えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

『大人のけんかが終わるまで』

OG公演会見

吉田鋼太郎・黒木瞳の『シラノ・ド・ベルジュラック』開幕!

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フランス古典劇の傑作として、今尚世界中で上演が繰り返されている純愛物語を、エンターテイメント性あふれる冒険活劇作品として描き出した舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』が、5月15日、東京日比谷の日生劇場で開幕した(30日まで。のち、6月8日〜10日兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールで上演)。
 
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『シラノ・ド・ベルジュラック』は1897年に初演されたフランスで最も人気の高い傑作戯曲。上演されるやいなや、パリ中を虜にした舞台と言われ、自らの容姿に対するコンプレックスから思いを告げられない剣豪シラノの純愛が、1世紀を経た今も、世界中で愛され続けている。
日本でも近年盛んに上演されてきたミュージカル版を含めて、長く親しまれている名作だが、今回はシェイクスピア作品など、古典劇の第一人者として揺るぎない評価を得ている吉田鋼太郎を主人公、シラノ・ド・ベルジュラックに迎え、シラノが秘めたる思いを寄せる麗しき才女ロクサーヌに黒木瞳。そのロクサーヌと恋に落ちるものの、詩心を持たない美しき剣士クリスチャンに大野拓朗と白洲迅のダブルキャスト。をはじめとした魅力的なキャスト陣が集結。マキノノゾミ&鈴木哲也の上演台本、鈴木裕美の演出、清塚信也の作曲と生演奏による音楽という、強力なスタッフワークとで、エンターテイメント性に満ちた、古典劇への真っ向勝負!という爽快な舞台が展開されている。
 
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【STORY】
 
17世紀中頃のバリ。ガスコン(ガスコーニュ生まれ)青年隊に属する近衛騎士シラノ・ド・ベルジュラック(吉田鋼太郎)は、類稀な詩の才能と、天下一の剣の腕を併せ持ち、権力や虚栄を嫌い誰に対しても己の正義を貫く熱血漢として知られていた。だが、彼は自身の人並み外れた大きな鼻に強いコンプレックスを抱えていて、美しい従姉妹ロクサーヌ(黒木瞳)への恋心を打ち明けられずにいた。
そんなロクサーヌから「とても大切な内密のお話がある」と呼び出されたシラノは、美しい従姉妹への自分の思慕が通じたのでは?との期待を抱くが、ロクサーヌから告げられたのは、彼女がシラノと同じガスコン青年隊に入隊する見目麗しい剣士クリスチャン(大野拓朗・白洲迅ダブルキャスト)に恋をしたので、その仲立ちをして欲しいという残酷な頼み事だった。
それでも愛するロクサーヌの為にクリスチャンに会ったシラノは、彼が裏表のない好青年であると知り安堵したものの、クリスチャンの詩心のなさに困惑する。美しい容姿には美しい心と言葉が宿っていると思い込んでいるロクサーヌを失望させない為にはどうするか。シラノは一計を案じ、クリスチャンに代わって暗がりから自らが愛の言葉を紡ぐ。それはせめて言葉だけでもロクサーヌに愛されたいという、シラノの切ない願いが込められた謀りごとだったが、その言葉がクリスチャンから出たものと信じて疑わないロクサーヌは有頂天になり、二人は相思相愛の仲となり電撃的に結婚する。ところがこの結婚が、やはりロクサーヌに横恋慕していたド・ギッシュ伯爵(六角精児)を激怒させ、伯爵の命によりガスコン青年隊は戦況厳しい戦地の前線へと送られる。そんな生死の境目にあって尚、シラノは危険を冒して毎日クリスチャンの名でロクサーヌに恋文を送り続けるが……
 
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20分間の休憩を挟んで、3時間15分強、本編のみでほぼ3時間という長尺の舞台に改めて接して感じたのは、この騎士道精神や、友情、真っ直ぐな心意気、更に人を見た目で判断してはいけない、という普遍的なテーマが詰まった古典作品の、その普遍性そのものが、揺らぎはじめているのだという現実だった。
何しろ、利に敏く、空気を読み、忖度して立ち回れる人間だけが安泰に暮らせるのが今の世の中だし、気持ちを伝える手段は、キラキラのスタンプひとつで事足りて、手紙どころかメールでさえも「そんな面倒なものを書かなければならないのか?」と、社会人になってみて、初めて悲鳴をあげる人も少なくないと聞く。そんな時代に、立身出世に目もくれず、自分の信念を曲げずに悶着を起こし、自らを窮地に追い込む主人公、シラノ・ド・ベルジュラックの生き方は、ある意味では道化的に見えてしまいかねないし、クリスチャンの美しい容姿に恋をしたロクサーヌが、容姿に相応しい美しい言葉が得られないことに失望する様は、夢見勝ちの乙女らしい思い込みを通り越して、エキセントリックな変人に映ってしまうかも知れない。この物語の普遍性は、実は相当危うい岐路に立っている。
 
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そんな現代に『シラノ・ド・ベルジュラック』を、本来の輝きを保ったまま世に問う為に、マキノノゾミ&鈴木哲也の上演台本と、鈴木裕美の演出は、徹底的なエンターテイメント性を追求する仕掛けに打って出た。まず楽士として登場する『のだめカンタービレ』『コウノドリ』等で知られるピアニストにしてコンポーザー清塚信也の生演奏が、古典作品の中に適度な現代の香りを呼び込むことに成功している。役者たちと時にセッションし、時にガスコン青年隊が合唱し、時に甘いバルコニーシーンを甘美に彩り、時に戦いの場を盛り上げる。清塚のピアノから生まれ出る自在な音楽が、作品に今の風を呼び起こしライブ感を高めてくれる。

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更に台詞の中に、びっくりするような現代の日本の名前が飛び出すといった風刺に富む設定に加え、武勇伝として語られるだけではなく、実際にシラノが100人斬りの大立ち回りを本気で披露するにはじまる、徹底的なケレン味が作品に冒険活劇の香りを立ち上らせて飽きさせない。
二村周作の装置も、大がかりな転換を実はしていないことが信じられないほど、場面毎に色を変え、原田保の照明と相まってスピーディーなドラマ運びに貢献している。演出の鈴木が「高級大衆演劇」を目指す、と打ち立てた目標通りの舞台創りが巧妙だ。
それでいて、この作品の芯の部分、純愛の尊さ、容姿によるコンプレックスの切なさ、人が人を思う美しさ等が、豪快なケレンと現代感覚の中に埋もれることなく立ち現れたのは、シラノに扮した吉田鋼太郎をはじめとした、キャスト陣の高い地力と、適材適所ぶりが生んだ力技に他ならない。
 
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実際、シラノの吉田鋼太郎の優れた台詞術、きめ細かい表現力、抜群の身体能力によるシャープな殺陣の数々等、その一挙手一投足の素晴らしさには、ただ感嘆するばかり。吉田のシラノの才気があまりにも輝いていて、確かに大きな鼻だが、それがいったいどうしたのだろう?という気持ちにすらさせられる。吉田のシラノが中心にいる限り、どれほどの仕掛けが施されていても、この『シラノ・ド・ベルジュラック』は、傑作古典劇としての輝きもきちんと押さえることができる。ただ吉田ひとりを観る為だけにでも、この芝居の客席に座る価値は確実にチケット代金以上のものがある、とさえ思える好演だった。
 
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その吉田シラノが生涯の純愛を捧げるロクサーヌの黒木瞳は、可憐な役柄に相応しい容姿だけでなく、台詞回し、ドレス捌きなどの立ち居振る舞いすべてが美しく、劇中に登場するほとんどの男性に愛される役柄に説得力を与えている。ロクサーヌの思い込みの激しさが、決して奇矯に映らず微笑ましさに変換されるのも、黒木の天性のヒロイン役者としての華あってこそ。吉田たっての希望で実現した出演と聞いているが、その思いに間違いのない適役だった。
 
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そんなロクサーヌと恋に落ちるクリスチャンは、ダブルキャストで大野拓朗を観たが、この役に必要不可欠なとびっきりの美しさの中に、適度に天然な風味があるのが打ってつけで、こちらも絵に描いたようなクリスチャンを造形している。シラノの本心に気づいてからの潔さも大野の誠実な持ち味が支えていて、個性の異なる白洲迅が同じクリスチャンをどう演じてくれるのかにも期待が膨らんだ。
 
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彼らの運命を操るド・ギッシュ伯爵が、ただの嫌味な敵役にならなかったのは演じた六角精児の味わい深いキャラクターと演技力あってこそだし、シラノが彼の為に100人斬りを請け負う「親友」ラグノーの石川禅が、可愛らしいと言いたいほどの愛嬌を振りまき、近年『レディ・ベス』等の敵役が印象に深い人だけに実に新鮮。観客のシラノへの思いを代弁する役柄でもあるル・ブレの大石継太も滋味深く、ヴァルヴァ―二子爵の平野良の思い切りの良いカリカチュアな演技と、ロクサーヌの侍女や修道院長の末次美沙緒の口跡の良い台詞回しも貴重だった。
 
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何よりも、大野・白州という若手二枚目俳優が出演していることで、初めて『シラノ・ド・ベルジュラック』という作品に触れる機会になる観客も多いだろうと想定される舞台が、豪快なエンターテイメントの中に、人が人を愛することの尊さと、不器用な生き方の中に宿る心意気、人としての矜持を描いた作品の骨子を見事に伝えた、そのことを喜びたい舞台となっている。
 
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 【囲み取材】
 
初日を翌日に控えた5月14日囲み取材が行われ、吉田鋼太郎、黒木瞳、大野拓朗、白洲迅、六角精児が本番の扮装で登場。公演への抱負を語った。
 
──改めて明日が初日ということで、吉田さんいかがですか?
吉田 約1ヶ月稽古を重ねまして、僕は最初から最後までほぼ出ていないシーンがない、出ずっぱりで、階段を駆け上がり駆け下り、台から飛び降り、100人を斬り、黒木瞳ロクサーヌに言い寄りフラれ(笑)、大野&白洲クリスチャンと黒木ロクサーヌとの恋を助け、獅子奮迅しております。非常に疲労はしているのですけれども、全く新しい良いものが出来上がっていくであろう前触れの疲労なので、非常に心地よい疲労で、今はもう疲労感よりも「さぁこれから始まるぜ!やってやるぜ!」という気持ちで高まってきています。

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──黒木さんはいかがですか?
黒木 (吉田)鋼太郎さんがあまりにも素晴らしいので。
吉田 いやいや。
黒木 私たちは盛り上げ隊で(笑)日々頑張っておりますけれども、シラノが素晴らしいです。
吉田 ありがとうございます。
黒木 今の心境は何度も舞台をやらせて頂いているのですが、今回は初舞台のような新鮮な気持ちでおります。

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──白洲さん、大野さん意気込みは?
白洲 本当に鋼太郎さんのエネルギーがものすごいので、そこに負けないように!という、僕はそこに意気込みを懸けています。絶対に負けないように頑張ります。
吉田 負けてない、負けてない!

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大野 僕も同じ気持ちです。やっぱり鋼太郎さんがとってもカッコ良いし、でも可愛らしいところ、切ないところとか、色々な表情を見せてくださるので、僕らもそれに刺激を受けながら、やはり色々な表情を出せる役をやらせて頂いているので、負けないように、そして舞台上で少しでも鋼太郎さんに対してびっくりさせると言うか、爪痕を残せるように「おっ変えて来やがったな!」と、毎日毎日ワクワクしてもらえるように、それがお客様に伝わって楽しい舞台になるよう、一員として頑張りたいと思います。

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──六角さんどうですか?
六角 いや、もう本当に…
吉田 (横から全員に示すように)この方、六角さんですから(爆笑)。誰だ?と思われているでしょうが、六角精児さんです(笑)。
六角 僕は六角と申します(笑)。本当に皆様素晴らしいお芝居をされていらして。シラノを演じていらっしゃる吉田鋼太郎さんは、人間こんなに台詞が覚えられるものなんだ!というほどたくさんの台詞をお喋りになって、それがまた非常にパワフルで緻密でございます。その他に周りを取り囲んでいるロクサーヌ、クリスチャンの二人も、キュートな若々しいお芝居をしております。私はそこにひとりの違った色を、バイプレイヤーとして添えられればいいかな?という形で出演をさせて頂いております。

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──吉田さん立派な鼻ですがいかがですか?
吉田 この1週間ばかりつけ始めたのですが、最初はちょっと不安だったんですけど、かゆくはないのか?とか、途中で取れるのではないか?とか、息ができないんじゃないかとか?。でもそういう心配は全くございませんで、非常に快適です。
──そうなんですか!重くもなく?
吉田 全く! 本当によくできています。一度皆様にもつけて頂きたいくらい(爆笑)。ただ下側の視野に少し入るので、階段を降りる時にちょっと怖いかな?というくらいで。
──何僂らいありますか?
吉田 どうでしょう。10僂らいはあるかな? 
──つけるのには時間がかかるのですか?
吉田 かからないです。2、3分でつきます。
──台詞が喋りにくいなどは?
吉田 それもないです。もしそうだったらやっぱり改良しないといけなかったと思いますが、台詞や呼吸に関しては一切支障がないです。
 
