えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。


ゲストに大和悠河『SWAN2017』

OG公演レビュー

『円生と志ん生』初日が開幕! 初日前日の囲み取材コメントと舞台写真も到着!

s_『円生と志ん生』舞台写真㈰
大森博史 ラサール石井

こまつ座公演『円生と志ん生』が、9月8日、紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて開幕した。
昭和の大名人噺家と呼ばれた六代目三遊亭円生と五代目古今亭志ん生が、満州に渡った後に敗戦を迎え日本へ戻ることができなくなった史実をもとに、井上ひさしらしい大胆な発想と趣向を駆使した作品だ。

s_『円生と志ん生』舞台写真㈪
池谷のぶえ 太田緑ロランス ラサール石井 大森博史 大空ゆうひ 前田亜季
 
10年ぶりの上演となる今回の出演者は、自ら寄席にも出演するほどの落語好きで、顔も声も志ん生にそっくりのラサール石井、初日の井上戯曲で円生という大役に挑む大森博史、舞台となる大連の花々のような豪華女優陣、大空ゆうひ、 前田亜季、太田緑ロランス、池谷のぶえ。
初日前日に、このキャストたちと演出の鵜山仁が顔を揃え、舞台への意気込みを語った。

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太田緑ロランス・池谷のぶえ・大空ゆうひ・前田亜季
鵜山仁・ラサール石井・大森博史


【挨拶と質疑応答】

井上麻矢(こまつ座代表)
『円生と志ん生』は今から12年前に初演、10年前に再演しました。満州に取り残された日本人、引き揚げの時に苦労して途中で命が途切れて戻れない人もいて、その取り残された中にこの噺家2人がいました。言葉に渇望し、言葉がわかる人の前で落語をやりたいと思っていた2人の命がけの珍道中です。
ラサール石井さん、大森博史さんはじめ皆さんやっと念願かなって出演となりました。今日はラサールさんが鎌倉の井上ひさしのお墓参りに行ってくださいました。
女性達4人は当時の大連そのものを表しています。こういう歴史が過去あって、それでもめげずに名人になった2人。この2人を通して、きちんと歴史を再現することが大事だと、生前井上ひさしも話していました。鵜山さんの力を借りて形になってお届けできることを嬉しく思っています。

鵜山仁(演出)
敗戦体験、終戦体験をしたおかげで2人は落語がうまくなったと言われている。だからこの芝居をやると芝居がうまくなるはず(笑)。そして生きることが上手になります(笑)。乞うご期待!

大森博史
円生の魅力に引き込まれています。人間が好きだったんだな、というのをとても感じます。それがこの本の中にも書き込まれていると思います。紆余曲折があって現地で所帯を持ってしまったり、志ん生とぶつかったりしながら、そういうところに人間性がある。この役は役者冥利に尽きると思っています。史実に基づいて作られている作品で、鵜山さんによっていい感じに仕上がっています。

ラサール石井
志ん生を演じるのは芸人のはしくれとして畏れ多いですね。頭を剃ってみたけど、頭の形が違うので百田尚樹さんに近くなってしまった(笑)。学生時代から井上作品には憧れていた。これほど初日がこわいのは初めてです。ちょっとでも見守ってほしいと思って、今日、鎌倉の井上先生のお墓にお墓参りに行きました。明日は志ん生師匠のお墓参りに行こうかな(笑)。

大空ゆうひ
こまつ座作品には初めての参加です。ずっと憧れていて、稽古場から幸せをかみしめていました。素敵な言葉がたくさんなので、心と言葉を大切にして、毎日を愛おしみながらがんばります。

池谷のぶえ
女性4人で20人分を演じる、その重みを感じています。その時代の女性たちをリスペクトして演じたいと思います。こまつ座は初めてなので、どんなお客様なのか楽しみです。早く観ていただきたいです。

前田亜季
大変な時代、大変な生活だったと思います。でも師匠たちのまわりにはいつも笑いがあった。女性達はその笑いに助けてもらい、元気づけてもらっていた。笑いの力を信じて精いっぱいつとめたいと思います。
 
太田緑ロランス
本当に大変な時代を、笑いの力を借りて生き延びたのだなと思います。その女性達に0.1ミリくらいは近づけたらいいなと。稽古場では力いっぱい1ヶ月作ってきたので、これから本番は力みすぎずに演じられたらと思います。
 
s_『円生と志ん生』舞台写真㈭
ラサール石井 池谷のぶえ 大森博史

──志ん生師匠の魅力とは?
ラサール 破天荒さ、あまり構築されていない”その場”感。でも稽古が大好きだったそうです。人間として大きい方ですね。ふっと、ビートたけしさん、師匠の杉兵助、勘三郎さんにも似ていると感じます。そういうエッセンスが出せたら。
──円生師匠の魅力とは?
大森 なめくじ長屋に住んでいても、貧乏を笑い飛ばすという感覚。笑いの力はすごいですよね。
──鵜山さん、新生『円生と志ん生』、稽古場での発見は?
鵜山 井上さんとは30年以上一緒にやっていて、当時は親父に聞かされる戦争の話という感覚だったのが、その世代が、井上さん以外にもどんどんいなくなってきて、今回の座組では最年長。当事者にならざるを得ない。これまでは弟気分だったけれど、これから、それを僕らはどう体現していくのだろうという意味で、いい経験をさせてもらいました。
 
s_『円生と志ん生』舞台写真㈮
大森博史 大空ゆうひ 
 
──皆さん、井上ひさし作品の印象は?
太田 井上先生は素敵な先生という印象。憲法に関する本を読んで感銘を受けました。憲法は助けてくれる仕組みなんだとわかりました。まさか自分が先生の作品に出演できると思っていなかったです。この作品は演劇リレーのようで、演劇の仕組みが好きだったんだな、と思いました。
池谷 私は『道元の冒険』が初めての出演作でした。出身劇団がナンセンスコメディなので、どう読んだらいいのかと構えましたが、読み進めていくうちに「これは壮大なナンセンスコメディ」だと気づきました。良い意味でぶっとんでいるなと。言葉のたたずまいがとても刺激的ですし、言葉の丸みがすばらしいですね。
大空 言葉になにか魔法があるのではないかとずっと感じていました。役者がそれを言葉にするとどこかに連れて行ってくれるような飛躍感、不思議な力を持っています。そして本の中で知らないうちに鍛えられているなと。この作品を通して感じているのは、タイムスリップさせられるような感覚。リアルにその当時の空気を感じるんです。時がそのまま残されているような不思議な感覚になります。
前田 私は、10年前の『私はだれでしょう』が、井上先生の作品は最初で、初日が延びたこともあり余裕もなく始まってしまったのですが、今回はゆっくり台本を読む時間もあったので、リズムが心地よくて、こんなに素敵な日本語だったんだなと、改めて思うことができました。普段自分が話している言葉を少し反省しました(笑)。

