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インタビュー

11月明治座公演『京の螢火』でおりょうを演じる! 田村芽実インタビュー

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幕末の動乱に揺れる京都・伏見を舞台に、維新の嵐が吹き荒れる激動の時代を生き抜いた寺田屋お登勢とその夫伊助を描いた物語、『京の螢火』が11月明治座で上演される。
1971年に初演されたときの舞台の良さは残しつつ、脚本・演出のわかぎゑふが、2017年に相応しい幕末ものとして新たに書き下ろし、スピード感と華やかさを備えた、人間味あふれるドラマが生まれ出る。
その作品で、坂本龍馬ののちの妻であり、黒木瞳が演じるお登勢のもとへ養女として預けられるおりょう役を演じるのが田村芽実。元アンジュルムの中心メンバーであり、グループ卒業後、女優として着実な歩みを続けている期待の若手で、これが明治座初出演となる。
そんな彼女に、作品のこと、役柄のこと、更に初めての和物舞台への挑戦と、明治座初舞台に賭ける意気込みを聞いた「えんぶ12月号」のインタビューを、11月9日の本誌発売に先がけて公開!(本誌には別バージョンの写真が掲載されています)
 
自分がやりたいことに真っ直ぐなおりょうの役割を大切に

──まず作品について、どう感じていらっしゃいますか? 
背景になっている時代が幕末なので、坂本龍馬や新選組など皆さんがとてもよくご存じの実在の人物も多く登場するのですが、今回の物語でスポットが当たっているのが、黒木瞳さん演じる「寺田屋」の女将のお登勢で、女性が生きていく上で何かと窮屈だった時代に、強く生きていく姿が描かれている。人間の物語になっているところが、とても素敵だなと思いました。
──その中で田村さんが演じるおりょうは、坂本龍馬の妻として後の世にもよく知られている女性ですが、取り組んでいていかがですか?
たくさんの女優さんが演じてこられている実在の女性で、映画やドラマなどで様々に描かれてきた人物なので正直プレッシャーもあります。おりょうのことが書かれている本なども買い集めて読んだりもしました。台本の中で起きる出来事の1つ1つに対して、彼女がどう感じて行動したのかを大事にしたいと思っています。お登勢が周りの人間のことを第一に考えて、常に気配りを欠かさずに生きている女性なので、そんな姿をよりお客様に伝えるためにも、自分がやりたいことに真っ直ぐに飛び込んでいくおりょうを、私がきちんと演じることが必要だと思いました。そんなおりょうの役割を大切に演じたいです。

初めての和物の芝居でたくさんのことを学ぶ日々

──稽古の中で、楽しいと思うこと、また大変だなと思うことなどはどうですか?
私は和物のお芝居に出させて頂くのが初めてなので、毎日浴衣を着ること自体が初体験でした。帯があるので、椅子の背もたれに寄りかかれないですし、常に姿勢をピシっとしていないといけない。着物も浴衣も大好きですが、日常的に着てはいなかったので、所作や歩くことから大変です。歩くという事も、現代劇ではただ普通に歩けたものが、着物では裾を綺麗に歩かないといけない。ついそこに神経がいってしまって、役として表現することが後回しになってしまい。今は色々なところに神経を集中させ、張り巡らさなければいけなくて大変です。
──着物と洋服とでは歩幅も全く違いますし、特に田村さんはダンスをずっとやっていて、足も常に外向きだったところから、和物では内向きにするわけですものね。
そうなんです。元々はすごく内股で、小学校3年生くらいの時にダンスの先生に外股にしなさい、と指導されて一生懸命意識して外股にしていました。その分、今、内股に戻すのが難しいです。
──長年意識して矯正したものを、また意識して、しかも短期間で戻すというのは苦労も大きいと思いますが、だからこそ様々な意味で、吸収することの多い現場なのでは?
本当にそうです。大先輩のお芝居を毎日身近で拝見させて頂けるので、もう瞬きするのも惜しいくらい、日々前のめりで学ばせて頂いています。台本を読んでいた時には私が想像もしていなかった深い表現を皆さんがなさいますし、面白いポイントや、感動するポイントをどんどん提示してくださるので、毎日がとても刺激的です。

明治座の舞台に立てる奇跡に恥じない舞台を務めたい

──身近で演じる黒木瞳さんからはアドヴァイスなども?
たくさん頂いています。初めは、おりょうをもう少し大人っぽいイメージで捉えていたのですが、「もっと大胆にぶつかってきてくれて良いのよ、おりょうはこの時代のギャルだから」と、すごくわかりやすいように表現してくださって、自分の中でも方向性が固まりました。他にも様々なアドヴァイスをくださるので、とても感謝しています。
──坂本龍馬役の藤本隆宏さんとのお芝居はいかがですか?
藤本さんは本当に優しくて、紳士的な方です。ご一緒のシーンだけでなく、他の私が出ているシーンも見ていてくださって「ここがとても良かったですね」と言葉をかけてくださいます。水泳をやっていらして逞しいので、初めてお会いした時から、もう坂本龍馬そのままの方だと思いました。
──わかぎゑふさんの演出についてはどうですか?
実際にゑふさんご自身が動いて演出をつけてくださり、的確な指示をくださるので、とてもわかりやすいです。休憩時間には気さくに声をかけてくださいます。ゑふさん、黒木さん、筧利夫さんが中心になって、場を和ませてくださるので、本当に良い雰囲気の中お稽古させて頂けるのが幸せです。
──明治座という老舗の大劇場に出演される今の気持ちは?
私はこの舞台の幕が開く時には19歳になっています。この年齢で歴史ある明治座の舞台に立たせて頂き、そしてこんな大役を頂けたという事は奇跡だなと感じています。だからこそ、それに恥じないように演じたいですし、またいつの日か「また明治座に戻ってこられて嬉しいです」と言えるように頑張らなくてはと思いました。そして、個人的にもずっと忘れられない作品になるのではないかと思っています。どの役柄も魅力的で、どのシーンも素晴らしい作品なので、あちらこちらに込められた「螢火」を探しに、是非明治座にいらしてください!

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たむらめいみ○1998年10月30日生まれ、群馬県出身。11年にハロー!プロジェクト!スマイレージ(14年にアンジュルムに改名)としてデビュー。高い歌唱力と表現力で中心メンバーとして活躍。16年5月、かねてからの夢であった女優を志し、武道館公演をもってグループを卒業。17年、舞台『minako─太陽になった歌姫─』で主演の本田美奈子役に抜擢。続いて『TRUMPシリーズ グランギニョル』に出演するなど、着実な歩みを進めており、今後の更なる活躍が期待されている。


 
〈公演情報〉
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明治座11月公演『京の螢火』
原作◇織田作之助「螢」司馬遼太郎「竜馬がゆく」脚本 北條誠より
脚本・演出◇わかぎゑふ
出演◇黒木 瞳、筧 利夫藤木隆宏渡辺大輔桜乃彩音田村芽実/深沢 敦伊藤正之河相我聞沢田亜矢子   ほか
●11/3〜26◎明治座
〈料金〉 S席(1階席・2階前方席)12,000円 A席(2階後方席・車椅子スペース)8,500円  B席(3階席)6,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉明治座チケットセンター 03-3666-6666(10時〜17時)




【取材・文/橘涼香 撮影/友澤綾乃】




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ネリー・アルカンの『この熱き私の激情〜それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌』に出演! 霧矢大夢インタビュー

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6人の女優と1人のダンサーが、1人の女性の人生を描く舞台『この熱き私の激情〜それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌』が、11月4日〜19日まで天王洲の銀河劇場で上演される。(そののち、広島、北九州、京都、豊橋で公演)