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──出ずっぱりとのことですが、体力的には?
吉田 それはしんどいとか言っても仕方がないのでね。なんとか、なんとか持っています(笑)。30日まで乗り切ればね、後は入院するかも知れませんが(笑)。
──東京が終わったら入院して、また大阪に?
吉田 そうです、そうです(笑)。
──黒木さん吉田さんとご一緒されて、ここがすごいなと感じるところは?
黒木 もう全部すごいですね。どんどん上に行かれるので、追いつけるように頑張っております。
──役柄としては吉田さんに恋をされるんですよね?
吉田 僕が恋を打ち明けられない、片思いなんです。ロクサーヌは僕が恋をしていることも知らない。で、ロクサーヌは(隣を示し)彼が好きで。六角さんじゃないですよ(笑)、クリスチャンをね。
六角 僕もロクサーヌが好きなんです(笑)。
黒木 そう、皆に想われているんです。
吉田 で、クリスチャンもロクサーヌが好きで、彼の恋を僕が助けるという非常に皮肉な関係です。彼は容姿が素晴らしいんだけれども言葉が下手で、(ロクサーヌは)美しい言葉が好きなのに、美しい言葉が言えない。だから僕が代わりに手紙を書き、代わりにプロンプをする。自分もロクサーヌが好きなのに、クリスチャンとの恋を助けるという、悲しい、切ないお話でございます。

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──また、100人斬りが話題ですが、そこはやってみていかがですか?
吉田 1ヶ月稽古がないとダメでしたね。100人を斬る「手」を覚えるのに1ヶ月かかりました。やっと昨日もう大丈夫かな?と思えるくらいになりました。しかもへとへとになります。ただ、100人斬りで高揚したテンションでそのまま最後までいけるという、100人斬りのちょっとした効果があるんですね。何しろもう年ですので(笑)、ともすると(下降するジェスチャーをして)こうなる人生なんですけれども(笑)。100人斬っていると元気になれるという効果があって、そういう意味でも100人斬りを利用しております。
──少し手数が減らないかなとかいう方向にはマインドが向かないのですか?
吉田 もう慣れました。はじめはずっとそう思っていましたけれども(笑)。60人斬った手数で100人死なないかな?と思ったりしましたが(爆笑)。
──本当にきっちり100人斬るのですか?
吉田 はい、きっちり100人斬ります。
──大野さんたちがご覧になっていかがですか?
大野 すごいですよ!めちゃくちゃカッコ良いですし、キメるところ、キメるところ、ひとひとつで「うわー、カッコ良い!」というのが見えつつ、しかも体力的にも100人斬りだけでも大変そうなのに、ずっと出ずっぱりで、台詞も多くて、尊敬という言葉しか思い浮かばないです。
白洲 手数も多いのですが、全ての所作が美しいので、そこも是非注目してもらいたいです。
──六角さん、伯爵役でどうですか?
六角 自分で珍しいなと思います(爆笑)。お金持ちの役ですし、僕もロクサーヌのことが好きで、経済的に裕福なものでそこでなんとかしようとしているのですが、それが上手くいかないという。なかなかこういう、貴族の役はやったことがないものですから、そこら辺も楽しんでやっております。皆様素晴らしいお芝居をなさっているので、そこにあまり迷惑をかけないようにと。
吉田 ない!

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──稽古場の様子はどうでしたか?
六角 皆さん稽古に集中していらして、演出家のもと、ピシっとまとまった稽古がこのひと月間繰り広げられました。私も色々な稽古場を経験しておりますが、素晴らしい稽古場だったと思っております。
吉田 稽古が始まった頃、僕が稽古場で本当に暗い顔をしていたらしいんです。「これ本当にできるのか」と。これだけ出ずっぱりで100人斬りまであって。そうしたら六角君が横に来てくれて「鋼太郎さん、よくこれ引き受けたね」と。「よく引き受けた」というのは、ある意味とても勇気づけてくれる言葉なんです、「よくやろうと思った」と。やっぱり六角君はベテランだから、わかってくれているんですね。今何を言えば頑張る気持ちになれるのかと。そういう六角君がいてくれることで本当に助かりました。
六角 先輩に対してなんですけれども、本当に大変だなと思っている時に「頑張ろう」という言葉では、頑張れないんじゃないかなと。
吉田 その通り!
六角 そこに寄り添うというと気持ち悪いですけれども(笑)、「大変ですね」という方が誠意があるかなと、自分の中では思ったので。
吉田 ありがたかったです。
六角 いえいえ、そう捉えて頂いてありがたいです。

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──一番の見どころ、お客様がどう見れば面白いですか?
吉田 (演出の)鈴木裕美が標榜しておりますが「高級大衆演劇」と。それこそお客様も一体となって手拍子して頂けるところは手拍子して頂いて、掛け声をかけて頂けるのであればかけて頂いて、僕も客席に降りて握手したりもしますので、そういう時には(懐を示して)ここに1万円札を入れて頂いたり(爆笑)。そういう参加の仕方をして頂ければ!
──どこまでが本当なんですか?(笑)
吉田 いやいや(笑)、本当にそういう芝居を目指してますので。フランスの難しい古典劇では全くありませんので、楽しんで頂けると思います。
──純愛ものなんですよね?
吉田 純愛ものです。非常に身近な純愛ものになっていると思います。お姫様と王子様のではなくて、本当に身近にある恋愛ものになっていると思います。もちろん(黒木を示して)こういう綺麗な人は世間にあんまりいないですけれども(笑)、そこはまぁお芝居ということで(笑)。
──では改めてお客様にメッセージを。
吉田 本当にお客様も一体になって楽しんで頂ける「高級大衆演劇」、笑って泣けて勇気をもらって、或いはお客様の方から「頑張れ!」と言って頂けるようなお芝居になっていると思います。是非日常の憂さ晴らしに観にいらしてください。楽しめると思います。僕らも1ヶ月頑張りまして、こんなに面白くなるとは思わなかった、というくらいの仕上がりになっております。それを確かめに劇場までいらしてください。お待ちしております!
 
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〈公演情報〉
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『シラノ・ド・ベルジュラック』
作◇エドモン・ロスタン
上演台本◇マキノノゾミ  鈴木哲也
演出◇鈴木裕美
翻訳◇石野香奈子
音楽◇清塚信也
出演◇吉田鋼太郎、黒木瞳、大野拓朗・白洲迅(ダブルキャスト)
、石川禅、大石継太、六角精児、平野良、末次美沙緒 ほか
●5/15〜30◎日生劇場
〈料金〉S席 12,000円  A席 7,000円 B席 4,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半〜17時半)
ホリプロチケットセンター 03-3490-4949(平日10時〜18時 土曜日10時〜13時 日曜・祝日休み)
●6/8〜10◎兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
〈料金〉全席 12,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 06-6377-3888(10時〜18時)
http://www.tohostage.com/cyrano/
 
 
【取材・文・撮影/橘涼香】
 


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40年目の新たな旅立ち 舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜制作発表記者会見レポート

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不朽のSF漫画として1977年の連載開始以来、多くの人々を魅了し続ける松本零士の代表作『銀河鉄道999』。日本の漫画史、そしてアニメーション史に残るこの大ヒット作品の、原作誕生から40年目を記念した、舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜が、6月23日〜30日の東京・明治座を皮切りに、7月21日〜22日に北九州芸術劇場大ホール、7月25日〜29日に大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される。

『銀河鉄道999』は、裕福な人々が機械の身体を手に入れ、永遠の命を謳歌する未来世界を舞台に、機械伯爵に母を殺された主人公の少年・星野鉄郎が、謎の美女メーテルと共に「銀河超特急999号」に乗り込み、機械の身体をくれる星を目指して宇宙空間を旅する間に、星々で出会う人々を通じて成長していく物語。今回の舞台版は、1979年に公開された劇場版第1作のストーリーをもとにオリジナルシーンも交えて、星野鉄郎が宿敵機械伯爵と時間城で対決するまでの物語が描かれていく。

そんな作品の制作発表記者会見が3月末都内で開かれ、幸運なオーディエンスも多数見守る中、星野鉄郎役の中川晃教、メーテル役のハルカ、クイーン・エメラルダス役で特別出演する凰稀かなめ、キャプテン・ハーロック役の平方元基、トチロー役の入野自由、リューズ役の矢沢洋子、そして、原作者の松本零士が登壇。公演への抱負を語った。

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まず、会見はプロデューサーである、株式会社エイジグローバルネットワークの田口智博が「今から40年前、私たちが子供の頃、大宇宙をSL蒸気機関車が走っているアニメや漫画を目にして憧れや感動を抱き、星野鉄郎をはじめとした登場人物達が残した言葉がその後の人生のあらゆる局面で大きな支えとなりました。そんな『銀河鉄道999』を後世に語り継ぎたいという思いの丈が集結し、原作者の松本零士先生が80歳を迎えられた本年、舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜という形で実現しました。この「999」の求心力は、超豪華キャストという言葉では言い足りないほどの、奇跡的な素晴らしいキャストの揃い踏みを叶えてくれました。本日登壇するキャストたちは実際にはリアルタイムで「999」を観ていない世代ではありますが、私共の想いに共感して頂き、この舞台に登場してくれましたので、舞台で限りある命の美しさを後世に広めてくれると信じております。この舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜は、原作の持つ世界観やメッセージ性を忠実に尊重した上で、オリジナルの設定も書き加えミュージカルが本来持つ、上品さ上質さを兼ね備えた音楽劇の創造を目指していきます。原作ファンの皆様をはじめ、キャストのファンの皆様、その他多くの方々に劇場に足を運んで頂けますよう願っております」と熱く挨拶。

続いて、脚本を担当するアニメ『プリキュア』シリーズや、ドラマ『コウノドリ』等を手掛ける人気脚本家・坪田文が「舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜で脚本を担当させて頂きます。まず大好きな「999」の世界に1クリエーターとして関わらせて頂けることに感謝と幸せな気持ちでいっぱいです。松本零士先生の描かれる物語は、現代でも変わらないばかりではなく、永遠に変わらない普遍的なメッセージが込められているなと感じています。脚本を書く中でそのきらめきをどうやって舞台の上に表せばいいのか?を一番悩みながら書きました。演出家の児玉明子さん、映像演出のムーチョ村松さん、音楽監督の久保田修さん、皆さんと話し合って、何しろ宇宙の物語ですので、それを舞台でどう表現できるんだろう?という思いはありつつも、やはり原作の素晴らしい部分はすべて入れたいと思い、無理を押して台詞を書いた部分もあったのですが、そこにも皆さんが応えてくださって、鉄郎とメーテルと一緒に皆さんも、本当に上質な宇宙の旅をして頂けるのではないかと思います。とにかく脚本家として一番言いたいのは、中川晃教さんの鉄郎が見たい!彼だったらきっと間違いないだろう!という思いで、普段映像の仕事が多い私が、原点である舞台の仕事に復帰する勇気を頂きました。私自身どういう場面が繰り広げられるのか?がすごく楽しみです!」と思いのこもった言葉を述べた。

更に、音楽監督の久保田修が「音楽劇の音楽という重責を与えてくださった関係者の方々にまず心から御礼申し上げます。僕の頭の中はお客様のことでいっぱいです。お客様が舞台を観て楽しんでくださるか。ワクワクした気持ちでちょっと良いものを観たな、という笑顔で帰ってくださるか、そのことばかりを想像しています。40年という長きに渡る物語。3代くらいの世代の人たちが見ている物語だと思います。これがこの先また40年、この素晴らしい物語と共に、音楽も語り継いで頂けるようなことができたら、本当に幸せだと思います。でもそんな自分の夢よりも、とにかくお客様のお顔が笑顔になってくれることが願いなので、今日ここにいらっしゃる皆様のお顔も劇場で笑顔になってくれることを楽しみにしています」と大きな夢と共に願いをこめて語った。

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そしていよいよキャストが登壇。矢沢洋子、入野自由、凰稀かなめ、平方元基、ハルカ、中川晃教の順番に呼び込まれ、会場は大きな拍手に包まれた。更に、原作者であり舞台の総監修も務める松本零士が登場。喝采の拍手の中、布のかかったメインビジュアルが運びこまれる。「3、2、1、どうぞ!」の声と共に除幕されたメインビジュアルは、舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜の個性的な登場人物たちが勢ぞろい。漫画、アニメの世界から抜け出してきたかのような再現率に、思わずため息がもれる。松本零士も「この写真を見ただけで涙が出るほど嬉しい」と語り、思いの深さが伝わってきた。ここから登壇者それぞれの挨拶に続いて、全員によるトークショー形式の会見へと続いた。