s_『円生と志ん生』舞台写真㈫
大森博史 ラサール石井 
 
大森 僕は自由劇場出身で翻訳ものが多かった。それで動きを重視することが多かったんだなと思いました。今回、言葉には大きなウェイトがあると実感しました。劇中の「言葉がまっすぐそのまま届いてほしい」という歌詞に、これはとても大切だぞと思いました。言葉をきちんと伝えていくことはとても大事だと再確認しながら、今回進めています。
ラサール 井上作品は学生時代から憧れていました。鹿児島から上京して、テアトルエコー養成所の「講師井上ひさし」に飛びついて、1期生に応募して、受かって入ってみたら、その時にはもういらっしゃらなくて(笑)、すれ違いでした。先生が作品を命を削って書いているのは知っていますので、一字一句間違えずに話さねばと、毎日試行錯誤しています。コント赤信号でストリップ劇場に出演したときも、何の抵抗もなく「井上ひさしや渥美清になれるんだ」と思いました(笑)。この作品の洗濯物のシーンもストリップシーンみたいですよね(笑)。井上先生がいた孤児院も「ラサール」で、僕の出身校と同じ系列なんです。モッキンポッド師のモデルになった人が、僕の寮の先生だったというつながりもあるんです。井上先生の「芝居は趣向だ。趣向があれば拠り所にやっていける」という言葉をずっと励みにしています。
──その熱い思いをご本人に伝えたことは?
ラサール KERA(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)さんと3人で鼎談をしたはずなんです。写真が残っているので、でも記憶がまったくなくて(笑)、よほど緊張していたのかなと。ラサールの同窓の集いに講演に来ていただいたときに、僕が司会をしていたのでご挨拶してお話もしたのですが、先生にはあまり響いていなかったようでした(笑)。
鵜山 僕がご一緒するようになってからは、善い人ばっかり劇に出てくるようになって、なんで善い人ばっかり出てくるんだ?と斜に見ていました。でもそれは、「周りの状況が厳しいから、逆に明るさ、良さに憧れて書くようになった」と聞きました。今の世の中も、明るい方に向かって、すがらないとやっていられない、正気を保っていられないかもしれない、というリアリティを感じているので、明るい方を向くエネルギーを大事にしていこうと思っています。

s_『円生と志ん生』舞台写真㈬
太田緑ロランス 前田亜季 ラサール石井 池谷のぶえ 大森博史 大空ゆうひ

この公演の大空ゆうひインタビューはこちら
http://takarazuka-j.blog.jp/archives/1885104.html 


〈公演情報〉
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こまつ座『円生と志ん生』
作◇井上ひさし
演出◇鵜山仁
出演◇大森博史、大空ゆうひ、前田亜季、太田緑ロランス、 池谷のぶえ、ラサール石井
ピアノ演奏◇朴勝哲  
●9/8〜24◎紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA (東京都)
〈料金〉9,000円 学生割引 5,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉こまつ座 03-3862-5941 
●9/30〜10/1◎兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール (兵庫県) 
●10/8◎ 日立システムズホール仙台 シアターホール (宮城県) 
●10/14◎ 川西町フレンドリープラザ(山形県)
〈公演HP〉
 http://www.komatsuza.co.jp/program/

【スペシャルトークショー】
★9月11日(月)1:30公演後 樋口陽一(比較憲法学者)― 井上ひさしにとっての笑い ―
★9月14日(木)1:30公演後 大空ゆうひ・前田亜季・太田緑ロランス・池谷のぶえ
★9月17日(日)1:30公演後 大森博史・ラサール石井
★9月21日(木)1:30公演後 雲田はるこ(漫画家)―『昭和元禄落語心中』ができるまで ―
※アフタートークショーは、開催日以外の『円生と志ん生』のチケットをお持ちの方でもご入場いただけます。ただし、満席になり次第、ご入場を締め切らせていただくことがございます。
(出演者は都合により変更の可能性がございます。)



【舞台写真撮影:谷古宇正彦】




『SWAN 2017』


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豪華メンバーによるミュージカルコンサート『I Love Musical』上演中! 

全員

東京グローブ座にてミュージカルコンサート『I Love Musical』が9月2日、開幕した。(9月3日まで)

今回で第4弾となる本作品は、ミュージカル鑑賞が大好きな観客から、ミュージカル初心者まで多くの方に好評を得ている。
実力派のキャストが揃い、このコンサートでしか実現しないデュエットや、自身の出演作品に限らず歌ってみたい楽曲の披露もありと見どころ満載だ。
 
岡田浩暉&増田有華の「I‘ll cover you」(RENTより)、坂元健児&カン・テウルの「this is the moment」(ジキルとハイドより)は日本語と韓国語と英語での三か国語歌唱、泉見洋平の「命をあげよう」(ミス・サイゴン)、井上智恵の「星から降る金」(モーツァルトより)、貴城けいの「顎で受け止めて」(「ミーアンドマイガール」より)、莉奈の「someone like you」(「ジキルとハイド」より)など全36曲を披露。熱いステージを繰り広げている。

岡田浩暉2
岡田浩暉
井上智恵
井上智恵
カン・テウル
 
カン・テウル
岡田&渡辺
岡田浩暉、渡辺大輔
貴城けい (2)
貴城けい
泉見洋平
泉見洋平
坂元&カン
坂元健児、カン・テウル
泉見&渡辺
渡辺大輔、泉見洋平
増田有華
増田有華
渡辺大輔
渡辺大輔
莉奈
莉奈
坂元&貴城
貴城けい、坂元健児


〈公演情報〉
『I Love Musical』
構成・演出◇永野拓也
音楽監督◇鎌田雅人
振付◇岡千絵
出演◇泉見洋平、岡田浩暉、カン・テウル、坂元健児、渡辺大輔
井上智恵、貴城けい、増田有華、莉奈 (男女別五十音順)
松谷嵐、Marcelino一色、石毛美帆、吉元美里衣(アンサンブル)
●9/2〜9/3◎東京グローブ座
〈料金〉 S席9,800円 A席7,800円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00〜18:00)



【撮影:宮川舞子】




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元宝塚歌劇団トップスター龍 真咲、ファーストアルバム発売記念コンサートを華やかに開催!

龍真咲コンサート

昨年9月に、惜しまれつつ宝塚歌劇団を卒業した元男役トップスター龍 真咲が、8月23日に念願のファーストアルバム「L.O.T.C 2017」をリリース。そのアルバムを持って、待望の本格的なコンサートを8月26日、27日の2日間、計3公演を渋谷・Bunkamuraオーチャードホールにて開催、6,000人を歓喜の世界へと誘った。

オープニング、神秘的な照明と映像の中、豪華絢爛な衣裳に身を包んだ龍がステージ2階へ艶やかに登場。ステージ中央ではダンスと殺陣が繰り広げられる摩訶不思議な世界。ステージ上で早替えをし、シックなドレスでダンサーを従え「コパカバーナ」、会場はラテンの世界へ。
数曲歌い今宵の初MC、『皆さんを歌で世界各地へお連れします!』と宣言し、続いての世界はわが日本。アニメソングをメドレーでつなぎ場内を盛り上げる。

龍 真崎コンサート

そうかと思えば場面はまたもや変わり、白と黄色の素敵なコスチュームに身を包み、華麗なダンスでステージを縦横無尽に駆け巡る。その後も様々な世界を旅した龍、「ゴッドファーザー愛のテーマ」で世界巡りは幕を降ろした。
すると場面一転、今回のコンサートのために新たに撮り下ろされたレスリー・キー氏によるショートムービーがスクリーンに映し出され、龍 真咲が宝塚の世界からJ-POPのシンガーとして生まれ変わり、渋谷の駅からオーチャードホールまで駆け込んでくるという内容で、映像からそのまま妖艶な雰囲気を帯びた龍 真咲がステージに再登場する演出。会場は一気にアルバム「L.O.T.C 2017」のイメージへ。

龍 真咲コンサート

前半とは違い、ステージセンターにスタンドマイクを置き、歌い始める。“魅せる”ステージから“聴かせる”ステージに変わる。ここからアルバム収録曲をMC無しで全曲披露し本編は終了。エンターテイナー龍 真咲の魅力のすべてが表現された極上の空間となった。
前半と後半のステージの違いは見ている宝塚からのファンに、そして新しいファンへも、これから音楽の世界J-POPシンガーとしての道を進んでいくことを伝える熱いメッセージとなり、何より龍 真咲自身の硬い覚悟が感じられるコンサートとなった。
今後について「ここオーチャードホールでのコンサートを“新たな龍 真咲”のスタートにできればと思います!」と熱く語った。今後J-POPシーンで彼女の活躍に注目したい。

