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インタビュー

愛され続けるエンターテイメントステージ『CLUB SEVEN ZERO』間もなく開幕! 玉野和紀・吉野圭吾・東山義久・西村直人インタビュー

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ありとあらゆるエンターテイメントの要素をギュっと詰め込んで、ノンストップで走り続けるステージとして愛され続ける『CLUB SEVEN』。
その総合クリエーターである玉野和紀が『CLUB SEVEN』の形を創ってくれたメンバーとして絶大な信頼を寄せるのが吉野圭吾、東山義久、西村直人。この4人に今回はさらに原田優一、蘭乃はな、香寿たつきが加わった『CLUB SEVEN ZERO』が、6月8日からシアタークリエで幕を開ける。(6月22日まで。5月26日〜28日◎シアター1010でプレビュー公演、6月3日、4日◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、6月23日◎刈谷市総合文化センターアイリス公演あり)

10作目のメモリアルステージを経て、11作目となることで、新たに「ZERO」と名付けられた舞台に向けて、オリジナルメンバーの4人が、それぞれが抱く『CLUB SEVEN』への思い、4人の絆、また、お互いの魅力などを語り合ってくれた「えんぶ6月号」の記事をご紹介する。

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東山義久・玉野和紀・吉野圭吾・西村直人

名場面をたっぷり盛り込んだ「A」「B」2つのパターン

──1昨年の『CLUB SEVEN 10th stage!』を経て、今回新たに『CLUB SEVEN ZERO』ということですが、この「ZERO」に込めた思いから教えてください。
玉野 じゃあ、ヨシ(東山)から。
東山 えぇ? それはやっぱり(笑)。
西村 そこはまず玉野さんからでしょう(笑)。
玉野 (笑)6年ぶりにこの4人が集まって、『CLUB SEVEN』の立ち上げと言いますか、形を作ってくれたのがこの4人なので、1つの集大成であり、新しい出発という意味で、「ZERO」がいいんじゃないかな? と。今回、男性5人、女性2人、作品がはじまった一番最初の形にもなっているので「ZERO」と名付けました。
──はじまりであり集大成でもあると言うと、これまでの名場面なども?
玉野 そうですね。「10」まではとにかく走り続けて来て、次々と新しいものを創ってきたので、今回はこれまでの色々なキャラクター、面白いものも、楽しいものもたくさんあるので、手直ししつつまたお見せできたらなと。
吉野 新作もやりますよね。
玉野 あぁ、もちろん、もちろん。回顧だけではなく、新たなものも創っています。ただ、お客様の中からも『CLUB SEVEN』ならあれがなくちゃ! というものが、どんどん出てきた中で、進化もし、ハードルも上がって、ある意味1人歩きをしている。それも含めて『CLUB SEVEN』なのかな? と思うので、「1」から観てくださっているお客様には、懐かしいキャラがいっぱい出てくると思います。この機会にあれもこれも、とピックアップしていったら3時間じゃ収まらなくなって、AとBの2つのパターンになりましたので、是非両方観て欲しいです。
──そういう意味で、2つのパターンがあるんですね? かなり内容は違うのですか?
玉野 そうですね、「スケッチ」と呼んでいるコントの要素のあるものは、4つ変えているので。
東山 4つっていうことはほぼ全部ですよね?(笑)。
玉野 あぁ、まぁね(笑)。
──では2公演分覚えるということですか?
西村 (間髪を入れず)そういうことなんです。
吉野 早かったよね、今(笑)。
東山 即答だった(笑)。
玉野 だから僕も今一生懸命やっているのに、終わらないのは何故なんだろう? と思っていたら、倍作っていたんだ! と(笑)。でも、お客様への感謝の意味も込めて、頑張ろうと思います。

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阿吽の呼吸で通じ合える4人

──改めて、こうしてこの4人が集まったことについては?
吉野 なんでもできるね。
西村 うん、なんでも来い!
玉野 なんでも渡せるメンバーなので、もう極端に言えば「ここ頼むね」って白紙の台本でも渡せる連中だから。
東山 いや、方向性だけは示してくれないと!(笑)
西村 でもタイトルだけとかあるよね(笑)。
玉野 ここで面白いことして!とネタを出してもらったり、アイディアを持ち寄りながら、『CLUB SEVEN』は皆で創ってきたという感じなので。
──この4人ならではのものというあたりは?
吉野 やっぱりチームワークじゃないですか? それぞれが自分を出してきて、ちゃんとまとまると言うか。
玉野 阿吽の呼吸はあるね。それぞれ1人1景、任せられる、『CLUB SEVEN』の皆が主役であり、皆がアンサンブルである、という基本の方向性をきちっと押さえてくれている人たちなので、僕が芯となるものを作ってしまえば、後はどんどん進化させてくれる。安心して任せられるメンバーですね。

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皆が主役でありアンサンブルである『CLUB SEVEN』

──他の共演者の方達については?
玉野 香寿たつきさんと原田優一さんは『CLUB SEVEN』に出ていますし、今回、蘭乃はなさんだけが初めてなんですが、他の仕事で一緒にやっているし、宝塚では、百戦錬磨で色々やってきている人だから信頼しています。ただ『CLUB SEVEN』はとにかくやることが多いので、初めての人はびっくりするかなとは思います。1つのショーの中で色々なキャラクターをやり、ミュージカルもやり、最後の「五十音メドレー」は今回78曲ありますから。
──そんな『CLUB SEVEN』ならではの魅力を、改めて語るとすると?
西村 僕がもし客席で『CLUB SEVEN』を観たとしたら、やっぱり一番驚くだろうなと思うのは、出演者の意外性ですね。ヨシにしても、圭吾(吉野)にしても、他の舞台でこういう人だと思っているイメージが覆る新しい発見があるので、それはきっとお客様に楽しんで頂けるんじゃないかなと。
吉野 出演者全員がこれだけヒーヒー言っている舞台はないと思いますし、自分で演じていてもこれだけ体力を使う舞台はなくて、毎回自分への挑戦なので「俺たちの生き様を見ろ!」みたいな(笑)。覚えることも多くて本当に大変なのですが、それを乗り越えた時の達成感にはなんとも言えないものがあります。
東山 色々な自分が出せる、新しい発見が常にあって、それが次の舞台に役立つことも多いので、お2人が言った通りなのですが、あとは『CLUB SEVEN』は家族のようになれる場なんです。とにかく全員で力の限りやるので、苦しい顔も、大変な部分も見せていて、客席からも「これだけやっているんだから応援しよう!」という共通の空気感が生まれる。文字通りのジェットコースターエンターテイメントなので、遊園地みたいな感じで楽しんで頂けるのが最大の魅力だと思います。
玉野 ミュージカルなら基本的には1つの役を演じますし、ショーは歌と踊りで構成されて行きますが、『CLUB SEVEN』にはそれらの要素に、更にコントの要素もあったり、あらゆることをやる、というのが他の舞台とまず違うところです。更に『CLUB SEVEN』って必ずその人の本質が見えてくるので、そこは引き出したいなと思っています。その人の得意分野だけじゃなくて、何にでも挑戦して必死でやる、「一生懸命ってカッコいいじゃないか」というところを、最初から大切にしてきました。今では皆成長してくれて、グレードアップしているけれど、その一生懸命さは変わっていないし、「もっと上を!」と目指し続けている皆が、第一線で活躍してくれているのも嬉しいですね。昨年、弟分という意味合いの『GEM CLUB』も創りましたけれど、そこに出ていた若い人たちにとって『CLUB SEVEN』が目指す場所であってくれたら嬉しいなと思いますね。

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認め合い、高め合って、新たなステージを

──是非、お互いの魅力を語ってください。
西村 お互いに?
玉野 ちょっと難しいよね(笑)。
東山 直人さん(西村)は「ミスターCLUB SEVEN」ですよね。
吉野 完全に玉野さんの右腕だから、玉野さんと直人さんがいないと『CLUB SEVEN』はできない。あとは、僕は直人さんの絶対に役を捨てないという姿勢を「1」の時から強く感じていて、それが自分の指針になりました。どんな舞台でも頂いた役を捨てないように、直人さんに負けないようにと思ってやってきました。
西村 あぁ、今日はいっぱいお酒飲もう(笑)。いや、でも恥ずかしいね、褒められるって(笑)。
玉野 日本人は褒められ慣れてないから(笑)。
西村 次行かせてもらって(笑)、圭吾はとにかく努力家。先輩にはたくさんいたんだけれど、今熱い人が本当に減っているので、唯一残っていると言っていいくらい熱い人です。
東山 僕の初舞台が圭吾さんの主演舞台で、その後も『レ・ミゼラブル』や『宝塚BOYS』で同じ役をやらせて頂いて、ずっと背中を追ってきた憧れの人の1人だし、なんでもできる人だと思っていたら、稽古場でここまでやるんだというくらいとことん探求されるので、またこうして一緒にできるのが嬉しいです。
吉野 そういう風に、ヨシは人のことをよく見てるよね。それでフォローもしてくれる。コントでもなんでも拾ってくれるから、安心して投げかけられます。
玉野 よく見てるし、覚えてるし、視野が広いね。
西本 一見アウトローな感じがするんだけど、ちょっとワルっぽい感じ?
東山 チャラい感じなんでしょう?(笑)
西村 そこにちゃんと、すごくきちんとしたところが混ざっている、その微妙なバランスがヨシの魅力だよね。親御さんに感謝しないといけないのかもしれない。
玉野 そこに女子はやられちゃうんだよね。だからモテるんだ。
東山 いい話をして頂いたと思ったのに!(笑)そういう玉野さんは、よく奢ってくれます(爆笑)。
西村 地方公演に行く度に一番良いところをリサーチしてくれて。
吉野 楽しみだなぁ(笑)。
玉野 また出費が重なる(笑)。

