えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

帝劇ミュージカル『1789』

インタビュー

いよいよ開幕!『屋根の上のヴァイオリン弾き』入野自由&広瀬友祐 インタビュー

日本のミュージカル界で、長年愛され続けているミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』。その栄えある50周年記念公演が、12月5日からついに日生劇場で幕を開ける。
今回の出演者の中から、実咲凜音に続いて、入野自由と広瀬友祐の「えんぶ12月号」のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介する。

入野自由インタビュー

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長女ツァイテルと結婚する仕立て屋のモーテル役を演じる入野自由。
気の弱い、心優しい青年が、結婚は家長が決めるものというユダヤの厳格な戒律としきたりを乗り越え、愛し合うツァイテルへの思いを成し遂げる。作品の大きな山場を握る人物だ。
そんな役柄に、前回パーチック役で出演していた入野は、どんな思いとアプローチで挑んでいくのだろうか。

様々な経験を経た今だからできるモーテル役

──入野さんは2013年の公演にパーチック役で出演していますが、今回、モーテル役でのオファーを受けた時の気持ちをまず教えてください。
これまで演じてこられた方たちとの年齢の違いもあり、最初にお話しを伺った時には驚きがありました。でも前回出演させて頂いたことによって『屋根の上のヴァイオリン弾き』という作品の素晴らしさは肌で感じましたし、今、振り返ると、前回は若さに任せて、ただがむしゃらに突っ走って演じていたなと。そこから月日も経ち、様々な経験もさせて頂いてきた中で、今だからこそできることもたくさんあると思うので、今回また新たに、モーテル役でこの大好きな作品に取り組めることを嬉しく思っています。
 
──モーテル役はビッグナンバー「奇跡の中の奇跡」を歌い踊る、とても印象的な役ですが、役柄の魅力をどう感じていますか?
モーテルは気弱で、思ったこともなかなか口にできない人物として登場するのですが、そういう男性が、「ツァイテルと結婚させて欲しい!」と口にできた喜びを爆発させて、「奇跡の中の奇跡」を歌い、更に、父親になり、家族を持つことによってどんどん変わっていく。彼はこの物語の全編を通して成長していくんです。そこが見どころの1つでもありますし、父親としてたくましくなりながらも、根底に持っている優しさや信仰心は変わらない。彼のそういう面が、作品そのもののテーマにも通じているので、とても魅力的な役だなと思います。そんな彼の成長を大切に演じたいですし、それは自分だけでできることではなくて、ツァイテルの実咲凜音さんや、テヴィエの市村正親さんとのやりとりの中で出来上がっていくものだと思うので、稽古をとても楽しみにしています。

「座っているだけで夫婦」の市村さんと鳳さんを目指して

──相手役になる実咲さんは元宝塚のトップ娘役で、これが女優としての初舞台になりますが、共演する楽しみなどは?
パッとお会いした時にあまりにもキラキラしていらして「僕が相手役ですみません」と思ったんですが(笑)。
 
──そんなことは全くないです!とても素敵なお二人です。
でも実咲さんは今まで男役の方とお芝居をされていて、宝塚の男役さんはすごく凛々しくて、「ついて来い!」という感じだったと思うのですが、僕はそういうタイプではないので、彼女にとって新鮮かもしれません(笑)。二人で1つ1つ相談しながら丁寧に作っていきたいですし、特にモーテルとツァイテルは、舞台に出て来た時にはお互いに生涯の伴侶はこの人だと想い合っている関係ですから、そこに至るまでの、二人が心を寄せ合っていった過程をきちんと共有していきたいです。前回、市村さんと鳳蘭さんが、ただ二人で座られているだけで長年連れ添った夫婦に見える、その何気ない空気感に感動したので、僕たちもそうなれるよう頑張っていきたいです。この作品はユダヤの人々の暮らしや信仰が描かれていて、一見日本人には馴染みが薄い世界のはずなのに、50年も愛されてきたのは、根底に普遍的な家族愛、人種や国境を越えてわかり合える大切なものが流れているからだと思います。僕にとっても、深い思い入れのある作品の50周年記念公演に出演できる喜びを胸に、より深く深く表現していきたいと思います。全国で公演がありますので、是非各地でお会いしましょう!

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いりのみゆ○東京都出身。『コルチャック先生』で子役として初舞台を踏み、95年『逮捕しちゃうぞ』での声優デビューなど、多彩なジャンルで活躍。2009年にはCDデビューを果たすなど、更に活躍の場を広げている。近年の主な舞台作品は『屋根の上のヴァイオリン弾き』『タイタニック』『HEADS UP!』『ETERNAL CHIKAMATSU』『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』など。


広瀬友祐インタビュー
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次女ホーデルと愛し合う革命家の学生パーチックを演じる広瀬友祐。進歩的な思想でテヴィエ一家を驚かせるなか、唯一の理解者となったホーデルが、ついに政治犯としてシベリアに送られた彼を追って、愛する家族と故郷を離れる。作品の中で最も大きなドラマを内包する役どころだ。そんなパーチック役に挑む広瀬に、伝統の作品に新しい風を吹き込む意欲を聞いた。

