えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

舞台『刀使ノ巫女』

インタビュー

人気漫画『深夜食堂』のマスターを演じる! 筧利夫インタビュー

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国境を超えて世界中で愛され、第39回日本漫画家協会賞大賞を受賞した安倍夜郎の『深夜食堂』。ドラマ、映画も大ヒットを記録したこの人気作がミュージカル作品となって、10月26日にいよいよ開幕する。(11月11日まで。新宿シアターサンモール)
脚本は第2回「韓国ミュージカル・アワーズ」で脚本賞を受賞したジョン・ヨンが担当。作曲は、日本でも話題となった『キム・ジョンウク探し( 『Finding Mr.DESTINY)』『オー!あなたが眠っている間に』など韓国ではヒット作常連となっているキム・ヘソンが担当。演出は煌びやかさと人間模様の細やかさを描き分ける荻田浩一が手がけている。 

深夜0時、看板もないその食堂は静かに店を開ける。メニューは豚汁定食だけだが、勝手に注文すれば出来るものは出してくれる。そんな「めしや(深夜食堂)」で訪れる客の、打ち明け話を黙って聞きながら料理を作るマスターを演じるのが筧利夫。舞台はもちろん、テレビドラマ、ナレーション、CM、番組 MC など様々なフィールドで活躍する筧による、新たなマスターの誕生だ。
そのマスター役の筧利夫が、作務衣姿も粋に語ってくれた「えんぶ10月号」のインタビューをご紹介!(近日中に壮一帆、愛加あゆ、田村良太、藤重政孝の座談会も掲載予定。)

劇場全体がひとつの
集いのようになる

──大人気の作品がミュージカルになるということで、今大きな注目が集まっていますが、どのような舞台になりそうですか?
会社帰りにちょっと観に来て癒される作品になると思います。小さな劇場ですし、もちろん生演奏のミュージカルだから盛り上がるところもありますが、基本的には劇場全体がひとつの集いのような感じになるんじゃないかな? と思っています。
 
──そこで演じるマスター役についてはどう感じていますか?
この作品っておそらくマスターの視点からお客様もご覧になるだろうと思っていて。でも、マスターに感情移入するのではなくて、マスターの目線から作品世界を観るのだろうなと。だからマスターとしては、「めしや」を訪れる個性溢れるお客さんを淡々と迎えていくということですかね。そう考えると、今回の出演者は歌って踊れる方達ばかりだし、しかもミュージカル畑はもちろんポップス系の方もいらっしゃるので、様々な見応え、聴き応えがあると思います。まぁその分俺の歌はちょっとだけ音符に乗せた台詞だと思って頂いて、筧が歌い上げる! とは期待しないで頂ければ(爆笑)。
 
──ミュージカルは「歌は語れ」と言われますから。
ああそうですね! それに演出がオギー(荻田浩一)なんで、何を言い出すかわかりませんからね(笑)。「マスターも踊って!」ということに、ひょっとしたらなっているかもしれないので、それは是非幕が開くまでのお楽しみになさっていてください。

きっとリピートしたくなる
作品になるはず! 

──メディアミックスで大ヒットしている作品を舞台で、更にミュージカルでやることの楽しさ、また難しさはどうですか?
ひとつ良いのはゼロからのスタートではなく、作品や役のイメージが広く伝わっているので導入が楽だということです。ミュージカル版としてもすでに韓国で作られたものがありますし。ただその分原作やテレビのファンで、舞台やミュージカルを観るのは人生で初めてという方もいらっしゃると思うので、そういう方達を如何にびっくりさせずに(笑)、演劇世界に入ってきてもらうか、ですね。でも小劇場だしミュージカルなのでマイクも当然使いますから、囁くような台詞はそのままお伝えできるので、作品のそこはかとないものも感じて頂けると思います。オギーの中には無尽蔵にアイディアがありますから、照明ひとつを取っても神出鬼没な感じに面白く創るだろうと期待しています。
 
──メニューにないものも頼むと出してくれるというのも素敵ですが、筧さんなら何を頼みますか?
俺は「イカゲソ」だな。「イカゲソ」で酒を一杯ですね。そういう想像もできるようなほっこりする話ですが、それだけに緻密さを持って創りたいですね。小劇場だからこそどんな繊細なものもお客様に届くので、それを楽しみにして頂きたいし、きっとリピートしたくなる作品になると思います。おそらく1回観たあとに「もう1回観たい」となるはずですが、その時にはチケットがないので(笑)、はじめから5枚は購入しておくことをおススメします!(笑)やはり「生」は最高ですから、是非舞台版、ミュージカル『深夜食堂』の世界を楽しみにいらして下さい!

【プロフィール】
かけいとしお〇静岡県出身。大阪芸術大学に入学、劇団☆新感線で俳優デビュー。卒業と同時に上京し第三舞台に入団。劇団作品のみならず、数々のつかこうへい作品にも出演して圧倒的な人気を博し、映像の世界へも進出。ドラマ『踊る大捜査線』の新城賢太郎管理官など、舞台、映画、テレビで幅広く活躍中。 近年の主な作品に、舞台『京の蛍火』『JAM TOWN』『ミス・サイゴン』、映画『第二警備隊』『THE NEXT GENERATIONパトレイバー首都決戦』、ドラマ『遥かなる山の呼び声』『イアリ―』『おんな城主直虎』など。


〈公演情報〉
AD深夜食堂
 
ミュージカル『深夜食堂』
原作著作◇安倍夜郎「深夜食堂」
Book&Lyrics by JEONG, YOUNG 
Music by KIM, HAESUNG
演出◇荻田浩一
日本語上演台本・訳詞◇高橋亜子
出演◇筧利夫 
藤重政孝 田村良太 小林タカ鹿 碓井将大 エリアンナ AMI(アミ) 谷口ゆうな 愛加あゆ 壮 一帆
演奏◇熊谷絵梨(Pf)、相川瞳(Perc.)、中村康彦(Gt.)、中村潤(Vc.)
●10/26〜11/11◎新宿シアターサンモール
〈料金〉8,200円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉info@meshiya-musical.com
〈公式HP〉 http://meshiya-musical.com
〈公式ツイッター〉@meshiya_musical



【取材・文/橘涼香】

 

舞台『刀使ノ巫女』


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座・ALISA Reading Concert vol.II 『キセキのうた』〜私たちの「今」を歌おう〜 湖月わたる&春野寿美礼インタビュー

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歌やドラマや舞台で様々な挑戦を重ねてきた観月ありさが発起人となり、昨年12月に誕生した“座・ALISA”。名作や名曲を軸に、今を生きる女性たちに勇気と感動を伝えたいという思いのもと、歌・ドラマ仕立ての構成で綴られるシリーズだ。その第2弾となる『キセキのうた』〜私たちの「今」を歌おう〜が、8月26日〜9月3日渋谷のセルリアンタワー能楽堂で上演される(のち、大阪、愛知での公演もあり)。
 
今回は「40代女性にエールを贈りたい」という構想で、松任谷由実の楽曲を全体に散りばめ、かつてボーカルユニットとして歌い、それぞれの人生を歩んでいた3人の女性たちが、共通の友人の死をきっかけに再び出会い、新たな1歩を踏み出すまでが、歌、Reading、ダンスを交えたエンターテインメントのステージで描かれていく。
 
その舞台を観月ありさと共に務めるのが、元宝塚歌劇団トップスターの湖月わたると春野寿美礼。ちょうど同時期に星組と花組でトップスターを務め、退団後も多くの舞台で共演してきた二人だが、40代の女性という等身大の役柄で舞台に立つのは極めて珍しく、新たな二人の表情、関係性が観られるという意味でも、今回の舞台は貴重な機会となる。
そんな湖月と春野が、東京での上演場所であるセルリアンタワー能楽堂の舞台や、作品と役柄のこと。また、座長の観月ありさや、それぞれの宝塚時代から今につながる印象を語り合ってくれた。