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西村 (笑)玉野さんの良いところは、いつも言いますけど子供なところです。自分のおもちゃ箱から、これで遊ぼう! これも、これも、と、どんどん出して来て遊んでいる、そこから出来上がるのが『CLUB SEVEN』であり、他の舞台なので、その箱に魅力がいっぱい詰まっていて、これからもまだまだ出てくるんじゃないですか。
玉野 どうだろうね(笑)。でもプレイヤーがやってくれて、また発見もあって、おもちゃが増えていくんだと思う。
東山 とにかく愛が深い方なので、1人1人のことをよく見てくれていて、直人さん、圭吾さん、僕、それぞれにしかできないものを作ってくださるから。
玉野 僕が観客だったら、直人のこれが観たい、圭吾なら、ヨシなら、そうして創ってきたのが『CLUB SEVEN』だからね。
吉野 それに応えて、観て良かった! と思えるものを必ず創りたいと思います。
西村 今回懐かしいものもたくさんあるからこそ、初めてご覧になる方にも楽しめるものにしたいですね。
東山 「ZERO」ということで、原点に帰って誇りを持って、日本を代表するエンターテイメントショーを創りましょう!
玉野 このメンバーでまたいつできるか分からないので、一期一会の気持ちで最高のショーを創りますので、是非観に来てください!

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東山義久・玉野和紀・西村直人吉野圭吾

たまのかずのり○山口県出身。オリジナルミュージカルの作・演出・振付、また出演もこなすオールラウンドのエンターティナーで、日本を代表するタップダンサー。最近の主な作・演出・振付・出演作品に『CLUB SEVEN』シリーズ、『道化の瞳』『私のダーリン!』Show House『GEM CLUB』A NEW MUSICAL『CROSS HEART クロスハート』『ALTAR BOYZ』等、『サットン・フォスター来日記念ガラコンサート』の演出・振付・出演、『小林幸子50周年記念コンサート』の総合演出なども。第34回菊田一夫演劇賞受賞。

よしのけいご○東京都出身。音楽座、劇団四季を経て、『MOZART!』『レ・ミゼラブル』『ジキル&ハイド』『ダンス・オブ・ヴァンパイア』『ライムライト』等、数多くのミュージカルで活躍。最近は性格俳優としても活躍の幅を広げている。第34回菊田一夫演劇賞受賞。最近の主な出演作品は『1789〜バスティーユの恋人たち〜』『ピーターパン2016』『バイオハザード〜ヴォイス・オブ・ガイア〜』等、本年7月に『空中キャバレー』、10月に『レディ・べス』への出演も控えている。『CLUB SEVEN』は「9th stage!」以来の出演となる。

ひがしやまよしひさ○大阪府出身。00年『エリザベート』のトートダンサーで一躍注目を集める。03年に「DIAMOND☆DOGS」を結成し、総合演出も手掛けている。その後も新プロジェクト「BOLERO」など、多方面に表現活動を展開中。最近の主な出演作品はVOCE CONCERTO 『GALAXY DREAM』プレミアム・ファンタジー・アクト・シアター『カルメン〜ドン・ホセの告白〜』『BOLERO 2016〜モザイクの夢』『ALTAR BOYZ』『エジソン最後の発明』等、『CLUB SEVEN』は「10th stage!」に続いての出演となる。

にしむらなおと○東京都出身。劇団急旋回を経て、持ち前のダンス力や、タップダンスの特技を活かし、ミュージカル作品をはじめとした様々な作品で幅広く活躍中。近年の主な出演作品は『レ・ミゼラブル』『まさかのChange!?』『マイ・フェア・レディ』『ミー&マイ・ガール』『志村魂』『しゃばけ』水木英昭プロデュース『眠れぬ夜のホンキートンクブルース第二章〜飛躍〜』など。本年、8月には『志村魂12』への出演も控えている。『CLUB SEVEN』シリーズのすべてに参加している。


〈公演情報〉
クラブセブンPR

『CLUB SEVEN  ZERO』
脚本・構成・演出・振付・出演◇玉野和紀
出演◇吉野圭吾 東山義久 西村直人 原田優一 蘭乃はな 香寿たつき
●6/8〜22◎シアタークリエ 
〈料金〉10,000円(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777
●5/26〜28◎シアター1010(プレビュー公演)
〈料金〉9,500円(全席指定・税込)
●6/3・4◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
●6/23◎刈谷市総合文化センターアイリス公演 
〈HP〉http://www.tohostage.com/club_seven/



【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】



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新たなダンスステージの創造!『ダンスカンタービレ』 森新吾×梅田彩佳×風花舞インタビュー

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DIAMOND☆DOGSのメンバーとして活躍するかたわら、その卓越したダンス力を駆使しての振付はもちろん、構成・演出のジャンルでも優れたクリエーターとして才能を発揮している森新吾。
そんな多彩な輝きを持つ森を中心に、華と実力を兼ね備え、現代を駆け抜けている8人の女性パフォーマーが集って繰り広げられる、ショーアクトMORI SHINGO×8人のFOXY GIRLS『ダンスカンタービレ』が、銀座の博品館劇場で上演される(5月18日〜21日)。

1人の男性を取り巻く魅惑の女性達。19世紀末のロンドンを震撼させた「切り裂きジャック」からインスパイアされた、現実と虚構が入り交じるイメージを、森自身が自由に膨らませて構成・演出・振付を手掛け、原田薫、港ゆりかのスタイリッシュな振付が加わるダンスシーンは万華鏡のような魅力に満ち、T-LAYLAの音楽と共に大胆で、豪華なステージが繰り広げられるとあって、今、大きな期待が集まっている。
そんな舞台の中心となる森新吾、AKB48メンバーの頃よりトップクラスのダンステクニックを持つと讃えられた梅田彩佳、元宝塚トップ娘役で、初舞台からすでにその卓越したダンスの実力を発揮してきた風花舞が、新たな創造のステージの内容や意気込み、作品での役割り、またそれぞれの印象や魅力について語りあってくれた。

s_ MG_0436 風花舞・森新吾・梅田彩佳

ガールズパワーがあふれる稽古場

──まず、この企画が立ち上がった経緯から教えて頂けますか?
 僕自身がずっとDIAMOND☆DOGSで活動してきた中で、プロデューサーの栫ヒロさんが「15年やってきた節目として、新吾を中心にしたダンスのカンパニーを立ち上げよう」という企画を持ってきてくれて、「2017年の5月に博品館さんでやらせてもらえるから、ついては、この舞台は新吾以外は全員女性で行きたい」という話だったんです。僕はこれまで、もちろん外部のミュージカル作品などでは女性と絡ませて頂いたことも多々ありますが、基本的にはDIAMOND☆DOGSという男だけが集まっているフィールドでやって来ましたから、僕以外が全員女性の舞台、それは面白いだろうな!ということで、是非にと即答して企画が進んでいきました。僕が軸にあるとして、女性のパフォーマーが8人いるということでは、やっぱり男女の関係性、必ずしも恋愛に限らずとも、そこは持ちつ持たれつのものになっていくだろうし、騙し騙されというトリッキーな面も創れたらなと考えています。
──森さんを中心に8人の女性たちを配する、その顔ぶれはどのようにして決まっていったのですか?
 はじめは漠然としていたのですが、作品を創っていく流れの中で、僕のことをまずよく知ってくれていて、僕をサポートし、包み込んでくれる女性の方が1人いて欲しいということを話しましたら「風花舞さんだろう」と。
風花 そうなんだ!(笑)。
 そうなんです(笑)。そこがまずお1人決まったところで、ダンスでしっかり表現が出来て、甘くない芸能界を渡り歩いてきた梅田彩佳さんに「いかがでしょうか?」と。これはキャスティング・ディレクターの植木豪さんと相談して、オファーをさせて頂きました。
梅田 ありがとうございます!
──そんなオファーを、よし受けよう!と思われた時の気持ちはどんなものでしたか?
風花 新吾ちゃん以外は女性だけのパフォーマーが集まる舞台、年齢的にもおそらく私が一番上になる、ということで、まず体力的についていけるかな?があったので「私で大丈夫ですか?」と訊いたのですが(笑)、「大丈夫」と(笑)。
梅田 即答だったんですね。
風花 そうそう(笑)。それで、新吾ちゃんと一番はじめに一緒に仕事をしたのが、まだ若い時よね?
 浦井健治くんのディナーショーの時だから、まだ25か、26の時ですね。浦井くんと僕がワイワイやってる頃で、彼が1本主演したあとのディナーショーに舞さんが出られて、僕も参加していたので。
風花 私もDIAMOND☆DOGSのステージは観ていたのですが、共演したのはそれが初めてでしたから、新吾ちゃんとは個人として最初に会っているのよね。その後DIAMOND☆DOGSの『真夏の夜のロミオとジュリエット』を一緒にやって、それからはこの間の『BOLERO』もそうですけど、振付をしてもらってずっとご一緒させて頂いてきて、私としては新吾ちゃんは「親戚の子が大きくなりました」みたいな(笑)感覚で。