素晴らしい出会いに心の中でガッツポーズ

──日本初演から50年の記念公演にオファーを受けた時の気持ちから教えてください。
率直に嬉しかったです。僕は生きるということは巡り合うことだと思っていて、出会いと別れを繰り返して人生がある中で、このタイミングで『屋根の上のヴァイオリン弾き』のパーチック役に出会えたことに、喜びしかなかったです。俳優として、市村正親さんとはいつかご一緒したいという夢もありましたから、心の中でガッツポーズをしました。
 
──市村さんや鳳蘭さんは、日本のミュージカル界の「顔」と言える方たちですね。
役者としても、人間としても偉大な先輩方です。僕はこれまで経て来た道程で、近くに素晴らしい先輩がいてくださることが、どれだけ人生を左右するかを強く感じていて、だからこそ、この機会に先輩方から吸収して学んで、作品に取り組んでいけたらと思っています。

受け継いで生まれ変わらせるパッションは常に持って

──演じるパーチック役についてはどんな印象を?
教養もあり野心もあり、まっすぐに革命に夢をかけている、とても純粋な青年だと感じているので、何よりもまずピュアに演じたいです。
 
──『エリザベート』でも革命家の役を演じましたが、理想に向かって何かを変えようとする熱い思いに共感するものはありますか?
僕は32歳になるのですが、もっと若い世代の人たちもどんどん出てきている中で、決して変えてはいけないものもありますし、時代に合わせて変えていかなければいけないものもあると感じています。先輩方が作り上げてきてくださったものを受け継ぎながら、良い意味で生まれ変わらせるのは、次世代の仕事だと思いますし、そういうパッションは常に持っています。今回も50年愛されてきた作品に携われるので、これから先もこの作品が愛され続ける為に、今回の座組ならではの新しい『屋根の上のヴァイオリン弾き』が作れたらと思っています。
 
──相手役になる次女ホーデルの神田沙也加さんとは『1789─バスティーユの恋人たち─』で共演していますが、今回がっちりお芝居をすることについての期待は?
『1789─バスティーユの恋人たち─』では舞台上で一緒のシーンがあまりなかったのですが、やはり気心が知れた間柄なので、役を作っていく上でやり易いですし、今回、再会した時、僕が「さーやで良かった!」と言ったら「ヒロで良かった!」と言ってくれました。そういう恵まれた環境の中で、僕の違う面も見て欲しいですし、さーや演じるホーデルと僕のパーチックがなぜ惹かれ合うのかにも、説得力を持たせられるようにしていきたいです。
 
──改めて、これだけの長い間、作品が愛され続けてきた理由はなんだと思いますか?
やはり本当に愛に溢れた、温かい作品だということではないかと思います。愛は誰でもが求めているものだし、それは普遍的なものだと思うので。僕がそんな作品の50周年記念公演に出演できることが、偶然ではなく必然だとするならば、これまで自分に関わってきてくださった方々、進んできた道程への感謝も大きくなりますし、僕自身のこれからの人生にとっても貴重な時間になると感じています。今、長く続いてきた伝統が利便性を求めるあまりに壊されることが増えていて、人生に疲れている方もたくさんいらっしゃると思います。そんな時代だからこそ、普遍の家族愛を感じられるこの作品に触れて頂きたいですし、僕も市村さん鳳さんにしがみついて頑張りますから、是非劇場にいらしてください!

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ひろせゆうすけ○東京都出身。日本人離れしたマスクと恵まれたプロポーションで、2.5次元作品を皮切りに、数々の舞台で注目を集める。近年は大作ミュージカルへも次々に出演。更に活躍の場を広げている。近年の主な舞台に『エリザベート』『1789─バスティーユの恋人たち─』『ロミオ&ジュリエット』『グレート・ギャツビー』『パジャマゲーム』等があり、18年『1789─バスティーユの恋人たち─』で再びフェルゼン役での出演が控えている。


〈公演情報〉 
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ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』
台本◇ジョセフ・スタイン 
音楽◇ジェリー・ボック 
作詞◇シェルドン・ハーニック
オリジナルプロダクション演出・振付◇ジェローム・ロビンス
日本版演出◇寺秀臣
出演◇市村正親 鳳蘭 実咲凜音 神田沙也加 唯月ふうか 
入野自由 広瀬友祐 神田恭兵 今井清隆 ほか
●12/5〜29◎日生劇場
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半〜17時半)




【構成・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】



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日本初演50周年記念の『屋根の上のヴァイオリン弾き』に出演! 実咲凜音インタビュー

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1967年の日本初演以来、家族の絆と変わらぬ愛を描き続け、愛され続けてきたミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』。その栄えある50周年記念公演が、2017年の掉尾を飾る12月5日から29日まで、日生劇場で上演される。
2004年から、”21世紀の『屋根の上のヴァイオリン弾き』”を牽引してきた市村正親テヴィエと、その市村をして「最強の女房」と言わしめる妻・ゴールデの鳳蘭。そして豪華でフレッシュな新キャスト陣も加わり、不朽のミュージカル・ナンバーに乗せて、親から子へ、子から孫へと受け継がれる愛と旅立ちの物語を、次の50年に向けて力強く描き出す!
 