【コンサート情報】
[ 真咲 新曲「L.O.T.C 2017」発売記念イベント イベント&特典会
2017年9月10日(日) 16:00スタート
阪急西宮ガーデンズ 4階スカイガーデン・木の葉のステージ
金峯山寺ご奉納 龍 真咲「世界遺産コンサート」
2017年9月16日(土)18:00 開演
吉野山「金峯山寺」蔵王堂前 特設ステージ
 
【作品情報】
龍 真咲   アルバム「L.O.T.C 2017」(えるおーてぃーしーにーぜろいちなな)発売中
ビクターエンタテインメント龍 真咲 HPhttp://www.jvcmusic.co.jp/ryumasaki/

【収録内容】
M1「LANDING on the CITY」 作曲:巴川貴裕・松井喬樹/編曲:Integral Clover
M2「Silly game」 作詞:濱名 琴/作曲:orange spotting/編曲:南田健吾
M3「Get by me」 作詞:濱名 琴/作曲:岡本武士/編曲:南田健吾
M4「Merrily Mode」 作詞:濱名 琴/作曲:石松領平/編曲:Integral Clover
M5「Miss you always」 作詞:濱名 琴/作曲:田中隼人/編曲:山佳祐
M6「Long Island Icetea」 作詞:濱名 琴/作曲:岡本武士/編曲:山佳祐
M7「ヒーロー」 作詞:濱名 琴/作曲:長沼 良/編曲:小山 寿

【配信情報】
iTunes Store、レコチョク他、各配信サイト、また LINE MUSIC、Apple Music、AWAなど主要定額制音楽ストリーミングサービスでも絶賛配信中
※今回のコンサートのセットリストから選曲したプレイリスト「龍 真咲コンサート セットリストより」下記他、定額制音楽ストリーミングサービスにて公開中!
 




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楽曲の魅力と1人の女性の前向きな生きざまが呼応する愛と友情のミュージカル『ビューティフル』上演中!

水樹キャロル
平原キャロル

世界中で愛され続ける数々の楽曲を生んだ、アメリカを代表するシンガーソングライター、キャロル・キングの半生を描いたブロードウェイミュージカル『ビューティフル』が、有楽町の帝国劇場で上演中だ(26日まで)。

『ビューティフル』は、「A NATURAL WOMAN」「YOU’VE GOT A FRIEND」等で世界的に知られ、絶大な人気を誇るアメリカのシンガーソングライター、キャロル・キングの波乱万丈な半生を、彼女自身の楽曲、更に良き友、良きライバルとして切磋琢磨したバリー・マン&シンシア・ワイルによる数々の名曲と共に描いたミュージカル。2013年に誕生し、ブロードウェイで幕を開けるやいなや大評判となり、2014年に演劇界最高峰のトニー賞主演女優賞、2015年にグラミー賞やイギリスのオリヴィエ賞等を受賞。現在もブロードウェイだけでなく、全米ツアーやロンドン公演など、各地でロングランを続け、多くの観客の支持を集めている。

オープニング

今回の帝国劇場での本邦初演は、この作品の英語圏以外での初上演となる。ヒロインのキャロル・キングには、2009年に声優として史上初のNHK紅白歌合戦出場&アルバムオリコンチャートNO.1を獲得し、声優・歌手・ナレーターとしてマルチに活躍する水樹奈々と、デビュー曲『Jupiter』のミリオンヒット以降、歌手として輝かしい活躍を続け、2014年にはミュージカルのヒロイン役で初舞台に挑戦し話題を呼んだ平原綾香のWキャストという魅力的なキャスティング。また、共演に中川晃教、伊礼彼方、ソニン、武田真治、剣幸の豪華俳優陣が集結。音楽評論家の草分け的存在であり、多くの大ヒット曲の作詞・訳詞を手掛けてきた湯川れい子が訳詞を務めるという、強力な布陣での上演となった。

水樹キャロル、伊礼ジェリー

【STORY】
ニューヨークに住む16歳のキャロル・キング(水樹奈々/平原綾香)は、ソングライターになる夢を抱え、教師になるように勧める母親のジーニー(剣幸)を説得し、名プロデューサーのドニー・カーシュナー(武田真治)に曲を売り込み、作曲家への一歩を踏み出していた。だが、容易に新曲へのOKが出ず、思索に励む日々が続くキャロルの前に、同じカレッジに通うジェリー・ゴフィン(伊礼彼方)が現れる。劇作家を志しているジェリーは、戯曲の中に必要な歌の作曲をキャロルに依頼し、キャロルは自分の楽曲に歌詞をつけてくれるようジェリーに求め、意気投合した2人はたちまち恋に落ち、キャロルが作曲家、ジェリーが作詞家としてコンビを組んで楽曲制作に励む。ほどなくしてキャロルは妊娠。結婚した2人は更に必死で仕事と子育てに奮闘する。
同じ頃、2人はドニーがプロデュースする新進作曲家と作詞家のコンビ、バリー・マン(中川晃教)とシンシア・ワイル(ソニン)と良き友人となり、互いにしのぎを削り、ヒットチャートの首位を争うようになる。ライバルの出現と、ヒット曲を書き続けなければならないという焦燥感から、ジェリーは精神的に追い詰められるようになっていき、家庭を大事にしたいキャロルとの間には衝突が絶えず、芸術の為と言い放ち公然と浮気を繰り返すようになる。
なんとか2人の仲を修復しようとするキャロルだったが、ジェリーの精神状態は更に不安定になり、ついに結婚生活は破綻。28才で2人の子持ちのシングルマザーとなってしまうキャロルだったが、シンガー・ソング・ライターが台頭してきた時代の波と共に、はからずも自分の曲を自分で歌うことになる。それはキャロルの人生を、新たな門出へと切り拓く道となっていき……。

シュルレズ

既成のヒット曲を使ったジュークボックス・ミュージカルは、ABBAの楽曲を使って世界的な大ヒットとなった『マンマ・ミーア!』の登場以来、ミュージカル界の一大ムーブメントとなり、数多くの作品が生み出されてきた。楽曲自体がすでに高い知名度を持っていることは、音楽が作品の価値を左右するミュージカルにとって、この上ない利点であり、この系譜の作品で、昨年上演された『プリシラ』の出演者の1人、陣内孝則の名言を借りれば「負けないケンカをしているミュージカル」に他ならないから、こぞって制作が行われたのも当然だったろう。
そんなムーブメントには大きく分けて、既成の楽曲を新たに創作した物語に当てはめて構成されるものと(前述の『マンマ・ミーア!』がその代表格)、楽曲を歌った歌手の伝記を本人の曲で紡いでいくスタイル(昨年の本邦初演が大ヒットとなった『ジャージー・ボーイズ』が金字塔)とがあり、この『ビューティフル』は、後者に属する、キャロル・キングの半生を彼女の楽曲で紡いだものだが、シンガーソングライターになるに至るキャロルの、作曲家であり、クリエイターだった時代が作品の大半部分を占めていることが、これまでのジュークボックス・ミュージカルとは大きく趣を異にするものになっていた。
ロコモーション