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神聖な能楽堂で
憧れの女性ユニットを組んで

──歌もふんだんにあるリーディングドラマを能楽堂でということで、非常に面白い試みの舞台ですが、製作発表会見で能楽堂の舞台に立ってみていかがでしたか?
湖月 最初に能楽堂さんでとお話を聞いた時には「この作品を?」という驚きもありましたし、能楽堂さんには観客としては伺っていましたけれども、まさか舞台に立たせて頂くことになるとは、と緊張していました。でも実際に衣装を着て舞台に立たせて頂いたらとても居心地良くて。やはり神聖な場所ですし、芸の神様が守ってくださっている、包まれている場所だと感じました、心を込めて務めたいと思います。
春野 私は能楽堂に足を踏み入れるのは今日が初めてです。その上で実際にパフォーマンスをさせて頂いている時は、和の空気と、上質な木に包まれている独特な感覚を味わいました。
湖月 響きもすごく良かったしね。
春野 背筋が伸びるというか、舞台に立つ姿勢が正される、良い意味の緊張感と居心地の良さを感じました。
──「座・ALISA」への出演オファーがあった時はどう感じられましたか?
湖月 ありささんが昨年末、「座・ALISA」を旗揚げされた時にコメントを贈らせて頂いたのですが、やはりこうしてエンターテイメントを作っていくというのは大変なエネルギーが必要だと思いますし、お客様に楽しんで頂けるものを提供したいという思いが漲っていらっしゃるのを感じていたので、いつか出させて頂きたいと思っていました。それが早速第二弾にお声がけ頂けて、とても嬉しかったです。しかも「ドリームガールズ」ということで、ユニットって憧れなかった?「キャンディーズ」とか「ピンクレディー」とか。
春野 憧れました!
湖月 姉妹で真似したりっていう思い出がある方も多いと思うんだけど、私は男兄弟二人だったので「イモ欽トリオ」だったのよ!(笑)だから綺麗なお衣装で、女性だけのユニットってすごく憧れだった上に、オサちゃん(春野)と一緒という事で「こんな事が起こるんだ!」とすごく嬉しかったです。リーディングコンサートというだけではなく、これだけ歌も交えてユニットも組む、素敵な企画に呼んで頂いて本当に光栄です。
春野 私は本当にリーディングのみだと思っていました。ところが松任谷由実さんの楽曲を使いダンスもあると聞いて一気に不安が押し寄せてきました。観月ありささんは今回初めてお会いしましたが、とても素敵な方です。そんな方とユニットを組むというので、もう不安で、不安で仕方ありません。わたるさんとはここ最近共演させて頂くことも多く、その度に座長として大黒柱になってくださっていたので、わたるさんの存在で安心できる気持ちはあります。でもそこに甘え過ぎずに、一人の女優としてしっかり作品に貢献できるように頑張りたいと思います。

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それぞれの来し方が
重ねられた等身大の役柄

──そんな観月ありささんの魅力をどう感じますか?
湖月 やはり長年に渡って、主演作を何年も連続でされていて、本当にお忙しいスケジュールの中にも関わらず、一切疲れた顔をお見せにならないんです。ドラマの撮影で「京都に衣装合わせに…」とかサラッとおっしゃって。この猛暑の中「えっ?京都ですか?」「そうなの、暑かったの」とか、もうね。
春野 なんでもないことのようにお話しされます。
湖月 多忙なスケジュールをこなしながらこのお仕事をされているのに、少しも大変だとは周りに気づかせない。プロとしての培って来たもののエネルギーを感じます。あとは気配りがとても細やかで。
春野 そうなんですよ。私はお目にかかってからまだ数日ですが、最初にお会いした時、緊張していた私にありささんの方から自然に歩み寄ってきてくださって、「よろしくお願いします」と言って深々と頭を下げられたのです! そんな風に人を敬う気持ちがありささんの言葉の端々にも表れていて、外見だけではなく人間性も素晴らしい方なんだと思いました。そんなありささんにしっかりついていきたい、微力ながら支えさせて頂きたいと思いました。
──演じる役柄についてはいかがですか?
湖月 私たち三人それぞれが歩いている人生を、投影してくださった作品になっていて。歌手としてユニットで歌っていた三人が、解散してそれぞれの道を歩いていた中で、ある友人の死をきっかけにまた集まって「もう一度歌おう」という想いに至るお話なんですが、私は一度ユニットが解散したあとも、歌い続ける人生を選んでいるという役どころです。同じ目的に向かって夢を追いかけた仲間っていうのは、例えひと時離れていたとしても、永遠に繋がっているものがあるんだというのは、私とオサちゃんがまさにそうで。同じところでやって来た人間というのはやっぱり永遠の絆があって、いざとなればパッと集まれるということに実感があります。それはこういうお仕事だけではなく、皆さんそれぞれの人間関係の中にもきっとあることだと思いますし、やりたい事がある、続けたい事があるって素敵な事ですよね。やっぱり人って何かにときめいていたいし、何かにやりがいを見つけて一生懸命生きたいという想いは誰しもが持っていると思います。そういうメッセージ性がユーミンさんの歌の中にもたくさん込められていて。特に今回改めて台本の中で、活字になっているユーミンさんの歌詞を読んだら、「こんなに深い意味があったのか」と気づくことが多いです。それは私が年齢や経験を重ねたからこそ、更に感じられるものでもあると思うので、ユーミンさんの歌の魅力をきちんとお届けできたらなと思っています。
春野 私の役は、ユニットで活動をしてる時に「結婚をしたい」と言い出して、それによってユニットが解散するきっかけを作ってしまった人物なんですが、再会したあと「もう一回三人で以前のように歌えないかな?」と言い出す勝手な人なんです(笑)。
湖月 ううん、こういう人が必要なんです!人生ドラマには(笑)。
春野 私自身も宝塚を退団した時に「もうこの仕事はやらない」と言って去って行った人間なので(笑)。
湖月 「やらない」と言ったのに!(笑)。台本と同じ(笑)。だからこの脚本すごいよね。オサちゃんのエピソードもちゃんとご存知で書かれているのかな?
春野 どうなんでしょう?だけどまたこうやって戻って来たのは、私の中に「歌いたい」という気持ちや、皆で舞台を作ることが、自分にとって生きがいなんだということが、違う生活をしてみて改めてわかったのです。実際にそれを自分の人生の中で経験しているので、今回の台本に書かれているセリフで、共感できるものがたくさんあります。その自分の経験を最大限生かして、役と作品に投影して行きたいと思います。今色々な悩みを抱えている方達は大勢いらっしゃると思うし、そんな方達に、何か新たに挑戦して頂いたり、距離を置いて遠く離れてしまっているものをもう一度取り戻そうとする、そんなきっかけになるように演じられたらと思っています。

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印象的だった宝塚歌劇90周年の
舞台での共演

──折角の機会ですので、お二人の宝塚時代も振り返って頂きたいのですが、同じ時期にトップスターとして過ごされた間柄ですよね。
湖月 私たちがトップを務めさせて頂いたのが、宝塚歌劇創立90周年の頃で、オサちゃん率いる花組公演に、各組のトップコンビが特別出演させて頂いたことがあって。
春野 90周年の幕開けの公演でした!
湖月 大劇場だけの特別出演だったんですけど、オサちゃんは舞台に上がるとスイッチが入るんですよ。これオサちゃんにはいつも言っているんだけど、この普段のオサちゃんからは決して見られない顔があるの。あの公演で、男役同士で踊るところがあったの覚えてない?
春野 覚えています!
湖月 その時の「これだ」って言う感覚が忘れられない。客席から見ているのと、やっぱり舞台上で実際にお互いがスイッチを入れて向き合うのとは違った、タカラヅカスペシャル等のイベントではそういうシーンが無かったので、あそこで オサちゃんの男役の美学を感じられて、あの特別出演はすごく印象的だった。あとは歌が素晴らしいのは勿論なんですけれど、独特の世界観をまとっていて、空間を支配する人ですね。
春野 わたるさんにスイッチのことを言われた時には、ちょっと驚きました。自分でも楽屋にいる自分と舞台にいる自分の、精神的なものが全く違うのはわかっていました。でも、それを言葉にして言われたのはわたるさん初めてでした。
湖月 本当に?いや、みんな思っていたと思うよ!
春野 わたるさんの言葉をきっかけに自分を俯瞰して見るようになって「ああ、今入ってるな私」って(笑)。「あぁ、これか」と、その時から、もう一人の自分が自分を見ているような感覚を覚えました。改めて自分を発見させて頂けた言葉だったのでありがたかったですね。私から見たわたるさんは、宝塚男役の頃も今も、存在そのものが大きい方です。包み込んでくださる、優しさ、暖かさ、明るさ、私に無いものをすべて持っていらっしゃる方です。だから同じ時代に横に並ばせて頂いていても、とても近づけないと思っていました。
湖月 えっ?そんなことない!
春野 いえいえ、近づけないです。同じトップだったとしても、私にとって、わたるさんは眩しすぎる方でしたから。
湖月 本当にそんな風に思ってくれていたの?ええ、それびっくり(笑)。
──確かに客席から拝見していても好対照なトップスターさんでしたよね。太陽のような明るさと月のような神秘性という。
湖月 その神秘的に憧れてたのよ、私は!「ミステリアスだわ〜、あの瞳は何を物語ってるのか」と(笑)。神秘性って私には多分無いものだったから、余計に惹かれて。
春野 私もわたるさんのようにダイナミックに踊れたら、どれだけ楽しいだろうって何度思ったことか!
湖月 だから退団後の話になりますけど、『エリザベートガラコンサート』で、オサちゃんがトートで私がルキーニという、在団中には叶わなかったことをさせて頂けたのも、新鮮で楽しかったね。
春野 楽しかったです!