テヴィエ一家の長女ツァイテルに扮するのは、実咲凜音。宝塚では宙組のトップ娘役として、『ベルサイユのばら』のマリー・アントワネット、『エリザベート』のエリザベート、『双頭の鷲』の王妃など、記憶に深く残る大役の数々を演じてきた実力派スター。彼女にとって、この作品が宝塚退団後の初ミュージカルの舞台となる。
そんな実咲に、新たな世界への挑戦となる作品と役柄、初共演の豪華な面々への想い、更に、宝塚退団後の時間の流れ方などについて語ってもらった「えんぶ12月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介。

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移り変わる時代の中で、続いていくすごさを実感

──ミュージカル界に燦然と輝く傑作であり、しかも日本初演50周年記念となる『屋根の上のヴァイオリン弾き』が、宝塚退団後の本格的なミュージカルデビューとなります。出演しようと決断した決め手はなんでしたか?
宝塚在団中には、舞台を全力で務めるということだけに邁進していたので、退団後何をしたいのか? が自分でもよくわからなかったんです。引き続いて舞台をやりたいのかどうかも見えていないような状態でした。でも、そんな中でこのお話を頂いて、長く愛され続けてきた作品の、初演から50年という大切な記念の公演であること。また、市村正親さん、鳳蘭さんはじめ、錚々たる共演者の方々のお名前を拝見して、こんな素晴らしい機会に、本当に私で良いのならばやらせて頂きたい! という気持ちで、お引き受けさせて頂きました。製作発表の席上でも、50年も愛され続けている作品の空気を肌で感じることができましたし、宝塚を退団してすぐ、このような伝統ある作品に携わらせて頂けることをとても嬉しく思っています。
 
──実咲さんは宝塚創立100周年もトップ娘役で体感して、伝統の重みを様々に感じる機会も多かったと思いますが、50年続くこの作品の魅力についてはどう感じていますか?
宝塚100周年の時にも感じたことですが、時代がどんどん変わっていく中で、変わらずに続くというのは本当にすごいことで、同じ作品の上演が50年続くのは、奇跡だと感じます。それほど音楽、踊り、すべてが素晴らしいですし、ユダヤ人の方々のしきたり等が描かれていつつ、テヴィエさんのちょっとした言葉などには誰でもが笑える、普遍的なものがあるから、日本でもこれだけ長く愛され、上演が続いているのだと思います。
 
──実咲さんが演じるツァイテルの両親役の市村さんと鳳さんは、演劇界、ミュージカル界を代表する存在ですが、お二人との共演で楽しみにしていることは?
衣装をつけている訳でも演じている訳でもないのに、そこにお二人がいらっしゃるだけで、なんとも言えない温かい空気を醸し出してくださるんです。だからこそ私たちも萎縮せずに演じることができます。市村さんも鳳さんもあまりにも偉大で、私にとっては客席から拝見する方たちで、実際にお会いできることがあるとは思ってもいなかった雲の上の存在でしたので、そんな方たちと一緒に作品が作れること、濃密な時間を共有できることが本当に幸せです。
 
──鳳さんは宝塚の先輩で、100周年の記念イベントなどでもご一緒でしたね。
大大大先輩で、それこそ100周年にいらしてくださった時などは、現役生皆で花道のかぶりつきに詰めかけて拝見していました。そんな大先輩とご一緒させて頂けること、しかも今から、とても温かい言葉もかけて頂いているので、大きな懐に飛び込んでいって、精一杯頑張りたいと思います。

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愛を貫く強さを大切に共感の持てる長女ツァイテルを

──三姉妹になる神田沙也加さん、唯月ふうかさんとは製作発表会見で、早くも息の合った「マッチ・メイカー」を披露されましたね。
あの曲のお稽古をするために集まったのが、初めての顔合わせだったのですが、とても楽しく演じることができたのが印象的でした。神田さんは歌も素晴らしく、舞台人として尊敬する方ですし、唯月さんも歌はもちろんお会いした瞬間から、このままチャヴァだわ! と思えるほど可愛らしい方で、そんなお二人と、姉妹として血のつながった役をさせて頂けるのが楽しみです。お二人からたくさん刺激を受けながら長女のツァイテルを演じられたらと思っています。
 
──そのツァイテル役についてはどんな思いが?
姉妹のキャラクターの違いがしっかり描かれていて、長女として面倒見がよく優しい中に、愛する人と一緒になりたいという強い意志も秘めている女性です。現代の私たちから見ても共感できる役柄でもあるので、自分の愛を貫くというところを大切に、しっかりしていない私が(笑)、しっかり者の長女に見えるよう頑張っていきたいです。
 
──初めて男優の方と恋人役になるわけですが、モーテルの入野自由さんについてはいかがですか?
歌稽古の時に「あ、男の方の声が聞こえる」と思いました (笑)。すべてが新鮮ですし、入野さんはとても爽やかな方で、気さくに接してくださるのが嬉しいです。私にとっては全く新しい環境ですから、不安ももちろんあるのですが、逆にそれは今しか感じられないものなので、それも楽しみに変えて、入野さんと1つずつ丁寧にご相談しながら役に入っていけたらいいなと思います。