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 年数的にもそのぐらい長く交流させて頂いていますよね。
風花 そう、だから親心と言うか(笑)、新吾ちゃんがこういう形で初めて主演をされる舞台だったら、良い意味で支えられたらいいなと思って「是非お願いします」とお伝えしました。
梅田 最初にお話を頂いた時に、私がこのメンバーの中でついていけるかな?と不安だったんです。でも絶対に学ぶこともあると思って、挑戦しよう、是非よろしくお願いしますと言いました。
──お2人共、ガールズチーム出身ということになりますが、今回の稽古場はいかがですか?
梅田 女性の方がずっと多いので違和感なくやれています。森さんと絡むシーンの方が緊張します(笑)。これまで男性と絡むことがほとんどなかったので。
 あぁ、そうか!じゃあ「失礼しま〜す」って感じ?(笑)
梅田 心の中では毎回思ってます(笑)。
風花 私は外に出てから男性と踊る機会もたくさんありましたが、やっぱり基本的には女性の中にいる方が楽です。気が楽と言うか、自分の居場所が見つけやすいし、何をするべきかもわかりやすいですね。周りが何を考えているかもだいたいわかるので、すごく楽です。
──一方、男性中心の活動が多かった森さんは?
 稽古初日に顔合わせがあった時に、僕がまとめる役なのでちょっと前の方から皆さんを見渡した時に、皆さん凜としていつつ、悠然としているのに圧倒されちゃって、とても緊張しました。僕こういう環境初めてだったんで(笑)。女性1人と面と向かって会話したり踊ったりということはやって来ましたけれども、これだけの人数の女性に「森さん」ってパッと見られた時の圧がすごくて!(笑)これは敵わないなと思いました。それくらい皆さんがそれぞれに魅力と個性を持った方達だということだし、いざ稽古を始めたら、やっぱり皆さん1人1人が第一線でやっている方達だけに、理解力や吸収力がすごく高くて、稽古がサクサク進むんです。だから僕は今までとあまり変わらないスタンスでいられることに気づいて。僕が男性1人だからと言って変に気を遣われることもないので、物事が上手く流れていきますから、今、僕としては最初の壁をクリアした!という気持ちです(笑)。
──では、良い流れでお稽古が進んでいるんですね?
森 そうですね。とてもありがたいです。

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言葉がないからこそ難しく、奥深いダンスの表現

──内容についてもお聞きしたいのですが、「切り裂きジャック」がイメージにあるとも伺いましたが、今、お話し頂ける範囲で教えて頂けますか?
 19世紀のロンドンがベースになっていて、ある男が恋に落ち、熱を帯びた時間が過ぎ去った時に、恋人がいながらにして新たな恋に落ちてしまう。そういった状況での男女の距離感ですとか、男自身の生き様が、ある面では退廃的に見えたり、ある面では美しく見えたりする。それを俯瞰で見ている別の1人の女性がいて、話の流れが「切り裂きジャック」を想起させるような事柄が起きてくる。男自身も「自分が切り裂きジャックなのか」と思ってしまうような流れの中で、さて、彼の結末や如何に?といったものです。物語は男が考えていることが軸になって進むのですが、それを俯瞰で見ると滑稽だったり、可憐だったり、美しくもある、という部分を、ジャンルレスなダンスとパフォーマンスで表現していけたらなと。なので「切り裂きジャックっぽいね」と思われる方もおられるだろうし、一方で「切り裂きジャックっぽくはないけれども、イメージはロンドンだったよね」と思われる方もおられると思います。見え方や、音楽の聞こえ方はすごくクラシカルで、19世紀という中に、現代のダンスの表現がクロスオーバーして見えたら、という思いのもとに作品が進んで行きます。ですから「切り裂きジャックの話なんだよ」と言ってしまうと違うのですが、その風味があるものを、食べて見たらズシンと来た「あと味渋いぜ!」(笑)というものにできたらなと思っています。
──お2人のキャラクターは場面によって様々なのですか?それとも決まっている?
 決まっています。僕から紹介すると梅ちゃんは僕と一番近い恋人の女性です。男との距離感を大切にして僕を支えてくれる女性の役です。なので燃え上がるところはすごく燃え上がるし、落ち着くところは落ち着くし。僕が自分のところからいなくなったら探しに行くし、でも突き放す部分もあってという、日常的な夫婦のような間柄で、その女性がある事柄に巻き込まれていきます。で、舞さんは…
風花 あんまり言えないのよね、私は(笑)。
 そう、あんまり言えない(笑)。この作品を色々な角度から見て、見守って、その中に入っていく。はじめは一番遠くにいて、渦のようにだんだん真ん中に流れてきて、最後は中心になる。まぁ、言葉としては「謎の女性」と書いて頂ければ(笑)。
風花 言いたくてしょうがないんだけど(笑)。
梅田 言っちゃダメです(笑)。

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──では、言ってはいけない中で、こんな風に存在したいというところは?
風花 私は新吾ちゃんから設定を伺った時に、私が一番やりたかったタイプの役だなと。
 おっ!本当ですか?
風花 そう。宝塚時代から色々なタイプの役をやらせて頂きましたし、退団してからも様々に経験させて頂きましたが、一番やりたかったものだと思うものが、今来たんだ!と思って嬉しかったし、楽しみですね。ただ、ミュージカルではないので言葉で表現することができませんから、身体と表情だけでどこまで表現できるか。ストーリーもものすごく細かいということではなくて、あくまでダンス公演なので、観てくださるお客様にこうなのかな?と想像して頂けるところまで、創り上げて行くことが難しいだろうと思います。言葉ではありませんから、ご覧になった方がいかようにも解釈されるでしょうし、それはそれでもちろんいいので、ただ私としてはこうやりたいというイメージ、新吾ちゃんから頂いたものをきちんと持って、1人の人物として幕が下りるまで舞台に存在できたらいいなと思っています。
──ダンスでの表現というのは、ある意味では観た人の数だけ受け取り方がありますものね。
 そうなんですよね。ダンス公演の構成・演出も色々やって来ましたけれども、台詞一字一句をダンスで表現するのは不可能なので。その中で僕がやっぱり一番素晴らしいと思っているのはバレエの『白鳥の湖』で、捉え方は色々あるにせよ、あれだけわかり易い物語に集約されていくのが、僕の中では究極のものなんです。だから僕がダンス公演を創る時には、表現したいところは、僕の思っていることを台詞に変えてみて「これを表現してもらいたいんだ」というところまで一応落とし込んでいきたいんです。それがどう見えるかは僕のタクト次第なので、僕の思っていることを身体の表現に変えて、それを如何にお客様に伝えることができるか?が勝負だと思っています。だから、今、舞さんが言ってくださったように、僕が舞さんに伝えたい思いを板の上でどれだけ皆さんに理解して頂けて、そこに感情の爆発と同時にペーソスが見えて来たらいいのかなと思っています。
風花 ショーケースのようなダンス公演だと、場面ごとに区切って、この場面はこう、次はこう、となるのですが、こういう物語がベースにあるものですと、踊っている人間だけがわかっていればいいんだよではなく、そのベースは伝えた上で自由に受け取ってください、というところが必要だと思うので、そこが言葉がない分難しいですね。
 そうですね。
風花 言葉がないからこそ面白いとも言えるんだけど、ただ技術だけに走ると物語は伝わらないので、やはり踊りでありつつ、お芝居であり、音楽ね。
 そうなんです、そこですね!

