト』の2018年版が、この夏も全国で上演される。その東京公演が、7月3日に東京芸術劇場 プレイハウスにて開幕した。(7月8日まで、そののち8月8日まで、岩手、青森、愛知、石川、兵庫、香川、愛媛、広島、福岡で公演を行う)
 
シェイクスピアの名作『じゃじゃ馬ならし』を劇中劇として実際に演じながら、その楽屋裏で巻き起こる騒動を並行して見せていくかたちの「バックステージ・ミュージカル」。1948年にブロードウェイで初演、翌1949年にトニー賞を受賞。日本では東宝ミュージカルとして、1966年、宝田明&江利チエミで初演、以来、さまざまなスターたちによって上演されてきた。また一路真輝は、2002年と2003年にリリー役を演じていて、昨年は14年ぶりの出演となった。

シェイクスピア喜劇を下敷きにしたストーリー展開の面白さに加えて、「ソウ・イン・ラブ」や「またショウがはじまる」などコール・ポーターの名曲の数々、あるいは「トゥー・ダーン・ホット」をはじめとする見どころいっぱいのダンスナンバー、まさに歌・ダンス・芝居の三拍子が揃ったスタンダードミュージカルの傑作だ。

松平、一路

【あらすじ】
1948年の初夏、新しいショーの開幕準備のため、俳優や裏方たちがボルチモアの劇場へ到着した、このショーはシェイクスピアの「じゃじゃ馬ならし」をミュージカル仕立てにした新作で、ニューヨークで1ヵ月間稽古を積み、仕上げのトライ・アウト(試演)を行うために、ボルチモアにやってきたのだ。
一座を率いるのは、主演俳優にして脚本家・演出家、さらにはプロデューサーもかねるフレッド・グラハム(松平健)、その八面六臂の活躍ぶりはスーパーマン級。主演女優のリリー・ヴァネッシ(一路真輝)は、フレッドと別れて1年の元妻。二人はすぐケンカ腰になるが、まだ甘い思い出が残っている。
フレッドはこのショーに、新人女優のロイス・レイン(水夏希)を抜擢、彼女のことは気になる存在…。そのロイスはビル・カルハウン(大山真志)と良い仲だが、この二枚目俳優は困ったことにギャンブル愛好家。稽古を抜け出してホーガン親分の賭場に直行、散々むしり取られ、1万ドルの借用書にサインをしてしまう。おまけに自分の名前ではなく、フレッドの名前を書いたものだから…!
早くも開演30前。支度中のフレッドに珍客登場。ホーガン親分の手下のギャング(太川陽介、杉山英司)が、フレッドのサインのある借用書の取り立てに来たのだ。フレッドは悪い冗談だと思い、お二人に丁重にお引き取りいただく。一方、フレッドから初日祝いの花束が届き、大喜びのリリー。ところがそれは間違いでロイスに宛てたものだった。気づいたフレッドは大慌て! だがリリーは間違いとは知らず、上機嫌で舞台に向かった…。
いよいよ初日の開幕、賑やかに序曲は流れ、旅役者の一座がお客様に愛嬌を振りまく中、舞台はイタリア。デュボアの街へ。劇中劇が始まる…。
舞台は順調、だが舞台裏でアクシデントが! 例の花束がロイス宛てだとリリーにバレてしまったのだ。リリーは激怒、舞台を降りるとフレッドに宣言し、ホワイトハウスにいる「今カレ」のハウエル将軍(川麻世)に電話をかけて、今すぐに迎えに来てくれと頼み込む始末。
全財産をこの公演につぎ込んでいるフレッドにとって、公演中止は身の破滅。人生最大のピンチに、なぜかギャングがまた現れる。ひらめいたフレッドはギャングに「リリーが降りると公演中止になり、借金も返せない」と諭し、自分の味方につけることに成功する。
舞台裏の大騒ぎと同時に舞台は進行、1幕ラストの場面へとなだれ込む。いがみ合うのは役のペトルーキオとキャタリーナ?それともフレッドとリリー? 舞台と楽屋はどちらも険悪な雰囲気。一触即発の大緊張状態で物語は進んで行く!

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今回のカンパニーは、昨年の夏、ミュージカル・演劇文化の普及を目指した「ハロー・ミュージカル!プロジェクト」として全国ツアーを展開、その好評を受けて、ほぼ同じメンバーでの再演となった。
よりパワーアップしたと出演者たちが語るように、息の合った舞台が繰り広げられている。松平健のフレッドと一路真輝のリリーの火花散る元夫婦の痴話(?)ゲンカや、劇中劇でのドタバタは、磨きがかかって絶妙のコンビぶり。水夏希のモテモテ新人女優はさらにチャーミングに、その恋人でギャンブル中毒の俳優に扮する大山真志とは新鮮な組み合わせで、大型コンビの魅力を発揮。ギャング役で劇中劇でも大活躍の太川陽介・杉山英司(スギちゃん)の2人は、出番のたびに抱腹絶倒させてくれる。リリーの付き人ハッティーはちあきしんでラテンで明るいノリ。満を持しての登場となるハウエル将軍の川麻世は、スマートかつ貫禄もあってさすがの存在感。そして「トゥー・ダーン・ホット」に代表されるダンサーたちのパワフルなダンスも見逃せない。
そんなカンパニーのメインキャストたちが、神奈川(川崎)での初日を終えて、いよいよ東京公演開幕という7月3日、囲み会見に登場した。

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ちあきしん、 大山真志、水夏希、杉山英司(スギちゃん)
川麻世、一路真輝、松平健、太川陽介 

【コメント】

松平健/フレッド役(劇中劇ペトルーチオ役)
去年に引き続いての再演ですが、より練り上げて素晴らしいものができました。この『キス・ミー・ケイト』というミュージカルはとても楽しい、笑いあり、踊りあり、歌ありで、色々ふんだんな内容になってます。バックステージと舞台表と行ったり来たりで、我々はたいへん忙しいのですが、観ているお客様もそのへんがたいへんかもしれません(笑)。お話は、最終的には「じゃじゃ馬ならし」の内容なので、慣らそうとしているのか、慣らされているのか(笑)、とにかく面白いお話です。前回やったことで、出演の皆さんと仲良くなって、そういった意味でもやりやすくなり、内容もより深くなって素晴らしいものができてます。名曲もいっぱいですし、ダンスも見どころです。とにかく分かりやすくなってます。ぜひ沢山の皆さんに観ていただきたいと思っています。

一路真輝/リリー役(劇中劇カタリーナ役)
リリー役ですが、劇中劇のシェイクスピアの「じゃじゃ馬ならし」の中ではカタリーナ、愛称がケイトです。そこからこの『キス・ミー・ケイト』という題名が付いたのですが。私一人でも3つの役名を持っていますので、お客様はちょっとややこしいかなと思いますが、そこを分かりやすくお伝えできるように、今回、去年よりさらに練り直して、みんなで一丸となって、この『キス・ミー・ケイト』というミュージカルを、お届けできるようがんばっております。このカンパニーは、年齢もそこそこ高いので(笑)とても安定感があって、伸び伸びとさせていただいて、それを全部皆さんが受け止めてくれて、この座組は最高です。東京が終わりましたあと、今回も多くの土地にお邪魔させていただくことになっています。劇中にも「旅から旅を行く」という歌詞が出てくるのですが、その歌詞のままこの一座が全国を回らせていただきますので、各地の皆さまも楽しみに待っていただけたらと思っております。よろしくお願いします。

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水夏希/ロイス役(劇中劇ビアンカ役)
私は相手役が変わりましたので、(大山真志を見ながら)この100cmの胸板に(笑)、体当りしてぶつかって弾けていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

