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ミュージカルセーラームーンシリーズ最終章!お得なチケット販売中。

インタビュー

注目の最終章がまもなく開幕! ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Le Mouvement Final- 大和悠河インタビュー

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ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」の最新作が、9月8日から東京、愛知、大阪で上演される。今回のタイトルの副題にある「-Le Mouvement Final-〈ル ムヴマン フィナール〉」とは、フランス語で“最終楽章”という意味。2013年から紡がれたセーラー戦士が奏でる物語の結末となる。

【STORY】
衛のアメリカ留学のため、空港へ見送りに来ていたうさぎだったが、何者かに衛の身体を粉々にされてしまう。ショックでうさぎは記憶を失い倒れてしまうが、それを受け止めたのはスーパーアイドル、スリーライツのメンバーだった。
その日は、スリーライツが出演する音楽祭の当日。うさぎたちも出演予定だったが、そこで新たな敵に襲われる。「シャドウ・ギャラクティカ」と名乗る敵集団は、セーラークリスタルを狙うセーラー戦士だった!
さらに、謎の少女ちびちび、そして新たなセーラー戦士、セーラースターライツも現れ、今までにない壮絶な戦いへと突き進んでいく。

このシリーズに2013年からタキシード仮面・地場 衛役として5年連続出演。宝塚時代を超越するような男役の美学で「セーラームーン」の世界を立体化するのに、大きな役割を果たしてきた大和悠河。改めて今回の「セーラームーン」の世界と、また最近の女優としての活躍について話してもらった。
 
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男役として追求し続けてきた精神が原作を立体化する原動力に

──悠河さんは、ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」(セラミュー)には、2013年からタキシード仮面として出演、作品を牽引してきました。
私自身はセーラームーン世代ではなかったのですが、出演することが決まってコミックを読んでみたら素晴らしい作品で大好きになりました。またタキシード仮面という役柄が宝塚の男役の表現と重なる部分が多かったことで、男役として追求し続けてきた精神そのものが、原作を立体化する原動力になったのかなと思っています。
──今でこそ大和悠河のタキシード仮面はスタンダードという感じになりましたが、最初はある意味チャレンジだったのでは?
やはり1作目は、女性がタキシード仮面を演じるとどうなるのだろうと、制作する側にも未知なものへ挑戦する気持ちがあったと思います。また、その公演から他の男性役も全部女性が演じることになったので、出演者・スタッフの皆さんにとっては探り探りという部分があって、私は男役として当たり前のことをしているのに、歩き方1つから驚かれたり、感心していただいたり、斬新な表現として受け止めていただきました。そこから新しいセラミューを皆さんと一緒に作り上げることが出来て、2作目からはそれをベースに作るかたちになりました。
──セーラー戦士の5人は、当時あまり舞台経験がなかったということもあり、舞台に立つためのノウハウを教えてあげたりもしたそうですね。
初めて舞台に立つという人も何人かいました。宝塚でいえば、初舞台生と作品を創り上げるようなものです。宝塚はトップスターと初舞台生が直接組むことはまずありえない世界ですから、ここではどういう形でやっていこうかと考えを巡らせて、5戦士とはちょっと部活みたいな感じでいつも一緒に集まって、ミーティングしてお稽古してということを積み重ねていきました。私も自分の初舞台を思い出すような気持ちで、同時にどこか上級生感覚になって(笑)、見守るようにここまでやってきたと思っています。
──その新しいセラミューが、どんどん盛り上がって、海外にまで広がりました。
パリで「JAPAN EXPO 2014」の催しに参加したのが初めてで、そのとき、海外でのセーラームーン人気を実感しました。2015年には上海公演を行いましたし、今年も4月にアメリカのヒューストンで開催された「Anime Matsuri 2017」に参加しました。どこへ行ってもお客様がすごい熱狂ぶりで、今さらですが日本のマンガやアニメの人気のすごさを実感させられます。私は昨年、ブロードウェイ・ミュージカル『CHICAGO』(宝塚OGバージョン)のニューヨーク公演で、主人公のロキシー・ハートとしてリンカーンセンターに出演したのですが、そのとき大勢の現地のファンの方が楽屋口に集まってきたんです。口々に「セーラームーンのLegend of Tuxedo Mask (伝説のタキシード仮面)に会いに来た」と言われて。それを聞いてびっくり! 本当に感動しましたね。

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ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Amour Eternal-(2016年) (c)武内直子・PNP/ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会2016

武内直子先生が描かれる世界観の素晴らしさ

──海外でもファンを増やしているセラミューですが、昨年からセーラー5戦士が新しいキャストになりました。新しい戦士たちの印象はいかがですか?
一番感じたのは、役や舞台への取り組みが早くて、セラミューの世界にすっと入ってきたことです。それは前回のメンバーたちが作り上げた舞台を観ていたことが大きいと思います。前回のセーラー5戦士に憧れて、良いところを見習うことで、具体的に作りやすい面があったのだと思います。
──地場 衛の相手役、月野うさぎ役も大久保聡美さんから野本ほたるさんに代わりました。
野本さんは大久保さんとはキャラクターが違うので新鮮でした。シリーズも4作目に入ったことで内容も深まり、ラブシーンも多くなったりしたのですが、そこも野本さんはとても自然に演じてくれました。
──そしていよいよ今回は、2013年からのシリーズの最終章ということですが、ストーリー的には地場 衛が危機に陥るとか?
そうなんです。アメリカ留学に行くはずの空港で、姿を粉々にされてしまうんです。それをみんなが解決しようとして戦うわけですが、セーラー戦士VSセーラー戦士という壮絶な戦いになっていきます。でも、原作のラストシーンはとてもロマンティックな終わり方になっていて、そこに武内直子先生の精神が集約されていると思うのです。それをどこまで舞台で表現できる演出になるか…。武内直子先生が描かれている世界観がとにかく素晴らしくて、醸し出されるあの素敵な空気感をなんとか舞台でも表現したいと、いつも思わせられます。先生と私の美学が1つに溶け合って、巨大な宇宙空間になっていくような、そんな伝説の舞台になるように、心を込めて臨みます。
──観客だけでなく演じる側も感動させてしまうものがあるのですね。
テーマの1つが「愛」で、今の世の中でも変わらず人間の根底にある「誰かのために」という精神が、しっかり描かれているところが素晴らしいんです。誰かのために命を投げうってまで戦うし、自分を犠牲にして何かを差し出すという思いが描かれていて、演じるたびにこちらの精神も洗われます。ピュアな気持ちになりますし、改めて一途な思いに気づかせてくれるんです。そういうところが私自身とても共感できる作品で、男性のお客様も涙していたり、世界中どこでもそれはわかっていただけるテーマだと思います。
──まさにセーラー戦士は、愛と正義のために戦っているわけですね。
その戦士が女の子たちというのもカッコいいですよね。まもられる側だった女の子たちが、逆に男性をまもったりする。それが女の子たちに勇気を与え、そういうセーラー戦士に憧れる読者にとともに作品も育ってきたと思います。まさに愛の世界ですね。人が人として存在するかぎり変わらない愛の世界。人のためにつくすこと、愛の世界のために戦うことを教えてくれるんですね。
──そのセーラー戦士たちをタキシード仮面は、色々な局面で支えますね。
カッコいい女の子たち、がんばっている女の子たちを、さりげなく見まもっている、その大きさを出せればと思いますし、頼りになる存在でいないといけないと思います。ここというときに力が出せないのが地場 衛でもあるのですが(笑)、彼女たちがより力を発揮できるように、輝けるように、心の拠りどころでいたいなと思っています。
──そういう懐の深さが魅力ですね。
わきまえているんですよね。彼女たちの力を信じているから、自分にまかせろとか前に出ていかない。そこが武内先生の描かれる素敵さで、本当の強さは奥が深いなと思わせられるんです。

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ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Amour Eternal-(2016年) (c)武内直子・PNP/ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会2016