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絵面も綺麗で可愛い、森と梅田のシーン

──梅田さんはご自身の役どころについては?
梅田 今、お二方のお話を聞いていて、ますます難しいなと思って(笑)、ドキドキしてます。でも私の役柄的には、母性が必要で、男性が好きなんだけれども、ついて行くのではなく港で待っている。そういう女性って演じたことがなかったですし、年齢的にも「好き!好き!」って男性にアピールするような役が多くて、物静かだけれども、心の中では燃えているという役柄は初めてなので、難しさを感じています。でも、私自身も年齢を重ねて来ましたし、新しいことにチャレンジできることが、お話を聞いていてますます感じているので、難しいからこそやってみたいし、言葉がないからこそどう伝えるのか?をいつも以上に感じると思うので、いつも以上に頑張りたいなと、今、素直に思っています。
──梅田さんをずっと応援して来られたファンの方にも新鮮なものになるでしょうね?
梅田 新鮮に映ると思います。今までは「元気!パワフル!」という感じだったのですが、それとは本当に逆のイメージなので、ファンの方にも楽しんで頂けるかなと思います。
──そして、日替わりゲストの方達がまた豪華ですが、この方達の役割については?
 4人の方にやって頂くのは、僕を追い詰める役どころです。僕に対してプレッシャーでいて欲しいなと。何かのきっかけで歯車が狂って来た時に、そこを止めなければいけない部分というのが必ず出てくるので、それを絵的に止めて行くという役割として、僕を追いかける役になると思います。この時代って今でも生き続ける表現者がたくさんいる時代、ピカソや、ニジンスキー、ラフマニノフ、ブラームスなど、色々な人が駆け抜けていく時代なので、そういった人達を集約したナンバーを僕と絡めていければと。4人の方それぞれ全くジャンルが違うので、音楽のT-LAYLAと相談して、日替わりの良さを見せられたらと思っています。

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──では、毎日観ても新鮮で楽しいものになりますね?
 日替わりと謳った以上、そうならなければならないと思っているので、僕がたくさん覚えればいいことですから(笑)、そこは毎日楽しみにして頂けたらと思います。
──お2人からご覧になっての森さんは、いかがですか?
風花 どうですか?
梅田 あー、どうだろう?
 これ、一番緊張する(笑)。
梅田 まだお稽古に入ったばかりなのですが、最初の日から私、結構森さんに触れることが多くて(笑)。今まで男性と絡むことって本当になかったので、緊張するのですが、そこに包まれている感覚、身を委ねやすいものを感じました。
 ホントに?(笑)
梅田 ホントです!(笑)すごくリードしてくれて、教えてくださるので、これからもっとついて行こう!と思いました!
 良かった〜!
風花 私はこのストーリーを聞いた時に「頭良いね!」って言ったのよね?(笑)
 そうそう!
風花 「これ新吾ちゃんが考えたの?すごいね、頭良いね!」って(笑)。だから、私が出会った頃の新吾ちゃんはダンサーさん、という感じだったのが、そこから年月を重ねてご自分で演出や振付もたくさんされて、出演もして、色々な経験を重ねてきて、満を持してこれが出て来たんだなと思うと、すごいなと思いますし、だからこそこちらはそれを何とか形にしていきたいと思いますね。女の人の中で男の人が1人って、華やかだけれども、やっぱり真ん中というのはどんな時でも大変だと思います。だから支えていますよ!という感じを出すつもりはないですけれども、でも真ん中の人が伸び伸びやってくれるものが一番良いものになるので、そういう作品になったらいいなと思います。他の女性メンバーにも、それぞれに光が当たるシーンがあるので、それぞれに輝いてくれたらいいですね。この2人(森と梅田)の絵面もとても綺麗で可愛いので、楽しみです。

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カンタービレ(歌うように)ってこういうことかと

──では森さんから見て、お2人のパフォーマーとしての魅力は?
 舞さんは僕、ご一緒させて頂く前から存じ上げていましたけれど、華やかさの中のどこかに攻撃性があって。僕が魅力的だなと思う女性の中には必ずそういう面があります。だから舞さんをこれまで色々な形で見させて頂いて来ましたけれども、その1つ1つの中に一瞬垣間見える魅力があって、舞さんってどんどん進化されてるんです。前回の『BOLERO』でも踊り自体も進化していて、「怖いこの人!」って。
風花 (爆笑)。
 「怖い」って言うのは「凄い」ってことなんですが(笑)、やっぱりダンスだけでなく、お芝居でも歌でも表現できる人でないとたどり着けない踊りの表現ってあるんだなと、僕の振付ではすごく感じました。他の先生の振付で踊っている舞さんを観た時には「カッコいいな」って思って。そのカッコよさを今回も出したいんですが、ちょっと作品とはまた違った、もっと大きな女性としての優しさと、毒のあるところを異なる見せ方で表現してもらえたら、舞さんと10年来つきあってきた中で、お互いに相乗効果で次に行けるんじゃないかなと思っています。今稽古場でも、それをわかってくれた上で、皆さんをまとめて頂いているので「アネキ」と言うか、憧れの女性です。
風花 任せとけ!(笑)
 ありがたいです!梅ちゃんは僕もアイドルの時代から知っていましたが、そこから今度僕の舞台に出て頂けるということになって、踊りの上手さも知っていたので、観に来てくださるお客様に何か違う形で梅ちゃんを見せられたらと思っていて。と言うのも僕が梅ちゃんに「この人絶対になんでもできる」と思っている部分があったからで、女性らしい部分をもっと見たいというところもありますし、従来通りにパワフルな部分も見て頂きたいですし、近寄って色々な見せ方をしたい、色々な面を見せて欲しいと思わせてくれる人です。だから今回すごく舞台での居方なども大変だと思うのですが、立って振り向いただけでカッコいいと思って頂けるような女性でいて欲しい。色々な梅ちゃんが好きだと、まず僕が思っているので、それを舞台の上で表現して頂けたらと思います。
──お2人は初顔合わせで、第一印象としてはいかがですか?
風花 私はテレビなどでは拝見していましたが、まさか共演させて頂ける日がくるとは思ってもいなくて。そうしたらこうして直接会っても可愛いし、アイドルの人達って本当に可愛いなと。その上素直だし、特に今回はこういう現場に来て緊張もしていると思うので、彼女にも伸び伸びやってもらいたいなと、お姉さんとしては(笑)思っています。

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梅田 毎回どの現場でも思うのですが、間近で見られるってすごいことで、大変なチャンスだなと思ってずっと拝見しているのですが、ただ手を動かす動作でも、うわー!と伝わるものがあるのがすごいなと。言葉ならすぐ伝わっても、ダンスは自分の枠の中から出ないとなかなか伝わらないのに、こんなにわーっと来るって素晴らしいと思って、見ていてとても楽しいです。でも楽しいだけでは自分が置いて行かれてしまうので、ヤバいとも思っていて。刺激的な現場なので、風花さんからもいっぱい吸収したいです。
──お話を伺ってますます期待が高まりますが、では公演に向けての意気込みをお願いします。
風花 新吾ちゃんの魅力が全開になる作品になると思います。女性も本当に皆魅力的なので、どこを見ても全部が見どころになると思うので、AKB48のファンの方、宝塚のファンの方、ダンサーズのファンの方、もちろん新吾ちゃんやDIAMOND☆DOGSのファンの方、それぞれの方達にとっても、今まで観たことがない人が舞台上にいると思いますから、その出会いも楽しんで頂けると思いますし、日替わりゲストの方もいらっしゃるので、毎回違うものが観られると思いますので、是非何回でも劇場にいらして頂きたいなと思います。
梅田 終演後しばらく椅子から立てないような、次の舞台も観たい、再演もして欲しいと思って頂けるような作品にしたいと思いますので、頑張っていきたいです。
 この企画をまず頂けたことが僕の中での財産であり、なんて恵まれた環境にいられるんだろうと思いますので、まずこれを形にして、先の話をするとするならば、いつか僕ではなく、別のキャストでもまたこの作品ができるような、そんな作品を創りたいと思っています。今まで僕が培ってきたものに、皆さんのお力を頂いて最高のダンスの公演にしたいというのが1つあります。大もととしては僕とFOXY GIRLSでの『ダンスカンタービレ』なので、観終わった後にお客様に「カンタービレ(歌うように)ってこういうことだったんだ」という会話をして頂ければと思っています。道程はまだまだ長い作業なので、皆は「森新吾、このヤロー!」と思われるかも知れませんが(笑)、やり遂げた時に「やりきった!」と思えるような作品にしていきたいので、舞台の人間も客席のお客様も爽快感あふれるカーテンコールになれるように頑張っていきたいと思います。



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風花舞・森新吾・梅田彩佳

もりしんご○卓越したダンサーとして頭角を現し、03年「DIAMOND☆DOGS」に設立メンバーとして参加。『アルジャーノンに花束を』『ALTAR BOYS』などでの優れた出演成果のみならず、舞台構成、振付、演出にも才能を発揮し数多くの舞台を創り続けている。NHK「みんなのうた」でも振付を2年連続で手掛けるなど、多方面で活躍中。近年の作品に『Dramatic Musical Collection2016』『THE SHINSENGUMI』『DANCE SYMPHONY2015』『Silver Star、Silver Moon、Silver Snow』などがあり17年『ALTAR BOYS』では、TEAM LEGACYにルーク役で出演、TEAM GOLDの振付を担当した。

