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OG公演レビュー

抱腹絶倒のコメディ!〜崩壊シリーズ〜『リメンバーミー』上演中!

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昨年4月、開幕とともに口コミで話題が話題を呼んだ衝撃の喜劇、〜崩壊シリーズ〜『九条丸家の殺人事件』。その崩壊シリーズ第2弾となるのは『リメンバーミー』。東京公演が4月13日〜30日、俳優座劇場にて、そののち大阪、名古屋、福岡でも公演する。
 
作・演出は前回に引き続き、構成作家のオークラ。バナナマンや東京03など数々の人気芸人の傑作コントはじめ、人気バラエティ番組「ゴッドタン」などで知られている。キャスト陣も前回に続いて山崎樹範、松下洸平、上地春奈、大水洋介(ラバーガール)、伊藤裕一、彩吹真央、梶原善が登場、さらに今回新たに味方良介が参戦、芸達者な豪華メンバーが揃った。

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【あらすじ】
史上最低最悪の公演「九条丸家の殺人事件」から1年…。劇団「荻窪遊々演劇社」の舞台監督の杏里は子供を授かり、恋人である座長の栗須は結婚を決意する。しかし、杏里の父親が猛反対。「劇団員風情に、娘をやれるか!」と怒鳴られ、なんとか説得をするが、犒觝Г両魴錙匹鯑佑つけられる。「俺を泣かせてみろ!」
1年ぶりに再会したかつてのメンバー。父親を泣かすために始まった芝居は、新たなる崩壊の始ま
り…!?

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素人劇団「荻窪遊々演劇社」の、公演初日の劇場で全ての出来事は起こる。
舞台裏では、座長で作・演出を手掛ける栗須健司(山崎樹範)と舞台監督の杉山杏里(上地春奈)の結婚を祝うサプライズを、メンバーが仕掛けていた。

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2人の結婚を許さない杏里の父に認めてもらうために、栗須は芝居で彼を泣かせなければならない。そのために練った悲恋物の上演に懸けている。それを助ける個性あふれる劇団員たちが、無事にその芝居をエンディングまで演じられるか。杏里の父を泣かせることができるのか。一瞬も目を離せない、スピード感とテンポのよさで、抱腹絶倒のコメディーとなっている。

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崩壊シリーズという副題にもある通り、劇団も公演中の芝居も崩壊していく。上演中にも関わらず個人の感情を爆発させる人と、そのために生じた芝居のほころびを埋めようと必死になる人たちが右往左往する。そのシチュエーションだけで面白く、息もつかせぬ展開に引き込まれる。

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なによりこの芝居を見るべきものにしているのは、演技巧者たちが「素人芝居」をすることだろう。元消防士や無職もいれば元キャバ嬢もいるという、素人劇団ならではの絶妙な下手さで芝居をする出演者たちが見どころだ。
彩吹真央は劇中劇の病弱なヒロイン役が思い出したように咳をしたり、わざとらしく倒れたりと、体を張るコメディエンヌぶり。また、事態に翻弄されまくる山崎樹範、フォローが巧みでカッコよく踊る松下洸平、豹変するキャラでインパクト満点の伊藤裕一、意外と普通のようでやっぱり変な大木洋介、恐くてかわいい上地春奈、安定のおとぼけ感の梶原善、そして初参加の味方良介は華麗なバカキャラが楽しい。1人ひとりのキャラが立っていて、それぞれ目が離せない。

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座長の山崎樹範が「中身はないです」と豪語するように、ドタバタに徹して、そのために用意周到、細部まで手を抜かずに考え抜かれて作られているのが気持ちいい。回り舞台と仕掛けで、次々に炸裂するネタで笑わせ、ちょっと泣かせる。バカバカしいまでの一生懸命さで、体当たりする役者たちのパワーで、観るものを元気にさせてくれる舞台だ
 
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〈公演情報〉
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〜崩壊シリーズ〜『リメンバーミー』
作・演出◇オークラ
出演◇山崎樹範/松下洸平 味方良介 上地春奈 
大水洋介(ラバーガール) 伊藤裕一/彩吹真央/梶原善
●4/13〜30◎俳優座劇場
●5/3・4◎松下IMPホール
●5/11◎日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
●5/13・14◎都久志会館
〈お問い合わせ〉東京/サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00〜18:00)
http://www.houkai-st.com/





【取材・文/佐藤栄里子 写真提供/エイベックス・ライヴ・クリエイティブ】 




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オシャレなウイットと音楽の魅力にあふれたミュージカルコメディ『紳士のための愛と殺人の手引き』上演中!

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市村正親8回殺される!? という目を奪われずにはいられないキャッチコピーで、大きな注目をを集めている話題作、ミュージカル『紳士のための愛と殺人の手引き』が、日比谷の日生劇場で上演中だ(30日まで)。

『紳士のための愛と殺人の手引き』は、2014年のトニー賞で作品賞、脚本賞他4冠に輝いたブロードウェイミュージカル。エドワード朝時代のイギリスを舞台に、伯爵家の爵位継承順位8番目の男が、上位の邪魔者たちを次々に手にかけていく、その「殺されるサマ」の馬鹿馬鹿しさが、観客を爆笑の渦に巻き込む、ブロードウェイらしいウイットに富んだ作品で、今回の上演が本邦初演となっている。

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【STORY】 

優しい母に突然先立たれ、仕事のあてもなくどん底に落ち込んでいる青年モンティ(ウエンツ瑛士・柿澤勇人、Wキャスト)のもとに、亡き母の古い友人ミス・シングル(春風ひとみ)が訪ねてくる。彼女が持ってきたのは、なんとモンティの母が実は大富豪の貴族「ダイスクイス・ファミリー」の血縁であり、モンティにも爵位継承権があるというビッグニュースだった。とは言ってもモンティの継承権は8番目。つまり現伯爵を含めた、ダイスクイスのメンバー8人(いずれも市村正親)が死ななくては、伯爵にはなれない。
はじめは、途方もない夢物語としか思えなかったモンティだが、せめてこの血縁を利用して就職口の斡旋をしてもらえないかと、打診の手紙をダイスクイスメンバーに送るものの、相手にもされない。しかも、亡き母も彼らに生前援助を願い、冷たく拒絶されてきた事実を知り、モンティはついに決意する。「もしも8人全員が死んだなら、自分が伯爵に!莫大な財産と城をこの手にできる!」

