えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

座・ALISA『キセキのうた』

インタビュー

ミュージカル『ゴースト』間もなく開幕! 咲妃みゆ・秋元才加 インタビュー

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世界中を感動の渦に巻き込んだ1990年公開の大ヒット映画「ゴースト/ニューヨークの幻」を基に、映画版に勝るとも劣らない名作舞台として、ブロードウェイ、そして世界での上演を重ねてきたミュージカル『ゴースト』。その日本版が8月5日からシアタークリエで開幕する。(31日まで。大阪・福岡・愛知公演あり)
日本オリジナル演出を担うのは『ミス・サイゴン』をはじめ数々の大作を手掛けて来た名匠ダレン・ヤップ。主演のサム役には日本のミュージカルを牽引する浦井健治。そのほかにもミュージカルファン垂涎の豪華なキャスティングで、生死を越えた変わらない愛の物語が演じられる。

その作品で、主人公サムがゴーストとなってまで、愛し続け守り抜こうとする恋人モリー。この役をダブルキャストで演じるのは、元宝塚雪組トップ娘役で今回が退団後の初ミュージカルとなる咲妃みゆと、AKB48卒業後は映画、テレビ、舞台など、女優としての活躍が目覚ましい秋元才加。共にガールズチームの出身で、持ち味の異なる美女同士。そんな二人が、作品のこと、役柄のこと、また互いへのリスペクトを語り合ってくれた「えんぶ8月号」の記事を、別バージョンの写真とともにご紹介する。

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秋元才加 咲妃みゆ

生死を越えた絆
究極のラブストーリー

──世界中で愛されている名作映画ですが、まず作品に対してはどんな印象を?
咲妃 両親が大好きな映画でしたので、ずっと前に拝見したことはあったのですが、今回改めて映画を観直し、また上演台本を読ませて頂いて、究極の愛を描いている作品だと再認識しました。死後の世界の概念には宗教的なものも感じるのですが、根本には普遍的な魂のつながりの尊さがあるのと、ユニークな登場人物がたくさん登場しますので、重くなり過ぎずに大切なメッセージを受け取れる素晴らしい作品だと思います。
秋元 私も今回のお話を頂いて台本を読み、映画を観直したのですが、お話がシンプルなラブストーリーなだけに、今観ても全く古さを感じさせないんです。サムが亡くなるという悲劇はあるのですが、それを越えた絆を信じられる、温かい気持ちで劇場をあとにできる作品だなと。特に映画でモリー役を演じるデミ・ムーアさんが素晴らしいので、同じ役をさせて頂けるのを光栄に思うのと同時に、どうモリーの成長を作っていこうかと考えるとワクワクします。
──そのモリー役の魅力と、演じる上で大切にしたい点などは?
咲妃 サムとモリーは恋人同士でありつつ、性格がある意味真逆ですよね。モリーは芸術家肌で自分の意志や、伝えたい想いが強く出てくる女性なので、それは台詞の端々や歌の中でちゃんと表したいです。演じるのにはかなりのエネルギーが必要な女性だと容易に推察できますから、私自身が今の時代をどう生きていきたいのか、何を大事に思うのかをきちんと持った上で役に取り組んでいきたいです。
秋元 ご覧になるお客様は、サムももちろんですがモリーにも感情移入されると思うので、幸せの絶頂からどん底に落ち、紆余曲折の果てに新しいステージに向かっていくまでの、彼女の変化を繊細に組み立てていきたいです。基本的にはモリーは強さを持った人だと感じますが、そこに当然脆さもあるので、その揺れ動く部分、女性としての魅力も出せたらと思います。

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自然な空気感で周りを引き込む浦井マジック

──恋人役の浦井健治さんとの共演で、楽しみにしていることは?
咲妃 私は初めて男性の方と密にお芝居をさせて頂くので、まず男の方ならではの力強さ、発せられるパワーをきちんと受けとめてお芝居をしたいと思っています。その上で、素晴らしいキャリアを積んでこられた浦井さんがサム役にどう取り組まれるのか、他のキャストの方々ももちろんですが、それを稽古場で間近に見て、感じて勉強させて頂きたいなと思います。
秋元 浦井さんとはパンフレット撮影の時に初めてご一緒させて頂いたのですが、この『ゴースト』は基本的にどっぷりラブストーリーで、私はどちらかというとそういう直球な部分には照れてしまうタイプなのですが(笑)、浦井さんがその世界にグッと引き込んでくださって! 初対面のはずなのに「この人のこと前から知ってた?」と思わせてくれる、そういう空気を自然に醸し出してくださるので、そこに身を委ねようと思います。でもそういう意味では、私以上にゆうみちゃん(咲妃)ハードルが高いよね? 初めての男性とのお芝居で、チークダンスも踊っちゃう? という役柄だから(笑)。
咲妃 (笑)でも才加さんがおっしゃるように、浦井さんがとてもリラックスした雰囲気を現場に作り出してくださるので、ありがたかったです。何よりミュージカル界を牽引していらっしゃる方なので、精一杯ついていきたいと思います。
秋元 音楽が加わることによって、作品をよりドラマチックに感情を増幅させて伝えられるのは、ミュージカル版ならではの良さなので、その魅力を浦井さんと私たちと、皆さんとで高めていきたいですね。

