えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

舞台『刀使ノ巫女』

インタビュー

まもなく開幕!『宝塚BOYS』良知真次・愛華みれ インタビュー


宝塚BOYS2人

終戦直後の9年間だけ存在した「宝塚男子部」。その青春グラフィティを描く舞台、『宝塚BOYS』が8月4日に、東京芸術劇場プレイハウスにて幕を開ける。(19日まで)
2014年に創立100周年を迎えた宝塚歌劇団。「女性だけのレビュー劇団」として、日本のみならず今や世界的にも認知されている宝塚100年の歴史の中に、かつて「男子部」が存在していた事実は、ほとんど語られてこなかった。
1945年、敗戦の混乱が未だ残る日本で、「明日の宝塚スター」を夢見て集まって来た男たちは、9年後の解散の日まで、メインステージである宝塚大劇場に立つことは遂になく、ほぼ幻の存在だったと言える。けれど男たちもまた、宝塚に夢と青春を懸けた、宝塚歌劇を愛する1人に違いなかったのだ。
知られざる宝塚歌劇の歴史を紐解いて喝采を集めた傑作舞台『宝塚BOYS』が、その5回目となる今回の上演は、team SEAとteam SKYという2チーム制で、より多彩にパワフルに展開する。
その舞台に再び挑む良知真次と、紅一点として新たに加わる愛華みれが、作品への想いを語り合ってくれた「えんぶ8月号」インタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介する。

宝塚BOYS良知さん

稽古場の空気を吸って
わかった「BOYS」の気持ち

──『宝塚BOYS』待望の再演ということで、まず、すでにこの作品に出演経験のある良知さんから、作品に感じたことを教えて下さい。
良知 100年以上の歴史を誇る宝塚歌劇団で実際にあったお話で、前回出演した時に僕自身が全てを出しきった為に、ほとんど記憶がないんです。台本を開いてみても全く覚えていなくて。それほど前回のメンバーとその時代を生き抜いたのだと思いますし、僕もそれから時間を経ているので、これは真っさらな気持ちで臨まないといけないんだなと思っています。
愛華 何年前ですか?
良知 4年前です。
愛華 それなら覚えていないのは良いことですよ。そのあとの期間に積み上げた経験が豊かだからこそ記憶がないんだから、今回生まれるものがすごく楽しみ!
──愛華さんは宝塚OGとして「男子部」があったことはご存知でしたか?
愛華 劇団にいた頃に情報としては耳にしていましたが、その情報に対しても斜に構えていた部分が正直あります。「BOYS」なんて要る? と。
良知 あぁ、やっぱり!(笑)
愛華 「男子部」が出来た当時、春日野八千代さん、越路吹雪さん、寿美花代さんたちが「ここは女の園です」とおっしゃっていたという記録も残っていて、「私たちを否定するの?」という気持ちに先輩方がなられていたんじゃないかというのは、私も男役だっただけによくわかるんです。女性として一番キラキラしている年代を、男性の服しか着ずに如何に「男」を極めるか、それに懸けて過ごしていたので。
──でもそれは非常にリアルな、この作品にとって必要な視点ですよね。
良知 まさにそうだと思います。僕は去年、宝塚月組で振付をさせて頂いたのですが、やっぱり男役さんってカッコいいんですよ! あぁ極めるとはこういうことかと思って、目線や仕草等、僕が男役さんから学んで、引き出しに入れさせて頂いたこともたくさんあります。更に、振付で稽古場に初めて入った時に「あぁここなんだ」と思ったんです。「この空気か!」と。それで初めて、燃焼し尽くしたと思っていた『宝塚BOYS』の舞台に対して小さな悔いが出て。この空気を先に知っていたら、もっと違う表現ができたんじゃないかと思ったので、今回のお話を頂けたのが本当に嬉しかったです。
愛華 宝塚の稽古場を知っているというのはとても大きいですよね。
良知 そうなんです。ここから舞台に立ちたい! と思った男子がいることも当然だなと思えましたから。
愛華 そういう「男子部」ができたからこそ、春日野先生はじめ当時の男役さんたちが、男子に負けない! という思いで、髭もつけ、低い声も出し、女性だからこその男役の魅力を極めていったという部分は確かにあると思います。だから宝塚100年の歴史の中の表には出ていないけれども、「男子部」の皆さんの存在が確かにその歴史を作ったスパイスになっていたと思うので、彼らが宝塚に憧れた純粋な気持ち、切なさが感じられる貴重な作品ですね。


宝塚BOYS愛華さん

夢を果たせなかった
沢山の人たちの思いと共に

──そんな作品で、演じる役柄についてはどうですか?
良知 僕は「男子部」の1人として、2回目の舞台に臨むことになりますが、周りが変わると芝居ってすべてが変わっていくと思うし、この作品は誰が主役ということはなくて、全員が主役だと思っていますから、新しい「男子部」から生まれるものを、何よりも大切にしたいですね。2回目だから何かを変えなければ、とは思っていないし、そういう自家発電って(演出の鈴木)裕美さんが一番嫌いなことなんですよ。僕、ある作品で、最終通し稽古の直前の通しが終わった時に「良知、おひとり様でお芝居なさってどうされたの?」って言われたことがありますから!
愛華 自分で考えた芝居を「どうですか?」とお見せしたらそう言われたということ?
良知 やっぱり、「こうきたら、こう返そう」と自分の中で考えていたのを見抜かれたんだと思います。その時、じゃあ、考えなかったらどうなるんだろう? と立ち止まれたので、今回も裕美さんが組み立ててくださるものから、稽古場の中で湧き上がるものを見つけていきたいです。
愛華 私も同じで、君原さんという役は、「BOYS」の寮母として彼らを包みこむと同時に、自分も大劇場に立ちたかったけれど果たせなかったという夢を、彼らに託している人ですよね。だから、「BOYS」の生の感情、思いの深さを、稽古場でたくさん感じていきたい。私も宝塚音楽学校を一緒に受験した友人が不合格で、自分が宝塚にいることは、たくさんの人の夢と共に行くことなんだ、と思っていましたから、そういう感情も大切にしたいですね。特に、初演からずっとこの役を演じていらした初風諄さんの魂を引き継ぐわけですから。初風さんは私にとって、宝塚を退団した後、初めての舞台『チャーリー・ガール』で母親役を演じてくださったご縁もある、最も尊敬する上級生なんです。そんな初風ママが舞台に創り出された役の人生には到底及びませんが、でも私なりに精一杯、良知君たち「BOYS」を見守っていきたい。お稽古場にご飯炊いて行こうか!? と思うくらいで(笑)。だから今日こうして、まず良知君と話せたのは本当に良かった!
良知 僕こそです! 僕『チャーリー・ガール』拝見してるんですよ!
愛華 本当?
良知 はい。だから今日はすごく緊張していたのですが、貴重なお話も伺えて、ご一緒させて頂けることがますます楽しみになりました。
愛華 今20年分の距離が埋まった気がしました(笑)。この舞台は宝塚に夢を懸けた「BOYS」たちの物語で、私もその宝塚の出身者として彼らの夢にはもちろん共感しますし、お客様にもきっと共感して頂けると思いますから、私と一緒に彼らの夢を感じにたくさんの方に観て頂きたいです。
良知 エンタメが当たり前にある今の時代ではなく、夢を見ることが命賭けだった彼らの人生を、2チームそれぞれが一丸となって演じきりますので、是非皆さん劇場にいらして下さい!