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目標に向かって歩み出したモンティは、1人、また1人と奇妙で奇抜な方法でダイスクイスメンバーを手にかけていく。モンティを愛しているが、文無しの男とは結婚できないと金持ちに嫁いでいたガールフレンドのシベラ(シルビア・グラブ)とのよりも戻り、一方で継承権上位の1人ヘンリーの妹フィービー(宮澤エマ)とは結婚の約束が整い、人生の上昇気流に乗るモンティ。そしてついに、最後の1人をあの世に送り、晴れて念願の伯爵に!と思ったその時、モンティはあまりにも意外な殺人の容疑で逮捕、投獄されてしまう。絶体絶命のピンチに立たされたモンティの運命は…!?

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舞台に接してまず感じるのは、あぁブロードウェイミュージカルだなというシンプルな思いだった。何しろ人の死を、それも例えば、壮絶な復讐の果てのやむにやまれぬ行動などと言った、良い悪いは別にして犯人の心情にも寄り添えるような設定も何もないまま、次々と殺されていく登場人物たちの、死にざまの馬鹿馬鹿しさを笑い飛ばそうという感覚は、日本人の資質からはなかなか生まれ出ないものに思えたからだ。

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けれども、それを如何にも軽快なウイットの効いたブラックジョークに変換したのがこの作品の眼目で、とにかくテンポ良く、物語が弾んでいて、その実にオシャレな感覚に引き込まれる。特に、ソロ、デュエット、重唱、コーラスと、多彩に展開されるナンバーがいずれも佳曲揃いで、例えば『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』と言った、重さのあるオペラティック・ミュージカルにも全く引けを取らないスケールや、面白さがあるのには感心させられた。阿部裕、彩橋みゆ、高谷あゆみと言った、ミュージカルの常連組がアンサンブルに入っていて、ずいぶん贅沢な布陣だなと思っていたが、それもそのはず、彼、彼女らが歌うコーラスが、作品の面白さを何倍にもしているだけでなく、それぞれに大きな活躍の場があって、メインキャストだけでなく、全員で創り上げるミュージカルの醍醐味が満載。おとぎ話の絵本のように作られた装置(石原敬)や、カリカチュアされた振付(広崎うらん)が、作品の軽やかさを支えていて、それらをまとめた寺崎秀臣の演出にも日本人にも観やすい工夫が随所になされていて好感が持てた。

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そんな作品のウイットに富んだ楽しさを決定的なものにしたのが、次々と殺されていくダイスクイスメンバーを、早替わりに次ぐ早替わりで演じ分けた市村正親の怪演だ。もともとトニー賞受賞式を中継するテレビ番組に出演していたミュージカル界のプリンス井上芳雄が「日本でこの役を演じられるのは市村正親さんしかいない」と公言したことが、市村が作品を知った最初の機会だったそうだが、その後もブロードウェイで作品を観て来た誰もが「この役は市村さんにしかできない」と言い続け、市村本人がまだ作品を観ないうちに出演が決まったという逸話が、さもあろうと思える。この老若男女、時によっては数分しか出番のない役柄もあるダイスクイスの人々を、しかも数十秒レベルの早替わりにも関わらず、何の苦もなくと客席には思わせて、見事に演じ分けられるのは、確かに市村しかいないだろう。
特に、市村正親というミュージカルスターがもともと根底に持っているチャーミングさが、奇想天外な殺され方をするすべてのダイスクイスの人々の中に生きていることが、ブロードウェイ作品ならではのウィットを、日本の湿気に浸すことなくカラッと伝える力になっていて、あっという間に別人になって登場する市村を観るだけでも、十分入場料金以上の価値がある。何より、物語の主筋を担っているのは紛れもなくモンティなところを、こうきたか!と思わせるラストシーンで、すべてさらっていくのは、ミュージカル界のキングオブキング、市村正親ならではの離れ業。なんてシャレた終わり方!と思わせる観劇後の印象を、すべて市村が創り出しているのに脱帽だった。

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その物語の芯となる、モンティをWキャストで演じたウエンツ瑛士は、まず何よりも美しい二枚目として登場してきて、客席の視線を集める力がこの役柄に相応しい。失意の中にいるモンティが、思いもかけない自分の出自を知らされる。それでも彼はすぐに人を殺そうとする訳ではない。はじまりはほとんど偶然だし、綿密に立てられた計画もないまま、どこか運命のジェットコースターに乗ったかのようなウエンツのモンティは、深刻には悪びれずに、常にユーモアの香りも醸し出す。この感覚は、人が次々に死ぬことを笑い飛ばすこの作品に打ってつけで、観客が早替わりを続ける市村に興じると同時に、ウエンツのモンティを応援する気持ちに自然になれる魅力となっていた。次々と人を殺していくモンティが、全く予想外の容疑で足をすくわれる終盤の、非常に良くできた作劇の展開にも、モンティはどうなるの?という関心が高まるのも、このウェンツの魅力あってこそのこと。歌唱力も十二分だし、何より多くの役柄を鮮やかに演じ分ける市村に真向うから渡り合った経験は、大きな財産となるだろう。これからも積極的にミュージカルの舞台に関わって欲しい人材だ。

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一方の柿澤勇人は、1幕の序盤では、どちらかといえば声も弱々しく、動きも最小限に抑えて、社会の風に晒されていない子供のような無垢な演技を心がけていた。シルビアとのデュエット「あなたがいなきゃ」も透き通ったピュアな歌声だ。しかし、この作品では、殺人を犯すに連れて心が成長し、大人のモンティになっていく。柿澤はどちらかといえば、表情や動きで、モンティのずる賢さ、悪意や野望を表現するのではなく、心の機微を繊細に表現しようと、声のトーンを少しずつ地声に近づけて自信ありげな声を出したかと思えば、動きも少しずつオーバーにしていく。あくまで派手なリアクションやアクションは抑えめに、市村正親のダイスクイスを支える優しい演技だった。少しずつ心が成長し、モンティが変わっていく様を、伸びやかな歌で表現していたのが彼の特徴で、2幕の最後には、深みのあるバリトンを日生劇場の最後列まで響かせた、歌声の張りの強さはさすがというほかなかった(※柿澤勇人評・竹下力)。