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【登壇者挨拶】

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中川
 本日はお越しくださって本当にありがとうございます。星野鉄郎役をやらせて頂きます中川晃教です。16歳の少年がキャプテン・ハーロックに憧れ、宇宙の旅に出ようとする。星野鉄郎には憧れだけではなくもうひとつ目的がある。母の仇を取ること。永遠の命を求めて今「999」に乗る。なんとも16歳とは思えない、でも16歳の少年の確実な旅のはじまり。そして旅を経て彼が何に気づき、彼の中で何が変わるのか。成長物語という意味でも、星野鉄郎を演じることができて、本当に嬉しく思っております。35歳です!(場内笑)16歳を演じます!ここの辺り、是非期待して頂けたらと思います。どうぞ応援を宜しくお願い致します。(笑) 
 
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ハルカ
 鉄郎と一緒に宇宙の旅をするメーテル役をやらせて頂きますハルカと申します。今中川さんがおっしゃっていたように、鉄郎は若い少年、そしてメーテルはその母のように見守りながら一緒に旅している女性なのですが、私にとってもまだメーテルは謎が多くて、自分でもメーテルについて研究しながら役を創っていこうと思っているのですが、まだまだわからないことがとても多いので、皆さんにも舞台を通して、この人は鉄郎にとってどういう存在なんだろう?がわかるような、そういう舞台にしていきたいと思っています。精一杯演じたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い致します。
入野 トチロー役をやらせて頂きます入野自由です。この役はこの作品を好きな人ならば、皆思うことだと思うのですが、男の中の男、皆が憧れる存在、強い芯を持っている、それがトチローだと思うんですね。今回の作品では、鉄郎が悩み苦しみながら、最初に旅立つと決めた時には機械の身体を持つという目的があります。でも生きるということは、お腹が空くことであったり、どこかが痛いことでもあったりではないか?それと裏腹なことを望んでいる自分と、どっちが正しいのだろう?と鉄郎が悩んだ時に、トチローがこうなんじゃないか?という提示をしてくれる。導き手となる大切な役です。僕自身も初めてのことだらけで、すごく緊張はしているのですが、楽しんで演じていきたいなと思います。よろしくお願いします。

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 矢沢 リューズ役を演じさせて頂きます矢沢洋子です。リューズはですね、本当に今日このメンバーの中で言うと唯一の機械化人ということで、皆様とは別の次元にいる女性です。そしてまたリューズは歌手ですので、舞台中もギターを持って歌うシーンがあるということで、今から緊張もしているのですが、楽しみにしています。非常にミステリアスな女性だと感じているので、上手くできるか不安ではありますが、精一杯頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

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凰稀 一匹狼の女海賊クイーンエメラルダス役をさせて頂きます凰稀かなめです。まだ作品がどうなるのかはわからないのですが、まず演じる私たちが楽しみながら作品を創り、観て下さるお客様に楽しんで頂けるものにしていきたいと思います。初日まで皆で頑張ってお稽古して、良い舞台を皆様にお見せできたらいいなと思っています。よろしくお願いします。
 
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平方
 皆の憧れ平方元基です!(会場爆笑) 
中川 違う、それはハーロック!(笑) 
平方 そうそう(笑)。鉄郎をはじめ子供たちの憧れの的、キャプテン・ハーロック役をさせて頂きます平方元基です。今自分がここにこうしているのもまだ信じられないのですが、親戚や、知り合いから「お前は世界で一番幸せ者な代わりに、世界で一番危険だぞ!ハーロックを愛している世界中の皆さんに、お前がハーロックをやることでボコボコにされないか、とても心配だ」と言われたんですが(笑) 、ボコボコにされずに、無事に劇場の初日で皆さんにお会いできますことを心より祈念しております…って、皆さんがとても緊張していらっしゃるのを感じます。僕は「銀河超特急999号」には乗らないんですけれども、自分の船に乗りながら鉄郎を見守り、宇宙の世界に皆様を誘っていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

【トークショー】

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──松本先生、今回は『銀河鉄道999』40周年記念での舞台化ということですが、改めてお話を聞かれた時にはどんなお気持ちでしたか?
松本 とても嬉しかったです。「999」は私が18歳の終わりに、出版社に呼ばれて上京する時に乗った機関車なんです。C-62の48号でした。C-62は49号までしかないのですが、そのひとつ前のに乗ったということで「999」というタイトルを考えておりました。これは自分の成長記です。18歳の後半でした。当時我が家は父親が公職追放になっていた為に、極貧に悩んでおりまして、質屋に何もかもを持ち込んで、行きの切符だけを買い、画材だけを持って上京したんです。その時その汽車に乗っていなけれは、私の運命は変わっていました。そういう想いを込めて描いたのが「999」。「999」というのは「未完成」という意味です。1000になると『1000年女王』を描きましたように女王になるのですが、「999」は青春です。ですから未だにその中で走り続けている、自分の夢です。
──その夢がいよいよ舞台になる、今日出演者の皆さんもお揃いですが、どんな舞台を期待されていますか?
松本 皆さん素晴らしい方たちで、心から感謝しております。旅立つ時にはこんなことは想像もできませんでした。自分がどうなるかわからない。「俺は死んでも帰らん」と言って出て来た訳ですから。それがこのような形になって、心から嬉しく楽しみです。ありがとうございます。お客様にも感謝致します。皆さんどうかご覧になってください。
──出演者の皆さん、メインビジュアルの撮影について伺いたいのですが、この撮影の時にはどんな思いが?
中川 コスチュームを見た時に「おっ、結構リアルに再現したな!」と思いました。今回の舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜は、『銀河鉄道999』40周年記念の年に、舞台版のオリジナル、新たに生まれる舞台で、それに対して松本先生が「いいよ」と言ってくださって、総監修という立場で、謂わばお墨付きを頂いて僕たちの舞台がはじまる訳です。今まで色々な作品を経験させて頂いてきましたが、今回は挑戦するという心持ちで撮影に挑みました。それで衣装を見た時に「35歳です!」と思ったのですが(笑) 、でも身にまとった時に、これから何がはじまるのかわからないけれども、でもきっと良いことが待っているんだろう、と思えた。前向きになれると思った時に、考えてみれば子供の頃ってそんなに悩みってなくて、暑い夏でも走り回ったりして「暑さなんてへっちゃらさ!」みたいな、目の前のことに、今の瞬間に突き進んでいく力ってやっぱりあったなと。そういうものに気づかされるというか、余計なものを排除して、鉄郎になこることができました。どうですか?かなめさん?
凰稀 えっ!いきなり!?(会場爆笑)、私は単純にすごく嬉しかったんです。「あ、エメラルダスになっちゃった!」って(笑) 。でも結構(顔の)傷が大変で。傷の位置を松本先生の描かれた絵を見ながら忠実にやっていくのが、かなり大変でした。鼻の横から流していって。だからこれは本番どうしようかな?という悩みはありますね。

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──撮影は皆さんバラバラだったんですか?
凰稀 バラバラでしたが、中川君とハルカちゃんと自由君と私は同じ日だったので、すれ違ったりはしました。でも、そんなに皆で話したりはできなかったですね。
入野 僕は本当にかなめさんが撮り終わった時にすれ違って、その時に中川さんもいらっしゃって、三人で記念写真を撮ったのですが、その写真を見て衝撃を受けました。かなめさんがエメラルダスが似合うとかなんとかではなくて、もうそのまんまだったから!ね、すごかったですよね?
中川 そう!そしてトチローもすごかったよね?トチローもまんまトチローだった。
入野 そうですか?

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中川 僕たちってやっぱり衣装を身にまとうとスイッチが入るよね。
入野 すごく完成度の高い衣装を用意して頂いているので。
凰稀 そうね。
入野 身にまとうと、確かにスイッチが入りましたね。
凰稀 小道具にもすごくこだわりがあって、漫画、アニメの通りのサイズになっているんですよ。
平方 銃をさす向きとかもそうでしたよね。ひとつ、ひとつ。
凰稀 向きもそう。だから全部先生に見て頂きました。
平方 完成されたものが絵として存在するので、助けにもなりつつ、プレッシャーにもなる。
入野 プレッシャーでしたよね、ハーロックとか特にそうでしょ?
平方 汗ビショビショでしたから!(笑) ハーロックになれるんだ!とワクワクしながら現場に入るんだけれども、自分の身体にピッタリの衣装を着た時に、期待してくださっているお客様にちゃんと返せるだけの自分でいられるのか?というプレッシャーがありました。今まで色々なお衣装を着させて頂いたんですけれども、中でも一番重いものが撮影にあたってありましたね。
──メーテルのハルカさんはどうでしたか?
ハルカ 私はすごく暑かったです(笑) 。頭が金髪で長いのと、ロシア帽をかぶりケープをかけているので、とても暑かったです。

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──撮影したのは暑い時期だったんですか?
中川 去年ですよね。
凰稀 冬です。
──冬でも暑かったんですね!大丈夫ですか?本番は6月〜7月ですが。
ハルカ そうですね!でも皆さん歌ったり踊ったりなさいますが、メーテルはそんなに激しい動きはしないんじゃないか?と予想しているので、そこは安心しております。
──矢沢さんはいかがですか?
矢沢 私自身はこの舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜が初めての舞台経験なので、衣装というものをしっかり着るという経験も初めてでしたから、まずこんなに時間がかかるものなのだな、というのにびっくりしました。あとは個人的にはブルーの、初カラーコンタクトをつけたので、鏡に映るブルーアイの自分を見るのが面白かったです。
──その感想はいかがでしたか?
矢沢 似合わないな、と思いました(爆笑) 。
──そんなことはないと思いますが!
矢沢 (笑)でも、とても楽しみにしております。
 ──こちらも楽しみです!ではそれぞれ今回の舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜のどんなところが見どころか?を教えてください。
中川 ねー、どうなりますかね?まず楽しいものになるんじゃないか?と思います。僕らはよく「現場」という言葉を使います。稽古場も「現場」だったりするんですが、その現場でこの物語が苦しい内容かと言うとそうではなくて、とてもリアリティーのある作品なんだということ。先ほどの松本先生のお話からもわかるように、実体験がこめられている。そして本当に幸せなことに、松本先生は80歳になられた今も尚、この物語を描き続けていらっしゃる。
松本 そうです。80歳です。
中川 終わらない旅を描き続けていらっしゃるので。
松本 まだ終わらないのでね。終わってしまうとあの世に行きそうなので(笑)まだ頑張りたいです。
中川 そういう先生と僕らが出会ったことで、僕も『銀河鉄道999』の星野鉄郎になれた。先生が出会った人たち、更にお母さん、お父さん、先生が今いる前にいた方々。全ての過去も、現在も、そして未来も、先生が出会った人たち皆がこの「999」の主人公であり、旅を続けている人たちなんだって思った時に、はじめは星野鉄郎を演じることに、ちょっと気負う気持ちがあったのですが、僕らはここで出会ったんだ!と思わせてくれる大きな作品ですし、先生がいてくださることで、また稽古場でもわからないことがあった時に直接聞くことができる、最高の環境だなと思っています。

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──中川さんのこの作品に懸ける思いは本当に熱いですね!
平方 熱い!後ろで汗かいてた(爆笑)。でも先ほど先生がおっしゃっていたように、「999」終わらない青春というか、人間、どんどん大人になっていくんだけど、でもどこかに青春に対する懐かしい想いや、思い出すと涙してしまうような、青春時代の思い出ってあると思うんです。それが今回ハーロックの台詞を自分で読んでみると、青春時代の僕に聞かせてあげたいな、というような、心に響く言葉が散りばめられているので、そこはひとつひとつ丁寧にやっていきたいです。なので、その辺りも聞き逃さずにご覧頂けたらより楽しめるんじゃないかなと思います。
入野 青春であるとか、リアリティーであるとかも、もちろん大きな見どころではあるのですが、違う面から見るとするならば、今回の舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜には現在の技術だからできるものが詰まっていると思います。そういう部分も楽しみにして頂ければ。銀河鉄道がどういう形で出てくるのかな?とか、特に、彼らが宇宙を旅する訳ですから、色々な場面が出てくるのですが、それらがどんな表現で出てくるのか?実際、今僕自身がそれを楽しみにしているので、皆さんにも楽しみとして待って頂ければと思います。
ハルカ メーテルは完璧に見えているのですが、鉄郎と旅をすることで、自分の意志が揺らぐことがあったり、迷うことがあって、私自身がそれを重ねあわせるところがあります。私は舞台の経験がほとんどないので、メーテルをやらせて頂くことで迷うことがあると思います。でも、現代社会に生きている人は皆迷うことがあると思うし、私自身も迷った時に漫画を見返すと、メーテルの台詞に救われたり、メーテルに「メーテルはこういう風に演じれ良いんだよ」と導いてもらっているような、そんな気がしているので、私自身が迷いながらメーテルを創っていくことで、最終的にはメーテルが完成するのではないかな?と思って、怖いですけれども必死に頑張ってやっていきたいと思います。
松本 これはひとつの奇跡なのですが、メーテルというのはラテン語のマザーの語源なんです。これは偶然の一致なので、不思議な運命を感じます。また、僕は子供の頃「エメラルド」は赤い宝石だと思っていたんです。だからクイン—・エメラルダスと名付けたのですが、実はエメラルドは緑の宝石だった(笑)。でももうこれは赤にしてます!(爆笑)。そして「ハーロック」は小学生時代に僕が行進する時の号令で「はー、ロック、はー、ロック」と言いながら歩いていたのを、名前につけました(爆笑)。ですから、この作品のすべてが僕の青春です。
──では平方さんが「はー、ロック、はー、ロック」と号令かけながら歩く姿が見られるかも知れません(爆笑)。エメラルダスは緑の衣装は観られないですよね?
凰稀 でも瞳の色はエメラルドなので。緑色です!