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らちしんじ○東京都出身。15歳で芸能活動を開始。舞台、テレビ、映画、アーティスト活動、振付と幅広く活躍中。主な舞台作品はミュージカル『陰陽師』〜平安絵巻〜、ライブ・スペクタクル『NARUTO─ナルト─』〜暁の調べ〜、『ダンスオブヴァンパイア』『シャーロック・ホームズ2』『アルジャーノンに花束を』『ブラックメリーポピンズ』『黒執事』『スリル・ミー』『ロミオ&ジュリエット』『ライムライト』『幕末Rock』など。

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あいかみれ〇鹿児島県出身。85年宝塚歌劇団に入団。99年花組トップスターに就任。数々の舞台で活躍。01年退団後は女優に転身。ミュージカルはもちろん井上ひさし作品等でも大きな存在感を発揮している。主な舞台作品に『頭痛肩こり樋口一葉』『タンブリングFINAL』『あるジーサンに線香を』『女房は幽霊』『アリバイのない天使』『きらめく星座』など。


〈公演情報〉
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『宝塚BOYS』
原案◇辻 則彦「男たちの宝塚」(神戸新聞総合出版センター刊)より
作◇中島 淳彦
演出◇鈴木 裕美
出演◇
○team SEA(8/4〜11)良知真次 藤岡正明  上山竜治  木内健人 百名ヒロキ 石井一彰 東山義久
○team SKY(8/15〜19)永田崇人 溝口琢矢 塩田康平 富田健太郎 山口大地 川原一馬 中塚皓平
○2team共通 愛華みれ 山西 惇
●8/4〜8/19◎東京芸術劇場 プレイハウス
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京  0570-00-3337 (10:00〜18:00)
※以下 全国公演はteam SKYのみの出演
8/22◎名古屋・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
8/25〜26◎福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール
8/31〜9/2◎大阪・サンケイホールブリーゼ


【構成・文◇橘涼香 撮影◇岩田えり】




公演間近のチケットが半額!
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ペーター・コンヴィチュニー演出、東京二期会オペラ劇場『魔弾の射手』本日開幕! ザミエル役 大和悠河インタビュー

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巨匠ペーター・コンヴィチュニーの演出による最高傑作、ウェーバー作曲のオペラ『魔弾の射手』が、本日、東京文化会館で幕を開けた。(7月18日・19日・21日・22日)
 
この公演はハンブルク州立歌劇場と東京二期会との共同制作で、二期会の歌手たちに混じって、悪魔ザミエル役で元宝塚宙組トップスターで、退団後は女優として活躍中の大和悠河が、オペラデビューを飾ることでも話題を呼んでいる。

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ウェーバー作曲の『魔弾の射手』は1821年に初演、歌とセリフで演じられる「ジングシュピール」(歌芝居)で、ドイツの国民的オペラとして知られている。またドイツ・ロマン派オペラの原点とも言われ、スコアを読んだベートーヴェンはその類い希な独創性に驚嘆し、幼き日のワーグナーはこのオペラを観て、作曲家になる決意をしたと言われている。コンサートでも度々演奏される「序曲」をはじめ、勇壮な「狩人の合唱」、愛らしい合唱曲「花嫁は冠を編んであげましょう」などの名曲、また、アリアも随所に散りばめられ、聞きどころが満載だ。
 
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演出を手がけるペーター・コンヴィチュニーは、ベルリンでオペラ演出を学び、1980年以降ドイツを中心とする著名劇場で数多くのオペラを演出、90年代から斬新かつ挑発的な演出で、世界のオペラファンを常に驚愕させてきた。二期会では『皇帝ティトの慈悲』『エフゲニー・オネーギン』『サロメ』『マクベス』を手がけ、今回は5年ぶりの登場となる。
今回の『魔弾の射手』の演出は、1999年にハンブルク州立歌劇場で上演、どんなオペラも過去の物語としてではなく、常に現代社会とリンクさせ、さまざまな仕掛けや舞台美術で聴衆の内面を刺激する演出が冴え渡り、“鬼才コンヴィチュニー”の名をヨーロッパ中に響き渡らせた。今回の上演ではセリフ部分はすべて日本語で上演、大和悠河が悪魔ザミエル役を演じるにあたり、新たな解釈で役割りと登場シーンを膨らませ、より一層刺激的で現代性のあるオペラ『魔弾の射手』を立ち上げた。

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《ものがたり》
17世紀のボヘミア。
若い狩人のマックスは、明日開かれる射撃大会で優勝すれば、森林保護官の娘アガーテとの結婚が許され、保護官の後任に就くことができるが、調子が悪い。そこで、仲間のカスパールにそそのかされ、“百発百中の魔弾”を手に入れるため狼谷へ向かう。カスパールは悪魔ザミエルと取引をしており、マックスの魂と引き換えに、自身の命を延ばし、マックスは7発の魔弾を手に入れる。この魔弾は、6発までは自分の意のままになるが、最後の7発目だけは悪魔の望むところに命中するという。
大会当日。マックスは魔弾のおかげで好成績を収めるが、領主が命じて鳩を狙った最後の1発が愛するアガーテに向かって飛んでいく。しかしアガーテは、隠者にもらっていた白バラの花冠に守られて、その弾はカスパールを射抜いた。
マックスは全てを告白し、領主は彼を追放しようとするが、隠者のとりなしによって、1年の執行猶予の後にマックスとアガーテの結婚が許される。