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そんなモンティをめぐる女性たち、モンティを愛しているが、お金のない結婚はその愛を破壊すると、愛していない裕福な男と結婚するシベラのシルビア・グラブは、真剣な話をしようとしているモンティに「ドレスをまだ褒めてくれていない」と訴える、幼さと色っぽさを上手く共存させている。ピンクで統一された衣装も美しく着こなし、コミカルでありながら、愛のない結婚に覚える焦燥をにじませる按配も巧みだった。

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モンティが狙うターゲットの1人ヘンリーの妹フィービーの宮澤エマは、おとぎ話感を高めるシーソーに乗るシーンがピッタリの愛らしさの中に、役柄のやはりこの人もダイスクイスの一員だと感じさせる自意識過剰な振る舞いを、本人が大真面目故の可笑しみに持っていくことに成功している。これだけ可憐できちんと歌える宮澤は、ミュージカル界にとって貴重な存在。モンティをめぐるシベラとフィービーのやりとりも、もう1つの笑いどころとして楽しめるし、ドラマティックな歌声のシルビアに対してリリカルな歌声の宮澤が、良い対比となっていて、終盤近くに2人が歌う「邪悪な女」の盛り上がりに寄与していた。

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もう1人、モンティが次々と人を殺していく、つまりはこの物語を転がしていくそもそものきっかけとなる、ミス・シングルの春風ひとみは、洋画の世界から抜け出したかのような「老嬢」を生き生きと演じている。冒頭の出番から、再登場までに相当の時間が経過する中で、作品が求めるインパクトをきちんと残したのは、宝塚時代から長きに渡る女優生活を通じて、優れた演技派としての地位を確立し続けている春風ならでは。伸びやかな歌声が健在なのも嬉しい。

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他に、前述したようにアンサンブルのメンバーの活躍も素晴らしく、市村を筆頭に総力をあげた舞台が、出演者の力量によってあくまでも軽やかに弾んだことを喜びたい、優れたブロードウェイミュージカルの本邦初演になっている。

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 〈公演情報〉
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ミュージカル『紳士のための愛と殺人の手引き』
脚本・歌詞◇ロバート・L・フリードマン
作曲◇スティーブン・ルトバク
演出◇寺秀臣
出演◇市村正親、ウエンツ瑛士/柿澤勇人(Wキャスト)、シルビア・グラブ、宮澤エマ、春風ひとみ、阿部裕、小原和彦、香取新一、神田恭兵、照井裕隆、安福毅、彩橋みゆ、折井理子、可知寛子、伽藍琳、高谷あゆみ、RiRiKA
●4/8〜30◎日生劇場
〈料金〉S席13,000円、A席8,000円、B席4,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9:30〜17:30)
 
 

【取材・文・撮影/橘涼香(ウェンツバージョン) 取材・文・撮影/竹下力(柿澤バージョン)】



ミュージカルレビュー『歌会』 




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中山優馬の硬質な美が具現する天才クリエーター中原淳一の信念。『それいゆ』再演が開幕!

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太平洋戦争の混乱期に、色鮮やかなイラストで女性たちに光と希望を与え続けた天才クリエーター・中原淳一に中山優馬が扮する話題作『それいゆ』が、池袋のサンシャイン劇場で上演中だ(11日まで。のち福岡・小倉の北九州芸術劇場中劇場で14日〜15日、兵庫・新神戸オリエンタル劇場で19日〜23日まで上演)。

『それいゆ』は、戦中戦後の暗い時代にあって、夢を忘れなければ現実を生きることが難しい女性たちに、暮らしもファッションも心も美しくあれ、というメッセージを発し続けた挿絵画家・人形作家の中原淳一の人生を描いた作品。2016年の初演の大好評を受けて、同じ中山優馬主演で、愛原実花ほか1部キャストを入れ替えての再演となった。

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【物語】
太平洋戦争が日本全土に暗い影を落としていた1940年、中原淳一(中山優馬)は若くして挿絵画家・人形作家としての確固たる地位と人気を得ていた。戦に勝つためには、すべての贅沢は敵と見なされていたこの時代に、大輪のひまわりの花のように美しい女性たちの挿画を淳一が描き続ける雑誌『少女の友』は、多くの少女たちに夢と希望を与えるバイブルで、いつか舞台女優になる夢を抱きながら、生家の困窮と向き合っている大河内舞子(桜井日奈子)も、淳一の挿絵を心の支えにどうにか現実と折り合いをつける日々を過ごしていた。
そんなある日『少女の友』編集長の山嵜幹夫(佐戸井けん太)は、淳一に「挿絵の少女画をモンペ姿で描いてくれないか?」と持ちかける。「中原淳一の描く少女画は敵性文化。かつ華美にして優雅、これは時局に合わない」との軍部からの圧力を受けた山嵜は、淳一の画風の変更か、雑誌からの追放かの苦渋の決断を迫られていたのだ。懇願する山嵜に対し、淳一はあっさりと「ならば辞めます」と言い放つ。「美しく生きる」という信念を貫くことこそが、自らの使命だと信じる淳一にとって、時局にあった機能性だけを追求したモンペ姿の女性を描くことは、到底受け入れられることではなかった。激昂した山嵜と物別れになったあと、舞子や、淳一に歌の才能を高く評価されたことで、時代の荒波の中で歌うことを諦めていた心を奮起させた天沢栄次(施鐘泰)、自身もイラストレーターである助手の桜木高志(辰巳雄大)、『少女の友』の担当編集者の元内弥生(愛原実花)ら、淳一を慮る人々は、難局の中で創作の場を自ら切り開き、信念のままに突き進もうとする淳一をただ見守るしかなかった。戦中戦後の激動の時代、「美しく生きる」という信念を抱きながら活動を続ける淳一の、生涯をかけて貫こうとした思いの行方は?、そしてその果てに辿り着いた結末とは……?