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記念すべき公演での新しい経験を楽しみながら

──初めての環境と言えば、トップ娘役の激務を全うしての退団後は、時間にもゆとりが生まれたのでは?
生まれました! こんなに自分の時間があるんだとびっくりするほどで、それだけ在団中は忙しかったんだなと、今、振り返って感じています。公演中に次の公演の準備を並行して進めているという状態が、ずっと続いていたので、休む時間があるのなら資料を見ておきたいという日々でした。でもそれだけ多くの舞台に立たせて頂けたというのはありがたいことでしたし、本当に充実した濃い時間を過ごせた、私の人生に必要不可欠な大切な場所でした。宝塚は夢の世界と言われますが、私にとっても宝塚にいた時間はまるで夢のようでした。その経験を経て今、「今日は何をしようかな?」と考えられる1日がとても新鮮です。宝塚時代もどんな色にも染まれる、七変化できる娘役を理想としていましたが、その想いは女優になっても変わらないので、映像など新しいジャンルにも積極的に挑戦させて頂きながら、1つ1つのお仕事に全力で臨みたいと思っています。その為にも退団後の初ミュージカルとなるこの舞台を、皆さんと作りあげる時間を大切に頑張りたいと思います。全国ツアーの大千秋楽は市村さんの故郷の川越ですし、本当に記念すべき公演ですので、長年のファンの方はもちろん、初めてご覧になる方も、是非楽しみに、いらしていただければと思っています。

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みさきりおん○09年宝塚歌劇団入団。歌唱力に優れた娘役として注目を集め、12年『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』のヒルダ役で宙組トップ娘役に。『ベルサイユのばら』のマリー・アントワネット『王家に捧ぐ歌』のアイーダ『エリザベート』のエリザベートなど、数々の大役を歴任。17年『王妃の館/VIVA!FESTA!』で退団。以後、女優として活動を開始、この作品が退団後初の舞台となる。

〈公演情報〉 
やね
ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』
台本◇ジョセフ・スタイン 
音楽◇ジェリー・ボック 
作詞◇シェルドン・ハーニック
オリジナルプロダクション演出・振付◇ジェローム・ロビンス
日本版演出◇寺秀臣
出演◇市村正親 鳳蘭 実咲凜音 神田沙也加 唯月ふうか 
入野自由 広瀬友祐 神田恭兵 今井清隆 ほか
●12/5〜29◎日生劇場
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半〜17時半)




【構成・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】



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三島由紀夫×デヴィッド・ルヴォーで期待の高まる舞台『黒蜥蜴』に出演! 朝海ひかるインタビュー

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江戸川乱歩の傑作小説を、三島由紀夫が戯曲化した究極のエンターテインメント作品として、愛され続けている『黒蜥蜴』。
これまでにも様々な演出家により、多彩な上演が繰り広げられてきたこの戯曲を、英国演出家で世界的な評価を得ているデヴィッド・ルヴォーが、長年夢に描いてきた演出プランで上演するという刺激的な興奮に満ちた舞台が、2018年1月9日〜28日、日比谷の日生劇場で幕を開ける(のち、大阪・梅田芸術劇場メインホールで、2月1日〜5日まで上演)。
 
日本に魅了され続けてきたルヴォーが、敬愛する三島由紀夫の戯曲をどう舞台に描き出すのか、中谷美紀、井上芳雄をはじめとした豪華出演者の顔ぶれもふくめ、今、高い注目が集まっている。
そんな舞台に、家政婦ひな役で出演するのが、元宝塚歌劇団雪組トップスターで、女優としての活躍も著しい朝海ひかる。今年、女優10周年を記念したダンスライブショーを大成功させた彼女が、新境地ともいえる役柄にどう挑むのか。新たに生み出される『黒蜥蜴』の世界への意気込みと共に、想いを聞いた。

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三島戯曲とルヴォー演出、二つの夢が叶う舞台

──『黒蜥蜴』という歴史ある作品に出演が決まった時の気持ちから教えてください。
三島由紀夫さんの戯曲を演じたことがこれまではなく、いつかその世界に入りたいと思っていましたから、念願叶って作品に携われる喜びがまずはじめにありました。そして、デヴィッド・ルヴォーさんの演出を受けたいとずっと夢みてきましたので、まさに夢が一度にダブルで叶ったという思いでした。私にとっては、今まで演じてきた作品とは、毛色の違う役なのですが、「是非に」とおっしゃって頂けましたので、二つ返事で「やらせて頂きたいです」と申し上げました。

──今、お話に出ましたが、家政婦のひな役ということで、今までの朝海さんのイメージからすると「おっ?」と驚きのある役柄ですね。
そうなんです。『黒蜥蜴』に出演させて頂くことを話しましたら、かなり多くの方から「なんの役で?」と言われました(笑)。

──しかも、多くの方がご存知の作品とは言いながらも、ひな役についてはどこまで話していただいていいのか?という部分もあるのですが。
そうですね。ちょっと伏せておきたいところが(笑)。

──そういう、とてもミステリアスな役ですが、役柄をどのように捉えていますか?
物語の中では、色々と秘密を持っている役なのですが、まず人物像として、ひなという女性が歩いてきた人生というものを想像して考えて、それを土台に創っていきたいなと思っています。そこがきちんとあれば、きっと『黒蜥蜴』という作品の中での、役柄の魅力や色が、おのずと出るのではないかなと思いますし、そこを自分なりに演じてみたいです。

──秘密のある人物というところでは、朝海さんのこれまでのイメージから少し離れていることが、逆に生きる部分もあるのでは?
本読みは、まだまだ自分でも探っている状態で読んだのですが、他のキャストの方たちから「今までに聞いたことのない声だった」と言っていただけたので、そこで私自身も、不安より楽しみが増えました。

──声のトーンなど、かなり考えたのですか?
逆に、あまり声を作らないでいこうと思いました。話し方や、ニュアンスでにじみ出るものがあった方がいいと。やはり三島さんの素晴らしい戯曲ですから、そのまま読めば、言葉遣いから役柄の在りようが浮かびあがるように描かれているので、役者が小手先で変えるよりも、戯曲に寄り添った方がいいのだなと感じました。