再演で改めて感じた『CHICAGO』の奥深さ

──ところで悠河さんはこのセラミューと並行して、ブロードウェイ・ミュージカル『CHICAGO』をはじめとするミュージカルやショー、新派や松竹新喜劇など和物の伝統的な舞台への出演、また来年はハンブルグオペラ歌劇場と二期会(日本の世界的なオペラ団体)の提携公演でオペラデビューを飾ることも発表されました。まさに振り幅広く活躍しています。
それぞれまったく違う世界なので、その中で大和悠河という存在を改めて自覚することができている気がします。自分でもその変化を楽しませていただいています。
──ブロードウェイ・ミュージカル『CHICAGO』は長く上演されている傑作ミュージカルですが、演じていてその魅力はどこにあると思いますか?
とにかく良く出来たミュージカルなんです。ボブ・フォッシーさん振付のダンスはもちろんのこと、曲もいいし、衣裳もシンプルですがカッコよくて、すべてに無駄がないんです。ある意味、演じる体そのもので魅せていく、そこに難しさとカッコ良さがあります。演じれば演じるほど面白くなりますし、作品の良さも改めて感じています。
──ロキシー役は当たり役の1つになりました。
再演で演じることができたおかげで、ロキシーという女性を深く理解できたと思います。はじめは弱そうに見えますが、したたかというか、周りを利用してでも生きていく強さがある女性で、可愛いだけでないその強さは、男役をやってきたからこそ出せるところもあるので、とても楽しく演じることができました。
──宝塚歌劇団のOG公演の良さについてはいかがですか?
黙っていてもわかり合えるものがあって、カンパニーが自然にまとまるのは、本当に素晴らしいなと思います。やはり初めて会う方ばかりの稽古場は、探りながら関係性を築いていきますけれど、宝塚出身者ばかりですと、あるルールが出来ていますから、自分の役と舞台に集中できるんです。とくに『CHICAGO』は、アメリカ側のスタッフの方が直接指導してくださる、オリジナルのクオリティを大事にする舞台ですから、宝塚で鍛えられた出演者だからこそ、クリアしていけた部分もあったと思います。

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新橋演舞場「二月喜劇名作公演」より(撮影:竹下力 )

和物の世界を極めている方々から学べる幸せ

──そしてもう一方の和物の舞台は、昨年の『糸桜』で新派という伝統を重んじる舞台に初めて出演、好評でした。
女性役での和物舞台は、宝塚を退団してから演じるようになったので、まだまだ経験が浅いのですが、周りの大ベテランの方々に教えていただきながら取り組んでいます。『糸桜』では、波乃久里子さんにどれだけ教えていただいたことか。新派作品は、日本的な情緒やしっとりとした雰囲気が大好きですので、出演できてとても幸せでしたし、またあの世界で鍛えていただきたいなと思っています。
──今年は新橋演舞場の「二月喜劇名作公演」の『恋の免許皆伝』で、和物の喜劇にも取り組みました。
本当に面白い作品でした。喜劇なのに純愛で、私は武家の娘で、19歳から59歳までを演じ、初めての老け役も経験させていただきました。やはりこの作品でも、久里子さんや相手役の中村梅雀さんに、所作などを色々と教えていただきました。和物は本当に奥の深い世界ですから、その世界の良さに触れることができたのは有り難かったですし、それを極めている方々と共演させていただける機会があるのは、私にとってとても幸せなことです。これからも、ますますしっかりとお勉強させていただいて、私の中にしっかりとした基本を身に付けたいとおもっています。
──そういう意味では、現在出演中の新版喜劇!『売らいでか』も喜劇名作の世界ですね。
今回で2回目の出演をさせていただいていますが、座長の浜木綿子さんはじめ芸達者な、こちらも大ベテランの方ばかりで、本当に得るものが多いんです。とくに私は浜さんを、「この方は天才だ!」と尊敬していますから、そばでそのお芝居を見せていただくだけで得るものが沢山あります。浜さんが子役さんに「こう言ってごらん」とアドバイスするのを聞いているだけで、聞き惚れてしまうんです。それに子役さんといえども愛情たっぷりに厳しく指導されていて、あんなに教えてもらえて羨ましいと思うくらいです(笑)。性格もとてもさっぱりした方で、男前で、話しやすくて大好きな方なので、この作品で全国ツアーなど1ヵ月くらい浜さんとご一緒していることが嬉しくて仕方ないです。

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自分らしくいること、無理をせずにいることを大事に!

──4月にシアタークリエで上演された『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』には、声だけの出演もしましたね。
スヌーピーの漫画『ピーナッツ』が大好きで、ずっと愛読していたので、喜んで参加させていただきました。SNOOPY - チャールズ・モンロー・シュルツ(Charles M.Schulz)の偉大な精神の世界が 私の喜劇の世界に広がっていくことが理想的な夢の世界です。好きなものがお仕事に繋がっていくのは嬉しいですね。
──漫画からオペラまで本当にフィールドが広いですね。
色々な方に「ずいぶん色々なジャンルに出ているんですね」と驚かれたりするのですが、自分ではこだわりなくやっていく中で、いつのまにか広がっていって、そのぶん引き出しが増えてきて有り難いです。 
──テレビでの取り上げられ方もですが、大和悠河のある種のライフスタイルが、皆さんの興味を引くのだと思います。
宝塚時代は私生活を見せないように生きていましたが、自分としては当時も今も変わりなく生きていて、今はそれをほんの少しオープンにすることで、そのままの大和悠河を見ていただこうと。そして、面白いなとか楽しそうだなと思っていただければいいなと思っているんです。余計なことを考えずに自分らしくいること、本当の意味で無理をせずにいたいなと、いつも思っていて、その気持ちに素直に生きてきたし、これからもそう生きていければいいなと思っています。
──最後に、改めてミュージカル『美少女戦士セーラームーン』-Le Mouvement Finalへの意気込みを。
いよいよ2013年からのシリーズの最終章なので、みんなでまとまってガツンとした舞台を作りたいですね。毎回、進化したいと思っていますし、今回もさらに進化したタキシード仮面、地場 衛をお見せできるよう磨きをかけていきます。ぜひ観にいらしてください。


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やまとゆうが○東京都出身。95年宝塚歌劇団入団。天性の華やかさと類まれな抜群のスター性で早くから抜擢され宙組トップスターとして人気を博す。09年卒業後は、ブロードウェイ・ミュージカル『CHICAGO』、新派公演『糸桜』、新橋演舞場公演「二月喜劇名作公演」他、数多くの主演・ヒロインを務め、舞台、テレビなど幅広い分野で女優として活躍する一方、本の執筆や連載など多彩な才能を見せている。2018年7月、ハンブルグ州立歌劇場と二期会の提携公演『魔弾の射手』でオペラデビューが決定している。


〈公演情報〉
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ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Le Mouvement Final- (ル ムヴマン フィナール)
原作◇武内直子(講談社刊)  
脚本・演出◇平光琢也  
音楽◇佐橋俊彦  
出演◇野本ほたる 竹内 夢 小林かれん 楓 長谷川里桃/大和悠河 他
●9/8〜18◎AiiA 2.5 Theater Tokyo
9/23〜24◎アイプラザ豊橋  
9/29〜10/1◎梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ  
〈料金〉S席8,800円 A席6,800円(前売・当日共/全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00〜18:00)

 (c)武内直子・PNP/ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会2017



【取材・文/榊原和子 撮影/岩田えり】


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宝塚退団後初の単独コンサート『Magic!』に挑む! 妃海風インタビュー

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宝塚星組のトップ娘役として活躍した妃海風の、退団後初となる単独コンサートが、10月に大阪と東京で開催される(10月8日〜9日@大阪・松下IMP HALL、10月21日〜22日@東京・竹芝ニューピアホール)。
 
宝塚時代も、歌唱力抜群の北翔海莉の相手役として、ブロードウェイミュージカル『ガイズ&ドールズ』や、ディズニーミュージカルと宝塚メロディーで構成された『LOVE&DREAM』、オペレッタ『こうもり』など、多彩な歌の数々で魅了してきた妃海が、退団後に新たに取り組むコンサートとあって、その内容に大きな注目が集まっている。
そんな妃海に、『Magic!』と名付けたコンサートへの意気込み、退団後の日々、新たに取り組むクリエプレミアム音楽朗読劇『VOICARION GHOST CLUB』への出演や、今も続く北翔海莉との交流、また宝塚への想いなどを語ってもらった。

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入場から退場までがテーマパークにいるようなコンサート

──退団後初の単独コンサートが開催されることが決まりましたが、まずコンサートに取り組もうと思われた経緯から教えてください。
宝塚在団中には、「お茶会」と呼ばれているファンの方たちとの交流イベントがあるんです。ホテルなどの一室を使うことが多く、別にライブ会場ではないのですが、その「お茶会」の入場から最後までの演出を考えるのが私はすごく好きだったんです。演出と言っても本当に手作りで、音響と照明と伴奏もカラオケで、という手作り感あふれるものだったのですが、ファンの方たちはショーを観に来るような感覚だったと言って、とても楽しんでくださっていて。
──では、歌ったりもされていたんですか?
大好きで、歌っていました。宝塚の舞台をやっているのとは、また違う独特の興奮があったので、退団後コンサートができたら良いなと思っていましたから、今回実現することになって本当に嬉しいです。
──そうすると、演出などもご自分で?
こういうことをやりたいです!というものは、私から発信していきますが、今までは、例えばここでこの音楽で、じゃあこんな衣装がいいなと考えて調達するとか、ここの照明の色味はこんな感じで、と照明さんに伝えるとかを、全て自分でやってきたので、そこはプロの方たちの手に委ねて、自分のイマジネーションがどう化学反応を起こしていくかを私自身も楽しみにしつつ、本格的なものになっていくと思います。
──そうしますと、まだ内容は確定していないかと思いますが、今お話し頂ける範囲でこれだけはやりたい!と思っていることなどは?
どういう風に形になっていくかはまだわからないのですが、私、ディズニーランドが大好きなんです!
──在団中にディズニーの素敵なショーにも出演されましたね。
そうなんです!ディズニーのキャラクターが好きということもありますし、ディズニーランドのエントランスに入ってから、最後に外に出るまでの、非日常を味わえる空間がすごく好きで、園内にいる人たちも皆とても幸せそうな表情をしているんですよね。普通に街中を歩いているだけでは決して見られない表情に出会える、あの徹底した非日常性が素晴らしいと思っているので、私のコンサートもチケットをもぎる入口から、すべてが終わって外に出るまでを、テーマパークに来たような感じにできたらと思っています。それプラス、生きている人間のエネルギー的な血を感じるパワーも上手く融合していきたいと考えています。