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和気藹々としたトークが終わり、この日が初披露となる、中川晃教が書き下ろした主題歌、舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜テーマ曲が、中川を中心に歌われた。

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「銀河超特急999号」が、宇宙への旅に出る希望と興奮が込められたリズムとメロディーに、中川の力強い高音の歌声がピッタリ。旅の先に希望があることが目の前に広がるような歌声に、全員が加わり、新たな『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜の誕生に、心躍るテーマ曲となっていた。
原作者の松本零士も「少年の時からの夢の舞台に今立っていると思うと、俺の旅はまだ続いているんだ!と元気になります!本当に心の底から嬉しいです!」と感慨深い様子。中川は「僕たちのミュージカルが今生まれました。やっぱり音楽という意味でこの舞台『銀河鉄道999』を考えた時にゴダイゴのあのメロディーは頭にあります。でも先生が今も描き続けられている想いを、エネルギーを受けて、舞台版としてオリジナルなものを皆様にお届けすることが叶います。そういう意味では、音楽を含め、色々なクリエーターの皆さん、演出の児玉明子さん、映像演出のムーチョ村松さん等、クリエーターの方々もそして私たちも挑戦だと思っています。音楽監督の久保田修さんも、一色の音楽ではなくて、ロック、ポップス、クラシック、ラップ、様々な音楽を用いて音楽劇、ミュージカルとして、舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜を、全員で生み出します。僕が書いたこの音楽も旅立ちの瞬間を歌った曲です。この劇の中でしっかりと音楽の力も含めてお届けしたいと思っています。今日、集まったオーディエンスの皆さんも記者の皆さんも、松本先生とここで出会ったことで、皆さんの中で舞台『銀河鉄道999』の旅がはじまったということだと思います!どうぞよろしくお願い致します!」と力強く挨拶。作品への期待が高まる時間となっていた。

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〈公演情報〉
「銀河鉄道999 40周年記念作品 舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜」
原作・総監修◇松本零士
脚本◇坪田文
演出◇児玉明子
映像演出◇ムーチョ村松
出演◇中川晃教、ハルカ、染谷俊之、矢沢洋子、雅原慶、美山加恋/入野自由/お宮の松、小野妃香里、塚原大助/凰稀かなめ(特別出演)/平方元基 ほか
●6/23日〜30日◎東京・明治座
〈料金〉999シート 12.500円、A席 11.000円、B席 7.000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉明治座チケットセンター 03-3666-6666 (10時〜17時)
●7/21日〜22日◎福岡・北九州芸術劇場大ホール
〈料金〉指定席9.300円/U-25シート5.500円(全席指定・税込)
●7/25日〜29日◎大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
〈料金〉999シート 11.500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京音協 03-5774-3030(平日・11時〜17時)


【取材・文・撮影/橘涼香】

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最高のキャストで東京、パリ、大阪、北九州公演! NODA MAP第22回公演『贋作 桜の森の満開の下』製作発表レポート

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野田秀樹率いるNODA・MAPの第22回公演『贋作 桜の森の満開の下』が、本年9月の東京芸術劇場プレイハウスを皮切りに11月末まで、パリ、大阪、北九州、そして再び東京公演を、豪華キャストによって行うことが発表された。

本作は野田秀樹が深くリスペクトする坂口安吾の小説「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」をモチーフに、『贋作 桜の森の満開の下』として、1989年に劇団夢の遊眠社公演として上演。国造りと仏像造りに魂を奪われていく人々の姿とその愛憎を、野田戯曲らしい言葉遊びや詩情とともに圧倒的なスケールで表現、野田演劇の中でも傑作中の傑作として大評判になった。そして3年後の1992年に再演、2001年には新たな演出で新国立劇場主催で公演され、昨年は東京・歌舞伎座で『八月歌舞伎』の演目として歌舞伎俳優たちによって上演、大きな成功をおさめた。

その作品が、今回、豪華キャスト陣を迎えて、NODA・MAP公演として立ち上がる! 4月5日、公演の製作発表が都内にて行われた。登壇者は作・演出・出演の野田秀樹、出演の妻夫木聡、深津絵里、天海祐希、古田新太、秋山菜津子、大倉孝二、藤井隆、村岡希美、門脇麦、池田成志、銀粉蝶。まさに豪華な顔ぶれが勢揃いした。

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秋山菜津子、大倉孝二、藤井隆、村岡希美、門脇麦、池田成志、銀粉蝶
野田秀樹、妻夫木聡、深津絵里、天海祐希、古田新太


【挨拶】
 
野田秀樹/作・演出
この作品は昭和の終わり、平成元年に初演されて、奇しくも今回、平成の終わりに上演することになりました。きっかけとなったのは、今年の秋にパリで「ジャポニスム」という大きなフェスティバルがありまして、国立劇場でシャイヨー劇場というところで、これまで2度作品を上演しているのですが、その劇場から、『贋作  桜の森の満開の下』を上演してくれないかと逆指名をいただきました。そこで日本を代表して上演するならと、考えられる限り最高のキャストとスタッフを考えようと。まあ無理だろうなと、当たって砕けろとオファーをしてみたところ、理想通りの役者さんからスタッフさんからOKが出まして、これ以上ない良いカンパニーになったかと思います。

妻夫木聡耳男役
この話は、『エッグ』という舞台で野田さんとご一緒させていただいていた時に、やはりここにいらっしゃる大倉(孝二)さんと『贋作 桜の森』の話をしていたことがあって。その時はこういう作品があったんだな、もし再演があるなら観てみたいなという気持ちで話を聞いていたのですが、まさかその『贋作 桜の森』に自分がこうして関わらせていただくことになるとは、夢にも思っていなかったです。だから今、とても不思議な気持ちです。今回でNODA・MAPは6回目で、NODA・MAPの熱に溶かされないようにがんばっていきたいと思います。

深津絵里/夜長姫役
夜通し起きている姫、夜長姫を演じます。17年ぶりにこの姫を演じるのですが、まったく以前の記憶がないので(笑)、新しい気持ちで臨みたいと思います。夏の稽古から11月末の千秋楽まで、こんなに素晴らしく強烈にカッコイイ共演者のみなさんと一緒に過ごせることが、今からとても楽しみです。必死にがんばります。よろしくお願いいたします。

天海祐希/オオアマ役
私は歌舞伎版の『贋作 桜の森』をどうしても観たくて観に行ったのですが、歌舞伎座の楽屋でちょうど深津さんと、さらにたまたま毬谷友子さんもいらして、歴代の「夜長姫」が3人揃った場に居合わせまして。必死に写真を撮っていたその時のことを考えると、まさかこの作品に私が声をかけていただけるなどとは思いもしなかったので、すごく嬉しくて幸せで。もう、絶対にやりたい!とお返事をした後に、よくよく考えてみたら、あれ?ちょっと待って、オオアマって、染ちゃん(市川染五郎/現・幸四郎)がやってた役?あれ男の人?(笑)。ということで、宝塚退団後、舞台で初めて男性をやらせていただくことになりました(笑)。こんなに素晴らしい共演者とスタッフの方々に私も必死で食らいついていきたいと思っています。

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古田新太
マナコ役
17年前もマナコをやったんですけど、新国立劇場で絵里ちゃんたちと一緒にやったそのとき、記者会見を野田さんがすっぽかし、大事件になったことを今も覚えています(笑)。今年もがんばりますので、よろしくお願いします。

秋山菜津子ハンニャ役
17年前の『贋作 桜の森』は呑気に観ていまして。こんなに時間が経ってから、まさか出演することになるとは思いませんでした。野田さんの舞台はとても体力がいるので、この長い公演を最後までなんとか生き抜いていきたいと思います(笑)。よろしくお願いいたします。

大倉孝二
青名人役
こんなことでもなければこんな高いところに来なかったと思いますし、丸まったサンドイッチもいただいて、幸せな気持ちでいっぱいです(笑)。僕も17年前の時に出させていただいて、今回はその時とは違う役です。もう43歳のオッサンなんですけど、驚くことにこのカンパニーの中では下から3番目になるので(笑)、フレッシュ感を出していきたいと思っています。

藤井隆/赤名人 
本当にこの舞台に呼んでいただき、声をかけていただけて光栄です。なんとか食らいついて、みなさんにご迷惑をおかけしないようにがんばろうと思っております。ぜひ劇場にお越しいただけたらと思います

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村岡希美/エナコ 
私にとっては10年ぶりのNODA・MAPへの参加となります。久しぶりなので、内面も身体もすべてひとくくりになる野田さんの世界を力一杯やれたらなと思います。17年前の舞台も拝見していて、とても圧倒的な作品だったイメージがありますので、今回は自分もそちら側に加われるのかと思うと、少し恐いのですが、楽しみにやっていきたいです。

門脇麦/早寝姫 
今回初めてNODA・MAPの作品に参加させていただけることになり、とても緊張しています。どうなるのか全然想像がつかないのですが、こんなに素敵な方たちに囲まれて、私は今25歳ですが、これはなかなかできる経験ではないので、精一杯いろいろなものを吸収して、必死に皆さんに食らいついていけるようにがんばります。

池田成志/エンマ 
昨日あんなに暑かったのに今日はこんなに寒くて、皆様大丈夫でしょうか。よく考えたら7月に稽古ということで、おそらく今年はものすごく酷暑になると勝手に思っています。とにかく身体のことが心配です(笑)、よろしくお願いいたします。
 
銀粉蝶/アナマロ 
私も同じく身体のことが心配です(笑)。私は日本青年館での公演と新国立劇場での公演と、両方を拝見しています。それを自分がやることになるとは思ってもみませんでした。やる以上は楽しみたいと思います。
 
野田秀樹/ヒダの王 
これだけの役者さんが揃うと、作品の出来が悪い場合、責任は全部私にかかってくるので、すごくプレッシャーに感じてます。ちょっと訂正したいことがあって、古田さんが話した「僕が記者会見をすっぽかした」という話ですが、裏話があって、前の日に古田と飲んでて、「明日の記者会見、ああいうのイヤなんだよね」と話をしたら、「じゃあ行かなきゃいいじゃないですか。僕がなんとかしときますよ」と。私は純粋ですからその言葉を真に受けて、なんとかしてくれるだろうとすっぽかしたんです(笑)。そして当日は大騒ぎになって、古田は「どうしたんでしょうねえ」と知らない顔してて、なんのフォローもしてなかった(笑)。それだけは言っておきたいと思います。
古田 どんなふうになるかなと思ってたんですが(笑)。野田さんちの部屋の鍵が壊されたんですよね(笑)。

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【質疑応答】
──妻夫木さん、耳男役は野田さんと堤真一さん、中村勘九郎さんと4代目になりますが、耳男を演じるプレッシャーは?
妻夫木 プレッシャーはありますが、僕自身はこの作品を拝見したことがなかったので、逆に知らない強みみたいなものが出せるのかなと。そにぶんプレッシャーが半減されている気がします。今、自分自身が持っているものをうまく出せたらと、まあ出たとこ勝負で身を任せようかと思っています。
──野田さん、妻夫木さんに耳男をオファーしたのは?
野田 これまで5作やってて、何の作品だったか、彼が出ている作品を袖から見ててて、「あ、彼が『贋作 桜の森』の耳男をやるといいだろうなと。なんというか、妻夫木さんのキャラクターって弱っちぃんです(笑)。いじめられる対象というか、真面目に生きようとすればするほど、力が強いものに抑圧されたりいじめられるという、僕の勝手なイメージがあって。自然と『贋作 桜の森』のワンシーンが浮かんできたんです。
妻夫木 光栄ですね。野田さんにそういうイメージを作り上げてもらえることは、本当に光栄だと思っています。その気持ちに応えられるようにがんばります。
──深津さんは、同じ役に再び挑むこと、今度は妻夫木さんが耳男ということで、いかがでしょうか?
深津 このメンバーでなければ、私は今回やっていなかったかもしれないです。これは嘘でもお世辞でもなく、そのくらい本当に大好きで、すごいなと思える共演者の方ばかりなんです。妻夫木さんはもしかしたら一番共演回数が多い相手かもしれないのですが、毎回慣れることがなくて、どんどん進化しているというか。ご自分を高めよう、前に行こうとするその姿勢は変わらないので、とても安心感がありますし、親戚みたいな感覚もあります(笑)。
妻夫木 じゃあ親戚になりましょう(笑)。
──天海さん、男役で相手役が深津さんと門脇さんですが、楽しみにされていることは?
天海 全部です。皆様方とお仕事させていただけるのも楽しみですし、こんな美しいお二人に恋していただけるので、ちゃんとカッコよくなってなきゃいけないなと、今、反省しました。
──天海さんと初共演することについては?
深津 初めて共演させていただくのですが、この作品のために今まで共演してこなかったんだろうなと思うくらい、奇跡的な出会いのような気がしているので、その思いを存分に出していきたいです。
門脇 私も大好きでいつも見ていたので、恋する気持ちは準備完了しています。あと、男性ではなく女性同士というのは、一味違った美しくてピュアなシーンになるのではないかと思うので、そういうところもお客さんに楽しんでいただけたらと思います。
──古田さん、海外公演は?
古田 非常に楽しみですね(笑)。フランスのお客様の前で日本のお芝居を紹介できるので、心躍っています(笑)。台詞の中に「銀座のライオン」という言葉が出ていますが、フランスで通用するか心配です(笑)。
野田 通用します。「銀座のライオン」でしょ(笑)。
──18名のアンサンブルが出演するそうですが、
野田 ちょうど今ワークショップをしていて、とても良い感じで、僕の演出はアンサンブルありきで、去年歌舞伎でやった『野田版 桜の森の満開の下』も演出をがらっと変えてやりました。(『エッグ』では)イギリスの著名なプロデューサーが「このアンサンブルは英国の役者では出来ない」と言ってくれて、「見えない1本の糸で繋がっているようにみんなが動いていた」と褒められました。今回も彼らに期待してます。
──大阪での公演では新歌舞伎座ですが、花道とか使用しますか?
野田 新歌舞伎座は昔の近鉄劇場で、僕はこけら落とし公演を劇団公演としてやっていて、非常に感慨深いです。花道は東京、北九州は作らない予定で、大阪でしかできない演出になるのか。まだ考えてません(笑)。

