えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

『不徳の伴侶 infelicity』

OG公演会見

最高のキャストで東京、パリ、大阪、北九州公演! NODA MAP第22回公演『贋作 桜の森の満開の下』製作発表レポート

IMG_4643

野田秀樹率いるNODA・MAPの第22回公演『贋作 桜の森の満開の下』が、本年9月の東京芸術劇場プレイハウスを皮切りに11月末まで、パリ、大阪、北九州、そして再び東京公演を、豪華キャストによって行うことが発表された。

本作は野田秀樹が深くリスペクトする坂口安吾の小説「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」をモチーフに、『贋作 桜の森の満開の下』として、1989年に劇団夢の遊眠社公演として上演。国造りと仏像造りに魂を奪われていく人々の姿とその愛憎を、野田戯曲らしい言葉遊びや詩情とともに圧倒的なスケールで表現し、野田演劇の中でも傑作中の傑作として大評判になった。そして3年後の1992年に再演、2001年には新たな演出で新国立劇場主催で公演され、昨年は東京・歌舞伎座で『八月歌舞伎』の演目として歌舞伎俳優たちによって上演、大きな成功をおさめた。

その作品が、今回、豪華キャスト陣を迎えて、NODA・MAP公演として立ち上がる! 4月5日、公演の製作発表が都内にて行われた。登壇者は作・演出・出演の野田秀樹、出演の妻夫木聡、深津絵里、天海祐希、古田新太、秋山菜津子、大倉孝二、藤井隆、村岡希美、門脇麦、池田成志、銀粉蝶。まさに豪華な顔ぶれが勢揃いした。

IMG_4653
秋山菜津子、大倉孝二、藤井隆、村岡希美、門脇麦、池田成志、銀粉蝶
野田秀樹、妻夫木聡、深津絵里、天海祐希、古田新太


【挨拶】
 
野田秀樹/作・演出
この作品は昭和の終わり、平成元年に初演されて、奇しくも今回、平成の終わりに上演することになりました。きっかけとなったのは、今年の秋にパリで「ジャポニスム」という大きなフェスティバルがありまして、国立劇場でシャイヨー劇場というところで、これまで2度作品を上演しているのですが、その劇場から、『贋作  桜の森の満開の下』を上演してくれないかと逆指名をいただきました。そこで日本を代表して上演するならと、考えられる限り最高のキャストとスタッフを考えようと。まあ無理だろうなと、当たって砕けろとオファーをしてみたところ、理想通りの役者さんからスタッフさんからOKが出まして、これ以上ない良いカンパニーになったかと思います。

妻夫木聡耳男役
この話は、『エッグ』という舞台で野田さんとご一緒させていただいていた時に、やはりここにいらっしゃる大倉(孝二)さんと『贋作 桜の森』の話をしていたことがあって。その時はこういう作品があったんだな、もし再演があるなら観てみたいなという気持ちで話を聞いていたのですが、まさかその『贋作 桜の森』に自分がこうして関わらせていただくことになるとは、夢にも思っていなかったです。だから今、とても不思議な気持ちです。今回でNODA・MAPは6回目で、NODA・MAPの熱に溶かされないようにがんばっていきたいと思います。

深津絵里/夜長姫役
夜通し起きている姫、夜長姫を演じます。17年ぶりにこの姫を演じるのですが、まったく以前の記憶がないので(笑)、新しい気持ちで臨みたいと思います。夏の稽古から11月末の千秋楽まで、こんなに素晴らしく強烈にカッコイイ共演者のみなさんと一緒に過ごせることが、今からとても楽しみです。必死にがんばります。よろしくお願いいたします。

天海祐希/オオアマ役
私は歌舞伎版の『贋作 桜の森』をどうしても観たくて観に行ったのですが、歌舞伎座の楽屋でちょうど深津さんと、さらにたまたま毬谷友子さんもいらして、歴代の「夜長姫」が3人揃った場に居合わせまして。必死に写真を撮っていたその時のことを考えると、まさかこの作品に私が声をかけていただけるなどとは思いもしなかったので、すごく嬉しくて幸せで。もう、絶対にやりたい!とお返事をした後に、よくよく考えてみたら、あれ?ちょっと待って、オオアマって、染ちゃん(市川染五郎/現・幸四郎)がやってた役?あれ男の人?(笑)。ということで、宝塚退団後、舞台で初めて男性をやらせていただくことになりました(笑)。こんなに素晴らしい共演者とスタッフの方々に私も必死で食らいついていきたいと思っています。

IMG_4645

古田新太
マナコ役
17年前もマナコをやったんですけど、新国立劇場で絵里ちゃんたちと一緒にやったそのとき、記者会見を野田さんがすっぽかし、大事件になったことを今も覚えています(笑)。今年もがんばりますので、よろしくお願いします。

秋山菜津子ハンニャ役
17年前の『贋作 桜の森』は呑気に観ていまして。こんなに時間が経ってから、まさか出演することになるとは思いませんでした。野田さんの舞台はとても体力がいるので、この長い公演を最後までなんとか生き抜いていきたいと思います(笑)。よろしくお願いいたします。

大倉孝二
青名人役
こんなことでもなければこんな高いところに来なかったと思いますし、丸まったサンドイッチもいただいて、幸せな気持ちでいっぱいです(笑)。僕も17年前の時に出させていただいて、今回はその時とは違う役です。もう43歳のオッサンなんですけど、驚くことにこのカンパニーの中では下から3番目になるので(笑)、フレッシュ感を出していきたいと思っています。

藤井隆/赤名人 
本当にこの舞台に呼んでいただき、声をかけていただけて光栄です。なんとか食らいついて、みなさんにご迷惑をおかけしないようにがんばろうと思っております。ぜひ劇場にお越しいただけたらと思います

IMG_4644

村岡希美/エナコ 
私にとっては10年ぶりのNODA・MAPへの参加となります。久しぶりなので、内面も身体もすべてひとくくりになる野田さんの世界を力一杯やれたらなと思います。17年前の舞台も拝見していて、とても圧倒的な作品だったイメージがありますので、今回は自分もそちら側に加われるのかと思うと、少し恐いのですが、楽しみにやっていきたいです。

門脇麦/早寝姫 
今回初めてNODA・MAPの作品に参加させていただけることになり、とても緊張しています。どうなるのか全然想像がつかないのですが、こんなに素敵な方たちに囲まれて、私は今25歳ですが、これはなかなかできる経験ではないので、精一杯いろいろなものを吸収して、必死に皆さんに食らいついていけるようにがんばります。

池田成志/エンマ 
昨日あんなに暑かったのに今日はこんなに寒くて、皆様大丈夫でしょうか。よく考えたら7月に稽古ということで、おそらく今年はものすごく酷暑になると勝手に思っています。とにかく身体のことが心配です(笑)、よろしくお願いいたします。
 
銀粉蝶/アナマロ 
私も同じく身体のことが心配です(笑)。私は日本青年館での公演と新国立劇場での公演と、両方を拝見しています。それを自分がやることになるとは思ってもみませんでした。やる以上は楽しみたいと思います。
 
野田秀樹/ヒダの王 
これだけの役者さんが揃うと、作品の出来が悪い場合、責任は全部私にかかってくるので、すごくプレッシャーに感じてます。ちょっと訂正したいことがあって、古田さんが話した「僕が記者会見をすっぽかした」という話ですが、裏話があって、前の日に古田と飲んでて、「明日の記者会見、ああいうのイヤなんだよね」と話をしたら、「じゃあ行かなきゃいいじゃないですか。僕がなんとかしときますよ」と。私は純粋ですからその言葉を真に受けて、なんとかしてくれるだろうとすっぽかしたんです(笑)。そして当日は大騒ぎになって、古田は「どうしたんでしょうねえ」と知らない顔してて、なんのフォローもしてなかった(笑)。それだけは言っておきたいと思います。
古田 どんなふうになるかなと思ってたんですが(笑)。野田さんちの部屋の鍵が壊されたんですよね(笑)。

IMG_4654

【質疑応答】
──妻夫木さん、耳男役は野田さんと堤真一さん、中村勘九郎さんと4代目になりますが、耳男を演じるプレッシャーは?
妻夫木 プレッシャーはありますが、僕自身はこの作品を拝見したことがなかったので、逆に知らない強みみたいなものが出せるのかなと。そにぶんプレッシャーが半減されている気がします。今、自分自身が持っているものをうまく出せたらと、まあ出たとこ勝負で身を任せようかと思っています。
──野田さん、妻夫木さんに耳男をオファーしたのは?
野田 これまで5作やってて、何の作品だったか、彼が出ている作品を袖から見ててて、「あ、彼が『贋作 桜の森』の耳男をやるといいだろうなと。なんというか、妻夫木さんのキャラクターって弱っちぃんです(笑)。いじめられる対象というか、真面目に生きようとすればするほど、力が強いものに
抑圧されたりいじめられるという、僕の勝手なイメージがあって。自然と『贋作 桜の森』のワンシーンが浮かんできたんです。
妻夫木 光栄ですね。野田さんにそういうイメージを作り上げてもらえることは、本当に光栄だと思っています。その気持ちに応えられるようにがんばります。
──深津さんは、同じ役に再び挑むこと、今度は妻夫木さんが耳男ということで、いかがでしょうか?
深津 このメンバーでなければ、私は今回やっていなかったかもしれないです。これは嘘でもお世辞でもなく、そのくらい本当に大好きで、すごいなと思える共演者の方ばかりなんです。妻夫木さんはもしかしたら一番共演回数が多い相手かもしれないのですが、毎回慣れることがなくて、どんどん進化しているというか。ご自分を高めよう、前に行こうとするその姿勢は変わらないので、とても安心感がありますし、親戚みたいな感覚もあります(笑)。
妻夫木 じゃあ親戚になりましょう(笑)。
──天海さん、男役で相手役が深津さんと門脇さんですが、楽しみにされていることは?
天海 全部です。皆様方とお仕事させていただけるのも楽しみですし、こんな美しいお二人に恋していただけるので、ちゃんとカッコよくなってなきゃいけないなと、今、反省しました。
──天海さんと初共演することについては?
深津 初めて共演させていただくのですが、この作品のために今まで共演してこなかったんだろうなと思うくらい、奇跡的な出会いのような気がしているので、その思いを存分に出していきたいです。
門脇 私も大好きでいつも見ていたので、恋する気持ちは準備完了しています。あと、男性ではなく女性同士というのは、一味違った美しくてピュアなシーンになるのではないかと思うので、そういうところもお客さんに楽しんでいただけたらと思います。
──古田さん、海外公演は?
古田 非常に楽しみですね(笑)。フランスのお客様の前で日本のお芝居を紹介できるので、心躍っています(笑)。台詞の中に「銀座のライオン」という言葉が出ていますが、フランスで通用するか心配です(笑)。
野田 通用します。「銀座のライオン」でしょ(笑)。
──18名のアンサンブルが出演するそうですが、
野田 ちょうど今ワークショップをしていて、とても良い感じで、僕の演出はアンサンブルありきで、去年歌舞伎でやった『贋作 桜の森』も演出をがらっと変えてやりました。イギリスの著名なプロデューサーが「このアンサンブルは英国の役者では出来ない」と言ってくれて、「見えない1本の糸で繋がっているようにみんなが動いていた」と褒められました。今回も彼らに期待してます。
──大阪での公演では新歌舞伎座ですが、花道とか使用しますか?
野田 新歌舞伎座は昔の近鉄劇場で、僕はこけら落とし公演を劇団公演としてやっていて、非常に感慨深いです。花道は東京、北九州は作らない予定で、大阪でしかできない演出になるのか。まだ考えてません(笑)。