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鮮やかな色使いと、今見てもモダンで華やかな女性たちを描き続けた中原淳一の存在は、様々な形で紹介され、多彩なグッズなども数多く発売されているから、現代の女性たちにも広く知られていると思う。けれども、中原が生きた戦中戦後の暗黒の時代に、これだけ優雅で華やかな絵柄を描き続けることが、どれほどの困難を伴うものだったかに、実感を持てる世代は年年歳歳少なくなっているのが現実だ。この舞台は、そんな困難の中にあっても、人は姿も心も「美しく生きる」べきだとの信念を貫き通す中原淳一の姿と戦いと苦悩を、丁寧に紡ぎだしていて、改めて中原が唱え続けた尊いメッセージに気づかせてくれるものになっている。しかもそこには大量消費やブランド信仰など、誰もが持っているものを持っていれば安心、という現代の風潮への厳しい批評眼も込められていて、ふと己を振り返る心持ちにさせられた。特に、人から押し付けられた価値観に染まってしまって、いつかそれが自分が選び取ったものだと思いこんでしまう恐ろしさについて、劇中の中原が力説する件には、今の世の中に最も大切なメッセージが込められていて、胸に深く刺さるものがあった。

そんな作品で、信念の人中原淳一に扮した中山優馬の、硬質な美と鋭さを併せ持った真っ直ぐな芸風が、作品の芯に相応しい存在としてそそり立っている。誰もが国民服を着、モンペ姿でいることが美徳とされた時代に、真っ白のスーツに、カラフルな色合いの蝶ネクタイという出で立ちで登場する中原の、天才であるが故の特異さや、信念を貫くことを自分だけでなく周りの人間にも強いてしまう厳しさを十二分に作中に描いて尚、中原が決して傲慢にも、冷たくも見えないのは中山の持つスター性によるところが大きい。それはすなわち中原淳一という天才クリエーターが持っていたはずのカリスマ性に、直結するものに他ならず、初演から1年を経ずしての再演を成し遂げた原動力となったことにも納得の主演ぶりだった。究極の美を求め続ける中原が、苦悩の中で見せる孤独感の表出も見事で、何よりこうした時代があり、中原淳一というクリエーターが如何に時代と闘いながら己の信ずる道を全うしたかを、人気アイドルでもある中山が主演したことによって、若い世代に広く知らしめる機会にになったことは、非常に大きな意義があった。脚本の古家和尚、演出の木村淳、美術の中村知子ら、スタッフワークの真摯さと共に、企画そのものにも拍手を贈りたい。

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そんな中原の生き様と時代に翻弄される人々では、流転の人生を強いられながら中原の描く美しき女性たちへの憧れを、心の底に持ち続けた大河内舞子の桜井日奈子が、本人の持ち味にぴったりのふっくらと柔らかい乙女の姿から、家の為にした望まぬ結婚からどん底の暮らしを経て、再生していくまでを、様々な表情で描き出している。この舞台で女優デビューをした桜井にとって、この再演の機会もまた貴重な経験であったろうことはもちろんのこと、どこかにクラシックな持ち味があるのも作品に良くあっていて、将来に期待を抱かせた。
作品の語り部的存在でもある歌手の天沢栄次の施鐘泰は、時代の価値観にがんじがらめになっていた冒頭から、中原に感化されていき、最後には唯一の理解者ともなる人物を温かく演じている。役柄に相応しい美声も実に効果的で、これぞ適材適所の配役。起用に応えた好演が素晴らしい。
孤高の存在であるが故に、ある意味世間とは相容れない中原をサポートし続ける桜木高志の辰巳雄大は、非常に難しい天才との付き合いの中で、言うべきことは言いつつ結局は補佐している人の優しさがよく伝わってくる。この人物の気苦労が容易に想像できるだけに、後半の中原との意見の食い違いの切なさが増し、役柄の行動に同情できるのは、辰巳の存在感と役作りあってのことだろう。

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中原に心酔する編集者元内弥生の愛原実花は、決して多いとは言えない出番の中で、的確に役柄の思いを伝える演技力が際立った。編集長と中原との間に立って、なんとか場を納めようとしたり、また編集長の本音をズバリと言い当てたりする芝居の中で、あくまでも中原の才能を信じている女性としての立ち位置が揺るがないことが、作品の大切なポイントとなっている。モンペ姿でも尚光るスタイルの良さも健在で、良い助演だった。
舞子の夫となる五味喜助の金井勇太は、徹底的な俗物を堂々と活写。美を求める中原との対比を表す存在として、十二分なインパクトがあり、その姿が臆面もなく下卑ているが故に、終幕の心根にハッとさせられる大きな役割を果たしていた。中原のようにどんな時代にあっても信念を貫ける人が稀なことを思うと、この人物の行動は軽々しく非難できず、更に哀切を伴ったのは金井の地力に違いない。
もう1人、中原の才能を高く評価するが故に、そのブレない生き方に嫉妬も覚えていく編集長、山嵜幹夫の佐戸井けん太は、自身に十分能力がありながら、天才を前にして気持ちが揺れる、謂わばインテリジェンスからくる懊悩をよく表現している。特に時代が移り行く中で、役柄が重ねた年輪、老いを自然に身にまとっていく演技が絶妙で、さすがはベテランの味わい。作品の重石となっていた。

他に、中原が求める「究極の美」を観客の想像力に委ねたり、信念を貫き通す中で抱える自己肯定への苦悩や怯えを、マスクの登場人物と人形で表わした幻想的なシーンなど、目を引く仕掛けが随所にあり、すべてが浄化されるラストシーンの美しさと共に、見応えある舞台となっている。

初日を控えた4月5日公開舞台稽古を前に、囲み取材が行われ、主演の中山優馬をはじめ桜井日奈子、施鐘泰(JONTE)辰巳雄大(ふぉ〜ゆ〜)、愛原実花、佐戸井けん太など、メインキャストが公演への抱負を語った。