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──演出で変わるところは?
野田 台本に関しては変えようとしましたけど、やはり書いた若いときの自分は別人でいじり難くて、それに年をとってくるとどんどん理屈っぽく考えすぎて、若いときのほうが自由だった気がします。演出は新国立劇場では奥行きが50メートルくらいあるので、誰も使ってなかったそこを生かして巨大な空間を作ろうと。今回はその夢を追ってもしかたないので、その代わり見立てというかたちの演出をしようと思って、ワークショップでも今やってて、非常にうまくいってます。
──海外で公演する意味は?
野田 僕はもともと演劇を始めたことにも意味はないので、あまり考えてないんですが、海外で作るとこんな華やかな製作発表もないし、そういう意味では孤独だなと感じますが、モノを作るにはそのほうがいいんじゃないかと思っています。ただ今回は日本のお芝居を、ちゃんと見せたいと思っています。
──以前のパリ公演の経験者はいかがでしたか?
藤井 すごく浮き足立ってしまいまして、でもすごく楽しかったです。宿がホテルではなくマンションだったので、夜公演が終わるとレストランはやってない時間でしたので、みんなでお部屋でご飯を作って食べたり、午前中にお散歩行ったりお買い物行ったり、もちろん、お仕事はきちっとさせていただいてるんですけど、あそこのパンがおいしいよとか言い合ったり。なんかご褒美をいただいたような気持ちで。
野田 誰か他の人、代わって(笑)。
大倉 僕ですか? 僕はボンカレーばかり食べてました(笑)。
野田 だめだ(笑)。
秋山 フランスのお客様はつまらないと、 席をバタンと立って帰ってしまうんです。『エッグ』はそういう方はほとんどいなくて、ホッとしました。
妻夫木 感じたままにお客さんも表現されるので、新鮮でしたし刺激になりました。シャイヨー劇場の客席の傾斜も日本に比べて急なので、よりお客さんを近く感じて一体感を感じた記憶があります。
深津 私は歌姫役だったので、ソロで歌って踊ってノリノリでいるとき、何人か立たれて帰っていかれたんです。淋しくなりましたけど、それが味わえたのは良い経験だなと。今回は誰1人帰さないという気持ちで臨みたいと思っています。
──オオアマを天海さんにした理由は?
野田 オオアマは皇子役ですので、どういう人なら「皇子様だ」と瞬間的にピタッと来るか、ずっと探してて、男の人をイメージしていたんですが、天海祐希さんの名前を思いついたとき、あ、これだ!と。それで大至急連絡をしてもらいました。でも半分以上は、やってくれないのではと思っていたのに、即答していただけたおかげで、自分の作品作りへの気持ちもよりギアアップしましたね。
──天海さん退団以来の男役を引き受けたわけは?
天海 私は男役だろうが女役だろうが、野田さんの作品にまた出られるなら、なんでもよかったんです。あとから、あ、私だけ男役だと(笑)。
──その野田さんの舞台の魅力は?
天海 もちろん観ていてもワクワクしますし、演じる側になるとさらにワクワクしますね。観客として舞台を観ていたと、あんまり素敵で、なんで私はあっち側に行けないんだろうと悔しいし、いいなあと思える世界なんです。

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〈公演情報〉
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NODA・MAP第22回公演
『贋作 桜の森の満開の下』 坂口安吾作品集より 
作・演出◇野田秀樹 
出演◇ 妻夫木聡 深津絵里 天海祐希 古田新太 
秋山菜津子 大倉孝二 藤井隆 村岡希美 
門脇麦 池田成志 銀粉蝶 野田秀樹 

池田遼 石川詩織 織田圭祐 神岡実希 上村聡  
川原田樹 近藤彩香 城俊彦 末冨真由 
手代木花野 橋爪渓 花島令 藤井咲有里 松本誠  
的場祐太 茂手木桜子 吉田朋弘 六川裕史 

●9/1〜12◎東京 東京芸術劇場 プレイハウス
●9/28〜10/3◎フランス パリ・国立シャイヨー劇場  
●10/13〜21◎大阪 新歌舞伎座  
●10/25〜29◎福岡 北九州芸術劇場 大ホール  
●11/3〜25◎東京 東京芸術劇場 プレイハウス





【取材・文・撮影/榊原和子】



霧矢大夢×鈴木壮麻『I DO! I DO!』


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宝塚歴代トップスター&海宝直人らの豪華共演者で華やかに!坂東玉三郎 越路吹雪を歌う『愛の讃歌』制作発表レポート!

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凰稀かなめ、水夏希、海宝直人、大空ゆうひ、霧矢大夢
姿月あさと、坂東玉三郎、真琴つばさ
 

当代一の歌舞伎女形として活躍する五代目坂東玉三郎が、敬愛してやまない名歌手・越路吹雪が歌った数々の楽曲を、越路吹雪の後輩である、真琴つばさをはじめ、元宝塚歌劇団歴代トップスターたちと、ミュージカル界の次世代のプリンスとして進境著しいミュージカル俳優海宝直人を共演に迎えて歌う珠玉のコンサートツアー 坂東玉三郎 越路吹雪を歌う「愛の讃歌」が、4月12日の東京・渋谷のNHKホール等をはじめ、全国各地で開かれる。

越路吹雪は、宝塚歌劇団のトップスターとして活躍した後、ミュージカル女優として、またシャンソン歌手として揺るぎない地位を確立した、伝説の歌い手だ。特にシャンソンにおいて、作詞家・翻訳家の岩谷時子と共に、日本語で歌うシャンソンに力を注ぎ、日本に於ける「シャンソンの女王」と称された。文化庁芸術祭奨励賞をはじめ、受賞歴も数多く、特に「ロングリサイタル」として、当時では珍しい歌手のワンマンショー形式の長期リサイタルは好評を博し、日生劇場の大人気興行として定着。越路が逝去する1980年まで「ロングリサイタル」は歌手・越路吹雪の名声を不動のものとする、日本で最もチケットが取れない公演との逸話も生んだ。
一方言うまでもなく、歌舞伎界を代表する女形であり、重要無形文化財保持者(人間国宝)であり、歌舞伎界にとどまらず歌舞伎の域を超えた、世界の芸術家に影響を及ぼす存在として、シャンソンの故郷フランス芸術文化勲章コマンドゥール章も受章している坂東玉三郎が、越路吹雪を深く敬愛してきたというのは、文字通り、天才が天才に惹かれた典型的な例であろう。昨年3月に開催された、越路吹雪三十七回忌特別追悼公演「越路吹雪に捧ぐ」に出演した玉三郎が、シャンソン「妻へ」を歌って注目を集めたのは、記憶に新しい。

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そんな玉三郎の、越路吹雪が残した歌の遺産を次の世代に引き継ごうという熱い想いに、元宝塚歌劇団のトップスターの面々が応える形で、今回のコンサートが実現。奇跡のような夢のステージに、今、大きな期待が寄せられている。
その高まる関心に応えて、2月28日高級宝飾ブランドBVLGARIの、銀座「ブルガリ プライベート ラウンジ」の贅沢な空間の中で、制作発表記者会見が行われ、坂東玉三郎、真琴つばさ、姿月あさと、大空ゆうひ、水夏希、霧矢大夢、凰稀かなめ、海宝直人が登壇。生演奏の歌唱披露と共に、特別なコンサートへの抱負を語った。

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まず、会見には坂東玉三郎が登場。司会とのトークという形で、コンサートの経緯が語られた。

玉三郎 皆様今日はお忙しい中、コンサートの発表にお集まりくださいまして、誠にありがとうございます。去年の3月末に、越路吹雪さんの三十七回忌特別追悼公演のコンサートで歌わせて頂いたことがきっかけで、今回の運びとなりました。越路吹雪さんと同じ宝塚出身の皆さんと、歌を歌わせて頂くというコンサートでございます。皆様、どうぞご来場くださいますようにお願い申し上げます。今日はありがとうございました。
──玉三郎さんご自身は越路吹雪さんが大好きで、敬愛してやまない方だそうですが。
玉三郎 はい、そうですね。若い頃から日生劇場を1人で、1年に2ヶ月、3ヶ月のリサイタルができる方ということで尊敬して来ましたし、それと共に作詞家でいらっしゃる岩谷時子さんも受付にいらして、しょっちゅう私にチケットを売ってくださったところから、親しくさせて頂くようになり、岩谷さんとのお付き合いから越路さんのことを深く知るようになりました。今ね、こうして越路さんの歌を、ということでございますけれども、現代の人達にとっては新曲に近い歌もありますし、50年代、60年代、70年代、80年代に出来ました、素晴らしい心の入っている歌を、皆様にご披露できればと思ったのでございます。
──越路さんの代表作と言えば、フランスのシャンソン歌手エディット・ピアフが歌った「愛の讃歌」は、外せない曲でございますが、岩谷さんの作詞で。
玉三郎 ええ、岩谷さんも越路さんも東宝にいらした時に、急遽作詞をしなければならなかったというきっかけで、岩谷さんが「愛の讃歌」の作詞をなさったところから、作詞家として歩いてこられた歴史がございます。
──玉三郎さんにとっても「愛の讃歌」はとてもお好きな歌ということで。
玉三郎 そうですね、好きな歌でもありますけれども、今日はここで歌わせて頂くのですが、あまりにも大勢の方が歌っていらっしゃるので、大変難しいものなんです。けれども歌わなければ、このコンサートの意味がわかりにくい、ということで、お恥ずかしながら歌わせて頂きます。
──ミュージシャンの方達もすでにスタンバイされております。
玉三郎 去年からご一緒させて頂いている方達なので、本当に打ち合わせすることなく演奏して頂ける仲間で、大変力強いです。
──では、まずは坂東玉三郎さんに「愛の讃歌」を歌って頂きたいと思います。
玉三郎 コンサートやCDでも歌うつもりはなかったのですが、こういう記者会見の席ではやはり代表作をということで、つたないものでございますが、一生懸命やらせて頂きます。

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大きな拍手と共に、玉三郎が「愛の讃歌」を披露する。1曲の中に人生や、愛が描かれる、歌うことと演じることが極めて近いシャンソンの世界に、玉三郎の深い表現力が迸り、玉三郎ならではの「愛の讃歌」の世界が広がった。

──素晴らしいですね!お歌いになっていて、越路吹雪さんや、岩谷時子さんの笑顔などが浮かんできましたか?
玉三郎 緊張しておりまして、そういうものは浮かんできません(笑)。今日は少し短めのバージョンで歌わせて頂きました。
──それでも、やはり色々な思い出も。
玉三郎 そうですね。僕の青春時代の人ですから、そういう思い出は数限りなくあります。
──ステージでもそういう思い出と共に?
玉三郎 それはありますね。今日はちょっと皆様の前なので緊張して(笑)。