全てがむき出しになる舞台上で輝いている二人

──お二人共ガールズチーム出身という共通点がありますが、お互いの印象は?
秋元 舞台ってその人の全てがむき出しになる場所だと私は思っていて、その中で輝いてきた方ですから、とても尊敬しています。これまでも宝塚出身の方とたくさん共演させて頂いてきましたが、あれだけの華やかな世界を作る為に、どれだけストイックに芸の道を追求していらっしゃるかが、皆さんから伝わるので。
咲妃 そのお言葉そのまま全部お返ししたいです。国民的アイドルグループの最先端で活躍されてきて、何万、何十万の視線の中を生きていく中で、色々なこと、時には辛いこともあったかもしれないのに、それを微塵も感じさせずにあらゆる方々に元気と愛を届けてこられた。そのモチベーションの高さにはただ感服します。多方面でのご活躍も拝見しているので、その方がどんな視点でこの役や、作品をご覧になって作り上げられるのか、楽しみです。一番近くで拝見できて、ご相談もできると思うので、たくさん刺激を頂ける方に出会えたと感謝しています。
秋元 今回ダブルキャストの良さが一番出る組み合わせをして頂けたなと感じていて、お互いに根本で共有する部分は持ちつつ、ゆうみちゃんの良さ、私の良さをそれぞれ大切にしていけば、全く違う見え方のモリーが生まれると思うので、是非多くの方に、両方のキャスト、2公演を観て頂きたいです。
咲妃 今年はシアタークリエの10周年で、記念すべき年に世界的に愛された映画のミュージカル版が初演される。その舞台に立たせて頂けることを光栄に思いながら、劇場の新たな歴史を刻めるよう頑張りますので、是非シアタークリエにいらしてください。お待ちしています!

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秋元才加 咲妃みゆ

さきひみゆ〇宮崎県出身。10年宝塚歌劇団に入団、月組に配属後、14年雪組トップ娘役に就任。早霧せいなの相手役として多くの傑作舞台を務めた。17年退団後『Concierto del Tango(タンゴのすべて)』コンサート&CDに参加。ソロオーケストラ・コンサート「First Bloom」を成功させた。初の映像作品、連続テレビドラマ『越路吹雪物語』では宝塚の大先輩乙羽信子役を演じた。19年1月『ラブ・ネバー・ダイ』への出演も決定している。

あきもとさやか〇千葉県出身。06年「第二期AKB48追加メンバーオーディション」に合格、同年AKB48劇場チームK初日公演でデビュー。10年より新生チームKのキャプテンに就任。以降選抜メンバーとして多数の楽曲をリリース。13年同グループを卒業。現在は、女優として映像と舞台で幅広く活躍する傍ら、スポーツ番組のMCを務めるなどマルチに活躍。主な出演舞台は『ロックオペラモーツァルト』『国民の映画』『シャーロック・ホームズ2〜ブラッディ・ゲーム〜』『にんじん』。
 
〈公演情報〉
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ミュージカル『ゴースト』
脚本・歌詞◇ブルース・ジョエル・ルービン
音楽・歌詞◇デイヴ・スチュワート&グレン・バラード 
演出◇ダレン・ヤップ
出演◇浦井健治 咲妃みゆ/秋元才加(Wキャスト) 
平間壮一 森公美子/松原凜子 松田岳 栗山絵美 ひのあらた ほか
●8/5〜31◎東京・シアタークリエ 
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777
●9/8〜10◎大阪・サンケイホールブリーゼ、
●9/15・16◎・福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール、
●9/22・23◎愛知・刈谷市総合文化センター アイリス 





【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】




『ドリアン・グレイの肖像』
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日亜外交樹立120周年記念特別企画『Todos del Tango Verano 2018』で華やかに共演! 姿月あさと・水夏希インタビュー

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日本とアルゼンチン国交樹立120年を記念して、ブエノスアイレスから日本に伝来し愛されたタンゴの名曲で綴るコンサート『Todos del Tango Verano 2018』が、8月24日、25日、日本青年館ホールで開催される。
 