うめだあやか○06年にAKB48の第二期生としてデビュー。幾度となく選抜入りを果たし、チームBのキャプテンを務めた後、14年からはNMB48に移籍し、チームB2の副キャプテンとして活動を開始。話題となったミュージカル『ウィズ〜オズの魔法使い〜』で主演を務めるなど、個人としても活躍。16年デビュー10周年を節目にAKBグループから卒業。現在は舞台や、バラエティ番組など多方面で活躍中。

かざはなまい○元宝塚歌劇団月組娘役トップ。退団後は宝塚OG公演ほか、『ラ・カージュ・オ・フォール』『回転木馬』『プライヴェート・リハーサル』など、ミュージカル、ストレートプレイ、和物芝居、ダンスショー、テレビドラマ、映画、CM、バラエティ番組など、どんな役柄や分野にも柔軟に対応できる女優として幅広く活躍。最近の舞台では、タンゴに続きBORELOの世界を魅力的なダンサー達と共に踊り演じた。現在は女優と並行し、ダンス指導(バレエ、ジャズ、シアタージャズ)にも力を注ぎ活躍中。


〈公演データ〉
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MORI SHINGO × 8人のFOXY GIRLS……!!
『ダンスカンタービレ』
構成・演出・振付◇森新吾 
音楽◇T-LAYLA 
振付◇原田薫 港ゆりか Show-hey
出演◇ 森新吾 
梅田彩佳 
藤田奈那 西野名菜 Yachiyo PSYCHE Hara
長岡美紅 Kayane 橋本由希子 
風花舞 他
●5/18〜21◎博品館劇場
〔日替わりゲスト〕 
18(木)19:00 東山義久 
19(金)19:00 長澤風海 
20(土)14:00 植木豪 
20(土)18:00 東山義久 
21(日)14:00 町田慎吾 

〈料金〉7,500円(全席指定・税込) ※ 未就学児童入場不可
〈お問合せ〉博品館劇場 03‐3571‐1003




【取材・文/橘涼香 撮影/山崎伸康】



朝海ひかる女優10周年記念ツアー『will』 




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ミュージカルレビュー『KAKAI 歌会』で共演! 原田優一&はいだしょうこインタビュー

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ミュージカル界の歌人たちが歌って歌って歌いまくるミュージカルレビュー『KAKAI 歌会 2017』が、今年も5月3日から三越劇場で幕を開ける。(6日まで)

古来より和歌を詠む歌人が、季節折々の風景や、恋など、テーマに応じた歌を披露していた「歌会」の風習は、現在でも新年に皇居で執り行われる「歌会始」などで、その一端を知ることができる雅な催し。そんな「歌会」にちなみ、現代のミュージカル界の歌人がテーマに添ってナンバーを披露しようというのが、ミュージカル・レビュー『KAKAI 歌会』のコンセプトで、ミュージカル俳優・原田優一の構成・演出により2013年にスタート。ミュージカルナンバーはもちろん、POPSや歌謡曲、果てはCMソングまで次々と華麗に歌い継ぐ一夜限りのステージが大好評を博した。そんな魅惑のステージが、2015年の第2回に続いて、第3回『KAKAI 歌会 2017』として開かれることになり、原田優一、泉見洋平、入絵加奈子、佐山陽規、はいだしょうこ、綿引さやかという、豪華な顔ぶれが揃うとあって、大きな期待が集まっている。
このステージについて、プリンスから色濃いキャラクターまでなんでもござれの実力派ミュージカル俳優で、構成・演出も手掛ける原田優一と、宝塚歌劇団では歌唱力に優れた娘役として活躍、退団後はNNKの幼児向け番組「おかあさんといっしょ」のうたのお姉さんとして人気を博し、映像や舞台で幅広く活躍中のはいだしょうこが、見どころや意気込みを語り合ってくれた。

本気の歌と笑いの「大人の音楽遊び」

──大人気のステージの3回目ということになりましたが、今お話頂ける範囲で、内容について教えて頂けますか?
原田 最初にはじめた時のコンセプトが「大人の音楽遊び」というもので、初演の時はコンサート色が強かったのですが、だんだんエンターテイメントの部分も増えて来ました。ただ、あくまでも音楽を聴かせる、ということがメインなのは一貫していて、アレンジで遊びつつ、皆さんのキャラクター、個性も引き出しながら豪華なレビューにしていく形です。今回も大きな4つのメドレーを用意していて、前回はCMソングをコーラス隊のメドレーにしてやったのですが、今回はアニメソングをやはりコーラス隊でやりますし、昭和歌謡、もちろんミュージカルソングと、王道のものから、遊び心のあるものまで、幅広く取り入れています。最終的には『KAKAI歌会』の名物になっている「マッシュ」といいまして、『レ・ミゼラブル』の「ワン・ディ・モア」をイメージして頂くとわかり易いのですが、いくつものメロディーが最後には1つになるというものが『KAKAI歌会』の名物になっていて、それを今回はいつもとは違った趣向で「マッシュ」しているので、楽しみにして頂けたらと思っています。
──はいださんは、これまで『KAKAI歌会』にはどんなイメージを?
はいだ 私は2015年のものをビデオで観させて頂いて、今まで観たことがないステージで、すごく真面目な歌を歌っていると思ったら、急に笑いの場面になったり(笑)、その発想の豊かさと面白さが、たぶん他にはないだろうな思って衝撃的でした。こういう舞台があるんだ!と。出演されていらっしゃる方々は皆さん素晴らしい歌唱力を持っていらして、歌も楽しめるし、エンターテインメントとしても楽しめる、豪華な舞台だなという印象を受けました
──そういう舞台に初参加されるということで、今の心境は?
はいだ 皆さん「はじめまして」の方々でしたから、私は人見知りをすることもあって、お稽古初日は結構ドキドキして、ほとんどしゃべれなかったほどでした。どの方もミュージカルの世界で大活躍をされている方ばかりで、大きなミュージカルの舞台には、あまり多く立っていない私がここにいていいのかな、という気持ちもあったのですが、今はこのすごい方々とご一緒にお稽古することや、どんなステージに発展していくんだろう、という気持ちで、ワクワクしています。
──そんな、はいださんはじめ、今回のメンバーを構成・演出という立場でご覧になっていかがですか?
原田 稽古初日に譜面をお渡ししたとき、皆さんすぐに「あ、私こういう役割りなのね?わかったわ」みたいな感じで(笑)、どんどんツッコんで来てくださるので、面白いです。はいださんに対しても、こうして頂くと面白いだろうな、と僕から見て思うイメージもありますし、得意の歌や得意のお絵かきなど(笑)、武器を最大限に使って頂こうと思っています。でもさっきミュージカルの経験が少ないという風におっしゃっていましたが『王様と私』や『ひめゆり』をやっていらっしゃるし、何と言っても宝塚のエトワールですからね! 歌に関しても色々なジャンルのものを聴かせて頂けるのが、楽しみだなと思っています。「私のキャラクターはこうです!」というのを如何なく発揮してくださっている先輩方に対して、はいださんもこの間などは「本当にお上手ですよね」と入絵さんに向かって言っていたりして、また入絵さんが「上手?良かったわ」と、すごい早い返しをしていて(笑)。昭和の香りのプンプンする先輩方と、面白くやれるのではないかと思っています。
──では、今回のメンバーならではのステージになりそうですね。
原田 そうですね。皆、根が明るくてね。
はいだ はい、優しい方達ばかりです。
原田 優しくて温かいので、すぐにできなくても「大丈夫、大丈夫、私もダメだから」(笑)と、バッと声をかけ合えるので、良い雰囲気で稽古が重ねられると思います。

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「面白かったね」と言って頂けるものを創りたい

──先ほど、歌と同時にエンターテインメントとしても楽しめる舞台というお話がありましたが、原田さんご自身がエンターテインメントに対して持っている思いはどうですか?
原田 自分の場合は特に、笑ってもらえる要素が入っているものに、より自分の特性が活かせると思っていて。これまで出演してきた大作ミュージカルはほとんど感動するもの、泣けるものなのですが、一方で、自分自身で演出するもの、創るものには、笑いがついてくるものが多いです。自分自身も観ていて好きなジャンルが、笑えてかつ感動できるエンターテインメントなので、自分が創る時にはそれをやりたいと思っています。海外ものとか観ていても、笑いに対して綿密に計算されているショーが多いんです。自分も、力技ではない、きちんと計算された笑いを届けることを理想としていて、コンサートのトークでも、かなりきちんと台本を作ります。もちろん生のハプニングから起きる笑いは、お客様もほっこりされると思うのですが、それはしっかり作りこんだからこそ起きるハプニングであって、ショーや、コンサート、イベント、すべてきちんとした筋書がないとダメだと自分は思っています。そこから笑いを取るのはすごい技術だと思いますし、泣かせる以上に難しいことですが、やっぱり今お客様も笑いを求めている方が多いので、そういう方が劇場を出た時に「面白かったね」と言ってくださるものを創るというのが、自分の一番目指すところです。難しいことをやるんだけれども、決してそれを難しく見せずに、サラリとやっているということがエンターテインメントだと思いますから。
──はいださんは、宝塚のショーなどで、お芝居の「役」を演じるのとは違う、素の部分が出るステージの経験も豊富だと思いますが、そのあたりは?
はいだ そうですね。コンサートなどでも歌う時にはスイッチが入りますが、トークの時は「はいだしょうこ」のままですし、宝塚でも私はかなり早く退団したので、役を演じているというよりも「はいだしょうこ」で臨んでいることが多かった気がします。今回のステージでも、皆で歌い上げるというような場面ではスイッチが入りますが、それ以外ではきっと素の部分が見えてくるものになるのかな?と思います。
原田 この可愛らしいイメージにはじまって、お客様が期待しておられる「はいだしょうこ像」というものがあると思うんですね。その期待以上の個性を乗せて「あ、エンターテイメントに乗せてきたね」とか、歌の面でも「ここまでは聞いたことがなかった、すごいね」というところの、はいだしょうこさんが出れば良いなと思っています。