──では、ある意味戯曲から引き出された部分も?
そういうところは大いにあると思います。

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シンプルな中にこそ浮かび上がる人間の多面性

──そんな三島戯曲の魅力については?
やはりセクシーで、目を背けたくなるようなグロテスクな部分や、残酷な面もありつつ、とても情愛の深い美しさもある。そして登場人物全員が多面性を持って、この物語に登場しているのが、ある意味で人間そのものを象徴しているように思えます。例えば、目の前にいる人が満面の笑顔であっても、実は真反対のことを考えているかもしれない。そういう人間の多面性を、この戯曲の中で三島さんが書かれている。それを、深く読み込めば読み込むほど感じます。表に見えるものだけではなく、奥に潜んでいるものが、1枚ずつめくられていく感覚で見えてくることに、読んでいてゾクッとしました。これが名作と言われる戯曲の力なんだなと思いました。
 
──そんな作品を、演劇界の鬼才デヴィッド・ルヴォーが演出するというのも、大きな話題の1つですが、先ほども演出を受けることを念願していたというお話がありましたが、ルヴォー演出の魅力については?
とにかく洗練されていて、シンプルなところに人間のドラマ性だけがフィーチャーされている。ルヴォーさんご自身もおっしゃっていたのですが、だからこそ観客は、人間のドラマを目の当たりにすることができ、常に感動してみる事ができる。そうした人間のドラマが、ルヴォーさんの演出によって更に奥深くなって、そのドラマの裏にあるものまで想像させてもらえる。そんな演出がとても好きですし、毎回拝見するたびに、感動して劇場を後にしていました。
 
──実際に演出を受ける側になって、いかがですか?
本格的な稽古は12月からなのですが、既に3日間ワークショップをさせて頂きました。そこでは役者をとてもリラックスさせて演じさせてくださいました。人間的にも魅力的な方で、その場の空気をより柔らかい方に持っていってくださるので、稽古場の雰囲気もルヴォーさんのマジックにかかり、キャスト同士の絆もより深まりました。
 
──その共演者の方たちも豪華な顔ぶれですね。
中谷美紀さん、井上芳雄さんとは初めての共演で、ちょっとドキドキしていたのですが、ルヴォーさんの雰囲気に加え中谷さんがとても気さくな方で、キャスト全員にとてもフレンドリーに接してくださるんです。役を離れたところでも中谷さん個人の魅力があふれていて、改めて本当に素敵な女優さんだなと感じています。井上さんは、私は客席でずっと拝見していましたが、これまでなかなかご縁がなかったところに、今回ミュージカルではなくストレートプレイの作品でご一緒させて頂けるので、また新たな形でやりとりをさせて頂けています。「ミュージカル界のプリンス」というイメージがあったのですが、中谷さん同様とても気さくな方なので、緊張せずに稽古をさせて頂けたので、本格的なお稽古に入るのがとても楽しみです。

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登場した時に朝海ひかるだと気づかれないように

──朝海さんは、今年は女優デビュー10周年の記念公演も行い、1つの節目を超えて、この公演がまた新たな第一歩とも言えるかと思いますが。
女優として10周年を迎えて、たくさんの先輩方からすれば本当にまだまだなのですが、それでも自分としてここまでやらせて頂けたことは、支えてくださった皆様に感謝の気持ちしかありません。それだけに、今後はまた新たな私を皆様にお見せしたい。それこそ『黒蜥蜴』ではありませんが、裏に潜んでいる何か見えないものを抉り出してお客様に喜んで頂けたら、それが唯一無二の喜びだと、10周年のライブコンサートで改めて感じました。これからも、続けていけるだけ新しい何かを探っていきたいなと思います。
 
──そういう意味でも、今回は絶好の作品と絶好の役どころですね。
そうですね。できれば登場の瞬間は、私だとお客様に気づかれないようにできればいいなと思っています。理想としては「えっ?あそこから出ていたの?」と(笑)見て頂けたら最高だなと思っているので、そうなれるように頑張りたいと思います。
 
──またこの作品には、日本が誇る名探偵・明智小五郎が登場しますが、朝海さんは探偵小説や、ミステリーへの関心は?
大好きなんです。サスペンスドラマもよく見ますし、探偵ものや、刑事ものもとても好きです。その中でも明智小五郎は、すごく素敵な男性ですよね。日本におけるダンディーの象徴のようで。そういう部分も井上さんにピッタリです。
 
──宝塚では朝海さんの同期生の春野寿美礼さんも演じていますね。
そうなんです。やはり男役のダンディズムに通じるものがあると思いますし、三島由紀夫さん自身を投影しているところがあって、明智を見ていると、その奥に三島さんが見えるようでドキドキする部分もあります。稽古がはじまると、更に明智小五郎の素敵さにハマっていく予感がするので、それもとても楽しみです。
 
──では改めて、そんな刺激的な舞台にかける意気込みと、楽しみにされている皆さんにメッセージをお願いします。
この役は朝海ひかるが演じているんだ!ということに驚きを持って観て頂けたら、また楽しんで頂けたらこれ以上の喜びはないと思っています。そうなれるように、全身全霊をこめて頑張って参りたいと思います。またお客様にもルヴォーマジックにかかって頂きたいと思いますので、是非観にいらしてください。お待ちしております!