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施鐘泰(JONTE)、桜井日奈子、佐戸井けん太、金井勇太、愛原実花

【囲み取材】

──いよいよ再演と言うことですが、1年を待たずに再演が決まった時にはどう思われましたか?
中山 すごく早い再演だったので、本当にありがたく嬉しく思いました。再演ができるということは、劇場に足を運んで頂いたお客様に評価を頂けたということなので、嬉しいです。
桜井 私はこの舞台で女優デビューさせて頂いたので、そんな舞台の再演でまた皆さんと一緒にお芝居できることが本当に嬉しいです。

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──皆さんと合流した時には喜びもひとしおだったのでは?
中山 本当に先輩方がたくさんいらっしゃる中で、懐かしさもすでにあって、ファミリーの中に帰ってこられたような気分もありました。
──内容はほぼ変わらないのですか?
中山 そうですね。より進化した『それいゆ』になっています。
──衣装も少し変わりましたか?
中山 はい、グレードアップしまして、気合いが表れています。
──役柄としてはどうですか?
中山 素晴らしい役どころを頂いておりますし、お芝居って本当に楽しいなと日々思うことばかりです。
──前回は拝見していて涙が止まりませんでしたが。
中山 ありがとうございます!
──そういうファンの方からの反響も聞こえてきましたか?
中山 嬉しいお声をたくさん頂いて、だからこそこの再演ができるということで、今日ゲネプロ、明日本番とやる気でいっいっぱいです。
──その中でお稽古はまた1からでしたか?
中山 はい、立ち稽古に入るまでから、ガッツリとやりました。
佐戸井 ガッツリだったね。

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──佐戸井さん、再演についてはどうですか?
佐戸井 それは嬉しいですよ。再演できるっていうのはそんなにたくさんある話ではないので、こういうお話を頂いてこのメンバーでまたやれるというのが、本当に嬉しいなと思って、稽古初日などはドキドキしました。
──セリフはすぐ出てくるものですか?
佐戸井 忘れているつもりでも、やってみると結構出てくるじゃないかと。まだまだボケてないなと(爆笑)。
──本当にアットホームな雰囲気ですが、その中で愛原さんは初参加ということですよね?
愛原 はい、緊張したのですけれども、キャスト、スタッフの方々が皆温かくて、なんとかご一緒させて頂けているという感じです。

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──実際入ってみてどんな雰囲気でしたか?
愛原 すごく皆さん仲が良くて、さすがは1つの舞台を創って来た方々で、私も客席で観ていて泣いてしまって、客観的に感動したので、絶対にお客様にもすごく感動して頂けると思います。
──また、前の公演の時には日奈子ちゃんトレーニングがあったと聞いていましたが、今回は?
中山 今回もこの可愛い顔でガッツリやられました(笑)。
──どんなことをしたんですか?
中山 日奈子式トレーニングで、声を出して身体を動かして、鬼教官でした(笑)。
──(笑っている桜井に)笑っていますが、鬼だったんですか?(笑)
桜井 鬼じゃないです(全員爆笑)。
──(全員が口々に「日奈子式トレーニングを知らない人もいるよね?」と言い合うのを受けて)ちょっとここでやってもらえますか?
中山 今ですか?
佐戸井 えっ?ここでやるの?
桜井 じゃう私も一緒にやりますね(全員で両手を広げて腰を落とし、桜井の掛け声と共に「あ〜はい!あ〜はい!」と声を出しながら動く)。
中山 ありがとうございました!(笑いと拍手)。
──シゴキは大丈夫ですか?
桜井 いえ、これから本番なので疲れさせてはいけないので…
佐戸井 (「優しい!」「ありがとう」とまた口々に声があがるのを受けて)本当はこんなもんじゃないんです(笑)
辰巳雄大 もっと楽しそうにやられてますよね(笑)
──そんな鬼教官でありつつ、締まった感じがしますよね?
中山 そうですね。この舞台で女優デビューをされて、そして今回二十歳を越えて1回目の舞台ということで、歴史的な舞台になられたと思うので、そこに一緒に出られるというのはありがたいですね。

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──二十歳を越えてということは、お仲間同士でお祝いなども?
中山 皆で寄せ書きをしてプレゼントさせて頂きました。
──何か心に残るものも?
桜井 中原淳一さんの絵の裏に皆で寄せ書きしたものを頂いたんですけれども、金井さんからの「そんなに、連続で、いい仕事、夢のようだ」と書かれたメッセージにズキンと来ちゃって。
金井 「そ」んなに「れ」んぞくで「い」い仕事「ゆ」めのようだ、だよ?これ縦に読んでみて?
桜井 えっ?
辰巳 後ろ見て?後ろ!(ポスターの「それいゆ」を指して)これ、これ!
 「そ」んなに、「れ」んぞくで、「い」い仕事、「ゆ」めのようだ!
桜井 (初めて気づいて)えー!?キャー!!
金井 俺が本当にそんなこと思ってると思ってたのかよ!(笑)思ってるよ!このヤロー(爆笑)。
辰巳 俺も思ってるよ!(笑)
桜井 そうだったんですね!ごめんなさい、知らなかった! 
 やっぱり丸で囲まないとダメだったんだね(笑)。
──皆さんは気づいてたんですよね?
 全員気づいてました。
桜井 すみません!
金井 良かった、良かった、気づいて。
辰巳 忘れ去られるところでしたよね(笑)。

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──こうして可愛い日奈子ちゃんを中心にしつつ、座長としてはまた身を引き締めてということになりますね?
中山 そうですね。本当にこの日を楽しみにしておりましたし、楽しみにしてくれているお客様がいらっしゃいますので、全力を注いで、皆で1つの作品を作りたいなと思います。──まず池袋サンシャイン劇場で、そしてこの後地方にも。
中山 はい、小倉の方にも行かせて頂いて、その後神戸の方にも行かせて頂くので楽しみです。
──何か楽しみにしていることはありますか?
中山 やっぱり地域によってお客様の感性や反応も多少違ったりもするので、それが舞台の良いところで、生の空間で生のエネルギーを受け取れるのが1番楽しみなところです。
──北九州と神戸で、何かピンポイントでは?
中山 ピンポイントというと、やっぱりご飯じゃないですか?神戸は?
佐戸井 南京町とか、中華街ね。
──北九州は?
佐戸井 屋台あるのかな?
辰巳 小倉はどうなんでしょう?
 屋台は博多が有名ですけど。
中山 でもそういうイメージがありますから、色々行きたいですね。
──皆さん仲が良いので、どこかで目撃されるかも?
中山 美しくご飯を食べていたいですね(笑)。
愛原 テーマは!
全員 美しく!
──ではファンの皆様にメッセージをお願いします。
中山 舞台『それいゆ』再演はじまります。本当に全力を注いで稽古をしました。素晴らしい作品に仕上がったと思いますので、是非劇場でお待ちしております。