 IMG_4656

──演出で変わるところは?
野田 台本に関しては変えようとしましたけど、やはり書いた若いときの自分は別人でいじり難くて、それに年をとってくるとどんどん理屈っぽく考えすぎて、若いときのほうが自由だった気がします。演出は新国立劇場では奥行きが50メートルくらいあるので、誰も使ってなかったそこを生かして巨大な空間を作ろうと。今回はその夢を追ってもしかたないので、その代わり見立てというかたちの演出をしようと思って、ワークショップでも今やってて、非常にうまくいってます。
──海外で公演する意味は?
野田 僕はもともと演劇を始めたことにも意味はないので、あまり考えてないんですが、海外で作るとこんな華やかな製作発表もないし、そういう意味では孤独だなと感じますが、モノを作るにはそのほうがいいんじゃないかと思っています。ただ今回は日本のお芝居を、ちゃんと見せたいと思っています。
──以前のパリ公演の経験者はいかがでしたか?
藤井 すごく浮き足立ってしまいまして、でもすごく楽しかったです。宿がホテルではなくマンションだったので、夜公演が終わるとレストランはやってない時間でしたので、みんなでお部屋でご飯を作って食べたり、午前中にお散歩行ったりお買い物行ったり、もちろん、お仕事はきちっとさせていただいてるんですけど、あそこのパンがおいしいよとか言い合ったり。なんかご褒美をいただいたような気持ちで。
野田 誰か他の人、代わって(笑)。
大倉 僕ですか? 僕はボンカレーばかり食べてました(笑)。
野田 だめだ(笑)。
秋山 フランスのお客様はつまらないと、 席をバタンと立って帰ってしまうんです。『エッグ』はそういう方はほとんどいなくて、ホッとしました。
妻夫木 感じたままにお客さんも表現されるので、新鮮でしたし刺激になりました。シャイヨー劇場の客席の傾斜も日本に比べて急なので、よりお客さんを近く感じて一体感を感じた記憶があります。
深津 私は歌姫役だったので、ソロで歌って踊ってノリノリでいるとき、何人か立たれて帰っていかれたんです。淋しくなりましたけど、それが味わえたのは良い経験だなと。今回は誰1人帰さないという気持ちで臨みたいと思っています。
──オオアマを天海さんにした理由は?
野田 オオアマは皇子役ですので、どういう人なら「皇子様だ」と瞬間的にピタッと来るか、ずっと探してて、男の人をイメージしていたんですが、天海祐希さんの名前を思いついたとき、あ、これだ!と。それで大至急連絡をしてもらいました。でも半分以上は、やってくれないのではと思っていたのに、即答していただけたおかげで、自分の作品作りへの気持ちもよりギアアップしましたね。
──天海さん退団以来の男役を引き受けたわけは?
天海 私は男役だろうが女役だろうが、野田さんの作品にまた出られるなら、なんでもよかったんです。あとから、あ、私だけ男役だと(笑)。
──その野田さんの舞台の魅力は?
天海 もちろん観ていてもワクワクしますし、演じる側になるとさらにワクワクしますね。観客として舞台を観ていたと、あんまり素敵で、なんで私はあっち側に行けないんだろうと悔しいし、いいなあと思える世界なんです。

IMG_4652

〈公演情報〉
sakura2018_A_moji
NODA・MAP第22回公演
『贋作 桜の森の満開の下』 坂口安吾作品集より 
作・演出◇野田秀樹 
出演◇ 妻夫木聡 深津絵里 天海祐希 古田新太 
秋山菜津子 大倉孝二 藤井隆 村岡希美 
門脇麦 池田成志 銀粉蝶 野田秀樹 

池田遼 石川詩織 織田圭祐 神岡実希 上村聡  
川原田樹 近藤彩香 城俊彦 末冨真由 
手代木花野 橋爪渓 花島令 藤井咲有里 松本誠  
的場祐太 茂手木桜子 吉田朋弘 六川裕史 

●9/1〜12◎東京 東京芸術劇場 プレイハウス
●9/28〜10/3◎フランス パリ・国立シャイヨー劇場  
●10/13〜21◎大阪 新歌舞伎座  
●10/25〜29◎福岡 北九州芸術劇場 大ホール  
●11/3〜25◎東京 東京芸術劇場 プレイハウス





【取材・文・撮影/榊原和子】



霧矢大夢×鈴木壮麻『I DO! I DO!』


kick shop nikkan engeki

宝塚歴代トップスター&海宝直人らの豪華共演者で華やかに!坂東玉三郎 越路吹雪を歌う『愛の讃歌』制作発表レポート!

IMG_6521
凰稀かなめ、水夏希、海宝直人、大空ゆうひ、霧矢大夢
姿月あさと、坂東玉三郎、真琴つばさ
 

当代一の歌舞伎女形として活躍する五代目坂東玉三郎が、敬愛してやまない名歌手・越路吹雪が歌った数々の楽曲を、越路吹雪の後輩である、真琴つばさをはじめ、元宝塚歌劇団歴代トップスターたちと、ミュージカル界の次世代のプリンスとして進境著しいミュージカル俳優海宝直人を共演に迎えて歌う珠玉のコンサートツアー 坂東玉三郎 越路吹雪を歌う「愛の讃歌」が、4月12日の東京・渋谷のNHKホール等をはじめ、全国各地で開かれる。

越路吹雪は、宝塚歌劇団のトップスターとして活躍した後、ミュージカル女優として、またシャンソン歌手として揺るぎない地位を確立した、伝説の歌い手だ。特にシャンソンにおいて、作詞家・翻訳家の岩谷時子と共に、日本語で歌うシャンソンに力を注ぎ、日本に於ける「シャンソンの女王」と称された。文化庁芸術祭奨励賞をはじめ、受賞歴も数多く、特に「ロングリサイタル」として、当時では珍しい歌手のワンマンショー形式の長期リサイタルは好評を博し、日生劇場の大人気興行として定着。越路が逝去する1980年まで「ロングリサイタル」は歌手・越路吹雪の名声を不動のものとする、日本で最もチケットが取れない公演との逸話も生んだ。
一方言うまでもなく、歌舞伎界を代表する女形であり、重要無形文化財保持者(人間国宝)であり、歌舞伎界にとどまらず歌舞伎の域を超えた、世界の芸術家に影響を及ぼす存在として、シャンソンの故郷フランス芸術文化勲章コマンドゥール章も受章している坂東玉三郎が、越路吹雪を深く敬愛してきたというのは、文字通り、天才が天才に惹かれた典型的な例であろう。昨年3月に開催された、越路吹雪三十七回忌特別追悼公演「越路吹雪に捧ぐ」に出演した玉三郎が、シャンソン「妻へ」を歌って注目を集めたのは、記憶に新しい。

IMG_6023

そんな玉三郎の、越路吹雪が残した歌の遺産を次の世代に引き継ごうという熱い想いに、元宝塚歌劇団のトップスターの面々が応える形で、今回のコンサートが実現。奇跡のような夢のステージに、今、大きな期待が寄せられている。
その高まる関心に応えて、2月28日高級宝飾ブランドBVLGARIの、銀座「ブルガリ プライベート ラウンジ」の贅沢な空間の中で、制作発表記者会見が行われ、坂東玉三郎、真琴つばさ、姿月あさと、大空ゆうひ、水夏希、霧矢大夢、凰稀かなめ、海宝直人が登壇。生演奏の歌唱披露と共に、特別なコンサートへの抱負を語った。

IMG_5995

まず、会見には坂東玉三郎が登場。司会とのトークという形で、コンサートの経緯が語られた。

玉三郎 皆様今日はお忙しい中、コンサートの発表にお集まりくださいまして、誠にありがとうございます。去年の3月末に、越路吹雪さんの三十七回忌特別追悼公演のコンサートで歌わせて頂いたことがきっかけで、今回の運びとなりました。越路吹雪さんと同じ宝塚出身の皆さんと、歌を歌わせて頂くというコンサートでございます。皆様、どうぞご来場くださいますようにお願い申し上げます。今日はありがとうございました。
──玉三郎さんご自身は越路吹雪さんが大好きで、敬愛してやまない方だそうですが。
玉三郎 はい、そうですね。若い頃から日生劇場を1人で、1年に2ヶ月、3ヶ月のリサイタルができる方ということで尊敬して来ましたし、それと共に作詞家でいらっしゃる岩谷時子さんも受付にいらして、しょっちゅう私にチケットを売ってくださったところから、親しくさせて頂くようになり、岩谷さんとのお付き合いから越路さんのことを深く知るようになりました。今ね、こうして越路さんの歌を、ということでございますけれども、現代の人達にとっては新曲に近い歌もありますし、50年代、60年代、70年代、80年代に出来ました、素晴らしい心の入っている歌を、皆様にご披露できればと思ったのでございます。
──越路さんの代表作と言えば、フランスのシャンソン歌手エディット・ピアフが歌った「愛の讃歌」は、外せない曲でございますが、岩谷さんの作詞で。
玉三郎 ええ、岩谷さんも越路さんも東宝にいらした時に、急遽作詞をしなければならなかったというきっかけで、岩谷さんが「愛の讃歌」の作詞をなさったところから、作詞家として歩いてこられた歴史がございます。
──玉三郎さんにとっても「愛の讃歌」はとてもお好きな歌ということで。
玉三郎 そうですね、好きな歌でもありますけれども、今日はここで歌わせて頂くのですが、あまりにも大勢の方が歌っていらっしゃるので、大変難しいものなんです。けれども歌わなければ、このコンサートの意味がわかりにくい、ということで、お恥ずかしながら歌わせて頂きます。
──ミュージシャンの方達もすでにスタンバイされております。
玉三郎 去年からご一緒させて頂いている方達なので、本当に打ち合わせすることなく演奏して頂ける仲間で、大変力強いです。
──では、まずは坂東玉三郎さんに「愛の讃歌」を歌って頂きたいと思います。
玉三郎 コンサートやCDでも歌うつもりはなかったのですが、こういう記者会見の席ではやはり代表作をということで、つたないものでございますが、一生懸命やらせて頂きます。

IMG_6011

大きな拍手と共に、玉三郎が「愛の讃歌」を披露する。1曲の中に人生や、愛が描かれる、歌うことと演じることが極めて近いシャンソンの世界に、玉三郎の深い表現力が迸り、玉三郎ならではの「愛の讃歌」の世界が広がった。

──素晴らしいですね!お歌いになっていて、越路吹雪さんや、岩谷時子さんの笑顔などが浮かんできましたか?
玉三郎 緊張しておりまして、そういうものは浮かんできません(笑)。今日は少し短めのバージョンで歌わせて頂きました。
──それでも、やはり色々な思い出も。
玉三郎 そうですね。僕の青春時代の人ですから、そういう思い出は数限りなくあります。
──ステージでもそういう思い出と共に?
玉三郎 それはありますね。今日はちょっと皆様の前なので緊張して(笑)。

IMG_6031

──では、坂東玉三郎さんとステージを共にされる素晴らしい出演者の皆様が、コンサートを盛り上げてくださいます。早速お呼び致しましょう。元宝塚歌劇団のトップスターの皆様です。真琴つばささん、姿月あさとさん、大空ゆうひさん、水夏希さん、霧矢大夢さん、凰稀かなめさん(1人ずつ拍手の中登壇)。更に数々のミュージカル作品に出演され、今やジャンルを越えて注目されているボーカリスト海宝直人さんです(全員がステージに揃う)。玉三郎さん、これだけの皆さんが一堂に会するのはすごいことですね。
玉三郎 そうですね。去年一緒にやったメンバーもいますので、本当に華やかな素晴らしいドレスで、ブルガリのジュエリーもつけてもらえて、嬉しいです。
──本当に華やかです!ではお1人ずつご挨拶をお願いします。

IMG_6048
真琴
 本日はありがとうございます。昨年の春、越路吹雪さんの舞台でゲスト出演された玉三郎さんと、私達が一緒に「すみれの花咲く頃」を歌ったのですが、大変胸が熱くなり感動しました。その方とまたこうしてご一緒できる喜びをひしひしと噛みしめておりますが、本日超一流の玉三郎さんと、超一流のジュエリーを身に着けさせてもらった私達は、身が引き締まる思いでいっぱいでございます。良い舞台を務めさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします。

IMG_6058
姿月
 本日はありがとうございます。姿月あさとでございます。昨年は宝塚OGの公演に、玉三郎さんがゲストでいらっしゃったのですけれども、今回は玉三郎さんがコンサートをなさる機会に、反対に私達がゲストで出演させて頂くことができて、ご一緒の舞台での大変貴重な時間がこれから待っていることが、楽しみで仕方がありません。たくさんの方にいらして頂けるよう頑張ります。よろしくお願いします。

IMG_6073
大空
 大空ゆうひでございます。本日はどうもありがとうございます。私は今回玉三郎さんとご一緒させて頂けること、そして大好きな越路吹雪さんの曲を、玉三郎さんがこんなに愛しているとおっしゃっている、その魂を感じて、これは気を引き締めてかからないといけないなと思っております。素晴らしい先輩の歌を心こめて歌いたいと思います。よろしくお願いします。