わずか8年間に、心の内側に秘めた怒りを爆発させ、熾烈で思わず目をそらしたくなるほどの作品を執筆し、大胆かつ悲劇的にこの世を去って行った小説家ネリー・アルカン。
彼女は、1973年生まれ。カナダ、フランスで著名な人気女性作家で、09年9月に36歳の若さで自ら人生の幕を閉じた。そんな彼女の小説の舞台化であるこの作品は、女であることへの戸惑い、怒り、コンプレックス、そして生きていくことへの辛さ、悲しみ、無力感と孤独が、隔絶されたそれぞれの部屋にいる6人の女優と、唯一部屋を行き来できる1人のダンサーによって、描かれていく。
 
初演は2013年、カナダ・モントリオールのESPAS GOで、長年、ロベール・ルパージュとコラボレートし、ルパージュの作品に多く出演したマリー・ブラッサールの翻案・演出で上演され、その年の話題を浚った。
今回の日本版には、松雪泰子、小島聖、初音映莉子、宮本裕子、芦那すみれ、霧矢大夢という女優6名と、ダンサーとして国内外で活躍する奥野美和のまさにベストキャストが集結。ネリー・アルカン自身を主人公とした映画『ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で』の公開、彼女を一躍ベストセラー作家に押し上げた衝撃のデビュー作『ピュタン』の改訂翻訳版出版とも連動した、ビッグプロジェクトとなっている。
 
そんな作品に登場する6人の女優の1人である、元宝塚月組トップスターで、退団後も数多くの舞台で活躍中の霧矢大夢が、全く新しい舞台への挑戦を、自身の家族の話も交え、意欲的に語ってくれた。

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独特な世界観の中で描かれる普遍的なテーマ

──まず作品について、どんな風に捉えていますか?
この作品の前に『THE LAST FLAPPER』という、ゼルダ・フィッツジェラルドの人生を1人芝居で演じさせて頂いたのですが、今回のネリー・アルカンとゼルダはもちろん全く違う人物なのですが、女性としての自分や、社会の中での自分、更に年老いていくことにぶつかって葛藤していく様に、共通するものを感じました。自分に直接影響を与えた家族の話などにも共通点があって。ですから、この舞台は表現方法こそ一種独特な世界観だと思うんですが、人間にとって、女性にとって、普遍的なテーマが根底に流れているところに、私は興味を持ちました。自分の思いの丈をどう表現するかが違うだけで、何らかの心の叫びを誰もが持っているんだということを実感できるので、この作品からそういうものを感じて頂けたらと。今回、この女性ばかりのキャストでも、年齢や、歩んできた道のりも、みなさんそれぞれ違いますよね。その人たちが個々にネリーを捉えた時に、全然違うものが生まれると思うので、それがとても楽しみです。
──演じる方ももちろんですし、見る人にもどこに刺さってくるか、それぞれ違ってくると思うのですが、霧矢さんが演じるのは「血の部屋の女」ということで、家族の絆について語る役割ですね。
血縁について語るので、「血の部屋」と称されています。ネリーは大学生の頃から、コールガール、高級娼婦として生きていて、舞台上で私がいるスペースもそういうイメージの部屋です。男性を相手にする時間と時間の間、1人で喋っている光景を切り取ったシーンになっています。彼女には先に生まれて1歳に満たずに亡くなったお姉さんがいたのですが、彼女は姉がそのまま生きていれば、自分はこの世には生まれなかった。自分は姉の代わりの人間なのではないかという思いに囚われてしまっています。自分が生まれたことによって、母親も女としての魅力を失い、どんどん老いて行ってしまう。自分が生まれたばっかりに、本来姉が送るべきだった人生を自分が送っている、自分が姉から人生を奪いとってしまったと。ダンサーの奥野美和さんが、象徴的にシーンの中に登場するのですが、私の部屋の上にちょっと霊的なエリアがあって、そこに奥野さん扮する姉が現れて、まるで双子のようにシンクロして動いたり、姉が私の部屋に入ってきたり、私が上の部屋に行ったりして、お姉さんに対する思いが表現されていきます。
──亡くなった姉との関係から、両親との関係も語られますね。
彼女は幼少の頃、両親のベッドで2人の間に入って寝ていたそうです。日本では両親の間に子供がいて、川の字で寝るというのはごく普通だと思うのですが、海外では夫婦は夫婦の寝室、子供は子供部屋という環境が当たり前なので、多分すごく珍しい状況だったのだと思います。彼女はそうやって両親の間に寝ることによって、本当はお姉さんが生きていたら自分は生まれていなかったのではないか、自分は両親に愛されていないのではないかという思いを打ち消して、両親に自分がここにいるというのを示したかったのではないかと想像しています。お母さんの方を向くと嫌な顔をされるから、お父さんの顔を見て寝ていた、自分が生まれたことによって、お母さんの若さを吸収してしまったのではないか、だからお母さんは私の顔を近くで見るのを嫌がっていると、そういう言葉も語られます。
──肉親に対しての思考が非常に思い詰めたものですね。
そう思います。やがて彼女は小説を書いて、小説家としてデビューしますが、それがどんなに売れて、評価されても、世間では娼婦が書いた小説というレッテルを貼られてしまう。そこに深く傷つきます。演出のマリーさんからは、姉の霊に囚われながら、空想の中で、理想の女神や大家族を創り出し、自分のことを忌み嫌う母親や、老い、相手にしてきた男たちへの怒りや憤りをパワフルに表現しながら、孤独と悲しみを伝えてほしいと。あくまで静的な芝居の中で様々な感情を伝えなくてはいけない難しさを感じています。

部屋写真
この作品の舞台セット

互いが全く見えない中で、共演者の息遣いを感じて

──そういう意味では挑戦でもあるこの作品の、稽古をしていていかがですか?
最初に頭の中で作り上げてきたものと、実際に演じてみたものとの擦り合わせの過程にはまだ入っていないので、本当にこれからだなという感じです。皆で台詞をモノローグで語り、そこに少しだけ歌も入るシーンがいくつかあるので、他のキャストの呼吸や息遣い、存在を感じないといけないんです。それでいて自分のスペースは2メートル四方の部屋だけなので、すごく孤独でもあって、今までの演劇とは全く違う神経を使います。
──皆さんがそれぞれの部屋に入ったままということは、お互いのアイコンタクトもないのですね。
何にもない(笑)。だから空気や、ちょっとしたブレスを感じなければならない。当然ですが、語る言葉も揃えないといけないので、そこは連帯責任ですから、孤独なようで全員で作り上げていく作品です。そういう意味では初めての試みで、本番のセットの中に入るまでは、なかなか想像がつかないですね。それに部屋の前にも透明なガラスがあるので、お客様の空気も感じられないですし。
──客席の空気も、ダイレクトには伝わらないのですね。
1人で4畳ぐらいの部屋に閉じこもって、ずっと語っていますからね。部屋の中で座って、壁を見ながら話している、鏡に映った自分に話しているようにやってくださいと言われています。その方が、観客が登場人物の世界に引き込まれると。最初は戸惑いましたが、自分を信じて表現したいです。
──それぞれ1人ずつ各部屋に入りながら、お互いが見えてもいないけれども、確かに共演しているわけですね。
だからお互いの信頼関係がすごく大事になりますね。それはとにかく稽古を重ねていく中で築き上げていけたらと思います。皆さん個性がバラバラなのに空気が揃うと気持ち良いです。