ブエノスアイレスで生まれ、欧州に渡り花の都パリで爛熟したタンゴ。そのタンゴが世界の裏側から日本に伝来して100年余り、日本は世界でも屈指のタンゴを愛する国と言われてきた。その日本で昨年、アルゼンチンとの外交樹立120年のプレ企画として、本格的なフルオルケスタの演奏と、歌と、ダンスで、アルゼンチンの著作権協会の後援も受け、タンゴが生まれてから現在までの歴史を振り返るという内容のコンサート『Todos del Tango〜タンゴのすべて』が開催され、大きな反響を呼んだことは記憶に新しい。

その豪華ステージがメモリアルイヤーの本番を迎えた今年、日亜外交樹立120周年記念特別企画『Todos del Tango Verano 2018』として開催される。もちろん今年もアルゼンチンタンゴのフルオルケスタの演奏という豪華で貴重なステージに、宝塚OGを中心に俳優から本場のダンサーまで華やかな顔ぶれが集結。演奏は平田耕治とグランタンゴオルケスタに加えて、アルゼンチンでカリスマ的人気を博し、YouTube再生回数も桁外れのバンドネオン奏者フェデリコ・ペレイロが特別来日して参加するという、まさに「タンゴ二都物語」に相応しいビッグイベントとなる。

そんなステージに、昨年に引き続いて立つのが姿月あさとと水夏希。今年20周年を迎えた宝塚歌劇宙組の初代トップスターの姿月と、雪組のトップスターだった水は、実は若手スター時代に月組で共に過ごし、姿月が本公演で演じた役柄を水が新人公演で演じたという縁もある間柄。宝塚OGを中心としたイベントで同じ舞台に立つ機会こそ多いものの、意外にもこうしてじっくり対談するのは極めて珍しいという2人が、タンゴの魅力や新たなステージへの意気込み、また互いの魅力などを語り合ってくれた。

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ここにしかない貴重で
贅沢なタンゴ尽くしのステージ

──まず前回公演に出演された時の思い出などからお聞きしたいのですが。
姿月 なかなか共演者の方々の場面を拝見する時間がなかったのが残念なくらい、ダンスもふんだんに入った他では観られない贅沢で素敵なコンサートで、ゆっくり客席で観たい!という思いが強くありました。
 皆さんとお会いするのは当日だけでしたからね。
姿月 そうだったね。
 それぞれ1人ずつの稽古で、集まっての舞台稽古もなかったので、出演者全員の前で歌ったのは当日だけだったんです。ですから大御所の歌手の方達も「緊張した〜!」とおっしゃっていたのがすごく印象的でした。
姿月 ダンスはいつから稽古していたの?
 ダンスはもちろんそんなに簡単にはできませんから、何ヶ月も前から稽古しましたが、それも各々でだったので。
──プロならばこそ!というステージだったのですね。そんな中でタンゴの魅力をどう感じましたか?
姿月 バンドネオンが入ることがやっぱり大きくて、耳で聴くイメージが全然違いますし、タンゴってシャンソンとは真逆の色香を感じるジャンルなんだなと感じました。
 私は前回歌わせて頂いた曲がミュージカル『エビータ』の「DON'T CRY FOR ME ARGENTINA」だったので、純粋にタンゴの曲というのはダンスをさせて頂いたパートだったのですが、リズムの揺れ、伸び縮みがとても独特で、テンポも演奏者によっても変わるというのをすごく感じました。それこそ一期一会で毎回変わるのがタンゴの醍醐味でもありますから、フルオルケスタの演奏によって新たな感覚があったのが、とても贅沢だなと思いました。
──水さんはこのステージ以前にも本格的なタンゴのステージに取り組んでいらしっゃいましたが、その時ともまた違う感触が?
 やっぱり緊張感がより大きかったです。3回だけのステージでしたから。
姿月 誰と誰が組んで踊るのかというのは、どうやって決まったの?
 私は以前出演させていただいたタンゴ公演の時にも組ませていただいていたクリスティアン・ロペスさんが振付や監修にも入られていて、また一緒に踊らせていただけたので、すごくありがたかったです。
姿月 やっぱり相性とかもある?
 そうですね。しかも他の人たちはこの公演で初めて組む方と踊ったので大変だったと思いますが、皆すごかったですね。
──本当に床スレスレでの回転技やリフトなど、見ていてもドキドキするようなダンスでした。
姿月 私、タンゴは女性側で踊ったことがないので(笑)、男性側の感覚なんだけど、男性側が一方的にリードするというのも違うよね。お互いの駆け引きというか、力の張り合いみたいなところもあって、それは歌にも通じるんだけど。女性側というのはどう?
 身を委ねていかないといけないんですが、自分でも立っていないといけないんです。そのバランスが難しいですね。「そんなに赤ちゃんみたいにしがみつかないで!」とよく言われます(笑)。
姿月 私たちバレエをやっているから足が外向きに開くじゃない?でもタンゴは真っ直ぐでないと、お互いの足が引っかかってしまうのよね。
 それが本当に難しいんです!
姿月 ただそれだけに上手くいった時は気持ち良いよね。「おぉ!」と思う。
 そうなんです!そういう意味でも、アルゼンチンの本場のダンサーの方と組んだダンスが歌と共に入ってくるという公演は、とても希少なのでゴージャスな公演だったと思います。