大山真志/ビル役(劇中劇ルーセンショー役)
今回、僕は初参加させていただいてますが、前回、皆さんが作り上げたものに新しい風を吹き込めたらと思っています。この作品を観ていただいたお客さんは、きっと気持ちがほっこりすると思います。沢山の方たちに観ていただけたらと思っています。

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川崎麻世/ハウエル将軍役
昨年もすごく評判が良かった『キス・ミー・ケイト』ですが、今年はさらにパワーアップして全国の皆さまへお届けしたいと思います。なんといっても全国ツアーの醍醐味は、色々な土地のグルメを楽しめることです(笑)。そちらも楽しみに、全国をまわりたいと思います。ぜひ皆さん、いらしてください。

ちあきしん/リリーの付き人ハッティー役
ハッティー役と歌唱指導もさせていただいています。2年目ということで皆さんの歌が格段に進歩されていて、嬉しい限りです。コール・ポーター作曲の名曲たちをふんだんにお届けできると思います。昨年、ミュージカル初出演だったスギちゃん(杉山英司)も、音程正解率が格段にアップしているので、(杉山「はい!」)そのへんも楽しみに!ハッティー役のほうでは愛するリリーの付き人ですから、オフでもしっかり付いて(笑)楽しみたいと思っています。

松平、杉山、太川

杉山英司(スギちゃん)/ギャング
歌のほうが音程正解率が6割を越えて、やったな、越えたなと(笑)。すでに川崎での公演を終わったのですが、それを観てくれたお客さんに「ものすごく上手くなったね」と。ま、そのお客さんは私の熱烈なファンなんですが(笑)。実際、けっこう変わったと思いますし、セリフも前は忘れずに言わなきゃというのがあったんですが、今は気持ちが出ているので、ぐんと上がってると思います。前回は初ミュージカルでしたから、初々しさが残ってしまったけれど、今回は、終わった後に「え!あの人スギちゃんだったの!?」って思われるくらいに溶け込みたいなと。いや、もう溶け込んでると思います(笑)。

太川陽介/ギャング
僕はスギちゃんの世話役というか(笑)。この暑い夏、スギちゃんの歌と芝居を見れば、背中が凍りつくと思うので(笑)、ぜひ納涼にいらしてください。いや本当は、昨年に比べれば舞台での芝居というものがわかってきたので、そばで安心してます(笑)。

〈公演情報〉
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ミュージカル・コメディ『キス・ミー・ケイト』
脚本:ベラ&サミュエル・スプワック
訳詞:なかにし礼
翻訳:丹野郁弓
演出・振付:上島雪夫
出演:松平健、一路真輝、水夏希、大山真志、川崎麻世、ちあきしん、太川陽介、杉山英司(スギちゃん)ほか
●6/30・7/1◎カルッツかわさき ホール
●7/3〜8◎東京芸術劇場 プレイハウス 
〈料金〉 S席7,000円 A席4,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9:30〜17:30)
岩手、青森、愛知、石川、兵庫、香川、愛媛、広島、福岡公演あり





【取材・文/榊原和子 写真提供/TOHOマーケティング】



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終わらない旅、終わらない夢の具現化 舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜開幕!

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日本のアニメーション史上の不朽の名作として輝く松本零士の「銀河鉄道999」誕生40周年のアニバーサリーイヤーを記念した、舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜が東京・明治座で上演中だ(30日まで。のち北九州、大阪公演あり)。

「銀河鉄道999」は1977年に連載が開始された松本零士の大河漫画。78年のテレビアニメ化、79年の劇場版アニメ化が大ヒットとなり、原作はもちろん今や世界に誇る日本のコンテンツである、アニメ—ション史上に大きな足跡を残す作品となっている。今回の舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜は、原作誕生40周年を記念し、主人公の少年星野鉄郎に中川晃教、謎の美女メーテルにハルカ、鉄郎の成長に多大な影響を与えるクイーン・エメラルダスに特別出演で凰稀かなめ、キャプテン・ハーロックに平方元基、大山トチローに入野自由、等、ミュージカル界の逸材をはじめとした多彩な人材が集結。3時間を超える大作が展開されていく。

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【STORY】
裕福な人々が機械の身体を手に入れ機械化人となり永遠の命を謳歌し、機械の身体が買えない貧しい生身の人々が迫害を受けている世界。母(小野妃香里)と二人で暮らす少年・星野鉄郎(中川晃教)は、宇宙海賊キャプテン・ハーロック(平方元基)のような強い男になって宇宙を旅し、母に機械の身体を買ってあげることを夢見ていた。だが、生身の人間の狩りを楽しむ機械伯爵(染谷俊之)によって、母を無残に殺された鉄郎は、復讐を誓い母の面影を宿す謎の美女メーテル(ハルカ)の申し出を受け入れ、機械の身体をくれるという星を目指し銀河超特急999号に乗り込む。999号の乗員でガラスの身体を持つクレア(美山加恋)、車掌(お宮の松)、そしてメーテルと共に宇宙を旅する鉄郎は、立ち寄る星々で、宇宙の旅に出た息子を待ち続けている母親(小野・二役)、鉄郎と同じく機械化人に家族を殺された子供たちを養うアンタレス(塚原大助)、究極の美しさを求めて機械の身体を得たものの、何が美しいのかを見失ってしまったシャドウ(雅原慶)等との出会いから、機械の身体を得ることが本当に幸せなことなのか?と迷いはじめる。更に、宇宙海賊クイーン・エメラルダス(凰稀かなめ)、憧れのハーロック、大山トチロー(入野自由)達の生き様と想いが、鉄郎を成長させていく。そしてついに、母の仇の機械伯爵との対決の時を迎えた鉄郎は……。

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『銀河鉄道999』は、原作者である松本零士が「999」=永遠に続く未完の物語、と位置付けている大河SF漫画、及びアニメーションで、原作漫画、テレビアニメ、劇場版アニメ、更にそこから派生した作品や、『宇宙海賊キャプテンハーロック』『クイーン・エメラルダス』『新竹取物語 1000年女王』等、別の松本作品の登場人物がそれぞれリンクし、終わらない物語が展開されていく作品だ。その為、回収されていない謎も多ければ、長い年月の間で当初の設定が変化していった部分も数多い。つまり、あくまでも未完の「終わらない物語」なのだ。
そんな原作の40周年を記念して創られた今回の舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜は、鉄郎がメーテルと共に銀河超特急999号に乗り込み、機械の身体をくれるという星を目指す、俗に「アンドロメダ編」と呼ばれる一連のストーリーを基本にしながら、終わらない世界を描くことに徹した作品となっている。これによって、主要登場人物の中には、内包している大きなドラマが謎のまま終幕を迎えるキャラクターもあるものの、あくまでも星野鉄郎が限りある命の尊さに自ら気づき、少年から大人の男へと成長していく過程や、原作者の松本零士が自分自身とその夢を投影したキャラクターこそが大山トチローなのだ、といった点に最も大きな力が注がれていて、創り手たちの未完の物語である原作世界へのリスペクトが際立つ作りとなっている。
更に、非常に先鋭的な振付、歌入り芝居以上ミュージカル未満といった音楽の挿入、敢えて超特急999号を描かない映像等、従来の型にはまらない攻めの姿勢が目立つ舞台でもあり、『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜と名乗った気概が随所に感じられる作品の骨子が、色濃く舞台を染め上げたものになった。

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そんな舞台に、ミュージカル世界で大活躍を続けている人材が多く揃ったことが、創り手の攻めの姿勢にある種の安定感を与える力になっている。その筆頭がもちろん主演の中川晃教。「35歳の僕が16歳の鉄郎を演じて良いのだろうか?」という趣旨の発言を製作発表の席上や、様々なインタビューの機会などで度々していたが、元々大柄な人ではないことや、舞台のセンターをきちんと務められる大スターでありつつ、良い意味の自由さを常に持っている中川の持ち味が、この舞台版ならではの、少年・星野鉄郎を具現することに寄与している。どこかやんちゃで、パッショネイトでありつつ、不安や寂しさも垣間見せる表情の変化も巧みで、音楽がドラマを運ぶというよりは、キャラクターの心情吐露として使われることが多い楽曲も自在に歌いこなし、舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜の世界観を構築していた。
 