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女優としてのお互いの
進化に刺激を受けて

──退団後、女優同士、宝塚OG同士として共演されることも多いお二人ですが、新たに見つかったものはありますか?
湖月 プロ意識を強く感じます。結婚されてお子さんもいらして犬もいてご主人もいて。
春野 犬もご主人も!そこ、みんな一緒なんですね!(笑)
湖月 みんな一緒(笑)。そういう家族の中でお仕事するってとても大変な事だと思うんですよ。でも、昨年末『Pukul(プクル)』という作品にゲスト出演してくれた時、ゲストではなくレギュラーじゃないかっていうくらいお稽古も大変だったのですが、稽古場での集中の仕方がすごくて。「覚えてくる」という作業は、やっぱり家でどれだけやってくるかにかかってくると思うんですが、そこに家族がいて、物理的にも時間を大きくとられているだろうことを決して言い訳にしない。集中して見せてくれるパフォーマンスが素晴らしいので、すごく刺激を受けてます。最近はね、朝起きると「あぁ、オサちゃんはもう犬の散歩に行ってるのかな」とか(笑)、「今日の稽古の前に子供さんは預けられたのかな」とか、そんなことがいつも気になります。
春野 そんなに気にかけて頂いて嬉しいです。わたるさんは、私だけでなく、皆にそういう気配りができる方で。スタッフさん含め、個別に周りの方のケアをしてくださるのです。在団中は自分も同じ立場にありましたが、周りを見ている余裕なんてありませんでした。わたるさんは自分のこともやりつつ周りの皆さんのケアもしてくれて、本来人には見せていないところもちゃんとわかってくださる方です。そんなわたるさんがいてくださるから、私も集中出来ているんです。それから、退団してから私が一番すごいと思ったのは、わたるさんはダンスの方だとずっと思っていましたが、今やすごく高い綺麗な声を出されて歌うシンガーなのです!
湖月 いや〜、でも時間かかったよ。私は元々声が高いのに、男役時代に低い声を作って作って歌ってきていたから、本来の自分の声を見つける作業には、とても時間がかかったの。今、やっとなんとなく素直に「自分の声ってこれだな」というのが見つけられたというか。
春野 とても可愛い綺麗な声ですよね!女優さんとして、役の幅も広がり、ショー等でも色々な役をやられていて。
湖月 この間の『ショー・ストッパーズ!』は自分でも挑戦したいと思っていた分野に、ついに行けたの。ハイソプラノの親心を歌った歌とか、色々な曲があったから、やりがいがすごくあった。
春野 素晴らしい表現力だ!と思いました。
──男役から女優になる時の難しさは、皆さんからお聞きします。
湖月 皆言っていますか?良かった、それ聞くと安心する(笑)。でも、ある意味楽しいよね。若い頃大好きで身につけた、身体で覚えてしまったことって、なかなか抜けにくいんだけど、やっぱり長い人生の中で、今度は女優としてという、同じ舞台に立つ仕事でありつつも自分の身体や表現が変化していく、新しい事に挑戦できるっていうのは楽しいです。
春野 わたるさんはそういう表現の変化を、本当に苦労ではなくて、楽しんでいらっしゃるなと、見ていて思います。今回の『キセキのうた』でも、製作発表の為の準備をしている段階から、もう楽しくて仕方がないというお話を聞いたので、見習わなくてはと!
湖月 製作発表会見での三人の歌も、ユニットとして歌うとなった時に、どの程度動くかを考えるのが楽しかった。「これは大人だからやりすぎか?でももう少しドラマティックに…」とか。
春野 すごく真剣に考えてましたよね!
湖月 振りを付ける人がいないということは「私たちで考えていいんだ!」と思って。
春野 自分で自由に表現できるのが楽しいですよね。
 うん。だから本番もどんどんアイデア出しながら出来たら良いよね。それによって三人の個性が引き立つと思うから。
──そんな個性のぶつかりあうステージを楽しみにしています。では改めて意気込みと、舞台を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。
湖月 リーディングコンサートって見る方の想像力が掻き立てられる素敵な空間だと思います。その中で、等身大の役柄にチャレンジする事で、今までとは違った、自分の心をさらけ出した自分自身を表現したお芝居ができるように、台本と向き合っていきたいです。ユーミンさんのコンサートに伺うとユーミンさん自身から発せられるパワーをすごく感じるんですね。そのユーミンさんの歌の素晴らしさ、歌の力もお借りして、来て頂いた方の背中を押せるような、新たな一歩を踏み出せるような、そんな勇気をお届けできる作品になればいいなと思っています。
春野 今回は等身大の役どころなので、自分が実際経験した事を投影してぶつかっていきたいなと思っています。今回ユーミンさんの曲で「例えばどんな曲が歌ってみたい?」と訊いてくださったのですが、あまりにも名曲ばかりで。
湖月 本当にね!
春野 自分が知っている曲だけでも良い曲ばかりで選べないと思ったほどなのに、調べていくと「これも!これも!」と思う素晴らしい曲がたくさんあって。
湖月 ある意味途方に暮れたよね。とても選べないって!
春野 そうなんです。これまでもユーミンさんは大好きな方でしたが、その大きさを改めて知ることができました。この作品でユーミンさんの楽曲と詞を勉強して、自分なりに噛み砕いて表現していきたいと思っています。そして、40代の女性にエールを贈るというテーマの作品ですが、全ての女性の方々に輝いて欲しいという気持ちをこめて、大切に演じていきたいと思います。是非観にいらしてください。

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こづきわたる○埼玉県出身。1989年宝塚歌劇団に入団。2003年星組男役トップスターとなり、『王家に捧ぐ歌』で文化庁芸術祭優秀賞を受賞。2005年日韓国交正常化40周年記念『ベルサイユのばら』では、宝塚歌劇団初の韓国公演を成功に導いた。2007年『DAMN YANKEES〜くたばれ!ヤンキース』で女優デビュー。『カラミティ・ジェーン』、『愛と青春の宝塚』、『絹の靴下』、『クザリアーナの翼』等舞台を中心に活躍。女優としてはもちろん、ダンサーとして圧倒的な存在感を持ち、2015年『CHICAGO』アメリカカンパニー来日公演では唯一日本人女性としてヴェルマ役を好演。ダンス、ミュージカル、ストレートプレイと幅広く活躍中。19年1月『ベルサイユのばら45〜45年の軌跡、そして未来へ〜』への出演が決定している。

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はるのすみれ〇東京都出身。1991年宝塚歌劇団に入団。2002年花組男役トップスターに就任。『エリザベート』では黄泉の帝王トート役を演じ、緩急自在な歌唱力が絶賛を浴びる。04年度芸術祭演劇部門新人賞を受賞。07年『アデュー・マルセイユ/ラブ・シンフォニー』で宝塚歌劇団退団。09年主演ミュージカル『マルグリット』で女優デビュー。コンサート活動も精力的に行い、12年東宝ミュージカル『エリザベート』でタイトルロールを務めた。主な舞台作品に『ファニーガール』『ア・ソング・フォー・ユー』『モーツァルト!』『貴婦人の訪問』等があり、19年2月『ロミオ&ジュリエット』のキャピュレット夫人役での出演が決定している。

〈公演情報〉
座・ALISA Reading Concert vol.II 
『キセキのうた』〜私たちの「今」を歌おう〜
原作◇松任谷由実 楽曲集
上演台本・演出◇モトイキシゲキ
振付:KENZO(DA PUMP)
音楽監督◇鎌田雅人
歌唱指導:今井マサキ
出演◇観月ありさ 湖月わたる 春野寿美礼/松下優也(※松下優也は、大阪・愛知のみストーリーテラーとして出演いたします。)
●8/26〜29、9/1〜3◎セルリアンタワー能楽堂
●9/22・23◎サンケイホールブリーゼ 
●9/29・30◎ウインクあいち大ホール
〈料金〉東京 10,000円(全席指定・税込)
〈料金〉大阪・愛知 8,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉
東京/サンライズプロモーション東京  0570-00-3337(全日10:00〜18:00)
大阪/キョードーインフォメーション  0570-200-888(全日10:00〜18:00)
愛知/中京テレビ事業:052-588-4477(平日10:00〜17:00)
〈公式twitter〉@za_alisa_info



【取材・文/橘涼香 撮影/友澤綾乃】 


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座・ALISA『キセキのうた』
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ミュージカル『ゴースト』間もなく開幕! 咲妃みゆ・秋元才加 インタビュー

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世界中を感動の渦に巻き込んだ1990年公開の大ヒット映画「ゴースト/ニューヨークの幻」を基に、映画版に勝るとも劣らない名作舞台として、ブロードウェイ、そして世界での上演を重ねてきたミュージカル『ゴースト』。その日本版が8月5日からシアタークリエで開幕する。(31日まで。大阪・福岡・愛知公演あり)
日本オリジナル演出を担うのは『ミス・サイゴン』をはじめ数々の大作を手掛けて来た名匠ダレン・ヤップ。主演のサム役には日本のミュージカルを牽引する浦井健治。そのほかにもミュージカルファン垂涎の豪華なキャスティングで、生死を越えた変わらない愛の物語が演じられる。