IMG_6089
 皆様本日はありがとうございます。水夏希です。以前から歌舞伎を観させて頂いた時に、同じ時代に生きられることが本当に光栄だなと思っていた玉三郎さんと、同じステージで同じ作品に出演させて頂けるなんて夢のようで、緊張しかないのですが。越路吹雪さんは宝塚の先輩ということで、その後輩の、下の方の一部として、素晴らしい公演にしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

IMG_6113
霧矢
 霧矢大夢です。本日はありがとうございます。このような場に立たせて頂くのが本当に光栄でございます。昨年発売された、玉三郎さんの越路さんの曲のアルバムを聞かせて頂いて、本当に感動致しました。玉三郎さん、越路吹雪さん、そして私達の歌への想いを精一杯コンサートでお伝えできたら良いなと思っております。どうぞよろしくお願い致します。

IMG_6130
凰稀
 皆様こんにちは。凰稀かなめでございます。この度玉三郎さんとご一緒させて頂く機会を与えてくださった方々に、本当に心から感謝の気持ちでいっぱいです。そして大先輩である越路さんの歌を歌う上級生の方々、そして海宝さんと共に、お客様に楽しんで頂けるような舞台にしたいなと思っております。よろしくお願い致します。

IMG_6159
海宝
 海宝直人です。本日はどうもありがとうございます。ここに立っているのが本当に光栄で、玉三郎さんと宝塚スターの皆様と、ご一緒に歌わせてもらうことができるのがとても楽しみです。そして、今まであまり歌ったことのないジャンルの曲も歌わせて頂くので、精一杯務めさせて頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

IMG_6286

──海宝さんは玉三郎さんが是非にとのことで、ご出演が決まられたそうですが。
玉三郎 皆さん、元男役の方々がいらっしゃるのですが、僕たった一人が男性というのも寂しいので(笑)、越路さんにはミュージカルの分野もあるので、ミュージカルの方からどなたか、ということで出て頂きました。
──海宝さんは、今ミュージカル界で大注目の方ですものね。
玉三郎 そうですね、本当に。
──楽しみですね。では、真琴さんからも今「すみれの花咲く頃」を歌われたお話がありましたが、折角こうして皆さんがお揃いですので、是非「すみれの花咲く頃」をお聞かせ頂きたいのですが(会場から大きな拍手)。では、よろしくお願い致します。

IMG_6199
IMG_6202

再び生演奏が流れ、「春、すみれ咲き〜」の歌い出しのソロを玉三郎が歌うという貴重な導入から、全員による「すみれの花咲く頃」が歌われる。宝塚歌劇の象徴とも言える楽曲だが、華やかさと同時に、ややゆったりしたテンポが優雅さを感じさせる、やはりこの場と、このメンバーに相応しい歌唱となったのが印象的だった。

──やはり良いですね!皆さんでの「すみれの花咲く頃」。ステージでの華やかな様子が目に浮かびます。
玉三郎 「すみれの花咲く頃」は有名ですけれども、先ほど申し上げた越路さんの50年代の曲と言うのは、今の方たちにとっては新曲に近いくらいの曲が多いんじゃないかな?と思うので、そういった意味でも楽しんで頂けると思います。これから歌う内容を聞いて頂くと、より、そういうこともあるのではないかと思います。
真琴 私たちにとっては「すみれの花咲く頃」はよく馴染んだ曲ですけれども、海宝さんは初めてなのでは?
海宝 もちろん存じ上げてはいましたけれども、初めて歌わせて頂きました。
真琴 曲の魅力はいかがでした?
海宝 皆さんとご一緒に歌わせて頂けて嬉しいです。
──真琴さん、話しを振ってくださってありがとうございます。そう言えば海宝さんはこれまで、歌われるチャンスはなかったですよね?
海宝 はい、さすがになかったです。
──もちろんご存知だったとのことですが、宝塚のトップスターでいらした方々の横で歌うというのは?
海宝 ひたすらに緊張しました。

IMG_6424
 
──そうですよね(笑)。真琴さん、改めて大先輩の越路さんの歌をフューチャーするということで、どんなお気持ちですか?
真琴 生前の越路さんにお会いしたことがないのが、唯一残念なのですけれども、その生前の越路さんをご存知の玉三郎さんから、たくさんのエピソードをお聞きしたいですし、越路さんがいらしてくださったから、今回の企画でご一緒できることになったので、越路さんへの尊敬の念が表せるような舞台を務めたいと思います。
──改めて越路さんへの感謝を感じていらっしゃるんですね。姿月さんは、越路さんをどんな存在として捉えておられますか?
姿月 宝塚の大先輩でいらっしゃるということですが、今、ちょうどお昼の連続ドラマで「越路吹雪物語」もやっていて、越路さんは歌手として大変有名な方でしたから、宝塚ご出身だということをご存知ない方々もたくさんいらっしゃると思うのです。そういう意味でも、今、越路吹雪さんに注目が集まっている時期でもありますので、とてもタイミングが良いなと思っております。
──宝塚の学校の中では越路さんの写真があるとか、学校で話を習うとかはあるのですか?
玉三郎 宝塚出身で活躍なさった方はたくさんいらっしゃいますからね。ただ、1人でショーをやれたという方は、なかなか、何人かではないかと思います。
──年齢的にお若い方にとってはレジェンド状態になるかと思うのですが…
真琴 若くなくてもレジェンドです!(笑)

IMG_6312

──失礼しました!(笑)。大空さんは先ほど「大好き」とおっしゃっていらっしゃいましたが。
大空 そうですね。本当に生前の越路さんを生で拝見できなかったのが、とても残念なのですけれども、今録音されたものを聞いたり、映像を見たりしても、生ではないのにビリビリ何かが伝わってくる気がしまして。生きるエネルギーを歌に注がれていたのではいかな?と想像して、今でも新鮮に聞かせて頂いています。
──その辺りが越路さんの大きな魅力の1つでしょうか?
玉三郎 やっぱり熱い人と言いますか。もちろん今の方たちが熱くないと言う訳ではないのですが、舞台にだけ、1日中、ひいては一生を舞台に懸けていた方ではないかと思います。
──そうしますと、玉三郎さんがご存知だった、越路さんを再現するようなコンサートになるのですか?
玉三郎 越路さんを再現するということは、できないと思うのです。ですから、越路さんという1人のレジェンドをおいて、皆で楽しく素敵な歌を歌いましょう、ということであるのかなと思います。越路さんは芸能界に出ていらした時に、岩谷さんと一緒に女優としての活動、女優になるというのはどういうことか?を考えていらした方だと思います。それも皆さんと一緒に考えていきたいと思います。 

IMG_6298

──水さんはどうですか?今回玉三郎さんとご一緒のステージがとても楽しみとおっしゃいましたが。
 もう本当に!先日テレビの越路さんの特集番組でも話させて頂きましたが、越路さんの日生劇場でのリサイタルでは、お衣装などにもとてもこだわっていらっしゃったというのを伺って、今回玉三郎さんもお衣装にこだわっていらっしゃるとお聞きしたので、すごく楽しみで。タカラジェンヌの卒業生がいっぱいいる中で、選んで頂いて出演させて頂けるということが本当に光栄です。
玉三郎 これから衣装も出来上がってきますのでね。
──先ほど、皆様と衣装の打ち合わせをされている様子も拝見しましたが、かなり今回も色々工夫をされて?
玉三郎 本当は今日、イタリアから生地が届くはずだったのですが間に合わなくて。もちろん今日は仕立ては間に合わないとわかっていたのですけれどもね。でも本番には、皆様背が高い方たちなので、縦線の素晴らしさが出るんじゃないかな?と思っています。
──ちょっと横からラフを覗かせて頂いたのですが、カッコいい衣装ですね!
玉三郎 ええ、カッコいいですよ。皆さんがお召しになると綺麗になると思います。
真琴 まだ拝見していないので、とても楽しみです。
──すごく素敵でした!そのあたりも見どころ1つですね?
玉三郎 そうですね。やっぱりショーってね、どんなものを着てくるかも大事ですからね。

IMG_6295

──霧矢さんは今まで越路さんの曲をお歌いになるチャンスは?
霧矢 私は光栄なことに越路さんが上演されていた『I Do! I Do! 結婚物語』というミュージカル作品を2014年に1度やらせて頂きまして、また今年の5月に再演させて頂くのですけれども、その時に、越路さんの生前のお姿を見ることはできなかったのですが、越路さんの録音されていた舞台の音源を何度となく聞かせて頂いて、今回のコンサートでもそこから1曲歌わせて頂きます。
玉三郎 (すかさず主題歌を口ずさむ)
霧矢 そうです!主題歌をよくご存じで!
真琴 すみません!ちょっと黙っていられなくなりました!(笑)。もう、本当に玉三郎さんの越路さん愛はすごくて、今回シャンソンだけじゃなくて、ミュージカルの曲も越路さんがたくさん歌っていらっしゃるので「例えば、こんなのはどうですか?」とテープも何もなく、玉三郎さんが全部歌詞つきで歌われるんです!それは驚きです。
──全部暗譜していらっしゃるんですか?
玉三郎 わからないんですけど、聞いていたので。
真琴 頭の中に全部コピーされているのですか?
玉三郎 (また口ずさむ)
──霧矢さんが歌われる曲ですか?
霧矢 そうです!「炎のアグネス」を歌わせて頂きます!

IMG_6352

──すごいですね〜!
玉三郎 どのくらい知っているかが自慢で(笑)。
真琴 だって、何十年振りかで口に出された訳ですよね?
玉三郎 『I Do! I Do!』は69年でしたか?
霧矢 はい、越路さんと平幹二郎さんでの上演が初演です。
真琴 何度もご覧になったのですか?
玉三郎 その頃はLPレコードがありましたからね。
真琴 ずっと聞いてらして?
玉三郎 そうです。
姿月 舞台も観にいらして?
玉三郎 舞台もほとんど行っていました。
姿月 素晴らしい!玉三郎さんのような方が越路さんのファンでいらしたというのは、大変な話題で。
玉三郎 舞台人になるということがどういうことなのか?を、越路さんから勉強したんです。
姿月 楽屋などにもいらしたのですか?
玉三郎 楽屋にはほとんど行かなかったです。越路さんはあまりそういうことがお好きではなかったので。ただ岩谷さんに、何をして本番を迎えるのかとか、何時に楽屋入りされるのかとか、家では何をしているのか?とかを訊いて、それを真似して来ました。身体のケアをするとか、旅行に行って次のコンサートの取材をするとか、ご主人で作曲家の内藤法美さんとどうやって新曲を作るかとか、シャルル・デュモンと何をするかとか、どういう風に、どういう期間で、どうやってつくってきているの?などを聞いて、時間をかけてゆっくりやっているんだ、ということがわかったんです。
 ──足跡を辿ることでご自身の中にフィードバックしていく感じなのですか?
玉三郎 そんな真面目じゃないんだけど(笑)、歌に懸ける人生ってどうなのかな?と思いました。
 ──凰稀さん、こういうお話をお聞きになっていかがですか?
凰稀 私は2年前の岩谷時子先生のコンサートに出させてもらって、その時に越路さんの歌も歌わせて頂いたのですが、こういう機会に先輩方や、玉三郎さんのお話を聞かせて頂けて、こういう風にやっていけば、自分もこうなれるのかな?という勉強になるお話ばかりなので楽しいです。
──ちょっと海宝さんだけ質問の系統が変わってしまって申し訳ないのですが(笑)、皆さんとご一緒にステージに立たれるのに楽しみにしていることは?
海宝 とにかく、今までのコンサートとは絶対に違った空気を感じられると思うので、それもすごく楽しみですし、以前玉三郎さんとテレビの番組で対談させて頂いた時に、越路さんのことを、もちろん存在は知っていましたし、映像も少しは拝見していたのですが、改めてきちんと映像を見て、歌を聞かせて頂いて、歌い手として目指すべき素晴らしい方だったのだな、ということを実感しました。言葉を語っていくということは、僕も目指していきたいと思っているのですが、それを越路さんが完璧に体現されていて、越路さんの歌っていた楽曲を今回自分が歌わせて頂くという時に、歌をどう表現していけるか?というところもすごくチャレンジですし、そこに挑戦できることがすごく楽しみです。