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〈公演情報〉
『それいゆ』
脚本◇古家和尚
演出◇木村淳(関西テレビ)
出演◇中山優馬
桜井日奈子、施鐘泰(JONTE)、辰巳雄大(ふぉ〜ゆ〜)、愛原実花、金井勇太、佐戸井けん太 他
●4/6〜11◎東京・サンシャイン劇場
〈料金〉9,000円 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10時〜18時)
●4/14〜15◎福岡小倉・北九州芸術劇場 中劇場
〈料金〉9,000円 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉スリーオクロック 092-732-1688(平日10時〜18時半)
●4/19日〜23◎兵庫・新神戸オリエンタル劇場
〈料金〉S席 9,000円、A席、6,000円(全席指定・税込)※未就学児入場不可
〈お問い合わせ〉 梅田芸術劇場 06-6377-3888(10時〜18時)
 
 http://www.ktv.jp/event/soleil/index.html



【取材・文・撮影/橘涼香】




水夏希主演!リーディング「パンク・シャンソン」〜エディット・ピアフの生涯〜 




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ささやかで壮大な家族と愛と発明の物語『エジソン最後の発明』が開幕!

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2017年4月2日、三軒茶屋・シアタートラムにて、『エジソン最後の発明』が開幕した。
青木豪が7年ぶりに、作と演出両方を手がける本作は、キャスト8名によって、巧みに組み上げられた、アンサンブルが光る、味わい深い会話劇となった。

物語の舞台は、東京の下町。その町には様々な部品をつくる小さな工場がいくつも並び、街角のどこからか、作業の音とともにラジオの音が流れてくる…..。そんな変わらぬ同じ朝が、今日も始まる町。町工場「糀谷興業」の社長の真一郎(小野武彦)は、息子夫婦と共に町工場を経営している。既に妻を亡くし、娘の深春(みはる/瀬奈じゅん)は、ラジオ局でパーソナリティをしている。

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ある日深春は、ディレクター仲木戸(なかきど/東山義久)と共に、実家の近所の町工場にロケ取材にやって来ることになった。取材先の油木製作所は、油木恒夫(あぶらぎつねお/八十田勇一)とその甥の博之(武谷公雄)が切り盛りをしている。工場主である今は亡き博之の父は、父の真一郎と旧き親友だった。
恒夫は未婚で初老を迎え、博之はかつて医大を目指しながらも今は工場を継ぎ、少し暗い感じのする青年だった。収録現場には、真一郎や、深春の兄夫婦(岡部たかし、安田カナ)、深春の大ファンだという中学の後輩・麦子(まりゑ)等も集まってきていたが、深春は何だかぎこちない。実は深春と仲木戸は恋人で、互いに結婚を考えているのだが仲木戸はバツイチ。深春は父の反対を恐れまだ仲木戸を紹介できずにいる。できればまだ二人を会わせたくなかった。

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そんな折に実家近くでロケをすることになってしまった。しかし真一郎は仲木戸が娘の恋人だとも知らず、ラジオの中継のシステムに興味を示し、仲木戸を質問攻めにしているうちに、二人は、量子論の話やトーマス・エジソンが最後に発明に没頭していたという“死者と話す通信機”の話で意気投合。真一郎はなんと自らその“死者と話す通信機”の発明に着手しているという。あまりの没頭ぶりに周りは心配をしているようだ。

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慌ただしく中継は始まったが、博之は、番組の内容と関係ない自分の長年のわだかまりを生放送中に喋りだした。それは父の親友であったはずの糀谷真一郎への疑念。過去に何があったのか、深春と仲木戸の恋の行方は、そして真一郎はなぜ死者と話す通信機を作ろうとしているのか。2つの家族を巻き込みながら、工場の街角で繰り広げられる、”ささやかで壮大な”会話劇だ。

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登場人物の誰もがどこか愛らしく、小気味良い密度の高い会話は、下町に根付くご近所関係を垣間見せる。作・演出の青木豪が、その声を聞き“ラジオパーソナリティ”という職業を着想したという魅力的な声を持つ、瀬奈じゅん演じる深春は、チャーミングで、元宝塚トップスターである一面とは、また全く異なり、働きながら結婚に悩む、現代的な女性をリアルに演じている。

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華麗で耽美的なダンスパフォーマンスの印象が強い東山義久も、今回踊りは封印。ラジオ局のディレクターでバツイチという、今までに無い役どころで新たな魅力を見せている。小野武彦演ずる真一郎は、技術系の少し偏屈だが温かみ溢れる父親で、この町の父親たちの象徴ともいえるような、空間全体を包み込む存在感を発揮している。
実力派俳優たちが演ずる登場人物それぞれのキャラクターは個性的で粒立ち、それぞれのバックグラウンドや人物、人間模様が丁寧に描かれている。会話の妙や予想外の展開に、見逃せないあっという間の1時間50分だ。桜咲く春にふさわしい情感溢れる珠玉の作品となった。

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公演に向け、作・演出の青木豪は、「今、僕が出せる全てを出し切った作品です。素敵なキャスト・スタッフに恵まれ、とても良い作品になっていると思います。一度だけでなく2度3度と見ると、なおも深みを増す作品になっています。是非ご覧下さい。」と述べた。また、瀬奈じゅんは「今日、とうとう皆様の前にお披露目できる事が凄く楽しみです。生の舞台はお客様が客席に入られる事で完成するものなので、私もどんな完成形が出来上がるのか、ワクワクしています。皆様も楽しみにしていて下さい。」と意気込みを述べた。
公演は23日までシアタートラムにて。その後、名古屋、大阪公演もあり。