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──歌いたい曲目なども絞り込んでいるのですか?
色々あって、まだ具体的に選曲を詰めるところまではいっていないのですが、全体の構成をブロックごとに分かれたものにしたくて、コンサート全体のテーマはありつつ、各ブロックごとにもまたテーマがある、というものになるように考えているので、今はそのテーマごとにどんな曲が合うのかな?と色々と聞きこんでいます。
──ではショーの要素も強いものに?
そうです。ショーをイメージして頂ければ。今までずっと手作りでやってきたものが、プロの手のMagicにかかって、どんな風にお見せできるか、色々な意味を含めて『Magic!』というタイトルにしているので、素敵なひと時をお楽しみ頂けるものにしたいです。
──出身地でもあり、宝塚とも至近の大阪と、東京と、二都市でのコンサートですから、ファンの方たちも心待ちにしていらっしゃることでしょうね。
東西でやってくれるのは嬉しいという声もたくさん頂いているので、せっかく東西で各2回ずつ、4回公演をするので、全部観て頂いても、どこかしらは違うものがあるステージにできたらとも思っています。
──では、日替わりコーナーも?
はい、何かしらそういう要素も入れたいと思っているので、楽しみにしていてください!

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表現する仕事の素晴らしさを改めて感じて取り組む朗読劇

──宝塚を退団されてから今日までの日々で、時間の過ごし方などにも変化はありましたか?
私は宝塚にいる間は、本当にただ宝塚のことだけしか考えていなったので、退団後もまさかまたこうして表現をさせて頂く道に入れるとは思ってもいませんでした。ですから、まずは宝塚を卒業した自分が、何が一番好きなのかを、見つめ直す時間を持ったんです。その中で、単純に現役中よりはきちんと睡眠時間が取れるとか、人と会う機会も増えて、より自分自身のことをじっくり考えられたように思います。
──そういう時間の中で、芸能活動をしようと思われたきっかけは?
現役中の原動力が、自分が宝塚を大好きだという気持ちだったんです。とにかく私は宝塚が大好きで、その大好きな世界に自分が存在できているという興奮がずっとありました。ですから退団してから「自分がときめくものは何なのか?」をしっかりと見つめてから次の道を決めようと考えていました。その中で、私はファンの方たちに対して「ずっと応援してくれてありがとう!」という気持ち以上の、もっと深いお知り合い、仲間意識を持っていましたから「退団しましたからさようなら!」にはとてもできなくて、ファンの集いのような会を1度開いたんです。その時には「まだ何をするかわかりませんが、私は生きてますよ!元気です!」という形だったのですが、ファンの方たちが「もう会えないんですか?」と泣いてくださったり、「また会いたいです」とたくさんお手紙をくださったりして、「宝塚」という場所から卒業しても、こんなにも私のことを想ってくださる方たちがいて、そういう方たちと巡り合えた表現するお仕事というのが、如何に素晴らしいものだったかをまた改めて感じたんです。このお仕事は人間が生きていく上では、必ずしも絶対に必要というものではないかも知れないけれども、でも人の感情に深く訴えかけたり、元気の源になったりするし、もちろん私自身も元気をもらえる。それは本当に素敵なことなんだ!と思って、宝塚のOGの方たちのディナーショーなども観に行かせて頂いたら、退団されても皆さんが輝いていらっしゃる姿にもまた感動して。そうした中で人とのご縁があり、今に至るので、本当に心が良い流れで動いていきました。でも出会いから決断まではあっという間だったので(笑)両親もずいぶん驚いたと思います。
──決断は早かったんですね!
早かったです。そういう出会いには本当に感謝していますし、これから一からのスタートだと思っているので、皆さんに喜んで頂けるように頑張っていきたいです。

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──その中で、近いお仕事というのがクリエプレミア音楽朗読劇『VOICARION GHOST CLUB』ですが、こちらはまた豪華なメンバーですね!
まず私がご一緒させて頂く方々、紫吹淳さん、春野寿美礼さんは、私が宝塚ファン時代に客席から憧れて観ていた方たちで、現役中楽屋を訪ねてきてくださっても、畏れ多すぎてお話しすることもでないような方たちなので。
──妃海さんのトップ娘役のお披露目作品『大海賊』『ガイズ&ドールズ』は、紫吹さんが取り組まれた作品ですから、ご縁がありますね。
そうなんです!もう『ガイズ&ドールズ』などは、ファン時代に熱心に観ていた作品なので、自分が演じる側に回れたことも本当に嬉しかったのですが、また退団後にもこうしてご縁ができたことが嬉しいですし、自分でもびっくりしているくらいです。
──『VOICARION』で妃海さんが演じるのはデズモンド・クロフト卿、15歳の少年でありながら、クロフト家の爵位と財産を引き継いだという役柄ですね。
少年役ということもありますし、それぞれ同じ役を日替わりで演じる方々がプロの声優さんなので、朗読劇自体が初めてという私にとっては、何もかもが新しい挑戦です。特に私自身アニメもすごく好きで、アニメ雑誌などでも表紙になるような有名な方たちですから、すごいメンバーの中に入れて頂くので、精一杯私のできる表現をしながら貪欲に吸収していきたいです。

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北翔海莉との出会いは宝物、これからも宝塚に刺激をもらって

──そうした新たな挑戦の日々の中で、今、改めて宝塚時代を振り返るとすると?
常に仲間がいる温かい場所だったなと。同期がいて、また私は星組の中で、日々私のほんの少しの変化にも皆が気づいてくれて、共に喜んだり、共に悩んだりできた、星組だけでなく「宝塚」という1つのカンパニーが皆で同じ方向を向いていたんだということを感じます。ですから逆に今、宝塚というカンパニーから離れた時に、1つ1つの出会いが新しいもので、私をご存知ない方が私を見て感じてくださることを通じて、私自身が知らなかった自分に気づかされることが多いように思います。宝塚では皆が私を知っていてくれましたが、やはり今は自分から「私はこういう人間です」と発信していかないといけないので、そこから自分の色も強くなっていくのかな?と思っています。まだどうなるのかな?と思ってるというざっくりした気持ちなのですが(笑)、でも、楽しみも大きいです。
──相手役だった北翔海莉さんとも退団後も様々な交流が続いているそうですが。
何か不思議な感じがします。宝塚在団中はある意味で夫婦のような関係でしたし、もう私自身本当に北翔さんが大好き!という強い気持ちを経験してきたので、退団した後にはどうなるのかな?と思ったりしていたんです。でも同じ作品を創っていく中で、本当に密に過ごしてきた時間を経たからこそ、分かり合えるところがあって、今は日常に起きる細かい出来事なども、まさかこんなにご相談できるとは!と、想像もしていなかったような形で交流を続けさせて頂けているのが嬉しいです。
──そうすると、宝塚時代はプリンスとプリンセスの関係でいらして、今は親友のような?
そうですね、そう言葉にするとおこがましいような気持ちもありますが、でも退団後も本当に近い存在でいてくださる方ができたというのも、宝だなと思います。
──ご一緒に宝塚もご覧になったとか?
星組の紅ゆずるさんと綺咲愛里ちゃんのお披露目公演を拝見して、もう私は号泣でした。紅さんは現役時代に本当にお世話になった方ですし、綺咲愛里ちゃんとも1学年しか離れていないので、役作りも一緒にしてプライベートもよく遊びにいってる仲でした。そんな二人が星組新トップコンビとなった姿には、本当に感動しました。あぁこうやって宝塚は続いていくんだなと感じましたし、北翔さんもすごく感動されていて、それをまた二人で観に行けたことで、感動が倍になった気がします。宝塚からたくさん刺激をもらいました。

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──北翔さんとは今後、女優さん同士として共演する機会もあるかも知れませんね。
それが、確かにあるかも知れないのですが、その時自分の気持ちがどうなるのか?と(笑)。やはり宝塚時代の男役の北翔さんに対して持っていたときめきは残っているので、女優さんとしてドレッシーな北翔さんが私の目の前に現れた時、私のこの心がどうなるか?(笑)は、まだ未知の世界です!
──それも含めて、今後も色々なサプライズがありそうですね。
もう毎日がサプライズです!本当に!
──では、そんなサプライズに満ちた新しい妃海さんを拝見できるコンサート『Magic!』への意気込みをお願いします。
私が宝塚やディズニーから日々感じていた、忘れていはいけない「夢」と、現実に新しい生活から得ている生きるパワーを、お届けしたいです。今、毎日生きていることに少しでも辛さを感じている方や、何かしたいけれども何をしていいかを探している最中という方に、私が今の新しい生活の中で感じているワクワクした興奮を一緒に感じて頂けたら。夢とパワーの詰まったコンサートにしていきたいと思いますので、是非観にいらしてください!