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この作品の初日を前に2日間にわたりプレス用ゲネラルプローベ(総稽古)が行われ、2日目のゲネプロ終演後に、大和悠河への共同インタビューが行われた。

【大和悠河 
インタビュー】

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悪魔ザミエル役のさまざまな扮装の中でも最も衝撃的とも言えるバスタオルに黒いソフト帽、アタッシュケースという格好で記者たちの前に登場。初日を前にした心境とコンヴィチュニー演出について語った。

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──いよいよ明日、初日ですね。
今日はありがとうございます。今回初めてオペラデビューということで、私はもうオペラ大好きで、海外に行ってはオペラを観劇して、いつかオペラの舞台に立てたらこんな嬉しいことはないと。でも本当に夢のまた夢と思っていたのですが、今回、まさかこんな機会を与えて頂けて、二期会さんの舞台に立たせていただけて本当に嬉しく思っています。今、この東京文化会館に入って、ご一緒している東京二期会の歌手の皆様が、稽古場の時もそれは素晴らしい声と技を聴かせて頂いていたのですが、より生き生きと息づいていらっしゃって、また劇場の響きもやはり素晴らしくて、本当に良い仕上がりになっていると思います。私の悪魔ザミエルで役は、原作の『魔弾の射手』の中では2回しか出てきませんし、演出によっては声だけという場合もあるのですが、今回のコンヴィチュニーさんは、悪魔の匂いのするところにはすべて悪魔が出ているという演出をされていて、14回くらい出番があります。色々な場面に悪魔が登場して、実はこれは悪魔的要素で動いているんだよと、そういう演出をされています。そして出る度に違う格好をして、悪魔だけど変身をして人間界に入り込んでいる、そういう登場をさせていただいてます。コンヴィチュニーさんは、現代の今観るお客様に訴えかけるものを、作品から深く読み込んで、音楽から読み取って演出されるので、稽古場でも毎日が吸収の日々でした。ですから早く初日が開いて、お客様に早く観ていただきたいとワクワクしています。
──14回登場ということはその度に衣裳も?
そうです。引っ込みましたらすぐ着替えるという感じですが、早替えは宝塚出身なのでお手のものというか(笑)。ただ今回、悪魔ザミエルはコンヴィチュニーさんの演出でも、これまでは全部男性が演じていらしたのですが、今回初めての試みで女性でやりたいと。しかも男かなと思ったら次の場面は女性で、次は中性かな?というような得体の知れない生き物という、言ってしまえば両性具有という感じの存在になっていて、以前のコンヴィチュニーさんの演出ともまた違う悪魔ザミエルになっていると思います。

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──髪型もベリーショートからロングまで色々あるそうですね?
昨日のゲネプロのあとにコンヴィチュニーさんから、全部の場面のカツラを変えてほしいという要望がありまして(笑)、急いで自分の手持ちのカツラや床山さんのものや、色々ある中で急遽決めていったのですが、また初日にはどうなるかという(笑)。コンヴィチュニーさんという方は初日が開くぎりぎりまで、発想が浮かぶとどんどん変えて行かれる方なので、そこは私もびっくりしつつ楽しんでいて、新たな一面を引き出していただいてます。私はとくに男性の衣裳を着るシーンも多いので、そこは今まで宝塚で培ってきたもので、また女優になってから培ったものもありますので、それをこのオペラという芸術の中で、華開かせることができるんじゃないかなと。今まで積み上げてきたものが1つになるような感覚があります。
──オペラ出演の夢が叶った今、改めて感じることは?
まずこの東京文化会館の舞台に立った瞬間、本当に嬉しくて、宝塚大劇場も広い劇場なのですが、立った感覚はそれ以上に広くて声が響くんです。この幸せな感覚とともに、お客様に呑まれないようにと。それは宝塚で培った心構えというか、それがふつふつと蘇ってきました。それにオケピットも広くて、オーケストラの方がチューニングをしているだけで嬉しくて(笑)。歌手の方の声がすごく響いて幸せだなと。そしてオペラ作品という骨格のしっかりした作品に出られることを、本当に幸せに思っています。

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──3幕初めに「狩人の合唱」を台詞で、しかもソロで語りますね。あそこはまさにザミエルの見せ場になっていますし、凄みがあります。
あそこは本来は合唱場面で、とても有名な誰でも知っている曲なのですが、実は歌詞がとても残酷というか、狩りをしている男性の気持ちとか闘争心とか、すごく残虐な意味もあったりするんです。それをコンヴィチュニーさんが、「みんなは知らないで口ずさんでいるけど、こんなに残虐なことを言っているんだ」ということで、ザミエルに語らせているんですね。ハンブルグでの初演ではブーイングが出たというくらい衝撃的な演出になっていますが、コンヴィチュニーさんからは、それくらい大切な場面なのだと言われていますので、私も肝に銘じて演じています。しかも女性である私が男性の格好をして男性のそういう面を語っているというのは、ちょっと皮肉で面白い場面になっていると思います。
──バスタオル1つで出る気持ちはいかがですか。
最初そう聞いたとき「え、バスタオル1つですか」と(笑)。どういう意図があるのだろうとコンヴィチュニーさんに聞きましたら、「ここは悪魔が、避暑地にいるオナシスを訪ねていくビジネスマンのように、ちょっと暑いからバスタオルで仕事しに行くんだ」と(笑)。マックスに握手を求めるシーンなんですが、そういう発想が湧いたらしいです。でも実際にこの姿で舞台に立つと「なんて気持ちいいんだろう」と思いました(笑)。