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作品を通じて親との関係性を考えさせられる

──登場する皆さんがそれぞれネリーの断片という中で、特に血縁を担当するにあたって、霧矢さん自身の家族の絆などにも思いを馳せることがありますか?
私には姉が1人おりまして、両親と4人家族なのですが、姉も私も早くから親元を離れたので、非常に自立している、各々が好きなことをやっている家族です。親にマメに連絡するタイプではないので、年末年始や、両親が舞台を観に来てくれた時ぐらいしか会う機会がありませんでした。特に宝塚時代は実家に帰ることがほとんどなかったので、退団してからようやく親とゆっくりすごす時間が増えました。宝塚に入って、音楽学校を入れると20年、ただがむしゃらに頑張ってきて、親の存在はある意味で置いておいて、自分のことに必死という期間が長かったんです。親と一緒にいる時間が増えたことによって、親のありがたみを強く感じるようになりました。でもネリーは母親のことを疎ましく思うんですね。自分が母親とそっくりになっていくことが嫌で、それもあって彼女は自ら命を絶つという境地に達してしまう。私から見たらそんなこと有り得ないですし、母親にも感謝しているのですが、ただ、母と娘ならば誰しもが抱えるような摩擦みたいなものはわかりますし、私も母にどんどん似て来たなと(笑)。歳をとってきたら似てくるところって、確かにありますよね。若い頃に母に言われてカチンときて怒っていたことも、自分が大人になっていくと、同じようなことを母に向かって言っていたり(笑)。やはり肉親には、どんなに切っても切り離せないものは感じます。私たち姉妹は早く親元を離れた分、自分で自分たちの人生を歩んでいると思って生きてきましたけれど、こういうお仕事を続けさせて頂けているのは、やはり影で応援してくれる存在があるからこそだと気付かされます。ネリーの小説とこの作品をきっかけに、親との関係性を色々考えさせられています。

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シュールな表現の舞台だからこそできる様々な捉え方

──誰にとっても親との関係は大きなことですね。特に長寿社会になって、関わる年月も長いですから。
マリーさんもおっしゃっていたのですが、ネリー・アルカンのご両親もまだご存命で、この舞台もご両親は観にいらしたそうなんです。
──この舞台をですか?
そうなんです。ネリーの書いている小説の中では、ずっと寝たきりで何の気力もなくて、ただただ死を待っているという表現をされているのですが、マリーさんがお会いしてお話をしたら、本に書かれているようなお母さんではなくて、いたって普通の方だったと。だから本に書いてあることも、全てが事実に基づくものではなく、彼女の想像の中とか、象徴的な意味で寝たきりの母親を作っているのかもしれないですし。父親も「大きくなっちゃいけない、大きくなったら誰にも愛されなくなるからね」と言い続けて彼女を育てたと書かれていて、それも彼女が自殺してしまうことにつながるのですが、どうしてそんなことを言い続けたのか、理解は難しいですね。
──親が言った言葉がずっと心に刺さっているというのは、文学の世界では度々書かれていますし、覚えがある人も多いと思います。
幼少の頃に何か言われたり、思い込んでしまったことに人間は囚われがちで、でも傷だと思っていたことも、実はたいしたことではなかった、逆にそれがないと生きてこられなかった、これはそういう発見の舞台になっています。彼女の本がヒットしたのも、そこが魅力だと思いますから。でも本よりも舞台の方が抽象的なんですよ。天空のことを話す場所がバスルームだったり、現実とのギャップを、そういうシュールな歪んだ形で表現していて、私の部屋も仕事場のベッドであると同時に、川の字になって寝ていた両親のベッドも表していて、色々な捉え方ができる空間になっています。ですから、より想像力を喚起されると思います。
──ネリー・アルカンという作家は、日本ではあまり著名ではなかったので、こういう形で紹介されることで注目を集める舞台になると思います。
私も存じ上げませんでした。初版本が絶版になっていたのですが、今回、改訂翻訳版が発売され、色々な意味で有意義だと思います。マリーさんは、ネリーの人生の断片を演じるこの舞台で、日本の女性がネリーを捉えた時に、どういう表現が生まれるのか楽しみにしているとおっしゃっていました。今回の舞台は表現方法が独特で、今までの私は、舞台に立つ時にはお客様にお見せしなければ、言葉を伝えなければという、そこに腐心するのを当たり前のこととしてやって来ましたが、今回はお客様のことをまったく感じていないかのように演じ、マイクもつけ、他の演者の声が聞こえるようにイヤーモニターもつけているので、声を張って台詞を言うこともないんです。そういう演劇に取り組むのが楽しみですし、新たな私を観て頂けると思うので、期待を持っていらして頂きたいです。様々な個性の女優さんが煌めいて、ひしめいて存在しているので、楽しみにして頂けたらと思います。

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きりやひろむ○大阪府出身。94年宝塚歌劇団で初舞台。10年月組トップスターに。12年宝塚退団後、13年『マイ・フェア・レディ』のイライザ役で女優として活動を開始。舞台を中心に、ライブ活動も積極的に展開している。近年の主な舞台作品に、『I DO ! I DO ! 』『ヴェローナの二紳士』『ラ・マンチャの男』『レミング』『THE LAST FLAPPER』『ビッグ・フィッシュ』などがあり、18年『タイタニック』への出演が控えている。



〈公演情報〉
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PARCO Production
『この熱き私の激情〜それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌』
原作◇ネリー・アルカン 
翻案・演出◇マリー・ブラッサール    
翻訳◇岩切正一郎
出演◇松雪泰子 小島聖 初音映莉子 宮本裕子 芦那すみれ 奥野美和 霧矢大夢
●11/4〜19◎天王洲 銀河劇場
他、広島、北九州、京都、愛知にて上演
〈お問い合わせ〉パルコステージ 03-3477-5858 




【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】


誰か席に着いて
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DANCE OPERA『SWAN 2017』いよいよ開幕! 大和悠河・町田慎吾・森新吾インタビュー

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男性エンターテイメント集団DIAMOND☆DOGS(以下D☆D)の栄えある15周年記念公演シリーズ、そのひとつである DANCE OPERA『SWAN 2017』が、本日、10月25日、シアター1010で開幕した。(29日まで)
チャイコフスキーの「白鳥の湖」をモチーフに、リーダー東山義久を筆頭にメンバー全員で作り上げた挑戦と冒険に満ちたステージで、2008年にD☆Dが立ち上げたDANCE OPERAシリーズの第1弾として上演、大きな反響を呼んだ作品で、今回は、D☆Dのメンバーと共に、大和悠河、町田慎吾、橋田康、長澤風海など豪華ゲストが集い、熱い舞台を繰り広げている。
そんな舞台の稽古も終盤に差しかかった時期に、演出を牽引する森新吾が、ゲストの大和悠河、町田慎吾とともに作品の内容、お互いについてなど、楽しく語り合ってくれた。
(公演レポートも近日公開予定) 

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森新吾・大和悠河・町田慎吾

ゲストも増えて、女性も加わって、新しい作品に

──今回の『SWAN 2017』ですが、どんなふうに新しくなるのでしょうか?
 初演時はD☆Dにとって新しい企画で、「DANCE OPERA」というキーワードで作った三部作の第一弾の作品でした。出演していたのもD☆Dの7人で、みんなでこういう作品にしていこうと話し合いながらの共同作業だったので、かなり四苦八苦しながら、演出にTETSUHARUさんも参加していただいて、なんとか作り上げたんです。それが好評で翌年再演して、それ以来ですから8年ぶりになります。その間に僕たちの培ってきた経験をもとに、また新しく作り直そうということで、一応、僕が舵をとって全体を見るという形になっています。
──最近の公演は森さんが演出を手がけることが多いですね。
 そうですね。僕の考えたコンセプトをもとに、メンバーみんなで考えながら作っています。今回はゲストの人数も増えて、大和悠河さんという女性も加わるということで、かなり内容を変えたものになります。単純に役を追加するのではなく、世界観をもっと大きくして、1人1人がその世界の中できちんと生きるようなポジションを作っています。劇場も広くなるのでスケールの大きいステージにしなくてはならないということで、創作のパズルのピースがなかなかはまらなくて大変でした。初演で良かったところや、作品のフレイバーは残していかないといけないし、新しい部分とのバランスが難しかったですね。
──まるで新作を書くような苦労ですね。
 そうです。全く新しい作品になっていると思います。音楽は基本的にそのまま使っていて、初演をご覧になった方には、音楽を聞きながら、ここがこう変わったんだと思える楽しみがあるのではないかと。もちろん新しい楽曲も、la malinconicaとT-LAYLAに作っていただいたので、新鮮に聞いていただけると思います。