その作品で、主人公サムがゴーストとなってまで、愛し続け守り抜こうとする恋人モリー。この役をダブルキャストで演じるのは、元宝塚雪組トップ娘役で今回が退団後の初ミュージカルとなる咲妃みゆと、AKB48卒業後は映画、テレビ、舞台など、女優としての活躍が目覚ましい秋元才加。共にガールズチームの出身で、持ち味の異なる美女同士。そんな二人が、作品のこと、役柄のこと、また互いへのリスペクトを語り合ってくれた「えんぶ8月号」の記事を、別バージョンの写真とともにご紹介する。

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秋元才加 咲妃みゆ

生死を越えた絆
究極のラブストーリー

──世界中で愛されている名作映画ですが、まず作品に対してはどんな印象を?
咲妃 両親が大好きな映画でしたので、ずっと前に拝見したことはあったのですが、今回改めて映画を観直し、また上演台本を読ませて頂いて、究極の愛を描いている作品だと再認識しました。死後の世界の概念には宗教的なものも感じるのですが、根本には普遍的な魂のつながりの尊さがあるのと、ユニークな登場人物がたくさん登場しますので、重くなり過ぎずに大切なメッセージを受け取れる素晴らしい作品だと思います。
秋元 私も今回のお話を頂いて台本を読み、映画を観直したのですが、お話がシンプルなラブストーリーなだけに、今観ても全く古さを感じさせないんです。サムが亡くなるという悲劇はあるのですが、それを越えた絆を信じられる、温かい気持ちで劇場をあとにできる作品だなと。特に映画でモリー役を演じるデミ・ムーアさんが素晴らしいので、同じ役をさせて頂けるのを光栄に思うのと同時に、どうモリーの成長を作っていこうかと考えるとワクワクします。
──そのモリー役の魅力と、演じる上で大切にしたい点などは?
咲妃 サムとモリーは恋人同士でありつつ、性格がある意味真逆ですよね。モリーは芸術家肌で自分の意志や、伝えたい想いが強く出てくる女性なので、それは台詞の端々や歌の中でちゃんと表したいです。演じるのにはかなりのエネルギーが必要な女性だと容易に推察できますから、私自身が今の時代をどう生きていきたいのか、何を大事に思うのかをきちんと持った上で役に取り組んでいきたいです。
秋元 ご覧になるお客様は、サムももちろんですがモリーにも感情移入されると思うので、幸せの絶頂からどん底に落ち、紆余曲折の果てに新しいステージに向かっていくまでの、彼女の変化を繊細に組み立てていきたいです。基本的にはモリーは強さを持った人だと感じますが、そこに当然脆さもあるので、その揺れ動く部分、女性としての魅力も出せたらと思います。

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自然な空気感で周りを引き込む浦井マジック

──恋人役の浦井健治さんとの共演で、楽しみにしていることは?
咲妃 私は初めて男性の方と密にお芝居をさせて頂くので、まず男の方ならではの力強さ、発せられるパワーをきちんと受けとめてお芝居をしたいと思っています。その上で、素晴らしいキャリアを積んでこられた浦井さんがサム役にどう取り組まれるのか、他のキャストの方々ももちろんですが、それを稽古場で間近に見て、感じて勉強させて頂きたいなと思います。
秋元 浦井さんとはパンフレット撮影の時に初めてご一緒させて頂いたのですが、この『ゴースト』は基本的にどっぷりラブストーリーで、私はどちらかというとそういう直球な部分には照れてしまうタイプなのですが(笑)、浦井さんがその世界にグッと引き込んでくださって! 初対面のはずなのに「この人のこと前から知ってた?」と思わせてくれる、そういう空気を自然に醸し出してくださるので、そこに身を委ねようと思います。でもそういう意味では、私以上にゆうみちゃん(咲妃)ハードルが高いよね? 初めての男性とのお芝居で、チークダンスも踊っちゃう? という役柄だから(笑)。
咲妃 (笑)でも才加さんがおっしゃるように、浦井さんがとてもリラックスした雰囲気を現場に作り出してくださるので、ありがたかったです。何よりミュージカル界を牽引していらっしゃる方なので、精一杯ついていきたいと思います。
秋元 音楽が加わることによって、作品をよりドラマチックに感情を増幅させて伝えられるのは、ミュージカル版ならではの良さなので、その魅力を浦井さんと私たちと、皆さんとで高めていきたいですね。

全てがむき出しになる舞台上で輝いている二人

──お二人共ガールズチーム出身という共通点がありますが、お互いの印象は?
秋元 舞台ってその人の全てがむき出しになる場所だと私は思っていて、その中で輝いてきた方ですから、とても尊敬しています。これまでも宝塚出身の方とたくさん共演させて頂いてきましたが、あれだけの華やかな世界を作る為に、どれだけストイックに芸の道を追求していらっしゃるかが、皆さんから伝わるので。
咲妃 そのお言葉そのまま全部お返ししたいです。国民的アイドルグループの最先端で活躍されてきて、何万、何十万の視線の中を生きていく中で、色々なこと、時には辛いこともあったかもしれないのに、それを微塵も感じさせずにあらゆる方々に元気と愛を届けてこられた。そのモチベーションの高さにはただ感服します。多方面でのご活躍も拝見しているので、その方がどんな視点でこの役や、作品をご覧になって作り上げられるのか、楽しみです。一番近くで拝見できて、ご相談もできると思うので、たくさん刺激を頂ける方に出会えたと感謝しています。
秋元 今回ダブルキャストの良さが一番出る組み合わせをして頂けたなと感じていて、お互いに根本で共有する部分は持ちつつ、ゆうみちゃんの良さ、私の良さをそれぞれ大切にしていけば、全く違う見え方のモリーが生まれると思うので、是非多くの方に、両方のキャスト、2公演を観て頂きたいです。
咲妃 今年はシアタークリエの10周年で、記念すべき年に世界的に愛された映画のミュージカル版が初演される。その舞台に立たせて頂けることを光栄に思いながら、劇場の新たな歴史を刻めるよう頑張りますので、是非シアタークリエにいらしてください。お待ちしています!

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秋元才加 咲妃みゆ

さきひみゆ〇宮崎県出身。10年宝塚歌劇団に入団、月組に配属後、14年雪組トップ娘役に就任。早霧せいなの相手役として多くの傑作舞台を務めた。17年退団後『Concierto del Tango(タンゴのすべて)』コンサート&CDに参加。ソロオーケストラ・コンサート「First Bloom」を成功させた。初の映像作品、連続テレビドラマ『越路吹雪物語』では宝塚の大先輩乙羽信子役を演じた。19年1月『ラブ・ネバー・ダイ』への出演も決定している。

あきもとさやか〇千葉県出身。06年「第二期AKB48追加メンバーオーディション」に合格、同年AKB48劇場チームK初日公演でデビュー。10年より新生チームKのキャプテンに就任。以降選抜メンバーとして多数の楽曲をリリース。13年同グループを卒業。現在は、女優として映像と舞台で幅広く活躍する傍ら、スポーツ番組のMCを務めるなどマルチに活躍。主な出演舞台は『ロックオペラモーツァルト』『国民の映画』『シャーロック・ホームズ2〜ブラッディ・ゲーム〜』『にんじん』。
 
〈公演情報〉
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ミュージカル『ゴースト』
脚本・歌詞◇ブルース・ジョエル・ルービン
音楽・歌詞◇デイヴ・スチュワート&グレン・バラード 
演出◇ダレン・ヤップ
出演◇浦井健治 咲妃みゆ/秋元才加(Wキャスト) 
平間壮一 森公美子/松原凜子 松田岳 栗山絵美 ひのあらた ほか
●8/5〜31◎東京・シアタークリエ 
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777
●9/8〜10◎大阪・サンケイホールブリーゼ、
●9/15・16◎・福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール、
●9/22・23◎愛知・刈谷市総合文化センター アイリス 





【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】




『ドリアン・グレイの肖像』
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日亜外交樹立120周年記念特別企画『Todos del Tango Verano 2018』で華やかに共演! 姿月あさと・水夏希インタビュー

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日本とアルゼンチン国交樹立120年を記念して、ブエノスアイレスから日本に伝来し愛されたタンゴの名曲で綴るコンサート『Todos del Tango Verano 2018』が、8月24日、25日、日本青年館ホールで開催される。
 
ブエノスアイレスで生まれ、欧州に渡り花の都パリで爛熟したタンゴ。そのタンゴが世界の裏側から日本に伝来して100年余り、日本は世界でも屈指のタンゴを愛する国と言われてきた。その日本で昨年、アルゼンチンとの外交樹立120年のプレ企画として、本格的なフルオルケスタの演奏と、歌と、ダンスで、アルゼンチンの著作権協会の後援も受け、タンゴが生まれてから現在までの歴史を振り返るという内容のコンサート『Todos del Tango〜タンゴのすべて』が開催され、大きな反響を呼んだことは記憶に新しい。