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その鉄郎を超特急999号へと導く謎の美女メーテルにはハルカが扮した。「ハルカトミユキ」の二人組バンドのボーカルであり作詞もする歌人で、ライブツアーは多く展開しているものの、商業演劇の舞台出演はほぼ初めてに等しいという。そうした経歴の持ち主がこれだけ大がかりなプロジェクトの、更に熱烈なファンの数多いメーテル役を務めるには、並み大抵ではない勇気がいったに違いない。だが、舞台育ちの経験豊富な座組の中で、明らかに周りとは異なる空気をまとっていることが、謎を謎のままに内包する今回のメーテル役に生きていて、場数を踏んでいないならではの存在感につながっていた。腰を遥かに超える金のカツラもかぶりこなしていて、中川との身長差も効果的だった。

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クイーン・エメラルダスとして特別出演した凰稀かなめは、ミュージカル『1789〜バスティーユの恋人たち〜』出演とほぼ平行すると言っていい中での登場となったが、この舞台にとっても本人にとっても、そんなスケジュールを押してもこの役柄が凰稀でなければならなかった理由に得心がいく鮮やかな光彩を放っている。孤高の宇宙海賊であり、誇り高き戦士であり、トチローへの想いを心の中に持ち続けている女性でもある。そんなクイーン・エメラルダスを凰稀は、寸分の隙もないコスチュームの着こなし、立ち居振る舞い、凛とした美しさで具現しただけでなく、持ち前の深い芝居心でエメラルダスの心のうちも見事に表現。宝塚退団後ひとつひとつの道に、コツコツと進んできた印象の強い人だが、在団時も含めた経験の全てがこの役柄に込められた、出色の仕上がりを示したのが喜ばしい。

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鉄郎の憧れの対象であるキャプテン・ハーロックの平方元基は、まずこのコスチュームを着けるだけでも大変なプレッシャーがあっただろう大人気キャラクターの中に、平方の個性もちゃんとにじませていることにミュージカル俳優としての気概を感じる。いつの間にかずいぶん骨太な雰囲気もまとうようになっていて、鉄郎の目標になる大きな男として存在していたのが素晴らしい。ソロの見事な歌唱はもちろん、凰稀とのデュエット等でも歌える力を存分に発揮し、作品の音楽面も支えていた。

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大山トチローの入野自由は、今回の舞台の「原作誕生40周年記念」を双肩に担った役どころ。トチローとしての大きな見せ場は後半だが、そこに至る道筋をちゃんとつけたのは、入野の力量があってこそ。『屋根の上のヴァイオリン弾き』で、二枚目らしい扮装ではなくても心根の潔さ、カッコよさを表現した経験が生きていて、永遠に宇宙を旅するトチローの精神の輝きに強い余韻を残した。ソロ歌唱も伸びやかで絶品だった。

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そんな優れた歌唱力のミュージカル俳優たちが、1人突出しないのがこの座組の凄さで、鉄郎の母、トチローの母、プロメシュームの声を演じる小野妃香里の、作品全体を通した「母」としての顔と優れた歌唱が強いアクセントとなったし、リューズの矢沢洋子、シャドウの雅原慶もそれぞれ味わいの異なる豊かな歌唱で、実はそこまで曲数は多くない作品の中の音楽の色彩を強めている。

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またクレアの美山加恋がその名の通りの可憐さで、鉄郎へのほのかな恋心をにじませれば、車掌のお宮の松がアニメから抜け出したようなキャラクター造形で目を引き、アンタレスの塚原大助が、非常に飛んでいる出番の中で印象深く存在して、この舞台版のクライマックスに貢献している。中でも、舞台の作劇上、鉄郎にとって最も大きな脅威となる機会伯爵を演じた染谷俊之が、美しさの中にある狂気とエキセントリックさ、更に哀しみをもクッキリと立ち上げて重要なピースとなったことは、この舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜の世界観にとって欠かせないものだった。

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総じて中川晃教本人作によるメインテーマ「GALAXY OPERA999」に象徴された通りの、松本零士が描いた永遠の青春の夢に捧げられた作品で、何にも似ていず、何にも属さない唯一無二の舞台となっている。

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【囲み取材】
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初日を夜に控えた6月23日、公開ゲネプロを前に、中川晃教、ハルカ、染谷俊之、美山加恋、入野自由、凰稀かなめ、平方元基、原作・総監修の松本零士による囲み取材が行われ、お宮の松の司会進行のもと、公演への意気込みが語られた。

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お宮の松
 メインキャストの皆様から一言ずつご挨拶を頂きますが、この後の進行の兼ね合いで、トチロー役の入野自由さんが中座されますので、最初にご挨拶を頂きます!
 
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入野
 本日はお越し頂きありがとうございます。遂に初日を迎える日が来ました。調整に時間がかかって大変なのですが、精一杯最後まで終着駅に向かって走り続けたいと思います。今日はよろしくお願い致します(退出する)。
 
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中川
 原作誕生から40周年を迎えた2018年、この記念すべき年に私たちのカンパニーで舞台版としての幕がいよいよ開きます。老舗であるこの明治座という劇場で、限りある時間ではありますが、お客様に「999号」の旅がお届けできることに今からワクワクしております。鉄郎だけではなく全出演者がこの物語の中で旅をしていることを実感しています。そして終わらない旅、お客様の心に感動が届くように頑張っていきます。どうぞ皆さん応援をよろしくお願いします。
 
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ハルカ
 遂に初日を迎えることができました。ありがとうございます。最初からずっと迷いながら作っていて、今でもずっと迷っていて、これは最後の日まで続くのかな?と思っておりますが、松本先生ご自身が「僕も旅の途中だ」とおっしゃっていたことが私の勇気になりました。なので迷いながらも最後まで頑張って走り抜けたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 
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染谷
 機械伯爵をやらせて頂きます染谷俊之です。今日は皆さんお集まり頂きましてありがとうございます。僕らにしかできない『銀河鉄道999』という作品を皆さんにお届けしたいと思います。最後まで支えてくださると嬉しいです。よろしくお願いします。

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 美山 ガラスのクレア役の美山加恋です。本日はありがとうございます。ガラスの役は初めてなので、一生ないだろうなというような気持ちで楽しく演じさせて頂いております。千秋楽まで精一杯演じきりたいと思います。よろしくお願いします。

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 凰稀 皆様おはようございます。本日はお忙しい中お集まり頂きありがとうございます。クイーン・エメラルダス役の凰稀かなめでございます。私は生ドラマで先にお披露目をさせて頂いたのですが、ドラマでもなくアニメでもない、この舞台は、舞台でしか出せない『銀河鉄道999』になると思いますので、皆で心をひとつにしております。皆様に楽しんで頂けますよう精一杯頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

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平方 おはようございます、平方元基です。本日はありがとうございます。作品をゼロから作っていくという中で、色々皆様と話し合いながら有意義な時間を過ごすことができました。それはやはり原作が素晴らしいものであるからこそ、ここまでブレずにやってこられたのだと思っています。皆の力を信じてお客様の前に立ち、お客様が素晴らしい拍手を返して下さることを信じて最後までやっていけたらと思っております。よろしくお願いします。
 