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歌い込むほどに歌の真実が
深まるタンゴの名曲

──そんな公演が更にパワーアップして、いよいよ日本とアルゼンチンとの外交樹立120年のメモリアルイヤーに開催される訳ですが、楽しみにしていることや、歌う楽曲を教えていただけますか?
姿月 今年の特色はアルゼンチンで絶大な人気を誇っているバンドネオン奏者のフェデリコ・ペレイロさんが来日してくださることで、まずフェデリコさんと共演できるというのが本当に楽しみです。その中で私は「ラ・クンパルシータ」と「ウノ(ただひとつの)」と「時計」を歌います。

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──今、取り組んでいていかがですか?
姿月 「ウノ」は去年このステージの為に新たに歌詞を書いていただいて、宝塚在団中にも歌った曲だったのですが、歌詞が全く違って、しかもなかなか出来あがらないばかりか、5回くらい変わって(笑)。歌い込むのが大変で良い意味で難しかったのですが、そこまで練って練って考えていただいた歌詞だけあって、音にもきちんと乗っていますし、だんだん自分の持ち歌のようになっていけたらいいなと思っている曲です。「時計」は自分のアルバムの1曲目に入れさせていただいていて、やっぱりこういうバンド編成で歌わせていただけるのが嬉しいです。また「ラ・クンパルシータ」は今の若い方々はあまり聴く機会がない曲かなと思うので。
──イメージとしてはタンゴの一番有名な曲という気がしますが。
姿月 菅原洋一さんがお歌いになっていたのを聴けたのは、私が最後の世代かな?というくらいだと思います。今お歌いになる若い歌手の方がとても少ないのが現状なので、こういう名曲は誰かが何かの機会に歌っていって、残していかなければならないと思うので、心して歌いたいです。「失われし小鳥たち」も大好きですが、これはどなたが歌うのかな?
 私です!
姿月 本当に?私が歌いたいと言ったら「もう決まっています」って言われたの!(笑)。ずいぶん前から歌っている曲なのよ。
 そうなんですか!?じゃあ私が先に選んでしまったのですね!すみません!
姿月 ううん、楽しみ(笑)。「夜のタンゴ」が安奈淳さんで、「ばらのタンゴ」が初風諄さんなんですって。
 「ばらのタンゴ」ってあの『ベルサイユのばら』の「ばらタン」ですか?(前奏を歌う)
姿月 そうそう。歌詞が入るのもまた新鮮。
──宝塚ファンの方々だと、大階段が思い浮かぶ曲ですね。そうしますと水さんは「失われた小鳥たち」と?
 昨年と同じ『エビータ』の「DON'T CRY FOR ME ARGENTINA」を歌います。私はズンコさん(姿月)のように持ち歌になっていると言えるような曲はないのですが、その中でもこの2曲は何回か歌わせていただく機会があったので。シャンソンにも感じることですが、タンゴってその時の自分によって歌が変わっていくんですね。回を重ねる毎に歌の中の真実が深まっていくので、自分でも楽しみにしています。『エビータ』の来日公演も来ているところなので、観劇もしますし、また刺激を受けて取り組みたいです。
──水さんはエバ・ペロンをご自身でも演じていて、ご縁がありますからね。
 そうですね。自分で更にその縁をつなげていきたいと思います。
姿月 アルゼンチンに行ったことはあるのよね?
 遊びに行ったことはあります。
姿月 やっぱり皆が街中で踊っていたりするの?タンゴは誰でも踊れるものなの?
 私が行った時はちょうどフェスティバルをやっていて、会場に踊れるスペースがあって、ものすごく小さいお子さんがおばあちゃんに教わっていたり、そういう光景はごく普通にありましたね。
──それだけ土地に根付いているということですね。そんなタンゴの表現を色々なかたちで経験を積まれている中で、楽しさ、難しさなどは?
姿月 原語は喋れない訳ですから、日本語が原曲に乗った時に、如何に音楽を崩さずに歌うかはやはり苦労する点です。日本語は子音にアクセントがないので丸くなってしまうので、タンゴのとがったリズムを出すのが難しいんです。
 英語ならなんとなくまだ意味もわかるんですけど。
姿月 そうそう、スペイン語だとまるでわからないからね!
 原語だとこの音まで言葉がつながっているけれども、日本語歌詞だとその前の音で言葉が終わっていたりということもあるので、それは原語を見ながら、また聞きながら、歌い込んでいかないといけないですね。
──日本語にすると意味が原語ほど入らないということもあると思うのですが、やはり聴いていてストレートに歌の心が伝わるのは日本語歌詞ですから。
 そうですよね!それはやっぱり大きいと思います。
姿月 今回も皆さん日本語で歌われることになっていますので、訳詞の先生が如何に原曲を活かすかに腐心してくださっているそうですから、それも楽しみですね。