その豪華ステージがメモリアルイヤーの本番を迎えた今年、日亜外交樹立120周年記念特別企画『Todos del Tango Verano 2018』として開催される。もちろん今年もアルゼンチンタンゴのフルオルケスタの演奏という豪華で貴重なステージに、宝塚OGを中心に俳優から本場のダンサーまで華やかな顔ぶれが集結。演奏は平田耕治とグランタンゴオルケスタに加えて、アルゼンチンでカリスマ的人気を博し、YouTube再生回数も桁外れのバンドネオン奏者フェデリコ・ペレイロが特別来日して参加するという、まさに「タンゴ二都物語」に相応しいビッグイベントとなる。

そんなステージに、昨年に引き続いて立つのが姿月あさとと水夏希。今年20周年を迎えた宝塚歌劇宙組の初代トップスターの姿月と、雪組のトップスターだった水は、実は若手スター時代に月組で共に過ごし、姿月が本公演で演じた役柄を水が新人公演で演じたという縁もある間柄。宝塚OGを中心としたイベントで同じ舞台に立つ機会こそ多いものの、意外にもこうしてじっくり対談するのは極めて珍しいという2人が、タンゴの魅力や新たなステージへの意気込み、また互いの魅力などを語り合ってくれた。

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ここにしかない貴重で
贅沢なタンゴ尽くしのステージ

──まず前回公演に出演された時の思い出などからお聞きしたいのですが。
姿月 なかなか共演者の方々の場面を拝見する時間がなかったのが残念なくらい、ダンスもふんだんに入った他では観られない贅沢で素敵なコンサートで、ゆっくり客席で観たい!という思いが強くありました。
 皆さんとお会いするのは当日だけでしたからね。
姿月 そうだったね。
 それぞれ1人ずつの稽古で、集まっての舞台稽古もなかったので、出演者全員の前で歌ったのは当日だけだったんです。ですから大御所の歌手の方達も「緊張した〜!」とおっしゃっていたのがすごく印象的でした。
姿月 ダンスはいつから稽古していたの?
 ダンスはもちろんそんなに簡単にはできませんから、何ヶ月も前から稽古しましたが、それも各々でだったので。
──プロならばこそ!というステージだったのですね。そんな中でタンゴの魅力をどう感じましたか?
姿月 バンドネオンが入ることがやっぱり大きくて、耳で聴くイメージが全然違いますし、タンゴってシャンソンとは真逆の色香を感じるジャンルなんだなと感じました。
 私は前回歌わせて頂いた曲がミュージカル『エビータ』の「DON'T CRY FOR ME ARGENTINA」だったので、純粋にタンゴの曲というのはダンスをさせて頂いたパートだったのですが、リズムの揺れ、伸び縮みがとても独特で、テンポも演奏者によっても変わるというのをすごく感じました。それこそ一期一会で毎回変わるのがタンゴの醍醐味でもありますから、フルオルケスタの演奏によって新たな感覚があったのが、とても贅沢だなと思いました。
──水さんはこのステージ以前にも本格的なタンゴのステージに取り組んでいらしっゃいましたが、その時ともまた違う感触が?
 やっぱり緊張感がより大きかったです。3回だけのステージでしたから。
姿月 誰と誰が組んで踊るのかというのは、どうやって決まったの?
 私は以前出演させていただいたタンゴ公演の時にも組ませていただいていたクリスティアン・ロペスさんが振付や監修にも入られていて、また一緒に踊らせていただけたので、すごくありがたかったです。
姿月 やっぱり相性とかもある?
 そうですね。しかも他の人たちはこの公演で初めて組む方と踊ったので大変だったと思いますが、皆すごかったですね。
──本当に床スレスレでの回転技やリフトなど、見ていてもドキドキするようなダンスでした。
姿月 私、タンゴは女性側で踊ったことがないので(笑)、男性側の感覚なんだけど、男性側が一方的にリードするというのも違うよね。お互いの駆け引きというか、力の張り合いみたいなところもあって、それは歌にも通じるんだけど。女性側というのはどう?
 身を委ねていかないといけないんですが、自分でも立っていないといけないんです。そのバランスが難しいですね。「そんなに赤ちゃんみたいにしがみつかないで!」とよく言われます(笑)。
姿月 私たちバレエをやっているから足が外向きに開くじゃない?でもタンゴは真っ直ぐでないと、お互いの足が引っかかってしまうのよね。
 それが本当に難しいんです!
姿月 ただそれだけに上手くいった時は気持ち良いよね。「おぉ!」と思う。
 そうなんです!そういう意味でも、アルゼンチンの本場のダンサーの方と組んだダンスが歌と共に入ってくるという公演は、とても希少なのでゴージャスな公演だったと思います。

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歌い込むほどに歌の真実が
深まるタンゴの名曲

──そんな公演が更にパワーアップして、いよいよ日本とアルゼンチンとの外交樹立120年のメモリアルイヤーに開催される訳ですが、楽しみにしていることや、歌う楽曲を教えていただけますか?
姿月 今年の特色はアルゼンチンで絶大な人気を誇っているバンドネオン奏者のフェデリコ・ペレイロさんが来日してくださることで、まずフェデリコさんと共演できるというのが本当に楽しみです。その中で私は「ラ・クンパルシータ」と「ウノ(ただひとつの)」と「時計」を歌います。

 タンゴ Federicoフェデリコ・ペレイロ
 
──今、取り組んでいていかがですか?
姿月 「ウノ」は去年このステージの為に新たに歌詞を書いていただいて、宝塚在団中にも歌った曲だったのですが、歌詞が全く違って、しかもなかなか出来あがらないばかりか、5回くらい変わって(笑)。歌い込むのが大変で良い意味で難しかったのですが、そこまで練って練って考えていただいた歌詞だけあって、音にもきちんと乗っていますし、だんだん自分の持ち歌のようになっていけたらいいなと思っている曲です。「時計」は自分のアルバムの1曲目に入れさせていただいていて、やっぱりこういうバンド編成で歌わせていただけるのが嬉しいです。また「ラ・クンパルシータ」は今の若い方々はあまり聴く機会がない曲かなと思うので。
──イメージとしてはタンゴの一番有名な曲という気がしますが。
姿月 菅原洋一さんがお歌いになっていたのを聴けたのは、私が最後の世代かな?というくらいだと思います。今お歌いになる若い歌手の方がとても少ないのが現状なので、こういう名曲は誰かが何かの機会に歌っていって、残していかなければならないと思うので、心して歌いたいです。「失われし小鳥たち」も大好きですが、これはどなたが歌うのかな?
 私です!
姿月 本当に?私が歌いたいと言ったら「もう決まっています」って言われたの!(笑)。ずいぶん前から歌っている曲なのよ。
 そうなんですか!?じゃあ私が先に選んでしまったのですね!すみません!
姿月 ううん、楽しみ(笑)。「夜のタンゴ」が安奈淳さんで、「ばらのタンゴ」が初風諄さんなんですって。
 「ばらのタンゴ」ってあの『ベルサイユのばら』の「ばらタン」ですか?(前奏を歌う)
姿月 そうそう。歌詞が入るのもまた新鮮。
──宝塚ファンの方々だと、大階段が思い浮かぶ曲ですね。そうしますと水さんは「失われた小鳥たち」と?
 昨年と同じ『エビータ』の「DON'T CRY FOR ME ARGENTINA」を歌います。私はズンコさん(姿月)のように持ち歌になっていると言えるような曲はないのですが、その中でもこの2曲は何回か歌わせていただく機会があったので。シャンソンにも感じることですが、タンゴってその時の自分によって歌が変わっていくんですね。回を重ねる毎に歌の中の真実が深まっていくので、自分でも楽しみにしています。『エビータ』の来日公演も来ているところなので、観劇もしますし、また刺激を受けて取り組みたいです。
──水さんはエバ・ペロンをご自身でも演じていて、ご縁がありますからね。
 そうですね。自分で更にその縁をつなげていきたいと思います。
姿月 アルゼンチンに行ったことはあるのよね?
 遊びに行ったことはあります。
姿月 やっぱり皆が街中で踊っていたりするの?タンゴは誰でも踊れるものなの?
 私が行った時はちょうどフェスティバルをやっていて、会場に踊れるスペースがあって、ものすごく小さいお子さんがおばあちゃんに教わっていたり、そういう光景はごく普通にありましたね。
──それだけ土地に根付いているということですね。そんなタンゴの表現を色々なかたちで経験を積まれている中で、楽しさ、難しさなどは?
姿月 原語は喋れない訳ですから、日本語が原曲に乗った時に、如何に音楽を崩さずに歌うかはやはり苦労する点です。日本語は子音にアクセントがないので丸くなってしまうので、タンゴのとがったリズムを出すのが難しいんです。
 英語ならなんとなくまだ意味もわかるんですけど。
姿月 そうそう、スペイン語だとまるでわからないからね!
 原語だとこの音まで言葉がつながっているけれども、日本語歌詞だとその前の音で言葉が終わっていたりということもあるので、それは原語を見ながら、また聞きながら、歌い込んでいかないといけないですね。
──日本語にすると意味が原語ほど入らないということもあると思うのですが、やはり聴いていてストレートに歌の心が伝わるのは日本語歌詞ですから。
 そうですよね!それはやっぱり大きいと思います。
姿月 今回も皆さん日本語で歌われることになっていますので、訳詞の先生が如何に原曲を活かすかに腐心してくださっているそうですから、それも楽しみですね。