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エンターテイメントの1つの提案として

──改めて、お互いの印象や、感じている魅力はどうですか?
原田 先ほども「人見知りなので」とおっしゃっていましたが、こうしてちゃんとお話になっているのを聞くとすごいなと。謙虚な人という言葉では片づけられない、非常に純粋なピュアなものをお持ちなので、きっと色々な色に染められる方であり、もちろん技術もお持ちなので、創り手としてワクワクさせてくださる方です。様々な可能性を期待させてくださいますし、とても優しいので、いらっしゃるだけで場を和ませる力がある方だなと思っています。
はいだ うれしいです。私は原田さんが『ひめゆり』の檜山さんを演じておられるのも拝見していて、歌も演技も実力があって素晴らしい方だとわかっていましたが、今回本当に初めてお会いして、歌稽古をさせて頂いたら明るくて、優しくて、しかも皆のことをすごく見ていてくださるんです。ほんのちょっとした表情の変化なども見逃さずにいてくださって、不安になっていたら、スッと近くに来て一緒に歌ってくださったり、「もう1回やりましょう」と言ってくださる。舞台に立たれている時のストイックな部分以外に、とても柔らかで、細やかで、皆を見抜く力をお持ちで、皆の良いところを出してあげようという気持ちを持ってくださることが、舞台創りにもつながっていっていると感じます。まだお稽古開始から、間がないのですが、原田さんについて行こう!と自然に思わせてくれるので、初日までにどうなるんだろうというドキドキが、ワクワクに変わっています。周りの方からも色々情報が入ってくるのですが、すごく才能があって良い方だという話ばかりで。
原田 何それ?(笑)
はいだ ホント、ホント、誰からも悪口を聞かないの。
原田 本当に?
はいだ 本当に。しかも私はすごく周りを観察する方なので。
原田 稽古初日とか、本当に観察してたよね(笑)、ずっと周りを見てた。
はいだ そう、喋らない分じっと見ていて(笑)、自分自身でも「ああ聞いていた通りの方だった」と感じたので、ついて行きたいと思います。
原田 良かった!
──お2人共、ミュージカルの二枚目役や、宝塚の煌びやかさとうたのお姉さんの優しさなどがイメージとしてありつつ、コミカルな面もお持ちで、振り幅の広さも魅力ですが、そういう点もこのステージに活かそうと?
原田 自分は「振り幅」が職業という気持ちですね(笑)、「振り幅俳優」だと思っているので(笑)。ただ、それは王道のプリンス役もやってきたからこその振り幅ですし、自分の信条としては「品を保つ」というのがあって、例えどんなに下世話なことをやっても品は崩さない中での振り幅なので、そういう面を共通認識として持ってくださっている方が、今回も集まってくださっていると思っていますので、そういう意識で創っていけると思います。
はいだ はい、そうですね!
──ますます楽しみが広がりますが、では改めて意気込みをお願い致します。
はいだ 歌もあり、笑いもありという舞台に立たせて頂くのは初めてですし、ミュージカルではなくコンサートのステージで、色々な方とご一緒に出演させて頂くこともこれまでなかったので、今、これは絶対面白くなるだろう、お客様がきっと喜んでくださる、その姿が想像できます。なので、音楽と笑いで癒されてお帰り頂ける素敵な舞台になると思うので、是非皆さんにたくさん観に来て頂きたいなと思います。
原田 上級な歌と上級な笑いを、出演してくださる方達と共に楽しんで創っているので、是非皆さんも楽しみに観にいらして頂きたいと思います。歌が上手いということは、ただそれだけで笑える要素にもなって「歌が上手いだけで笑えるってずるいよね」(笑)と言って頂くくらい、技術でしっかり遊ぶということを今回も実現させたいなと思っています。ですから、歌をしっかり聞きたい方にもいらして頂きたいですし、ミュージカルの歌にはこういう歌い方もあり、こういう見せ方もありますという、エンターテイメントとしての1つの提案なので、こういうことも日本で出来るようになりましたという、こういう技術を持った方達がたくさんいますということを、どんどんお見せしていきたいです。お客様の目も今はとても肥えていらっしゃるので、逆にそこの不意を突いていくような感じのミュージカルレビューが提案できたらいいなと思っています。是非多くの方に劇場に足をお運び頂きたいなと思っています。

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はいだしょうこ、原田優一

はらだゆういち○埼玉県出身。9歳よりTV、舞台、映画、ライブ、ダンス・イベントに多数出演。安定感のあるソフトな歌声と、二枚目役から個性的なキャラクターまで、幅広い役をこなせる逸材として、ミュージカルを中心に活動中。『KAKAI歌会』、オフブロードウェイミュージカル『bare』等、構成・演出活動にも積極的で好評を得ている。15年自身初のソロCD「いつか」をリリース。主な出演作に、『ミス・サイゴン』(クリス役)『レ・ミゼラブル』(ガブローシュ役、アンジョルラス役、マリウス役)、『ラ・カージュ・オ・フォール』(ジャン・ミッシェル役)、『TARO URASHIMA』、『瀧廉太郎の友人、と知人とその他の諸々』等がある。

はいだしょうこ○宝塚歌劇団出身。在団中は作品のフィナーレを飾る歌手「エトワール」を務めるなど、歌唱力に優れた娘役として注目を集めた。退団後の2003年からNHK「おかあさんといっしょ」うたのおねえさんとして親しまれた。その後は、TV出演、コンサート活動、舞台出演と多岐に渡る活躍を続け、16年にはNHK大河ドラマ『真田丸』にも出演。主な出演舞台作品に、ミュージカル『若草物語』主演ルイーザ役、ブロードウェイミュージカル『回転木馬』キャリー役、ブロードウェイミュージカル『王様と私』などがあり、15年、16年に続いて、17年7月にはミュージカル『ひめゆり』で3度目となる主演キミ役での出演が控えている。

〈公演情報〉
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ミュージカルレビュー『KAKAI 歌会 2017』 
構成・演出◇原田優一
音楽監督◇ YUKA
振付◇中村陽子
出演◇泉見洋平、入絵加奈子、佐山陽規、はいだしょうこ、原田優一、綿引さやか(五十音順)
●5/3〜6◎三越劇場
〈料金〉S席(前方5列目まで)8,000円、一般席7,500円、学生席4,000円(税込/全席指定)
〈お問い合わせ〉三越劇場 0120-03-9354 (10:00〜18:00)




【取材・文/橘涼香 撮影/安川啓太】





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ピアフの人生を朗読とシャンソンで演じる『パンク・シャンソン〜エディット・ピアフの生涯〜』 水夏希インタビュー

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水夏希が、ドラマティカルシリーズリーディングvol.1と銘打ち、新しい企画を立ち上げた。
これまで『サンタ・エビータ〜タンゴの調べに蘇る魂』(2015年)のエヴァ・ペロン、『サラ・ベルナール〜命が命を生む時〜』(2016年)のサラ・ベルナールと、伝説的な女性の一生にチャレンジしてきた彼女が、今回の企画で取り上げるのは、世界中で愛されているシャンソン歌手、エディット・ピアフ。朗読と彼女の名曲の数々で波乱に富んだその人生を歌い上げる。
よみうり大手町ホールで、5月2日に幕を開けるこの公演を前に意欲に燃える水夏希に、本作の内容や最近の活動についても話してもらった。 