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カラーの違うお互いの魅力に
刺激をうけて

──お2人は宝塚の若手時代に共に月組にいらして、退団後もこうしたステージでの共演経験も豊富ですが、改めてお互いの魅力をどう感じているか教えてください。
姿月 タンゴダンスの舞台や他の舞台も観に行かせていただいているのですが、すごく大人の女性だったかと思うと、時にはものすごく可愛くてびっくりしちゃうほどです。タンゴでは可愛さも大人っぽさも共に生かせると思うし、特にタンゴダンスはずっと続けてきている人なので、今回どんな風に踊るのか、観るのが楽しみです。
 私は新人公演で3作品ズンコさんの役をやらせていただいたのですが、新人公演に出る側から見ると本役の方というのはもう雲の上の方で。退団して初めて共演させていただいた時でさえも「あ!本役の方だ!」と思ったくらいです(笑)。ですから打ち解けてお話しさせていただくまでにはちょっと時間がかかりましたが、『CHICAGO』もありましたし、同じ舞台に数多く出させていただいている中で、今は親しくお話しさせていただけています。
姿月 でも舞台で絡んだことがほとんどないのよね。『CHICAGO』も本当に一瞬だったし。
 そうなんです!一言交わしたかどうかというくらいで(笑)。
姿月 こういう取材のお仕事も2人でというのは全くなかったし、『「エリザベート」ガラコンサート』も2人共トート役で出演日が別々だったし、一緒に唄ったこともなかったから。今回こうして2人で話すというのはすごく珍しい機会よね。
──製作発表会見や、囲み会見などではよくご一緒にいらっしゃるイメージがあるのですが。
姿月 そう、それは必ず一緒!
 (湖月)わたるさんも一緒のことが多いですよね!
姿月 そうそう!(笑)
 そんな私がズンコさんに感じるのは、とにかく耳が繊細だということです。私には絶対に聞こえていない音を聞いていらっしゃるんだろうなと、いつも感じます。サウンドチェックにいらしても「ここをこうしたい」ととても細かくご自分の音創りをされているので、ズンコさんの耳を1日お借りしたい!と。そしてご自分の歌われる歌も、常により深くより高みを目指されていて、如何に歌を大切にしていらっしゃるかがヒシヒシと伝わるので、ズンコさんを見ていると「私頑張れ!」といつも思います。
──刺激になる存在なのですね。
 まさにそうです。
姿月 それは私もそうだよ。
──では是非何かの機会でデュエットなども聴かせていただけたら。
 「ピッチが違うよ〜」と言われるような気がします!(笑)
姿月 そんな(笑)。本当に何かそういう機会があったらいいですね。お互い全然カラーも違うから面白いと思う。
 本当にそうできたら嬉しいです!
──そんな夢も馳せつつ、まずこの大注目の『Todos del Tango Verano 2018』への意気込みと、楽しみにしている方達にメッセージをお願いします。
姿月 色々なコンサートがありますが、本当にここでしか観られないショーのようなコンサートなので、新しいタンゴの世界に、新しい息吹を吹き込むことができたらいいなと思っています。出演者もとても豪華で、中原丈雄さんなど皆様にはテレビドラマの俳優さんとして親しまれている方だと思いますが、シャンソンにもタンゴにもとても造詣が深い方だそうで、今回歌ってくださるのを私も楽しみにしています。初風さん、安奈さん、剣幸さんはじめ宝塚OGの方達もたくさん出演しますので、どうぞ皆様楽しみにしていてください。
 本格的なアルゼンチンタンゴではなかったにしても、宝塚時代にもタンゴがショーに入っていることはよくありましたから、そういう意味でもタンゴとは長い付き合いという印象があります。その中でプロのバンドネオン奏者の方、アルゼンチンのタンゴダンサーの方、そして歌手の方達という贅沢なコンサートなので、私自身も出演できることを本当に楽しみにしています。普段タンゴに触れる機会がない方でも絶対に楽しんでいただけると思うので、1人でも多くの方に観に来ていただいて、タンゴの魅力を知ってもらえたら。タンゴを聴いてくださる方がどんどん増えて、この企画も恒例のものになっていってくれたら良いなとも願っているので、是非会場にいらしてください!