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──では、坂東玉三郎さんとステージを共にされる素晴らしい出演者の皆様が、コンサートを盛り上げてくださいます。早速お呼び致しましょう。元宝塚歌劇団のトップスターの皆様です。真琴つばささん、姿月あさとさん、大空ゆうひさん、水夏希さん、霧矢大夢さん、凰稀かなめさん(1人ずつ拍手の中登壇)。更に数々のミュージカル作品に出演され、今やジャンルを越えて注目されているボーカリスト海宝直人さんです(全員がステージに揃う)。玉三郎さん、これだけの皆さんが一堂に会するのはすごいことですね。
玉三郎 そうですね。去年一緒にやったメンバーもいますので、本当に華やかな素晴らしいドレスで、ブルガリのジュエリーもつけてもらえて、嬉しいです。
──本当に華やかです!ではお1人ずつご挨拶をお願いします。

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真琴
 本日はありがとうございます。昨年の春、越路吹雪さんの舞台でゲスト出演された玉三郎さんと、私達が一緒に「すみれの花咲く頃」を歌ったのですが、大変胸が熱くなり感動しました。その方とまたこうしてご一緒できる喜びをひしひしと噛みしめておりますが、本日超一流の玉三郎さんと、超一流のジュエリーを身に着けさせてもらった私達は、身が引き締まる思いでいっぱいでございます。良い舞台を務めさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします。

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姿月
 本日はありがとうございます。姿月あさとでございます。昨年は宝塚OGの公演に、玉三郎さんがゲストでいらっしゃったのですけれども、今回は玉三郎さんがコンサートをなさる機会に、反対に私達がゲストで出演させて頂くことができて、ご一緒の舞台での大変貴重な時間がこれから待っていることが、楽しみで仕方がありません。たくさんの方にいらして頂けるよう頑張ります。よろしくお願いします。

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大空
 大空ゆうひでございます。本日はどうもありがとうございます。私は今回玉三郎さんとご一緒させて頂けること、そして大好きな越路吹雪さんの曲を、玉三郎さんがこんなに愛しているとおっしゃっている、その魂を感じて、これは気を引き締めてかからないといけないなと思っております。素晴らしい先輩の歌を心こめて歌いたいと思います。よろしくお願いします。

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 皆様本日はありがとうございます。水夏希です。以前から歌舞伎を観させて頂いた時に、同じ時代に生きられることが本当に光栄だなと思っていた玉三郎さんと、同じステージで同じ作品に出演させて頂けるなんて夢のようで、緊張しかないのですが。越路吹雪さんは宝塚の先輩ということで、その後輩の、下の方の一部として、素晴らしい公演にしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

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霧矢
 霧矢大夢です。本日はありがとうございます。このような場に立たせて頂くのが本当に光栄でございます。昨年発売された、玉三郎さんの越路さんの曲のアルバムを聞かせて頂いて、本当に感動致しました。玉三郎さん、越路吹雪さん、そして私達の歌への想いを精一杯コンサートでお伝えできたら良いなと思っております。どうぞよろしくお願い致します。

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凰稀
 皆様こんにちは。凰稀かなめでございます。この度玉三郎さんとご一緒させて頂く機会を与えてくださった方々に、本当に心から感謝の気持ちでいっぱいです。そして大先輩である越路さんの歌を歌う上級生の方々、そして海宝さんと共に、お客様に楽しんで頂けるような舞台にしたいなと思っております。よろしくお願い致します。

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海宝
 海宝直人です。本日はどうもありがとうございます。ここに立っているのが本当に光栄で、玉三郎さんと宝塚スターの皆様と、ご一緒に歌わせてもらうことができるのがとても楽しみです。そして、今まであまり歌ったことのないジャンルの曲も歌わせて頂くので、精一杯務めさせて頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

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──海宝さんは玉三郎さんが是非にとのことで、ご出演が決まられたそうですが。
玉三郎 皆さん、元男役の方々がいらっしゃるのですが、僕たった一人が男性というのも寂しいので(笑)、越路さんにはミュージカルの分野もあるので、ミュージカルの方からどなたか、ということで出て頂きました。
──海宝さんは、今ミュージカル界で大注目の方ですものね。
玉三郎 そうですね、本当に。
──楽しみですね。では、真琴さんからも今「すみれの花咲く頃」を歌われたお話がありましたが、折角こうして皆さんがお揃いですので、是非「すみれの花咲く頃」をお聞かせ頂きたいのですが(会場から大きな拍手)。では、よろしくお願い致します。

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再び生演奏が流れ、「春、すみれ咲き〜」の歌い出しのソロを玉三郎が歌うという貴重な導入から、全員による「すみれの花咲く頃」が歌われる。宝塚歌劇の象徴とも言える楽曲だが、華やかさと同時に、ややゆったりしたテンポが優雅さを感じさせる、やはりこの場と、このメンバーに相応しい歌唱となったのが印象的だった。

──やはり良いですね!皆さんでの「すみれの花咲く頃」。ステージでの華やかな様子が目に浮かびます。
玉三郎 「すみれの花咲く頃」は有名ですけれども、先ほど申し上げた越路さんの50年代の曲と言うのは、今の方たちにとっては新曲に近いくらいの曲が多いんじゃないかな?と思うので、そういった意味でも楽しんで頂けると思います。これから歌う内容を聞いて頂くと、より、そういうこともあるのではないかと思います。
真琴 私たちにとっては「すみれの花咲く頃」はよく馴染んだ曲ですけれども、海宝さんは初めてなのでは?
海宝 もちろん存じ上げてはいましたけれども、初めて歌わせて頂きました。
真琴 曲の魅力はいかがでした?
海宝 皆さんとご一緒に歌わせて頂けて嬉しいです。
──真琴さん、話しを振ってくださってありがとうございます。そう言えば海宝さんはこれまで、歌われるチャンスはなかったですよね?
海宝 はい、さすがになかったです。
──もちろんご存知だったとのことですが、宝塚のトップスターでいらした方々の横で歌うというのは?
海宝 ひたすらに緊張しました。

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──そうですよね(笑)。真琴さん、改めて大先輩の越路さんの歌をフューチャーするということで、どんなお気持ちですか?
真琴 生前の越路さんにお会いしたことがないのが、唯一残念なのですけれども、その生前の越路さんをご存知の玉三郎さんから、たくさんのエピソードをお聞きしたいですし、越路さんがいらしてくださったから、今回の企画でご一緒できることになったので、越路さんへの尊敬の念が表せるような舞台を務めたいと思います。
──改めて越路さんへの感謝を感じていらっしゃるんですね。姿月さんは、越路さんをどんな存在として捉えておられますか?
姿月 宝塚の大先輩でいらっしゃるということですが、今、ちょうどお昼の連続ドラマで「越路吹雪物語」もやっていて、越路さんは歌手として大変有名な方でしたから、宝塚ご出身だということをご存知ない方々もたくさんいらっしゃると思うのです。そういう意味でも、今、越路吹雪さんに注目が集まっている時期でもありますので、とてもタイミングが良いなと思っております。
──宝塚の学校の中では越路さんの写真があるとか、学校で話を習うとかはあるのですか?
玉三郎 宝塚出身で活躍なさった方はたくさんいらっしゃいますからね。ただ、1人でショーをやれたという方は、なかなか、何人かではないかと思います。
──年齢的にお若い方にとってはレジェンド状態になるかと思うのですが…
真琴 若くなくてもレジェンドです!(笑)

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──失礼しました!(笑)。大空さんは先ほど「大好き」とおっしゃっていらっしゃいましたが。
大空 そうですね。本当に生前の越路さんを生で拝見できなかったのが、とても残念なのですけれども、今録音されたものを聞いたり、映像を見たりしても、生ではないのにビリビリ何かが伝わってくる気がしまして。生きるエネルギーを歌に注がれていたのではいかな?と想像して、今でも新鮮に聞かせて頂いています。
──その辺りが越路さんの大きな魅力の1つでしょうか?
玉三郎 やっぱり熱い人と言いますか。もちろん今の方たちが熱くないと言う訳ではないのですが、舞台にだけ、1日中、ひいては一生を舞台に懸けていた方ではないかと思います。
──そうしますと、玉三郎さんがご存知だった、越路さんを再現するようなコンサートになるのですか?
玉三郎 越路さんを再現するということは、できないと思うのです。ですから、越路さんという1人のレジェンドをおいて、皆で楽しく素敵な歌を歌いましょう、ということであるのかなと思います。越路さんは芸能界に出ていらした時に、岩谷さんと一緒に女優としての活動、女優になるというのはどういうことか?を考えていらした方だと思います。それも皆さんと一緒に考えていきたいと思います。 

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──水さんはどうですか?今回玉三郎さんとご一緒のステージがとても楽しみとおっしゃいましたが。
 もう本当に!先日テレビの越路さんの特集番組でも話させて頂きましたが、越路さんの日生劇場でのリサイタルでは、お衣装などにもとてもこだわっていらっしゃったというのを伺って、今回玉三郎さんもお衣装にこだわっていらっしゃるとお聞きしたので、すごく楽しみで。タカラジェンヌの卒業生がいっぱいいる中で、選んで頂いて出演させて頂けるということが本当に光栄です。
玉三郎 これから衣装も出来上がってきますのでね。
──先ほど、皆様と衣装の打ち合わせをされている様子も拝見しましたが、かなり今回も色々工夫をされて?
玉三郎 本当は今日、イタリアから生地が届くはずだったのですが間に合わなくて。もちろん今日は仕立ては間に合わないとわかっていたのですけれどもね。でも本番には、皆様背が高い方たちなので、縦線の素晴らしさが出るんじゃないかな?と思っています。
──ちょっと横からラフを覗かせて頂いたのですが、カッコいい衣装ですね!
玉三郎 ええ、カッコいいですよ。皆さんがお召しになると綺麗になると思います。
真琴 まだ拝見していないので、とても楽しみです。
──すごく素敵でした!そのあたりも見どころ1つですね?
玉三郎 そうですね。やっぱりショーってね、どんなものを着てくるかも大事ですからね。

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──霧矢さんは今まで越路さんの曲をお歌いになるチャンスは?
霧矢 私は光栄なことに越路さんが上演されていた『I Do! I Do! 結婚物語』というミュージカル作品を2014年に1度やらせて頂きまして、また今年の5月に再演させて頂くのですけれども、その時に、越路さんの生前のお姿を見ることはできなかったのですが、越路さんの録音されていた舞台の音源を何度となく聞かせて頂いて、今回のコンサートでもそこから1曲歌わせて頂きます。
玉三郎 (すかさず主題歌を口ずさむ)
霧矢 そうです!主題歌をよくご存じで!
真琴 すみません!ちょっと黙っていられなくなりました!(笑)。もう、本当に玉三郎さんの越路さん愛はすごくて、今回シャンソンだけじゃなくて、ミュージカルの曲も越路さんがたくさん歌っていらっしゃるので「例えば、こんなのはどうですか?」とテープも何もなく、玉三郎さんが全部歌詞つきで歌われるんです!それは驚きです。
──全部暗譜していらっしゃるんですか?
玉三郎 わからないんですけど、聞いていたので。
真琴 頭の中に全部コピーされているのですか?
玉三郎 (また口ずさむ)
──霧矢さんが歌われる曲ですか?
霧矢 そうです!「炎のアグネス」を歌わせて頂きます!

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──すごいですね〜!
玉三郎 どのくらい知っているかが自慢で(笑)。
真琴 だって、何十年振りかで口に出された訳ですよね?
玉三郎 『I Do! I Do!』は69年でしたか?
霧矢 はい、越路さんと平幹二郎さんでの上演が初演です。
真琴 何度もご覧になったのですか?
玉三郎 その頃はLPレコードがありましたからね。
真琴 ずっと聞いてらして?
玉三郎 そうです。
姿月 舞台も観にいらして?
玉三郎 舞台もほとんど行っていました。
姿月 素晴らしい!玉三郎さんのような方が越路さんのファンでいらしたというのは、大変な話題で。
玉三郎 舞台人になるということがどういうことなのか?を、越路さんから勉強したんです。
姿月 楽屋などにもいらしたのですか?
玉三郎 楽屋にはほとんど行かなかったです。越路さんはあまりそういうことがお好きではなかったので。ただ岩谷さんに、何をして本番を迎えるのかとか、何時に楽屋入りされるのかとか、家では何をしているのか?とかを訊いて、それを真似して来ました。身体のケアをするとか、旅行に行って次のコンサートの取材をするとか、ご主人で作曲家の内藤法美さんとどうやって新曲を作るかとか、シャルル・デュモンと何をするかとか、どういう風に、どういう期間で、どうやってつくってきているの?などを聞いて、時間をかけてゆっくりやっているんだ、ということがわかったんです。
 ──足跡を辿ることでご自身の中にフィードバックしていく感じなのですか?
玉三郎 そんな真面目じゃないんだけど(笑)、歌に懸ける人生ってどうなのかな?と思いました。
 ──凰稀さん、こういうお話をお聞きになっていかがですか?
凰稀 私は2年前の岩谷時子先生のコンサートに出させてもらって、その時に越路さんの歌も歌わせて頂いたのですが、こういう機会に先輩方や、玉三郎さんのお話を聞かせて頂けて、こういう風にやっていけば、自分もこうなれるのかな?という勉強になるお話ばかりなので楽しいです。
──ちょっと海宝さんだけ質問の系統が変わってしまって申し訳ないのですが(笑)、皆さんとご一緒にステージに立たれるのに楽しみにしていることは?
海宝 とにかく、今までのコンサートとは絶対に違った空気を感じられると思うので、それもすごく楽しみですし、以前玉三郎さんとテレビの番組で対談させて頂いた時に、越路さんのことを、もちろん存在は知っていましたし、映像も少しは拝見していたのですが、改めてきちんと映像を見て、歌を聞かせて頂いて、歌い手として目指すべき素晴らしい方だったのだな、ということを実感しました。言葉を語っていくということは、僕も目指していきたいと思っているのですが、それを越路さんが完璧に体現されていて、越路さんの歌っていた楽曲を今回自分が歌わせて頂くという時に、歌をどう表現していけるか?というところもすごくチャレンジですし、そこに挑戦できることがすごく楽しみです。