と言うのも、この作品で非常に面白いのは、キャロル、ジェリー、バリー、シンシアというメインキャストが揃ってクリエイターであって、歌手ではないことだ。舞台に登場した時、彼らはまだ無名の「何かになろうと夢見ている」若者で、その目指す道に立ちはだかる困難、思いがけないハプニング、創作の苦悩などを常に抱えている。この夢を信じて生きていくことの難しさには、誰しもが必ずや共感できるだろうものがあるし、その共感があるからこそ、決して挫けないキャロルのポジティブさと、かけがえのない友の存在に、胸を熱くし、心震わすことができる。どんな苦しい時にも、必ずあなたの傍にいると歌ってくれる「YOU’VE GOT A FRIEND」、朝が来て笑顔を見せれば世界が美しく変わると高らかに唱える「Beautiful」、既成の楽曲が、このストーリーの中で息づく登場人物たちの気持ちに寄り添った時、舞台から放たれる感動には、楽曲が持つパワーを何倍にも増幅させる力があった。しみじみと、前を向いて生きてゆく勇気をもらえる見事な作品だ。
 
武田ドニー、中川バリー、ソニンシンシア、水樹キャロル

そんな『ビューティフル』な世界に生きる、出演者たちが更に舞台を熱くしている。
ヒロインキャロル・キングをWキャストで演じる水樹奈々は、ミュージカル初挑戦、初主演、初帝劇デビューという、プレッシャーがなかったはずはないだろう、大きなプロジェクトに懸命に対峙している。作品が16歳からのキャロルを描いていて、小柄な水樹がその少女時代にまずピッタリとはまる利点があったし、年齢を重ねるにつれて台詞の発声が絶妙に変化していくのは、さすがに声優界のクイーンならでは。数々のビッグナンバーも果敢にこなし、水樹奈々というパーソナリティに、キャロル・キングを引き付けている仕上がりなのが面白かった。

もう1人のキャロル・キングの平原綾香も、二度目のミュージカル挑戦というキャリアだが、自身が歌手であることをバックボーンに、やがて歌手となるキャロルの人生の変遷を、ソウルフルな歌唱力で見事に表現している。癒しの歌声で知られる常の平原とは、全く異なる迫力ある歌唱法が耳を奪い、いつしか舞台にいる平原がキャロルその人に見えてくる。「美人でもグラマラスでもないから歌手になるのは無理」と端から言い続けるキャロル役を、十分魅力的な平原が演じて尚、そういう役柄なのだなと納得させる演技力も盤石で、平原がキャロルに飛び込んだと言える演じぶりだった。

つまり、2人のキャロル役者が、全く異なるアプローチで作品の主演をそれぞれ十二分に務めているので、見比べる妙味の大きな、刺激的なWキャストとなったのが喜ばしい。少なくとも是非両キャロルの2バージョンを観て欲しい舞台だ。
 
平原キャロル&伊礼ジェリー

そんな2人のキャロルの夫であり、作詞家であり、公私共にパートナーとなるジェリー・ゴフィンの伊礼彼方が、役柄に実によく合っている。まずキャロルが一目惚れをするに足る美丈夫ぶりに説得力があるし、ヒット曲を書き続けなければならないというプレッシャーに押しつぶされていく過程をきめ細かく演じていて、ジェリーの焦燥にも共感でき、決して悪役には見えなかったのが大きな利点だった。特に、「この曲で僕らはどこまでも行ける」と希望に満ちていた若き日々が輝いているからこそ、終幕キャロルの楽屋を訪ねてくるシーンがしみじみと生き、ここのジェリーの台詞は必聴。豊かな歌声も効果的だった。

「ビューティフル」追加写真

そして、この2人を観る為だけにでも、もう1回観劇を増やしても良い!と思わせたのが、バリー・マンの中川晃教と、シンシア・ワイルのソニンのペア。元々大変贅沢なキャスティングだと思っていたが、キャロルとジェリーの物語であると同時に、バリーとシンシアの物語でもあるドラマを、絶妙に、もう言葉がないほど巧みに活写していて、次第にこの2人から目が離せなくなるほど。何しろ役柄の人物造形が双方、適度にカリカチュアライズされたアメリカンなものなので、1つ間違えると、日本人が演じることに面映ゆさを覚えかねないところを、共にこれ以上ない匙加減と押し引きで、パワフルかつ軽やかに演じていて素晴らしい。もっと聞きたい!と思わせる歌唱力も2人共言うまでもなく、日本版『ビューティフル』の最高殊勲ペアと言って過言ではない活躍で、作品を帝劇の大舞台に相応しいものに押し上げる力となっていた。

武田ドニー、中川バリー、ソニンシンシア、平原キャロル

また、2組のヒット・メーカーを見出す名プロデューサー、ドニー・カーシュナーの武田真治は、ちょっと気障で、でも紳士で、派手な振る舞いの中に優しさがあるという、実に情のあるプロデューサー像を描いている。この時代のアメリカのプロデューサーがこんなに情に厚い人なんだ、と驚きも感じるが、それも含めてやはりこの舞台は「ビューティフル」。個性を活かした良い助演だった。

「ビューティフル」追加写真2

もう1人、キャロルの母ジーニーの剣幸は、自らの結婚生活の破綻から、娘に安全な道を歩ませたいと願っている、母親の情をドライな物言いの中にきちんと滲み出している上手さが光った。「ソングライターなんて夢みたいなことを言っていないで教師になりなさい」と、娘に説いていた冒頭をきっちりと見せているから、終幕のちゃっかりぶりが抜群に効いてくる。どこの国にも共通しているらしい「母親あるある」を印象づける好スパイスとなっていた。
 
ライチャス・ブラザーズ

そして、この舞台を特別なものにしているのが、アンサンブルメンバーの活躍だ。メインキャストがクリエイター役であるこの舞台では、彼らの書き下ろす楽曲を歌う「大スター役」をアンサンブルメンバーが担うことになる。だから、ピアノやギターだけの伴奏で、更に楽譜を片手に「こんな曲ができた」とクリエイター本人たちが紹介しあったあとで、名曲の数々をゴージャスにショーアップして披露するのは、アンサンブルの面々。ザ・ドリフターズ、シェレルズ、ライチャス・ブラザーズ、リトル・エヴァ、等々、大スターに扮したアンサンブルメンバーが、レベルの高い歌唱力とダンス力で、華やかな場面を次々にこなしていく姿は、日本のミュージカル界の成熟を如実に表わすものとして、大きな感動を生んでくれた。『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『君はいい人、チャーリー・ブラウン』等々、ミュージカルシーンの大きな役どころで活躍しているキャリアのある面々が、アンサンブルメンバーに多く名を連ねているのも納得で、これほどアンサンブルに働き場の多いミュージカルは、ちょっと他にないのではないか。その意味でも、非常に見応えのある舞台だった。
何より、ピアノを使った巧みな場面転換なども興味深く、帝国劇場の大舞台に、キャロル・キングのあくまでポジティブな、愛に溢れたメッセージが響き渡ったことを喜びたい舞台となっている。

ドリフターズ

初日を前に囲み取材も行われ、水樹奈々、平原綾香、中川晃教、伊礼彼方、ソニン、武田真治、剣幸が公演への抱負を語った。

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【囲みインタビュー】

──初日を前にした現在の心境を。 
水樹 ついにこの日がやってきたと、かなりの緊張と興奮と色々な思いでテンションが上がりまくっている状態です。私の人生初のミュージカルなので、この初日が本当に初舞台となります。初めてだからこそ出せる思い切りの良さや勢いで、全力投球でとにかく自分を信じて頑張りたいなと思っています。 
平原 ついに帝国劇場生活が始まると思うとワクワクしますし、この舞台は初めてなのですごく興奮しています。帝国劇場に入ったときに圧倒されて、何かがいるなという感じでした。
伊礼 何?、何?いない、いない(笑)。
平原 うん? そう?だけど…(笑)