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水夏希・姿月あさと

しづきあさと○大阪市出身。1987年宝塚歌劇団入団、花組、月組を経て、98年、宙組の初代トップスターに就任。00年退団。ソロヴォーカリストとして、また女優として、舞台や映像で活躍中。最近の主な出演作品は、「ブロードウェイミュージカル『シカゴ』〜宝塚歌劇OGバージョン〜」『薔薇とシンフォニー〜New Year Concert〜』、『The Sparkling Voice ー10人の貴公子たちー』、『姿月あさと 30th Anniversary Concert〜秋桜〜』、 「坂東玉三郎 越路吹雪を歌う『愛の讃歌』」、『Todos del Tango』、『Pukul』、『パリ祭』、『岩谷時子メモリアルコンサート』、『SHOW STOPPERS!!』など。

みずなつき○千葉県出身。1993年宝塚歌劇団入団、07年雪組男役トップスターに就任。10年に退団。以後は舞台を中心に活躍中。最近の主な出演作は、ミュージカル『アルジャーノンに花束を』、『パンク・シャンソン』〜エディット・ ピアフの生涯〜、『ラストダンス−ブエノスアイレスで。〜聖女と呼ばれた悪女 エビータの物語』、『Pukul』、『一月物語』、『Flamenco マクベス 〜眠りを殺した男〜』、ミュージカル・コメディ『キス・ミー・ケイト』など。

〈公演情報〉
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日亜外交樹立120周年記念特別企画
『Todos del Tango Verano 2018』 
音楽監督◇平田耕治
ダンス監修◇クリスティアン&ナオ
出演◇初風諄 安奈淳 剣幸
日向薫 姿月あさと 彩輝なお(8/25) 星奈優里 水夏希 舞風りら
中原丈雄 石井一孝
峰丘奈知 成瀬こうき 愛耀子 真波そら 天緒圭花 美翔かずき 鳳真由 貴澄隼人 菜那くらら 水沙るる 苫篠ひとみ 富樫世羅 マキタマシロ Erinne(藤木えり)
森田晋平  
ダンサー◇クリスティアン・ロペス ギジェルモ・ボイド ダニエル・ボウアン エスキエル・ゴメス ほか
演奏◇平田耕治とグランタンゴオルケスタ
ゲスト◇フェデリコ・ペレイロ(バンドネオン)  
●8/24・25◎日本青年館ホール
〈料金〉S席11,000円 A席8,500円 B席7,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京音協 03-5774-3030(平日11:00〜17:00)




【取材・文/橘涼香 撮影/中田智章】



『しあわせの雨傘』
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ジェットコースターエンターテイメントステージ!『The Beginning Final Club Phoenix』 凰稀かなめ、染谷俊之、愛原実花、TETSU インタビュー

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元宝塚宙組トップスターで現在は女優として活躍している凰稀かなめが、宝塚退団直後から開催してきたエンターテイメント・ショー『The Beginning』。単なるコンサートに留まらず、歌い、踊り、演じる、凰稀かなめのあらゆる顔が見られるステージとして喝采を集め、ここから生まれた名物キャラクター「付き人さん」など、クールビューティな美貌を誇る凰稀かなめのコミカルな一面を含めて、様々な話題を振りまいてきた。

そんな『The Beginning』が、9月14日〜15日六本木のEX THEATER ROPPONGIで、『The Beginning Final Club Phoenix〜疲れたあなたにイケメンチャージ〜』のタイトルで開催される。

ここにしかないビックリ箱のようなライブを初回から共に創ってきた凰稀かなめと構成・演出のTETSU、スペシャルキャストの染谷俊之、愛原実花が集い、人気シリーズにひと区切りを打つ理由、またFinalと題されたステージへの意気込みや互いの魅力を語りあってくれた。