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お宮の松
 松本先生、皆さんがこうやって先生のキャラクターになっているのをご覧になっていかがですか?
松本 皆さん本当に素晴らしいです。この『銀河鉄道999』は私にとって終わらない夢なんです。ですから「999」がある限り私は今も青春のレールの上を走り続けているので、今本当に嬉しいです。どうか皆さんお身体に気をつけて、終わらない夢を果たすために頑張ってください。
お宮の松 加恋ちゃん、この錚々たる皆様に混じってどうですか?
美山 稽古中からすごく皆様と色々なことを話して、皆で作っていくことを感じてとても楽しいですし、ミュージカルって大変なんだなと初めて知った気がします。
お宮の松 お隣の凰稀さんなんてバリバリだもんね。ずっとミュージカル一筋で3年前まで男役で。どうですか?男っぽさのある女子をやるにあたって、凰稀姐さん。
凰稀 でも、もう3年女子をやってるんですけどね(笑)。
お宮の松 いや抜け切れてないよ〜(笑)。どうしても姐さんって言っちゃうもの。
凰稀 でも姐さんでしょ?お兄さんじゃないじゃない(笑)。
お宮の松 だって「兄貴」って言ったら殴られそうな気がするもの(笑)。
凰稀 だけど男も女も結局一緒なんですよ。ひとつ芯が通っていればとても強く見えますし、中身をちゃんと持っていれば強く行けるんじゃないかなと思います。自分を信じて突き進むだけです。
お宮の松 では皆さんから質問があればお願いします!

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──皆さん素晴らしいコスチュームの着こなしですが、着た時に感じたことと、他の方のコスチュームで着てみたいものを教えてください。
ハルカ 着てみたいのはクレアかな。一番挑戦的なお衣装かなと思うので。素敵です。
中川 僕は機械伯爵の衣装が良いなと思います。僕にとっては敵役なんですけれども、その中に悲しみを秘めているのが良いですね。
染谷 僕は車掌さんが着たいですね。冬に着たいです(笑)。
お宮の松 そう、今着るのは大変!顔も見えないしね。
染谷 安心するじゃないですか。顔が見えないと。
お宮の松 役者やめちゃうの?という感じだけど(笑)。

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平方 僕はおこがましいですけれども、ハーロックのこの衣装がすごく気に入っているので。しかもとても着心地よく作ってくださっていて。皆さんそう思いませんか?
全員 (口々に)はい!
平方 こういう衣装ってすごく重かったりするんですけど、細部までこだわって作ってくださっているので、これが着たいですね。
凰稀 私も自分の衣装が一番着たかったですね。エメラルダスにも色々なパターンがあるのですが、自分のこだわりも取り入れてもらったので、とても好きな衣装です。
中川 僕は自分の衣装をはじめて着させて頂いた時に、35歳の僕に16歳の鉄郎ができるんだろうか?とずっと思っていたのに、この衣装をまといカツラをかぶると役に入れたのをすごく感じました。先生、そのコスチューム流れで、先生に今回かなめさんが髪の分け目のところにつけている、ドクロマークをあしらったキャップをここで先生に贈呈したいと思います(キャップを差し出す)。
松本 (受け取ってかぶる。ピッタリで全員から拍手)このドクロマークは「骨になっても俺は戦う」という表明ですから。これは人を脅かす為のマークではなく、決意の表れです。子供の時からそういう意味でドクロマークに憧れていました。私も骨となってもまた戦います。
中川 素晴らしい!では皆さん、今日の初日からどうぞよろしくお願いします!

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 【フォトレビュー】

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〈公演情報〉
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舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜 
原作・総監修◇松本零士 
脚本◇坪田文 
演出◇児玉明子
出演◇中川晃教 ハルカ 染谷俊之 矢沢洋子 雅原慶 美山加恋 入野自由  お宮の松 小野妃香里 塚原大助 /凰稀かなめ(特別出演) 平方元基  ほか
●6/23〜30◎東京・明治座
〈料金〉999シート(特典付き/1階席・2階席正面・車いすスペース)12,500円、A席(2階席左右)11,000円、B席(3階席)7,000円 (全席指定・税込)
●7/21〜22◎北九州芸術劇場ホール(全席指定・税込)
〈料金〉9,300円 U25シート5,000 
●7/25〜29◎梅田芸術劇場シアタードラマシティ
999シート(特典付)11,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京音協 03-5774-3030



【取材・文・撮影/橘涼香】



Todos del Tango Verano 2018
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家族の再生と愛を描いた美しき舞台 Musical『シークレット・ガーデン』上演中!

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大切な人を亡くした人々が、その悲しみと喪失感を超えて、新たな絆をつないでいく再生と希望のブロードウェイ・ミュージカル『シークレット・ガーデン』が、日比谷のシアタークリエで上演中だ(7月11日まで東京。のち神奈川、福岡、兵庫公演あり)

Musical『シークレット・ガーデン』は、「小公子」「小公女」等でも知られる小説家バーネットの「秘密の花園」を基に1991年ブロードウェイで開幕したミュージカル。同年のトニー賞ではメアリー役を演じたデイジー・イーガンが当時としては最年少の11歳で助演女優賞を受賞する等、3部門を受賞し喝采を集めた。日本ではアメリカのツアーバージョンによる来日公演が1993年に行われている。以来25年、最愛の妻を亡くした悲しみに心をと閉ざしている館の主人アーチボルトに石丸幹二、亡き妻リリーに花總まり、物語を動かすメアリーに池田葵と上垣ひなたのダブルキャストをはじめとした、日本ミュージカル界の錚々たる顔ぶれが集結し、満を持した日本版上演の幕が開いた。

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【STORY】
1900年代初頭。イギリス領インドで育った10歳の少女メアリー(池田葵・上垣ひなたダブルキャスト)は、両親を流行り病で亡くし、イギリスのノースヨークシャーに住む伯父・アーチボルド(石丸幹二)に引き取られる。だが、アーチボルドは身体に障害のある自分を真っ直ぐに愛してくれた美しい妻リリー(花總まり)を亡くして以来、癒えぬ悲しみに心を閉ざし、リリーの面影を留めた息子・コリン(大東リッキー・鈴木葵椎ダブルキャスト)とも距離を置き、病弱なコリンの治療をはじめ屋敷の管理は、医師であり弟のネヴィル(石井一孝)が一手に引き受けている状態だった。
そんな陰鬱な空気に包まれている館で、メアリーはメイドのマーサ(昆夏美))や、その弟のディコン(松田凌)と次第に打ち解けていく中「秘密の花園」の存在を知る。それはリリーが大切に世話をしていた庭園だったが、彼女の死後アーチボルドが鍵をかけ扉を閉ざしてしまったというのだ。メアリーはふとしたことからその鍵を見つけ出すが、蔦に覆われ尽くした庭のどこを探しても肝心の扉が見つけられずにいた。
ある日メアリーは、ネヴィルの言いつけにより自分の部屋から一歩も出ず、不自由な足で歩くこともできないまま、大人になることなく死んでいくのだ、という恐怖を抱え捻くれた少年に育っているコリンに出会う。互いに使用人が身の周りのことをしてくれるのが当たり前という環境で育ち、自分の意見を押し通そうとする二人は始めは激しく衝突するが、やがて友情を育み、メアリーはマーサやディコンの協力を得て、ネヴィルの目を盗んでコリンを外に連れ出し、彼にも大人になる未来がちゃんとあることを伝える。そんな二人を見守り続けていたリリーの魂に導かれ、メアリーは遂に「秘密の花園」の扉を発見。ディコンと庭師ベン(石鍋多加史)と共枯れてしまった花園を蘇らせようとするが……

