えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

『不徳の伴侶 infelicity』

インタビュー

大人気シリーズ最新作!舞台『私のホストちゃん REBORN〜絶唱!大阪ミナミ編〜』間もなく開幕! 稽古場レポート&悠未ひろインタビュー

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人気モバイルゲームからテレビドラマ化を経て、2013年にスタートした舞台版が大好評を博している舞台『私のホストちゃん』。
ホストの煌びやかで厳しい世界をコメディタッチで描いた賑やかなストーリー展開、実際に観客をホスト役の俳優たちがアドリブで口説く「口説きタイム」、更に現実のホストクラブ同様の、目玉企画である「指名制」や「ランキングシステム」を導入して、観客から貢がれたラブ(ポイント)によって、その日のNo.1ホストが決まり、フィナーレの主役を務めるという、観客参加型のライブ感が、根強い人気を誇っている。

そんな舞台が、2017年『私のホストちゃん REBORN』となり、その第二弾である舞台『私のホストちゃん REBORN〜絶唱!大阪ミナミ編〜』が、1月19日の東京・サンシャイン劇場からスタートする。(28日まで。のち愛知、広島、大阪で上演)
この公演から主演の古屋敬多(Lead)らホストメンバーをはじめ、新たな顔ぶれが加わり更にパワーアップ! これまで以上に多彩な歌とダンスも盛り込まれた、エンターテインメント作品になっている。
その2018年版『私のホストちゃん』に初参加するのが、元宝塚歌劇団男役スターの悠未ひろ。宝塚時代に究極の「カッコいい男性像」を追求し続けてきた悠未が、生身のカッコいい男子たち総勢17名が演じるホストちゃんの中で、何を感じ、どんな存在感を見せるのか、役どころの立ち位置は?など、ラストスパートに向けてエンジン全開の稽古場で、想いを聞いた。 


【稽古場レポート】
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対立するホストクラブに客足を奪われ、対策に悩むホストたちに、女性たちから熱い視線を集めているという、カリスマピザ宅配人の噂が届く。


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早速その秘密を探ろうとピザを注文したホストたちの前に現れたのは、伝説のカリスマピザ配達人(悠未ひろ)。その桁外れのカッコよさに、彼が入店すればNo.1間違いなし!と色めき立つホストたち。

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だが、カリスマピザ宅配人には、決してホストにはなれない事情があった。そう「彼」は、男性ではなく「男役」だったのだ!


【悠未ひろインタビュー】
 

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宝塚の男役芸とこの作品のシチュエーションがコラボした役


──大人気シリーズとなりました舞台『私のホストちゃん』に初参加ということで、まず作品に接していかがですか?
今までやったことのない路線の舞台だ、ということは前情報として伺っていたのですが、いざお稽古に参加してみると、モバイルゲームから、テレビドラマ化を経て舞台になったという経緯の作品だけに、映像の脚本っぽい雰囲気もありつつ、笑いの要素も多い中、演じるキャストたちは至って真面目にやっているんですね。もちろん私も宝塚時代にはコメディ作品に出させて頂いたこともありましたが、それとは全く違う、あくまでも真剣にやりながら笑いを取りに行っているんです。音楽もとても素敵で、壮大なミュージカルナンバーのような曲なのに、歌詞は全くしょうもないことを言っていたり(笑)。この初体験の相反する世界に、今、夢中になっていて、稽古場でホストの男の子たちが演じる場面を観ながら、お客様の気持ちになって楽しんでいます。皆、すごくカッコいいので。
──カッコいいと言えば、悠未さんこそ元祖ですよね?
最初は、すみませんがちょっとそういう気持ちもあったんです(笑)。「本物の男性よりもカッコいい」という世界を追求してきたのが宝塚の男役なので、正直「負けてないはず」、と思っていたんですが、いざ接してみると、リアル男子が本当にカッコいいんです! 実力もあるし、人を惹きつける魅力もあって、これは女性ファンにはたまらないだろうなと。作品がここまで支持されて続けている理由がわかった!という気持ちになりました。
──そんな魅力発見!という舞台の中に、今回悠未さんがどんな役どころで入られるのか気になるのですが。今、お話し頂ける範囲で教えてください。
どこまでお話していいのか、という部分はあるのですが、確実に言えることは、完全に“今まで私がやってきたこと”の引き出しでやっております。作品自体は、私にとって今までやったことのない種類のお芝居で、衣裳もおそらくお客様が「えー!?」と驚かれるような衣裳で(笑)、新たな挑戦はたくさんあるのですが、役を演じることに絞れば、新しい挑戦というよりは、今まで培ってきたものをフルに発揮しています。脚本・演出の村上大樹さんが、私が今まで宝塚でやってきたことと、この作品のシチュエーションをコラボレーションすることを求めていらして、それこそが面白さにつながる脚本になっているんです。ですから、これは自分の中で「宝塚だけの引き出しで演じてはいけない」などとは考えずに、どんどんシンプルにそれを使ってやったら良いんだなとわかったので、気持ちよくやらせて頂いています。

──では、宝塚時代に存分に発揮していた「男役悠未ひろ」の魅力にまた出会えるのですね。今回の舞台は、過去のシリーズよりも一層歌とダンスが豊富と伺っていますが、悠未さんにも歌のナンバーが?
はい、歌っていて、メロディーがもう実に壮大で、素晴らしいものなのですが、歌詞にちょっとギャップかあってですね…(笑)。是非、歌詞にご注目いただきたいです(笑)。

 

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毎日変わるライブな舞台に対応する共演者たち

──稽古場の雰囲気はいかがですか?
今すごく良い感じです。スケジュールの詰まっている売れっ子の方たちがたくさん集まっているので、全員が揃う時間が短い分、すごく集中していて、初日に向けて皆が魅力を爆発させているので、これが舞台に行ったら更に面白いものになるはず!という確信があります。ここはお客様が喜ぶだろうな、ということがありありとわかるので。
──本物のホストクラブに足を踏み入れることは、とくに若い人たちにとってはハードルか高い部分も多いと思いますが、それがこの舞台では疑似体験できるわけですね。
そうなんです、劇場でその世界の雰囲気を味わえますし、本当のホストさんたち同様に、お客様が投票することによって、ランキングが変わったり、お客様参加型なのも楽しいと思います。
──実際に、その日のラブポイントによって、フィナーレの内容も変わるんですよね?
そこがまたすごいんです。この17人のホスト役の男の子たちが、誰がNo1になってもいいように、色々なパターンの稽古をしていて、対応力も要求されています。もちろんそれがとても得意な人もいれば、そうでない人もいる中で、「じゃあ、今日は○○」と指名されて、懸命に取り組んでいるのを見ると、もう本当に心から応援する気持ちになります。観ていてすっかり母心みたいになってます(笑)。
──姉心ですね(笑)。悠未さん自身、宝塚で大きな二役の役替わりなども経験していることで、余計に気持ちがわかるのでは?
それもありますが、宝塚の場合は二役でもカッチリ台本が決まっていて、それぞれを完璧に稽古していましたが、この舞台はアドリブの要素が多くて、客席に降りてお客様を口説いたりもするんです。私はアドリブ経験がほとんどないので、バリバリこなしている男の子たちに感心しています。
──お客様がどう反応するかによっても、また変わってきますよね。
1回毎に全然違うので、1日1日が異なるライブとして楽しんで頂けると思います。稽古場でも大人チームの女性陣は、男の子たちのアドリブやカッコよさを見ながら「今のあそこ、すごく良かったよね!」とか和気藹々と楽しんでいます(笑)。
──悠未さんから、男性陣にアドヴァイスしたりなどは?
私と同じチームの男の子たちがいて、彼らにはちょっと教えました。と言うのも、私と一緒にやるパートは、男の子たちの得意分野ではないので、その部分では苦戦していたんです。彼らはもっと難しいことを軽々とやってのけるんですが、やっぱり宝塚の男役的な魅せ方というのは、彼らが全くやってきてこなかったことなので、そこについては「こうした方がいいよ」などとアドヴァイスしました。でもすごく素直な子たちで、向こうからも「教えてください!」と言ってきてくれるので、「喜んで!」という感じで交流しています。

 