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カラーの違うお互いの魅力に
刺激をうけて

──お2人は宝塚の若手時代に共に月組にいらして、退団後もこうしたステージでの共演経験も豊富ですが、改めてお互いの魅力をどう感じているか教えてください。
姿月 タンゴダンスの舞台や他の舞台も観に行かせていただいているのですが、すごく大人の女性だったかと思うと、時にはものすごく可愛くてびっくりしちゃうほどです。タンゴでは可愛さも大人っぽさも共に生かせると思うし、特にタンゴダンスはずっと続けてきている人なので、今回どんな風に踊るのか、観るのが楽しみです。
 私は新人公演で3作品ズンコさんの役をやらせていただいたのですが、新人公演に出る側から見ると本役の方というのはもう雲の上の方で。退団して初めて共演させていただいた時でさえも「あ!本役の方だ!」と思ったくらいです(笑)。ですから打ち解けてお話しさせていただくまでにはちょっと時間がかかりましたが、『CHICAGO』もありましたし、同じ舞台に数多く出させていただいている中で、今は親しくお話しさせていただけています。
姿月 でも舞台で絡んだことがほとんどないのよね。『CHICAGO』も本当に一瞬だったし。
 そうなんです!一言交わしたかどうかというくらいで(笑)。
姿月 こういう取材のお仕事も2人でというのは全くなかったし、『「エリザベート」ガラコンサート』も2人共トート役で出演日が別々だったし、一緒に唄ったこともなかったから。今回こうして2人で話すというのはすごく珍しい機会よね。
──製作発表会見や、囲み会見などではよくご一緒にいらっしゃるイメージがあるのですが。
姿月 そう、それは必ず一緒!
 (湖月)わたるさんも一緒のことが多いですよね!
姿月 そうそう!(笑)
 そんな私がズンコさんに感じるのは、とにかく耳が繊細だということです。私には絶対に聞こえていない音を聞いていらっしゃるんだろうなと、いつも感じます。サウンドチェックにいらしても「ここをこうしたい」ととても細かくご自分の音創りをされているので、ズンコさんの耳を1日お借りしたい!と。そしてご自分の歌われる歌も、常により深くより高みを目指されていて、如何に歌を大切にしていらっしゃるかがヒシヒシと伝わるので、ズンコさんを見ていると「私頑張れ!」といつも思います。
──刺激になる存在なのですね。
 まさにそうです。
姿月 それは私もそうだよ。
──では是非何かの機会でデュエットなども聴かせていただけたら。
 「ピッチが違うよ〜」と言われるような気がします!(笑)
姿月 そんな(笑)。本当に何かそういう機会があったらいいですね。お互い全然カラーも違うから面白いと思う。
 本当にそうできたら嬉しいです!
──そんな夢も馳せつつ、まずこの大注目の『Todos del Tango Verano 2018』への意気込みと、楽しみにしている方達にメッセージをお願いします。
姿月 色々なコンサートがありますが、本当にここでしか観られないショーのようなコンサートなので、新しいタンゴの世界に、新しい息吹を吹き込むことができたらいいなと思っています。出演者もとても豪華で、中原丈雄さんなど皆様にはテレビドラマの俳優さんとして親しまれている方だと思いますが、シャンソンにもタンゴにもとても造詣が深い方だそうで、今回歌ってくださるのを私も楽しみにしています。初風さん、安奈さん、剣幸さんはじめ宝塚OGの方達もたくさん出演しますので、どうぞ皆様楽しみにしていてください。
 本格的なアルゼンチンタンゴではなかったにしても、宝塚時代にもタンゴがショーに入っていることはよくありましたから、そういう意味でもタンゴとは長い付き合いという印象があります。その中でプロのバンドネオン奏者の方、アルゼンチンのタンゴダンサーの方、そして歌手の方達という贅沢なコンサートなので、私自身も出演できることを本当に楽しみにしています。普段タンゴに触れる機会がない方でも絶対に楽しんでいただけると思うので、1人でも多くの方に観に来ていただいて、タンゴの魅力を知ってもらえたら。タンゴを聴いてくださる方がどんどん増えて、この企画も恒例のものになっていってくれたら良いなとも願っているので、是非会場にいらしてください!

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水夏希・姿月あさと

しづきあさと○大阪市出身。1987年宝塚歌劇団入団、花組、月組を経て、98年、宙組の初代トップスターに就任。00年退団。ソロヴォーカリストとして、また女優として、舞台や映像で活躍中。最近の主な出演作品は、「ブロードウェイミュージカル『シカゴ』〜宝塚歌劇OGバージョン〜」『薔薇とシンフォニー〜New Year Concert〜』、『The Sparkling Voice ー10人の貴公子たちー』、『姿月あさと 30th Anniversary Concert〜秋桜〜』、 「坂東玉三郎 越路吹雪を歌う『愛の讃歌』」、『Todos del Tango』、『Pukul』、『パリ祭』、『岩谷時子メモリアルコンサート』、『SHOW STOPPERS!!』など。

みずなつき○千葉県出身。1993年宝塚歌劇団入団、07年雪組男役トップスターに就任。10年に退団。以後は舞台を中心に活躍中。最近の主な出演作は、ミュージカル『アルジャーノンに花束を』、『パンク・シャンソン』〜エディット・ ピアフの生涯〜、『ラストダンス−ブエノスアイレスで。〜聖女と呼ばれた悪女 エビータの物語』、『Pukul』、『一月物語』、『Flamenco マクベス 〜眠りを殺した男〜』、ミュージカル・コメディ『キス・ミー・ケイト』など。

〈公演情報〉
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日亜外交樹立120周年記念特別企画
『Todos del Tango Verano 2018』 
音楽監督◇平田耕治
ダンス監修◇クリスティアン&ナオ
出演◇初風諄 安奈淳 剣幸
日向薫 姿月あさと 彩輝なお(8/25) 星奈優里 水夏希 舞風りら
中原丈雄 石井一孝
峰丘奈知 成瀬こうき 愛耀子 真波そら 天緒圭花 美翔かずき 鳳真由 貴澄隼人 菜那くらら 水沙るる 苫篠ひとみ 富樫世羅 マキタマシロ Erinne(藤木えり)
森田晋平  
ダンサー◇クリスティアン・ロペス ギジェルモ・ボイド ダニエル・ボウアン エスキエル・ゴメス ほか
演奏◇平田耕治とグランタンゴオルケスタ
ゲスト◇フェデリコ・ペレイロ(バンドネオン)  
●8/24・25◎日本青年館ホール
〈料金〉S席11,000円 A席8,500円 B席7,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京音協 03-5774-3030(平日11:00〜17:00)




【取材・文/橘涼香 撮影/中田智章】



『しあわせの雨傘』
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ジェットコースターエンターテイメントステージ!『The Beginning Final Club Phoenix』 凰稀かなめ、染谷俊之、愛原実花、TETSU インタビュー

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元宝塚宙組トップスターで現在は女優として活躍している凰稀かなめが、宝塚退団直後から開催してきたエンターテイメント・ショー『The Beginning』。単なるコンサートに留まらず、歌い、踊り、演じる、凰稀かなめのあらゆる顔が見られるステージとして喝采を集め、ここから生まれた名物キャラクター「付き人さん」など、クールビューティな美貌を誇る凰稀かなめのコミカルな一面を含めて、様々な話題を振りまいてきた。

そんな『The Beginning』が、9月14日〜15日六本木のEX THEATER ROPPONGIで、『The Beginning Final Club Phoenix〜疲れたあなたにイケメンチャージ〜』のタイトルで開催される。

ここにしかないビックリ箱のようなライブを初回から共に創ってきた凰稀かなめと構成・演出のTETSU、スペシャルキャストの染谷俊之、愛原実花が集い、人気シリーズにひと区切りを打つ理由、またFinalと題されたステージへの意気込みや互いの魅力を語りあってくれた。