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──コンヴィチュニーさんからゲネを観て感想はありましたか?
はじめはコンヴィチュニーさんは、私の存在を掴みきれないところがあったようで(笑)、でもこの舞台に来てから掴んだらしく、私に色々なことをさせたくなったようで、今日もカツラについて変わったように、色々なアイデアをどんどん出して下さっています。とても有り難いです。 
──最後に皆様へアピールを。
この『魔弾の射手』というのは単なるドイツのメルヘンチックなお話で終わらずに、ウェーバー作曲の素晴らしい音楽に乗せて、現代の私たちにも訴えかけるものがあります。ぜひ観に来ていただいて、ハートをズキュンと射貫かれていただいて(笑)、帰りには素敵な音楽を口ずさんで帰っていただければと思っています。

【フォトレビュー 18日、21日出演者バージョン】 

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※お断り:すべての舞台写真はゲネプロでの扮装・髪型です。
 
〈公演情報〉
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東京二期会オペラ劇場 ハンブルク州立歌劇場との共同制作 
『魔弾の射手』 
【オペラ全3幕】日本語および英語字幕付き原語(ドイツ語)歌唱、日本語台詞上演
台本◇ヨハン・フリードリヒ・キント
作曲◇カール・マリア・フォン・ウェーバー
指揮◇アレホ・ペレス
演出◇ ペーター・コンヴィチュニー  
舞台美術◇ガブリエーレ・ケルブル
照明◇ ハンス・トェルステデ
演出補◇ペトラ・ミュラー  
合唱指揮◇増田宏昭
管弦楽◇読売日本交響楽団
●7/18、19、21、22◎東京文化会館 大ホール
【7/18、21 出演組】
オットカール侯爵:大沼徹/クーノー:米谷毅彦/アガーテ:嘉目真木子/
エンヒェン:冨平安希子/カスパール:清水宏樹/マックス:片寄純也/隠者:金子宏/
キリアン:石崎秀和/ザミエル:大和悠河
【7/19、22 出演組】
オットカール侯爵:藪内俊弥/クーノー:伊藤純/アガーテ:北村さおり/
エンヒェン:熊田アルベルト彩乃/カスパール:加藤宏隆/マックス:小貫岩夫/
隠者:小鉄和広/キリアン:杉浦隆大/ザミエル:大和悠河

〈お問い合わせ〉チケットスペース 03-3234-9999
二期会チケットセンター 03-3796-1831(平日10:00〜18:00/土曜10:00〜15:00/日・祝休業)
http://www.nikikai.net/lineup/freischutz2018/index.html




【取材・文/榊原和子 舞台撮影/友澤綾乃】 
 



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大ヒット・ミュージカル『あなたの初恋探します』間もなく開幕! 彩吹真央・駒田一 インタビュー

あなたの初恋〜2人

あの人気ミュージカル『あなたの初恋探します』が、初演のオリジナルキャストで帰ってくる!
2006年に韓国で初演され、8年に及ぶロングランを記録した大ヒット・ミュージカル『あなたの初恋探します』(原題『キム・ジョンウク探し』)。
何をやっても上手くいかない主人公が、「初恋探し株式会社」を立ち上げ、依頼に訪れたヒロインと共に、彼女の初恋の人を探す旅に出る──。
明るい笑いの中に胸キュン要素いっぱいのラブコメディーミュージカルとして喝采を集め、16年には日本版初演として上演、こちらも大成功を収めた。

今回、日本版初演のオリジナルキャスト、村井良大&彩吹真央&駒田一の3人が再び集結。7月の東京を皮切りに、全国で公演が行われることになった。
その舞台で、初恋の人キム・ジョンウクを探すアン・リタ役の彩吹真央と、アンの父親役をはじめ老若男女国籍問わず22役を演じる「マルチマン」の駒田一。再びこのミュージカルに取り組む2人が、村井良大を含めた3人の絆と再演への意気込みを語った「えんぶ8月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介。

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もう一度演るならこの3人しか考えられなかった

──待望のオリジナルキャストによる再演となりましたが。初演の手応えはいかがでしたか?
駒田 覚えることが膨大で苦しいことはたくさんあったのですが、何しろ3人のチームワークが非常に良くてそこに助けられたのと、本番に入ってからはお客様の反応に育てて頂いたなと肌で感じる作品でしたね。
彩吹 役柄は(駒田)一さんがたくさん演じて下さるのですが(笑)、演者としては3人しかいないので、責任の大きさもありましたし、とても賑やかな作品だからこそ(村井)良大君と私が演じるお互い崖っぷちの男女の成長をきちんと演じないと、作品の大切な部分がお伝えできないと思ったので、舞台の怖さも経験した作品でした。でも本当にお客様とのコール&レスポンスでどんどん盛り上げて頂けたので、大変でしたが今振り返ると楽しかった! という思いの方が勝っています。
──その舞台をまた同じ3人でという今回の機会については?
駒田 僕がもう一度演るならこの同じ3人でとしか考えていませんでした。それほど3人の絆が強かったので、今回は更にそこから上を目指して創り上げていきたいと思っています。
彩吹 私は自分が過去に出た作品の映像はあまり観ない方なのですが、再演にあたってこの作品の資料映像を観たらめちゃくちゃ面白くて!
駒田 俺と良大にすぐメッセージが来たよね(笑)。
彩吹 一観客としてテンションが上がったんです! 「一さん20秒前は別の人だったのに何してるの?」みたいな(笑)。私がお客様だったら絶対にリピートすると思うし、アン・リタという女性をもっと突き抜けて演じても大丈夫な作品だと感じたので、3人が2年間に築いたものも大切に、より深めた作品にしていきたいです。

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役者として尊敬し信頼できる間柄

──駒田さんは特に好きだった役はありますか?
駒田 やっぱり作品の根本として、最も大切なのはアン・リタの父親役でしたが、ジェシカもインド人もタクシーの運転手も、みんな好きですね!
彩吹 私もパパ大好きです! 幼い頃に母を亡くしたから普段は厳しいけれど、本当は娘の結婚を案じて初恋の人を探してくれる優しいパパで。あとは電車の中の車掌さんと売り子さんの演じ分けも凄いです!
──お互いの魅力についてはどうですか?
駒田 ゆみこ(彩吹)は真面目。台詞と歌詞の1つひとつを突き詰めている姿を見て、信用できる女優だと強く感じています。その信頼の上に、更に良い舞台を目指せるのが楽しみですね。
彩吹 私はそもそも、初演のお話をいただいた時のキャスティングに一さんがいらっしゃるのを知り「出たいです!」と即答したほどご一緒したかった役者さんで、思った通りに素晴らしい方でした。一さんが周りを包み込んでくださったからこそ、3人の絶妙なトライアングルが出来たと思っています。その3人で、誰の心にもある初恋の思い出、キュンとする切なさをお客様にも一緒に感じて、ときめいて頂ける作品を創っていきたいので、是非楽しみに劇場にいらしてください。お待ちしています!