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どんなジャンルの舞台でも生きる「宝塚」で得た経験

──この数年の悠未さんはどんどん新たなジャンルで仕事をされていましたが、様々な経験の中で感じたことは?
本当にどのお仕事も印象深いものばかりでした。宝塚にいる間は「宝塚歌劇」という1つのジャンルの中で頑張っていましたが、外に出るとあらゆる可能性が広がっていて、すべてが異なる世界なんですね。だから本当に日々刺激がすごくて、ぼーっとしている暇がなかったです。吸収することも多いですし、舞台の芸能に関することだけではなくて、学ぶことがたくさんあります。「若い人がこういう風に考えているのか」とか、「そういう道を歩いてきて、今、この部分で悩んでいるのか」とか、それぞれの姿に接することで、私にとって知らない世界のことでもありますから、また新たに勉強できて。ただ、1つ感じているのは、どんなに違うジャンルの舞台に立たせて頂いても、それが舞台芸術であった時には、必ず宝塚での経験が私の中で生きているなと。表現方法などはまるで違う舞台であっても、きちんとベースは生かされている。宝塚で培ってきたこと、やってきたことが今の私の力になっていて、この舞台もそうですが、舞台に立つ度に宝塚に感謝しています。
──その中で、宝塚OGの方との共演もありましたね。
やはり宝塚出身の方たちとご一緒すると、温かさと心強さを感じます。現役時代には共演させて頂いたことのない大先輩の峰さを理さんとご一緒の舞台もあって、緊張したのですが、いざ同じ稽古場にいると、家族のような、血はつながっていないけれど姉妹のような絆を感じられて、本当に嬉しかったです。今年の3月には宝塚のOGだけが出演する、東日本大震災のチャリティーコンサート『忘れない〜亡き人へ綴る愛の手紙〜』にも出演させて頂くのですが、宝塚OGだけの舞台というのは、私にとっては初めてのことなので、とても楽しみにしています。
──退団後のこれまでの歩みを、ご自身ではどのように捉えていますか?
色々なジャンルに出演させて頂いているなと(笑)。ミュージカル中心、映像中心という方々も多い中、私は自由に色々なジャンルに挑戦させて頂いているので、幸せですね。
──ちょうど年頭ということで、今年はどんな年にしていきたいですか?
宝塚を卒業して4年経ちました。この4年で、個人としての生活や外の舞台に、いい意味で馴染んでこられたと思っています。これまではわからないことばかりで、ドキドキしながら吸収していくという時間でしたが、今年はこれまでの経験をしっかりと胸に落としてやっていけたらいいなと。そうは言っても私の中にまだまだ未知な部分がたくさんあるので、1つの落ち着きを得た今だからこそ、新たな挑戦もして、学びを得たいなと思っています。安定した幸福感の中から、更に意欲をもっていきたいです。
──では、そんな新たな年の始まりである『私のホストちゃん』への意気込みを。
大人気の舞台ですが、宝塚ファンの方は、まだご覧になったことがないという方も多いと思いますので、騙されたと思って(笑)、是非観に来て頂ければ、必ず楽しんでもらえる自信があります。更に、宝塚ファンの方に向けてのメッセージを送るとすると、私も宝塚現役時代の表現をしていて、男役の時のことを思い出して頂けるような場面もありますので、そこも是非楽しみにして頂けたら。宝塚で言うところのショーに近いような面も多くあるお芝居で、エンターテインメントとして楽しんで頂けると思いますので、このメンバーならでの舞台を、是非気軽に観にいらしてください。


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ゆうみひろ○東京都出身。97年、宝塚歌劇団入団。『Le Petit Jardin』(05年)、『逆転裁判3』、ディナーショー『Heroe』(13年)等に主演作の他数々の名舞台を残した。13年『風と共に去りぬ』アシュレ役にて宝塚歌劇団を退団。退団後は『MOONSAGA−義経秘伝−第二章』(平教経役)、『NARUTO-ナルト-』(大蛇丸役)、『人魚姫』(船長役)、『ダニーボーイ』(湖島みちる)役、『朗読能シアター土蜘』(土蜘役)など、多彩な舞台に出演。また『L‘Age d’Or de la Chanson 2017(シャンソンの黄金時代)』や、ディナーショーなど、歌唱力を活かしたライブ活動にも積極的に取り組んでいる。3月に『忘れない〜亡き人へ綴る愛の手紙〜』宝塚OG毎日希望奨学金チャリティコンサートへの出演も控えている。

 

 【特報! ゲストキャスト出演】 

下記公演回にて、舞台「私のホストちゃん」シリーズで名を馳せたあのホストちゃんたちが限定復活!

・1月21日(日)17:30回 時桜(荒木宏文)

・1月23日(火)13:30/18:30回 流星(久保田秀敏)

・1月24日(水)18:30回 深雪(染谷俊之)

・1月25日(木)13:30/18:30回 光星(井澤勇貴)& 大湖(杉江大志)

・1月27日(土)12:30/17:30回 隼人(五十嵐麻朝)&蓮(塩川 渉)

※本編の一部コーナーに出演。ホスモバのランキング・指名対象外。

※そのほかに【開演前No.1レビュー曲の振付を直接レクチャー】【ホストちゃんリアルガチハイタッチ会開催】など、数々のお楽しみが満載!


〈公演情報〉

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舞台『私のホストちゃん REBORN 〜絶唱!大阪ミナミ編〜』
総合プロデュース◇鈴木おさむ
脚本・演出◇村上大樹
出演◇
古屋敬多(Lead) 寺田拓哉 小坂涼太郎 三浦海里 小林亮太 釣本南(Candy Boy) 杉江優篤 TAKA(CUBERS)/
米原幸佑 松井勇歩 吉田広大 森田桐矢 佐々木和也(SOLIDEMO) 蔵田尚樹 糸川耀士郎 藤戸佑飛、橋本全一/
LiLiCo[Wキャスト]大林素子Wキャスト/悠未ひろ/緒方雅史 野口かおる 鬼頭真也(夜ふかしの会)/小柳ゆき/三ツ矢雄二
●1/19〜28◎東京・サンシャイン劇場
●1/31〜2/1◎愛知・東海市芸術劇場
●2/6◎広島・上野学園ホール(広島県立文化芸術ホール)              
●2/10〜11◎大阪・サンケイブリーゼ
〈料金〉V.I.P.シート¥15,500 ゴージャスシート¥8,800 カジュアルシート¥5,800(全席指定・税込)
お問い合わせ〉
東京公演/サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00〜18:00)
愛知公演/中京テレビ事業 052-957-3333(平日10:00〜17:00)
広島公演/広島テレビ イベントインフォメーションセンター 082-249-1218(平日10:00〜18:00)
大阪公演/キョードーインフォメーション 0570-200-888(全日10:00〜18:00)
〈公式HP〉 http://www.hostchan.jp/

 


 

【取材・文・撮影/橘涼香】 



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三谷幸喜が描く新作幕末群像喜劇『江戸は燃えているか』に出演! 妃海風インタビュー

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2016年の大ヒット大河ドラマ『真田丸』をはじめ、年年歳歳快進撃を続ける劇作家三谷幸喜が、2018年3月新橋演舞場で新作幕末群像喜劇『江戸は燃えているか』を書き下ろし上演する。作品のスローガンはずばり「新橋演舞場史上、もっとも笑えるコメディ」。
歴史に名高い江戸無血開城を、歴史をつくった偉人たちと、歴史に名を残さなかった庶民たちを通して、可笑しくも愛おしい江戸を戦火から守るための、奇想天外な大芝居が描かれていく。
そんな作品で、三谷幸喜作品に初出演するのが、元宝塚歌劇団星組トップ娘役の妃海風。
宝塚退団後、クリエプレミア音楽朗読劇『VOICARION GHOST CLUB』、そして、初の単独コンサートとなった「妃海風CONCERT 2017『Magic!』」を大成功させた妃海が、女優として初となる本格的な演劇作品への出演への意気込み、また退団からここまでの活動の思い出などを語ってくれた。