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バーネットの「秘密の花園」はある時代までの少女ならほとんどが読んでいるだろう所謂「少女小説」で、両親に先立たれひとりぼっちになったヒロインが、引き取られた館で成長し奇跡を起こすという物語だ。だからドラマを運ぶのは当然メアリーで、トニー賞を受賞したのもメアリー役のデイジー・イーガンだったし、93年の来日公演の折も、アーチボルドたち大人たちの原作にはない設定が多く書き加えられている中でも、メアリーが主人公のミュージカルという印象が変わることはなかった。
だが、今回のシアタークリエの日本版に接して驚いたのは、ほぼ出ずっぱりのメアリーが物語を動かしていくことは同じでいながら、大人たちの物語が非常に色濃く舞台に立ち現れているということだった。最愛の妻を亡くした悲しみから立ち直れずにいるアーチボルド。その弟で密かに義姉を愛していて、今は忘れ形見の甥の治療をしているネヴィル。メアリーの協力者になるマーサとディコン。仕事を失うことを何より恐れてメアリーの行く手を阻む使用人たち。それら生きている人々に、すべてはこの人たちの死から始まったという重要な位置づけとなる、アーチボルドの妻リリー。メアリーの両親ローズとアルバートと言った、生死を分けている人々が舞台上に同時に表われ、それぞれの想いの中でメアリーを、コリンを想い、非常に緻密で難易度が高く美しいミュージカルナンバーを歌い演じて、次元を超えた舞台を紡いでいく。

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この手法は舞台芸術にしかできない表現方法で、その幻想性の高さが、例えば「鳥や草木と会話ができる」というディコンの設定を、全く絵空事に感じさせない力になっている。特に感心したのが、冒頭流行り病に倒れていく人々を赤い薔薇で象徴していたことで、その薔薇が咲き誇る終幕、秘密の花園の再生が登場人物すべての再生につながっていくことに見事にリンクした、優れた効果をあげていた。その中で、ラストシーンだけはもう少し写実的な装置の表現でも良かったかな?という気持ちも僅かにはあるが、すべてを幻想性の中で展開していたからこその美しさも確かにあり、演出のスタフォード・アリマがこの舞台に貫いたものを感じさせていた。

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そのMusical『シークレット・ガーデン』を少女メアリーだけでなく、大人たちの物語としても表出し得たのが、この日本版カンパニーの贅沢な布陣にあることは言うまでもなく、その筆頭がアーチボルドの石丸幹二。背中に障害があり、歩き方も生き方も鬱屈している人物で、登場シーンから暗い面影をずっと纏っているという、作品の看板を支えるのには難しい役柄だし、出番もミュージカルのセンターとしては決して多くはない。だが、石丸幹二というスターであり、優れた役者がアーチボルドを演じることで、彼にとって最愛の妻リリーがどれほど大切な生きる希望であったか、リリーさえ生きていたならアーチボルドはこんなに後ろ向きの人物ではなかったはずだ、という背景がストレートに伝わるから、彼になんとか立ち直って欲しいという気持ちが素直に湧いてくる。しばしば挿入されるというよりは、タペストリーのように織り込まれていく回想シーンでの、リリーとの眩しい日々が輝けば輝くほど、リリーを忘れられないあまり息子や姪にも心を開くことができないアーチボルドの悲嘆に涙せずにはいられない。夫婦に限ることなく、大切な誰かを失った経験のある、またその日がくることを心のどこかで憂いている、人が生を受けて誰かと絆を結んで生きていく限りつきまとう想いに寄り添う、誰でもが共感できるアーチボルド像を創り上げた、石丸の力量と常に変わらぬ歌唱力に深い感銘を受けるパフォーマンスだった。

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その妻リリーの花總まりは、開幕した時にはすでに亡くなっているという役柄を、持ち前の美しい立ち居振る舞いと完璧なドレスの着こなしで、まず視覚的に支えたのが花總ならでは。リリーがどこまでも美しくないと、妻を失った喪失感に囚われているアーチボルドや、彼女を密かに愛していたネヴィルの心情に説得力が得られないことを考えても、花總のリリーはまず最も大切なところをきちんとクリアしていて、幻想的な女神のような在り方で舞台の花となっていた。何しろ亡くなっている役柄なので、台詞もないままふっと舞台に登場している瞬間が多いのだが、そこにちゃんと視線を集める姫役者ぶりが光るリリーだった。

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リリーを密かに愛していた医師で、アーチボルトの弟ネヴィルの石井一孝は、役柄の設定自体がほぼミュージカル版オリジナルで、その厳格さと意固地さがメアリーにとっては脅威ともなる役どころ。だが、その想いが決して屋敷の管理をすることで兄の権利を奪おうとか、リリーを妻にした兄に嫉妬しているとかいう負の要素から立ち上がったのではなく、密かに愛していた義姉の忘れ形見のコリンをなんとか救おう、無為の日々に引きこもっている兄に代わって、屋敷を守ろう、と務めている不器用な人間故の過ちにちゃんと映ったのは、役者石井一孝が持つ人間臭さと熱量があってこそ。石丸と歌う「Lily's Eyes」の絶唱もこのミュージカル全体の大きな聞きもので、大人たちの物語でもあるMusical『シークレット・ガーデン』に大きく寄与していた。

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その中で、やはりこの少女がすべての奇跡を起こし、ドラマを運ぶメアリーは池田葵の回を観たが、ミュージカル『アニー』のアニー役を含め、数々の大舞台を経験しているならではの舞台度胸の良さ、芝居、歌、ダンスすべてに高いレベルをキープしている実力がこの大役に活きている。わがまま放題に育った娘として登場する描写からどこかで微笑ましさがあり、メアリーの成長とそのパッションが周りの人々を変えていく過程を鮮やかに描き出していた。彼女の生き生きとした姿は、日本版初演の舞台を輝かせた殊勲者と言える。やはりミュージカル『ライオンキング』でヤングナラ役を演じた経験者である上垣ひなたが、どんなメアリーを演じるのかも大変楽しみだ。

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そのメアリーの1番の理解者となるメイドのマーサの昆夏美は、本能で自分を思ってくれる人をちゃんとかぎ分ける子供が、真っ先に信頼する人に相応しい温かさと、ただ優しいだけではない毅然とした態度とのバランスが絶妙。このミュージカルの日本版上演があと何年か早かったら、メアリーを演じていたのは昆だったのでは?と思うほど愛らしい人が、今マーサ役を誠実に演じていることには深い感慨があるし、マーサがメアリーを鼓舞するビッグナンバー「Hold On」の見事な歌唱はスタンディングオベーションもの。この1曲を聴くだけでも劇場に行く価値があると思わせる素晴らしさだった。

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マーサの弟ディコンの松田凌は、非常に透明感のある清々しい個性が、前述したように「鳥や草木と会話ができる」というディコンの能力に大きな説得力を与えている。優しさにあふれた演技、伸びやかな歌唱にも将来性を感じさせ、ミュージカル界次世代のスターとしてますます注目が集まりそうだ。
 
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アーチボルドとリリーの息子コリンは、ダブルキャストの大東リッキーで観たが、ほぼ車椅子に座ったままという制限の多い芝居の中で、コリンの不安や恐れをよく表現している。希望を得ていく過程の笑顔も晴れやかで、わがまま放題の登場シーンもむしろ爆笑を誘う愛らしさで魅了した。異なる愛らしさを持つ鈴木葵椎の表現も楽しみだ。

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メアリーの母でリリーの妹の笠松はるは、メアリーとアーチボルドをつなぐ役どころ。メアリーへの想いが佇んでいる表情からもよく表れていて、回想シーンでリリーを案じる心根も誠実に描き出している。歌唱力も安定していて、リリーとメアリーの場面は元宝塚歌劇と元劇団四季のヒロイン役者同士という興趣もあり、存在感を発揮していた。また彼女の夫でメアリーの父アルバ—トの上野哲也は『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』等の大役経験はもちろん、わらび座に在席していた人だという来歴に深く納得する、朴訥な温かさが印象的。終幕近くメアリーを抱きしめる姿の切なさには涙を誘われた。