 IMG_6282

──玉三郎さん、もうすでにすごくチーム—クの良いステージになりそうだと、感じられますが。
玉三郎 昔から知り合いみたいですよね(笑)。宝塚の学校ということと、私たちの修行とが良く似ているので、リハーサルをやっていても、とても楽ですね。
真琴 初めてとは思えないというのは、宝塚というものもございますが、たぶん、根底に流れる、玉三郎さんが男性に生まれて女形をされ、私たちが女性に生まれて男役をやった、というところがあるので、さぁ、海宝さんどうする?みたいな(爆笑)。
玉三郎 越路さんがミュージカルをなさっていた頃って難しい時代だったと思うんですね。スターが出て行かなければならない。でも海宝さんの『レ・ミゼラブル』のマリウスを観た時に、日本のテノールの歌い手、ミュージカルの歌い手がこういうところまで来たんだなと。そして8才の頃から『ライオン・キング』に出ていたんですって。あぁ、子供の頃からミュージカル漬けでいらしたからこそ、こういうところまで行かれるのかと。で、私たちも子供の頃からやっているじゃないですか。そういうところが合うと思って、ご一緒してみたら何かが生まれると思うし、皆さんが女性の歌い手として男性と歌うのがどういうことか?もわかると思うので、そういう感じですね。もちろん、バリトンがいても良い、バスがいても良いと思ったのですが、どんどん広がってしまうので、これ以上増やさないでと言われて我慢しているんです(笑)。
 
IMG_6325

【質疑応答】

──玉三郎さんの心をそこまでとらえた越路さんの魅力と、今、越路さんの歌を歌われて改めて発見することはありますか?
玉三郎 逆に言いますけれども、改めて発見するということはないと思うんです。ずいぶん知ってきたので。ただ、彼女たち(共演者)と会って話すことによって発見することはある。彼女たちがどう受け留めているかな?ということだと思うんです。ただ魅力というのは一言では言えないですね。生で観ないとわからなかった部分を皆とやることによって、多分こうではなかったかな?と想像する。それが違っていても良いので、夢が見られることが大切かなと思っております。
──玉三郎さん、歌舞伎ファンはいつの間に歌を歌われるようになられていたのか?と驚いた人も多いと思うのですが、何かヴォイス・トレーニングのようなことはされていたのですか?
玉三郎 しました。今年で15年になります。年齢がくると舞台の声が出なくなるんですね。それを止めることを目指して、やっていったんです。50才くらいから声が良く出なくなったので。それで10年経った時に「これだけやったんだから歌ったら?」と言われたのですが、でも歌うきっかけがないからなと思っているうちに、越路さんの三十七回忌できっかけができたということだと思います。
──今回CDに入っていない曲もあるとのことですが、選曲の工夫については?
玉三郎 皆さんが歌いたいもの、越路さんの歌の中で心を動かせるものは何か?を聞き合わせながら、演出家の小林香さんと一緒に選曲して来ました。まだまだ数はありますから。

IMG_6426
 
──見どころなどはどんなものに?
玉三郎 皆一緒に歌うところも作りたいなと思っています。
真琴 あの歌ですよね。玉三郎さんと私たちがご一緒に、まさかあの歌を歌うか?という。今は言えません(笑)。 
──今は言えませんというお話がありましたが、その中で、教えて頂けるものが何かありましたら、教えて頂けませんか?
玉三郎 じゃあ言っちゃう、という感じですね(笑)。「サンライズ・サンセット」を何人かで歌います。それから僕は新しい歌で、ソンドハイムの大変難しい歌ですが「Send in the Clowns」を歌います。
真琴 今回のコンサートは東京だけではなくて、各地を回りますので、同じ歌を海宝さんが歌ったり、私が歌ったりするということもございます。熟女と若い男性が歌います(笑)。
玉三郎 「誰もいない海」ですね。
姿月 じゃあソロで歌う曲を1曲ずつだけ。
凰稀 私は「サントワ・マミー」を。
水 「ラストダンスは私に」を歌わせて頂きます。
姿月 「恋心」を歌わせて頂きます。
真琴 私は、ですので「誰もいない海を」(笑)。NHKホールでは「パダン、パダン」を歌います。
大空 「さくらんぼの実る頃」を歌わせて頂きます。
霧矢 私は「メケメケ」を歌わせて頂きます。
玉三郎 もちろん他にもたくさんあるのですが、代表的なものをね。
 
IMG_6495

──玉三郎さん、どんな方にコンサートに来て欲しいですか?
玉三郎 皆に観て欲しいです(笑)、創り手がどんな人に観て欲しいか?とは言えないんですよね。とにかく良いものを創るということが大事なので。あ、海宝君「魅惑の宵」を歌うんじゃなかった?
海宝 はい、そうです!
玉三郎 ごめんなさい、その後に「誰もいない海」でしたね。間違えちゃった(笑)。『南太平洋』の「魅惑の宵」を歌います。
──はじめは、全然曲名が出ない予定だったのですが、ご質問からかなりの曲数が出ましたね(笑)。
玉三郎 はい、大丈夫です(笑)。
──では改めて最後に玉三郎さんからご挨拶を。
玉三郎 皆さんと力を合わせて、良い歌を歌って、見られる、聞けるコンサートにしたいと思いますので、皆様どうぞご援助くださいますようよろしくお願い致します。今日はありがとうございます。

IMG_6543

和気藹々とした会見の後、フォトセッションではこの日全員が身に着けていたブルガリのスペシャルなジュエリーが、コンサートステージの本番でも使われることが発表され、文字通り、目に耳に楽しいコンサートへの期待が高まる時間となっていた。

〈公演情報〉
坂東玉三郎 越路吹雪を歌う 『愛の讃歌』 
構成・演出◇小林香
音楽監督◇三枝伸太郎
出演◇坂東玉三郎
真琴つばさ、姿月あさと、大空ゆうひ、水夏希、霧矢大夢、凰稀かなめ、海宝直人
(※ゲスト出演者は会場毎に変動あり)
●4/8◎群馬・伊勢崎市文化会館
〈料金〉S席6.800円 A席5.800円
〈お問い合わせ〉伊勢崎市文化会館 0270-23-6070
●4/12◎東京・NHKホール 
〈料金〉SS席12.500円 S席11.000円 A席5.000円
〈お問い合わせ〉キョードー東京 0570-550-799
●4/29◎山口・周南文化会館
〈料金〉S席8.500円 A席7.500円
〈お問い合わせ〉周南文化会館 0834-22-8787
●4/30◎広島・上野学園ホール
〈料金〉全席指定 9.000円
〈お問い合わせ〉HOMEイベントセンター 082-2211-7116
●5/3◎大阪・フェスティバルホール
〈料金〉SS席12.500円 S席11.000円 A席8.000円 B席5.000円 BOX席15.000円
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888
●5/13◎神奈川・ハーモニーホール座間
〈料金〉S席8.000円 A席6.000円
〈お問い合わせ〉ハーモニーホール座間 046-255-1100
●7/28◎宮城・川内萩ホール 
〈料金〉S席9.500円 A席9.000円
〈お問い合わせ〉河北新報社企画事業部 022-211-1332
https://kyodotokyo.com/tamasaburo


【取材・文・撮影/橘涼香】



えんぶチャート2017掲載!えんぶ10号


kick shop nikkan engeki 

自由の為に命を賭けた女を描くミュージカル『Romale ロマーレ〜ロマを生き抜いた女カルメン』制作発表レポート

IMG_5957

ビゼーのオペラで殊の外有名な「カルメン」の物語に、謝珠栄が新たな光を当て、花總まり、松下優也他、豪華キャストの出演で創られるミュージカル『Romale ロマーレ〜ロマを生き抜いた女カルメン』が、3月23日〜4月8日東京・東京芸術劇場プレイハウス、4月11日〜21日大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される。

ミュージカル『Romale ロマーレ〜ロマを生き抜いた女カルメン』は、19世紀に書かれたメリメ原作の「カルメン」をベースに、小説、オペラの中では自由奔放な魔性の女として描かれるカルメンが、ロマ族として、当時の社会風土の中どのように生き抜いていったのかにスポットをあてた、演出・振付の謝珠栄の視点で描く作品となっている。主演のカルメン役には1999年宝塚歌劇団宙組で上演された『激情〜ホセとカルメン〜』でもカルメン役を演じた花總まりが、当代一の姫役者としての高い評価を得ている今、再び挑戦。そのカルメンを階級を越えて愛しぬくドン・ホセに歌手として、また俳優として活躍し、NHK朝の連続テレビ小説『べっぴんさん』の栄輔役の記憶も新しい松下優也が演じるのをはじめ、実力、人気を兼ね備えたキャストが集結。知られざるカルメンの真実の物語が、新たに生まれ出ることとなる。

そんな期待の作品の制作発表会見が2月14日、作品の雰囲気にピッタリのTABLAO FLAMENKO GARLOCHI─タブラオ・フラメンコ・ガルロチ─で行われ、多数のメディアをはじめ、抽選で選ばれた幸運なオーディエンスが見守る中、演出・振付の謝珠栄とメインキャストが公演への抱負を語った。

IMG_5538

制作発表会見は、まずフラメンコのステージでの楽曲披露からスタート。頭まですっぽりとマントをかぶった伊礼彼方、KENTARO、太田基裕、福井晶一の中に、カルメン・花總まりが立ち上がり、ロマとして生きる人々の魂の叫びを綴った「流浪の民」が歌われる。

IMG_5541

そこからは花總が残り、ドン・ホセの松下優也が登場。愛し合いながら互いの心がとらえられない焦燥を吐露する「すれ違う心」が歌われる。

IMG_5629

楽曲はドラマチックで、民族的な香りも強く、花總と松下の並びも美しく、早くも作品世界の壮大な一端が浮かびあがるようだった。
 
IMG_5577

そんな余韻の残るステージに椅子が運びこまれ、演出・振付の謝珠栄、花總まり、松下優也、伊礼彼方、KENTARO、太田基裕、福井晶一、団時朗のキャストに、梅田芸術劇場代表取締役社長木村有裕が登壇。まず木村社長から、この新しいカルメンを描いたミュージカルへの期待が語られたあと、司会の中井美穂とのトークも交えながらの、登壇者挨拶となった。

IMG_5914
 
【登壇者挨拶】

IMG_5684

 バレンタインデーの貴重な時間の中をいらしてくださってありがとうございます。謝珠栄です。情熱的で男を魅了する恋多き女の代名詞のように言われているカルメンなんですけれども、その光の部分ではなくて、影の部分に興味を引かれまして、2008年に書いて頂いたのが『Calli〜炎の女カルメン』という作品でした。その時にはわりとファンタジックな方向にストーリーが行っていたのですが、今回はロマとして生きた女カルメンに対してスポットを当てたいなと思いまして、脚本を高橋知伽江さん、音楽を音楽監督の玉麻尚一さんを中心に、新たに作って頂くことになりました。ロマとして生きた女カルメンなのですが、カルメンという女性が一般的には前面に出ているかと思いますが、私はホセとカルメンの愛の絆についてもっともっと知りたくて、最初にメリメの原作を読んだ時にホセの激しい情熱を感じて、それを宝塚歌劇団の『激情〜ホセとカルメン〜』という作品で描かせて頂きました。でもそれはメリメとホセの、白人の男性から見たカルメン像で、女性の私から見たカルメンはもっと違う女ではないのかな?という疑問が生まれたのが、この作品を作りだしたきっかけになりました。今、異文化コミュニケーション、グローバルな社会になっていて、差別や偏見という言葉にとても敏感になっていますから、露わには出ていないのですが、カルメンとホセの生きた時代にはもっとそういうことが多かったのではないのかな? その中で白人男性のホセとの愛を強く貫きながらも、死を覚悟してまでも生きた女性はどういう人物だったのか。それを今までよりも更に深く深く探っていきたい。もう寝ても覚めてもカルメンのことばかり考えています。それが今、楽しい稽古場の中でやっている私の仕事なのですが、それがどういう風に仕上がるか、皆さん楽しみに待っていてください。
 
IMG_5689
花總
 皆様本日はお忙しい中ありがとうございます。カルメン役を演じさせて頂きます花總まりです。役としては二回目で、その前回も謝先生の演出の元カルメンをさせて頂いたのですが、本当にカルメンを知り尽くした謝先生なので、今のお話を伺いながらも自分でカルメンを作っていくのが更に楽しみになりました。もっと深く、深く、カルメンという女性を作っていきたいと思いますので、是非皆様よろしくお願い致します。
──花總さんのこういった姿は新鮮な感じがしますね。
花總 自分でも新鮮で、ちょっと楽しいです。
──ちょっとですか?
花總 だいぶ楽しいです(笑)。