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ひなみふう○09年宙組公演『Amour それは…』で宝塚歌劇団の初舞台を踏む。星組に配属。歌唱力に秀でた娘役として頭角を現し13年『南太平洋』など、数々の作品でヒロインを務める。15年、北翔海莉の相手役として星組トップ娘役に就任。『ガイズ&ドールズ』『LOVE&DREAM』『こうもり』など、持ち前の歌唱力を活かした作品で活躍した。16年『桜華に舞え』『ロマンス!!(Romance)』で惜しまれつつ宝塚を退団。女優としてまたアーティストとして今後の活躍が期待されている。17年9月シアタークリエでのクリエプレミア音楽朗読劇『VOICARION GHOST CLUB』への出演も控えている。


〈公演情報〉
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妃海風CONCERT 2017『Magic!』
●10/8〜9◎大阪・松下IMP HALL
〈料金〉8.500円
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888
●10/21〜22◎東京・竹芝ニューピアホール
〈料金〉8.500円
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
〈ぴあ先行〉8月5日(土)より受付中
〈一般発売日〉 9月9日(土) 



【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】



妃海風コンサート2017


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井上ひさしが描いた赤穂事件の真実とは?こまつ座 『イヌの仇討』彩吹真央インタビュー

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井上ひさし作『イヌの仇討』が、こまつ座第118回公演として、7月5日から紀伊國屋サザンシアターで上演される。(23日まで。その後、山形県川西町、酒田市でも公演あり) 
 
この戯曲は、歌舞伎の『忠臣蔵』をはじめ数々の物語で知られる赤穂事件を、隠し部屋に潜んだ吉良上野介と、彼を守ろうとする人々の視点から描いたもので、初演は1988年、以来、これまで上演されてこなかったことで、井上ひさしの幻の名作とも呼ばれている。
大石内蔵助以下、赤穂四十七士に襲撃された吉良邸で、吉良上野介が討たれるまでの最後の2時間、密室に隠れ潜んだ人々が、何を思い、どう目の前の現実に向き合ったか…。
井上ひさしならではの独自の切り口から『忠臣蔵』を見つめ直し、悪役とされてきた吉良上野介側に寄り添い、世論や権力から見放され、翻弄されながらも、それらに立ち向かっていった姿を描く、『忠臣蔵異聞』ともいえる作品となっている。演出には、叙情性あふれる世界観で高い評価を受ける「劇団桟敷童子」の東憲司。出演者は日本演劇界の多彩なジャンルから実力派が集結、この幻の名作の復活に挑む。

その作品で、吉良上野介の側女お吟を演じるのが、宝塚出身で女優としてミュージカルからストレートプレイまで活躍中の彩吹真央。この作品は、彼女にとって念願だった「こまつ座」への初出演であり、女優として初めての時代物となる。そんな彩吹が稽古中のある日、井上ひさし作品と役柄への熱い思いを語ってくれた。

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吉良上野介こそ本当のヒーローだった?!

──この作品に接する前に、『忠臣蔵』に対して持っていた印象はどんなものでしたか?
宝塚でも上演されていましたし、年末にはドラマなどもよく放映されていたので、興味はあったのですが、知識としては歌舞伎なども含めて、これまで上演されてきた『忠臣蔵』の物語をそのまま受け取っていました。吉良上野介が敵役で、大石内蔵助率いる赤穂浪士たちが主君の敵をとる美談という感覚でした。
──そこから、この『イヌの仇討』という井上ひさしさんの戯曲を読んでいかがでしたか?
読ませて頂いた時に、『忠臣蔵』は本当はこうだったのではないかと思いました。吉良上野介や側近の方達はもちろん実在の人物ですが、私が演じるお吟や、三田和代さんが演じられるお三様は、モチーフとなる人はいたかもしれませんが、基本的には創作された人物なんです。それでも、お吟が隠し部屋に入ってから幕切れまでのことは、実際はこうだったに違いないと信じてしまえるほど、作品に真実味があるんです。さらに井上先生が紡がれる美しい言葉のあふれだす様に圧倒されて、たちまち虜になりました。その作品に対する感動と、そんな作品に自分が出させて頂ける嬉しさが、次々に押し寄せてきました。何よりも私にとって「こまつ座」の舞台に立たせて頂くということは、ずっと願っていたことでしたから、大きな喜びがありました。
──赤穂浪士の討ち入りの一夜を、吉良上野介の側から描くという視点自体、非常に面白いですね。
赤穂事件は実際に起きたことで、史実として残っている部分に忠実に添いながら、その狭間で何が起きていたのかわからない時間、「もしかしたらこうだったのかも知れない」という想像の余地があるところを、井上先生が書き込まれているので、台詞の1つ1つにリアリティがあります。ですからこの作品の面白さは、日本人ならほとんど皆が知っている『忠臣蔵』、300年前の赤穂事件について、誰もがヒーローは大石内蔵助、赤穂四十七士だと思っているところを、逆から見たという視点だと思います。今回、出演させて頂くにあたって、ゆかりの土地に伺いまして、赤穂にも行ったのですが、「赤穂浪士記念館」があり、四十七士の方達の像がそれぞれあり、観光客もたくさん来ていて、本当に彼らがヒーローなのを感じました。一方、上野介さんが治めていた領地、愛知県の吉良町にも伺ったのですが、そこには吉良家の菩提寺があり、「赤穂浪士記念館」のような大がかりなものではありませんが、上野介さんの像が町のあちこちに立っていて、町の方達にお話を伺うと皆さんが「ヒーローは吉良さんだ、名君なんだ」とおっしゃるんです。当時の領民の方達も吉良さんを慕っていたというお話も伺いました。私は井上先生の作品にすっかり心酔していましたので、吉良町に伺って「あぁやっぱり!」と嬉しさを感じました。ですから私はこの『イヌの仇討』こそが『忠臣蔵』の真実だと信じて挑んでいますし、きっと上野介役の大谷(亮介)さんはじめ、共演している皆さんもそう信じて演じていらっしゃると思います。