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表現が千差万別で可能性が無限にある
 
──これまでエヴァ・ペロンやサラ・ベルナールなど、ドラマティックな女性を演じてきましたが、今度はピアフということで、女性の一生を演じるのは、水さんのライフワークになりつつありますね。
そうなればいいですね。どの女性の人生もドラマティックで、自分の人生では体験できないようなことを、演劇で追体験していけるという意味では、毎回得るものが大きいので。これからも色々な女性と出会いたいです。
──ピアフといえばシャンソンですが、先日、越路吹雪 三十七回忌特別追悼公演『越路吹雪に捧ぐ』に参加されたばかりで、シャンソンを歌う機会が続きます。
巡り合わせというか、たまたまなんです。ただ、毎年やらせていただいていたコンサートの代わりにこのリーディングシリーズが始まり、まずは歌うこととじっくり向き合おうと思っていたところなので、良いタイミングで続いた感じです。
──『越路吹雪に捧ぐ』では3曲歌って、ピアフの「水に流して」も見事に歌いこなしていました。なかなか難しい曲だったのでは?
楽曲的には、シャンソンはそれほど難しくはないんです。音域も広くないし、リズムとか音程もそんなに複雑ではない。ですから曲としては簡単なのですが、簡単だからこそ、その表現が千差万別で、いかようにも歌えるし、可能性が無限大にあるんです。たとえば「水に流して」の中に「もういいの」というフレーズがありますが、その人にとって何が「もうよくて」、どういうふうに「もういいのか」、その言葉をどう捉えるか、そして自分はどう表現するかは、人によって違ってくる。覚えて歌うこと自体は難しいことではないのですが、それを自分の歌として聞かせるというのがものすごく難しい。
──確かに1曲1曲、ドラマを演じるのがシャンソンだと言われますね。
ドラマがないと歌い流す感じになってしまうんです。とくにこの作品はピアフの人生を追いながら曲が入ってきて、しかもピアフの曲は出会った男性によって生まれるので、その時のドラマとともに曲を歌うことになります。そんなふうにピアフの人生を綴りながら歌っていく形なので、よりドラマチックに1曲1曲を歌うことが必要ですし、そのことで作品自体も盛り上がると思います。
──歌う曲は何曲くらいですか?
全体では7曲です。鼻歌やワンフレーズだけ歌うものもあります。
──その中で好きな曲は?
「群衆」ですね。リズミカルだしドラマティックで、情景が目に浮かびます。ドラマがあると言われるシャンソンの中でも代表のような曲だと思います。ほかの曲も有名なものばかりですが、どれも歌うのは大変で、「愛の讃歌」なども音程はそれほど難しくないんですが、そのシンプルな曲をどれだけ色彩豊かに、丁寧に、繊細な表現で歌えるかで。私はなんて恐ろしいことにチャレンジしようとしているのかと(笑)。
──歌をもっと詰めていきたいという話が出ましたが、3月のミュージカル『アルジャーノンに花束を』は、難易度の高い曲ばかりでしたね。
あの作品の音楽は本当に難しかったです。作曲された斉藤恒芳さんならではの、良い意味で凝った楽曲が多かったので。例えば3度で降りる音程だと思っていたら4度で降りるとか。そういう単純ではないメロディがたくさんありました。
──その難曲をクリアしてのピアフですから、さらに高みを目指すチャンスですね。
エベレストです。そびえ立つ遥かなる山みたいな(笑)。でもそういう、「登るのが絶対無理!」みたいなチャレンジをしなくてはいけない時期は、やっぱり必要ですし、このタイミングでピアフがきたというのは、今、この山に登りなさいということで。
──とにかく登り続けなさいと。
果てしないですが(笑)。シャンソンも知れば知るほど深くて、この深い底はどこにたどり着くのか、誰か教えてくださいというような世界ですが、今できる精一杯をやるしかないので。

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相手役とその日のセッションで作っていく


──今回の演出は鈴木勝秀さんすが、とても演劇的な演出家ですね。
スズカツ(鈴木勝秀)さんとは、『7DOORS〜青ひげ公の城〜』(12年)でご一緒させていただいて以来になります。いつかまたご一緒にと思っていましたが、念願叶って今回実現しました。いろいろ話し合って、それこそセッションをしながら作っていくことが出来る方なんです。
──スズカツさんは音楽マニアでもありますね。
そうなんです! 音楽が好きでいらっしゃるから「朗読も音楽だと思ってるんです」とおっしゃって、「セリフも音楽です」と。セリフという音楽が流れている中に、歌がドーンと立ち上がるようにしたいそうです。
──共演の方は日替わりで、それぞれ実力派や若手演技派の方ばかりですね。『サンタ・エビータ』もそうでしたが、朗読劇も相手役と息を合わせて芝居することが大事なのでしょうね。
ただ、スズカツさんは何度も何度も稽古をする方ではないんです。とくにリーディングは2回ほど合わせたら本番になります。だからこそ、その日のキャストの皆さんのセリフをよく聞いて、その場の空気を共有しながら会話することが必要で。その日その日のセッションが生まれてくるところに面白さがあるし、スズカツさんはそれをものすごく信じていらっしゃるんです。
──セッションするためには、台本を体に入れておかないといけないのでしょうね?
それがスズカツさんは、「自分でもそんなに稽古しないでください」とおっしゃるんです(笑)。そうは言っても、ピアフの人生を演じるわけですから、ちゃんと作り上げていかないとできないのですが。大事なのはその場で相手役の方と会話することで、基本的に「見る」とか「聞く」というのは、視界に入っているだけではなく「しっかり見る」ことであり、聞こえているではなく「ちゃんと聞く」ことなので、まずは相手役さんがおっしゃっていることを、よく聞くことが一番必要だと思います。
──台本を読みつつ、その場で感情を表現するわけですから、なかなか難しい作業ですね。
でも、動きがないことでセリフに集中できるというのはあります。動きで助けられることも沢山ありますが、たとえば立った瞬間にさっきまで覚えていたセリフが言えなくなるとか、そういうこともありますから。それに、お客様も目に入る情報が少ないぶん、想像力で補ったり、自分の中で世界観をふくらませていただける部分もあって、そういう意味では、本当にお客様との共同作業だなと思います。

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夢みたいな愛を最後まで求め続けたピアフ

──ピアフという人そのものについては、どんな印象が?
本当に歌と愛に生きた人だと思います。次々に男性を変えていった女性が、時代や国を超えて何故これだけ愛されるのかというと、彼女の歌の素晴らしさはもちろん、根本に愛を求めていたということが共感を呼ぶのではないかと。自分も惜しみなく愛を与えるし、相手にもそれを要求していく。そういう生き方は簡単にはできないですよね。
──台本にも「結婚ぐらいでは彼女の愛は満足しなかった」という台詞が出てきますね。
たぶん彼女にとって結婚は本当はどうでもよくて、自分のことを自分が要求する形で愛してくれる人を求めていたのではないかと。彼女は出生を祝福されなかった人で、愛を知らないまま人生がスタートしてしまった。知らないから、「そんな夢みたいなこと」と言われるような愛を、真摯に純粋に求め続けて、でも最後まで「夢」だったから得られなかったのかなと。彼女が求める愛の正解は、どこにもなかったのかもしれないという気がします。
──愛に苦しんだピアフですが、歌だけはいつも身近にありましたね。
そうですね。お酒と薬と病に侵されても歌い続けられたのは、彼女に与えられた才能だと思います。歌をやめることも選べたけれど、選ばない、そんなことは選べやしない。彼女には当たり前のことだったんだろうなと思います。
──表現をすることを知ってしまった人は、やめることができなくなる。そこは水さんも同じでは?
興味が尽きないんですよね。シャンソンでもダンスでも、もっとこんな表現ができるのかなとか、こんなこともできる、あんなこともしたい、あんな世界を見てみたいとか。私はどちらかと言えば飽きっぽいんですけど(笑)、こんなにも続けられる仕事があったのだと。いつのまにか続けていたし、たぶんやめる選択肢もゼロではなかったと思いますが、他の仕事だったらこんなに続けられたかどうか。
──興味が尽きないというのは幸せですね。また新しい課題が生まれるわけですから。
少し前までは、たとえば観劇するのも仕事のためという部分が大きかったんです。でも今は知りたいんですよね。私以外の人がどんな発声をするのか、どんな動きをするのか、総じて、どんな表現をするのか知りたいんです。
──演じることも、どんどん面白くなっているのでは?
今は、自分の感情を解放するのが課題で。宝塚では自分の感情に蓋をして生きることが当たり前で、それで別に苦しくもなかったし、そうすることが大事だったと思っています。でも今は、色々なワークショップなどを経験する中で、自分の感情にちゃんとフォーカスすること、自分は今どう思っているのか、どんな感情なのか、そこの制約を解除していくことが、これからお芝居を続けていくためにすごく必要だなと。それがないと自分の感情を使えないんです。とくに今回はそれができないとピアフを演じられないと思うので。
──また新しい水夏希が見られそうですね。最後に改めて意気込みを。
私というよりピアフの人生を見てほしいです。今回はとくにそう思います。もちろん私が演じるので自分以外の何者でもないのですけど、でも私の体を使って、声を使って、ピアフをお届けしたいなと。お客様が、ピアフの人生を一緒に体感できるような時間になればいいなと思うんです。客観的に「そういう人だったんだ」というのではなく、ともに生きていただいて、ともに感情を揺さぶられるような時間になればいいなと思います。
 