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激動の時代がコメディになるワクワク感

──三谷幸喜さんの作品に初出演ということになりましたが、この幕末から明治維新というのは妃海さんにとって縁のある時代ですね。
そうなんです。宝塚の退団公演『桜華に舞え』(16年)が、幕末から西南戦争へ至る物語で、西郷隆盛さんも登場していたので。
──そんな激動の時代の物語を「ただただ笑える喜劇」で描くというのは、三谷幸喜さんならではの発想だと思いますが、その舞台に臨む今の心境は?
まず、宝塚卒業後大きな舞台に立たせて頂くのが初めてになりますし、出演者にタカラジェンヌが1人もいないという環境も初めてです。そして、ずっと昔からお名前をよく存じ上げていた方ばかりの中に、自分の名前が並べられている。しかも三谷幸喜さんの新作ということで、本当に新しいことに挑戦させて頂けるんだな、また新たな扉が開くのだなと感じています。基本的に私は体感型なので、お稽古が本格的にはじまったら、更にたくさんのことを感じるだろうと、とても楽しみなのと同時に、大変光栄に思っています。特に『桜華に舞え』もそうでしたが、この時代の物語は悲劇的なものが多い中、「新橋演舞場史上、もっとも笑えるコメディ」というフレーズを聞いた時、私自身、観る側に回ったときは明るい作品が大好きなので、なんて素敵なんだろうと。やっぱり、人のぬくもりを感じる作品が好きですし、関西人でもありますから吉本新喜劇のような単純に笑える作品も大好きなので、コメディ作品に出られることにワクワクしています。三谷幸喜さんの作品を色々拝見させて頂くと、皆さんが本当に力まずに笑いを誘っていらっしゃるので、笑わせようとして空回りしてしないように、本気でやりながら緊張し過ぎずに、良い意味で力が抜けた感覚で舞台に臨みたいです。宝塚時代にもそこまで笑いに特化した舞台の経験はなかったので、まさに未体験ゾーンに挑むという気持ちです。
──そうですね。コメディと言ってもオペレッタが題材だった『こうもり』くらいでしょうか?
はい。『こうもり』もとても楽しい作品でした。今回は、三谷幸喜さんの演出で、これだけ錚々たる共演者の方たちが、どんなコミュケーションを取りながら、コメディを創り上げていかれるのかを、カンパニーの一員として体感できるので、1つでも多くのことを学びたいと思っています。
──その中で妃海さんの役は、中村獅童さん演じる勝海舟の妹・順子で、夫の中村俊吾郎を演じるのが田中圭さんですね。
田中圭さんと夫婦役ということで、大変緊張しています。初めて男性の方が夫役ということで、当たり前のことなのですが、私にとっては非日常なので、お芝居をした時に自分が何を感じるか、ドキドキしています。
──そういう意味でも吸収することがたくさんありそうですね。
少し女らしくなるかもしれませんね!(笑)
──今でも十分キュートです! また今回は勝家の人々ということで、勝海舟は幕末に欠かせない歴史上の重要人物ですが、勝海舟についてはどんな印象を?
勝海舟さんは、宝塚で北翔海莉さんが演じていらして。
──『JIN─仁 』(15年)の時ですね。
私にとってはその作品のイメージが強くて「とても良い声で歌う人」という感じで(笑)。勝海舟さんは世間的には歌うイメージの人ではないと思うんですが、私にはどうしても北翔さんのイメージがあります。ですから逆にあまり文献などを読み込むというよりは、まず三谷さんの脚本から入りたいと思っています。三谷さんが描く歴史上の人物は、これまでも例えば豊臣秀吉であっても、世間一般が抱いているイメージとは違う観点から描かれていると思うので、今回もまず三谷さんが描かれる、中村獅童さんが演じられる勝海舟さんを、自分の中の新たな勝さんとして感じたいと思っています。

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観終わった後に人間が好きになれる三谷ワールド

──新橋演舞場の舞台に立つ、というのもまた特別の体験ですね。
本当に! 歌舞伎が大好きですから、新橋演舞場にも通い詰めていた時期もあるので、まさか自分があの舞台に立たせて頂けるなんて思ってもいませんでした。劇場には劇場毎に必ず独特の空気があるので、舞台に立った時にどういう空気を感じるのか、新しいお客様にも出会えると思いますし、如何にその場に溶け込めるかが課題だと思っています。
──三谷作品の魅力については、どのように感じていますか?
まず、三谷さんの新作というだけで大きな話題を呼ぶ劇作家さんですし、私自身もこれまで一観客として拝見してきましたが、改めてこれだけ惹きつけられる魅力はなんなのだろう?と考えると、人とのつながりに真実味があるんですね。私たちの日常にも起こりそうな、決して特別ではない出来事にスポットを当てて、さりげない日常のちょっとした勘違いなどからドラマが動いていく様がすごいなと思います。だからこそ共感できるし、笑えるし、観終わった後に人間が好きになっているんです。人っていいな、人と関わるっていいなという幸せな気持ちになれる。人間って面白い!と思えるのが、これだけ愛される理由なのではないでしょうか。きっと常に自分の周りに起きるささいな出来事もきっちりと観察されているのでしょうし、その小さなことを掘り下げていかれる感性も素晴らしいですね。実際に作品創りの現場を体験したら、もっと様々な魅力が発見できるんだろうなと思っています。
──そうすると、あらゆる意味でお稽古が楽しみですね。
本当にあらゆる意味でなんです!自分で言うのもなんですが、まだ生まれたての赤ん坊のような気持ちですし、自分がどう変わっていくのかわからないので、前向きに臨みたいと思います。これだけ長い期間をかけて、たくさんの方たちと舞台を創り上げていくというのは、退団後初めてとなります。元々私は舞台を皆で創り上げていく過程ごと大好きですし、共演者の方たちも本当に豪華な方なので「妃海どうなる!?」と(笑)。
──出演者の方たちそれぞれにたくさんファンの方がいて、妃海さんを初めて観るお客様も多いでしょうから、新たな出会いがたくさんありそうですね。
はい、精一杯頑張りたいと思います!

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朗読劇の虜になった『VOICARION GHOST CLUB』

──宝塚退団後の舞台のお話も伺いたいのですが、シアタークリエでのクリエプレミア音楽朗読劇『VOICARION GHOST CLUB』では、少年役に挑戦しました。
素晴らしい経験をさせて頂きました!私は恥ずかしいことに、それまで朗読劇というものを観たことがなかったので、初めは本を読み聞かせるものなのかな?と思っていたのですが、お稽古から本番を迎えてあんなにも興奮するものだったんだと感激しました。今となっては朗読劇の虜になっています。共演した宝塚の先輩紫吹淳さん、春野寿美礼さんは私が宝塚ファンだった時代からの憧れの方でしたし、初めてご一緒させて頂いた声優さんで女優さんの朴璐美さんも、声だけのお芝居も多数経験されている方ならではの表現力を感じて、声優さんが出演される舞台や、またアニメなどの声のお芝居にも深い興味を持つようになりました。この朗読劇に出させて頂いたことによって、自分で体感したからこそ、その魅力にハマれたので、更に様々なジャンルの経験を積みたいという意欲がわいています。
──台詞のないところで座っている時にも、少年らしい座り方をされていて、声もとても魅力的でしたが、かなり研究したのですか?
台本を頂いて、役を理解してから自然にあの声が出たんです。でもとても低い声だったのでファンの方々もびっくりしていらして、最初は私の声だとわからなかったとおっしゃった方も多かったほどでした。私自身もあんなに低い声でお芝居をするとは思っていなくて。宝塚時代の少年役はかなり高い声で話すものが多いのですが、そうではなく、声変わりをするかしないか、というくらいの少年の声だったので、読んでいて感じたのがあのトーンの声でした。でも声のお芝居ってこんなにすごいのかと!
──イマジネーションが広がりますよね。朴さんも宝塚の方に混じって全く違和感がなくて。
男役さんでしたよね!
──本当に!そして憧れの上級生の方々との共演はいかがでしたか?
やっぱりカッコいいです!紫吹さんは女性としてたくさんテレビに出ていらっしゃいますが、ひと声発すればもう現役時代の男役さんのままで!
──スイッチが入ったという感じがしましたね。
足を組んでお水のグラスを飲んでいる姿ももう男役そのままで、春野さんも柔らかい雰囲気でいらっしゃるのに、でもきちっと男役で、女優さんとして年月を経ていても、すぐに男役に戻れるんだ!と感動しました。本当に素敵な経験をさせて頂けました。