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ソニン 良い意味ででしょう?
武田 エネルギーとしてね?
平原 そうなの。いい意味でのファントムみたいな。
武田 エネルギーじゃないじゃん(笑)。怪人か!(爆笑)。
平原 うん、劇場の神様がいる感じがして、まだお会いはしていないのですが…(笑)、そういうパワーを感じるすごく素晴らしいステージだなと思って、そのパワーを感じながらお稽古をしています。通しや、場当たりと慣れないことばかりですが、信頼のおける最高の仲間と一緒に頑張っていますので、この夏しっかりと、良い歌とお芝居をお届けしようと思っています。ぜひ皆さん来てください。 
中川 キャロル・キングが生み出した名曲たちを、この物語の中でたくさん聴ける訳ですけれど、未来の妻になるシンシア・ワイルド…
ソニン ワイル!シンシア・ワイル!
中川 うん、シンシア・ワイル。ソニンちゃんはワイルド。
ソニン あぁ、あぁ(笑)。

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中川 そのシンシア・ワイルと僕が演じるバリー・マンの2人が生み出していった名曲たちも、この物語の中にはたくさん溢れています。音楽、音楽、音楽、これがミュージカルのひとつの醍醐味かなと思うんですけれども、一方でこの物語は、作詞・作曲家といったクリエイターたちの、音楽が生まれるまでの苦悩、物語も描かれています。その両面を是非とも早くお客さまに感じて頂きたい、そんな思いでいっぱいです。
伊礼 僕はお2人のキャロルと対峙している時間が長く、2人共が全然違うキャロルなので、彼女たちが抱えている興奮、高揚に僕も鼓舞されてですね、激しく脈を打っています。今まで帝国劇場に、僕は実働20分までしか立ったことがないので。
全員 へ〜!!
伊礼 初めて20分以上僕は、帝国劇場の舞台に立たせて頂けるので。
中川 計ったの?
伊礼 計ったことあります(笑)。
武田 ちなみに何の舞台で?
伊礼 『エリザベート』と『王家の紋章』で、実動で20分くらいの出番でしたが(笑)、今回は初めて2時間以上舞台に立たせて頂くので、意気込んでいます。よろしくお願いします。

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ソニン この帝国劇場ではここ最近はミュージカルばかりで、ストレートプレイは久しぶりだと聞きました。私自身も、帝国劇場に立つ時は、ミュージカルとしての音楽がたくさんあって、歌い上げることの多い作品に出てきたもので、今ブロードウェイのスタッフと日本のスタッフとで、帝国劇場に来てくださるお客様にどういう風に観て頂けるのだろう?と試行錯誤しながら作り上げ、ドキドキワクワクしながら、私も稽古をしてきました。ですから、帝国劇場での新しいパフォーマンスを見られるんじゃないかなと思っているので、お客さまの反応がすごく楽しみです。この1ヵ月の舞台の中で、日本のお客様に愛されていくように、良い意味で作品もどんどん変化していくんじゃないかなと思っていますので、多くのお客様に観に来て頂ければと思っています。 
武田 帝国劇場に立つというのは、ミュージカルや演劇を志す者にとって、最終目的地と言っていい位の場所で、聖地とも言われるところで、この夏1ヶ月間舞台に立たせて頂ける(一言一句に力を込めて)喜びと、興奮に、溢れております。
伊礼 そのトーン何?(爆笑)

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武田
 これがマジの私の話し方です(爆笑して調子を変え)本当におごそかに最終稽古に臨んでおります。トニー賞も獲ったこの作品、海外からのスタッフをお招きして、日々ブラッシュアップして参りました。1ヵ月間、キャロル・キングとジェリー・ゴフィン、バリー・マンとシンシア・ワイルのラブストーリーとあわせて、アメリカの音楽史、世界のポップス史を彩った楽曲と共にこの物語を楽しんで頂けると思います。 たくさんの方に来て頂けたらと思います。よろしくお願いします。
 今まで色々なミュージカルをやってきていますが、ミュージカルというのは、ミュージカルの為に書かれた曲でずっと構成されていて、場面のつながりなども、ものすごく考えられた曲が作られていると思うんです。でも今回はキャロル・キングが自分の人生にあわせて、その都度作っていった曲をまとめたら彼女の人生になったというところが、今までのミュージカルとは違うところですね。私はキャロルと同じ時代を生きた人間なんですが、あの時代はこうだったなと彷彿とさせるところもありますし、それがひとつの素晴らしい作品としてまとまっているのがすごいことだなと思います。キャロルの音楽をよくご存知の方は懐かしいと思うでしょうし、知らなかった方々もキャロル・キングってこういう人生を歩んだんだと分かって頂ける、楽しいミュージカルだと思います。そして今ここにいる皆さんが、すごく素敵に歌って、今の若さと本当のキャロル・キングを掛けあわせた魅力があります。またアンサンブルの方たちが本当に素晴らしいです。どこをとっても楽しめる作品ですので、是非いらしてください。 
中川 素晴らしい!!(拍手)

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──皆さんの役柄と見どころ、魅力を教えてください。
武田 それはたいしたことが言えないので私から(爆笑)。この中で唯一クリエーターじゃないのでえ(笑)。僕が演じるドニー・カーシュナーは、キャロル・キングを最初に見出した人ですね。ジェリー・ゴフィンとのコンビで名曲を世に送り出したプロデューサーになります。以上です。
平原 それだけじゃないでしょう?(笑)
武田 いや、だから先に言っとこうと(笑)。
伊礼 僕は、作詞家の役なんですが、最初は劇作家として生きていきたかった人物だったそうなのですが、キャロルと出会って、自分の言葉を彼女のメロディに乗せることによって、世界中の人たちに曲を送り出す訳なんですけれども。ミュージシャンやアーティスト、何かを創りだしていく人たちは、最初は創り出していけているんでしょうが、ある時壁にぶち当たった時に、自分と対峙して苦悩する一番わかりやすい人物です。
武田 キャロルを苦しめたりするよね?
伊礼 そうですね。でも自分を苦しめた結果キャロルも苦しめているんじゃないかな?と思うので、そこに翻弄されるキャロルたちは可哀そうだなと思いつつも、自分しか見えていない人物なんだろうと、僕は解釈しています。
平原 キャロル・キングは今でも第一線で活躍されている本当に私も尊敬しているミュージシャンで、彼女の一途さでしたり、素敵な笑顔だったり、彼女が創り出す音楽が本当に素晴らしくて、私も毎回尊敬しながらこの役に取り組んでいます。この役どころというのはキャロル・キングを見て頂ければわかる通り、とにかく人間性が素晴らしいです。そして音楽、その二つが秀でている人物だと思っています。ジェリー・ゴフィンという夫に惚れて…惚れてっていうとなんかすごいですけど…。
伊礼 いいじゃない!惚れてもいいじゃない! 
平原 そう?そう?、うん、だから大好きになって、ジェリー・ゴフィンにもやっぱり一途になって、でも音楽にも一途で、そして子供か生まれたら子供にも一途で。誰に対しても一途に生きている存在なんですね。だからすごく演じているとパワーが必要になってくる役どころです。あともう1つ素晴らしいところは、すべてにおいて愛があるところだと思っています。どんなに傷つけられても、最後までその人を愛し続ける人だからこそ「ユーヴ・ガット・ア・フレンド」という名曲が生まれたり、他にも様々な名曲が生まれたので、私にとってのキャロル・キングは「すべての人に愛を!」と言うのが実はテーマで、そんなすごく素敵な役だと思っています。