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邪魔者のはずなのに「お三様頼りにしています!」と

──演じるお吟という役はどう捉えていますか?
初めに私が抱いた大まかなイメージは、ちょっとのんびりしたお側女さんなのかな?というものでした。ですから本読みの段階などでも、少しおっとりと台詞を読ませて頂いていたのですが、井上先生の作品は登場人物が皆個性豊かで、この作品ではまず吉良上野介さんがいらっしゃって、近習、御女中頭のお三様、お犬様付お女中がいらっしゃる。その中でお吟というのは架空の人物ではありますけれど、討ち入りでいつ殺されるかも知れないという状況ですから、常にのんびりと話しているわけではないでしょうし、お側女という立場から劇中の人間関係を深く表現するためにも、お三様と争う感じをもっと出した方がいいかもしれないと、稽古を進めるうちに人物像が色濃くなりました。でも、やはり身分の高い方の側女ですから、まず魅力がないと側近くで仕える立場にはなれないので、お吟の魅力というものもちゃんと出さなければいけないと考えています。それは井上先生が書かれた台詞の中にも1つ1つ描かれていて、ご隠居様(上野介)を気遣う言葉や、近習たちの言葉に涙するなど、細かい描写がありますので、書かれているものを忠実に表現することで、自然にお吟という女性の性格が浮き彫りになると思って取り組んでいます。
──稽古の雰囲気などはいかがですか?
本読みが3日間ありまして、その時からすでに感じていたのですが、演出の東憲司さんが本当にパワフルな方です。私のお吟が一番最初に舞台に登場するのですが、立ち稽古の初日、その瞬間から本気でやるんですね。まず、こう動いてみましょうか?と立ち位置を決めながら、演出をつけて進めるという形ではなく、「はい、本意気でどうぞ!」と言われた時に、役者としては「あぁそう来たか!」と。そうでなくてはいけないんだと思いました。描かれている物語は、吉良上野介さんが亡くなる2時間前の話で、声ひとつ、物音ひとつ立てたら殺されるかも知れないという、私たちが今生きている平和な世の中とは全く違う世界です。その中での「本意気」というものを稽古で体験する度に、自分自身が生きているということを感じますし、そういう稽古になっています。
──共演者の方達も錚々たる顔ぶれですね。
たくさんの経験を積まれた先輩方とご一緒させて頂けているのが、本当に光栄です。ご隠居様の大谷亮介さんには、いつもお側に付かせて頂いている役柄なので、日々学ばせて頂いています。どっしりといてくださるのが心強いのですが、実際には見つかれば殺されるという状況の中にいるわけですから、ご隠居様は誰よりも私が守るという気持ちでいます。意見交換もたくさんしてくださって、何よりも私が構えることがないように、とても大きな心で受けとめてくださっているので、とてもありがたいです。また、お三様の三田さんからも本当にたくさんのことを学ばせて頂いています。お三とお吟の関係性が成立すればするほど、炭部屋の本当に狭い空間にいて、立場の違い、考え方の違いが鮮明になっていく状況が、よりリアルになって面白さが作り出せると思います。三田さんは、私が何か1つしても、「今、お三はこうしているから、お吟はこっちの方がいいんじゃないかしら?」と教えてくださったり、またお吟がこう出るからお三としてはこうした方がいいと、常に私との関係性で作っていってくださるんです。演じる上では、お吟はお三様に対して「ちょっと邪魔者」という扱いをしなければならないのですが、心では「お三様頼りにしています!」という気持ちでいっぱいです。でもついついその気持ちが出てしまって、「優しくやりすぎよ」(笑)と言って頂くので、芝居の中ではなるべくお三様のやることに目くじらを立てて、キリッとやらなければいけないなと思っています。他の皆様も、「こまつ座」の舞台も時代物も多く経験されている方ばかりで、私は宝塚退団後、女優として時代物に出演するのが初めてなので、学ばせて頂くことが本当に沢山あります。そういう意味でも毎日の稽古が楽しいですし、作品や役と闘っている時間そのものが幸せです。

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井上作品は最後には必ず温かさが残る

──「こまつ座」の舞台に出たいとずっと思っていたそうですが、井上作品の魅力をどう感じていますか?
井上先生は、作品ごとに伝えたいテーマがおありになって書かれていたと思いますが、私が感じていたのは、人間の面白さと温かさがどの作品にも共通して描かれていることでした。どんなに強がっている人でも、綺麗な人であっても、人間にはどこかに必ず滑稽な部分がある、それをとても素敵な言葉で描かれているので、可笑しさもこみあげてきますし、最後には必ず温かさが残る。そこに一番の魅力を感じます。そんな人間を演じるには、生半可な気持ちでは演じられませんから、そこから必ず得るものがあるだろうと。そして、出演される方々が自分を裸にして役に投影して、お客様に感動を伝えていることもとても羨ましかったです。その世界に今自分が居られることを大事に演じていきたいです。
──今、世の中がおかしくなっている中で、井上作品はますます大きな意味を持っていると思います。この作品も歴史上の出来事に題材を取っていますが、伝えたいことは今の時代にも通じるものかなと。
井上先生の作品は戦争を題材にされているものが多く、また直接言及していない作品でも、戦争を経た、戦後の思想の中でこういう人間がいるんだよということを書かれていて、そこには二度と戦争を起こしてはいけないというメッセージが、さまざまな言葉で書かれています。今、時代がある方向に向かっているという危惧がある中で、この仕事をしている私たちが先生のメッセージを残していかなければならないし、先生の書かれた人間の温かさというものを、伝え続けなければならないと思います。この赤穂事件は300年も前ですが、当時としては60年以上も戦がなかった時代に起きた大事件でもあるんですね。そういう中で、「この事件をどう捉えようか?」とみんなが考えたと思いますし、今の私たちにもとてもリアルに感じられるものだと思います。井上先生が「こまつ座」の座付作家として、次々に新作を書かれる中で、再演される機会に恵まれなかったこの作品を、今上演する意味を深く感じながら、演じたいと思います。
──では、改めて意気込みをお願いします。
ご覧になったら皆様きっと、「目から鱗が落ちた」という感覚になって頂けると思います。300年以上敵役だった吉良上野介の、『忠臣蔵』には決して描かれなかった思いや、心の深さが描かれているので、どなたもが吉良上野介ファンになってくださると思いますし、いちはやく上野介ファンになっている私たちが演じることで、その素晴らしさを知って頂けたら、無念な亡くなり方をした上野介さんも天国で喜んでくださるのではないかと思います。それはきっと井上先生の思いでもあるのではないかと。密室の中でのとても緊迫した状況なのですが、その中だからこそ生まれる滑稽さもあり、ある意味ではコメディ要素もある作品ですので、楽しみに観に来て頂けたらと思います。お待ちしています。

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あやぶきまお○大阪府出身。94年宝塚歌劇団入団。繊細な演技力とのびやかな歌声を持つ男役スターとして活躍。10年退団後女優に転身。舞台を中心に活躍する一方、コンサートなどの歌手活動や、声優など様々なジャンルにも積極的に挑戦している。近年の主な舞台に『ロコへのバラード』『サンセット大通り』『シラノ』『ウェディング・シンガー』『モンテ・クリスト伯』『アドルフに告ぐ』『End of RAINBOW』『オフェリアと影の一座』崩壊シリーズ『リメンバーミー』などがある。


〈公演情報〉
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山形新聞・山形放送後援
こまつ座 第118回公演 『イヌの仇討』
作◇井上ひさし
演出◇東憲司
出演◇大谷亮介、彩吹真央、久保酎吉、植本純米、加治将樹、石原由宇、大手忍、尾身美詞、木村靖司、三田和代
●7/5〜23◎紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
〈料金〉7,000円 学生割引 4.000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉こまつ座 03-3862-5941
●8/4◎川西町フレンドリープラザ
〈料金〉3,000円 高校生 1,000円
〈お問い合わせ〉川西町フレンドリープラザ 0238-46-3311
●8/6◎酒田市民会館 希望ホール
〈料金〉S席 3,000円 A席 2,000円 高校生以下 1,000円
〈お問い合わせ〉酒田市民会館 0234-26-5450




【取材・文/橘涼香 撮影/アラカワヤスコ】


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日本初演30周年記念公演開幕!『レ・ミゼラブル』初日前囲みインタビュー

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知念里奈、生田絵梨香、福井晶一、吉原光夫、森公美子、昆夏美

1987年の本邦初演以来、30年の長きに渡り愛され続けているミュージカル『レ・ミゼラブル』、日本初演30周年記念公演が、5月25日有楽町の帝国劇場で開幕した(7月17日まで。のち、8月1日〜26日福岡・博多座、9月2日〜15日大阪・フェスティバルホール、9月25日〜10月16日名古屋・中日劇場でも上演)。

原作は、フランス文学の巨匠ヴィクトル・ユゴーが自身の体験を基に、19世紀初頭のフランスの動乱期を、当時の社会情勢や民衆の生活を克明に描いた大河小説。その原作の持つ、「無知と貧困」「愛と信念」「革命と正義」「誇りと尊厳」といったエッセンスを、余すことなくミュージカルに注ぎ込んだ作品は、1985年のロンドン初演を皮切りに、世界中に大旋風を巻き起こすミュージカルの歴史に燦然と輝く傑作となった。日本では1987年、当時非常に珍しかった全キャストオーディションによる上演が話題を呼び、全編が歌で綴られるオペラティックミュージカルの音楽の力と、スピーディな展開、人間愛を高らかに謳った深いテーマが大きな感動を呼び、以来30年間、再演が繰り返される作品となった。

今回、その傑作ミュージカルの30周年に向けて、新たな顔ぶれも含めた強力なキャスト陣のもと稽古が重ねられ、約2ヶ月に及ぶ帝国劇場公演のチケットは全席完売。6月11日〜17日には、「日本初演30周年スペシャルウィーク」として、終演後に特別カーテンコールが用意された記念ウィークも合わせて、帝国劇場は高まる熱気に溢れている。

そんな特別な公演の初日を直前に控えた5月25日、劇場ロビーで囲み取材が行われ、ジャン・バルジャン役の福井晶一、ジャベール役の吉原光夫、ファンテーヌ役の知念里奈、エポニーヌ役の昆夏美、コゼット役の生田絵梨香、マダム・テナルディエ役の森公美子が、公演への抱負を語った。