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スタッフ側の気持ちをより理解できた『Magic!』

──そして、ご自身で総合プロデュースもされた「妃海風CONCERT 2017『Magic!』」こちらはまた、盛りだくさんな内容でしたね。
構成、演出という立場に自分が立ってみて、衣装やセットも考えてプロの方に伝えるという経験をしてみて、舞台を支えてくださっているスタッフの方たちへの、感謝と興味が増しました。自分で演出することは、出演者としてお稽古をしつつ、全てのセクションとのやりとりをしなければならないということですから、とても大変ではありましたが、4日間の舞台がすべて終わった後の達成感には、かつてないほど大きなものがありました。とくに感じたことは、演出家の方に「OK!」と言って頂ける訳ではなく、自分自身で「ここで良し」と決めなければならない。もしかしたらもっと先の「良し」へ行けたかもしれないという思いもありましたが、本当に多くのことを学べたので、これからも自分の足で一歩ずつしっかりと歩いていきたいなと思っています。
──お客様とのコール&レスポンスなど、宝塚ではあまりない部分がとても上手で、良い意味で大変驚きました。
私は、及川光博さんの長年のファンで、ミッチーのコール&レスポンスはそれは素晴らしいので、自分ではまだまだだと思っていますし、とても緊張しました。

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2017年10月『Magic!』より

──まさにミッチースタイルで、「一緒に踊ろう!」と客席を巻き込んでいくところも堂々としていました。宝塚の娘役さんは男役さんに対して一歩控えるというイメージがありましたから、特に印象的でした。
宝塚時代のファンの方との交流の場である「お茶会」に来てくださったことのある方は、あのような私もご存知だったのですが、初めて観てくださった方は「この子、結構パンチ効いてるな!」と思われたようです(笑)。でも、「皆でやろうよ!」という形で盛り上がることは学生時代から好きだったので、自分自身でもそんな自分を思い出したところもありました。
──とても楽しい時間だったので、またあのような形のコンサート活動も継続して頂きたいなと。
楽しいと思って頂けることが全てなので、本当に嬉しいです。是非、頑張って続けていけたらと思っています。

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2017年10月『Magic!』より

──ロビーに北翔さんからのお花が届いていて、皆さんがそこで記念撮影をしている姿もたくさん拝見しました。
トップコンビには永遠に夫婦というイメージがあるんだなと思いました!やっぱりそうして写真を撮ってくださったりするのは、とても嬉しいことです。
──北翔さんも女優デビューされたので、また新たな交流も生まれることでしょうね。では、妃海さん自身の本格女優デビュー作品となる『江戸は燃えているか』への意気込みを改めて。
私を知ってくださっている方々はきっと「どうなるんだろう?」とワクワクしてくださっていると思います。それは私の今の気持ちと全く同じなので、私も新たな世界で、新たな気持ちで心こめて頑張りたいです。そして私を知らない方々にも、こんなに豪華な共演者の方たちの中で、一生懸命やっている妃海風を認識して頂けたら。三谷さんの作品は演じる人間の人柄も自然ににじみでるものだと感じますので、「この子面白いな」と感じて頂けて、最大の目標としては「応援したい」と思って頂けるように精進しますので、是非観にいらしてください!

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ひなみふう○09年宙組公演『Amour それは…』で宝塚歌劇団の初舞台を踏む。星組に配属。歌唱力に秀でた娘役として頭角を現し13年『南太平洋』など、数々の作品でヒロインを務める。15年、北翔海莉の相手役として星組トップ娘役に就任。『ガイズ&ドールズ』『LOVE&DREAM』『こうもり』など、持ち前の歌唱力を活かした作品で活躍した。16年『桜華に舞え』『ロマンス!!(Romance)』で惜しまれつつ宝塚を退団後は女優に転身。17年クリエプレミア音楽朗読劇『VOICARION GHOST CLUB』妃海風CONCERT 2017『Magic!』と、様々なジャンルに活躍の幅を広げている。

〈公演情報〉
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PARCO Production『江戸は燃えているか』
作・演出◇三谷幸喜
出演◇中村獅童、松岡昌宏
松岡茉優、高田聖子、八木亜希子
飯尾和樹、磯山さやか、妃海風、中村蝶紫、吉田ボイス
藤本隆宏、田中圭 
●3/3〜26◎新橋演舞場
〈料金〉一等席13.000円、二等席8.500円、三等席A 4.500円、三等席B 3.000円 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉パルコステージ 03-3477-5858((月〜土 11:00〜19:00/日・祝 11:00〜15:00)
http://www.parco-play.com/web/program/edomoe/



【取材・文/橘涼香 撮影/友澤綾乃】




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新感覚オリジナルショー『Pukul』を共に創る!謝珠栄・湖月わたる・水夏希インタビュー

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斬新な振付と深い人間愛で精力的な創造を続ける謝珠栄が、全幅の信頼を置く後輩たち=宝塚OG、そして歌唱力に優れたミュージカル俳優、気鋭のダンサーを選りすぐって新たに生み出す新感覚オリジナルショー Cosmos Symphony『Pukul』〜時を刻む愛の鼓動〜。その舞台が12月9日〜16日に東京・日本青年館ホールで、12月21日〜25日には大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される。
 
『Pukul』とは内面が活力を得て動き出す「鼓動」に、時を知らせる意味も持ち合わせたマレー語で、歌×ダンス×プロジェクションマッピングと、回り続ける大がかりなセットで、壮大な時間の旅が描かれる。ACT1では、インド舞踊やグルジニアンダンス等、アジアをはじめ各国の音楽や民族舞踊の要素を取り入れつつ、星たちの誕生と、美しくも時に脅威ともなる自然を神秘的に描く。また、ACT2では、馴染みあるジャズやポップスで、この地球で命を授かった人々の人生をスタイリッシュにたどっていく。
 
そんな作品を共に創るメンバー、宝塚退団後も数々のダンス公演で共に汗を流してきた盟友である湖月わたると水夏希。そして台本・演出・振付を手がける謝珠栄が、挑戦に次ぐ挑戦だという稽古場で、作品への想いを語り合ってくれた。
 
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壮大なスケールを持った宇宙の創造

──まず『Pukul』というタイトルに込められた想いから教えてください。
 はじめはリズムを現す言葉をつけたいなと思っていて、「鼓動」という言葉は心臓の動きともう1つ、内面にひそむものが活力を得て動き出すという意味があると知って、内面から出てくるものに突き動かされている表現者にはピッタリの言葉だなと思ったんです。その中でまた宇宙の成り立ちや、人の一生も描きたいと思っていたことで、「時間」を現す言葉もずっと探していたところ、マレー語の「Pukul」には、その両方の意味合いがあるとわかったんです。「プクル」という語感も可愛いでしょう?
湖月 可愛いです、本当に!
 だから『Pukul』にしようと思ったんだけど、ちょっと覚えにくいみたいね(笑)。
 「プ…プ…、なんでしたっけ?」と、言われたりしました(笑)。
湖月 「プルル」って書いてあった譜面もありましたよ!(笑)。
──このショーをきっかけに覚えてくださるといいですね。その作品ですが、先日冒頭のシーンが公開されましたが、星々や銀河の誕生という場面がとても壮大で、「おぉ!」と思ったのですが。
 あれはほんのさわりですから。
湖月 あそこから本編がはじまるので!
 まだ楽なところですよね(笑)。
──さらにすごいスケールなのですね。お二人は作品については今、どのように捉えていますか?
湖月 謝先生ならではの壮大な、人として忘れてはいけない大切なものをテーマにされたすごい作品になると思っています。まず始めにコンセプトと音楽を頂いた時には、いったいこれだけ壮大な世界を、どうまとめられるのだろう?と想像がつかなかったのですが、場面ができてくるたびに「謝先生すごい!」と。大きなテーマを具体化していかれて、盆の使い方などもすごいんです。本番でも人力で回してくださるそうで。
──青い美しいセットですね。公開稽古では人が回していましたが、本番でも?
湖月 そうなんです。しかも始まったらセットの中にずっと入りっ放しで回してくださるので、感謝してもし足りません。そういうスタッフさんのお力もあって、先日、作品を最後まで通せたのですが、ラストのナンバーを歌い踊り、前に滑り込んだ瞬間に心の中が浄化された気がしました。
謝 それは演者だけでなく皆が感じていて、スタッフさんたちも観ていて涙が出たと言ってくれました。
湖月 ありのままの、生まれたての自分に到達できた気がして、お客様にも何か大きなものをお届けできる作品になったのではないかと思っています。
 私はまだひたすら自分のことで必死で余裕がない状態です。私たちはキャストですから、台本もできて、音楽もできて、そのうえで取り組むわけですが、これを全く無の状態から立ち上げた先生やスタッフの方たちには、どれほどのご苦労があり、紆余曲折がおありだっただろうと思います。ここまでの作品を生み出す謝先生のエネルギーは、やはり本当にすごいなと思います。
 盆回しなどは、最初はあんな大がかりなことができるとは想定していなかったんです。でも作っていく過程で、これは時計だな、じゃあ回ったらどうだろう、という発想が生まれて、応えてくれるスタッフがいて、徐々に時間をかけて生み出されていったんです。