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TETSU
、愛原実花、凰稀かなめ、染谷俊之

『The Beginning』シリーズの集大成として

──大人気シリーズが寂しいことに今回で「 Final」ということなのですが。
染谷 えっ!? Finalなんですか?
凰稀 そうなの!
TETSU 最初で最後の出演だね!
染谷 そうなんですね?光栄です!
凰稀 スペシャルキャストをお呼びするのも3年目にして初めてだから。
染谷 ありがとうございます。おじゃまします。
凰稀 どうぞ、どうぞ(笑)。
愛原 私もおじゃまします!
凰稀 久しぶりだよね〜!(染谷に)下級生なの。元々同じ雪組でね。
染谷 あぁ、そうだったんですか!
愛原 かなめさんが大好きだったんです!いつもついて歩いて「うるさい!」って言われるくらいで(笑)。
凰稀 私が組替えになった後、雪組トップ娘役になったから「行け!頑張れ!」って応援していたの。久しぶりの共演で楽しみです。
──凰稀さんが宝塚を退団して初のステージがこの『The Beginning』でしたが、そんなメモリアルステージを今回 Final、ひと区切りにしようと思ったのは?
凰稀 このステージのコンセプトが「楽しい」「格好いい」なこともあって、結構しっかり男役をする場面も盛り込んできたのですが、女優として3年経って様々な役柄も経験させて頂いてきた中で、男性役としてではなく「男役」という存在としての場面がある『The Beginning』は、ひと区切りにしようということになりました。それは別に男役を封印するということではなくて、例えばお芝居の中で男性の役どころや、男役要素のあるもののお話がいただけたとしたら、それはまたフレキシブルに考えていきたいと思っています。それに『The Beginning』は、宝塚を退団してここから新しくはじまるという意味合いのタイトルでもありましたから。『The Beginning』としては今回が Finalですが、また違う形で新しい凰稀かなめを見てもらえるステージを、TETSUさんにはこれからも創っていただきたいなと思っています。

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カリスマホスト登場の『Club Phoenix』
 
──つまり未来志向の集大成のステージということで、あの素敵な男役のイケメンマスターも登場するんですよね?
凰稀 しません!(笑)
──えっ!?でもタイトルが『Club Phoenix』ですよね?
凰稀 惜しい! マスターがいたのは『Bar Phoenix』です(笑)。今回は『Club Phoenix』ですから。
──ということはこの『Club Phoenix』というのは?
TETSU ホストクラブです!染谷君も出ます!(笑)
染谷 僕もですか?前回は『Bar Phoenix』だったんですね?
凰稀 イケメンマスターが1人でやっている店で、そこに悩みを持ったお客さんがきて、芝居から宝塚時代の曲につなげたりしていたの。
染谷 それはファンの人にはたまらないですね!そこが今回はどうなるんですか?
TETSU 今回は『The Beginning』シリーズの集大成なので、歌って、踊って、芝居をして、気がついたら凰稀かなめさんがあなたの隣にいる、というような、客席に行く場面も作ります。初参加の染谷君、愛原さん含めた全員のチームワークで、かなめさんの魅力をオムニバス形式の七変化で見せようと思っています。その中で『Bar Phoenix』は卒業して、『Club Phoenix』「あなたも夜の蝶になってみませんか?」という感じで、カリスマホストの凰稀かなめと、人気ホストの染谷俊之という構図を考えました。男役に通じる夢が詰まった、基本はカッコよく、でも中身は面白く、「こんなホストクラブがあったら行きたい!」というホストクラブを作りたいと思います。もちろんそこには愛原さんにもお客さんとして来ていただいたり、客席も巻き込むような場面にしようと思っています。
凰稀 染谷君とは『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜 で共演しているんだけど、全く絡みがないので(笑)。
染谷 すれ違いもしないんですよね!
凰稀 カーテンコールでやっと隣に立つだけでね(笑)。
染谷 だから、これではガッツリ絡めるようなので、すごく嬉しいです。
凰稀 「『The Beginning』は歌も踊りもあるよ」と言ったら早速身体を動かしてたよね!
染谷 たくさん歌って踊ると聞いたので頑張らないと!(笑)
TETSU ジェットコースターエンターテイメントだからね。ないものはないと思ってください!(笑)

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かなめさんのファンの方と同じ目線で盛り上げたい

──名ダンサーの愛原さんの加入もまた楽しみです。
愛原 いえいえ、私、宝塚でもディナーショーやコンサートというものには1度も出たことがないので。
凰稀 えっ?そうなの?
愛原 そうなんです。在団中もなかったですし、退団後も宝塚OGの方達のコンサートなどにも出演したことがなくて。だから今回『The Beginning』はコンサート、ライブということで、大丈夫かな?という気持ちもあったのですが、かなめさんとやらせていただけるのならば、どうしてもやりたい!と思って。私にとってかなめさんは初恋の人みたいなもので、とにかく大好きなんです。ご一緒させて頂ける感謝の気持を胸に、自分の持っているものを出して、頑張ってステージを盛り立てていきたいです。
──では、宝塚のショー作品以来のショー要素の強いステージということに?
愛原 そうなんです!しかもかなめさんと一緒に踊ったりもできるのかな?と。
TETSU どうしようかな、なるべく近づけない方が良いような気がしてきた(爆笑)。なんだか出番がないところでも、袖からかなめさんを見てるんじゃないかぐらいの勢いだよね!(笑)
凰稀 本当にじっと見てたことがあるの!(笑)
愛原 全く必要のないシーンなのにかなめさんを見ていたので、「ねぇ、あそこで私を見てない?見なくていいから!」って言われました(爆笑)。
染谷 あふれる想いが出てたんですね!
TETSU でも一緒にものを創っていくのに、「はじめまして」の人同士よりも、愛情がある人同士の方が良いから、そこは嬉しいことでもあるね。
愛原 ただ男役としてのかなめさんの集大成でもありつつ、新しいかなめさんをお見せするステージと今、お聞きしたので、あんまり「男役さんのかなめさん素敵!」と娘役モードになり過ぎないようにしたいと思います。でもかなめさんのファンの方々とは同じ目線でいられると思うので、ファンの方と一緒に楽しめるものにしたいです。