IMG_5716
──楽しみにしています。では松下さんお願いします。
松下 皆さん今日はお集まり頂き本当にありがとうございます!ドン・ホセ役の松下優也です。まずは製作発表で歌い終わってホッとしております。今、稽古に入って数日経ったのですが、もう1日目から謝先生がめちゃめちゃ飛ばして、飛ばして稽古場は進んでいますので、これからますます面白いものに変わっていくんじゃないかと思っています。今回はこのような素晴らしい役を演じさせて頂けるということを、すごく嬉しく思っています。花總まりさん、そして謝先生のお力をお借りしながら、この座組の中では一 番若いということになりますので、自分で言うのも変なのですが(笑)、若いパワーで頑張れたらなと思っております。よろしくお願いします。
──今日お衣装をつけた花總さんをご覧になってどうですか?
松下 この間パンフレットの撮影もあったんです。その時に初めて見て、稽古場で見るのとは全然違って。
花總 あ、稽古場とは全然違いますね(笑)、すみません!稽古場ではひどすぎるので(笑)。
松下 いえいえ、逆に稽古場でこれだったら困るので(笑)。
花總 確かに(笑)。
 
IMG_5741
──では伊礼さんお願いします。
伊礼 どうも(オーディエンスに手を振り)、よくいらっしゃいましたね。貴重な経験ですね。今回私、個人的なことですが、役者人生で初めて髭をはやしまして。私は女性ホルモンが多いもので、毛が少し薄いものですから書き足したりなんかもしているのですが、いかがでしょうか?皆さん素敵なお衣装を着られてね、花總さんも胸元パックリ開けてね。
花總 そんなこと言わないで、自分のことを言って!(笑)
伊礼 今回はスニーガ中尉という、いやらしい、ドスケベな役を(笑)やらせて頂きます。少し前だったらね、僕もホセの若いポジションを担っていたかも知れませんけれども、僕も36才になりまして、年男ですよ!ありがとうございます(笑)。本当にこうやって少しずつヒーローからヒール役にシフトチェンジしていって、少しでも皆様のお力になれればと思っておりますので、生理的嫌悪感を感じて頂けるような役作りに励んでいきたいと思います(笑)。よろしくお願い致します。
──軍服姿も素敵ですよ!
伊礼 ありがとうございます。

IMG_5762
──ではKENTAROさんどうぞ。
KENTARO ガルシア役のKENTAROです。僕はヒーローをやったことがありません(爆笑)。ヒーローから歳をとって悪役になるんですけれども、僕は根っからの悪役でして、ほぼご覧の通りのこういう感じになっております(笑)。でも花總さんとは『モーツァルト!』という作品でご一緒したのが数年前で、今回は光栄なことに夫婦役としてやらせて頂くので、どこまでロマの一族として生き続けて、さすらい続けるかをテーマに、ロマの一族の大ボスの役なので、ボス感満載でいってみたいと思っております。楽しみにしていてください。ありがとうございました。
──お1人だけ色合いが違って。
KENTARO 全然違いますね。
──隻眼は踊る時など大丈夫ですか?
KENTARO やってみないとわからないですね(笑)。

IMG_5919
──では太田さんどうぞ。
太田 ローレンス役をやらせて頂きます太田基裕です。この先輩の流れで僕が喋るのはイヤなんですけれども(笑)、本当に素晴らしい先輩方がたくさんいらっしゃって、多くを学びながら自分らしい素敵なローレンスを演じていけるように頑張っていきたいと思っております。よろしくお願いします。
──白の軍服は着たことがあるんですか?
太田 あまりないかも知れないです。
──どうですか?着心地は?
太田 ちょっと恥ずかしいですけれども、馴染んでいくと思います。本番では素敵に着こなしたいと思っております。

IMG_5793
──では福井さんどうぞ。
福井 ジャン役の福井晶一です。よろしくお願いします。念願の謝珠栄先生の作品に初めて参加させて頂けるのを、とても楽しみに致しております。また花總まりさん、そして今回は団時朗さんとのからみがすごく多くなると思うですが、素晴らしいキャストの皆さんとの共演を、お稽古も少しずつ始まっている中、すごく楽しみにしております。今回フランスの社会人類学を研究する学者役ということで、一番最初に謝先生にお会いした時に「このジャンという役は私やねん!」とおっしゃっていらした、その言葉がすごく印象的で。まさにカルメンという物語を、謝先生の目で見た真実を、代弁している役ではないかと思っています。期待に応えられるように頑張りたいと思います。よろしくお願いします。
──福井さんは謝先生の魅力を一言で言うとどんなところにあるのですか?
福井 情熱だと思います。その情熱に負けないように頑張りたいと思います。

IMG_5818
──では団さんどうぞ。
 50年まえのホセを知る老人ということなのですが、皆さんに名前があるのに「老人」ではちょっと可哀想なので、「ドン・タコス」という名前にしたいと思います(爆笑)。どうぞよろしくお願いします。
──このカンパニーの雰囲気はいかがですか?
 若いエネルギーに満ち満ちておりますので、日々楽しみに稽古に参加させて頂いております。素敵な歌やダンスで、非常に面白い舞台になると思いますので、よろしくお願いします。
──このミュージカルをご覧頂くと、謎の老人が誰なのか?というのが明らかになると思います。ではここからは質疑応答とさせて頂きます。

【質疑応答】

IMG_5731

──キャストの皆さん、ご自身の演じる役どころの見どころや、魅力を感じているポイントなどを教えてください。
花總 カルメンの魅力をたくさんお見せできれば、全てが見どころ、全てが魅力と思っています。良い意味で皆様の期待を裏切りたいですし、期待通りのところにも行きたいですし、というカルメン像を作っていきたいと思います。
松下 自分の役の魅力ですよね?うーん、なんでしょう、熱量というか、カルメンへの思いの情熱的なところが魅力ではないかと思います。見どころはたぶんいっぱいあると思うので、ここという風に一言では表せないのですが、そうですね、全部です!(笑)
伊礼 私は先ほど長々とスニーガの魅力はお伝えしたと思いますので、そこは大丈夫だと思うのですが、今回音楽監督が玉麻さんで、他に斉藤恒芳さんと小澤時史さんという作曲家の方がいらっしゃって、このお二人が書かれている曲もとても素晴らしくて、民族的な音楽なのでそちらも楽しみにして頂ければなと思っております。
KENTARO ロマ一族の大ボス役として象徴的な役どころになるのではないかと思っております。何故ロマとして生きていかなければならないのかとか、そういうことも踏まえて観て頂けたらと思います。見どころは、皆さんがおっしゃっているように曲も情熱的で、ロマ族を表現する時に背中を押される感じなんですね。初日までにその熱量を落とさずに、皆様に熱い舞台をお届けできるように、すべてが見どころだと思います。楽しみにしていてください。
太田 本当にまだ稽古が序盤なので深いところまでお伝えできないのですが、僕のローレンスはカルメンに翻弄される男の1人として出てくるので、その辺のカルメンとの駆け引きなどを繊細に描いていたけらいいな、と思いながら、今、稽古しております。
福井 先ほどもちょっと話にあったのですが、ホセとカルメンが出会った50年後から今回の話が始まっていて、僕が演じるジャンという人がカルメンの真実を暴こうということで、カルメンに直接出会った人から話を聞くというところからはじまります。そういう意味ではもう1人のカルメンに虜になった男として、情熱を持って演じたいと思っています。またキーパーソンということで、お客様と舞台をつなぐ役割もあると思うので、その辺も見て頂けたらと思います。
 皆さんがおっしゃってくれた通りで、私からは言ってはいけないことがあるので、楽しみにしていてください、としか言えません(笑)。

IMG_5821

──謝先生からキャストの皆さんへの期待と、キャストの皆さんからは稽古場での謝先生の雰囲気や魅力を教えてください。
 梅田芸術劇場のプロデューサーの方たちと配役を決める時にすごく話し合ったのですけれども、非常に私は納得できる良いキャスティングだと思っています。今歌稽古がはじまって、ちょっと立ち稽古や、振付もはじまっているのですが、皆さん作品に対する想いを強くもってくれている。それは舞台には出ると思いますので、私のやれるところは舞台に行くまでのところであって、舞台に乗ってからは皆さんの気持ち、舞台に対する、役に対する想いなので、皆さんしっかりやっていってくださることを信じています。また舞台をもっとよくしてくださるのは、お客様の想いもあると思うので、そこを今すごく楽しみにしています。
花總 私から見ると謝先生もカルメンの要素を持っているところがあって、カラッとしているんだけれども、演出家として、自分を中心に全てを動かしていく力があって。周りが動かされてしまう、影響力があってパワフルです。でもとにかくカラッとしているので、そこは盗みたいなという味を持っています。カルメンと先生に通じる部分があるなと思います。
松下 親近感をめちゃめちゃ感じてます。僕は今回初めてなんですけれど。
 大阪のおばちゃんみたいなね。
松下 そうそう、とも言いずらいんですけど(笑)。稽古場で今ちょうど座っている席が謝先生の隣なんですが、昨日も稽古が休憩になった時に「おかき食べる〜?」と言ってきてくれて、おかきくれたりとか(笑)。そういうテンションなんで、それは自分的には非常にやりやすいです。あとは熱量とスピード感をすごく感じています。僕は稽古場ではどちらかと言うとスロースターターで「初日に間に合うように」と思っているのですが、結構うわーっと進んでいるので、それについていけるようにしたいと感じています。

IMG_5868
 
伊礼 謝先生はいつも「なんでやねん!ねん、ねん、ねん!」という感じで(笑)、稽古場に先生の声が響いているのですが、身長が小さいので下からくるんですね。「なんでや!こうやないか!」と(笑)。すみません、先生の印象を崩してしまうと申し訳ないのですが(笑)、そういったパワフルな先生で。で、必ず稽古場では立ち稽古がはじまると「好きにやり〜」というのでやると「ちゃうねん!ちゃうねん!」と言われる(笑)。言ったことと違うじゃないか(爆笑)ということが多々ある。でも僕は個人的なことで謝先生が創るオリジナル作品の醍醐味として、作曲家の玉麻さんが稽古場に音楽スタジオ的なものを作って、その場で音楽とか脚本を直していく作業を同時進行でやっていく。僕は謝先生の作品は4作品目なのですが、必ずその同時進行が行われて、より高みを目指していくという意味でも、素晴らしい演出家だと思います。僕たちもそこにインスパイアされて役作りも見えてくるし、どんどんパワーを頂いて、それを最終的にお客様にお見せして、お客様が日常に持って帰る。そういうつながっている作業に、僕は幸せを感じています。
KENTARO 僕は謝先生とは10年くらい前にご一緒させて頂きましたが、その頃から熱量が変わっていないですね。モノマネは(伊礼)彼方がやってくれたんで、僕は敢えてやりませんけど(笑)。一言で、いや一言じゃないな。パッションとアイディアとインスピレーションを全部持っていらっしゃる方なので、それが一気にきて。天才が凡人にバッとこられると応えるのに時間がかかってしまったりもするので、これから諸々の稽古が進んでいって、コミュニケーションを挟みながら良い作品にしていきたい、謝先生についていきたいと思っている、そんな存在でございます。
太田 僕は謝先生とは「はじめまして」なのですが、稽古場での熱量と迫力がすさまじくて、画面から飛び出てくるようなすごい立体感を感じて、びっくりする瞬間が多々あります。それ以上に作品に対する、キャストに対する愛情を、まだ稽古がはじまって短い中でもすごく感じますので、今後共しがみついて頑張って必死について行こうと思います。
福井 僕はまだ本番中で、なかなか稽古に参加できていなくて遅れを取っている状態なのですが、今皆さんの話を聞いて、あーそうなんだ、と思いながら、楽しみなような大変なような現場なんだろうなと。厳しいんですけれども楽しい稽古場で、良いものを作っていきたいと思っています。
 謝先生と楽しみにしているところは大阪で美味しいものを食べるということです(笑)。よろしくお願いします。

団の洒脱な挨拶が結びとなって会見は終了。公演への期待が高まる時間となった。

IMG_5944
 

〈公演情報〉
666_play_image1
 
ミュージカル『Romale ロマーレ〜ロマを生き抜いた女カルメン』
演出・振付◇謝珠栄
原作◇小手伸也
上演台本◇高橋知伽江
音楽監督・作曲◇玉麻尚一
作曲◇斉藤恒芳、小澤時史
出演◇花總まり/松下優也/伊礼彼方、KENTARO、太田基裕/福井晶一/団時朗
一洸、神谷直樹、千田真司、中塚皓平、宮垣祐也
●3/23〜4/8◎東京芸術劇場プレイハウス
〈料金〉S席12,500円 A席9,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 0570-077-039
●4/11〜21◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
〈料金〉全席指定 12,500円(税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 06-6377-3888