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TETSU
、愛原実花、凰稀かなめ、染谷俊之

『The Beginning』シリーズの集大成として

──大人気シリーズが寂しいことに今回で「 Final」ということなのですが。
染谷 えっ!? Finalなんですか?
凰稀 そうなの!
TETSU 最初で最後の出演だね!
染谷 そうなんですね?光栄です!
凰稀 スペシャルキャストをお呼びするのも3年目にして初めてだから。
染谷 ありがとうございます。おじゃまします。
凰稀 どうぞ、どうぞ(笑)。
愛原 私もおじゃまします!
凰稀 久しぶりだよね〜!(染谷に)下級生なの。元々同じ雪組でね。
染谷 あぁ、そうだったんですか!
愛原 かなめさんが大好きだったんです!いつもついて歩いて「うるさい!」って言われるくらいで(笑)。
凰稀 私が組替えになった後、雪組トップ娘役になったから「行け!頑張れ!」って応援していたの。久しぶりの共演で楽しみです。
──凰稀さんが宝塚を退団して初のステージがこの『The Beginning』でしたが、そんなメモリアルステージを今回 Final、ひと区切りにしようと思ったのは?
凰稀 このステージのコンセプトが「楽しい」「格好いい」なこともあって、結構しっかり男役をする場面も盛り込んできたのですが、女優として3年経って様々な役柄も経験させて頂いてきた中で、男性役としてではなく「男役」という存在としての場面がある『The Beginning』は、ひと区切りにしようということになりました。それは別に男役を封印するということではなくて、例えばお芝居の中で男性の役どころや、男役要素のあるもののお話がいただけたとしたら、それはまたフレキシブルに考えていきたいと思っています。それに『The Beginning』は、宝塚を退団してここから新しくはじまるという意味合いのタイトルでもありましたから。『The Beginning』としては今回が Finalですが、また違う形で新しい凰稀かなめを見てもらえるステージを、TETSUさんにはこれからも創っていただきたいなと思っています。

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カリスマホスト登場の『Club Phoenix』
 
──つまり未来志向の集大成のステージということで、あの素敵な男役のイケメンマスターも登場するんですよね?
凰稀 しません!(笑)
──えっ!?でもタイトルが『Club Phoenix』ですよね?
凰稀 惜しい! マスターがいたのは『Bar Phoenix』です(笑)。今回は『Club Phoenix』ですから。
──ということはこの『Club Phoenix』というのは?
TETSU ホストクラブです!染谷君も出ます!(笑)
染谷 僕もですか?前回は『Bar Phoenix』だったんですね?
凰稀 イケメンマスターが1人でやっている店で、そこに悩みを持ったお客さんがきて、芝居から宝塚時代の曲につなげたりしていたの。
染谷 それはファンの人にはたまらないですね!そこが今回はどうなるんですか?
TETSU 今回は『The Beginning』シリーズの集大成なので、歌って、踊って、芝居をして、気がついたら凰稀かなめさんがあなたの隣にいる、というような、客席に行く場面も作ります。初参加の染谷君、愛原さん含めた全員のチームワークで、かなめさんの魅力をオムニバス形式の七変化で見せようと思っています。その中で『Bar Phoenix』は卒業して、『Club Phoenix』「あなたも夜の蝶になってみませんか?」という感じで、カリスマホストの凰稀かなめと、人気ホストの染谷俊之という構図を考えました。男役に通じる夢が詰まった、基本はカッコよく、でも中身は面白く、「こんなホストクラブがあったら行きたい!」というホストクラブを作りたいと思います。もちろんそこには愛原さんにもお客さんとして来ていただいたり、客席も巻き込むような場面にしようと思っています。
凰稀 染谷君とは『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜 で共演しているんだけど、全く絡みがないので(笑)。
染谷 すれ違いもしないんですよね!
凰稀 カーテンコールでやっと隣に立つだけでね(笑)。
染谷 だから、これではガッツリ絡めるようなので、すごく嬉しいです。
凰稀 「『The Beginning』は歌も踊りもあるよ」と言ったら早速身体を動かしてたよね!
染谷 たくさん歌って踊ると聞いたので頑張らないと!(笑)
TETSU ジェットコースターエンターテイメントだからね。ないものはないと思ってください!(笑)

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かなめさんのファンの方と同じ目線で盛り上げたい

──名ダンサーの愛原さんの加入もまた楽しみです。
愛原 いえいえ、私、宝塚でもディナーショーやコンサートというものには1度も出たことがないので。
凰稀 えっ?そうなの?
愛原 そうなんです。在団中もなかったですし、退団後も宝塚OGの方達のコンサートなどにも出演したことがなくて。だから今回『The Beginning』はコンサート、ライブということで、大丈夫かな?という気持ちもあったのですが、かなめさんとやらせていただけるのならば、どうしてもやりたい!と思って。私にとってかなめさんは初恋の人みたいなもので、とにかく大好きなんです。ご一緒させて頂ける感謝の気持を胸に、自分の持っているものを出して、頑張ってステージを盛り立てていきたいです。
──では、宝塚のショー作品以来のショー要素の強いステージということに?
愛原 そうなんです!しかもかなめさんと一緒に踊ったりもできるのかな?と。
TETSU どうしようかな、なるべく近づけない方が良いような気がしてきた(爆笑)。なんだか出番がないところでも、袖からかなめさんを見てるんじゃないかぐらいの勢いだよね!(笑)
凰稀 本当にじっと見てたことがあるの!(笑)
愛原 全く必要のないシーンなのにかなめさんを見ていたので、「ねぇ、あそこで私を見てない?見なくていいから!」って言われました(爆笑)。
染谷 あふれる想いが出てたんですね!
TETSU でも一緒にものを創っていくのに、「はじめまして」の人同士よりも、愛情がある人同士の方が良いから、そこは嬉しいことでもあるね。
愛原 ただ男役としてのかなめさんの集大成でもありつつ、新しいかなめさんをお見せするステージと今、お聞きしたので、あんまり「男役さんのかなめさん素敵!」と娘役モードになり過ぎないようにしたいと思います。でもかなめさんのファンの方々とは同じ目線でいられると思うので、ファンの方と一緒に楽しめるものにしたいです。

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それぞれが自分の殻を破る挑戦のステージ

染谷 盛りだくさんなステージになりそうで、すごく楽しみです!
凰稀 とてもやり甲斐があると思うよ。必ず新しいことが学べるステージだから。私自身も毎回、毎回、新たなことにチャレンジしているし、ダンサーで出てくれる子たちが歌ったりもするし。
TETSU 「ちょっと芝居にも入って」と言って、この『The Beginning』で初めて芝居をしたダンサーの子が、ゲームの舞台化作品に出演したりもしているからね。
凰稀 そう、プロのダンサーだったのに、芝居の仕事もやるようになったり、宝塚を退団してはじめてのステージだから『The Beginning』だったんだけど、そこには「初めての挑戦」という意味もあるから。
染谷 新たなことに挑戦できるんですね!
TETSU 得意分野に限らないでポジティブになんでも挑戦して創ってきたステージなので、今回が3回目でホップ、ステップ、ジャンプでフィナーレを飾って、またかなめさんが違うステージにいけるようにしたいと思います。それと同時に染谷君、愛原さんのファンの方々にも、「今まで見たことがない染谷君だ、愛原さんだ」というものをお見せしたいので、色々なことにチャレンジしていただきたいと思っています。かなめさんの集中力がすごいので、稽古のスピードも速いし、意外と短時間にバンバン!と創っていくので、がっちりついてきてください! もうこちらはかなめさんを先頭に、ダンサー陣皆でウェルカムだから!
凰稀 本当に良い子たちばっかりなので、すぐに馴染めると思うし、スペシャルキャストとは言っても、2人共ゲストではなくて、この『The Beginning』を創るメンバーだからね!
愛原 メンバーの一員と言っていただけるのはすごく嬉しいです。
TETSU お2人には全編に渡ってガッチリ出演してもらいますよ!