0027

どんなジャンルのダンスもこなせるのは宝塚出身だからこそ

──今回、アジアの民族舞踊を多く取り入れようと思われたのは?
 そもそも一番やりたかったことがそこなんです。アジアの様々な民族舞踊を使ったショーを作りたかった。それにはもうタカラジェンヌしかないと。彼女たちにしかできないと確信していました。私は中国舞踊をやっているのですが、中国舞踊は日本舞踊と西洋のダンスの間くらいなんですね。それでまず宝塚では皆日本舞踊をやっているでしょう?
湖月 はい、そうですね。
 でも他のダンサーの方たちで日本舞踊もやってきたという人はほとんどいないの。もちろん中国舞踊は日本舞踊ともまた違う首の使い方だったりするのですが、幅広い経験のある宝塚出身者だったらできるだろうと。中国舞踊と韓国の舞踊はつながっているし、インドネシアの舞踊もつながっているので、全く西洋の踊りと切り離されているわけでもなく、総合的に出てくるんです。これができるのはタカラジェンヌしかいないし、皆誇りに思っていいよと言っています。
湖月 宝塚では本当に色々な国の作品がありますから、様々な踊りを自然にやらせて頂いてきているので。
 私自身も振付家として社会に出た時に、それがすごく役に立ったの。どんなジャンルにも対応できる振付家は、当時いなかったので、これはやっぱり宝塚のおかげだなと。
──やはり宝塚で培ったものが大きく役立っているのですね?
湖月 与えられた課題を絶対になんとかやり遂げる。そこがまず培われていますから。
 たとえば舞台稽古の時、早替わりが間に合わない人がいっぱいいるんです。でも、初日には、全員絶対間に合う!
湖月 そう、初日までには必ずお客様にお見せできるものにする。そのパワーはすごいよね。
水 本当に色々な作品をやってきましたからね。
 小道具1つとってもそうよね。色々なもの持たされることに慣れているから。どんなものを使ってもらっても、決して「嫌です」とか「できません」とか言わずに挑戦してくれるので、こちらも創り甲斐があります。

0022

男性陣が加わる豊かさと、宝塚OGならではの団結力

──それぞれの役柄について教えてください。
湖月 私は「太陽」、アディティアといって、皆にエネルギーを届ける中心的存在として登場させて頂いています。そして水ちゃん演じる「地球」に生命を与える意味で、太鼓の鼓動で息吹を吹き込む役どころです。もう1つ「氷の女王」という役どころがあって、それは地球に試練を与えます。全く逆の二役をさせて頂きます。
謝 やはり太陽の光が届かなかったら、凍っていくわけですからね。その両方をしてもらっています。
湖月 役割が真逆なのできちんと演じ分けたいです。
 私は「地球」で、劇中で「孤独の星地球」という言葉があるのですが、生まれた時には他の星と変わらなかったものが、宇宙で唯一の空気と水を持ち、生命を育み、人間が生まれ、科学を持ち、というストーリーを描いていく作品なので、「孤独な地球」がどんどん豊かになっていく、という風にできたらいいなと考えています。
 あと、蘭ちゃん(蘭乃はな)が「月」なんです。太陽の光を受けて闇を照らしてくれる、私たちにとって必須の存在です。
 普段「星が綺麗」とか「太陽が暖かい」とか、何気なく思っていますけれど、実はすごいことですものね。
湖月 だから、水ちゃんと蘭ちゃんの地球と月のダンスのシーンも、観ていて微笑ましくほっこりしますね。
 三つ星と考えていて「太陽、月、地球」それに、「過去、現在、未来」を現す三神が出てくるので、ちよっと「三」という数字にはこだわっています。
──その三神も含めて男性が加わっているのが、宝塚OGの方が集まって作るショーとしては新しいものだと思うのですが。
湖月 女性がOGだけで、男性も加わってという形は初めてですね。
──やはりそれによって豊かになる部分も?
 それはありますね。立体的にもなりますし、力もあるし。でもダンサーとして確かな力量があって背も高い、という人を揃えるのはなかなか大変でした(笑)。
湖月 毎日彼らの身体能力には感心しています。
 本当にすごい!私は退団して間もなく謝先生の舞台に出させて頂いた時には、メンズの技にチャレンジして、なんとか出来るようになろうとしていましたが(笑)、退めて8年も経つと、男性ができることと女性ができることは違うんだ!ということがよくわかったので(笑)、それにはチャレンジしないことにしました。
 もう8年も経った?
 そうなんです!だから自分のギリギリできる最大限のことにチャレンジしようと思っています。
湖月 皆さん、私たちのこともバンバンリフトしてくれて頼もしいよね。
──そこもまた大きな見どころですね。また、女性陣が全員宝塚OGということで、やはり安心感も?
湖月 それはありますね。
 私にもすごくある。
湖月 ちゃんと意見を言い合えるし、助け合えるし。昨日も蘭ちゃんが「あそこのリフト大丈夫でしたか?」って言ってきてくれて。「あ、やりにくそうだった?」と訊いたら「ちょっと心配でした」って。あぁ、そう見えるんだなと思って、調整ができて。
 確かにそうですね。
湖月 もちろんこちらからも気になったことは言うし。「ちょっと音かけようか?」と言ったら、パッとね。
 自然に集まりますよね。
湖月 そういうことを何一つ決めておかなくても、チームとして団結できるんです。だいぶ世代も違ったりしてるんだけど(笑)。
 蘭ちゃんとか(舞羽)美海ちゃんとか。
湖月 これは宝塚力だなと。
 良い意味でお互い遠慮なくいられますよね。

0046
 

作品に深く入り込む役どころが楽しみなスペシャルゲスト

──また、そこにやはり宝塚OGのスペシャル・キャストの方たちが日替わりで出演されますが、ゲスト出演と聞いていたのとはまるで違う、しっかりと内容の中に入り込んだ役どころですね。
 想像以上でしょう?
湖月 がっつり中に入っていますから。
 あれはゲストじゃないですよね(笑)。
湖月 普通は「ここからスペシャルゲストの方たちのコーナーです」という感じで。
水 単独で出てくるものだと思いますからね。
 でも、それじゃ寂しいと思ったの。やはり皆と1つのカンパニーになって欲しかったし、1つの作品を共に創る仲間でいて欲しかったから。三人とも毎日稽古に来てくれて、一緒にやってくれて嬉しいですね。もう全部出たら?と思うくらい(笑)。
──やはり、三人の方それぞれで、作品の雰囲気も変わりますか?
湖月 これまでは、ゲストの方が歌っているコーナーを毎日出ているキャストが袖から応援しているという感じが多かったのですが、今回は物語の中で一緒なので、ゲストの方によって作品の空気が変わることを、最も感じられる公演になっていると思います。やっぱり全然違うものね、歌の表現も、台詞も。
 姿月(あさと)さん、春野(寿美礼)さん、ゆみこ(彩吹真央)と変わることによって、三神の雰囲気が全く変わるんですよね。本当に楽しみです。
──では、絶対に三回観ないといけませんね!
 そうです! 
湖月 少なくとも三回は観て頂きたいですね!(笑)