〈公演情報〉
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『エジソン最後の発明』
作・演出◇青木豪
出演◇瀬奈じゅん 東山義久 岡部たかし まりゑ 安田カナ 武谷公雄 八十田勇一 小野武彦
●4/2〜23◎東京 シアタートラム
〈料金〉7,500円 学生券3,500円(全席指定・税込) 
5/1◎名古屋 青少年センター アートピアホール
5/2・3◎大阪 サンケイホールブリーゼ
〈お問い合わせ〉キューブ 03-5485-2252(平日12:00〜18:00)


【資料提供/キューブ 撮影/桜井隆幸】


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神田沙也加の魅力が弾けるハッピーミュージカル!『キューティ・ブロンド』

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勉強も仕事も全力投球!のピンクをこよなく愛するキュートなブロンドガール・エルのポジティブな生き方を描いたハッピーミュージカル『キューティ・ブロンド』が、日比谷のシアタークリエで上演中だ(4月3日まで。のち名古屋、高松、大分、福岡、広島、静岡、福井、大阪の全国公演もあり)。

ミュージカル『キューティ・ブロンド』は、2001年に公開され喝采を集めた映画『Legally Blonde』(邦題『キューティ・ブロンド』2002年日本公開)を原作に、2007年に誕生したブロードウェイミュージカル。ハッピーで爽快なストーリーと、ポップな音楽は多くの観客の心を掴み、トニー賞7部門ノミネート、イギリス・ウェストエンドではオリヴィエ賞3部門を受賞するなどの、大ヒット作品となった。その後、オーストリアや韓国をはじめとした世界で上演され、いずれも成功を収めている。今回のシアタークリエでの公演は、そんな作品の本邦初演であり、持ち前のポジティブさで、周囲の偏見や困難を吹き飛ばしていくヒロイン・エル役に神田沙也加が扮したのをはじめ、強力な出演者が揃い、明るくハッピーなパワーを漲らせている。

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【STORY】

オシャレが大好きな美しいブロンドの女子大生エル(神田沙也加)は、学生寮デルタ・ヌウで友人たちと自由な学生生活を謳歌していたが、ある日、婚約間近!と信じていた彼氏のワーナー(植原卓也)に突然フラれてしまう。しかもその理由たるや「上院議員を目指す自分の妻にブロンド娘は相応しくない」という一方的かつ、偏見に凝り固まったものだった。
到底納得が行かないエルは、一念発起して猛勉強の末、ハーバード大学のロー・スクールに見事合格する。しかしブロンドで、テーマカラーであるピンクのファッションに身を包むエルは、学内でも偏見の目にさらされ、黒髪の美女ヴィヴィアン(新田惠海)や、クラスメイトから学業に真剣ではないと非難を浴びる。しかもワーナーが生涯の伴侶にと選んだ女性はヴィヴィアンだった。
失意のうちに自分も黒髪に染めようと、短気を起こして飛び込んだ美容院で、エルは良き理解者ポーレット(樹里咲穂)に出会う。また、ハーバードで教鞭を採るキャラハン教授(長谷川初範)の助手を務める、ハーバードの卒業生エメット(佐藤隆紀)から、元カレを取り戻したいだけが目的で、ロー・スクールに通うことは間違っていると諭されたエルは、エメットの助けにより、真剣に法律を学び始める。
かくして外見も内面も磨きをかけたエルは、キャラハン教授の弁護士事務所のインターン生に選ばれるが、担当することになったのはなんとデルタ・ヌウの先輩であるブルック(木村花代)が被疑者となった殺人事件。デルタ・ヌウの固い絆で、エルはブルックから鉄壁のアリバイを聞きだすが、それは決して口外できない秘密だった!エルは果たして、秘密を守ったままブルックの無罪を証明することができるのか?そして、元カレのワーナー、更に次第に心を通わせていくエメットとの恋の行方は?

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舞台は冒頭からエルの人生を象徴する、つまり作品のテーマカラーであるピンクに彩られて、まず何を置いても目に楽しい。「ピンク愛好」は元々多くの女の子の通過儀礼と言っても過言ではないものだし、とにかく色そのものがハッピーなオーラを持っていて、単純に言えば気分がアガる効果がある。特にこの春は、もう何回目になるのかわからない、ピンクの大ブームが起きていて、どこのブランドもこぞってピンクの新作を発表しているし「大人女子がイタく見られないピンクの取り入れ方」などという特集がファッション雑誌を席巻している。まさにそんな春に、これだけ前向きで、恋にも、勉強にも、仕事にもへこたれない全身ピンクをまとったヒロイン・エルの活躍するミュージカルが、本邦初演の幕を開けたのには、何かのはからいとしか思えないタイムリーさがあった。
作品の明るさと、どこか劇画チックで夢いっぱいの魅力を、てらわずに直球で提示してくれた翻訳・訳詞・演出の上田一豪の仕事ぶりも爽やかで、東京公演のチケットが瞬く間に全席完売、追加公演も、当日券も争奪戦という状況も、むべなるかな。確かにこんなにポップで楽しいミュージカルには、ここしばらくお目にかかっていなかったように思う。重厚な悲劇ももちろん堪能するし、哲学的なテーマや深い心理描写を長く反芻もするけれど、一方で、明るく、楽しく、キュートでハッピーも、実にイカしているものだ。
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そんな作品そのものが持つパワーを十二分に客席に伝えてくれたのが、とびきりキュートなブロンドガール・エルに扮した神田沙也加の存在に違いない。劇中で様々にエルが着こなすピンクを基調とした衣装は実に17着! そのどれもが、夢のように似合っている。しかも、もともと日本人が一番挑戦しにくい髪色はプラチナ・ブロンドなのだが、その髪色さえ持って生まれたものかと見紛うほど自分のものにしていて、まるで可憐なお人形が目の前で動き出したかのよう。そこに豊かな表情と、華やかで明るい声質で歌われるミュージカルナンバーが相まって、一も二もなくヒロインを応援したくなる、タイトル通りのキューティ・ブロンドぶりが鮮やかだった。まさに当代の当たり役を引き当てた格好で、ミュージカル女優神田沙也加にとっても、『キューティ・ブロンド』という作品にとっても、そしてもちろん観客にとっても、これはピンク色に染まった幸福な出会いだった。