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また、リリーが信頼していた庭師ベンの石鍋多加史は、土の匂いのする男性の実存感が抜群で、他にも様々な役柄を演じ作品を支えている。その石鍋を筆頭に、太田翔、鎌田誠樹、鈴木結加里、堤梨菜、三木麻衣子がアンサンブルという言葉ではとてもくくれない大きさで、それぞれの役割を果たし作品を魅力的に彩った力が、この舞台の魅力を倍加していてそれぞれ喝采に値する。何より、少女だけでなく、どの世代の人が観ても、必ず誰かに共感し勇気を得られる作品として、日本版Musical『シークレット・ガーデン』が創り上げられ、シアタークリエ10周年の寿ぎに更なる輝きを与えたことは喜ばしく、1人でも多くの人に観劇し、何かを感じて欲しい舞台となっている。

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初日を前に、石丸幹二と花總まりから公演への意気込みのコメントが届いた。

【コメント】

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石丸幹二 アーチボルド役
舞台稽古に入り、演出の“マリア・マジック”に掛かりながら『シークレット・ガーデン』の世界観がより深まっていくのを感じています。原作小説は子供の目線で描かれていますが、このミュージカル版は大人の物語でもあり、人生の喜び、哀しみを深く味わえる作品になっています。
アーチボルドという一人の男が、伴侶の喪失から再生していく…。誰しもが経験する肉親との別れ。人生の最大の危機を乗り越えるための鍵穴がここにあります。アーチボルドに心を添わせて観てください。皆さんの心の中に堅く閉ざされた扉があるなら、きっと鍵を見つけて頂けると思います。

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花總まり リリー役
原作の「秘密の花園」を子供の頃に読んだことのある女性は多いと思います。
ミュージカル版も観れば観るほど心に響いてくる作品になりそうだなと、お稽古をしながら日々感じています。
一度だけではこの作品の全貌を知ることが難しいかもしれません(笑)。ぜひ何度でもご覧ください。そして、皆様それぞれの人生と重ね合わせて、何かを感じていただけるととても嬉しく思います。劇場でお待ちしております。

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〈公演情報〉
Musical『シークレット・ガーデン』
脚本・歌詞◇マーシャ・ノーマン
音楽◇ルーシー・サイモン
原作◇フランシス・ホジソン・バーネット「秘密の花園」
演出◇スタフォード・マリア
出演◇石丸幹二、花總まり
石井一孝、昆夏美、松田凌、池田葵・上垣ひなた(Wキャスト)、大東リッキー・鈴木葵椎(Wキャスト)、石鍋多加史、笠松はる、上野哲也
太田翔、鎌田誠樹、鈴木結加里、堤梨菜、三木麻衣子
●6/11〜7/11◎東京・シアタークリエ
〈料金〉S席1,2500円 A席9,500円
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777
●7/14〜16◎神奈川・厚木市文化会館
〈料金〉S席1,1500円 A席7,500円
〈お問い合わせ〉厚木市文化会館チケット予約センター 046-224-9999
●7/20〜21◎福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール
〈料金〉1,2500円
〈お問い合わせ〉ピクニックチケットセンター 050-3539-8330
●7/24〜25◎兵庫・兵庫県芸術文化センター 阪急中ホール
〈料金〉S席1,1500円 A席9,000円
〈お問い合わせ〉芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-0255
http://www.tohostage.com/secretgarden/
 


【取材・文・撮影/橘涼香】




『カリフォルニア物語』
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キキとトンボに福本莉子&大西流星 ミュージカル『魔女の宅急便』開幕!

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人気アニメを原作にミュージカル化、2017年に新しいミュージカル版となった『魔女の宅急便』が6月15日、東京・新国立劇場中劇場で開幕した。(24日まで。7月4日・5日はメルパルクホール大阪で上演)

原作の「魔女の宅急便」は児童文学作家・角野栄子が1982年〜2009年の27年間に渡り執筆した全6巻の児童書。1989年にスタジオジブリが宮崎駿監督でアニメーション映画化し大ヒット、日本のみならず世界的に有名な作品となった。1993年〜1996年には、蜷川幸雄氏演出によりミュージカル化され、2014年に実写映画化、そして2016年にはイギリス・ウェストエンドにて舞台化が行われた。
2017年には、若手新進気鋭の制作チームにより、新しいミュージカル版を制作!連日大盛況のまま幕を閉じた。その大人気ミュージカルがフレッシュなキャストを迎え、帰ってきた!
 
キキ役に大抜擢されたのは、第8回東宝シンデレラグランプリを受賞した福本莉子。今作品が初舞台・初主演となる。トンボ役には、関西ジャニーズJr.で活躍中の大西流星。さらに、生田智子、11代目うたのおにいさんの横山だいすけ、藤原一裕(ライセンス)、元宝塚トップ娘役の白羽ゆりが脇を固め、物語を盛り上げる。 

【登場人物・配役】
キキ/福本莉子…コリコの街にやってきた13歳の魔女
トンボ/大西流星…コリコの街に住む学生
コキリ/生田智子…キキのお母さん
オキノ/横山だいすけ…キキのお父さん
フクオ/藤原一裕(ライセンス)…おソノさんの旦那さん
おソノ/白羽ゆり…コリコの街のパン屋のおかみさん

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横山だいすけ 生田智子 福本莉子 大西流星(関西ジャニーズJr.)  白羽ゆり 藤原一裕(ライセンス)

開幕前日となる6月14日、公開フォトコール&囲み取材を行われた。

福本莉子/キキ役
最初にお話を聞いた時は不安が大きかったけど、演出家の方も明るくて楽しいし、キャストの皆さんもとても優しくしてくださって、今は現場が楽しくて仕方がないです。フライングは、最初は怖かったけど、やってみると、ジェットコースターみたいでとても楽しいです。観ているのと自分がやるとのでは全然違うけど、初日を迎えるのが本当に楽しみ。好きなシーンは、フライング、ダンスシーン、トンボとのパン屋での喧嘩のシーン、オソノさんとのシーン、
全部です!!(生田さんに促されて)お母さんとの喧嘩のシーンも見どころです!!!
ハートフルなミュージカルで、キュンキュンするシーンもあって、とても癒やされると思います。精一杯頑張るので是非、劇場に観に来てください!!

大西流星/トンボ役
(いつものジャニーズ公演と違って)緊張している。両側に女性がいるのが不思議(笑)。緊張もあるが、やるにつれて『魔女の宅急便』をどんどん好きになっていきます。自分のパートだけではなく、全部のシーンが本当に素敵です。実は、前回キャストの阿部顕嵐くんと一緒に食事をしたんです。「ここのシーンやってて楽しいよね」と共有できて、本当にすごく楽しかった!顕嵐くんが温かく励ましてくれて、背中を押してくれたのが何よりも嬉しかったですね。前回の舞台は大阪公演を観に行ったのですが、お客としてしか観てなかったので、今更ながらにもっと詳しく観とけばよかった!とちょっと後悔してます(笑)。
外部の舞台は初めてですが、現場では莉子ちゃんも演出の方も関西の方なので、関西弁で明るくて楽しいから、もはや稽古場がホームという感じです。ホテルにいるとホームシックになりますね(笑)。でも莉子ちゃんが最近標準語になってきて、東京に染まってきたなと感じてます(笑)。
原作よりも、ミュージカルは、キキとトンボの関係性がより深く現れています。トンボがキキのことをLIKEからLOVEに変わっていく瞬間を、キキとトンボが成長していく姿を是非見届けて欲しいです。

〈公演情報〉
ミュージカル『魔女の宅急便』
原作・監修:角野栄子(『魔女の宅急便』福音館書店刊)
脚本・演出:岸本功喜 ■作曲・音楽監督:小島良太 ■振付:舘形比呂一
出演:福本莉子 大西流星(関西ジャニーズJr.) 
生田智子 横山だいすけ 藤原一裕(ライセンス)/白羽ゆり ほか
●6/15〜24◎東京 新国立劇場 中劇場
●7/4・5◎大阪 メルパルクホール
〈料金〉S席10,500円、A席8,000円(全席指定・税込)(税込・全席指定)※未就学児童入場不可
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888(前日10:00〜18:00)

『大人のけんかが終わるまで』
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更に快調なテンポで弾む舞台!早霧せいな主演ミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』東京公演開幕!