0038

上級生、下級生を超えた「同士」で刺激し合い高め合って

──謝先生の演出や振付の魅力を、改めて語るとすると?
湖月 これだけ長年、作品を創り続けてこられて、尽きることのない創作のエネルギーが本当にすごいです。
 本当に、そこがすごいですよね!
湖月 先生の中で「ここでいい」というものがなくて。
 皆に苦労させてるね(笑)。
湖月 いえいえ!私たちダンサーって、筋肉痛が心地良いのと同じで、大変なほどやる気がわくところがあるから。先生がどこまでこの作品を創りあげていくのかが、楽しみです!
 韓国の先生に、私がパッと思いついて「こういうのもあるから、これも入れたら?」と言ったら「えっ?今から入れるんですか?」って驚かれて(笑)。
湖月 「皆さんも大変ね、いつもこんなですか?」と訊かれたので、「はい」と(笑)。
 私はやっぱり観客目線で見てしまうのね。観客の皆さんに楽しんでもらいたい、面白いと思ってもらいたいということを、常に考えているから。自分が見て楽しいと思うものでないと、お客様に楽しいと思ってもらえないだろうと信じているから、「こうしたらもっと楽しいよ!」ということになっていく。
 先生のそのエネルギーや、活力、ビジョンが尽きないから、そこに応えたい!という気持ちにこちらもなっていくんです。なんとかして謝先生に喜んでもらいたい「それ良いね!」と言ってもらいたい、その掛け合いですね。
 それは創り手としては本当に嬉しいことですね。皆が「もういいです」となったら、私も多分それ以上要求しないと思うけれど、皆が食いついてきてくれるから、「まだいけるんじゃないか?」と思える。特に、わたると水の場合は、ダンスが好きだからずっと続けていてくれる。宝塚を退団してからだんだんにダンスから離れていく人も多い中で、彼女たちがいてくれるのは嬉しいですね。
湖月 とくに水ちゃんとは、退団してからずっと一緒にダンスの公演をやってきたので、本当に頼りになる存在です。
 いえそんな、とんでもない!
──そういう、ご縁のあるお二人が互いに感じる魅力は?
湖月 水ちゃんとこんなにご縁ができたのは退団してからなのですが、一見クールな中に、実はすごく情熱があって、探求心もあるし、本当にすごいと思っています。フラメンコ、タンゴ、今回はアジアですが、これをやるとなった時の突き詰め方は尊敬に値する人なので、いつも刺激をもらっているし、家に帰ってもよく水ちゃんのことを考えています。「水ちゃん筋トレしてるかなぁ」とか、「水ちゃん動画見てるかなぁ?」って(笑)。
 私も「あ、この動画、わたさん(湖月)に送ろうかな?」と思って、時間を見て「あ、もう絶対寝てるからやめよう」(笑)と思うことがよくあります。
湖月 同世代の宝塚卒業生として、ダンスに向き合い続ける数少ない同士という感じです。もう上級生下級生という感覚は全然ないですし、一緒に高め合っていきたい、続けていきたい、水ちゃんが頑張ってから私も頑張るって。
 それは本当に同じです。学年は私が下なので、いつもわたさんの後ろを追いかけています。いつもは割りと同じことを一緒にやるという形が多かったのですが、今回は違うジャンルで、太鼓に正面から取り組んでいるわたさんを見て、改めて客観的に、その枯渇することのないエネルギッシュなパワーに刺激を受けています。私は低血圧なので、朝ぐったりしていることが多いのですが、朝からパワー漲るわたさんを見ると「今日も前向きに頑張らなくちゃ!」と思えます。
──そんな信頼篤いお二人をはじめ、素晴らしい皆様が活躍する『Pukul』について、改めてメッセージをお願いします。
 1幕はオールキャストが挑戦の連続です。2幕はガラリと変わって皆が身体に馴染んだダンスや歌のナンバーをご覧に入れます。新しいものが詰め込まれているので、それに挑戦している皆の姿に、「ブラボー!」と拍手が頂けたら、と思っています。
湖月 『Pukul』は、生命の源である私たちの鼓動、生きるエネルギーに満ち溢れたステージになっています。是非劇場に足をお運び頂きたいです。きっと何かを持って帰って頂けると思います。
 本当に百聞は一見に如かずで、この作品こそ言葉で説明するのではなく、目で見て、耳で聞いて、肌で感じて、五感プラス第六感でも感じ取って頂きたいです。全員、命を削ってやっていますので、命の輝きが燃え上がる瞬間を観にいらしてください。

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【プロフィール】
0031
しゃたまえ○兵庫県出身。71年宝塚歌劇団に入団。75年退団後渡米。帰国後振付家として東京キッドブラザース、夢の遊眠社、こまつ座、劇団四季、宝塚などで活躍。85年にTSミュージカルファンデーションを設立し、90年より本格的に演出家へと転向。数々のオリジナルミュージカルの企画・製作し、話題作を発表し続けている。第43回芸術選奨文部大臣新人賞、第20回菊田一夫演劇賞のほか、第43回紀伊國屋演劇賞個人賞、第16回 読売演劇大賞最優秀スタッフ賞、第34回松尾芸能賞など多数受賞。

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こづきわたる○埼玉県出身。1989年宝塚歌劇団に入団。2003年星組男役トップスターとなり、『王家に捧ぐ歌』で文化庁芸術祭優秀賞を受賞。2005年日韓国交正常化40周年記念『ベルサイユのばら』では、宝塚歌劇団初の韓国公演を成功に導いた。2007年『DAMN YANKEES〜くたばれ!ヤンキース』で女優デビュー。『カラミティ・ジェーン』、『愛と青春の宝塚』、『絹の靴下』、『クザリアーナの翼』等舞台を中心に活躍。女優としてはもちろん、ダンサーとして圧倒的な存在感を持ち、2015年『CHICAGO』アメリカカンパニー来日公演では唯一日本人女性としてヴェルマ役を好演。ダンス、ミュージカル、ストレートプレイと幅広く活躍中。

0049
みずなつき○千葉県出身。1993年宝塚歌劇団入団、2007年雪組男役トップスターに就任。宝塚歌劇の代表作『ベルサイユのばら』では、オスカル、アンドレなど主要4役を演じ、宝塚初の天覧公演の主役も務めた。2010年退団後は、舞台を中心に活動中。主な出演舞台は『7DOORS〜青ひげ公の城』、『客家〜千古光芒の民』、『屋根の上のヴァイオリン弾き』、『新版 義経千本桜』、『FLAMENCO CAFE DEL GATO』、ブロードウェイミュージカル『シカゴ』宝塚OGバージョン、『エリザベートTAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート』、ミュージカル『アルジャーノンに花束を』『パンク・シャンソン』〜エディット・ ピアフの生涯〜』ミュージカルコメディ『キス・ミー・ケイト』『ラストダンス−ブエノスアイレスで。〜聖女と呼ばれた悪女 エビータの物語』など。

〈公演情報〉
Cosmos Symphony『Pukul(プクル)』〜時を刻む愛の鼓動〜
構成・演出・振付◇謝珠栄
出演◇Regular Cast:湖月わたる、水 夏希、蘭乃はな、舞羽美海、坂元健児、大貫勇輔、島地保武/岡 幸二郎
千田真司、神谷直樹、田極翼、舞城のどか、鶴美舞夕
Special Cast:姿月あさと、春野寿美礼、彩吹真央(日程別出演)
●東京公演 12/9〜16◎日本青年館ホール
●大阪公演 12/21〜25日◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
〈料金〉東京公演/S席11,000円 A席7,000円、大阪公演/11,000円
〈お問い合わせ〉東京公演 0570-077−039(梅田芸術劇場)
 大阪公演 06-6377-3888(梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)
〈公式ホームページ〉http://www.umegei.com/schedule/654/
 



【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】




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いよいよ開幕!『屋根の上のヴァイオリン弾き』入野自由&広瀬友祐 インタビュー

日本のミュージカル界で、長年愛され続けているミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』。その栄えある50周年記念公演が、12月5日からついに日生劇場で幕を開ける。
今回の出演者の中から、実咲凜音に続いて、入野自由と広瀬友祐の「えんぶ12月号」のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介する。

入野自由インタビュー

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長女ツァイテルと結婚する仕立て屋のモーテル役を演じる入野自由。
気の弱い、心優しい青年が、結婚は家長が決めるものというユダヤの厳格な戒律としきたりを乗り越え、愛し合うツァイテルへの思いを成し遂げる。作品の大きな山場を握る人物だ。
そんな役柄に、前回パーチック役で出演していた入野は、どんな思いとアプローチで挑んでいくのだろうか。