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周りを虜にする、香港版峰不二子の大和悠河

──今回のゲストの方々の役どころを教えてください。
 悠河さんは、香港版峰不二子です。「ルパン三世」に出てくる峰不二子さんは、状況に応じて二転三転するんですけど、こちらはまっすぐな心をもった峰不二子さんみたいな感じで、男性も女性も虜にしてしまう魅力を持っている女性です。
悠河 男社会のマフィアの中で生きていく女って、きっとこんなだろうなと想像しながらやってます。私、マフィア系の話とか好きで、映画の『ゴッドファーザー』が大好きで、今回、初めてストーリーを読んだ時に、これは絶対に好きな世界だなと。一体どうなっていくんだろうとワクワクしました。いつもそばにいる男性が変わっていく。でも一途に思っている人はいるんです。
 マフィアの内部抗争のお話で、悠河さんがアイコンとして凜としている、そこに男性が巻き込まれていくという図式です。悠河さんは別にそれを利用してはいないのですが、周りは翻弄されていく。最終的には内部抗争の先に見えるものとは?というテーマで、重要な役割を果たします。
──魅力的な存在でいなくてはいけないわけですね。
 悠河さんには男性が見て惹かれる部分と、女性から見て惹かれる部分の両方があるじゃないですか。そこを今回、圧倒的なビジュアルで見せていただきます。
──宝塚時代からの持てる技術をフル稼働できますね。
悠河 今までの技術を色々使って。でも今回、セリフではないかたちで全てを表現するのは初めてで、セリフは少しはあるんですけど、メインはダンスとアクションで、そういうもので全てを表現するんです。すごく新鮮に感じますね。
──宝塚のショーも、ストーリー仕立ての場面がありますね。ああいう感じでしょうか?
悠河 そうですね。宝塚のショーも場面場面に物語があって、それをダンスや歌で表現してましたね。あのパターンですね(笑)。

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──町田さんはどんな役ですか?
 今回はマッチーの人柄を全部否定するような役です。悪役で、基本的に悠河さんがおっしゃったようにノンバーバルで物語が進んでいくのですが、マッチーは見ているだけで、ああ恐い人だなと感じさせます。
悠河 本当に恐い! 役なのかご本人なのかわからないくらい。
町田 ええっ?そうですか?(笑)
悠河 毎日、本当はどうなんだろうと考えてしまう!それぐらい不思議なものを持っていらっしゃいます。
町田 いや、何もないです。こんな感じです(笑)。
──えんぶ10月号のインタビューでも、稽古場では役に入り込むとほかのことができないと。そういう状態なのですか?
町田 そうです(笑)。とくに今回の、熱がない冷酷な感じというのは、今までになかった役で、セリフもありませんから、どうやったらいいのか自分の中で探しています。
 セリフがあるならセリフで積み重ねていくところを、今回はセリフのない中で表現しないといけない。そこは緻密な作業が必要ですし、マッチーにはシビアな部分で戦ってもらわないといけないだろうなと思っています。たとえば歩く速度というのも、音楽がある中で、この役は、かなりゆっくり歩かなくちゃいけない。ちょっと違和感があるかもしれないけれど。
町田 そうですね。難しい。
 そこがノンバーバルの面白さというか、そこで表現するわけで。動きを音楽に当てるのは簡単なことなんですけど、そうじゃなく僕たちがやっていることに逆に音楽が乗ってくる。それはある程度の技術が備わっていないとできないし、お客さんに気持ち悪く見えてしまうとダメなので、そこの部分のバランスが大事なんです。違和感の部分が理屈が通ってないと観ている方も納得できないと思うので。

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全体を見る力がすごい演出家・森新吾

──森さんは役柄は?
 僕はこの作品で一番都合がいい存在というか、役は何役もあるんですけど、基本的にはこの作品を際立たせるためのスパイス的な存在ですね。
悠河 会長とか警察の人とかやっていらっしゃるんですが、会長の時はドーンとみんなを仕切る存在感があって、警部役では、マフィアとしては「きちゃった!ヤバ!」(笑)という、来ないで欲しい人になってて、出てきただけで空気の色が変わるんです。しかも全体を見ながらですから、すごいなと思います。
 いや、演出的なことをやりながら自分も出るということでは、バイプレイヤーでいればいいし、それを特技で生かしたいと30代ぐらいから思っていたんですけど、最近、限界があるなと。いいものを作ろうとするなら、なるべく演出に徹したいという自分のキャパシティの問題があって、そこはこれから突き詰めていかないといけないんじゃないかと、思っているところなんです。
町田 僕から見たら、森さんの全体を見る力はすごいなと思って、全体を見て把握して、なおかつ自分も出演してというのは大変なことで、それをやっている。とにかく作品が良くなることだけ考えて、自分と周りを見ながらまとめていく、それは本当に素晴らしいなって思います。
──お二人ともD☆Dの公演には2度目で、悠河さんは『薔薇降る夜に蒼き雨降る』(2012年)以来ですね。森さんから見ていかがでした?
 あの作品は、ちょうどD☆Dの10周年記念で、僕たち自身にとっても大きな節目である記念の公演に出ていただいたんですけど、良い意味で出た瞬間のオーラがすごいというか、みんなが虜になってしまうようなものがあって、いい意味で振り回されました(笑)。
──圧倒的なスター性がありますね。
 ダンサーも、究極はただ立っているだけで圧倒されるカリスマ性とか華が必要なんですけど、悠河さんが出てきたときのパワーは、メンバーみんな口揃えて、凄いと言ってました。
悠河 私もすごく楽しかったです。D☆Dの10周年ということで、初めて出させていただいて、それぞれにカラーがあるメンバーが集まっていて、でも、しっかりとグループとして成り立ってて、役割分担がはっきりしている。すごく素敵なグループだなと思っていたんです。今回、5年ぶりに皆さんに会って、本当にびっくりしたんですが、5年間で、皆さんすごく良い年の取り方をして、良い顔つきになっていて、きっと良い生き方をしてきたのだろうなと。かっこいいな、素敵だなと思いました。
──それぞれ個性が際立ってきて、スキルアップしていますね。
悠河 『薔薇降る夜に〜』は、荻田(浩一)さんが演出をされて、それを皆さんが表現していらしたんですけど、今回は、皆さんで振付から演出から自分たちで全部作っている。そこがほんとに頼もしくって、すごいなと思います。

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必死だったので、あっという間に15年が過ぎた

──町田さんは、森さんとダンス教室が同じだったそうですね。
町田 そうなんです。師匠が同じなんです。
 10代の頃ね。
悠河 そんな間柄だったんですか!
 たまたま同じスタジオで練習していた時期を経て、それぞれ違うフィールドでやっていたんですけど、長い時を経てやっと。
町田 ははは(笑)。
 マッチーはその時からダンスのセンスがあって、見せ方もやっぱり勝てないなっていう部分もあった。僕も上京してきてダンススタジオに通って、必死でやっていた時期に出会ったから、そのあともマッチーのことはなんとなく意識してて。一緒に練習していた時が楽しかったし。
町田 そうなんだ!?
 そうだよ!(笑)
町田 僕も、音信は途絶えていたけど、新吾が活躍しているのは知ってて、雑誌などを見て、新吾がんばってるなと思っていたんです。去年、初めて一緒にやらせてもらうことになって、このタイミングで一緒にやる縁だったんだろうなと思った。そのあと今年5月の『ダンスカンタービレ』にも、ゲストで呼んでいただいて。
──D☆Dの現場はどんな印象ですか。
町田 まず楽しいですね。僕自身が楽しくやらせていただいて、悠河さんがおっしゃったのとまったく同じで、みんなそれぞれスキルがあって、人としても素敵な方ばかりで、僕らのようなゲストというか、その人たちを気持ち良くステージに立たせてくださる。D☆Dさんと関わった人は、一緒にまた仕事をしたくなるだろうなというようなグループです。
──15年と一口で言っても、グループを続けること、そして1人1人のクオリティを上げながらというのは簡単ではないと思います。
 あっという間に15年過ぎたねと、よく東(東山義久)さんとも話をするんですけど、過程がどうだったかというのはあんまり覚えてないんですよね。必死だったので。でも周りを見ると、グループで長く活動を続けることはなかなか大変なことなんだろうなと。D☆Dはプロデューサーが僕たちのために次々に舞台を作ってくれたおかげで、途切れることなくやってこれたのですが、メンバーも、弱音を吐いたり、こういう世界やめますというものもいなくて、一緒に上がって行きたいと思ってくれたのが、続けてこれた要因なのかなと思います。その中で、こんなふうに悠河さんやマッチーとも出会えて、グループを輝かせてもらえる。そういう交流をより深めて、みんなで次のステップに行けるような作品を作っていきたいねと、いつも話しています。