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駒田一  彩吹真央


あやぶきまお○大阪府出身。94年宝塚歌劇団入団、男役として活躍。10年に退団後は女優として舞台を中心に活動しながら、コンサートやCDなどの音楽活動、声優など幅広い活動を展開している。近年の主な舞台は『ロコへのバラード』『サンセット大通り』『シラノ』『モンテ・クリスト伯』『アドルフに告ぐ』『End of the RAINBOW』『イヌの仇討』『Glorious! 』など。9月に『マリー・アントワネット』への出演が控えている。
 
こまだはじめ〇名古屋市出身。いずみたく主宰のミュージカル劇団フォーリーズで活躍、90年退団後は小劇場作品から大作ミュージカルまで幅広く活躍中。2015年第41回菊田一夫演劇賞受賞。近年の主な舞台に『ラ・マンチャの男』『ダンス・オブ・ヴァンパイア』『ミス・サイゴン』『レ・ミゼラブル』『メリー・ポピンズ』など。9月より『マリー・アントワネット』への出演が控えている。

〈公演情報〉
 
ミュージカル
『あなたの初恋探します』
上演台本・作詞・演出◇菅野こうめい
音楽監督◇かみむら周平
振付◇広崎うらん
出演◇村井良大 彩吹真央 駒田一
●7/21〜28◎東京・オルタナティブシアター
8/4〜5◎福岡・大野城まどかぴあ 大ホール
8/14〜15◎愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT
8/18〜19◎大阪・サンケイホールブリーゼ
〈お問い合わせ〉東京公演/東京音協  03-5774-3030
〈公式HP〉http://musical-firstlove.com



【構成・文◇橘涼香 撮影◇友澤綾乃】



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誕生40周年のアニバーサリーイヤーを飾る舞台『銀河鉄道999』間もなく開幕! 中川晃教・凰稀かなめ インタビュー

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1977年の連載開始以来、78年のテレビアニメ化、79年の劇場版アニメ化が大ヒットとなるなど、日本のアニメーション史上の不朽の名作として輝く松本零士の「銀河鉄道999」。その誕生40周年のアニバーサリーイヤーを記念して、舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜が6月23日から明治座で上演される。(30日まで。のち北九州、大阪公演あり)

富裕層だけが機械の身体を持ち永遠の命を謳歌する未来社会で、迫害され、母親を殺された少年・星野鉄郎が、謎の美女・メーテルと共に銀河特急999号に乗り込み、機械の身体をくれる星を目指す旅に出る。そんな物語の主人公・星野鉄郎を演じる中川晃教と、旅の途中で出会い鉄郎に大きな影響を与える女宇宙海賊・クイーン・エメラルダスを演じる凰稀かなめが、偉大な作品に取り組む意気込み、お互いのこと、また多くの人々に愛されるキャラクターを演じる楽しさと難しさを、語り合ってくれた「えんぶ6月号」の対談を、別バージョンの写真とともにご紹介する。

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真っ白でシンプルな鉄郎少年と
女海賊クイーン・エメラルダス

──不朽の名作『銀河鉄道999』が舞台化されるに当たって、星野鉄郎として、またクイーン・エメラルダスとしてオファーを受けた時の気持ちはいかがでしたか?
中川 僕は今35歳なので、まさか16歳の鉄郎役がくるとは思っていなかったから、僕でいいの? という気持ちは正直ありました。でも松本零士先生にお会いして、先生がこの作品に込めた想いを伺い、2018年の今、舞台化することの意味や、伝えていくべきものの大切さを感じて。やってみよう、やりたい! と思いました。
凰稀 私は顔に傷を持つ女海賊であるクイーン・エメラルダスの孤高なイメージに、どこか自分とリンクするものを感じて、是非やりたいと。後は単純に戦いたかったのもあるかな(笑)。宝塚の男役時代には、様々なアクションや殺陣もやっていたけれど、退団してからおしとやかな役が続いたので(笑)。
──世界の三大美女系の役柄が多かったですね。実際に今、演じることになった役柄については、それぞれどう感じていますか?
中川 鉄郎は、誰にも負けない夢と憧れ、機械の身体を手に入れるんだ! という希望を持っているけれども、それ以外は本当に真っ白な少年で、何かを出されたら素直に驚くし、子供扱いされたら反発する。そんなシンプルな少年として、作品の中に存在したいです。
凰稀 クイーン・エメラルダスはイメージとしては怖いけれど、実はトチローのことをずっと思い続けている、優しさを持った女性で。彼女のそうした人間臭さをとても面白く感じるので、早くお稽古がしたいですね。クイーン・エメラルダスとして生きたい。
中川 メーテル役のハルカさん、キャプテン・ハーロック役の平方元基君、トチロー役の入野自由さん等々、色々な個性が集まったワクワク感が大きくて、それがこの大きな作品を創り上げる原動力にも、壁を乗り越える力にもなると思うから、本当に稽古が楽しみだね。