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みずなつき○93年宝塚歌劇団入団。07年『エリザベート』のトート役で雪組トップスターに就任、10年に宝塚を退団。最近の舞台は、リーディングドラマ『サンタ・エビータ〜タンゴの調べに蘇る魂』、音楽朗読劇『幸せは蒼穹の果てに』、DANCE OPERA『マスカレード2015 〜 FINAL』、30-DLUX『新版 義経千本桜』、『Honganji』、ENTERTAINMENT ORIGINAL MUSICAL SHOW『RHYTHM RHYTHM RHYTHM』、DANCE LEGEND vol.3 BAD GIRLS meets FLAMENCO BOYS『FLAMENCO CAFE DEL GATO』、ブロードウェイミュージカル 『CHICAGO 宝塚歌劇OGバージョン』、プレミア音楽朗読劇『VOICARION〜女王がいた客室〜』、『サラ・ベルナール』〜命が命を生む時〜、『エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』、ミュージカル『アルジャーノンに花束を』、越路吹雪三十七回忌特別追悼公演『越路吹雪に捧ぐ』など。7月にはミュージカル・コメディ『キス・ミー・ケイト』への出演が控えている。
 
〈公演情報〉
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ドラマティカルシリーズ リーディングvol.1
『パンク・シャンソン〜エディット・ピアフの生涯〜』
構成・演出◇鈴木勝秀
アコーディオン◇アラン・パットン
出演◇水夏希/福井貴一・山路和弘・石橋祐
日替わりゲスト◇辻本祐樹・牧田哲也・渡辺大輔(五十音順)
※5/6  14時回は出演者4名での特別バージョンとなります。
●5/2〜6◎よみうり大手町ホール
〈料金〉8,900円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京音協 03-5774-3030(平日 11:00〜17:00/土日祝休)

 



【取材/榊原和子 文・撮影/竹下力】





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ミュージカル『アニー』が新しく生まれ変わって開幕! マルシア&彩乃かなみ インタビュー

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演出もキャストも一新されたミュージカル『アニー』が、4月22日から新国立劇場 中劇場でいよいよ開幕する!
人気ミュージカル『アニー』も今回で32年目、演出を16年間担当してきたジョエル・ビショッフに代わり、日本のミュージカル界で次々にヒット作を手がけている山田和也が演出を手がける。それとともにオーディションで選ばれた2人のアニーはもちろん、大人キャストも全員新しくなり、フレッシュな新生『アニー』の誕生となる。

【ものがたり】
舞台は1933年のニューヨーク。世界大恐慌直後の街は、仕事も住む家もない人であふれていました。誰もが希望を失っているなか、11歳の女の子アニーだけは元気いっぱい。11年前、孤児院の前に置き去りにされたというのに、いつか両親が迎えに来ると信じて、逆境にひるむことなく前向きに生きています。
そんなある日、大富豪オリバー・ウォーバックスの秘書グレースに気に入られたアニーは、クリスマスの2週間をウォーバックスのもとで過ごすことに。明るいアニーに孤独な心をなぐさめられたウォーバックスは、アニーを養女にしたいと思うようになります。しかしアニーは、本当の両親と暮らすという夢をあきらめきれません。その強い気持ちに打たれたウォーバックスは、懸賞金をかけて彼女の両親を捜すことにします。
ところが、それを知った孤児院の院長ミス・ハニガンと弟ルースター、その恋人のリリーは、懸賞金目当てに悪だくみを始めて……。アニーの夢はかなうのでしょうか?
 
この舞台で、孤児院院長のミス・ハニガン役を演じるのはミュージカル界きっての実力派マルシア、そして秘書グレース役は元宝塚月組トップ娘役で舞台を中心に活躍する彩乃やかなみが扮する。まさに適役であり、ともに圧倒的な歌唱力を持つ2人の参加で、ひときわパワーアップしたミュージカル『アニー』。2人に初参加の抱負を聞いた「えんぶ4月号」の記事を、別バージョンの写真とともにご紹介する。

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必死になればなるほど面白いミス・ハニガン

──この作品についてはどんな形でご存じでしたか?
マルシア 映画版を観ているので物語はよく知っています。でも舞台はまだ拝見したことがないんです。今回、出演できるのでとても楽しみです。
彩乃 私は昨年、宝塚で同じ組にいた遼河(はるひ)さんが、ハニガン役で出演したので、初めて拝見して感動しました。テレビなどでオーディション風景は見ていて、泣きながら「トゥモロー」を歌っている子供たちの姿が印象的でした。
──お2人の役ですが、マルシアさんは孤児院長のミス・ハニガンですね。
マルシア 怖い女性みたいに言われますけど、ハニガンなりにがむしゃらに生きてきただけなんです。1930年代のアメリカは荒廃した時代だったので、みんなが必死で生きている中で、ハニガンも強くなってしまったのかなと。でも男性には愛想がよかったり(笑)、そういうギャップも面白いですね。
彩乃 チャーミングな部分がありますよね。子供たちにからかわれたり、厳しいけれど、ただ怖いだけではないという気がします。
マルシア 映画版を観たとき、ハニガンがおかしくてずっと笑ってました(笑)。必死になればなるほどどこか抜けている部分もあるのかなと。グレースとの掛け合いも、そういう感じで面白くなればいいですね。
彩乃 そうですね。
──グレースはどう演じたいですか?
彩乃 ウォーバックスさんの秘書でアニーを支える女性ですが、キャラクターとしてはあまり強い個性ではないので、周りの個性的な皆さんの中で、どう存在感を出していくかが大事かなと。アニーを見つけ出す先見の明や直感力に優れた、知的な女性を素敵に演じたいと思います。

良い時代に生きていることをアニーで確認してほしい

──ダブルキャストのアニーと共演することはいかがですか?
マルシア 私は『レ・ミゼラブル』でトリプルキャストを演じましたが、相手がダブルというのは初めてです。でも今回のアニーたちは、背の高さとか見た目が違っていて、それぞれ魅力があるので楽しみです。
彩乃 私もダブルの方とお芝居するのは初めてです。製作発表のときなど、2人とも話すことがしっかりしていて、それだけ『アニー』に出演するという夢を持って、ここまで頑張ってきたのだなと感動しました。私のほうが貰えるものがありそうです。
──歌声には定評のあるお2人ですが、ミュージカルの魅力、『アニー』の魅力を語っていただきたいのですが。
マルシア 私はほとんどミュージカルしかやっていないので、音楽があって当たり前と思っていますし、劇中の音楽は心を語る時間だと思っているんです。この『アニー』は楽曲もとても素晴らしくて、だから31年間も愛されてきたわけだし、その魅力をきちんと伝えて、ミュージカルを好きな人にとっても、たまらない『アニー』を作りたいですね。
彩乃 これだけ長く続いている理由の1つに、お子さんが主役で、親子で観られるミュージカルだということもあると思います。一生懸命生きているアニーや孤児たちの姿に、大人も力をもらえるんです。
マルシア 本当にそう! お子さんも大人も、どれだけ今平和で良い時代に生きているかを、アニーで確認してほしいです。アニーは必死で親を探します。その姿に自分の今の幸福を感じていただければ。そういう意味でも、これはとても優れたミュージカルだと思います。

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マルシア、彩乃かなみ

まるしあ○ブラジルサンパウロ出身。日系3世として生まれる。1989年「ふりむけばヨコハマ」で歌手デビュー。女優・タレントとしてミュージカル、ドラマ、バラエティなど幅広く活躍中。01年、ミュージカル『ジキル&ハイド』で01年度第56回文化庁芸術祭演劇部門新人賞、05年度第31回菊田一夫演劇賞を受賞。最近の出演舞台は『青い種子は太陽のなかにある』『マハゴニー市の興亡』など。

あやのかなみ○群馬県出身。97年宝塚歌劇団に入団、05年に月組のトップ娘役に就任、08年退団。以後は、女優として幅広く舞台で活躍中。最近の主な作品は、ミュージカル『何処へ行く』『セレブレーション100! 宝塚』『マホロバ』『SUPER GIFT』『クリエンターレ!』『夜の姉妹』ロシア文化フェスティバル2016『バレエ ガラ 夢 コンサート 2016』『オフェリアと影の一座』など。

〈公演情報〉
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丸美屋食品ミュージカル『アニー』
脚本◇トーマス・ミーハン 
作曲◇チャールズ・ストラウス 
作詞◇マーティン・チャーニン 
演出◇山田和也 
出演◇野村里桜/会百花(ダブルキャスト)  藤本隆宏  マルシア 彩乃かなみ  青柳塁斗 山本紗也加  ほか 
●4/22〜5/8◎新国立劇場 中劇場
8/10〜15◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
8/19・20◎仙台・東京エレクトロンホール宮城
8/25〜27◎愛知・愛知県芸術劇場大ホール
9/3◎上田・サントミューゼ大ホール 
〈お問い合わせ〉東京公演/キョードー東京 0570-550-799 
http://www.ntv.co.jp/annie/



【取材・文/吉田ユキ 撮影/岩田えり】




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