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水樹 綾ちゃん(平原)が私の気持ちを代弁してくれたように、私も同じ気持ちです。彼女の魅力はどんな時にでも折れない、諦めない心だと思っています。ハートが強くないと彼女のような激動の人生で、自分自身をも裏切らずに進んでいくことはできないのではないかな?と思います。本当に彼女はどんな時でもまっすぐ、誰に対しても思いやりを持って接していて、深い愛に包まれた方なんだなと思っています。この作品は色々な方に観て頂きたいのですが、特に夢を持って頑張っている若い世代の方にも是非観て頂きたいなと思っています。なかなかうまくいかなくて、結果が出せなくて、やっぱり自分は無理なんだと諦めて逃げてしまう状況って起こりうると思うのですが、キャロルのどんなことがあっても信念を貫いていくという気持ちがあれば、夢に限らず、どんな状況、苦難にぶつかっても乗り越えていける、そんな気持ち、勇気が湧いてくる作品だと思うので、是非キャロル・キングから、皆さんへのメッセージを届けられたらいいなと思います。
中川 バリー・マンという役を演じるのですが、今皆さんのお話を聞きながら、僕も頭の中で整理していて、この物語の中によく出てくる言葉に「ヒット・メーカー」というのがあります。先ほどもお話しましたように、クリエーター同士が拮抗しあいながらその時代を創っていった、そこで生まれた名曲たちが散りばめられて、こんなにも素敵な物語が生まれている。この舞台は、50年代〜70年代くらいまでを描いていますが、同時期を生きた日本のクリエイターの方たち、例えば中島みゆきさん、松任谷由実さん、山下達郎さん等々の音楽を聞いてきた方たちが、お客様の中にたくさんいらっしゃるのではないか?という期待があります。お客様の側から見たら今尚記憶に残る懐かしい名曲たちという側面と、我々演じる側からは、なぜその名曲が生まれたか、何故その曲が必要とされたのか?までを演じるという演じ甲斐があります。普段お客様が観ることのない、音楽が生まれるまで、という裏の部分をクリエーターとしての役作りの中で、ヒットメーカーという言葉を捉えて頂けると、この作品がより一層わかりやすく届くのではないかと思います。もう1つは、カップルになるんですね。キャルロからしたら、(伊礼)彼方さんが演じる、作曲家と作詞家のカップル。僕たち(ソニンを示して)2人もカップル。更に剣さんが演じるキャロルのお母さんにも旦那さんがいたのだけれども別れてしまっている。(武田)真治さんの役だけは、唯一その辺があまり描かれていませんけれども。 
武田 例外です(笑)。

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中川 でも私たち音楽を生み出す、ヒット・メーカーを目指す人間にとっては、ドニー・カーシュナーというプロデューサーがいなければ世に出ることはできなかったという意味では、別の形でのカップルというものがそこにあるのかもしれません。そう考えた時に、夫婦の在り方だったり、何が幸せなのかはわからないけれども、先ほどから出ている「愛」というものがこの作品の中には感じられます。そして最後に、これはすごく個人的な思いなのですけれど、自分がバリー・マンを演じていく中で、50年代の音楽を勉強していて、キャロル・キングたちが影響を受けた音楽が前半に流れるんです。例えば「リトル・ダーリン」という曲が流ますが、この曲は日本では先日亡くなられた平尾昌晃さんがカヴァーされているんですね。50年代、60年代、世界と日本がある意味で近かった、この芸能の仕事を私たちの先輩方が作ってきてくださった時代があって、今の私たちがいるということを力に変えて、この舞台を届けていきたいなと思っています。
武田 素晴らしい!
ソニン 質問なんでしたっけ?あまりにも聞き入ってしまって忘れちゃった(笑)。
武田 役どころの魅力ね。

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ソニン そうですよね(笑)。私はシンシア・ワイルという作詞家の役で、彼女は元々ダンスや女優になる為の勉強をしていて、ミュージカルの曲を作るのが自分の中では夢だったりする役です。この『ビューティフル』という作品は、キャロル・キングが主人公であることもあって、「女性」といのが1つのテーマにもなっていて、あの時代に女性が曲を書くという衝撃的なもの、キャロルも自分は望んでいないけれども、すごく進んだ先駆者だったりもしています。シンシア・ワイル自身も考え方がとても先鋭的で、バリー・マンとのカップルも、シンシア・ワイルが先にイメージを思いついて引っ張っていく。女性がリードするというのが、今は当たり前にもなっていると思いますが、それが珍しかった時代なので、それを現す役割りも担っていると思います。先ほども言っていましたが、カップルで作品を創る。シンガーソングライターも出ていますが、この時代の中でカップルで作品を創る面白さ、カップルでの化学反応もありますが、カップル対カップルというライバルとして、互いに刺激しあって、高めあっていく感じも出ているので、キャロル・キング&ジェリー・ゴフィンのカップルと、バリー・マン&シンシア・ワイルのカップルとの対比も、すごく作品のスパイスになっていると思います。見て頂いてもわかるように、ファッションもかなり違っていて、あ、でも今日のキャロルは、1番のドレスアップの衣装を着ていますが、ファッションの違いや、流れている空気の違いも出ています。また、実際にキャロルとジェリーは別れてしまうのですが、バリーとシンシアは今現在も続いているカップルなんです。そういう対比としての役割を担っていると思いますし、ご覧になって楽しめるところだと思います。
 キャロルの母親なのですが、常にキャロルの父親について文句を言っていて「男なんて」とずっと言っているのを聞いてキャロルは育つので、母親のようにはなりたくないという、反面教師だったんですね。それでも常に、キャロルには自分がした苦労をさせたくない、普通に幸せになって欲しいと願っている、一番愛情深い母親像が、ちゃらんぽらんな感じの中で、どこかに見えれば良いなと思っています。

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──では主演のお2人から改めて意気込みを。
水樹 初めてのミュージカル挑戦で、しかも主演で、この伝統ある帝国劇場に立たせて頂くなんて、もうこの上ない幸せでいっぱいです。初めてということで最初は、何がわからないのかもわからない、という状態から右も左もわからない中に飛び込んだんですけれども、カンパニーの皆さんから温かい手を差し伸べて頂いて、なんとかこの舞台にしっかり主役として上がれるというところまでやって参りました。この稽古期間を信じて、カンパニー一丸となって最高の舞台をお届けしたいと思っています。日本初演ということで、皆さん『ビューティフル』ってどんな作品なんだろうと思っておられて、様子見をされているお客様も中にはおられるかも知れませんが、とにかく絶対楽しい、たくさんの感動が詰まった作品なので、来て頂けたらその時間は最高のものになると私は信じています。皆さん是非劇場にいらしてください。私たち全力でお迎えします。お待ちしています!
平原 このミュージカルは本当に最高です。実際に私も自分の人生を精一杯生きていて、そして今、キャロル・キングの人生を生きている。このカンパニーの皆も、それぞれの人生を生きながらこの役に没頭している。それが周りで見ていると本当にカッコよくて、皆の人間性や歌声に惹かれて帝国劇場生活を送っています。このミュージカルを観に来てくださったら、終わった後は必ず「ビューティフル」な気持ちで帰って頂ける素晴らしい作品だと思いますので、是非いらして頂きたいです。この夏はこのカンパニーの、ここにいるメンバーとアンサンブルの皆が仲間だと思ってくださったら、皆さんに楽しい気持ちになって頂けると思います。きっと帝国劇場にいるファントムも喜んでくれると思いますので、しっかり頑張りたいと思います。是非劇場でお待ちしております。待ってます!
全員 待ってま〜す!!