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真面目なのか役作りなのか不思議な町田慎吾

──悠河さんは町田さんとは初共演ですね。稽古場での印象は?
悠河 先ほども話に出ましたけど、よくわからないんです。振りとかカウントとか正確にきっちり入れるので、本当に真面目な方だなと思って見ていると、急にわからないことを始めて(笑)。町田さんがピストルを撃つシーンなんですけど、SEがないから、「バン、バン」って口で言ってくださって、なんて優しい人なんだと思ってたら「バン、バン、3、4、5」って数え出して(笑)。えっこれはほんとに真面目なのか?笑いを取りにきてるのか?と(笑)。
町田 いや、真面目なんです。
悠河 真面目なんだ!(笑)
町田 音が何回入るか聞いたら、8回ですよと言われたので(笑)。
 「8回撃とうか」と言ったから、その通りにしてくれてるんだけど、撃ってる姿と、口でバンバンと言っているのがなんか似合わないよね(笑)。
悠河 真面目にやっているんだと思うんです。でも、もしかしたらちょっと心の中で、「ふふ」とか笑ってるんじゃないかと。そこが役と連動して「恐いよ」みたいな(笑)。
 それは恐すぎる(笑)。
悠河 冷酷で無表情な役だから、よけい色々考えちゃって(笑)。
──もう悠河さんの中で、町田さんは冷酷で恐いというイメージになりつつありますね。
悠河 (笑)妄想してしまうんです。普段おっとりしているのも、もしかして役作り?とか(笑)。もしかしてこの町田さんは演じている町田さんで、本当は違うんじゃないかとか。つい観察しちゃうんです。
──町田さんからみて悠河さんはいかがですか。
町田 お綺麗な方だなと思ってます。新吾も言っていたように、華があって、立っているだけで絵になるし、動くと絶対みんなが見てしまうだろうなと。そこに振り回される役なので、悠河さんの演じる役をどうしたらもっと素敵に見せられるのかいうのを、僕ももっと研究しなくてはと。僕も観察してます(笑)。
──そんな楽しい稽古場で作る『SWAN2017』への意気込みをぜひ。
悠河 5年ぶりにDIAMOND☆DOGSの素晴らしい舞台に出させていただきます。初めて稽古場に来た時からみなさんの空気が新鮮で、良いものを作ろうという全員の気持ちが1つになって上に向かっているのが、すごく気持ちよくて、すべてが見ていて刺激になる稽古場です。私の役はなぜか周りを翻弄してしまうような、そういう魅力がないといけないので、どう空気を動かしていくかをいつも考えて、どんどんそういう魅力を振りまいていけたらいいなと思っています。もっともっと研究していきたいと思います。
町田 15周年のこの記念の公演に呼んでいただけたということを、光栄に思っています。呼んでいただけたからには、自分に求められているものをしっかり見せていかないといけないと思っていて、対立する東山さんとも中塚(皓平)さんとも違う色で、違う空気感で舞台上で生きることが、僕に求められていることだと思うので、それをしっかりやって、初演を観ていただいた方にも、この役が増えたことで、より作品がよくなったと思ってもらえるように、自分のできることを尽くしたいと思います。
 DIAMOND☆DOGSは、1回1回の公演で毎回勝負しているというか、失敗できない、失敗したくない、これ1つはずしたら僕たちは、という気持ちで毎回やっているので、僕も責任を感じながら舞台を作っています。この作品はもっともっと凄い作品になると思っていて、間もなく劇場でみなさんに観ていただくのですが、それまでにさらに1人1人が輝けるように、そしてお客様に楽しんでいただけるように頑張っていきたいと思います。

 

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やまとゆうが○東京都出身。95年宝塚歌劇団入団。天性の華やかさと類まれな抜群のスター性で早くから抜擢され宙組トップスターとして人気を博す。09年卒業後は、ブロードウェイ・ミュージカル『CHICAGO』、新派公演『糸桜』、新橋演舞場公演「二月喜劇名作公演」他、数多くの主演・ヒロインを務め、舞台、テレビなど幅広い分野で女優として活躍する一方、本の執筆や連載など多彩な才能を見せている。2018年7月に、ハンブルグ州立歌劇場と二期会との提携公演でオペラデビュー決定している。 

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まちだしんご〇東京都出身。13歳で芸能活動を開始。97年の初舞台以降、舞台を中心に数々の作品に出演し、躍進中。近年の主な舞台は、『AZUMI 幕末編』、つかこうへい七回忌特別公演『引退屋リリー』『トラベルモード』『Silver Star, Silver Moon, Silver Snow』『伊賀の花嫁』『あちゃらか』戦国御伽絵巻『ヒデヨシ』『時分自間旅行』など。プリンス・オブ・ストライドTHE LIVE STAGEでは振付でも才能を発揮している。

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もりしんご○卓越したダンサーとして頭角を現し、03年「DIAMOND☆DOGS」に設立メンバーとして参加。『アルジャーノンに花束を』『ALTAR BOYS』などでの優れた出演成果のみならず、舞台構成、振付、演出にも才能を発揮し数多くの舞台を創り続けている。NHK「みんなのうた」でも振付を2年連続で手掛けるなど、多方面で活躍中。近年の作品に『Dramatic Musical Collection2016』『THE SHINSENGUMI』『DANCE SYMPHONY2015』『Silver Star、Silver Moon、Silver Snow』など。17年の『ALTAR BOYS』では、TEAM LEGACYにルーク役で出演、TEAM GOLDの振付、5月の『ダンスカンタービレ』では構成・演出・振付・出演(座長)を務めた。


〈公演情報〉

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DANCE OPERA『SWAN 2017』
構成・演出・振付◇D☆D
音楽◇la malinconica T-LAYLA
出演◇東山義久 森新吾 小寺利光 中塚皓平 和田泰右 咲山類 TAKA/町田慎吾 橋田康  長澤風海/大和悠河
●10/25〜29◎シアター1010
〈お問い合わせ〉キョードー東京0570-550-799(平日11:00〜18:00/土日祝10:00〜18:00)
http://www.diamonddog-s.com






【構成・文/榊原和子 撮影/友澤綾乃】





誰か席に着いて
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明日から開幕!リーディングドラマ『シスター』 彩吹真央インタビュー

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鈴木勝秀が2013年に姉妹の話として書き下ろしたリーディング公演『シスターズ』が、今年、「姉」と「弟」の物語『シスター』として生まれ変わり、3月に大阪・サンケイホールブリーゼ、5月に東京・CBGKシブゲキ!!にて上演され好評を博した。
新たなスタートを切った『シスター』が、今回は博品館劇場にて上演される。
挑むのは7組のペア。静かな会話劇に耳と心を寄せるひととき。今度はどんな姉と弟の物語が繰り広げられるのだろうか。出演者のひとり、彩吹真央へのインタビューが届いた。