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人間離れしたような美しさが共通する凰稀・染谷

──お互いの印象や魅力についても伺いたいのですが。
TETSU 僕は染谷君とは『銀河鉄道999』の楽屋にお邪魔した時が「はじめまして」だったんですが、もっとスッとした感じでくるかと思ったの。「どうも、染谷です」みたいな(笑)。
染谷 そんな全然斜に構えているようなタイプじゃないです!(笑)
TETSU そうなんだよね!「よろしくお願いします!!」って来たから好感度アップだなって。
染谷 下町育ちなんですよ。
TETSU でも演じている時のイメージってノーブルだから、そのギャップが良いなって思って。振り幅があるのが楽しみですよね。愛原さんはスタイル抜群で、舞台映えする方ですし、レギュラーメンバーの中ではかなめさん以外では女性1人、「紅一点」ですから、そこはステージングで威力を発揮してもらいたいなと。
凰稀 「紅一点」って私は?(笑)
TETSU だから「かなめさん以外」って!!(笑)。でも僕が初めてかなめさんとお会いしたのが、宝塚の退団公演の時だったから、モデルさん以上にモデルさんみたいだと思ったし、バリバリの男役が男性の僕から見てもすごくカッコよい!って思ってて。そこから女優さんのお仕事を重ねてきた中で、女性としての魅力もたくさん見えてきましたから、僕は今回逆にホスト役に期待していますね。今の彼女がホスト役を演じたらどうなるか?『The Beginning Final』の大きな見どころとして考えています。
染谷 僕が初めてかなめさんにお会いしたのは『銀河鉄道999』の顔合わせの時だったのですが、とにかくオーラがすごくて、覇王の気みたいなものを感じて、同じ人間とは思えないような素敵な方だなと思いました。しかも稽古を重ねていくにつれて、この人は本当に人間なのかな?と思えてきて。だからちょっとした段差につまずいたかなめさんを見たりすると「あぁ、人間なんだ」ってホッとしたりして(笑)、大好きになりました。『銀河鉄道999』では一番稽古日数が少なかったのに、完璧に仕上げていらして、やっぱり本物のプロだと実感させられました。
愛原 でもかなめさんも染谷さんも、人間離れしたような美しさが共通しているというか、人間じゃない訳じゃないんだけど、でも近寄り難いような、美しさと言うかなんと言うか似ていると言うか…
凰稀 何が言いたいの?(爆笑)
愛原 ええと、だからお2人の美しさが似てるなって。
染谷 そんな!光栄です!
凰稀 染谷君、目が大きいよね〜。
染谷 かなめさんだって大きいじゃないですか!
凰稀 そう言われれば系統は似てるかも。
染谷 本当ですか?
愛原 そう! なんだかフィギュアっぽい…あ、フィギュアは失礼ですか?
凰稀 大丈夫(笑)。
愛原 人間離れした美しさのお2人だなというのが、私の印象です。かなめさん愛については、語りだすと長くなるので、また別の機会に(笑)。
──では「凰稀かなめの魅力を語る」という回をまた設けましょう。
TETSU 本当にずっと語ってそうだよね(笑)。
愛原 とにかく集中力がすごい方で、宝塚時代はついていくのに必死でしたし、他にもかなめさんを好きな娘役さんがたくさんいて、当時は私はすごく下級生だったので、あまり「好きです」とか言えなかったのですが、今回はライバルがいないので(笑)。
凰稀 いや、ライバルはいるから。お客様がたくさん(笑)。
愛原 はい、そうですね! でも舞台では、役としてですが、ちゃんと「好きです」って言えるのが嬉しいです。
TETSU 長くなりますから別の機会にと言いながら、ずっと言ってる(笑)。
凰稀 みなこ(愛原)の印象は、まず丸顔だなってことだったんだけど(笑)、芝居のすごく上手な子だなとはずっと思っていて、バウホール公演の『凍てついた明日〜ボニー&クライドへの邂逅』で初めて相手役として共演して、思っていた通りの深い芝居をするなと。可愛い下級生でした。染谷君はコツコツ頑張る人です。『銀河鉄道999』では私は本当に短期間しかお稽古場にいなかったのですが、その中でも黙々とやっている姿が印象的でした。
染谷 そんな風に見てくださっていたんですか?ありがとうございます!
凰稀 場面が終わって帰ってくるとひたすら台本を読み込んでいるのを見ていたので、きっとすごく真面目なんだろうなと思っていたので、今回の目標として是非ひとつ殻を破って欲しいですし、全然違う染谷君をお客様に観て頂けたらいいなと思っています。

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 あの人気キャラクターも登場して賑やかな Finalに

──クリエーターとしてのTETSUさんの魅力はどうですか?
凰稀 天才です。天才という一言だけで表してはいけないのかもと思うほど、引き出しが多い方で。何かひとつ言ったことに対して10以上のアイディアが返ってくる。永遠の少年、ピーターパンのような方ですね。
TETSU どうも、ピーターパンです(爆笑)。いや、この空気をどう変えようかなと(笑)。
染谷 いいじゃないですか!(笑)
──ステージがますます楽しみになりました。では、終わりでありはじまりという位置づけでもある『The Beginning Final』への意気込みをお願いします。
染谷 ホスト役を一緒にさせていただくのはすごくプレッシャーでもありますが、すごく楽しみでもあるので。
凰稀 ホスト役だけじゃなくてまだあるのよ。この子のシーンで(フライヤーの「付き人さん」のイラストを示す)。
TETSU 『The Beginning』から生まれた人気キャラクターで、かなめさんがスターさんの「付き人」を演じるシーンで、今回は染谷君の「付き人」になりますから!
染谷 えっ!?それは畏れ多い!!僕はクイーン・エメラルダスの凰稀さんしか知らないので、ドキドキものですが、楽しみなことばかりなので頑張ります!
愛原 私は宝塚を退団して8年経ちますので、宝塚の娘役のイメージから卒業して久しいですし、どんな役でもやります!
凰稀 なんでもやるよね!
TETSU 根本に愛がありますからね。
愛原 はい、そうなので、何にでも挑戦する意気込みで頑張ります!
凰稀 そういう気持ちがお客様にも伝わると思いますので、私も気合いを入れて『The Beginning Final』に臨みたいと思います。
TETSU シリーズ最後になりますが、染谷さんと愛原さんを含め、楽しいエンターテイメントショーになると思います。更に今回お2人に加えて、日替わりゲストも登場します。こちらは近日中に発表になりますが(※7/11に発表/姿月あさと、白華れみ)ゲストとかなめさん中心のファン必見のコーナーもありますから、そこも是非楽しみにしていてください。EX THEATER ROPPONGIに来て、一緒に騒いで、楽しんで、ちょっと感動して、素敵なかなめさんを観にいらしてください。お待ちしています。

 
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おうきかなめ○神奈川県出身。00年に宝塚歌劇団で初舞台。12年『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』ラインハルト・フォン・ローエングラム役で宙組トップスターに就任。数々の作品で活躍、15年『白夜の誓い〜誇り高き王の戦い』『PHOENIX 宝塚!!〜蘇る愛』で退団。16年『1789〜バスティーユの恋人たち』マリー・アントワネット役で女優デビュー。コンサート、テレビドラマ等、活躍の場を広げている。近年の主な舞台作品に『花・虞美人』『1789〜バスティーユの恋人たち』再演、『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜 など。11月『さよならチャーリー』への出演が控えている。
 
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そめやとしゆき○神奈川県出身。俳優・声優として多方面で活躍中。近年の舞台作品に『私のホストちゃん』『剣豪将軍義輝〜星を継ぎし者たちへ〜』『グランギニョル』『うたの☆プリンスさまっ♪ マスカレイドミラージュ』『池袋ウエストゲートパーク』『アンフェアな月』『御茶ノ水ロック』『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜など。8月に「奏劇『ライフ・コンチェルト』ある教誨師の物語〜死刑執行までのカウントダウン」に出演する。声優では『学園ベビーシッターズ』山羊朋也役、『HUGっと!プリキュア』若宮アンリ役などにも出演している。
 
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あいはらみか○東京都出身。04年宝塚歌劇団に入団。09年雪組トップ娘役に就任、10年9月『ロジェ/ロック・オン』で退団。以降、女優としてドラマや舞台で活躍中。最近の舞台は『スクルージ〜クリスマス・キャロル〜』『ザ・オダサク』『熱海殺人事件』『グレイト・ギャツビー』『ナイスガイinニューヨーク』『それいゆ』『ラ・カージュ・オフォール』『大きな虹のあとで〜不動四兄弟〜』など。11月『るろうに剣心』への出演が控えている。
 
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てつ○日本ジャズダンス協会主催、ジャズダンスコンクールにてグランプリ受賞。1993年よりダンス留学のため渡米し、帰国後は演出・振付・ダンサーとして活躍。近年では浜崎あゆみ、SMAP、関ジャ二∞、ジャニーズWEST、AKB48、チャングンソク、防弾少年団など数多くのアーティストを手がける。スタジアム、アリーナクラスの大規模なライブイベントやコンサートステージ、またテレビや映画、CMの振付と多方面でその手腕を発揮している。ダンスグループ「Bugs Under Groove」のリーダーとしても活躍中。
 
〈公演情報〉
『The Beginning Final Club Phoenix〜疲れたあなたにイケメンチャージ〜』
構成・演出◇TETSU(Bugs Under Groove)
出演◇凰稀かなめ、IYO-P(Bugs Under Groove)、日向野祥、RYOJI、NOSUKE、Kaji
スペシャルキャスト◇染谷俊之、愛原実花、
日替わりゲスト◇姿月あさと(9/14 15時、19時)、白華れみ(9/15 13時、17時)
●9/14〜15◎EX THEATER ROPPONGI
〈料金〉9,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉ラウンド・アバウト 03-6418-7205(平日:11時〜18時)
〈凰稀かなめ公式HP〉https://kaname-ouki.jp/news/833.html
 



【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】





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