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※舞台写真は後日追加予定です。


〈公演情報〉
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ミュージカル『ビューティフル』
脚本◇ダグラス・マクグラス
音楽・詞◇ジェリー・ゴフィン&キャロル・キング
バリー・マン&シンシア・ワイル
演出◇マーク・ブルーニ
振付◇ ジョシュ・プリンス
翻訳◇目黒条
訳詞◇湯川れい子
日本版演出アドバイザー◇上田一豪
出演◇水樹奈々、平原綾香(Wキャスト)
中川晃教、伊礼彼方、ソニン、武田真治、剣幸 
伊藤広祥、神田恭兵、長谷川開、東山光明、山田元、山野靖博、清水泰雄(SWING)、エリアンナ、菅谷真理恵、高城奈月子、MARIA-E、ラリソン彩華、綿引さやか、原田真絢(SWING) 
●7/26〜8/26◎帝国劇場
〈料金〉S席13,000円 A席8,000円 B席4,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半〜17時半)
〈公式ホームページ〉http://www.tohostage.com/beautiful/




【取材・文・撮影/橘涼香 舞台写真提供/東宝】
 


ミュージカルセーラームーンシリーズ最終章!お得なチケット販売中。


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大竹しのぶが38年ぶりに「にんじん」を演じる!ミュージカル『にんじん』公開ゲネプロ&囲みインタビュー

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ジュール・ルナールの傑作小説をミュージカル化した舞台『にんじん』が、38年ぶりに帰ってきた。
日本で世界初のミュージカル化として、1979年の夏、上演された『にんじん』。初演で「にんじん」役を務めたのは当時22歳の大竹しのぶ。今年還暦を迎えた大竹が、38年ぶりに再び「にんじん」役で、8月1日から始まった新橋演舞場の舞台を務めている(27日まで。大阪は9月1日から10日まで)。
 
脚本・作詞は、数々の大ヒット曲を生み出し、先日惜しくも亡くなった山川啓介。音楽は大人にも子供にも愛される曲作りに命をかけた山本直純。演出は、今年春の『フェードル』でも大竹と組んだ栗山民也が手がけている。
共演者には『ドリアン・グレイの肖像』の主演を始め、ソロコンサートも数多くこなし抜群の歌唱力を誇る中山優馬、テレビのみならず舞台でも美しいソプラノを披露する秋元才加、朝ドラなどに出演して若手注目株の中山義紘、元宝塚月組トップスターで女優・歌手・バラエティなど多彩な顔を見せる真琴つばさ、『レ・ミゼラブル』のバルジャン役をはじめミュージカル界で活躍する今井清隆、映像のみならず自らの劇団を率いて舞台でも精力的に活動する宇梶剛士、実力派女優として気を吐くキムラ緑子といった個性的な顔ぶれが揃っている。
その公開ゲネプロと囲みインタビューが初日前日に行われた。

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【あらすじ】
フランスの片田舎の小さな村。そこにかつては豪奢だったが、戦争後、落ちぶれてしまったルピック家がいる。どこにでもありふれた家族のように見えたのだが、末っ子の真っ赤な髪、そばかすだらけの顔で、通称“にんじん”と呼ばれるフランソワ(大竹しのぶ)は家族からバカにされ、時には理不尽に扱われていた。ルピック家には姉のエルネスティーヌ(秋元才加)、出入りする姉の婚約者で村一番の裕福な家庭のマルソー(中山義紘)、甘やかされてわがままな兄フェリックス(中山優馬)、父親のルピック氏(宇梶剛士)、母親のルピック夫人(キムラ緑子)がいた。ある日、そこへ新しい女中アネット(真琴つばさ)がやってくる。アネットはにんじんへの仕打ちを優しく慰めるのだが、ある日、ルピック夫人の貯金していた銀貨がなくなるという事件が起き、どういうわけかにんじんのせいにされ、ますます彼への仕打ちが激しくなっていく。しまいにはかつて幼いフランソワを育てていた「名づけ親」(今井清隆)までもが解決に乗り出してくる始末。ただ家族や兄弟から愛されたいとだけ望んでいたにんじんは、果たして……。

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鼓笛隊の派手な音楽から幕が開け、アンサンブルの統制のとれた合唱が終わる。草むしりをさせられていたにんじんの大竹しのぶが立ち上がり、「真っ赤な髪で/そばかすだらけ/そうさぼくは/みにくいにんじん!」と自虐とも取れる歌詞を力強く歌う。シャウトのような、まるで自分の存在証明のように聞こえる歌だ。舞台の照明はどこまでも明るいのに、大竹の歌とのコントラストが物悲しく美しい。どこかロック的な匂いのする歌唱が、夏のフランスの小さな村一面に響き渡る。
大竹しのぶは、小柄ということもあって14歳の少年そのものに見える。愛を求めているが満たされない、それでも笑顔を忘れない屈託のない表情が切ない。38年のブランクを感じさせないだけでなく、「新生にんじん」とでもいったみずみずしさがある。

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そこからにんじんの家の食卓のシーンに舞台が移る。ここで家族の関係性を一気に見せていく。兄のフェリックスは中山優馬、親にバレないように弟をいじめて、いいように利用する兄を丁寧に演じている。リアルに憎たらしさを感じさせる歌も絶妙。
姉のエルネスティーヌは秋元才加、彼女もにんじんを無視していて、心のない彼女の歌はにんじんには決して響かない。そんな歌を秋元はどこまでも美しいソプラノで劇場に響き渡らせる。婚約者マルソーの中山義紘は、いつもエルネスティーヌの顔色を伺い、険悪な家族の雰囲気に気押されて場違いなことを言ってしまう青年で、その天然ぶりがホッとする笑いを誘う。

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ルピック氏とルピック夫人は宇梶剛士とキムラ緑子、倦怠期さえ超えてお互いを憎んでいるような夫婦で、互いをルピック氏、ルピック夫人と呼び、何をするにもにんじんを介してコミュニケーションを図ろうとする。しかし母親は徹底的ににんじんをいじめ、父親もにんじんをネグレクトしている。だがルピック夫人にも、にんじんを本当は愛しているのに、愛せないでいる自分が許せない母親の葛藤があり、「それでも」の歌にその切なさが滲み出る。ルピック氏にも、子供にどう接していいのかわからない父親のもどかしさがあり、愛したいのに愛せない、そんなアンビバレンツな感情が、この夫婦の通奏低音となっている。

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そこに現れる真琴つばさ扮するアネットは、まさにコメディエンヌであり、安らぎの存在で、細かい表情と仕草で楽しい笑いを引き出してくれる。アネットは自分の仕事に誇りを持ち、3回離婚していることも気にしない豪胆さがあり、男勝りな歌を堂々と聴かせる。にんじんを誰よりも気にかけて勇気づけてくれる力強い存在だ。

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にんじんの育ての親で「名づけ親」の今井清隆は、ルピック夫人の大切にしていた銀貨がなくなった事件で、にんじんを助けるために登場する。心からにんじんのことを気にかけ、産みの親より親たらんとするその迫力に心打たれる。歌声のバリトンは伸びやかで、劇中で何回か「青空を見ることの大切さ」について言及するシーンがあるのだが、本当に青空を突き抜けてしまいそうな宇宙的な広がりを持つ歌声となっている。人間は不器用で誰もがうまく愛を表現できないでいる、悲しいのは、にんじんだけではないという、その歌の普遍性が心に響いてくる。