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──玉三郎さん、もうすでにすごくチーム—クの良いステージになりそうだと、感じられますが。
玉三郎 昔から知り合いみたいですよね(笑)。宝塚の学校ということと、私たちの修行とが良く似ているので、リハーサルをやっていても、とても楽ですね。
真琴 初めてとは思えないというのは、宝塚というものもございますが、たぶん、根底に流れる、玉三郎さんが男性に生まれて女形をされ、私たちが女性に生まれて男役をやった、というところがあるので、さぁ、海宝さんどうする?みたいな(爆笑)。
玉三郎 越路さんがミュージカルをなさっていた頃って難しい時代だったと思うんですね。スターが出て行かなければならない。でも海宝さんの『レ・ミゼラブル』のマリウスを観た時に、日本のテノールの歌い手、ミュージカルの歌い手がこういうところまで来たんだなと。そして8才の頃から『ライオン・キング』に出ていたんですって。あぁ、子供の頃からミュージカル漬けでいらしたからこそ、こういうところまで行かれるのかと。で、私たちも子供の頃からやっているじゃないですか。そういうところが合うと思って、ご一緒してみたら何かが生まれると思うし、皆さんが女性の歌い手として男性と歌うのがどういうことか?もわかると思うので、そういう感じですね。もちろん、バリトンがいても良い、バスがいても良いと思ったのですが、どんどん広がってしまうので、これ以上増やさないでと言われて我慢しているんです(笑)。
 
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【質疑応答】

──玉三郎さんの心をそこまでとらえた越路さんの魅力と、今、越路さんの歌を歌われて改めて発見することはありますか?
玉三郎 逆に言いますけれども、改めて発見するということはないと思うんです。ずいぶん知ってきたので。ただ、彼女たち(共演者)と会って話すことによって発見することはある。彼女たちがどう受け留めているかな?ということだと思うんです。ただ魅力というのは一言では言えないですね。生で観ないとわからなかった部分を皆とやることによって、多分こうではなかったかな?と想像する。それが違っていても良いので、夢が見られることが大切かなと思っております。
──玉三郎さん、歌舞伎ファンはいつの間に歌を歌われるようになられていたのか?と驚いた人も多いと思うのですが、何かヴォイス・トレーニングのようなことはされていたのですか?
玉三郎 しました。今年で15年になります。年齢がくると舞台の声が出なくなるんですね。それを止めることを目指して、やっていったんです。50才くらいから声が良く出なくなったので。それで10年経った時に「これだけやったんだから歌ったら?」と言われたのですが、でも歌うきっかけがないからなと思っているうちに、越路さんの三十七回忌できっかけができたということだと思います。
──今回CDに入っていない曲もあるとのことですが、選曲の工夫については?
玉三郎 皆さんが歌いたいもの、越路さんの歌の中で心を動かせるものは何か?を聞き合わせながら、演出家の小林香さんと一緒に選曲して来ました。まだまだ数はありますから。

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──見どころなどはどんなものに?
玉三郎 皆一緒に歌うところも作りたいなと思っています。
真琴 あの歌ですよね。玉三郎さんと私たちがご一緒に、まさかあの歌を歌うか?という。今は言えません(笑)。 
──今は言えませんというお話がありましたが、その中で、教えて頂けるものが何かありましたら、教えて頂けませんか?
玉三郎 じゃあ言っちゃう、という感じですね(笑)。「サンライズ・サンセット」を何人かで歌います。それから僕は新しい歌で、ソンドハイムの大変難しい歌ですが「Send in the Clowns」を歌います。
真琴 今回のコンサートは東京だけではなくて、各地を回りますので、同じ歌を海宝さんが歌ったり、私が歌ったりするということもございます。熟女と若い男性が歌います(笑)。
玉三郎 「誰もいない海」ですね。
姿月 じゃあソロで歌う曲を1曲ずつだけ。
凰稀 私は「サントワ・マミー」を。
水 「ラストダンスは私に」を歌わせて頂きます。
姿月 「恋心」を歌わせて頂きます。
真琴 私は、ですので「誰もいない海を」(笑)。NHKホールでは「パダン、パダン」を歌います。
大空 「さくらんぼの実る頃」を歌わせて頂きます。
霧矢 私は「メケメケ」を歌わせて頂きます。
玉三郎 もちろん他にもたくさんあるのですが、代表的なものをね。
 
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──玉三郎さん、どんな方にコンサートに来て欲しいですか?
玉三郎 皆に観て欲しいです(笑)、創り手がどんな人に観て欲しいか?とは言えないんですよね。とにかく良いものを創るということが大事なので。あ、海宝君「魅惑の宵」を歌うんじゃなかった?
海宝 はい、そうです!
玉三郎 ごめんなさい、その後に「誰もいない海」でしたね。間違えちゃった(笑)。『南太平洋』の「魅惑の宵」を歌います。
──はじめは、全然曲名が出ない予定だったのですが、ご質問からかなりの曲数が出ましたね(笑)。
玉三郎 はい、大丈夫です(笑)。
──では改めて最後に玉三郎さんからご挨拶を。
玉三郎 皆さんと力を合わせて、良い歌を歌って、見られる、聞けるコンサートにしたいと思いますので、皆様どうぞご援助くださいますようよろしくお願い致します。今日はありがとうございます。

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和気藹々とした会見の後、フォトセッションではこの日全員が身に着けていたブルガリのスペシャルなジュエリーが、コンサートステージの本番でも使われることが発表され、文字通り、目に耳に楽しいコンサートへの期待が高まる時間となっていた。

〈公演情報〉
坂東玉三郎 越路吹雪を歌う 『愛の讃歌』 
構成・演出◇小林香
音楽監督◇三枝伸太郎
出演◇坂東玉三郎
真琴つばさ、姿月あさと、大空ゆうひ、水夏希、霧矢大夢、凰稀かなめ、海宝直人
(※ゲスト出演者は会場毎に変動あり)
●4/8◎群馬・伊勢崎市文化会館
〈料金〉S席6.800円 A席5.800円
〈お問い合わせ〉伊勢崎市文化会館 0270-23-6070
●4/12◎東京・NHKホール 
〈料金〉SS席12.500円 S席11.000円 A席5.000円
〈お問い合わせ〉キョードー東京 0570-550-799
●4/29◎山口・周南文化会館
〈料金〉S席8.500円 A席7.500円
〈お問い合わせ〉周南文化会館 0834-22-8787
●4/30◎広島・上野学園ホール
〈料金〉全席指定 9.000円
〈お問い合わせ〉HOMEイベントセンター 082-2211-7116
●5/3◎大阪・フェスティバルホール
〈料金〉SS席12.500円 S席11.000円 A席8.000円 B席5.000円 BOX席15.000円
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888
●5/13◎神奈川・ハーモニーホール座間
〈料金〉S席8.000円 A席6.000円
〈お問い合わせ〉ハーモニーホール座間 046-255-1100
●7/28◎宮城・川内萩ホール 
〈料金〉S席9.500円 A席9.000円
〈お問い合わせ〉河北新報社企画事業部 022-211-1332
https://kyodotokyo.com/tamasaburo


【取材・文・撮影/橘涼香】



えんぶチャート2017掲載!えんぶ10号


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自由の為に命を賭けた女を描くミュージカル『Romale ロマーレ〜ロマを生き抜いた女カルメン』制作発表レポート

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ビゼーのオペラで殊の外有名な「カルメン」の物語に、謝珠栄が新たな光を当て、花總まり、松下優也他、豪華キャストの出演で創られるミュージカル『Romale ロマーレ〜ロマを生き抜いた女カルメン』が、3月23日〜4月8日東京・東京芸術劇場プレイハウス、4月11日〜21日大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される。

ミュージカル『Romale ロマーレ〜ロマを生き抜いた女カルメン』は、19世紀に書かれたメリメ原作の「カルメン」をベースに、小説、オペラの中では自由奔放な魔性の女として描かれるカルメンが、ロマ族として、当時の社会風土の中どのように生き抜いていったのかにスポットをあてた、演出・振付の謝珠栄の視点で描く作品となっている。主演のカルメン役には1999年宝塚歌劇団宙組で上演された『激情〜ホセとカルメン〜』でもカルメン役を演じた花總まりが、当代一の姫役者としての高い評価を得ている今、再び挑戦。そのカルメンを階級を越えて愛しぬくドン・ホセに歌手として、また俳優として活躍し、NHK朝の連続テレビ小説『べっぴんさん』の栄輔役の記憶も新しい松下優也が演じるのをはじめ、実力、人気を兼ね備えたキャストが集結。知られざるカルメンの真実の物語が、新たに生まれ出ることとなる。

そんな期待の作品の制作発表会見が2月14日、作品の雰囲気にピッタリのTABLAO FLAMENKO GARLOCHI─タブラオ・フラメンコ・ガルロチ─で行われ、多数のメディアをはじめ、抽選で選ばれた幸運なオーディエンスが見守る中、演出・振付の謝珠栄とメインキャストが公演への抱負を語った。

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制作発表会見は、まずフラメンコのステージでの楽曲披露からスタート。頭まですっぽりとマントをかぶった伊礼彼方、KENTARO、太田基裕、福井晶一の中に、カルメン・花總まりが立ち上がり、ロマとして生きる人々の魂の叫びを綴った「流浪の民」が歌われる。

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そこからは花總が残り、ドン・ホセの松下優也が登場。愛し合いながら互いの心がとらえられない焦燥を吐露する「すれ違う心」が歌われる。

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楽曲はドラマチックで、民族的な香りも強く、花總と松下の並びも美しく、早くも作品世界の壮大な一端が浮かびあがるようだった。
 
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そんな余韻の残るステージに椅子が運びこまれ、演出・振付の謝珠栄、花總まり、松下優也、伊礼彼方、KENTARO、太田基裕、福井晶一、団時朗のキャストに、梅田芸術劇場代表取締役社長木村有裕が登壇。まず木村社長から、この新しいカルメンを描いたミュージカルへの期待が語られたあと、司会の中井美穂とのトークも交えながらの、登壇者挨拶となった。

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【登壇者挨拶】

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 バレンタインデーの貴重な時間の中をいらしてくださってありがとうございます。謝珠栄です。情熱的で男を魅了する恋多き女の代名詞のように言われているカルメンなんですけれども、その光の部分ではなくて、影の部分に興味を引かれまして、2008年に書いて頂いたのが『Calli〜炎の女カルメン』という作品でした。その時にはわりとファンタジックな方向にストーリーが行っていたのですが、今回はロマとして生きた女カルメンに対してスポットを当てたいなと思いまして、脚本を高橋知伽江さん、音楽を音楽監督の玉麻尚一さんを中心に、新たに作って頂くことになりました。ロマとして生きた女カルメンなのですが、カルメンという女性が一般的には前面に出ているかと思いますが、私はホセとカルメンの愛の絆についてもっともっと知りたくて、最初にメリメの原作を読んだ時にホセの激しい情熱を感じて、それを宝塚歌劇団の『激情〜ホセとカルメン〜』という作品で描かせて頂きました。でもそれはメリメとホセの、白人の男性から見たカルメン像で、女性の私から見たカルメンはもっと違う女ではないのかな?という疑問が生まれたのが、この作品を作りだしたきっかけになりました。今、異文化コミュニケーション、グローバルな社会になっていて、差別や偏見という言葉にとても敏感になっていますから、露わには出ていないのですが、カルメンとホセの生きた時代にはもっとそういうことが多かったのではないのかな? その中で白人男性のホセとの愛を強く貫きながらも、死を覚悟してまでも生きた女性はどういう人物だったのか。それを今までよりも更に深く深く探っていきたい。もう寝ても覚めてもカルメンのことばかり考えています。それが今、楽しい稽古場の中でやっている私の仕事なのですが、それがどういう風に仕上がるか、皆さん楽しみに待っていてください。
 
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花總
 皆様本日はお忙しい中ありがとうございます。カルメン役を演じさせて頂きます花總まりです。役としては二回目で、その前回も謝先生の演出の元カルメンをさせて頂いたのですが、本当にカルメンを知り尽くした謝先生なので、今のお話を伺いながらも自分でカルメンを作っていくのが更に楽しみになりました。もっと深く、深く、カルメンという女性を作っていきたいと思いますので、是非皆様よろしくお願い致します。
──花總さんのこういった姿は新鮮な感じがしますね。
花總 自分でも新鮮で、ちょっと楽しいです。
──ちょっとですか?
花總 だいぶ楽しいです(笑)。