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あさみひかる○宮城県出身。91年、宝塚歌劇団へ入団。02年雪組男役トップスターに就任。抜群のダンス力を活かした数々のショー作品や、06年『ベルサイユのばら』でのオスカル役が好評を博す。同年、宝塚歌劇団を退団。その後も、ミュージカル、ストレートプレイ、映像などで活躍。17年には女優生活10周年を記念したライブショーを開催、活躍の場を広げている。主な舞台作品は、『蜘蛛女のキス』『エリザベート』『ローマの休日』『しみじみ日本・乃木大将』『おもひでぽろぽろ 』『アドルフに告ぐ』『國語元年』『幽霊』『私はだれでしょう』など、『派遣のオスカル』『螻蛄』などテレビドラマにも出演。

〈公演情報〉
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『黒蜥蜴』
原作◇江戸川乱歩
脚本◇三島由紀夫
演出◇デヴィッド・ルヴォー
出演◇中谷美紀、井上芳雄/相楽樹、朝海ひかる、たかお鷹/成河 他
●2018/1/9〜28◎日生劇場
〈料金〉 S席 12,500円 A席 9,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉 梅田芸術劇場  0570-077-039(10:00〜18:00)
●2018/2/1〜5◎梅田芸術劇場メインホール
〈料金〉 S席 12,500円 A席 9,000円 B席 5,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉 梅田芸術劇場メインホール 06-6377-3800(10:00〜18:00)
〈公式ホームページ〉http://www.umegei.com/kurotokage/




【取材・文/橘涼香 撮影/アラカワヤスコ ヘアメイク/arie miyazawa (gem hair&makeup)】






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この公演で100役に! ジェットラグプロデュース 『終わらない世界』初日開幕! 大和悠河インタビュー

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元宝塚宙組トップスター大和悠河が主演する舞台、ジェットラグプロデュース『終わらない世界』が、新宿・紀伊國屋ホールで11月29日、開幕した。(12月3日まで)
 
脚本を益山貴司(劇団子供鉅人)、演出は吹原幸太(ポップンマッシュルームチキン野郎)という、演劇界気鋭の若手クリエーターが担当、エネルギーに満ちたエンターテインメント作品を、現代演劇の殿堂とも言うべき紀伊國屋ホールの空間に繰り広げている。

大和悠河を囲むキャストたちも多彩で個性溢れるメンバーばかり。百名ヒロキは2017年、演劇界に彗星のごとく登場した才能溢れる若手俳優。野口オリジナルは劇団ポップンマッシュルームチキン野郎の中心役者。宝塚出身の帆風成海は、大劇場から小劇場まで活躍中で注目の女優。鈴木歩己は、ジェットラグ作品最多出演を誇るベテラン。森田匠は、TRASHMASTERSで確かな存在感を見せる個性派俳優。それ以外のキャストも、これまでジェットラグ作品に出演経験のあるキャストの中から選び抜かれた精鋭たち。そして振付は、繊細な感性と大胆な発想を併せ持つ椎田香王子が担当している。

【ものがたり】
小惑星の衝突による「世界の終わり」の情報が全世界を駆け巡り、混乱に陥る人類。日本ももちろん例外ではなく、人々はそれぞれの終末を迎えようとしていた。が、「世界の終わり」の数日後、発表されたのは「世界は救われた」の報。小惑星は見事、地球人の科学力によって粉砕され、人類は危機を脱することができたのだ。
物語はここから始まる。
それぞれの終末を迎えようとしていた登場人物たちは、「終わらない世界」の知らせに、「世界の終わり」以上の混乱、狼狽に陥る。終わるはずだった人生の最後に「やらかした」ことに、突如襲ってくる「終わらなかった世界」の日常が…。

この舞台で、主人公の大スター・七瀬ミワコを演じる大和悠河。ミワコ役では大女優としての華やかさとスケール感を、劇中劇のライアン役ではダンディなギャングとしてカッコよさを振りまいている大和悠河に、初日直前の劇場で、今回の作品への思いを聞いた。

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紀伊國屋ホールは文化の香りのする劇場

──今回の公演は悠河さんにとって新鮮な出会いが多い舞台だと思います。まず紀伊國屋ホールは初出演なのですね。
そうなんです。老舗の伝統ある劇場ということは知っていましたが、実際に入ってみて、改めて、昔からの文化の香りのする場所だなと思いました。楽屋も袖もこれまで沢山の演劇人のかたが使い込んできた歴史を感じますし、新宿という繁華街の真ん中なのに、ちょっと別次元のような、どこかレトロな良さが残っているような感じがします。
 
──今回、いわゆる小劇場の俳優さんをはじめ、さまざまな出身の俳優さんたちとの共演で、そこも新鮮なのでは?
本当に新鮮です。これまでも私はミュージカルから歌舞伎、新派の方々、映像の方たちなど色々なジャンルの方々とご一緒してきましたが、今回は、作も演出も俳優さんも小劇場の方々が多くて、やはり独特のパワーとかエネルギーがあるなと感じています。皆さん、ふだんと稽古場ではかなり違っていて、演技の突き詰め方などを見ていると、自分の方法で積み上げてきたものがあるし、自分の見せ方をがんばっていて、そこは見ていてとても刺激を受けます。
 