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共通点も多く
男同士的な感覚もある二人

──お二人が、お互いに感じている魅力や印象を伺いたいのですが。
中川 実は僕たちは同い年で、更に『銀河英雄伝説』に出ているという、共通点もあって。
凰稀 私は『銀河英雄伝説』のラインハルト役が、宝塚のトップお披露目公演だったの。
中川 僕はその舞台を観ていたから、今回クイーン・エメラルダスが凰稀さんって聞いた時、パッとそのイメージが浮かんだ。マント捌きが素晴らしくて、惹きつけるカリスマ性があって。あぁ、クイーン・エメラルダスそのものだなって。でも、一昨年、岩谷時子先生のコンサートで共演した時の印象がまた全然違ったんだよね。なんて綺麗な人なんだろう! こんな綺麗な人がいるんだ! って圧倒されて。異次元の人というか、僕の人生でこんなに綺麗な人に出会うことがあるとは思えなかったほど綺麗だったから。
凰稀 (爆笑)。
中川 その感覚が、劇場版で鉄郎とエメラルダスが初めて出会うシーンにつながる気がした。本当に空気を変えることができる人だよね。あれは何なの? やっぱりどこかでスイッチを入れる感じ?
凰稀 まぁ、スイッチは入れられるかな。でも最初からそうできた訳じゃなくて、宝塚でトップになるまでの長い間に、自分を磨いて、磨いて、できるようになったというか。それには1人になる時間が必要だったんですけどね。
中川 それがさっきの、エメラルダスの孤高な姿が自分にリンクするところがあるってことにつながるんでしょう?
凰稀 うん、そう。私から見た中川君は「ミュージカル界の王子様」。
中川 ちょっと! それ絶対思ってないでしょう?(笑)
凰稀 思ってるよ!(笑)私も、勉強の為に中川君の舞台はいっぱい観ていて、ハートがしっかりある、とても繊細なお芝居をする方という印象が強くて。もちろん歌が素晴らしいのは言うまでもないので、歌っている姿に見入ってしまうんです。
中川 同じ時代を生きて、場所は違えど自分を磨き続けてきたという共通点もあって、更に元男役さんだから、男同士的な感覚で思いっきりぶつかっていけるし。
凰稀 全然OKです!
中川 同志として、『銀河鉄道999』の舞台を突き詰めていく為の、最高のパートナーだと思います。

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心さえ動いていれば
どんな役でも成立する

──お二人とも多くの人に愛されているキャラクターを演じていますよね。中川さんは『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』のスヌーピー、凰稀さんは『ベルサイユのばら』のオスカル。
凰稀 そこでオスカルが出てくるんだ!(笑)スヌーピーとオスカル! 
中川 同い年で、同志で、スヌーピーとオスカルっていいよね!(笑)
──そういう絶大な支持を得ているキャラクターを演じる上での楽しさ、また難しさはどうですか?
中川 やっぱり鉄郎しかり、スヌーピーしかり、皆さんがキャラクターを愛していれば愛しているだけプレッシャーはあります。スヌーピーって何をしても許されるんだよね。その愛される理由って何なのだろうと考えたし、原作にできる限り忠実なスヌーピーでありたいと思ったし、同時に僕が演じるならではのこだわりも持っていたかった。
凰稀 私は自分もオスカルが大好きだったから、自分が描く理想のオスカルを信じようと。男として育てられたのだから、いくらアンドレの前だと言っても、いきなり女々しくはなりたくないという点にはすごくこだわりましたね。でも、その役が犬でも心はあるわけですよね。演じる部分では。
中川 うん、それはある。
凰稀 だから、演じる人間の心が動いていれば、ちゃんと成立すると思う。特に今回は、私たち周りの人間が関わることで、中川君の鉄郎に影響を与えていく訳だから、中川君はありのままでいいと思う。
中川 そう言ってもらえるのはすごく嬉しいし、その言葉を信じて、ありのままで頑張ります。これだけ偉大な作品に関わらせて頂く幸せを感じながら、スタッフ、キャスト全ての力を結集して、『銀河鉄道999』の世界観を舞台に生み出し、最高のエンターティンメントをお届けできるように、頑張っていきましょう!

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なかがわあきのり○宮城県出身。01年自身の作詞作曲による「I WILL GET YOUR KISS」でデビュー。02年日本初演のミュージカル『モーツァルト!』の主役に抜擢され、初舞台にして第57回文化庁芸術祭演劇部門新人賞、第10回読売演劇大賞優秀男優賞、杉村春子賞を受賞。以後音楽活動と共に数々のミュージカル、ストレートプレイに出演。近年の主な舞台作品は『CHESS』『グランドホテル』『フランケンシュタイン』『ビューティフル』。9月には多数の演劇賞を受賞した『ジャージー・ボーイズ』の再演が控えている。
 
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おうきかなめ○神奈川県出身。2000年に宝塚歌劇団で初舞台。12年、宙組トップスターに就任、数々の作品で活躍し、15年に惜しまれつつ退団。16年『1789−バスティーユの恋人たち−』マリー・アントワネット役で女優デビュー。舞台を中心に、コンサート、テレビドラマ、CDアルバムの発売など、多岐に渡って活躍中。近年の主な舞台作品に、ミュージカル『花・虞美人』、リーディング・ドラマ『愛にまつわるいくつかの…』、『1789─バスティーユの恋人たち─』(再演)など。

〈公演情報〉
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舞台『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜 
原作・総監修◇松本零士 
脚本◇坪田文 
演出◇児玉明子
出演◇中川晃教 ハルカ 染谷俊之 矢沢洋子 雅原慶 美山加恋 入野自由  お宮の松 小野妃香里 塚原大助 /凰稀かなめ(特別出演) 平方元基  ほか
●6/23〜30◎東京・明治座
7/21〜22◎北九州芸術劇場ホール
7/25〜29◎梅田芸術劇場シアタードラマシティ
〈お問い合わせ〉東京音協 03-5774-3030
 
www.999-40.jp


【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】


 

『大人のけんかが終わるまで』
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朗読(クローゼット)ミュージカル『不徳の伴侶 infelicity』上演中! 彩乃かなみ、藤岡正明、百名ヒロキ インタビュー

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悲劇の女王として名高い、スコットランド女王メアリーと、その愛人として、ともに故国に反旗を翻し追われたボスウェル伯との恋の顛末を中心に、変転に満ちた、波乱万丈のヨーロッパ史を描く物語が、5月29日から6月3日まで、赤坂RED/THEAERで上演中だ。
 
この作品『不徳の伴侶 infelicity』〜女王と愛人、毒婦と奸賊、メアリー・スチュアートとボスウェル伯〜は、作・演出家の荻田浩一が10年以上あたためてきたもので、作曲の福井小百合との共同企画により、朗読(クローゼット)ミュージカルという形での新作上演となる。出演は彩乃かなみ、藤岡正明、百名ヒロキ、舘形比呂一、吉本真悟、そしてシルビア・グラブという、歌やダンスに優れた豪華な顔ぶれとなっている。
 