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──本作の印象は。
これぞスズカツ(鈴木勝秀)さんワールドですよね。初めて台本を読んだときは、どんどん先を読み進めたくなりました。そういうことだったのね!という発見にもあふれていて、読んでいて素直に楽しかったんです。作品のテーマ、キーワードとなるのは“死生観”になるかと思いますが、難しいのかなと構える必要はありません。姉と弟という関係だからこその何気ない会話で、重苦しい雰囲気でなく自然にそこに思いが至るような素敵な本です。また、合間に流れる音楽について、台本には秒単位で指示が書き込まれているんですよ。音楽にも造詣の深いスズカツさんですので、音楽が作りだす世界と本の世界の融合も楽しみです。そうやって作り上げられた骨格のしっかりとした作品なので、こうしてさまざまな組み合わせで上演されるのだと思います。会話の“間(ま)”もそうですが、音楽明けの入り方などにも各ペアの個性が出ると思います。
──朗読劇で表現するときに大切にされていることは。
これまでにもスズカツさん演出の『100歳の少年と12通の手紙』などで朗読を経験させていただきましたが、あまり読み込んではいけないと思っています。演じきってはいけないというか。スズカツさんからも、予習したらダメと言われています。淡々としながらも、無感情ではないという塩梅が難しくもあり、楽しくもある。今は、私自身が初見で本を読み進めていたときの楽しさを新鮮にお伝えするために、作り込み過ぎずにお届けしようと考えています。
ただ、今回は1人での朗読ではなく、読み手である2人は姉と弟になります。ふたりの間にある繋がり、絆はしっかりと感じていただきたいという役者としての欲もあって(笑)。私は橋本淳さんとペアを組みますが、ちゃんと橋本さんのお姉さんに見えたらいいなと思っています。
──橋本淳さんとは初共演とのことですが
先日、私が出演していた舞台を観にいらしたときにご挨拶し、直感的に“こんな弟がいたらいいな”と思いました。聞くところによると、お稽古もさらりと1回だけということですので、本番で橋本さんがどんなテンションで言葉を発するのかドキドキというのが本音です。でも、その緊張感も含めて、一度限りのセッションをお客様にも楽しんでいただければと思います。
──彩吹さんご自身はご兄弟はいらっしゃいますか。
私は、4人兄弟の末っ子です。私にとって兄弟は独特の絆で結ばれていて、何があっても最終的には無条件で受け入れてくれる存在。そこをベースにすると、この作品での姉と弟の会話というのも自然に理解できます。同時に、ずっと末っ子で育ってきましたので、姉ってこんな感じなのかなと疑似体験できることは嬉しいです。姉を演じることにはすでにテンション高めです!

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【出演者スケジュール】
10/23(月) 15:00 音月桂・福士誠治 
              19:00 彩吹真央・橋本淳
10/24(火) 14:00 夢咲ねね・有澤樟太郎 
                  19:00 青木さやか・相葉裕樹
10/25(水) 14:00 彩輝なお・今川碧海 
                  19:00 夢咲ねね・有澤樟太郎
10/26(木) 15:00 渡辺えり・池田成志 
                  19:00 中嶋朋子・平野良

〈公演情報〉
リーディングドラマ『シスター』
作・演出】鈴木勝秀
●10/23〜25◎銀座 博品館劇場
〈料金〉6,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京音協:03-5774-3030(平日11:00〜17:00)
http://t-onkyo.co.jp/?ticket=sister



【資料提供/atlas】

公演チケット50%OFF!
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オリジナルミュージカル『デパート!』に挑む! 原田優一、出雲綾、愛加あゆインタビュー

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老舗中の老舗デパート、三越百貨店日本橋本店の中にある三越劇場。今年、開場90周年記念を迎えたレトロで、重厚な内装のそのデパートの中にある劇場で、デパートを舞台にした新作オリジナルミュージカル『デパート!』が、11月1日〜7日まで、上演される。
 
この作品は、かつてデパートでの買い物が憧れだった時代から、若い世代にファストファッションや、ネットショッピングが主流となっている時代にも、尚、燦然と輝くデパートで、働く人々、お客様、様々な思いと事情を抱えた「人の集まる場所」で繰り広げられる人間模様を描いたミュージカル。
脚本は劇団「キリンバズウカ」主宰で、映画『くちびるに歌を』の脚本(第8回東京新聞映画賞受賞)など、舞台、映画、TVドラマ、と、多岐に渡る活躍を続けている登米裕一。音楽はミュージカル『Color of Life』のNY公演に参加、Midtown International Theater Festival AWARDS 最優秀ミュージカル作品賞を受賞した伊藤靖浩。演出はミュージカル『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン」の主要キャストを歴任した他、『KAKAI歌会』、オフブロードウェイ・ミュージカル『bare』では演出を務めた原田優一。いずれも30代、新進気鋭の若手クリエイター3人が挑戦する、新作オリジナルミュージカルに大きな期待が集まっている。

そんな作品に出演する、元宝塚歌劇団の出雲綾、愛加あゆ、そして演出の原田優一が、作品のこと、役柄のこと、オリジナルミュージカルを生み出す、楽しさと難しさと、舞台への意気込みを語り合ってくれた。

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愛加あゆ、原田優一、出雲綾

人が集まり、想いが交錯する群像劇ミュージカル

──新作オリジナルミュージカルということですが、デパートの中にある三越劇場で、デパートを舞台にした作品を創ろうという着想が、どう浮かんだのかから教えてください。 
原田 ここ数年オリジナルミュージカルを創りたいという思いを、プロデューサーとはずっと話してきていたのですが、ではどこを舞台にオリジナルミュージカルを創るのか?を考えた時に、人が集まるところが良いなと。デパートや駅などがいいのではないかとは思っていたんです。そういう流れの中で、今回、三越劇場さんでやらせて頂くことになって、デパートの中で、デパートのミュージカルというのは企画として面白いんじゃないかと。色々な方が集まってくる、お客さんだけでなく、従業員、様々な職種の方が働く場所であり、買い物をする場所であり、更にプラスアルファ、それぞれに思い入れのある場所でもあると思うので、物語もオムニバスではないのですが、登場人物の色々な関係性ですとか、小さな物語が集まって、1つの空間の中で行われているというのが、オリジナルミュージカルを創るのには良いアイデアだなと、そこから進めて行った話です。ただ、脚本家の登米さんにデパートの話ですと言ったら、あまりにもテーマが大きすぎるので、じゃあどうしようかと、夜な夜な喫茶店やレストラン、ファミレスでどうするかを話し合いながら、根っこの部分を作っていったという感じです。
──そんな形で創り上げられていった脚本を読んだ印象はどうでしたか? 
出雲 まず、この人数でデパートの物語というのが、どうなるのか想像できなかったのですが…。考えてみればデパートって色々な方がいらっしゃって、それぞれ個性も年齢も、バラバラですし、そうした個々のストーリーが描かれていくミュージカルなんだな、なるほどこういうことかと脚本を読んで思いました。自分がその中に役として入っていけるという喜びと同時に、客観的に見てもとても楽しい作品だなと思いました。
愛加 私も出雲さんがおっしゃったように、台本を読んだ時に、それぞれの人物たちの事件が、小さなものではありながら、本人にとってはとても大きな事件、というのがふんだんに出てくるのがお話としてとても面白いと思いました。それから驚いたのが、まだ推敲段階の台本を仮で頂いた時に、セリフと歌の部分を区別する為にセリフにはカギカッコ付いているんですね。でも私は、カギカッコが付いているところが歌だと思ったほど、歌がすごく多いんです。それくらい歌の部分の文字数が多くて、いざ稽古場で音楽を頂いた時、こんなに歌うんだ!と結構びっくりしました。曲がふんだんにあって、ほとんど歌っている「ザ・ミュージカル」と言うものを、久しぶりにさせて頂けるのが、とても嬉しかったです。
──楽曲を多くというのは、意図して作ったのですか?
原田 歌える方も多いですし、オリジナルミュージカルを観るにあたって、これまでの日本のミュージカルを考えた時に、セリフが中心に交わされていって「さぁ、ここから歌います!」という形のものが結構多いなと思っていて。「ミュージカルナンバー出ました!」というような。それを逆転する発想で考えていこうかなと、歌を多く取り入れることにしました。物語自体を誰が主役ということではなく、群像劇にしたのも座長芝居の逆を行っていますし、色々な意味で、作品の難易度は上がっていると思います。ルでも、そこにあえて挑戦して、登場人物それぞれの話が次々に出てきて目移りしそうなところを、いざ繋げてみると1つのデパートの中の物語として、目移りせず観て頂ける。アラカルト的に楽しみながら、全体も楽しんで頂けるようにと、今、演出面での見せ方も含めて考えているところです。