【囲みインタビュー】

──まず、初日を前、一言ずつご挨拶をお願い致します。
 
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知念
『レ・ミゼラブル』日本初演30周年記念公演です。本当にずっと続いて長く愛されているこの作品ですが、『レ・ミゼ』ファンの皆様と、歴代作品をつないできてくれたキャストの皆様へのお祝いと、喜びの気持ちでいっぱいです。特別な思いでしっかり演じて行きたいと思います。是非いらしてください。

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生田
 30周年という歴史あるこの作品に参加させて頂けることを本当に幸せに思っています。先輩方が築き上げてくださったものをしっかり受け継ぎながらも、新しい空気感を出していけたらなと思っております。よろしくお願いします。

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福井
 いよいよ今日『レ・ミゼラブル』の初日の幕が開きますけれども、今年は日本初演30周年ということで、日本の皆様にこれだけ愛され続けてきた作品ということをとても嬉しく思っています。この30周年に先輩方が築き上げてきたもの、つないできたバトンをしっかりと守っていきたいと思っております。劇場でお待ちしております。

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吉原
 30年この作品が続いてきたということで、改めて感動しますし、感慨深いなと思います。30年たくさんのキャストやお客様、色々な人が携わってきて創り上げてきたものに、負けないように、でも意識しないように、冷静に淡々とやりたいと思います。よろしくお願いします。

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 30年ということでございまして、同じことを、同じ音楽なんですが、このテーマが「愛」ということで、ますますその愛を育んでいけるように、30周年に向かって素晴らしい作品になっておりますので、10月の半ばくらいまで地方公演もございますので、皆様是非30年目の『レ・ミゼ』に触れて頂きたいと思っております。

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 この作品は日本だけではなくて世界中で愛され続けている作品ですけれども、上演される度に新しい演出だったり、新しい表現方法だったり、常に進化をし続ける作品だと思っております。30周年という先輩方が築き上げてきた歴史と、2017年の『レ・ミゼラブル』両方の面で楽しんで頂けたらいいなと思います。よろしくお願いします。
 
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──福井さんから見て今回のカンパニーのチームワークはいかがですか?
福井 初演でコゼットを演じていた鈴木ほのかさんが(マダム・テナルディエ役で)参加されたり、また橋本じゅんさんなど、僕たちよりも先輩の方が新しい風を入れてくださいまして、また刺激的な稽古になっていると思いますので、(生田を示して)コゼットにも新しく入ってくれていますし、またパワーアップした新しい『レ・ミゼラブル』をお見せすることができると思います。
──チケットも完売しているようですが。
福井 そうですね。ありがたいことです。
──新しく生田さんが参加されましたが、どうですか?初めての『レ・ミゼラブル』のカンパニーは?
生田 最初はプレッシャーや緊張感もあったんですけれども、本当にこの作品は皆で作っているという感じが稽古の段階からすごくて、私もコゼットだけではなくて、アンサンブル、民衆として参加したりもしていて、皆の絆が深まっているのをとても嬉しく思っているので、それを本番でも、作品と共にどんどん自分自身も成長させていけたらなと思っています。

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──お稽古を通して成長したと感じる部分は?
生田 たくさんあります。これと言うのは難しいのですが、作品の背景をすごく考えるようになったり、自分自身の役に対しても、コゼットは綺麗なメロディの歌が多いので、最初は歌い上げようとしてしまうところが多かったりしたのですが、それをどうやって感情に乗せていくかなどの演出をたくさん受けて、変わってきたのではないかな?と思っています。
──大先輩がたくさんいらっしゃいますが、アドヴァイスを頂いたりなどは?
生田 ちょうど一昨日だったでしょうか、私が皆さんの円陣に入りそびれてしまった時に、(吉原)光夫さんが小さい円陣を組んでくださって。
──小さい円陣ですか?
生田 そうです、4人くらいの。
吉原 (冗談で)2人っきりだよね(笑)。
生田 (笑)その時に「自分のことだけじゃなくて、周りの人に集中して」とおっしゃってくださったので、それはこれからも心がけて行きたいと思っています。
──知念さんからは何かアドヴァイスは?
知念 いえ、私も修行中の身なので、とは思いますが、私も10年ちょっと前にこの役(コゼット)を演じていたので、見ていると生ちゃんがどんどんと進化していって、いつかファンテーヌ役も演じてくれたら嬉しいなと思います。 
生田 頑張ります!
 
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 その後はマダム・テナルディエね!(笑)
生田 是非、目指して頑張ります!
──森さんからもアドヴァイスを。
 生田さんは本当に真っ直ぐで、素直に声が出ているんですよ。だから本当に言うことがなくて。お父さんとの関係だったり、マリウスとの関係だったり、そういうものは初め少しぎこちなくて、やっぱり普段、乃木坂46の皆さんで女子の間だけでやっているからかな?と思っていて、キスシーンなどはちょっとだけぎこちなかったのが、今は大女優です。素晴らしいです。ただファンの方達が嫉妬するんじゃないかな?と若干心配しております。
──どうですか?そのあたりは。
生田 あ、でも乃木坂のファンの方も(プレビュー公演を)観に来てくださった方は、作品にのめりこんでくださっているみたいなので、そこは私は心配はしていません。
──昆さんからも是非アドヴァイスを。
 私の役どころが、自分が大好きな人が生田さん演じるコゼットに思いを寄せて、私は結構コゼットに対して、う…となる役柄ではあるんですが、これだけ美しくて、とっても歌声も素敵で、完全に完敗だなと(笑)、ひしひしと感じる美しさと美声ですね。
 そうね!イギリス人のスタッフの方が、生田さんをわざわざ呼び出して「綺麗」って言ったの。他のキャストの方が嫉妬したんじゃないかと思うんですけど(笑)。
 
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──森さんも嫉妬したんですか? 
 いえいえ、私は(生田が)娘のような年ですから!だけどLINEでは「生田さ〜ん、素敵だったよ」とかしてます。LINEともだちです。
吉原 してるんだ?
 そうそう。
──皆さんLINEされているんですか?
 『レ・ミゼ』のLINEがあるので。
──長丁場の公演ですが、体調管理の秘訣やコツなどは?
福井 地方に行ったら美味しいものを食べたいなと思っていますが、まず体力勝負なので、日々やっぱり『レ・ミゼ』中心の生活になりますが、その中でもリフレッシュも大事なので、自分なりにリフレッシュ方法を見つけて行けたらいいなと思います。
──吉原さんはいかがですか? 
吉原 うがい手洗いをしっかりして、あとは今福井さんが言ったみたいに、全員が『レ・ミゼ』中心の生活になっていくので、その中で如何にリフレッシュしていくかが大切なので、あまりのめり込まず冷静に行きたいなと思います。
 
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──地方公演で楽しみにしていることは?
吉原 そうですね、まず地方公演に行くまでに生田さんとLINEを交換して(全員爆笑)。
──吉原さんは『レ・ミゼ』のLINEに入っていないんですか?
吉原 ジャベールやってるんで、招待されていないんです。入れてくれねぇの。
 ごめん!忘れてた!(笑)
知念 私も入ってない…。
生田 あ!招待します!
福井 僕も入ってないよ。
生田 あー!!
 結構仲が悪い感じになっちゃってる(笑)。
生田 大丈夫です、まだできたばっかりなので、周知できてなくて!
 余裕がなかったのよね、もう連日大変な稽古だったものですから。
──では、今日をきっかけにまた皆さん一段と団結して。乃木坂46のメンバーの方は観にいらっしゃるんですか?
生田 はい、すでにプレビュー公演を何人かは観に来てくれていて、本当にすごく感動してくれて、メンバーもファンの方も今まで『レ・ミゼ』をいつか観ようとは思っていたけれども、なかなかそのきっかけがなかったという方が、すごく来てくださって、感動してくださるととても嬉しいので、これからの公演でもそういう方が足を運んでくださると良いなと思っています。
──ミュージカルとアイドル活動はどちらが楽しいですか?
生田 両方とても楽しいです。
福井 本当はどっちですか?(全員笑)
生田 両方、違った楽しさがあります!
福井 そうですか!