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元宝塚歌劇団雪組トップスター早霧せいな退団後初の主演ミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』が、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演を大成功のうちに終え、6月1日、TBS赤坂ACTシアターで東京公演の初日の幕を開けた(6月10日まで)。

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『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』は、人気女性ニュースキャスターが風刺漫画家の男性と電撃的な恋に落ちたことから、仕事と家庭の両立という問題に直面して起こす様々な騒動を、ジョン・カンダ—&フレッド・エッブによる心躍る楽曲で綴るラブコメディーミュージカルの傑作。1981年にブロードウェイで生まれた歴史ある作品だが、ヒロインのテス・ハーディングが抱える問題には、仕事を持つことがむしろ当たり前になった現代の女性にこそ理解しやすい今日性があり、板垣恭一のミュージカルのツボを心得た細やかな演出と、テス役の早霧せいな、テスと恋に落ちるサム役の相葉裕樹、テスの決断に大きな影響を与えるロシア人の世界的バレエダンサー・アレクセイ役の宮尾俊太郎をはじめとした、個性豊かな出演者たちの、適役&好演が揃い、何度でも足を運びたくなる上質なコメディー・ミュージカルとなっている。特に、大阪公演を経てパワーアップした舞台は、更にテンポ良く快調に弾み、一層心躍るものに進化している。

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そんな舞台の初日を前日に控えた5月31日、囲み取材が行われ、早霧せいな、相葉裕樹、宮尾俊太郎が登場。大阪公演での手応えや、東京公演に向けての抱負を語った。

【囲みインタビュー】

──まず、東京公演初日に向けての意気込みをお願いします。
早霧 テス・ハーディング役の早霧せいなです。今日はお忙しい中お集まり頂きありがとうございます。大阪で幕を開けて1週間ほど公演をして、 東京にやって来たんですけれども、やはり場所が変われば自然とお客様の雰囲気も違ってくると思うので、 私たちも大阪公演でやってきたものを大切にしながらも、新たな気持ちで挑戦していきたいなと思っております。よろしくお願いします。

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相葉 サム・クレッグ役の相葉裕樹です。大阪公演をして、本番を経て、満を持して東京に来たという感じです。今まで自分たちを信じてやってきたもの、お客様に喜んできてもらったものを、更にまた今度はTBS赤坂ACTシアターで勝負するという形なので、自分自身も、もっともっと進化していけたら、そしてテスとの愛を育んでいけたらと思いますので、 皆さんに楽しんで頂けるラブコメディミュージカルをお届けしたいと思います。 是非是非、まだ迷っているお客様も、劇場へ遊びに来て頂けたらなと思います。 

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宮尾 (拍手を贈る) 
早霧 最後のコメントのようでしたね!(笑)
相葉 えっ?最後みたいだった?(笑)
宮尾 いやいや、良いことを言うなぁと。アレクセイ・ペトリコフ役の宮尾俊太郎です。大阪公演を終えまして、大阪のお客様がものすごく声を出して笑ってくださって。「あ、こんなに声を出して笑うミュージカルなんだ」と、 改めて幕が開けて完成したなという気持ちがしました。今度は東京のお客さまがどんな反応をしてくれるのか。 僕たちがそれにあわせてどう変化していくのかが、僕も楽しみです。歌うのも初めてでしたけれども、経験をして会場が変わって、色々微調整をして、三歩進んで二歩下がるような感じですが、皆様が良い時間を過ごせるようにやりたいと思います。よろしくお願いします。

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──とても楽しい大阪公演でしたが、実際にお客様が入ってからの手応えや、作品に対しての新たな発見などはありましたか?
早霧 やっぱりコメディ作品って特にお客様の温度が上がれば上がるほど、演者側の温度も必然的に上がるということを初日から感じました。カンパニー自体が、やっと舞台に立ったんだ!という喜びを感じながら舞台を務められたと思っているのですけれども、更に毎回お客様の反応が違ったんですね。ですからずっと新鮮な気持ちで千秋楽まで公演することができたので、ちょっと東京ではどういう反応になるのかな?と構えている部分も実はあったりしまして。予想と違ったり…良い意味で違うと嬉しいんですけれどね。
相葉 そうですね。
早霧 そういう意味でも、お客様と一緒に創る舞台だなということを特に感じているので、お客様にも遠慮なく反応して頂けると嬉しいなと。
──地域性でウケるところが違ったりもしますよね。
早霧 そうなんですよ!
相葉 稽古で苦しんできた分、お客様が入ってくださった時に「こんなに笑いが起きるんだ!」と本番に入ってわかることが多くて。お客様に「ここはもっとやってもいいんだ」等の答えを教えてもらっている感じがしました。それはコメディならではの感覚ですし、TBS赤坂ACTシアターは劇場も広くなるので、そこがどうお客様に届くか、やってみないとわからない部分もあるのですが、 楽しいラブコメディーが出来たんじゃないかと思っているので、自信を持ってやるだけです。
 
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──宮尾さんは、本格的なバレエシーンで踊る場面ももちろんあり、歌も台詞もあるということでいかがでしたか?
宮尾 喉の調子ですとか(整えることが)全くわからなかったので、とにかく練習してやったら、2公演終わった後に声がカスカスになってしまって、「どうしよう」ということもあったのですけれども。やりながらひとつひとつ毎日課題を見つけて、次はそれをクリアしようという形でやっていって、徐々に自分の中では形が出来てきましたね。ただ、自分たちだけで稽古をしている時には、予想もしなかったところで突然笑いが起きたり。
早霧 そうですね!
宮尾 僕に至っては何故か登場しただけで笑いが起きて(笑)。でもそれは前半戦が上手く組み立てられているということでもあるから、良いのかなと。
相葉 宮尾さんが登場するとやっぱり空気が変わるんです。ガラッと変わるんで、それはさすがだなと。空気を変える男!
宮尾 いや、僕は一生懸命やっているだけで(笑)。
──やはりそれは「プリンシパル登場!」という。
相葉 そうですね。「待ってました!」感があります。
早霧 うん、うん。
宮尾 あれ?何か可笑しいのかな?と思うんだけど(笑)、そのまま一生懸命やります。

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──早霧さんは男性とのお芝居が初めてで、やってみて何を感じるのか?とおっしゃっていましたが、実際にこうして舞台を創られていかがでしたか?
早霧 お芝居って楽しいなということを再度確認した公演で、これから東京公演が始まりますけれども、男性、女性、一緒にお芝居をやるという意味では全く関係ないんだな、ということを感じました。それと共に、女性同士だったという緊張感とは全く違う緊張感があるので、そこを新鮮に女子の自分のときめきを思い出してやっております(笑)。
──その女子の早霧さんとのお芝居はいかがですか?
早霧 それは答えずらいな〜(笑)。
相葉 いや〜、もうバチバチにときめいてますよ!毎回キュンキュンしながらやらせてもらっています。
早霧 (笑)。
相葉 お綺麗なので、ついついお稽古中とかはちょっと照れたりしてしまう部分があったりしたんですけれども、キスシーンも結構多かったりしますしね。
早霧 ね〜。
相葉 でも本番はバシッと男らしく、グッと抱きしめてギュッとしていきたいなという気持ちで、毎回ときめきながら、お客様にもときめいて頂けたら、キュンとして頂けたらなと思います。