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基礎のある頼もしいキャストと、わかりやすい的確な演出指示

──演じる役柄の人となりと、その役にどう取り組んでいるのかを教えてください。 
出雲 私はミセスオズマンという役で、浜畑賢吉さんと夫婦の役です。浜畑さんとは初めてご一緒させて頂けるのでとても光栄ですし、この作品の中では唯一のカップルで、夫婦揃って出させて頂く場面が多いです。稽古をしているうちに、あぁこういう人もデパートに来ているのかも、と、だんだん共感できるようになってきました。最初はちょっと変わり者の夫婦という感じですが、実はそれには意味があったのだ…と、演じているうちに、大きなデパートの中には、こういう人ももしかしたら来ているのかもとお思いました。私が目指している理想は、「デパート=愛」というところです。夫婦愛を表現できる役ですし、その愛を育んで来たのがデパートという場所だったというのがだんだんわかっていく、最終的に心にジーンと来て頂けると良いなと思える役柄なので、精一杯ナチュラルに演じたいなと思っています。 
愛加 私はマリという「スクエアデパート」のインフォメーション係の役なんですが、多分この中に出てくる人々の中で、一番楽しんで働いているのがマリなのではないかと思っています。でも、そうした彼女の中にも、二面性もあって、真っ当に仕事はしているけれども、噂好きで、ゴシップも大好きで、決して悪い意味ではなく、皆が見ていないところで誰も知らない顔も持っている。「こういう人、いる、いる!」と思ってもらえるような役ですね。原田さんがおっしゃってくださったんですが、今までの私にはない引き出しを探っていけたらいいねということで稽古をしていて、まだまだなんですけど、色々なアドバイスを頂きながらマリを作っていきたいと思います。 
──演出家から見た、お二人の印象はどうですか? 
原田 まず基礎がしっかりされているので、エンターテインメントを作る材料は揃っています。そこから新たなオリジナルミュージカルを作るという時に、どうやったら面白くなるか、小粋になるか、スムーズにシーンが進んでいくのかについて、意見の交換会をするんですね。キャラクターがどう書かれているか、その裏にあるもの伝えるためには、役の基礎をどう作り上げるのかなどを、色々提案し、話し合う中で、お二人とも受け入れ態勢が万全にできているので、とても頼もしいです。こういう風にやって欲しいというところをキャッチして頂くのが早いので、それは今回のキャストみなさんそうだと思うんですけど、この二人に関しては、特に受け入れる地盤が素晴らしいんだなと思っています。 
──では、お二人から演出家としての原田さんについては?
出雲 私は演出をして頂くのも初めてですし、ご一緒させて頂くのも初めてで、どういった感じなのだろうと、毎日、楽しみに、自分が出ていない場面を演出されているところを見ても勉強になっているんですけれど、とてもわかりやすい表現をしてくださいます。アドバイスも的確に言ってくださるので、なるほどこういうことか、とすぐに理解できます。だからと言って、それがすぐに表現できるかと言うと、なかなかそうはできないので、これから自分の課題としてやっていかないといけないのですが、方向性としては悩むことなく、この場面はこの方向で行こうというのがハッキリ見えるのでありがたいです。
愛加 私は(原田)優一さんとご一緒させて頂くのは3回目なんですけれど、優一さんの演出は初めてで、どういった世界を作られるんだろうと、ドキドキワクワクしていたのですが、タキさん(出雲の愛称)がおっしゃってくださったように、明確に導いてくださり、とてもわかりやすく教えてくださいます。特に、優一さんがマリを演じている姿が、すごく想像ができるんです。優一さんだったら、きっと面白いだろうなという絵が浮かぶので、そこを目指していきつつ、自分のスパイスを混ぜながらやって行きたいと思っています。今まで演じられている優一さんは知っていたんですけど、セットをどういう風に使っていくとか、演じている私たちが考えたことのないことを考えられていて、頭の回転も速いですし、どういう風に見えるかなど、演出家さんとしても勉強されて来られたんだなと改めて知ることができて、尊敬の念が深まっています。 
──今回演出家に専念されていますが、出演もしようとは思わなかったのですか?
原田 思わないですね。作る時でも、コンサートなら別なんですけれども、物語があるミュージカルですと、客観視というか、ずっと見ていたいというモードに入っていくので、やりたいとは思わなくなるんですよ。自分が出たいと思うスイッチがないんです。よく「出たくなっちゃわないの?」と言われるんですけど、全く思わないんですね。稽古期間は、完全にスタッフモードになっているので。 
——クリエイターの思考回路になるということですか?
原田 そうですね、ただ、表現者の部分があるとすると、自分がこの役をやったらどうなるんだろうとは考えます。その役を演じた時に、やりやすいか、やりにくいか、辻褄が合っているのか、という面は表現者の脳で考えていると思います。 
——クリエイターの思考回路になるということですか?そういう目線からのアドバイスなので、よりわかりやすいと感じるのでしょうか? 
出雲 そう思います。 
愛加 本当にそうです。

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可能性が無限大ならではのオリジナルミュージカルの楽しさと難しさ

──キャストのみなさんも多彩な方々ですが、稽古場はいかがですか? 
原田 皆さん初共演のかたが多いので、この人はどういう表現をするのか、何が得意なのかを捉えながら、骨組みを作っている段階です。ここからみなさんのキャラクターを深めて、シーンを肉付けしていくと、カンパニーとしてもどんどん深まっていくと思うので、楽しみです。 
出雲 私もほとんどが初めての方ばかりですが、他の方の歌や演技を見ていて、とにかくみなさん個性が強いと言いますか、最初の立ち稽古でこれだけ面白かったら、出来上がっていったらどうなるんだろうなという期待感の高まる現場です。自分のことはさておき、人の場面をケラケラ笑いながら見ることができて、すごく楽しいです。 
愛加 私も共演させて頂く方たちほとんど初めてなんですが、皆さんが出演されている舞台は、全員の方を観ていて、観客としてもともと知っていたので、実際にお会いしたらどんな方なんだろうと、稽古場にくるのがとても楽しみでした。尊敬する先輩もたくさん出ていらっしゃいますし、私よりも若い子たちも、しっかりと取り組まれているのを見て、自分もしっかりしなくてはと思っています。個人的にはWキャストのお二人と組む場面が多くて、お二人の芝居の色が全然違うので、がっつりと絡む身としては、お客様にも2パターン楽しんで頂けると思っています。
──お二人は宝塚歌劇団出身で『王家の紋章』での共演もありましたが、お互いがいることについては? 
出雲 それはもう安心感があります。キャストにあゆちゃんの名前がある!というだけで、安心しました。 
愛加 私こそです!あぁ、タキさんだ!と。もう一方的に尊敬している方なので! 懐かしい話もしますよね。
出雲 楽しいね。 
愛加 二人にしかわからない話もしていて、ほっこりしています。 
──良い雰囲気で進んでいるのが伝わりますが、オリジナルミュージカルならではの楽しさ、一方で、ならではの難しさなどは?
原田 海外の作品を買って来ると、この楽譜で脚本でとなるんですけど、オリジナルはゼロから立ち上げる作業なので、クリエイター陣が現場でも話し合いながら、どんどん手を入れられる、フリーだということではすごく作りやすいのです。ただ、なにぶんテーマを決める段階では、こうしなければならない、ここに定めようという枠がないので、広げようと思えばいくらでも広げられて、クリエイター陣の色が出る反面、どこで地に足をつけるか、前例がない難しさがあります。また、どこまで作るのか、あまりキャストに任せすぎてもいけませんし、ガチガチに決めてしまいすぎると、せっかくの個性を潰すことになってしまいますので、どこまで余白を残すかの塩梅が難しいなと思います。 
出雲 オリジナルミュージカルなので、最初脚本を見てへぇ〜と思い、音楽を聴いてワクワクし、すごく楽しい作品になりそう!と、テンションが上がるのを感じました。すでに作られているミュージカルだったら、曲も知っていたりしますけれども、この場面はこういう曲調だったのか、こんな素敵な歌を歌えるんだ!という、初めて聞く感動があります。他の方の場面を見ていても、ちょっとしたハモリが綺麗だったり、テンポ感のあるノリノリの曲だったり、すごく楽しめる場面がいっぱいで、それはオリジナルならではの楽しみですね。これから振り付けが入って来ると、更にどんどん毎日が充実して楽しいだろうなと思います。それと10人しかいませんので、1人1人がこの作品の中で、自分の役どころをきっちり表現しないと、アンサンブルの方もいませんので、それぞれが主役のつもりで自分の出ている場面に責任を持っていかないといけないという重さは感じています。 
愛加 オリジナルミュージカルは、宝塚時代にも作っては来ましたけれども、これだけの少人数でやるとなると、1人1人の責任がまず重大です。また、原作があるものなら、資料を調べたり人物の方向性もある程度定められていますが、オリジナルは1からなので、可能性も、稽古で変わって行ける部分も無限にあるので、それを求めて、ゴールを定めずひたすら役を深めたいと思います。見ている方にも初めて見て頂くワクワク感というか、何が始まるんだろうという、興味がずっと続くと思うし、セリフも歌になっている世界なので、きっと楽しんで頂けると思っています。 