その舞台で、スコットランド女王で悲劇の王妃として知られるメアリー・スチュアート役の彩乃かなみ、愛人から3人目の夫となったボスウェル伯の藤岡正明、メアリーの2番目の夫ダーンリや息子ジェームズ一世など何役か演じている百名ヒロキ。3人にまだ開幕前の時期に、作品に取り組む気持ちやお互いについてなど話してもらった。
 
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悲劇の女王と呼ばれるけれど
立場の中で精一杯生きた人
 
──それぞれの役について話していただきたいのですが、メアリーは作・演出の荻田さんからぜひ彩乃さんでとお名指しだったそうですね。
彩乃 荻田先生とは宝塚での先生と生徒時代からですから、もう20年以上になります。よく知っていてくださる先生の作品の出られることが、本当に嬉しいです。メアリーという人については、まず調べるところから始まりまして、今、私が生きている世界では考えられないような生涯を生きた人で、5才で父王を亡くして、6才で政変のためにフランスに逃亡したり、その出生ゆえに自分の思いとは全然ちがうところで翻弄されていく人で、高貴な生まれであればあるほどそうだったわけですよね、そういう生まれを受け入れるか恨むかという狭間で生きてきた人だと思います。ただ悲劇の女王とよく言われますけれど、何度も恋をしたり、政治についてもそうですが、その立場の中で精一杯生きたと思いますので、その人間らしさみたいなものをお伝えできたらいいなと思っています。
藤岡 僕の役のボスウェル伯は、3人目の夫なのですが、今回の台本では捉え方が違っていて、史実よりも理性的な部分を持っている人になっています。そこが僕がこの役を面白いなと思うところで、また、とても博学で頭がよくて、兵法なども長けているという。僕はそういう頭の良い役はあまりしてないし(笑)、「伯」という字が付いている役はすごく久しぶりだなと。その後のメアリーの運命を決めるかなり重要な存在なので、大事に探りながら演じていきたいと思っています。
百名 僕は色々な役を演じていますが、メインはメアリーの2番目の夫となるダーンリ卿とメアリーの息子ジェームズ1世を演じます。でも、最初に「百名」という役でも出るんです。
彩乃 ストーリーテラーみたいな役どころですよね。他にもそういう方は何人かいるのですが、私と藤岡さんは1役だけです。
──百名さんは、こういう歴史ものへの取り組みは?
百名 あまり出演していないので、まず歴史を調べることから始めました。ただ、台本になったものは、思った以上に時代とか人間関係とかわかりやすくて、お客様にも、とてもわかりやすく観ていただけると思います。
──荻田さんは百名さんに白い部分と黒い部分をそれぞれ期待しているそうですが。
百名 ダーンリが黒ですね(笑)。でも彼が16才で出てくる場面もあるので、そこは白かもしれません(笑)。
 
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音楽があることで
お客様と歩幅を合わせやすくなる
 
──今回は朗読ミュージカルということですが、ミュージカルでは定評のある方々ばかりですね。
藤岡 まずは彩乃さんでしょ。
百名 お二人ともすごいですよ。
──ミュージカルであることの良さや難しさは?
彩乃 メロディラインが美しいことで、お客様に心地よさを与えられると思いますが、歌う側からすると、あまり曲が綺麗すぎると何を歌っていたのか歌詞が伝わらないということもあるので、そこは技術を駆使するしかないのですが。今回は心情を歌う部分だけでなく、情景とか情勢を細かく伝えるところもあるので、きちんと伝えたいと思っています。それから私は自分が劇場へ行ったときに、オーバーチュアだけで泣けてくることがあって。音楽の強さみたいなもの、それを歌うことを通してお伝えできるのが幸せだなと思っているんです。
藤岡 音楽のすごさってあるからね。
彩乃 今回だと、危機迫る状況とか、音楽で伝えてくれたりするので、そこにうまく乗っていけたらいいなと思っています。
藤岡 なんでミュージカルなのかということなんですけど、僕はディズニーランドだと思っているんです。そこでは、さも現実らしい虚構が起きていて、ドラマティックな夢みたいなところに連れて行ってくれる。そういうものの1つのツールが音楽で、たとえば劇場に入ったときから、すでに夢に入って行くのだと思うのですが、さらにオーバーチュアを聞いたときから物語に入り込む、そして現実を忘れる。そのためのツールが音楽なんです。
彩乃 とくに今回はシリアスな物語ですから、音楽があることで、エンターテインメントになることで救われる部分がありますね。
藤岡 朗読劇ということに加えて歴史劇の重さで、お客様を置いて行きかねないのですが、音楽があることで、お客様と歩幅を合わせやすくなるんです。
彩乃 そうなんです! 素晴らしい解説(笑)。
百名 そのあとで話すのはつらいんですけど(笑)、僕はミュージカルはここ1年くらいの間に何作か出演していて、出演する側としては技術がいるなと思います。歌だけでなく、芝居もダンスの技術も必要で、本当に総合芸術だなと。
──ショーなどで歌だけ歌っているときとお芝居の中で歌う場合とは違いますか?
百名 かなり違います。物語の中のナンバーは作曲家の方が緻密に作られているのを感じますし、僕はまだまだ技術が追いついてないなと。演出家さんや作曲家さんに教えていただく中で、自分で解釈して歌っているだけではダメなんだというのをすごく感じます。まず音程とリズムを丁寧に、そこをもっと磨くのが今の僕の課題だと思います。