──役柄の七瀬ミワコですが、演じていて共通する部分は?
女優というところは同じですし、劇中劇では男性の役で、そこは男役だったことが役に立っています。また、ミワコは一度女優を引退するのですが、それも宝塚を卒業したときの自分と重なります。ただ、引退後のミワコは世界的なスケールで生きて、マフィアのボスの妻になったりと、かなりぶっ飛んでます(笑)。そして10年ぶりに女優として復活することになりますが、もともと演じるのは好きで、純粋にお芝居や舞台が本当に好きなんです。そこがあるから周りの仲間にも愛されるのでしょうね。
 
──その仲間たちとの芝居作りのバックステージドラマと、劇中劇とがテンポよく展開していきますね。
お芝居を作る人たちそれぞれのドラマを見せながら、劇中劇でギャングの世界を見せていくという構造なので、両方の面白さを楽しんでいただけると思います。ギャングの部分は宝塚でもよくあるような「男たちのドラマ」なのでカッコよく、バックステージの部分では、作る側のそれぞれの生活や思いを、笑いも入れながら見せていきます。そこでは私も、七瀬ミワコという1人の女優としての細やかな見せ方を意識しています。

1つ1つの役を一生懸命に演じていたら100に!
 
──衣裳替えも多くて、ダンディなスーツ姿から可愛いワンピースまで、しかもストッキングまで凝っていて、たぶん女性のお客様はファッション部分も楽しめるかなと。
着替えが多くてたいへんなのですが、それによって女優・七瀬ミワコの部分と、劇中劇のライアン・クーパーになる部分を切り換えられるし、いろいろ変身するのは自分自身も好きなので(笑)、楽しんでいます。宝塚を卒業してから、ここまで男女両面を出せる作品は初めてかもしれません。とても素敵な役をいただけたなと思います。実は私は、この七瀬ミワコ役で、ちょうど初舞台から100役目になりました。
 
──それは素晴らしいですね!
ありがとうございます。1つ1つの役を一生懸命に演じていたら100になっていました。出演した公演数は4148公演になります。たまたま数える機会があったので数えてみたんです。そしたらちょうど100役目ということで、自分でもびっくりしているんです。
 
──キャリアというのは本当に積み重ねですね。最後にテーマである「終わらない世界」についても聞かせてください。
今、世界中で起きているテロとかミサイルとか、そういう問題を考えさせられます。もしかしたら「今日、世界が終わるのではないか」という不安な気持ち、そのとき自分がどうなるのかと、すごく考えさせられるテーマが描かれています。でも笑いも沢山ありますし、最後はショウタイムもありますので、お客様には楽しく観ていただけると思います。ぜひ、紀伊國屋ホールへお越しください。


〈公演情報〉
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ジェットラグプロデュース『終わらない世界』
作◇益山貴司(劇団子供鉅人)
演出◇吹原幸太(ポップンマッシュルームチキン野郎)
出演◇大和悠河  百名ヒロキ 野口オリジナル 帆風成海 
渡辺慎一郎 廣瀬響乃 藤田奈那(AKB48)森田匠、伊藤真奈美 安楽信顕、椎田香王子・鈴木歩己
●11/29〜12/3◎紀伊國屋ホール
〈料金〉S席/前売7,800円 当日8,300円 A席/前売6,800円 当日7,300円 学生/4,500円(事前予約/ジェットラグ扱いのみ) (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉http://www.jetlag.jp



【取材・文/榊原和子 写真提供/ジェットラグ】


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11月明治座公演『京の螢火』でおりょうを演じる! 田村芽実インタビュー

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幕末の動乱に揺れる京都・伏見を舞台に、維新の嵐が吹き荒れる激動の時代を生き抜いた寺田屋お登勢とその夫伊助を描いた物語、『京の螢火』が11月明治座で上演される。
1971年に初演されたときの舞台の良さは残しつつ、脚本・演出のわかぎゑふが、2017年に相応しい幕末ものとして新たに書き下ろし、スピード感と華やかさを備えた、人間味あふれるドラマが生まれ出る。
その作品で、坂本龍馬ののちの妻であり、黒木瞳が演じるお登勢のもとへ養女として預けられるおりょう役を演じるのが田村芽実。元アンジュルムの中心メンバーであり、グループ卒業後、女優として着実な歩みを続けている期待の若手で、これが明治座初出演となる。
そんな彼女に、作品のこと、役柄のこと、更に初めての和物舞台への挑戦と、明治座初舞台に賭ける意気込みを聞いた「えんぶ12月号」のインタビューを、11月9日の本誌発売に先がけて公開!(本誌には別バージョンの写真が掲載されています)
 
自分がやりたいことに真っ直ぐなおりょうの役割を大切に

──まず作品について、どう感じていらっしゃいますか? 
背景になっている時代が幕末なので、坂本龍馬や新選組など皆さんがとてもよくご存じの実在の人物も多く登場するのですが、今回の物語でスポットが当たっているのが、黒木瞳さん演じる「寺田屋」の女将のお登勢で、女性が生きていく上で何かと窮屈だった時代に、強く生きていく姿が描かれている。人間の物語になっているところが、とても素敵だなと思いました。
──その中で田村さんが演じるおりょうは、坂本龍馬の妻として後の世にもよく知られている女性ですが、取り組んでいていかがですか?
たくさんの女優さんが演じてこられている実在の女性で、映画やドラマなどで様々に描かれてきた人物なので正直プレッシャーもあります。おりょうのことが書かれている本なども買い集めて読んだりもしました。台本の中で起きる出来事の1つ1つに対して、彼女がどう感じて行動したのかを大事にしたいと思っています。お登勢が周りの人間のことを第一に考えて、常に気配りを欠かさずに生きている女性なので、そんな姿をよりお客様に伝えるためにも、自分がやりたいことに真っ直ぐに飛び込んでいくおりょうを、私がきちんと演じることが必要だと思いました。そんなおりょうの役割を大切に演じたいです。