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そのエルの良き協力者となるエメットの佐藤隆紀は、ミュージカル界での経験を重ねて、豊かな声量でねじ伏せる類いのグランドミュージカルとは全く異なる、こうしたウィットと軽さを必要とされる作品にも、きちんと対応できるようになった、俳優としての進化に顕著なものがある。どこか朴訥とした温かさがある個性も役柄によく合っていて、この経験で役幅も更に広がることだろう。更なる活躍を期待したい。

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「ブロンド=綺麗なおバカさん」という、古典的すぎる概念に凝り固まっているエルの元カレ、ワーナーの植原卓也は、1歩間違うととてつもなく嫌な奴になりかねない役柄を、本人の二枚目ぶりが救っている。持ち味にシャープさがある人だけに、思いこみと勘違いが大きく笑いに転換されて、嫌味にならなかったのはたいしたもの。こうした役回りを綺麗に決められる人は貴重で、植原にとっても今後につながる舞台になったと言えるだろう。

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もう1人のエルの良き理解者ポーレットの樹里咲穂は、歌って踊れる実力派なことはもちろんだが、宝塚時代から変わらずに持ち続けている良い人オーラが、こうした温かい姉御肌の役柄にピッタリと生きている。ポーレットが美容師であることが、のちの展開にちゃんと関わってくる脚本の巧みさと、ポーレット自身にも恋の成就が訪れる温かさとが、このハッピーミュージカルを更に彩り豊かなものにしていて、目が離せない存在感を放ったのが素晴らしい。

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優等生の黒髪の美女であり、ワーナーの現彼女ヴィヴィアンの新田惠海は、このところ活発化する一方である声優界からミュージカル参入を果たした1人。もともと音楽大学在学中はミュージカルに没頭していたという経歴の持ち主でもあって、こうしたクロスオーバーは、本人も望むところなのではないだろうか。ピンクが正義の舞台で、黒1色という役柄はなかなかに難役だったと思うが、これをきっかけに是非幅広く活動を続けて欲しい。

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エルがロサンゼルス市立大学時代に会長を務めていた社交クラブ「デルタ・ヌゥ」の先輩で、ある事件の被疑者となるブルックの木村花代は、カリカチュアした役作りで視線をきっちりと集めて堂に入ったもの。2幕冒頭のアクロバティックなダンスナンバーも見事にこなし、劇団四季時代の可憐なヒロイン女優というイメージから、キャラクターも演じられる良い女へと変貌しているのが頼もしい。

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ハーバード大学で教鞭をとるキャラハン教授の長谷川初範は、登場した刹那から食わせ物感があるのが、役柄を立体的に構築している。エルにセクハラまがいの行為もする、ある意味型にはまった問題ありの権力者を、物語が求めた通りに描写していて手堅い。場面によってはコミカルな動きもあり、それをちゃんと面白く見せて尚、単純な良い人には決して見えないのがベテランならではの妙だった。

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他に現実の友人としてだけでなく、エルの心象風景のコロスとしても登場するセリーナの中村百花、マーゴの真瀬はるか、ピラーのダンドイ舞莉花、イーニッドの武者真由、他、青山郁代、エリアンナ、北川理恵、濱平奈津美、上野聖太、加藤潤一、高世雄史、古川は隼大のアンサンブルの面々が、八面六臂の活躍をするのが、このミュージカルの楽しさでもあって、全員にそれぞれの形で大きな見せ場があり、それが有機的に機能しているのに驚かされる。カンパニー全員にさぞやり甲斐があるだろうし、誰が欠けても成立しない舞台だからこその、弾けるエネルギーがなんとも明るい。総じて、これぞ適役の神田沙也加以下、充実したピンクの魔法にかけてもらえるハッピーなミュージカルの誕生を喜びたい


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〈公演データ〉
ミュージカル『キューティ・ブロンド』
音楽・詞◇ローレンス・オキーフ&ネル・ベンジャミン
脚本◇ヘザー・ハック
翻訳・訳詞・演出◇上田一豪
出演◇神田沙也加、佐藤隆紀(LE VELVETS)、植原卓也、樹里咲穂、新田惠海、木村花代、長谷川初範 他
●3/21〜4/3◎日比谷・シアタークリエ
〈料金〉10.800円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777
●4/5〜6◎愛知県芸術劇場大ホール
〈料金〉S席11.000円 A席7.000円(税込)
〈お問い合わせ〉キョードー東海 052-972-7466
●4/8◎高松・レクザムホール 大ホール
〈料金〉7.200円 親子ペア席 10.000円 (税込)
〈お問い合わせ〉県民ホールサービスセンター 087-823-5023
●4/12◎大分・iichikoグランシアタ
〈料金〉S席7.000円、A席5.000円、B席3.000円、U25割(25歳以下)各席種半額(税込)
〈お問い合わせ〉大分県芸術文化スポーツ振興団体 097-533-4004
●4/15〜16◎福岡・キャナルシティ劇場
〈料金〉S席9.800円、A席8.000円(税込)
〈お問い合わせ〉キャナルシティ劇場 092-271-6062
●4/18◎広島・JMSアステールプラザ大ホール
〈料金〉8.500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉TSS事業部 082-253-1010
●4/20◎浜松市浜北文化センター大ホール
〈料金〉S席1.1000円、A席7.000円(税込)
〈お問い合わせ〉キョードー東海 052-972-7466
●4/23◎越前市いまだて芸術館
〈料金〉前売り5.000円、当日5.500円(税込)
〈お問い合わせ〉越前市文化振興・施設管理事業部 0778-42-2700
●4/27〜30◎メルパルクホール大阪
〈料金〉10.800円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 06-6377-3888


【取材・文・撮影/橘涼香】



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