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追い詰められたにんじんは、どこからか「自殺すればいい」という声を聞いて、何度か自殺未遂を図る。また彼は、自分がいなくなったら世界がなくなってしまうという感覚に陥る。自己と世界が相対化してしまう実存主義のように、にんじんの中では、自らの存在が世界との関係の間で常に不安定に揺らいでいるのだ。だから彼は「フランソワ」という本当の名前を呼んで欲しいと切に願う。それこそが自分がこの世界にいることのできる絶対的な証明になると信じているからだ。

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やがて、にんじんは命令ばかりする両親に反抗し始め、兄のフェリックスはパリを目指し旅立ち、姉は結婚していなくなってしまう。そして父性と母性は、解決策を見出せないまま放り出される。この舞台はその在りどころを観客に問いかけているようにも見える。
 
そんな深い問いを含みながら、もちろん子供が見ても楽しい舞台だ。山本直純の音楽は、ポップで柔らかいメロディで、山川啓介の歌詞はわかりやすく誰でも一緒に口ずさめる。そして演出の栗山民也は、静謐に感情過多にならずに舞台を進行させる。見方によってはひどい惨状が繰り広げられているのに、それを凛とした佇まいで静かに突きつけてくる。

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名づけ親はにんじんに、青空をよく見ろという。にんじんは空を見上げて歌う。たとえ親に名前を呼ばれなくても「にんじん」は「にんじん」でいいじゃないか。舞台には十字架のような装置が出てきたり、あるいは十字架の形になった光が差し込んでくる。それは実存という相対的な世界と自分の感情だけでは片付けられない、この世界にあるはずの絶対的な希望のようにも見える。その気持ちを胸に、にんじんは、そして人々はまた歩き始めるのだ。

【囲みインタビュー】

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前列/キムラ緑子、大竹しのぶ、宇梶剛士 後列/中山義紘、秋元才加、真琴つばさ、今井清隆 
 
公開舞台稽古の前に囲みインタビューが行われ、大竹しのぶ、中山優馬、秋元才加、中山義紘、真琴つばさ、今井清隆、宇梶剛士、キムラ緑子が登壇した。

──いよいよ1日から初日が始まりますね。
大竹 この格好で普通に答えるのがいたたまれなくて(笑)。
優馬 そんなことないですよ。
大竹 お芝居しているときはいいんです。でも素になると恥ずかしい。
──取材陣からも可愛いと声が上がっていました。
優馬 お芝居では兄貴役で、いろんな意地悪なことをやらせていただくんですけど、稽古中やお芝居じゃないところは少女のようで…。
大竹 もう嘘ばっかり!(笑)
──キムラさんからご覧になっていかがですか。
キムラ 私はにんじんにいじめをするお母さんなんです。でもいじめたくないぐらい大竹さんは可愛いでしょ。稽古場で隣の席でしたが、稽古が終わって帰ってくると、おばさんに見えなかった?とずっと気にしていましたが、どう考えても14歳に見えましたよ。
──篠山紀信さんの撮られた写真も少年ですね。
大竹 この作品が好きなので、自分の歳は忘れてにんじんとして演じられるんです。ただ、ふと、何しているんだろう私は?と思ったりすることもあって、その戦いです。怖いもの見たさもあるのかなあ。
優馬 ふふっ(笑)。
大竹 笑うところじゃない!(笑)みんなそれぞれ愛を求め合って、そこがよくできているお話だと思うし、栗山さんが初演よりも細やかに演出してくださった。山川啓介さんがご本と歌詞をお書きになりましたが、天国から見てくれたら喜んでくれただろうなと思います。
──38年経って、大竹さんにはこの役はどう響きますか。
大竹 以前よりも子供の気持ちがわかるようになりました。
──大竹さんが人生を重ねてきてからでしょうか。
大竹 それもあるでしょうし、当時は社会的にいじめという問題は頻繁に行われている時ではなかったので。今は、よりリアリティを持って、子供たちはこんなにSOSの信号を出していたんだとわかります。
──他の方々から見て、いかがですか。
宇梶 稽古場の時から、しのぶさんなのかにんじんなのかわからなかった。可愛らしいですね。密にご一緒するのは初めてですが柔らかくて自然な方です。
真琴 私は、ルピック家では唯一暖色系かなと思っています。大竹さんは、客席から拝見させていただくと、恐ろしいほど純粋無垢な少年になる瞬間があるんです。これが『にんじん』という作品の魅力ですね。大竹さんのどこかに「にんじん」がいるんだと思います。
今井 大竹さんは、この間までギリシャ悲劇の女王様をやっていたわけで、スタンスが広くて、どんな役でも内から湧き出るものがあって、自然とこなす女優さんだなとびっくりしました。 
秋元 私はお姉さんをやらせていただきますが、どういう風に大竹さんのお姉さんをやるんだろうと、最初は聞き違いだと思いました(笑)。ただ、稽古をしていくうちに光栄だと思えるようになりました。最初は、張り詰めて黙々とした稽古場なのかなと思ったのですが、楽しみながら一生懸命やるところはやって、緩急のつけ方がしっかりしていたので、そういう稽古を通してもっと自由に、楽しみながらお芝居ができたらいいと新たな自分を見つけました。
──その婚約者マルソーが中山義紘さんですね。
義紘 食卓のシーンがたくさんあるんですが、マルソーはしきたりを知らない天然系なんですね。周りから何を言っているの?という反応をされてしまう。
秋元 張り詰めた空気感の中でも、どこかゆったりとした希望が見えたらいいなと2人で話していたから、中山(義紘)さんはその雰囲気を出してくれています。
──大竹さんは還暦を迎えました。
大竹 還暦だからもう一度やりたいという思いもあったんです。
──カンパニーではお祝いしたんですか。
大竹 ケーキをもらってハッピーバースデーを歌ってもらいました。
優馬 僕はまだプレゼントをあげてないんです。畏れ多くて。
大竹 なんで?なんかちょうだいよ。
優馬 ラブ(LOVE)を。
大竹 ラブはいらない(笑)。
キムラ 魚をさばいてくれるから。
大竹 さばけるの?
優馬 じゃ、ピチピチのやつを持ってきます(笑)。
──ジャニーズのさかなクンと言われていますからね。
優馬 なんでやねん!このタイミングでそう思われると本番に支障が出ます。
──では最後にファンの方に一言。
大竹 38年前にやったお芝居を、このメンバーで、栗山民也さんのおかげで新しい作品になって生まれ変わったと思うので、大人も子供も恋人同士も、繊細で元気がでる芝居を観にきてもらいたいです。

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※この公演のチケットを販売中!
http://enbu.shop21.makeshop.jp



〈公演情報〉
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ミュージカル『にんじん』
原作◇ジュール・ルナール
訳◇大久保洋(「講談社文庫版」より)
脚本・作詞◇山川啓介
演出◇栗山民也
音楽◇山本直純
出演◇大竹しのぶ、中山優馬、秋元才加、中山義紘、真琴つばさ、今井清隆、宇梶剛士、キムラ緑子 他
●8/1〜8/27◎東京 新橋演舞場
〈料金〉1等席 13,000円 2等席 8,500円 3等席A席 5,500円 3等席 B席 3,000円 桟敷席 14,000円 《子供料金》2階1等席 6,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹 0570-000-489(10:00〜18:00)
●9/1〜10◎大阪 松竹座
〈料金〉1等席 13,000円 2等席 7,000円 3等席4,000円 《子供料金》2階1等席 6,500円(全席指定・税込)
※《子供料金》は4歳から小学校6年生以下対象
 

 

【取材・文・撮影/竹下力】



妃海風コンサート2017






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