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──美男美女でいらっしゃるので、ひと目惚れの説得力がすごくありますしね。
早霧 ひと目惚れのシーンも割とコミカルに描かれているので。
相葉 稽古場でもきっと笑いが起こってくれるだろうな、は予想できていたんですけれども。
早霧 本当?私、予想できなかったよ?
相葉 いや、だって!(笑)
宮尾 あそこ笑いが起こってくれなかったらキツイですよね?
早霧 キツイよね!
相葉 ちょっとヤバい人たちみたいな(笑)。
早霧 稽古場では慣れちゃっていたから。反応があって嬉しかった。
相葉 そう嬉しかったし、そういう意味では安心してお芝居ができたなと。初日に「あ、ここウケるんだ」と改めて教えて頂けたので。
──カンパニーの方たちも本当に個性的ですが、一緒に演じていらしてどうですか?
早霧 皆さん日に日に濃くなって!元々濃かったキャラクター設定が更に濃くなってきていて、一緒に共演していてワクワクドキドキします。東京の千秋楽ではどうなっているのかな?が更に楽しみですね。
宮尾 本当に達者ですよね。ミュージカルの舞台経験を積まれていらっしゃる方たちなので、笑いを取りにいかない中で変化しているんです。身内ウケとか悪ふざけに走らずに笑わせられるのが凄いなと思っていて。そうした意味では上質な笑いをお届けできていると思います。

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──特におススメの見どころ、ここだけは見逃さないで欲しいというシーンは?
相葉 僕らのシーンは敢えて置いて言うのであれば、「こりゃダメだ」というミュージカルナンバーなどは、二人は別れた方が良い、というすごくネガティブなことをむちゃくちゃ明るく楽しく歌っていたりして、それがすごくミュージカルらしいですね。本当に見ても楽しく、聞いても楽しい瞬間がたくさんありますので、そういうところも見どころかな?と思います。
早霧 ひとつのナンバー、ひとつの曲にカンパニー全員で参加することが多いので、色々なところに色々な方々が出演なさっているので、端から端まで、隅から隅まで観て頂ければ。ですから1回では観きれないと思うので、今日こっちを観たら次の回はこっち、という風に色々角度を変えて観て頂ければ、更にこの作品が楽しんで頂けると思います。 
宮尾 僕はいつも袖から見ているのですが、ラストシーンで早霧さんが相葉さんの言葉で…あ、いや、サム・クレッグの言葉で。
相葉 言い直しました!(笑)
宮尾 表情が変わっていって、二人のラブがグッと行くところを、是非しっかり見て頂きたいです。
早霧 アレクセイとしてはそこは見守りたいですよね!
宮尾 アレクセイは袖の中で見守っています!
相葉 そうなんだ!
宮尾 「そう、それで良いんだよ!」と。
早霧 はい!(笑)

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──大阪公演で何かハプニングなどのエピソードはありましたか?
宮尾 僕は初めて「台詞を噛む」という経験をして。ダンサーの振りが飛んだ瞬間と似ていて、いったん全ての空気がピタっと止まって、それが永遠の時間に感じるという恐怖を味わいました!1度だけです!
早霧 でもアドリブとかもやっているでしょう?
宮尾 そうですね。
早霧 初アドリブ?
宮尾 初アドリブ。
早霧 どうですか?
宮尾 早霧さんのアドリブ返しが上手なので。
早霧 いやいやいや(笑)。
宮尾 安心して色々投げています。

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早霧
 ええと、失敗ですよね?このお芝居すごくきっかけが多いんですよ。私の台詞で次の曲に変わったり。その曲の変わり目が出なかった時があって。
相葉 知らなかった!気づかなかったです。
早霧 本当?料理するところで。
相葉 あ!そういえばちょっと何か…。
早霧 細かい仕掛けがいっぱいあって。料理の手順をしながら変わっていくので。料理番組とか経験したことはないんですが、料理番組をやったらこういう大変なことになるんだなぁと思って(笑)。いつか料理番組が来たら、今回勉強できたと思おうと(笑)。
相葉 僕はなんだろうな。個人的なミスはあるんですけれどね。台詞噛んだり、言い間違ったり。でもさっき言ってくれたラストシーンで、早霧さんをクルクル回したりするんですが、大阪の後半くらいから「ちょっとブレてるよ」と言われて!
宮尾 回転が?(笑)
早霧 そんなこと、ここで言っていいの!?(笑)
相葉 で、さっきやった時に「この感じでどうですか?」って言ったら「OK!OK!」って(笑)。
早霧 バッチ(相葉の愛称)に「バッチリ!」
相葉 「バッチリですか?ありがとうございます」と(笑)。
宮尾 (爆笑)。
早霧 そう、そこ笑ってくれないと!(笑)

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 ──楽曲の魅力については?
早霧 オーケストラの生の演奏でこの楽曲たちを聞いた時に、元々素晴らしいのはわかっていたんですが、こんなにドラマティックで素直に人の心に入ってくメロディーがあるんだ!と感動したんです。そういう感動する楽曲がたくさんあって、それをお芝居の中で心情を含めてお客様に届けられる喜びをすごく感じるので、客席にお客様がいてくださればくださるほど、自分のこの曲を届けたいという気持ちが増えていくと思います。ですからお客様にお芝居だけではなくて、何も考えずに聞いていても心地よい曲があるんだよ、とお知らせしたいです。 
相葉 歌う側としては正直結構苦労したところもたくさんあったのですが、時を経て、稽古を経て、オーケストラと合わせ、実際に本番で皆様の前で披露するという段階を経るごとに、僕の中では曲の深みが更に増しているように感じています。スルメのような噛めば噛むほどという魅力があります。自分のソロ曲の「戻らない時間」に関しても、最初は本当に苦戦して、今も消化する作業はしているんですが、本番を重ねていくうちに、曲をこうやって伝えたいという想いが深まってきています。それはお客様もきっと一緒なのかな?という気がしているので、1度ではなく何回も、たぶん観れば観るほど「この曲いいな!」と知っていって頂けるのではないかな?と思っています。
宮尾 僕はやはりミュージカルの名作の条件は「お客様の耳に残ることだ」と思っていて、まさにこの曲たちは耳に残ると思いますので、そういった意味では説明の必要のない名曲たちなんだろうなと思います。「ステキな朝」(宮尾のソロ曲)なんか、ずっと頭を巡ってますから!
早霧 わかる!
相葉 あれは口ずさんじゃいますよね!
宮尾 非常に健康的な歌詞なのでね。いいと思います。
──では最後に、早霧さんから代表してお客様にメッセージを。
早霧 『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』、TBS赤坂ACTシアターで公演中でございます。是非、是非、劇場に足を運んで頂いて、私たちと一緒にこの空間で楽しんでください!お待ちしております!

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 〈公演情報〉
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ミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』
作曲◇ジョン・カンダ—
作詞◇フレッド・エッブ
上演台本・演出・訳詞◇板垣恭一
キャスト◇早霧せいな、相葉裕樹、今井朋彦、春風ひとみ、原田優一、樹里咲穂、宮尾俊太郎(Kバレエ カンパニー) ほか
●5/19〜27◎大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
〈料金〉12.500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 06-6377-3888(10時〜18時)
●6/1〜10◎東京・TBS赤坂ACTシアター
〈料金〉S席12.500円 A席8.500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 0570-077-039(10時〜18時)
〈公式ホームページ〉 http://www.umegei.com/womanoftheyear/



【取材・文・撮影/橘涼香】



『大人のけんかが終わるまで』
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