様々な経験を経た今だからできるモーテル役

──入野さんは2013年の公演にパーチック役で出演していますが、今回、モーテル役でのオファーを受けた時の気持ちをまず教えてください。
これまで演じてこられた方たちとの年齢の違いもあり、最初にお話しを伺った時には驚きがありました。でも前回出演させて頂いたことによって『屋根の上のヴァイオリン弾き』という作品の素晴らしさは肌で感じましたし、今、振り返ると、前回は若さに任せて、ただがむしゃらに突っ走って演じていたなと。そこから月日も経ち、様々な経験もさせて頂いてきた中で、今だからこそできることもたくさんあると思うので、今回また新たに、モーテル役でこの大好きな作品に取り組めることを嬉しく思っています。
 
──モーテル役はビッグナンバー「奇跡の中の奇跡」を歌い踊る、とても印象的な役ですが、役柄の魅力をどう感じていますか?
モーテルは気弱で、思ったこともなかなか口にできない人物として登場するのですが、そういう男性が、「ツァイテルと結婚させて欲しい!」と口にできた喜びを爆発させて、「奇跡の中の奇跡」を歌い、更に、父親になり、家族を持つことによってどんどん変わっていく。彼はこの物語の全編を通して成長していくんです。そこが見どころの1つでもありますし、父親としてたくましくなりながらも、根底に持っている優しさや信仰心は変わらない。彼のそういう面が、作品そのもののテーマにも通じているので、とても魅力的な役だなと思います。そんな彼の成長を大切に演じたいですし、それは自分だけでできることではなくて、ツァイテルの実咲凜音さんや、テヴィエの市村正親さんとのやりとりの中で出来上がっていくものだと思うので、稽古をとても楽しみにしています。

「座っているだけで夫婦」の市村さんと鳳さんを目指して

──相手役になる実咲さんは元宝塚のトップ娘役で、これが女優としての初舞台になりますが、共演する楽しみなどは?
パッとお会いした時にあまりにもキラキラしていらして「僕が相手役ですみません」と思ったんですが(笑)。
 
──そんなことは全くないです!とても素敵なお二人です。
でも実咲さんは今まで男役の方とお芝居をされていて、宝塚の男役さんはすごく凛々しくて、「ついて来い!」という感じだったと思うのですが、僕はそういうタイプではないので、彼女にとって新鮮かもしれません(笑)。二人で1つ1つ相談しながら丁寧に作っていきたいですし、特にモーテルとツァイテルは、舞台に出て来た時にはお互いに生涯の伴侶はこの人だと想い合っている関係ですから、そこに至るまでの、二人が心を寄せ合っていった過程をきちんと共有していきたいです。前回、市村さんと鳳蘭さんが、ただ二人で座られているだけで長年連れ添った夫婦に見える、その何気ない空気感に感動したので、僕たちもそうなれるよう頑張っていきたいです。この作品はユダヤの人々の暮らしや信仰が描かれていて、一見日本人には馴染みが薄い世界のはずなのに、50年も愛されてきたのは、根底に普遍的な家族愛、人種や国境を越えてわかり合える大切なものが流れているからだと思います。僕にとっても、深い思い入れのある作品の50周年記念公演に出演できる喜びを胸に、より深く深く表現していきたいと思います。全国で公演がありますので、是非各地でお会いしましょう!

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いりのみゆ○東京都出身。『コルチャック先生』で子役として初舞台を踏み、95年『逮捕しちゃうぞ』での声優デビューなど、多彩なジャンルで活躍。2009年にはCDデビューを果たすなど、更に活躍の場を広げている。近年の主な舞台作品は『屋根の上のヴァイオリン弾き』『タイタニック』『HEADS UP!』『ETERNAL CHIKAMATSU』『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』など。


広瀬友祐インタビュー
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次女ホーデルと愛し合う革命家の学生パーチックを演じる広瀬友祐。進歩的な思想でテヴィエ一家を驚かせるなか、唯一の理解者となったホーデルが、ついに政治犯としてシベリアに送られた彼を追って、愛する家族と故郷を離れる。作品の中で最も大きなドラマを内包する役どころだ。そんなパーチック役に挑む広瀬に、伝統の作品に新しい風を吹き込む意欲を聞いた。

素晴らしい出会いに心の中でガッツポーズ

──日本初演から50年の記念公演にオファーを受けた時の気持ちから教えてください。
率直に嬉しかったです。僕は生きるということは巡り合うことだと思っていて、出会いと別れを繰り返して人生がある中で、このタイミングで『屋根の上のヴァイオリン弾き』のパーチック役に出会えたことに、喜びしかなかったです。俳優として、市村正親さんとはいつかご一緒したいという夢もありましたから、心の中でガッツポーズをしました。
 
──市村さんや鳳蘭さんは、日本のミュージカル界の「顔」と言える方たちですね。
役者としても、人間としても偉大な先輩方です。僕はこれまで経て来た道程で、近くに素晴らしい先輩がいてくださることが、どれだけ人生を左右するかを強く感じていて、だからこそ、この機会に先輩方から吸収して学んで、作品に取り組んでいけたらと思っています。

受け継いで生まれ変わらせるパッションは常に持って

──演じるパーチック役についてはどんな印象を?
教養もあり野心もあり、まっすぐに革命に夢をかけている、とても純粋な青年だと感じているので、何よりもまずピュアに演じたいです。
 
──『エリザベート』でも革命家の役を演じましたが、理想に向かって何かを変えようとする熱い思いに共感するものはありますか?
僕は32歳になるのですが、もっと若い世代の人たちもどんどん出てきている中で、決して変えてはいけないものもありますし、時代に合わせて変えていかなければいけないものもあると感じています。先輩方が作り上げてきてくださったものを受け継ぎながら、良い意味で生まれ変わらせるのは、次世代の仕事だと思いますし、そういうパッションは常に持っています。今回も50年愛されてきた作品に携われるので、これから先もこの作品が愛され続ける為に、今回の座組ならではの新しい『屋根の上のヴァイオリン弾き』が作れたらと思っています。
 
──相手役になる次女ホーデルの神田沙也加さんとは『1789─バスティーユの恋人たち─』で共演していますが、今回がっちりお芝居をすることについての期待は?
『1789─バスティーユの恋人たち─』では舞台上で一緒のシーンがあまりなかったのですが、やはり気心が知れた間柄なので、役を作っていく上でやり易いですし、今回、再会した時、僕が「さーやで良かった!」と言ったら「ヒロで良かった!」と言ってくれました。そういう恵まれた環境の中で、僕の違う面も見て欲しいですし、さーや演じるホーデルと僕のパーチックがなぜ惹かれ合うのかにも、説得力を持たせられるようにしていきたいです。
 
──改めて、これだけの長い間、作品が愛され続けてきた理由はなんだと思いますか?
やはり本当に愛に溢れた、温かい作品だということではないかと思います。愛は誰でもが求めているものだし、それは普遍的なものだと思うので。僕がそんな作品の50周年記念公演に出演できることが、偶然ではなく必然だとするならば、これまで自分に関わってきてくださった方々、進んできた道程への感謝も大きくなりますし、僕自身のこれからの人生にとっても貴重な時間になると感じています。今、長く続いてきた伝統が利便性を求めるあまりに壊されることが増えていて、人生に疲れている方もたくさんいらっしゃると思います。そんな時代だからこそ、普遍の家族愛を感じられるこの作品に触れて頂きたいですし、僕も市村さん鳳さんにしがみついて頑張りますから、是非劇場にいらしてください!

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ひろせゆうすけ○東京都出身。日本人離れしたマスクと恵まれたプロポーションで、2.5次元作品を皮切りに、数々の舞台で注目を集める。近年は大作ミュージカルへも次々に出演。更に活躍の場を広げている。近年の主な舞台に『エリザベート』『1789─バスティーユの恋人たち─』『ロミオ&ジュリエット』『グレート・ギャツビー』『パジャマゲーム』等があり、18年『1789─バスティーユの恋人たち─』で再びフェルゼン役での出演が控えている。


〈公演情報〉 
やね
ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』
台本◇ジョセフ・スタイン 
音楽◇ジェリー・ボック 
作詞◇シェルドン・ハーニック
オリジナルプロダクション演出・振付◇ジェローム・ロビンス
日本版演出◇寺秀臣
出演◇市村正親 鳳蘭 実咲凜音 神田沙也加 唯月ふうか 
入野自由 広瀬友祐 神田恭兵 今井清隆 ほか
●12/5〜29◎日生劇場
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半〜17時半)




【構成・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】



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日本初演50周年記念の『屋根の上のヴァイオリン弾き』に出演! 実咲凜音インタビュー

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1967年の日本初演以来、家族の絆と変わらぬ愛を描き続け、愛され続けてきたミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』。その栄えある50周年記念公演が、2017年の掉尾を飾る12月5日から29日まで、日生劇場で上演される。
2004年から、”21世紀の『屋根の上のヴァイオリン弾き』”を牽引してきた市村正親テヴィエと、その市村をして「最強の女房」と言わしめる妻・ゴールデの鳳蘭。そして豪華でフレッシュな新キャスト陣も加わり、不朽のミュージカル・ナンバーに乗せて、親から子へ、子から孫へと受け継がれる愛と旅立ちの物語を、次の50年に向けて力強く描き出す!
 