【取材・文・撮影/橘涼香】




水夏希・彩吹真央出演。夢幻朗読劇『一月物語』


kick shop nikkan engeki 



ミュージカル界に革命を起こした、あの作品が帰ってくる!ミュージカル『1789─バスティーユの恋人たち─』製作発表レポート

IMG_5159

フランス人が創ったフランス革命を描いたミュージカルとして、初演時全席完売の熱狂を巻き起こしたフレンチ・ロック・ミュージカル『1789─バスティーユの恋人たち─』が、4月9日〜5月12日、東京・有楽町の帝国劇場で待望の再演の幕を開ける。(6月2日〜25日大阪・新歌舞伎座、7月3日〜30日福岡・博多座でも上演)

『1789─バスティーユの恋人たち─』は、『太陽王』『ロックオペラ モーツァルト』等の話題作を次々と世に送り出してきたプロデューサー、ドーヴ・アチアとアルベール・コーエンの手によって2012年にフランスで開幕すると同時に大評判を呼ぶメガヒット作品となった。日本では2015年に小池修一郎潤色・演出により宝塚歌劇団月組で初演。更に、2016年男女版としての上演となった帝国劇場での東宝版初演も、鮮烈な音楽と演出、魅力的なキャスト陣の好演が熱狂を生み、開幕するや否やチケットが全日程ソールドアウトするという伝説的な舞台となった。

そんな作品が、多くの続投キャストに一部新キャストを加えて、遂に待望久しい再演の運びとなり、2月に都内のライブハウスで、多くのメディアと激戦を勝ち抜いた幸運なオーディエンスが見守る中、製作発表会見が行われた。会見には、主人公ロナン役のWキャスト小池徹平と加藤和樹、ロナンと恋に落ちるオランプ役のWキャスト神田沙也加と夢咲ねね、王妃マリー・アントワネット役の凰稀かなめと龍真咲、革命家ロベスピエール役の三浦涼介、ダントン役の上原理生、デムーラン役の渡辺大輔、そして潤色・演出の小池修一郎が集い、公演への抱負を語った。
 
IMG_4852
IMG_4802
IMG_4871

製作発表は、まずキャストによる歌唱披露のパフォーマンスからスタート。初演からマリー・アントワネットを続投する凰稀かなめと、今回新たにマリー・アントワネット役に加わる龍真咲のデュエットという、この製作発表記者会見だけの特別バージョンで、マリー・アントワネット登場の華やかなナンバー「全てを賭けて」が歌われる。凰稀と龍は共に宝塚歌劇団創立100周年の節目の年にトップスターだった絆の深い間柄。特に龍は、宝塚版『1789─バスティーユの恋人たち─』でロナン役を演じていて、女優としての初仕事が同じ作品のマリー・アントワネット役となる、めぐり合わせの妙味も加わり、二人のチャーミングな姿が新鮮だ。
 
IMG_4956

続いて革命家たちで歌われる力強いナンバー「自由と平等」が加藤、三浦、上原、渡辺の組み合わせで歌われる。ロベスピエール役で初登場の三浦を交えて、新たな化学反応が起こることが早くも予見される歌声に、ライブハウスの熱量が一気に高まった。

IMG_4979
IMG_5038

そこからロナンとオランプの想いの丈が詰まった「この愛の先に」が小池、加藤、神田、夢咲の、こちらもこの製作発表記者会見だけのスペシャルバージョンとして、二組のロナンとオランプが、曲の中で相手を入れ替えながら歌われる。本編でもそれぞれの組み合わせによって作品の景色まで変わってくることの妙味が大きなWキャストが、目の前で入れ替わるという特別感が、なんとも貴重だ。

IMG_4994
IMG_5003

そして、今度は小池、三浦、上原、渡辺の組み合わせで、愛し合う者同士の誓いが高らかに歌われる「サ・イラ・モナムール」へ。フレンチ・ロック・ミュージカルとしての『1789─バスティーユの恋人たち─』を代表すると言っても過言ではない楽曲にライブハウス全体が熱狂。あの、興奮のるつぼの舞台が帰ってくることへの期待がいやが上にも高まった。
 
IMG_5132

そんな、熱い、熱い、楽曲披露の興奮も冷めやらぬステージに、小池徹平、加藤和樹、神田沙也加、夢咲ねね、凰稀かなめ、龍真咲、三浦涼介、上原理生、渡辺大輔、そして潤色・演出の小池修一郎が登壇。それぞれの挨拶から質疑応答へと引き継がれた。(文中では小池修一郎は小池、小池徹平は徹平と表記)

IMG_5482

【登壇者挨拶】

IMG_5185
小池 
大雪などもあった東京で今日こんなに晴れたのは、皆が集まることを祝してくれたんだと思います。天候によってはできなくなっちゃうのかな?と心配していたので、本当に晴れて良かったです。この作品は2年前に東宝で初演致しました。男女、一般バージョンと言いますか、宝塚から来て。その時に僕も初めての方も多かったし、初めてミュージカルに出るとか、初めて女性を演じるとか(キャストが凰稀を見て笑い)の方もいらして、初めてのことが多かったんですけれども、皆で力を合わせて、この作品のカラーと同じく、今日ここには来ていないキャストの方たちも、ものすごく熱のこもった稽古で、1つの舞台を創ることができたかなと思っております。そういう時の盛り上がりをもう1度というのは、ちょっとなかなか難しいものがあります。でも、今日さっきのパフォーマンスを観ていて、このメンバーだと、前の熱を取り戻すというより、新たな熱を生み出すことができるんじゃないか、と感じました。ご存知のようにこの物語はパリで作られた、フランス人が作ったフランス革命のミュージカルなんですけれども、やや私たち、日本ですとか、アメリカ、ロンドン等で作られるフラン革命のイメージから見ると、ある種軽やかなところがある。でも別の意味ではすごく熱血なところもあって、おそらく私たちにとっての明治維新とかに似ているのかな?と思います。昨今は明治維新のミュージカルも、たくさん作られているように思います。若い方たちのやる作品としてですね。また、大河ドラマ的なものなどもありますね。この『1789』はフランスの方たちが作った、結構ポップで弾むような流れで行き交う作品だと思うのですが、それを新たに日本人がイメージするフランス革命と、フランスの人たちの作ったフランス革命との接点を、もう1度洗い直しながら作っていきたいと思います。よりパワフルになった『1789』を期待してください。
 
IMG_5195
徹平
 ロナン役の小池徹平です。今日ちょっとお腹の調子が悪いんですけれども、ちゃんと歌えて良かったと思います(笑)。本当に久しぶりに皆さんの顔を見て、懐かしい、帰って来たな!という感じがすごくしていますね。2年ぶりにこの歌を歌わせて頂いて、改めてパワーのある楽曲だなというのを感じて、この2年間で皆がパワーアップしたものであったり、新キャストが入って、新たな風が吹いてどんな作品になっていくのかな?という、非常に楽しみが増した今日ですね。僕も楽しみにしておりますので、是非皆さんも楽しみにして欲しいなと思っています。今日はよろしくお願いします。
 
IMG_5218
加藤
 ロナン役をやります、加藤和樹です。革命の足音が近づいているというか、この『1789』は、小池先生がおっしゃった通り初演の時に、本当にすさまじいエネルギーを持って皆で創りあげた作品です。わからないこと、できないことに皆1人1人向き合って、特に歌のナンバー、ダンス、クラップなども取り入れたものに皆で葛藤しながら取り組んで、身体全体で表現する、このエネルギーをまたやれるということは、更にそのエネルギー量を超えていかなければならないという覚悟も必要だと思っております。なので、初演をご覧になった方もいらっしゃると思いますが、また更にパワーアップした熱量の『1789』というものを、劇場で体感して頂きたいと思います。ご期待ください。よろしくお願いします。
 
IMG_5221
神田
 初演に続いてオランプ役を演らせて頂きます。初演の時は私自身初めて帝劇で上演されるバージョンの、一部になることで精いっぱいだったのですけれども、オランプという役は話をグイグイ引っ張っていくような役ではないかも知れないのですが、再演ということでよりその人物像を深めて、物語が起こす大きな竜巻の一部になれるように頑張りたいなと思っております。初演の皆さんとお会いして、(小池)徹っちゃんとも言っていたのですが、「帰ってきたね!」という思いがありますし、ナンバーを歌っていても時間が戻るような「あぁ懐かしいな、でも始まるんだな!」という新しい気持ちも感じていて楽しみにしています。初演よりも強く、芯が1本キリッと通ったオランプを演じられるように頑張りたいと思います。よろしくお願い致します。

IMG_5247
夢咲
 オランプ役を演じます夢咲ねねです。私ももう1度この役にチャレンジできるということが、本当に嬉しくて、皆さんも言っているのですが、こうして再び皆さんに会って、懐かしい曲を聞くと、袖でもあの時の振りなどが蘇ってくると言うか、本当に私の中で大切な作品なんだなと改めて実感しました。2年前には見えなかったものを、今回また新しく発見して、自分なりに成長できるように、一生懸命皆さんと1つのものを作りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い致します。

IMG_5266
三浦
 ロベスピエールを演じます三浦涼介です。僕は今回が初参加となります。去年小池先生にお会いして、オーデイションという形で歌を披露させて頂いて、選んで頂きました。今日は小池徹平君がお腹の調子が悪いと言いましたが、僕はそのオーディションの日から2日の間病院に3回ほど通いまして、得体の知れないストレスと言われました(笑)。でも今は本番が楽しみでなりません。一生懸命務めさせて頂きます。よろしくお願いします。

IMG_5290
上原
 ダントン役の上原理生です。またこのダントン役に戻ってくることができて、すごく嬉しく思っています。ご存知の通り僕だいぶフランスで革命をやってまして(笑)、そこからすると本当に時代を遡っていっていまして、この『1789』はフランス革命勃発の話なんですね。色々な作品で扱われているフランス革命のまさに始まった瞬間を切り取ったこの作品に、色々な経験をした後また戻ってきた時に、どんな景色が見えるのかな?が今からすごく楽しみです。2年ぶりに皆に仲間として会って、初めて会う人もいますけれどもストレスを与え過ぎないように(爆笑)。すごく楽しかった思い出があって、辛いこともたくさんあったのですが、皆がいるから乗り越えられたなということをすこぐ感じましたので、また皆と一緒に新たなこの作品を作っていく過程が、どんなものになるのかを楽しみにしています。パワーアップした作品を届けられるように頑張りますので、どうぞよろしくお願い致します。
 
IMG_5295
渡辺
 カミーユ・デムーラン役の渡辺大輔です。皆さんがおっしゃっていますが、この場に戻ってくることができて本当に幸せという気持ちでいっぱいです。また小池先生の下で鍛えられ、この長いロングランを皆で乗り切る、この素晴らしい道をまた皆と歩いて行けるんだなという思いがいっぱいです。先ほどストレスを与えないようにとダントンが言いましたけれど、その間にデムーランが入って(笑)、中立を自分が保っていけるように(笑)、頑張りたいと思います。よろしくお願い致します。

IMG_5307
龍 
今回マリー・アントワネット役をさせて頂きます龍真咲です。再びこの作品にめぐり合いましたこと、とても幸せに思っておりますし、皆さんは色々な意味で懐かしいとおっしゃるんですけれども、私も違う意味でとても懐かしく、さっきも「自由と平等」をちょっと(歌い踊りそうになった、というジェスチャーで笑いが起こる)。今回はロナンではなく、マリー・アントワネットにちゃんと集中して頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

IMG_5321
凰稀
 マリー・アントワネットを演らせて頂きます。以下同文です(笑)。皆さんが言ってくださいましたので。新しいメンバーが入りますので、新たな気持ちでこの作品、役を深めて参りたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