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──楽しみにしています。では松下さんお願いします。
松下 皆さん今日はお集まり頂き本当にありがとうございます!ドン・ホセ役の松下優也です。まずは製作発表で歌い終わってホッとしております。今、稽古に入って数日経ったのですが、もう1日目から謝先生がめちゃめちゃ飛ばして、飛ばして稽古場は進んでいますので、これからますます面白いものに変わっていくんじゃないかと思っています。今回はこのような素晴らしい役を演じさせて頂けるということを、すごく嬉しく思っています。花總まりさん、そして謝先生のお力をお借りしながら、この座組の中では一 番若いということになりますので、自分で言うのも変なのですが(笑)、若いパワーで頑張れたらなと思っております。よろしくお願いします。
──今日お衣装をつけた花總さんをご覧になってどうですか?
松下 この間パンフレットの撮影もあったんです。その時に初めて見て、稽古場で見るのとは全然違って。
花總 あ、稽古場とは全然違いますね(笑)、すみません!稽古場ではひどすぎるので(笑)。
松下 いえいえ、逆に稽古場でこれだったら困るので(笑)。
花總 確かに(笑)。
 
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──では伊礼さんお願いします。
伊礼 どうも(オーディエンスに手を振り)、よくいらっしゃいましたね。貴重な経験ですね。今回私、個人的なことですが、役者人生で初めて髭をはやしまして。私は女性ホルモンが多いもので、毛が少し薄いものですから書き足したりなんかもしているのですが、いかがでしょうか?皆さん素敵なお衣装を着られてね、花總さんも胸元パックリ開けてね。
花總 そんなこと言わないで、自分のことを言って!(笑)
伊礼 今回はスニーガ中尉という、いやらしい、ドスケベな役を(笑)やらせて頂きます。少し前だったらね、僕もホセの若いポジションを担っていたかも知れませんけれども、僕も36才になりまして、年男ですよ!ありがとうございます(笑)。本当にこうやって少しずつヒーローからヒール役にシフトチェンジしていって、少しでも皆様のお力になれればと思っておりますので、生理的嫌悪感を感じて頂けるような役作りに励んでいきたいと思います(笑)。よろしくお願い致します。
──軍服姿も素敵ですよ!
伊礼 ありがとうございます。

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──ではKENTAROさんどうぞ。
KENTARO ガルシア役のKENTAROです。僕はヒーローをやったことがありません(爆笑)。ヒーローから歳をとって悪役になるんですけれども、僕は根っからの悪役でして、ほぼご覧の通りのこういう感じになっております(笑)。でも花總さんとは『モーツァルト!』という作品でご一緒したのが数年前で、今回は光栄なことに夫婦役としてやらせて頂くので、どこまでロマの一族として生き続けて、さすらい続けるかをテーマに、ロマの一族の大ボスの役なので、ボス感満載でいってみたいと思っております。楽しみにしていてください。ありがとうございました。
──お1人だけ色合いが違って。
KENTARO 全然違いますね。
──隻眼は踊る時など大丈夫ですか?
KENTARO やってみないとわからないですね(笑)。

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──では太田さんどうぞ。
太田 ローレンス役をやらせて頂きます太田基裕です。この先輩の流れで僕が喋るのはイヤなんですけれども(笑)、本当に素晴らしい先輩方がたくさんいらっしゃって、多くを学びながら自分らしい素敵なローレンスを演じていけるように頑張っていきたいと思っております。よろしくお願いします。
──白の軍服は着たことがあるんですか?
太田 あまりないかも知れないです。
──どうですか?着心地は?
太田 ちょっと恥ずかしいですけれども、馴染んでいくと思います。本番では素敵に着こなしたいと思っております。

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──では福井さんどうぞ。
福井 ジャン役の福井晶一です。よろしくお願いします。念願の謝珠栄先生の作品に初めて参加させて頂けるのを、とても楽しみに致しております。また花總まりさん、そして今回は団時朗さんとのからみがすごく多くなると思うですが、素晴らしいキャストの皆さんとの共演を、お稽古も少しずつ始まっている中、すごく楽しみにしております。今回フランスの社会人類学を研究する学者役ということで、一番最初に謝先生にお会いした時に「このジャンという役は私やねん!」とおっしゃっていらした、その言葉がすごく印象的で。まさにカルメンという物語を、謝先生の目で見た真実を、代弁している役ではないかと思っています。期待に応えられるように頑張りたいと思います。よろしくお願いします。
──福井さんは謝先生の魅力を一言で言うとどんなところにあるのですか?
福井 情熱だと思います。その情熱に負けないように頑張りたいと思います。

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──では団さんどうぞ。
 50年まえのホセを知る老人ということなのですが、皆さんに名前があるのに「老人」ではちょっと可哀想なので、「ドン・タコス」という名前にしたいと思います(爆笑)。どうぞよろしくお願いします。
──このカンパニーの雰囲気はいかがですか?
 若いエネルギーに満ち満ちておりますので、日々楽しみに稽古に参加させて頂いております。素敵な歌やダンスで、非常に面白い舞台になると思いますので、よろしくお願いします。
──このミュージカルをご覧頂くと、謎の老人が誰なのか?というのが明らかになると思います。ではここからは質疑応答とさせて頂きます。

【質疑応答】

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──キャストの皆さん、ご自身の演じる役どころの見どころや、魅力を感じているポイントなどを教えてください。
花總 カルメンの魅力をたくさんお見せできれば、全てが見どころ、全てが魅力と思っています。良い意味で皆様の期待を裏切りたいですし、期待通りのところにも行きたいですし、というカルメン像を作っていきたいと思います。
松下 自分の役の魅力ですよね?うーん、なんでしょう、熱量というか、カルメンへの思いの情熱的なところが魅力ではないかと思います。見どころはたぶんいっぱいあると思うので、ここという風に一言では表せないのですが、そうですね、全部です!(笑)
伊礼 私は先ほど長々とスニーガの魅力はお伝えしたと思いますので、そこは大丈夫だと思うのですが、今回音楽監督が玉麻さんで、他に斉藤恒芳さんと小澤時史さんという作曲家の方がいらっしゃって、このお二人が書かれている曲もとても素晴らしくて、民族的な音楽なのでそちらも楽しみにして頂ければなと思っております。
KENTARO ロマ一族の大ボス役として象徴的な役どころになるのではないかと思っております。何故ロマとして生きていかなければならないのかとか、そういうことも踏まえて観て頂けたらと思います。見どころは、皆さんがおっしゃっているように曲も情熱的で、ロマ族を表現する時に背中を押される感じなんですね。初日までにその熱量を落とさずに、皆様に熱い舞台をお届けできるように、すべてが見どころだと思います。楽しみにしていてください。
太田 本当にまだ稽古が序盤なので深いところまでお伝えできないのですが、僕のローレンスはカルメンに翻弄される男の1人として出てくるので、その辺のカルメンとの駆け引きなどを繊細に描いていたけらいいな、と思いながら、今、稽古しております。
福井 先ほどもちょっと話にあったのですが、ホセとカルメンが出会った50年後から今回の話が始まっていて、僕が演じるジャンという人がカルメンの真実を暴こうということで、カルメンに直接出会った人から話を聞くというところからはじまります。そういう意味ではもう1人のカルメンに虜になった男として、情熱を持って演じたいと思っています。またキーパーソンということで、お客様と舞台をつなぐ役割もあると思うので、その辺も見て頂けたらと思います。
 皆さんがおっしゃってくれた通りで、私からは言ってはいけないことがあるので、楽しみにしていてください、としか言えません(笑)。

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──謝先生からキャストの皆さんへの期待と、キャストの皆さんからは稽古場での謝先生の雰囲気や魅力を教えてください。
 梅田芸術劇場のプロデューサーの方たちと配役を決める時にすごく話し合ったのですけれども、非常に私は納得できる良いキャスティングだと思っています。今歌稽古がはじまって、ちょっと立ち稽古や、振付もはじまっているのですが、皆さん作品に対する想いを強くもってくれている。それは舞台には出ると思いますので、私のやれるところは舞台に行くまでのところであって、舞台に乗ってからは皆さんの気持ち、舞台に対する、役に対する想いなので、皆さんしっかりやっていってくださることを信じています。また舞台をもっとよくしてくださるのは、お客様の想いもあると思うので、そこを今すごく楽しみにしています。
花總 私から見ると謝先生もカルメンの要素を持っているところがあって、カラッとしているんだけれども、演出家として、自分を中心に全てを動かしていく力があって。周りが動かされてしまう、影響力があってパワフルです。でもとにかくカラッとしているので、そこは盗みたいなという味を持っています。カルメンと先生に通じる部分があるなと思います。
松下 親近感をめちゃめちゃ感じてます。僕は今回初めてなんですけれど。
 大阪のおばちゃんみたいなね。
松下 そうそう、とも言いずらいんですけど(笑)。稽古場で今ちょうど座っている席が謝先生の隣なんですが、昨日も稽古が休憩になった時に「おかき食べる〜?」と言ってきてくれて、おかきくれたりとか(笑)。そういうテンションなんで、それは自分的には非常にやりやすいです。あとは熱量とスピード感をすごく感じています。僕は稽古場ではどちらかと言うとスロースターターで「初日に間に合うように」と思っているのですが、結構うわーっと進んでいるので、それについていけるようにしたいと感じています。

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伊礼 謝先生はいつも「なんでやねん!ねん、ねん、ねん!」という感じで(笑)、稽古場に先生の声が響いているのですが、身長が小さいので下からくるんですね。「なんでや!こうやないか!」と(笑)。すみません、先生の印象を崩してしまうと申し訳ないのですが(笑)、そういったパワフルな先生で。で、必ず稽古場では立ち稽古がはじまると「好きにやり〜」というのでやると「ちゃうねん!ちゃうねん!」と言われる(笑)。言ったことと違うじゃないか(爆笑)ということが多々ある。でも僕は個人的なことで謝先生が創るオリジナル作品の醍醐味として、作曲家の玉麻さんが稽古場に音楽スタジオ的なものを作って、その場で音楽とか脚本を直していく作業を同時進行でやっていく。僕は謝先生の作品は4作品目なのですが、必ずその同時進行が行われて、より高みを目指していくという意味でも、素晴らしい演出家だと思います。僕たちもそこにインスパイアされて役作りも見えてくるし、どんどんパワーを頂いて、それを最終的にお客様にお見せして、お客様が日常に持って帰る。そういうつながっている作業に、僕は幸せを感じています。
KENTARO 僕は謝先生とは10年くらい前にご一緒させて頂きましたが、その頃から熱量が変わっていないですね。モノマネは(伊礼)彼方がやってくれたんで、僕は敢えてやりませんけど(笑)。一言で、いや一言じゃないな。パッションとアイディアとインスピレーションを全部持っていらっしゃる方なので、それが一気にきて。天才が凡人にバッとこられると応えるのに時間がかかってしまったりもするので、これから諸々の稽古が進んでいって、コミュニケーションを挟みながら良い作品にしていきたい、謝先生についていきたいと思っている、そんな存在でございます。
太田 僕は謝先生とは「はじめまして」なのですが、稽古場での熱量と迫力がすさまじくて、画面から飛び出てくるようなすごい立体感を感じて、びっくりする瞬間が多々あります。それ以上に作品に対する、キャストに対する愛情を、まだ稽古がはじまって短い中でもすごく感じますので、今後共しがみついて頑張って必死について行こうと思います。
福井 僕はまだ本番中で、なかなか稽古に参加できていなくて遅れを取っている状態なのですが、今皆さんの話を聞いて、あーそうなんだ、と思いながら、楽しみなような大変なような現場なんだろうなと。厳しいんですけれども楽しい稽古場で、良いものを作っていきたいと思っています。
 謝先生と楽しみにしているところは大阪で美味しいものを食べるということです(笑)。よろしくお願いします。

団の洒脱な挨拶が結びとなって会見は終了。公演への期待が高まる時間となった。

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〈公演情報〉
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ミュージカル『Romale ロマーレ〜ロマを生き抜いた女カルメン』
演出・振付◇謝珠栄
原作◇小手伸也
上演台本◇高橋知伽江
音楽監督・作曲◇玉麻尚一
作曲◇斉藤恒芳、小澤時史
出演◇花總まり/松下優也/伊礼彼方、KENTARO、太田基裕/福井晶一/団時朗
一洸、神谷直樹、千田真司、中塚皓平、宮垣祐也
●3/23〜4/8◎東京芸術劇場プレイハウス
〈料金〉S席12,500円 A席9,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 0570-077-039
●4/11〜21◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
〈料金〉全席指定 12,500円(税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 06-6377-3888


【取材・文・撮影/橘涼香】




水夏希・彩吹真央出演。夢幻朗読劇『一月物語』


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