テヴィエ一家の長女ツァイテルに扮するのは、実咲凜音。宝塚では宙組のトップ娘役として、『ベルサイユのばら』のマリー・アントワネット、『エリザベート』のエリザベート、『双頭の鷲』の王妃など、記憶に深く残る大役の数々を演じてきた実力派スター。彼女にとって、この作品が宝塚退団後の初ミュージカルの舞台となる。
そんな実咲に、新たな世界への挑戦となる作品と役柄、初共演の豪華な面々への想い、更に、宝塚退団後の時間の流れ方などについて語ってもらった「えんぶ12月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介。

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移り変わる時代の中で、続いていくすごさを実感

──ミュージカル界に燦然と輝く傑作であり、しかも日本初演50周年記念となる『屋根の上のヴァイオリン弾き』が、宝塚退団後の本格的なミュージカルデビューとなります。出演しようと決断した決め手はなんでしたか?
宝塚在団中には、舞台を全力で務めるということだけに邁進していたので、退団後何をしたいのか? が自分でもよくわからなかったんです。引き続いて舞台をやりたいのかどうかも見えていないような状態でした。でも、そんな中でこのお話を頂いて、長く愛され続けてきた作品の、初演から50年という大切な記念の公演であること。また、市村正親さん、鳳蘭さんはじめ、錚々たる共演者の方々のお名前を拝見して、こんな素晴らしい機会に、本当に私で良いのならばやらせて頂きたい! という気持ちで、お引き受けさせて頂きました。製作発表の席上でも、50年も愛され続けている作品の空気を肌で感じることができましたし、宝塚を退団してすぐ、このような伝統ある作品に携わらせて頂けることをとても嬉しく思っています。
 
──実咲さんは宝塚創立100周年もトップ娘役で体感して、伝統の重みを様々に感じる機会も多かったと思いますが、50年続くこの作品の魅力についてはどう感じていますか?
宝塚100周年の時にも感じたことですが、時代がどんどん変わっていく中で、変わらずに続くというのは本当にすごいことで、同じ作品の上演が50年続くのは、奇跡だと感じます。それほど音楽、踊り、すべてが素晴らしいですし、ユダヤ人の方々のしきたり等が描かれていつつ、テヴィエさんのちょっとした言葉などには誰でもが笑える、普遍的なものがあるから、日本でもこれだけ長く愛され、上演が続いているのだと思います。
 
──実咲さんが演じるツァイテルの両親役の市村さんと鳳さんは、演劇界、ミュージカル界を代表する存在ですが、お二人との共演で楽しみにしていることは?
衣装をつけている訳でも演じている訳でもないのに、そこにお二人がいらっしゃるだけで、なんとも言えない温かい空気を醸し出してくださるんです。だからこそ私たちも萎縮せずに演じることができます。市村さんも鳳さんもあまりにも偉大で、私にとっては客席から拝見する方たちで、実際にお会いできることがあるとは思ってもいなかった雲の上の存在でしたので、そんな方たちと一緒に作品が作れること、濃密な時間を共有できることが本当に幸せです。
 
──鳳さんは宝塚の先輩で、100周年の記念イベントなどでもご一緒でしたね。
大大大先輩で、それこそ100周年にいらしてくださった時などは、現役生皆で花道のかぶりつきに詰めかけて拝見していました。そんな大先輩とご一緒させて頂けること、しかも今から、とても温かい言葉もかけて頂いているので、大きな懐に飛び込んでいって、精一杯頑張りたいと思います。

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愛を貫く強さを大切に共感の持てる長女ツァイテルを

──三姉妹になる神田沙也加さん、唯月ふうかさんとは製作発表会見で、早くも息の合った「マッチ・メイカー」を披露されましたね。
あの曲のお稽古をするために集まったのが、初めての顔合わせだったのですが、とても楽しく演じることができたのが印象的でした。神田さんは歌も素晴らしく、舞台人として尊敬する方ですし、唯月さんも歌はもちろんお会いした瞬間から、このままチャヴァだわ! と思えるほど可愛らしい方で、そんなお二人と、姉妹として血のつながった役をさせて頂けるのが楽しみです。お二人からたくさん刺激を受けながら長女のツァイテルを演じられたらと思っています。
 
──そのツァイテル役についてはどんな思いが?
姉妹のキャラクターの違いがしっかり描かれていて、長女として面倒見がよく優しい中に、愛する人と一緒になりたいという強い意志も秘めている女性です。現代の私たちから見ても共感できる役柄でもあるので、自分の愛を貫くというところを大切に、しっかりしていない私が(笑)、しっかり者の長女に見えるよう頑張っていきたいです。
 
──初めて男優の方と恋人役になるわけですが、モーテルの入野自由さんについてはいかがですか?
歌稽古の時に「あ、男の方の声が聞こえる」と思いました (笑)。すべてが新鮮ですし、入野さんはとても爽やかな方で、気さくに接してくださるのが嬉しいです。私にとっては全く新しい環境ですから、不安ももちろんあるのですが、逆にそれは今しか感じられないものなので、それも楽しみに変えて、入野さんと1つずつ丁寧にご相談しながら役に入っていけたらいいなと思います。

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記念すべき公演での新しい経験を楽しみながら

──初めての環境と言えば、トップ娘役の激務を全うしての退団後は、時間にもゆとりが生まれたのでは?
生まれました! こんなに自分の時間があるんだとびっくりするほどで、それだけ在団中は忙しかったんだなと、今、振り返って感じています。公演中に次の公演の準備を並行して進めているという状態が、ずっと続いていたので、休む時間があるのなら資料を見ておきたいという日々でした。でもそれだけ多くの舞台に立たせて頂けたというのはありがたいことでしたし、本当に充実した濃い時間を過ごせた、私の人生に必要不可欠な大切な場所でした。宝塚は夢の世界と言われますが、私にとっても宝塚にいた時間はまるで夢のようでした。その経験を経て今、「今日は何をしようかな?」と考えられる1日がとても新鮮です。宝塚時代もどんな色にも染まれる、七変化できる娘役を理想としていましたが、その想いは女優になっても変わらないので、映像など新しいジャンルにも積極的に挑戦させて頂きながら、1つ1つのお仕事に全力で臨みたいと思っています。その為にも退団後の初ミュージカルとなるこの舞台を、皆さんと作りあげる時間を大切に頑張りたいと思います。全国ツアーの大千秋楽は市村さんの故郷の川越ですし、本当に記念すべき公演ですので、長年のファンの方はもちろん、初めてご覧になる方も、是非楽しみに、いらしていただければと思っています。

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みさきりおん○09年宝塚歌劇団入団。歌唱力に優れた娘役として注目を集め、12年『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』のヒルダ役で宙組トップ娘役に。『ベルサイユのばら』のマリー・アントワネット『王家に捧ぐ歌』のアイーダ『エリザベート』のエリザベートなど、数々の大役を歴任。17年『王妃の館/VIVA!FESTA!』で退団。以後、女優として活動を開始、この作品が退団後初の舞台となる。

〈公演情報〉 
やね
ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』
台本◇ジョセフ・スタイン 
音楽◇ジェリー・ボック 
作詞◇シェルドン・ハーニック
オリジナルプロダクション演出・振付◇ジェローム・ロビンス
日本版演出◇寺秀臣
出演◇市村正親 鳳蘭 実咲凜音 神田沙也加 唯月ふうか 
入野自由 広瀬友祐 神田恭兵 今井清隆 ほか
●12/5〜29◎日生劇場
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半〜17時半)




【構成・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】



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