【質疑応答】

──小池先生、宝塚の『1789』に続いて東宝版の初演も感動の舞台でしたが、今回その再演に際して、新キャストも迎えて、今考えていらっしゃる新たな方向性がありましたら教えてください。
小池 これはやはりライセンスのものなので、新しい曲が入るとか、筋が変わるとかそういうことはございません。でも今皆が言ったように、前回は皆はじめましてで、皆で作っていくというのは、面白いし刺激的なことではあるのですけれども、観客の皆さんにもおそらくこの人とこの人が一緒に出るのを観るのは初めて、というようなことがたくさんあったと思うんです。そのパワーで皆で1つのものを作っていった訳ですけれども、今回はやっぱり前にやった人たちは、2年間の間に色々な仕事を経験していて、皆さん伸び盛りというと失礼かも知れないですけれども、でも皆さんどんどん進化していると思います。進化というのは進む進化もあれば、深く掘り下げる深化もあると思っています。そういったそれぞれが積み上げたキャリアというものがあるので、お互いがそれぞれのカードを出した時にレベルが上がっていると思うので、そこはすごく楽しみです。例えば小池君なども、それまではミュージカルにはあまり『デス・ノート』くらいしか出ていなかったと思うんだけど、出ていらした?
徹平 出てました(爆笑)。

IMG_5369

小池
 あぁ(笑)、でもこの後に4本くらいやっているよね?それから凰稀さんはなんと言ったって初めて女をやった(笑)というところから、テレビドラマなどもやってきましたから、習熟してくるというものはたくさんあると思います。やはり前演った時とは感覚が違うと思うので、そこは面白いところですね。そして今回初参加の三浦君は、過激な人だと前任者の古川雄大から聞いていたのだけれども(笑)、とても良い人なんです。オーディションでも結構いってたので大丈夫だと思います。また凰稀さんではありませんけれども、初めて女性を演じる龍真咲さんという方がいて、それはどうなるのか。前ロナンだから、ロナンの部分が出てくるのではないかとか(爆笑)、ロナンだったらどうなんだ、と遂言ってしまうことがあるかも知れないけれども(笑)、でもそういったそれぞれの人たちから出てくるものを活かして、ましてWキャストですから、組み合わせに対してどう動いていくか?を打ち合わせしながら、この作品の場合はビビッドなと言っていいかなと思います。新鮮に、ピュアに革命の時代を生きた人々。マリー・アントワネットを含めて、まだ比較的若い人たちの魂の声みたいなものが、ポップに表現できたら良いなと思います。それが改めてこのメンバーで新たな舞台を創る側からすると、コース料理のようなものだと思っておりますので、何か新鮮さを感じれるコース料理ができればなと思っております。

IMG_5204
 
──キャストの皆様、続投の方たちには前回の思い出と、今回新たに挑戦したいことを。また新キャストのお二人には(三浦が「はい!」と挙手)ありがとうございます。この作品に臨まれる意気込みを教えてください。
徹平 前回は僕は初めてのWキャストだったので、それがすごく新鮮だったのを覚えています。(加藤)和樹と共演するのも初めてだったので、色々どういう距離感で役を作って、普通の話をして、同じ役をどう作っていくんだろう、というのをすごく悩んだのですが、和樹の性格上(加藤を示して)こういう人なので(爆笑)、ご覧の通りの人なので、すごく話しやすいですし、本当に細かく皆の芝居を見て、気遣いができるバランサータイプなので、本当に助けられたなという思い出があります。ですから今回も何も心配していないですし、むしろ前回深まった絆をより高め合っていって、良いロナンを作っていきたいなと思っています。新たに挑戦したいことはなんでしょうね、自分で挑戦したいと言っても小池さんにダメと言われたらダメなので(爆笑)。現場に関しては小池さんの演出はきちんとしたものを持っていらっしゃるので、皆ともっと飲みに行きたいなと思います(笑)。

IMG_5216

加藤
 前回はナンバーの中に踊りがあるものがかなりありまして、(小池)徹平ちゃんとダンサーの皆に教えてもらいながら、本当に悪戦苦闘したのを覚えています。なので新たに挑戦したいことは、ガッツリダンス!と言いたいところなのですが、ダンスの精度を上げて、もっと見栄えが良いものに高めていけたらと思っております。
神田 今回もそうなのですが、メインキャストの女性が私以外皆さん宝塚出身の方でいらっしゃるので、その中に入るのにすごく緊張しました。皆さん女性としての立ち居振る舞いですとか、所作も綺麗なので。ですから目を皿のようにして何かを盗もう!という感じて見ていたのですが、今回は前回学んだことを活かし、所作ですとか、改めてスタッフさんのような目線で、客観的に自分が演技をした時に舞台にどう立っているか?をもう少し把握しながら、挑戦していきたいなと思っております。
夢咲 私もWキャストが初めてだったので、公演が始まった時に、決まった時間に自分の公演ではないというのが、新しかったです。時間を間違えそうになると言いますか。毎日公演するのではなくて、2日休んでその後公演とかになると、すごくドキドキして台詞なども大丈夫だろうか?と心配になりながら公演していたのを覚えているので、今回はもう少し自分に余裕を持って、頑張りたいと思います。

IMG_5387
 
三浦 今回のこの製作発表の歌稽古で、皆さんの素晴らしい歌声とオーラに魅了されっぱなしで、すごく緊張したのですが、前回のロベスピエール役の古川さんに「後を継がせて頂きます」と連絡をしたところ「りょんりょんだったら大丈夫」という素敵な言葉を頂けたので、本当に精一杯今自分ができることと、小池さんに与えて頂いたことを(小池修一郎と小池徹平が同時に振り返るので笑いが起き)小池先生に与えて頂いたことを(笑)、精一杯やっていきたいなと思います。よろしくお願い致します。
上原 大変だったところは相当踊りまして、それが大変だったなというのはあって、身体のケアとかね、シングルキャストでもあったので、健康に保つということが大変でした。もちろん何を届けられるか?ということを考えて全力投球でやったのですけれども、今回は1度やった作品ですし、アイテムは絶対ありますし、小池先生もおっしゃいましたが今日すごく天気が良くて。朝、会場に入る前にカフェに行ってコーヒーを飲んでいたら、朝日が差し込んできて、それがすごく綺麗で。この作品って、新しいフランスの夜明けに、ドキドキワクワクする、どんな世界がくるんだろう?という作品なので、そういうのを掘り下げて焦点を当ててやっていきたいかなと思います。それが新たな挑戦です。
渡辺 大変だったと言えば、全部が大変だったのですが、今皆さんのお話を聞いていて感じたのは、自分たちも大変でしたが、何よりアンサンブルの方たちが1番大変でして、何十回も着替えて、踊ってはハケて着替えてと、すごく激しいんです。なので、自分としては新たに何かに挑戦したいというよりは、観にこられる皆さんにそういうところにも是非注目して観て頂けると、より一層『1789』のフランス革命の世界が広がると思いますので、是非注目して見てください。お願いします。
 今、お聞きして色々考えるのですけれども、何はともあれとにかく女に見えるように務めたいなと(笑)。とにかくそこを頑張りたいと思います。
凰稀 以下同文なんですけれともね(爆笑)、最後だからね。本当に皆さんがおっしゃったことと同じなのですが、ポップな音楽だからこそ中身の芝居をしっかりやらなければいけないな、と思っておりますので、そこもしっかりと深めていきたいです。

IMG_5358
 
──革命というテーマの作品ですので、男性キャストの皆さん、最近ご自身に起こった革命的なもの、或いはこれから起こしていきたいご自身に対する革命があれば教えてください。
小池 (男性陣ということですから、先生も是非、と司会に振られて)最初に言うんですか?革命ですか?うーん(考えて)そうですね、加齢に負けずね、今ひょっとしたらこの会場内で自分が最年長ではないかという気がしていて、そういうことが多いんです、この頃。そういう中で若い人たちからのエネルギーを吸い取って、老体に鞭打って頑張っていきたいというところと、たまたまですけれども最近腸の内視鏡検査をしまして。カメラの映像を見せてくれて説明されるのですが、どうしても歳だし、さぞや臓器というのも古びて酷いものじゃないかと思っていたのですが、そういうところの細胞ってどんどん生まれ変わっているので、ちゃんとした綺麗なピンク色だったので、結構まだいけるんじゃないかと(笑)。細胞を活性化させて動脈硬化しないように頑張っていきたいと思います。
徹平 先生の内臓がピンク色というのが(笑)、ええと、なんでしょうね、あぁピンクが離れない(爆笑)、ええと革命ですね。最近飲む時間を早めにすると、長く飲めるなということに気づきまして(笑)、マチネの後すぐ飲もうかなと(爆笑)。飲む時間を早くするという革命を起こそうかなと思います(笑)。すみませんちょっと、内臓が離れない(爆笑)。

IMG_5471

加藤 ええと、内臓から離れまして(笑)。先ほども言いましたけれども、僕は踊りが自分の課題だなと思っているので、革命的に上手くなるということはいきなりはないと思いますが、少しずつでも革命ができるように、自分の中では深めていきたいなと思っています。
三浦 僕は子供の頃から母に「帝国劇場に立って欲しい」とずっと言われていまして(全員から「へ〜」という感嘆の声と共に拍手)、選んで頂いてありがとうございました。ですのでそこに立って、しっかりお芝居とダンスを頑張りたいなと思っております。
上原 僕に革命を語らせたら長いですよ(爆笑)。長くて良いですか?あ、短く?難しいな(笑)。個人的なことなんですけれども、僕は元々声質で言うとバリトンだったのですが、最近だんだんテノールになってきて、声の出し方が変わってきているんですね。聞こえ方はあまり変わっていないのですが。その上でまたこの作品に戻してもらうので、1度歌った曲なんだけれども、でもたぶん違う感じ方をするんだろうなという、そういう革命が起きたので、更にその革命を続けてこの作品のように成就したいですね。死んでばかりはいられないので(笑)。
渡辺 以下同文なんですけれども(笑)。凰稀さんの気持ちがわかりました(笑)。革命、なんですかね?自分の中で特にそこまではないのですが、世界的に調べてこの『1789』という作品をやっていく、作品自体の中でも革命が起こっていますけれど、作品を大勢の方々に観て頂きたいというのがあるので、『1789』旋風という革命を起こしたいなと自分達では思っています。知らない方にも『1789』を広めて、外でも多くの方たちに革命を起こしたいです。

IMG_5473
 
──では最後にロナン役のお二人からご挨拶をお願いします。
徹平 今日の雰囲気で感じてもらえたと思いますが、ものすごく空気の良い、仲の良いカンパニーなんです。仲が良いというのは僕はとても良いことだと思っていて、コミュニケーションが取りやすかったり、作品に対して全員が同じ方向を向きやすい、1つのものを作るには大切なことなので、新キャストの皆さんを含めて、この空気をより一層、2年前よりも高めて最高の革命を起こしたいなと思います。是非皆さん楽しみにしてもらえたらなと。よろしくお願い致します。
加藤 初演の時も感じたのですが、この作品に対しての小池先生の思いや、演出の意図をもう1度皆で考えて、小池先生のおっしゃっていた進化と深化を1人1人がしていって、生まれ変わった『1789』を皆様にお届けできれば、と思っていますのでご期待ください。ありがとうございます。

〈公演情報〉
main
 
『1789─バスティーユの恋人たち─』
潤色・演出◇小池修一郎
出演◇小池徹平/加藤和樹(Wキャスト)、神田沙也加/夢咲ねね(Wキャスト)、凰稀かなめ/龍真咲(Wキャスト)
三浦涼介、上原理生、渡辺大輔、ソニン、吉野圭吾、坂元健児、広瀬友祐、岡幸二郎 ほか
●4/9〜5/12◎帝国劇場
〈料金〉S席13,500円  A席9,000円  B席4,000円
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半〜17時半)
●6/2〜25◎大阪・新歌舞伎座
●7/3〜30◎福岡・博多座
〈公式サイト〉www.tohostage.com/1789/



【取材・文・撮影/橘涼香】



水夏希・彩吹真央出演。夢幻朗読劇『一月物語』


kick shop nikkan engeki 

錦織一清の演出で帆風成海がヒロイン役。愛媛・坊っちゃん劇場で「第九」をテーマに描くミュージカル『よろこびのうた』上演! 制作発表レポート

IMG_3761

愛媛県東温市にあるミュージカルの常設劇場、坊っちゃん劇場は四国・瀬戸内の歴史と文化をミュージカルにして上演し、本年4月に13年目を迎える。これまで四国を題材に、高知の「龍馬」、香川の「げんない」を取り上げてきたが、徳島だけ取り上げたことがなかった。そこで今回は徳島を舞台に、アジア初演100周年となるベートーヴェンの交響曲「第九」にまつわる物語を上演する。