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──改めて30周年記念公演に向けてのお稽古や、プレビュー公演の中で新たな発見などはありましたか?
知念 毎回演出が少しずつ変わるので、この間はこう言われていたけれども、今度はこのアプローチか、みたいな感じでキャラクターも少しずつ変わっていって、色々な発見があるのですが、最後に私がジャン・バルジャンを迎えに行くシーンで、大人になった生田さんのコゼットが「パパ!」と寄り添っていて、その時「こんなに美しく、こんなに聡明に育ててくれてありがとう!」と、バルジャンとコゼットの姿を見て強く思いますね。そこは今回また新たな発見だったかなと思います。

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生田 自分の役に関してだと、今までのイメージだとコゼットは大人しかったり、人形のようなイメージがあったのですが、今回はそうではない、と演出の方に指導を受けて、その中に熱い心があるし、今まで閉じ込められていた分、もっと知りたいという好奇心が沸いていたりなど、現代の女の子にも通じる部分を持って演じられたらいいなと、稽古中も今も思いながらやっています。
福井 今回で3度目になるんですが、特に2幕からのバルジャンの心の持ち方に発見があったと言いますか、より心に役を落とし込んで深めて感じることができたんです。自分のことじゃなく相手を思う気持ちを優先して行く、そういったバルジャンの心もちですとか、そういうものが自分の人生経験に重ね合わせながら、前よりも理解でるようになりました。それがあって、最後にコゼットの為に自分が突き動かされる心の動きが、今回は特に流れてきたなという印象があります。

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吉原 今知念ちゃんが言ったんですけど、毎回演出が変わって、前回こうだったけれども今回はこうしてみようということに、俳優陣が最初は結構混乱するんです。けれども、この混乱の中から自分たちで掴んでいくみたいなことが多いので、そういう意味で皆、毎回新鮮に気づくことがいっぱいあるんじゃないかなと思います。時代と共にまた変わっていくし、次にまた再演があるとするならば、また時代に合わせて変わっていく。良い意味で、現代に添った人格や性質を持って行くんではないかな?と思うと、毎回、毎回が初演のような感覚になっていく作品になるのではないかと感じました。
 私は1997年から『レ・ミゼラブル』に携わっていまして、10周年、20周年、30周年と来た訳ですが、テナルディエとの関係が、どっちが頭が良くて、どっちが懐を全部握っているのか?というのが毎回変わってきているんです。今回はテナルディエ、前回は私、みたいな感じで関係が変わってきますと、全部の悪だくみがテナルディエ発信なのか、マダム発信なのかが変わってきて、両方発信ということもありました。で、今回はテナルディエ発信ということになりまして、私はついていっているという感じです。それで色々と手数が増えまして、覚えるだけでも大変なんですよ!結構歳をとってますから(笑)本当に大変で!私、20年間やらせて頂いて、毎回オーディションに受かっているのですが、次の『レ・ミゼラブル』に私がいるか、いないか?と言うのは、これはまたオーディションを受けて頑張りたいと思いますけれども、そういった意味で、どんどん進化しているということは確かに言えると思います。
 
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 今回お稽古を共にしてきた演出家の方が言っていらした言葉ですごく印象的だったのが「音楽の力にもっと寄り添って欲しい」ということで、そう教えられまして、これだけ素晴らしい音楽の力があるドラマに表現者として、そこにプラスの表現をしたいということは常々思っていて、もちろんそれは大事なのですが、音楽が役や時代背景を表してくれているので、もちろん自分の感情を伝えつつも、音楽の力に寄り添えたらなというのが、今回の発見であり、自分の目標です。
──地方公演に楽しみにしていることは?
知念 公美さんからがいいんじゃない?
 えっ?私?まず、帝劇が終わりますとすぐ福岡公演、8月になりますと博多座公演でございまして、ちょうど惜しかったのですが、博多のね。
福井 山笠がね。
 
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 そう!ちょうど山笠が終わったところで、できれば7月に行きたかったなと(笑)思いつつも、博多は美味しいものがたくさんなので、皆さん毎日、連日連夜大変ですから、この7月までの帝劇公演中に痩せよう!ということになっておりまして(笑)、博多座に行くと太っちゃうんですよ!なので今全員ダイエット中です。それから大阪、名古屋。大阪はフェスティバルホールですごく大きな劇場で、しかも大阪は食いだおれの街という、ここも恐ろしいところなので(笑)。
福井 食べることばっかりだね(笑)。
 だって楽しみと言ったらそれでしょう?市内観光とか行きます?USJとか行きます?
福井 行きたいですね!
 じゅあ休演日にね!名古屋にもレゴランドがありますし!本当に楽しみはたくさんありますね!

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──では最後に福井さんからご挨拶をお願いします。
福井 日本初演30周年記念公演『レ・ミゼラブル』1人1人が作品と向き合って、良い仕上がりになっていると思います。たくさんの方にこの作品の感動を届けたいと思っております。是非劇場に足を運んでください。よろしくお願いします。
全員 よろしくお願いします!


〈公演情報〉
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ミュージカル『レ・ミゼラブル』
作◇アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
原作◇ヴィクトル・ユゴー 作詞◇ハーバート・クレッツマー
オリジナル・プロダクション製作◇キャメロン・マッキントッシュ
演出◇ローレンス・コナー/ジェームズ・パウエル
翻訳◇酒井洋子
訳詞◇岩谷時子
出演◇福井晶一 / ヤン・ジュンモ / 吉原光夫、川口竜也 / 岸祐二、昆夏美 / 唯月ふうか / 松原凜子、知念里奈 / 和音美桜 / 二宮愛、生田絵梨花 / 清水彩花 / 小南満佑子、海宝直人 / 内藤大希 / 田村良太、駒田一 / 橋本じゅん /KENTARO 、森公美子 / 鈴木ほのか / 谷口ゆうな、上原理生 / 上山竜治 / 相葉裕樹 他
●5/25〜7/17(プレビュー5/21〜24)◎帝国劇場
●8/1〜26◎博多座(福岡)
●9/2〜15◎フェスティバルホール(大阪)
●9/25〜10/16◎中日劇場(名古屋)
〈お問い合わせ〉帝国劇場 03-3213-7221



【取材・文・撮影/橘涼香】




帝劇ミュージカル『ビューティフル』 




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女優10周年記念のDANCE LIVE『will』に挑む!朝海ひかるインタビュー

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宝塚歌劇団元雪組トップスターで、女優として精力的な活動を続けている朝海ひかるが、06年の宝塚卒業から10年となるメモリアルイヤーを記念して、DANCE LIVE『will』を開催する。
07年、女優として歩き始めた朝海は、ミュージカルからストレートプレイ、そして映像と実に幅広いジャンルで活躍を続けている。その10年の歩みをギュっと凝縮してまとめ、更にダンスに特化して、これまでの「感謝」とこれからも「よろしく」の気持ちを込めた舞台が、今回のDANCE LIVE『will』。あの作品、あのダンス、あの曲、あのメロディを織り交ぜた奇跡の公演は、観客の思い出に直結すること間違いなしとあって、大きな期待が集まっている。
そんなDANCE LIVEを前に、朝海がライブステージへの意気込み、女優としての10年間の歩み、更にその間に多く出演した宝塚OGによる公演を通じて、改めて感じた宝塚への思いなどを語ってくれた。

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10年間の歩みが詰まったDANCE LIVE

──コンセプトを伺っただけでとても素敵な企画だなと感じますが、まず今お話し頂ける範囲で内容について教えてください。
宝塚を退団してから今年で10年経ったということで、退団してから出演させて頂いた作品の中から、曲を集めて構成するショーという形になります。DANCE LIVEと銘打っていますので、全体を通じてダンスが中心の、踊りまくるショーになります。色々なお仕事をさせて頂いている中で、最近やっていないことはなんだろう…と思った時に「ダンス踊ってないな」と感じました。私自身、身体が動くうちはやはり踊る機会を作っていきたいと思っているので、「DANCE LIVEにしよう!」ということになりました。
──宝塚時代からダンスは特に定評のあった朝海さんですから、ファンの方たちも楽しみにしていることでしょうね。
そう思って頂けたら本当に嬉しいです。
──共演者の顔ぶれ、またゲストの方たちも豪華なメンバーですね。
演出の港ゆりかさんが、この方たちなら!というダンサーの方とシンガーの方を選んでくださいました。またゲストの方たちは、思い出のある作品の中でご一緒させて頂いた方ばかりですから、楽しいトークと、その時それぞれの方と一緒に歌った歌などを歌わせて頂きます。
──では日替わりで内容も変わるのですか?
そうですね。ゲストの方たちが替わったら、ガラリと雰囲気が変わるという構成になると思います。
──ということは毎回変化のある楽しいステージになるのですね。でも朝海さんはたくさん覚えることが?
ええ、4パターン覚えないといけないのですけど(笑)、でも今まで歌わせて頂いた曲でもあるので、そのへんはなんとかなるだろう!と思っていて(笑)、頑張ります!
──それぞれの方と「これぞ!」という曲になりそうですね。
このDANCE LIVEを観て頂いたら、10年間私がどんなことをやってきたか、どんな作品に出て来たのかをわかって頂けると思います。そのすべての舞台をご覧になってくださった方にはもちろん、観ていらっしゃらない方にも、「あぁ、こんな作品もあったのね」と楽しんで頂けるステージになると思いますし、その中で、私の10年間を観て頂きたいです。