初めての和物の芝居でたくさんのことを学ぶ日々

──稽古の中で、楽しいと思うこと、また大変だなと思うことなどはどうですか?
私は和物のお芝居に出させて頂くのが初めてなので、毎日浴衣を着ること自体が初体験でした。帯があるので、椅子の背もたれに寄りかかれないですし、常に姿勢をピシっとしていないといけない。着物も浴衣も大好きですが、日常的に着てはいなかったので、所作や歩くことから大変です。歩くという事も、現代劇ではただ普通に歩けたものが、着物では裾を綺麗に歩かないといけない。ついそこに神経がいってしまって、役として表現することが後回しになってしまい。今は色々なところに神経を集中させ、張り巡らさなければいけなくて大変です。
──着物と洋服とでは歩幅も全く違いますし、特に田村さんはダンスをずっとやっていて、足も常に外向きだったところから、和物では内向きにするわけですものね。
そうなんです。元々はすごく内股で、小学校3年生くらいの時にダンスの先生に外股にしなさい、と指導されて一生懸命意識して外股にしていました。その分、今、内股に戻すのが難しいです。
──長年意識して矯正したものを、また意識して、しかも短期間で戻すというのは苦労も大きいと思いますが、だからこそ様々な意味で、吸収することの多い現場なのでは?
本当にそうです。大先輩のお芝居を毎日身近で拝見させて頂けるので、もう瞬きするのも惜しいくらい、日々前のめりで学ばせて頂いています。台本を読んでいた時には私が想像もしていなかった深い表現を皆さんがなさいますし、面白いポイントや、感動するポイントをどんどん提示してくださるので、毎日がとても刺激的です。

明治座の舞台に立てる奇跡に恥じない舞台を務めたい

──身近で演じる黒木瞳さんからはアドヴァイスなども?
たくさん頂いています。初めは、おりょうをもう少し大人っぽいイメージで捉えていたのですが、「もっと大胆にぶつかってきてくれて良いのよ、おりょうはこの時代のギャルだから」と、すごくわかりやすいように表現してくださって、自分の中でも方向性が固まりました。他にも様々なアドヴァイスをくださるので、とても感謝しています。
──坂本龍馬役の藤本隆宏さんとのお芝居はいかがですか?
藤本さんは本当に優しくて、紳士的な方です。ご一緒のシーンだけでなく、他の私が出ているシーンも見ていてくださって「ここがとても良かったですね」と言葉をかけてくださいます。水泳をやっていらして逞しいので、初めてお会いした時から、もう坂本龍馬そのままの方だと思いました。
──わかぎゑふさんの演出についてはどうですか?
実際にゑふさんご自身が動いて演出をつけてくださり、的確な指示をくださるので、とてもわかりやすいです。休憩時間には気さくに声をかけてくださいます。ゑふさん、黒木さん、筧利夫さんが中心になって、場を和ませてくださるので、本当に良い雰囲気の中お稽古させて頂けるのが幸せです。
──明治座という老舗の大劇場に出演される今の気持ちは?
私はこの舞台の幕が開く時には19歳になっています。この年齢で歴史ある明治座の舞台に立たせて頂き、そしてこんな大役を頂けたという事は奇跡だなと感じています。だからこそ、それに恥じないように演じたいですし、またいつの日か「また明治座に戻ってこられて嬉しいです」と言えるように頑張らなくてはと思いました。そして、個人的にもずっと忘れられない作品になるのではないかと思っています。どの役柄も魅力的で、どのシーンも素晴らしい作品なので、あちらこちらに込められた「螢火」を探しに、是非明治座にいらしてください!

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たむらめいみ○1998年10月30日生まれ、群馬県出身。11年にハロー!プロジェクト!スマイレージ(14年にアンジュルムに改名)としてデビュー。高い歌唱力と表現力で中心メンバーとして活躍。16年5月、かねてからの夢であった女優を志し、武道館公演をもってグループを卒業。17年、舞台『minako─太陽になった歌姫─』で主演の本田美奈子役に抜擢。続いて『TRUMPシリーズ グランギニョル』に出演するなど、着実な歩みを進めており、今後の更なる活躍が期待されている。


 
〈公演情報〉
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明治座11月公演『京の螢火』
原作◇織田作之助「螢」司馬遼太郎「竜馬がゆく」脚本 北條誠より
脚本・演出◇わかぎゑふ
出演◇黒木 瞳、筧 利夫藤木隆宏渡辺大輔桜乃彩音田村芽実/深沢 敦伊藤正之河相我聞沢田亜矢子   ほか
●11/3〜26◎明治座
〈料金〉 S席(1階席・2階前方席)12,000円 A席(2階後方席・車椅子スペース)8,500円  B席(3階席)6,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉明治座チケットセンター 03-3666-6666(10時〜17時)




【取材・文/橘涼香 撮影/友澤綾乃】




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