第一次世界大戦中、徳島県鳴門市には青島で日本軍の捕虜となったドイツ兵の俘虜収容所があり、約1000名の捕虜が収容されていた。この収容所は、福島県会津若松市出身の松江豊寿が所長で「武士の情け」を基本にした、極めて人道的かつ寛大な運営をしたことで知られ、地元の人々はドイツ兵捕虜を「ドイツさん」と呼び、スポーツや芸術、農作業など様々な分野で温かい交流が行われた。
その板東俘虜収容所のドイツ兵が、1918年6月1日、日本(アジア)で初めて「第九」を全曲演奏したという史実は、過去に小説やドラマ、映画化されているが、日本では意外と知られていない。
戦禍の中、異国の地で捕らわれの身となったドイツ兵たちが、故郷への思いと共に平和をという願いを込めて響かせた「歓喜の歌」。その精神は地元の合唱団員たちで今でも歌い継がれている。
今回はこの「第九」演奏のエピソードを、四国の遍路宿の一人娘と若いドイツ兵捕虜との許されない恋を軸に、板東の人々とドイツ人との美しい交流を描き、人類愛と世界平和のメッセージをミュージカルとして届ける。

脚本は映画『パッチギ!』『フラガール』、NHK連続テレビ小説『マッサン』などで知られる羽原大介、演出は俳優のみならず『熱海殺人事件』『グレイト・ギャツビー』などの演出で気を吐く錦織一清、音楽はシンガーソングライターで俳優としても活躍、『グレイト・ギャツビー』の音楽も手がけた岸田敏志、強力なスタッフ陣が揃った。
またキャストはブロードウェイをはじめ海外のミュージカルでも活躍する四宮貴久がドイツ兵ミハエル役、老舗の遍路旅館の箱入り娘明子には、宝塚歌劇団出身で藤間勘十郎文芸シリーズ『南総里見八犬伝』、『GOEMON』(片岡愛之助主演)、『石川五右衛門』(市川海老蔵主演)、明治座『ふるあめりかに袖はぬらさじ』(大地真央主演)、本格文學朗読劇『それから』など、多彩に活躍中の帆風成海が扮する。
上演期間は本年の1月27日から来年1月まで、その間に徳島公演と東京公演も行われる。

IMG_3758
岸田敏志、徳島県知事飯泉嘉門、四宮貴久、帆風成海、愛媛県知事中村時広、羽原大介

【挨拶】

この作品の製作発表が12月27日に都内で行われ、愛媛県知事・中村時広、徳島県知事・飯泉嘉門、脚本の羽原大介、演出の錦織一清、音楽の岸田敏志、出演者の四宮貴久と帆風成海が登壇。坊ちゃん劇場代表取締役の越智陽一の司会により、それぞれの挨拶が行われた。

IMG_3741
羽原大介
 4年ぐらい前に坊っちゃん劇場で何か作ってくださいという話をいただいて、その後、この板東俘虜収容所のことも知って、そこのドイツ人俘虜が初めて日本で「第九」を歌ったことも知りました。その話はぜひやりたいと思いまして、今回、こういう形で参加させていただくことになりました。私は外国人と日本人のラブストーリーは、映画『パッチギ!』とNHKのドラマ『マッサン』に続いて3本目になります。私の異国人同士のラブストーリーものの集大成のつもりで書きました。あとは信頼する演出家の錦織一清さん、音楽と歌唱指導もしていただく岸田敏志さん、そして出演者の皆さんにバトンを渡して、初日をワクワクしながら待っております。
 
錦織一清 僕がこの話をいただいたのは『グレイト・ギャツビー』でご一緒した羽原さん経由で、大役が舞い込んできたな、自分でいいのかなと思いました。1つの劇場で1年間、同じお芝居をロングランするというのは、あまり東京ではないことで、それを愛媛では13作目ということでびっくりもしましたし、見習うべきところも沢山あるなと思いました。すでに現地での稽古も始まり、楽しくやらせていただいてます。少年隊では何度かツアーで回らせていただいて、それ以来という四国ですが、1年間そこに僕が作った作品がかかっている、僕の思いがそこにあるということで、四国のファンの皆様にも、少しは恩返しできるかなと。初日が開いたあとも、なるべく何回も足を運びたいなと思っています。徳島を舞台にする作品は、この劇場で初めてということではプレッシャーもありますが、一生懸命作らせていただきます。また重たいテーマも入っていますが、ミュージカルという表現はもとはコメディですので、明るく楽しい作品にしたいと思っています。

IMG_3745
岸田敏志 この台本を読ませていただいたとき、初稿から「ああ、これは絶対に面白くなるな」と、素晴らしい話だなと感動しました。その中で、さあ、どんな音楽にということで、テーマが「第九」で「よろこびの歌」ですから、大きすぎる「第九」だけに非常に悩ましいところがありました。ただ僕のミュージカルの音楽作りは、長年自分のために作っていたわけですが、他の方の歌う曲ということになって、普段自分が思っていなかった音楽作りが出来て、それが楽しくなっています。その中で演者の方が、これを自分に持ち歌で歌いたいと思ってくれるような、そして観劇された方が帰り道で口ずさんだり鼻歌で歌ってくれるような、そんな曲作りを目指しています。今回も楽しいものになればと願っております。

 IMG_3748
四宮貴久 ドイツ人俘虜ミハエルを演じさせていただきます。坊ちゃん劇場への出演は4回目になります。劇場との出会いとなった『誓いのコイン』では日露戦争時代の物語で、ロシア公演も行い、現地のお客様にたいへんな拍手とお褒めの言葉をいただくという貴重な経験をさせていただきました。今回も同じように、四国で実際にあった史実をもとにしたオリジナルミュージカルですので、日本国内だけでなく海外でも観ていただけるようなパワーを持って作りたいと思います。国境を越えた愛を貫くミハエル役は、笑いから激情まで振れ幅のある大きな役です。精一杯稽古場で深めて、坊ちゃん劇場へ行って楽しかったと言っていただけるよう、絶対にまた観に来たくなるような作品にしたいと思っています。

IMG_3750
帆風成海 
明子役を演じます帆風成海です。私ごとですが出身が愛媛でして、今回この作品に出演させていただけるというお話をいただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。宝塚歌劇では男役でしたので、退団して今回初めて女性としてのラブストーリーを演じます。明子という女性は、もっと広い世界に出たいと熱望するのですが、私自身、宝塚を受けたいと思ったのは、もっと広い世界で勉強したいと思ったからでした。明子と私自身が重なる熱い思いを役に生かしていけたらと思っています。女性役ではまだまだ課題があって、今回も錦織さんにもっとおしとやかにと(笑)。でも強い意志を持った女性であることは確かですので、そこを少しでも表現できたらと思っています。愛媛県、徳島県のみならず、全国の方々にきていただき、四国の良さをわかっていただけるような作品を、座組一丸となって、ロングラン公演ですが、がんばっていきたいと思っています。

中村時広 愛媛県知事の中村でございます。坊ちゃん劇場はある人の言葉を借りれば「奇跡の劇場」と表現されています。年間270くらいの公演を、10数年間にわたって続けてきました。僕も全作品を観てきましたが、最初は愛媛の「坊ちゃん」、そして高知の「坂本龍馬」、香川の「平賀源内」と上演してきて、今回は徳島と全部揃うことになりました。とくに今回は『マッサン』の羽原さん、僕の少年時代から活躍していた錦織さん、そして「きみの朝」を今でもカラオケで歌わせていただいている岸田さんと、素晴らしい方々が集まって、嬉しい限りでございます。そして先ほども話に出ましたが『誓いのコイン』という作品は、日露戦争で捕虜となったロシアの青年将校と日本赤十字の看護師さんの報われない愛を描いて、とても印象に残った作品です。その主演した四宮くんがまた素晴らしい感動を与えてくれると思います。帆風さんは四国中央市出身ですが、文化人をたくさん輩出しているところです。その代表格として出演していただきます。この作品は「第九」がアジアで初めて歌われたという話ですので、その感動的な内容は、観に来てくださった方々を大きな感動に導くのではないかと思っております。ぜひ徳島県はじめ全国の皆様にこの奇跡の劇場に足を運んでいただきたいと思っています。
 
飯泉嘉門 徳島県知事の飯泉でございます。今回は徳島を舞台にした作品ということで熱く感謝を申し上げます。いつになったら徳島をテーマにしてくれるかなと、首を長くして待っておりました(笑)。今回の舞台となる板東俘虜収容所ですが、青島から連れてこられたドイツ兵の方々について、会津藩出身の松江所長がたいへん人道的な扱いをされたんです。会津藩も維新では朝敵でしたから、彼らを会津藩士に見立て、お国のために戦った英雄だとして、自由な活動をさせました。オーケストラは3つありましたし、ドイツ語の新聞やプログラムを印刷する印刷所、ビール工場、パン工場など収容所の中に作るのを認めていたんです。一方で四国遍路の最初の札所が鳴門市にありまして、その歴史から徳島には御接待の文化が根づいていて、地元の人々は「ドイツさん」と交流を行いました。ですから板東俘虜収容所は「奇跡の俘虜収容所」でもあったのです。そこから当時の最先端の技術によって様々なものが作られ、ユーハイムなどで知られるお菓子、ドイツパン、それに楽器製造、めがね橋などの土木技術、そういうものが四国から関西へと広がっていったわけです。そのドイツさんたちが帰国をする日、1918年6月1日、感謝の念を込めて演奏したのが、アジア初演の「第九」です。
その100年目となるのが2018年で、国内外の演奏家によって「第九」の演奏会も行います。まさにタイムリーな時期にこの作品が上演されます。そして、戦争の足音が聞こえてくると言われている現在こそ、敵国同士が友情を温めたこの歴史的事実を世界に発信したいと思い、徳島県と鳴門市、ドイツのニーダーザクセン市、リューネブルク市が共同して、「板東俘虜収容所関係資料」をユネスコの「世界の記憶」遺産に申請することが決定しました。そうした意味からも、徳島からこの作品を大いに盛り上げていきたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

IMG_3760
 

IMG_3738

【帆風成海からのメッセージ】

私は愛媛出身ですが、徳島県でこのような話があったことを知らなかったのです。たいへん驚いたのと同時に、この素晴らしいお話を皆さまにお伝えできる機会をいただいたことを、本当に嬉しく思っています。
最初に台本を読んだときは、女性としてラブストーリーを演じるのは初めてなので大丈夫かなと思いましたが、明子としてミハエルさんとの熱い愛を演じられたらと思っています。女性役はやはりまだまだ慣れていなくて、稽古場で錦織さんに沢山注意されています(笑)。宝塚を退団してから有り難いことに、色々なジャンルのお仕事をさせていただいていて、作品ごとに周りのキャストの方々も違えば私の役も違いますので、その変化を毎回新鮮に楽しませていただいています。
いつもでしたら短いと1週間、長くても1ヶ月公演でしたが、今回はロングラン公演です。長期公演で同じ役を同じメンバーでさせていただくということは、現状に満足せず、繰り返す中で、私自身も成長していくことが課題だと思っています。そしてこの作品をより素晴らしいものにすることが、故郷・愛媛の皆さまに恩返しすることだと思っています。
宝塚ファンの方々にも、ぜひ観にきていただければ嬉しいです。近くに道後温泉もありますので、温泉のついででもかまいませんので(笑)、ぜひ坊っちゃん劇場へ足をお運びください。

〈公演情報〉
坊っちゃん劇場第13作「第九」アジア初演100周年記念作品
ミュージカル『よろこびのうた』
脚本◇羽原大介
演出◇錦織一清
音楽監督・作曲◇岸田敏志
出演◇四宮貴久、帆風成海、小林遼介、村上幸央、中村元紀、梶 雅人、渡辺輝世美、瀧田和彦、長本批呂士、脇山尚美、小野佑子、松尾奈実、佐藤朱莉 
●2018年1月27日〜2019年1月◎坊っちゃん劇場
●2018年10月18日〜21日◎徳島公演・あわぎんホール徳島県郷土文化会館
●2018年11月28日・29日◎東京公演・ティアラこうとう




【取材・文・撮影/榊原和子】


チケットが最大で70%OFFに!
kick shop nikkan engeki
記事検索
演劇キックラインナップ

演劇キック

観劇予報

宝塚ジャーナル

演劇人の活力源

日刊えんぶ

えんぶ情報館

えんぶショップ

えんぶミロクル

えんぶfacebook

広告について