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発見の連続の中で成長させてもらう日々

──節目のDANCE LIVEを控える中で、宝塚を退団してからの10年間を振り返るといかがですか?
無我夢中で走ってきた10年間でした。宝塚しか知らなかった自分が外の世界に出て、右も左もわからない中で、ひたすらに突っ走ってきた日々でした。
──あくまでも拝見している側からの印象なのですが、朝海さんは比較的すんなりと女優になられて、男役時代の影をあまり感じさせない方のようにお見受けしていました。ご自身としてはその辺りは?
男から女への切り替えというよりも、それまで自分が宝塚の中で「こうであろう」と思っていた舞台上での常識とか舞台人としての在り方が、やはり宝塚と外の舞台とではずいぶん違いましたので、考え方を変えていくことが必要でした。毎公演、「こういう考え方があったのか」とか「こういう表現の仕方があったのか」とか、「こうすれば良いんだ!」という新たな発見の連続で、その1つ1つを受け入れていくことが自分にとって大変だった気がします。
──劇団時代は、スタッフや共演者がよく知っている顔ぶれで、外では毎回新たな方たちとの舞台創りになると思うのですが、そういう面では?
確かに、毎回違う共演者の方たちやスタッフの方たちとの舞台創りは、私は意外と人見知りで、あ、意外ではないですね(笑)、自分から話しかけていくことが得意ではなかったので、最初のうちはその環境に慣れることで精一杯でした。でもお稽古を積んで公演をしていく中で、仲良くなっていって、色々な人から様々なことを教わって楽しく過ごしたり、皆で力を合わせて1つの作品を創って、それが素敵な思い出になっていく。そういう点では、宝塚も外も変わらないということがわかり始めてからは、自分からも積極的に話す努力をすることで、より早く皆さんと仲良くなれて、色々な話が伺えるようになりました。たくさんの方々から、自分が経験してこなかったことを教えて頂いてきた日々でした。
 
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ちゃんとお芝居ができる女優になるために

──朝海さんの場合、この10年間の活動は非常に多岐に渡り、バラエティに富んでいますが、それはご自身でも色々なことをやってみよういう意識が?
そうですね。宝塚を卒業して一女優となった時に、自分の魅力というか武器というものが、自分でもまだわかっていない部分がありましたので、1つのことに固まろうとするのではなく、私にと言って頂いたお仕事は、できる限りやらせて頂こうというスタンスでいました。すると、ありがたいことに色々な分野の方たちからお声をかけて頂けて、本当に様々な方たちと共演することができて、すごく充実した10年だったと思います。
──では、例えば「できるだけミュージカルに出演したい」というような、1つのものに特化するといった気持ちは?
それはなかったですね。ただ、女優としてちゃんとお芝居ができるようになりたい、という思いは持っていましたので、なるべくお芝居の仕事は積極的にやらせて頂いてきました。そういう意味でも、本当に様々な舞台に出演させて頂けていることに感謝しています。
──その中で、何本か井上ひさしさんの舞台にも出演されていますね。
井上先生の作品は昔から大好きで、井上先生の舞台に出られるような女優になりたいとずっと思っていました。ですから『しみじみ日本・乃木大将』(2012年)に出させて頂けた時には、夢が1つ叶った!という気持ちでした。そして夢が叶ったら、次はこまつ座さんの舞台に出たいという夢がまた生まれて、一昨年の『國語元年』でこまつ座さんへの出演が叶って。そうやって1つずつ進んできました。今年の3月〜4月にも、『私はだれでしょう?』という素晴らしい作品に出演させていただきましたが、井上先生が一文字一文字考え抜かれたセリフを話すことの重みと、女優としての幸福感とを同時に味わえた日々でした。
──井上さんの作品は、不穏な時代の時局のことを扱っていても、声高に批判するというのではなくて、笑いにくるんだ中などから静かに訴える深さがありますね。
事実をきちんと伝えた上で、あとは観客の方たち1人1人が物事に接した時に何を思うかに委ねていらっしゃるので、私も毎回拝見する度に、怒りに震えることもあれば、涙を流すこともあるし、何日も悶々と考えることもあります。そういう、自分自身を成長させて頂ける作品ばかりで、それは出演させて頂いた時も同様で、毎回少しずつ人間として勉強させて頂いています。

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ダンス歴で大きかったフォッシーダンスとの出会い

──10年間の活動期間中には、宝塚歌劇が100周年を迎えたこともあって、OGの方々の公演が盛んに行われましたが、そういう公演に臨まれていかがでしたか?
やはり宝塚が私のベースなのだということを、OG公演に出演させて頂く度に思います。それと同時に、どんなに上級生の方でも下級生の方でも、同じ方向を向くことができるという宝塚の素晴らしさを感じました。例え現役時代に一緒の舞台に立ったことがなくても、宝塚の卒業生というだけで呼吸がカッチリと合う、1つ1つの公演が、すべて宝塚の偉大さを改めて知る場でもありました。学年がどんなに離れていてもすぐに打ち解けて仲良くなれますし、私が下級生のときトップスターで雲の上の存在だった方とも、気軽にお話をさせて頂けたりする。それもOG公演の嬉しさです。
──その中でも『CHICAGO』は特に大きな公演となりました。
『CHICAGO』に最初に取り組んだのは、『DANCING CRAZY2』(2012年)という公演で、名場面の抜粋をさせて頂いた時だったのですが、その時点では、まさか全幕通して宝塚OGだけでの上演ができるとは夢にも思っていなかったんです。ただその時、抜粋の名場面だけなのに、ブロードウェイのスタッフの方たちが来てくださって、振付から指導して頂くという全く新しい経験をさせて頂けたことで、宝塚のOG公演というよりも一女優として新しい作品に向かっていくという気持ちがありました。その公演を全幕通して演じられるという機会を頂けたことは、私にとっては宝塚のOG公演という枠組みを超えて、『CHICAGO』という作品に女優として全力で取り組んだという想いでした。
──本当に力のこもった舞台でしたが、フォッシースタイルのダンスとの出会いについては?
洗練された動きを、とにかくオシャレにクールにというもので、1つ1つの動きに決まりがあって、でもその決まりが人間の動きとして存在していなくてはいけない。究極のところに行きついているのがフォッシーダンスで、それに出会えたというのは、私のダンスの歴史の中でもとても大きなものでした。ただ大きく踊ればいいというわけではなく、身体の中から湧き出るエネルギーを使って踊る、そのことを教えてもらったのがフォッシーダンスでした。
──では、今回のDANCE LIVEでも拝見できそうですね?
はい。ダンサーの方の中にも二人『CHICAGO』経験者がいるので、何曲かできたらいいなと思っています。
──では、そんな朝海さんの10年間の経験が詰まったDANCE LIVEについて、改めて意気込みお願いします。
宝塚を退団した時には、ここまで自分がやってこられるとは思っていなかったので、気がついたら10年の月日が流れていたことに、自分自身にも驚きがあります。その中で、様々な方たちとの幸せな出会いがあり、自分の考え方もどんどん更新され、目標もどんどん変わっていきました。その私の日々を、客席から見守って、応援し続けてくださった方たちがいらしたから、ここまで充実した舞台生活が送ってこれたのだと思っています。そんな方々に感謝の気持ちを込めて、この作品を是非楽しんで頂きたいと思っています。精一杯頑張りますので、是非足をお運びください。お待ちしています!

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あさみひかる○1991年宝塚歌劇団に入団。入団当初より透明感ある爽やかな個性とダンスの実力が注目され、02年雪組トップスターに就任。06年『ベルサイユのばら』で主演のオスカル役が好評を博す。同年、宝塚歌劇団を惜しまれつつ退団。女優としてミュージカル、ストレートプレイ、映像など幅広い活躍を続け、日本を代表する演出家の舞台への出演も数多い。近年の主な舞台作品は、ミュージカル『ボンベイドリームス』、『Golden Songs』、『アドルフに告ぐ』、こまつ座第111回公演『國語元年』、ミュージカル『DNA-SHARAKU』、明治座『御宿かわせみ』、ブロードウェイミュージカル『CHICAGO』宝塚歌劇OGバージョン、『幽霊』、『エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』、こまつ座『私はだれでしょう』等。7月には再々演の『ローマの休日』でアン王女役が控えている。


〈公演情報〉 
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朝海ひかる 女優10周年記念ツアー
DANCE LIVE『will』
構成・演出・振付◇港ゆりか
出演◇朝海ひかる/神谷直樹・中島康宏・ 伯鞘麗名・福田えり
ゲスト◇Spi、伊礼彼方、石井一孝、石川禅
●6/7〜6/8◎東京 よみうり大手町ホール
〈料金〉10,000円(全席指定・税込)
●6/11◎ 大阪 ナレッジシアター
〈料金〉10,000円(全席指定・税込)
●6/14◎仙台 イズミティ21 小ホール 
〈料金〉9,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京音協 03-5774-3030(平日11時〜17時)



【取材・文/橘涼香 撮影/山崎伸康】




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