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ミュージカルへの愛が詰まったエンターテイメント

──「デパート」そのものに対してはどんなイメージを持っていましたか? 
愛加 私は時間があると、何も買わなくても、デパートの中を歩いているだけで幸せになっちゃう人なので、タキさんの役にもとても共感できます。大好きなデパートが舞台になるということに、自分自身もワクワクしています。 
出雲 私は兵庫県宝塚市で生まれ育ったので、小さい頃から阪急百貨店へいくことが楽しみでした。目的があってもなくても、ただそこに行くというだけでちょっと豪華な気持ちになれますし、デパートって季節感があるでしょう?そういう季節に合わせたディスプレーを見ていることも目の保養になりますし、そこに行くだけで楽しかったです。子供の頃にお洋服を買ってもらえた時や、デパートでのお食事など、嬉しかった思い出がいっぱいあります。そんな幸せな記憶を、今お稽古の中でも毎日思い出したりしています。
──デパートに行くという行為そのものが、「ハレの日」という感じがありましたよね。 
原田 一大エンターテインメントスペースというか、なんでもできるんですよね。屋上で子供同士で遊ぶこともできますし、レストラン街で食事をしたり、ペット売り場に行ったり。もちろん買い物に付き合ったり、子供にとっても天国のような場所で、休みは1日中そこで過ごしていたぐらいでした。でも、三越の方が言っていたのですが、今、若い人がデパートに買い物に行かなくなっているんだそうで。
愛加 えっ?そうなんですか? 
原田 なんでもいいものがあるんだけど、ちょっと高価だというイメージがあるそうです。今安いものがどんどん出てきたり、ネットで買えちゃったりするので。でも、人と人とのアナログな交流があるのが、デパートの魅力の1つで、ただ単に買い物にいくだけではない魅力的な場所だと思うし、若者を取り戻そうと展示会をやったり、色々な企画をやっている。そういう企画ができるのは、ただ単にものを売るだけの場所ではなくて、デパートにエンターテインメント性があるということだから、そこも見出したいなと思っています。歌や踊りを入れてデパートを表現することが似つかわしいのは、デパート自体がエンターテインメントの場所だからだと思っています。 
──公演サイトで動画を拝見しましたが、階段を登っていくところから三越デパートの老舗ならではの格調や、特別な高揚感が感じられたので、皆さんにデパートの魅力も再認識してもらえそうですね。では、そんな作品を楽しみにされている方に、意気込みをお願いします。 
愛加 この作品はデパートに対する思いと同時に、優一さんを筆頭にみなさんのミュージカルへの愛が詰め込まれた作品で、要所要所にミュージカルへの愛がありますよね。 
原田 そうだね。 
愛加 ミュージカルが好きな方は、ツボにはまって楽しんで頂けると思いますし、舞台を見た後にデパートに対してや、人との関わり、愛や思いに変化があったら嬉しいなと思っています。一生懸命頑張りたいと思いますので、皆さん観にいらしてください。
出雲 あゆちゃんが言った通り、舞台を観た後、デパートへの想いが変わってくれたらいいなと思います。心に残る家族愛をはじめ、色々なことが共感できるミュージカルだと思っています。皆様観にいらしてくださいね。
原田 日常の物語から始まるような、とても入りやすい物語だと思いますし、ミュージカルを観たことのない人でも楽しめると思います。ちょっとライトタッチのコメディにしていますので、音楽を楽しんで頂いて、舞台のデパートも楽しんで頂いて、その後劇場を出たら実際の三越デパートも楽しんで頂ける、1日中デパートにいるようなミュージカルになっていますので、是非劇場にいらしてください!


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愛加あゆ、原田優一、出雲綾

はらだゆういち○埼玉県出身。9歳から映画、TV、ライブ、ダンスイベントに多数出演。94年『レ・ミゼラブル 』でガブローシュ役、07年にはアンジョルラス役、11年から15年までマリウス役を演じるなど、ミュージカルを中心に活躍中。最近では演出活動にも精力的で『KAKAI歌会』やオフブロードウェイ・ミュージカル『bare』等を演出。コンサート活動も積極的に行っており、2015年にはオリジナル曲を集めたCD『いつか』をリリース。最近の主な舞台は『CLUB SEVEN』『TARO URASHIMA』『GEM CLUB』『ミス・サイゴン』『Love Chase!!』『道化の瞳』など。18年『GEM CLUB II』への出演が控えている。
 
いずもあや○83年宝塚歌劇団に首席で入団。抜群の歌唱力と定評ある演技力で、ショーでのエトワールや『ファントム』のプリマドンナ・カルロッタ役から個性的な役柄まで幅広く演じ、宙組、月組の組長も歴任した。08年『ME AND MY GIRL』マリアで惜しまれつつ退団後は、ミュージカルを中心とした活動を続けている。近年の主な舞台に『シェルブールの雨傘』『ダンス・オブ・ヴァンパイア』『王家の紋章』などがある。
 
まなかあゆ○富山県出身。05年宝塚歌劇団入団。新人公演、バウホール公演などのヒロインを経て、12年、壮一帆の相手役として雪組トップ娘役に就任。14年、『一夢庵風流記 前田慶次』『My Dream TAKARAZUKA』で惜しまれつつ退団。15年、ミュージカル『ON-AIR 夜間飛行』で女優デビュー。映像や舞台で活躍中。退団後の舞台作品は、音楽劇『星の王子様』『嫌われる勇気』『錆びつきジャックは死ぬほど死にたい』『GEM CLUB』『FAIRY TAIL』、ミュージカル『王家の紋章』などがある。18年ミュージカル『ブロードウェイと銃弾』への出演が控えている。


〈公演情報〉
チラシ表面

ミュージカル『デパート!』
演出◇原田優一
脚本◇登米裕一
音楽◇伊藤靖浩
出演(50音順)◇出雲綾、太田基裕、岡田亮輔、シルビア・グラブ、染谷洸太(Wキャスト)、橋本真一(Wキャスト)、畠中洋、浜畑賢吉、前島亜美、愛加あゆ
●11/1〜7◎日本橋・三越劇場(日本橋三越本館6階)
〈料金〉S席8,500円 A席7,000円(全席指定・税込)
〈劇場お問い合わせ〉三越劇場 0120-03-9354(10:30〜18:30)




【取材・文/橘涼香 撮影/友澤綾乃】


黒木瞳主演舞台『京の蛍火』

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