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声質も口の開け方?も
似ている2人
 
──お互いについても話していただきたいのですが。彩乃さんについては?
藤岡 僕はシアタークリエのコンサートでご一緒したことがあって、なんていう素敵な声なんだろうと。
彩乃 『ルドルフ・ザ・ラストキス』のデュエット!大好きでした!
藤岡 「それ以上の…」という曲だよね。
彩乃 そう! それです。私は藤岡さんと声質が合うような気がするんです。
藤岡 僕もそう思いました。声質もですけど、口の開き方からして合うんです。
彩乃 そんなところを見てるんですか?(笑)
藤岡 クラシックの方はすごく喉を開けるじゃないですか。僕はポップスをやっているのでそんなに開けないんです。彩乃さんも綺麗なファルセットとか出しているのに顔が崩れない。
彩乃 ああ、わかります。それは宝塚時代から気をつけていました。
藤岡 それに歌だけでなく人柄の良さがすべてに滲み出てるなと。本当に良い女だなと思います。
彩乃 そんなに褒められると居どころがない感じです(笑)。
百名 僕は彩乃さんとは今回が初めてですが、はじめましての時から気さくに話しかけてくれて、宝塚の方なのにと。
彩乃 そんな(笑)、みんな気さくですから大丈夫ですよ!
──藤岡さんについてはいかがですか?
彩乃 先ほどの続きなんですけど、寄り添える歌い方なんです。ドラマティックな曲は1人で歌い上げてしまいがちなのですが、すごく寄り添ってくださるんです。お互いに思い合えるような歌い方をしてくださって。
藤岡 それは僕の包容力です!
彩乃 はい。そうです(笑)。あとは呑んべえさんです。フランクにお酒の場に誘ってくださるし、一緒に楽しく呑める方なんです。それに稽古場ではムードメーカーで皆さんの空気を変えてくださるところが素敵です。
百名 僕も、このあとにある舞台で2作ご一緒するのですが、その前にこの公演でご一緒できて嬉しいです。すごくご縁があるんだなと。周りの方に伺うと「楽しい人」と皆さんおっしゃるので、お会いするのを楽しみにしていたんです。それから、以前、舞台を拝見したとき、なんてすごい歌声だろうと感動して、動画サイトで検索して歌っていらっしゃるのを聞いたりしていたんです。
藤岡 えっ本当に!? 嬉しいな。
百名 僕こそご一緒できてすごく嬉しいです(笑)。
 
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荻田浩一が本気で
新しいことをする舞台
 
──では百名さんの印象を。
藤岡 僕が24才のとき、こんなだったらいいなと思うんですよ。すごく真面目で礼儀正しくて。礼儀正しさって形だけだと透けてみえる場合があるんですが、でも彼はその場を取り繕うためにやってるんじゃないのがわかる。本当に良い子なんだと。
百名 透けてみえないようにがんばります(笑)。
彩乃 爽やかオーラがあるなと。それはすごくいいことで。
百名 ありがとうございます。
──珍しい名前ですが、百名というのは自分でつけた芸名だそうですね。
百名 地元が沖縄なんですけど、沖縄にある百名山という、山や海がすごく綺麗な場所の名前をいただいて、それと俳優として沢山の役をやれたらという思いでつけました。
藤岡 いい名前だね。
彩乃 本当に!
──仲の良いこのカンパニーで、この舞台に取り組んでいるわけですが、最後に意気込みを。
百名 僕はミュージカルを始めてまだ経験は浅いのですが、この『不徳の伴侶』の世界で何役も生きられることを楽しみながら、公演を一生懸命がんばりますので、ぜひ観にきてください。
藤岡 この作品は荻田浩一さんが10年も温めてこられた作品であり、赤坂RED/THEAERという凝縮された空間の中で壮大なストーリーを演じるという、また荻田浩一が本気で新しいことをやろうとしている舞台です。ですから荻田船長の方向に力を合わせていきたいと思っています。皆様、どうぞお楽しみに。
彩乃 日本で新作オリジナルミュージカルはあまり多くない中、それを作り上げる1人になれたことは嬉しいです。荻田先生が温めてこられた作品で、ぜひと言っていただけたことはとても有り難いなと。20年以上のお付き合いで、私の軌跡を見てきてくださってうえで、今の私にということですから、それに全力で応えたいです。この素敵な仲間たちと、沢山の素敵な音楽とともに、素晴らしい作品をお届けしたいと思っています。ぜひ劇場へお越しください。
 
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あやのかなみ○群馬県出身。97年宝塚歌劇団に入団、05年に月組のトップ娘役に就任、08年『MEAND MY GIRL』で退団。以降、女優として活躍中。最近の主な舞台は、ミュージカル『天翔ける風に』、ミュージカル『ひめゆり』、TAKARAZUKA WAY TO 100th ANNIVERSARY『DREAM, A DREAM』、『ONE-HEART MUSICAL FESTIVAL 2013夏』、ミュージカル『何処へ行く』、『セレブレーション100! 宝塚』、『マホロバ』、『SUPER GIFT』、『クリエンターレ!』、『夜の姉妹』、ロシア文化フェスティバル2016『バレエ ガラ 夢 コンサート 2016』『オフィリアと影の一座』ミュージカル『アニー』ミュージカル『マディソン郡の橋』など。9月からミュージカル『マリー・アントワネット』への出演が控えている。
 
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ふじおかまさあき○東京都出身。2001年に音楽デビュー。05年『レ・ミゼラブル』マリウス役でミュージカルデビュー。舞台を中心に活躍中。最近の主な出演作は、『タイタニック』『グランドホテル』『ジャージー・ボーイズ』『ミス・サイゴン』『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』(以上ミュージカル)、『欲望という名の電車』など。8月に『宝塚BOYS』teamSEA、10月にミュージカル『タイタニック』再演への出演が控えている。
 
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ひゃくなひろき○沖縄県出身。2017年『ボクが死んだ日はハレ』で舞台デビュー。以降、舞台を中心に活躍中。戦国シェイクスピア『マクベス』、ジェットラグプロデュース『終わらない世界』、舞台『GANTZ:L』、ミュージカル『マタ・ハリ』など。このあと8月に『宝塚BOYS』teamSEA、10月にミュージカル『タイタニック』への出演が決まっている。
 
 〈公演情報〉
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『不徳の伴侶 infelicity』〜女王と愛人、毒婦と奸賊、メアリー・スチュアートとボスウェル伯〜 
作・演出◇荻田浩一
作曲・音楽監督◇福井小百合
出演◇彩乃かなみ 藤岡正明 百名ヒロキ 舘形比呂一 吉本真悟 シルビア・グラブ
●5/29〜6/3◎赤坂RED/THEATER
〈お問い合わせ〉https://www.team-infelicity.com/



【取材・文/榊原和子 撮影/岩田えり】 



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