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それぞれが自分の殻を破る挑戦のステージ

染谷 盛りだくさんなステージになりそうで、すごく楽しみです!
凰稀 とてもやり甲斐があると思うよ。必ず新しいことが学べるステージだから。私自身も毎回、毎回、新たなことにチャレンジしているし、ダンサーで出てくれる子たちが歌ったりもするし。
TETSU 「ちょっと芝居にも入って」と言って、この『The Beginning』で初めて芝居をしたダンサーの子が、ゲームの舞台化作品に出演したりもしているからね。
凰稀 そう、プロのダンサーだったのに、芝居の仕事もやるようになったり、宝塚を退団してはじめてのステージだから『The Beginning』だったんだけど、そこには「初めての挑戦」という意味もあるから。
染谷 新たなことに挑戦できるんですね!
TETSU 得意分野に限らないでポジティブになんでも挑戦して創ってきたステージなので、今回が3回目でホップ、ステップ、ジャンプでフィナーレを飾って、またかなめさんが違うステージにいけるようにしたいと思います。それと同時に染谷君、愛原さんのファンの方々にも、「今まで見たことがない染谷君だ、愛原さんだ」というものをお見せしたいので、色々なことにチャレンジしていただきたいと思っています。かなめさんの集中力がすごいので、稽古のスピードも速いし、意外と短時間にバンバン!と創っていくので、がっちりついてきてください! もうこちらはかなめさんを先頭に、ダンサー陣皆でウェルカムだから!
凰稀 本当に良い子たちばっかりなので、すぐに馴染めると思うし、スペシャルキャストとは言っても、2人共ゲストではなくて、この『The Beginning』を創るメンバーだからね!
愛原 メンバーの一員と言っていただけるのはすごく嬉しいです。
TETSU お2人には全編に渡ってガッチリ出演してもらいますよ!

0046

人間離れしたような美しさが共通する凰稀・染谷

──お互いの印象や魅力についても伺いたいのですが。
TETSU 僕は染谷君とは『銀河鉄道999』の楽屋にお邪魔した時が「はじめまして」だったんですが、もっとスッとした感じでくるかと思ったの。「どうも、染谷です」みたいな(笑)。
染谷 そんな全然斜に構えているようなタイプじゃないです!(笑)
TETSU そうなんだよね!「よろしくお願いします!!」って来たから好感度アップだなって。
染谷 下町育ちなんですよ。
TETSU でも演じている時のイメージってノーブルだから、そのギャップが良いなって思って。振り幅があるのが楽しみですよね。愛原さんはスタイル抜群で、舞台映えする方ですし、レギュラーメンバーの中ではかなめさん以外では女性1人、「紅一点」ですから、そこはステージングで威力を発揮してもらいたいなと。
凰稀 「紅一点」って私は?(笑)
TETSU だから「かなめさん以外」って!!(笑)。でも僕が初めてかなめさんとお会いしたのが、宝塚の退団公演の時だったから、モデルさん以上にモデルさんみたいだと思ったし、バリバリの男役が男性の僕から見てもすごくカッコよい!って思ってて。そこから女優さんのお仕事を重ねてきた中で、女性としての魅力もたくさん見えてきましたから、僕は今回逆にホスト役に期待していますね。今の彼女がホスト役を演じたらどうなるか?『The Beginning Final』の大きな見どころとして考えています。
染谷 僕が初めてかなめさんにお会いしたのは『銀河鉄道999』の顔合わせの時だったのですが、とにかくオーラがすごくて、覇王の気みたいなものを感じて、同じ人間とは思えないような素敵な方だなと思いました。しかも稽古を重ねていくにつれて、この人は本当に人間なのかな?と思えてきて。だからちょっとした段差につまずいたかなめさんを見たりすると「あぁ、人間なんだ」ってホッとしたりして(笑)、大好きになりました。『銀河鉄道999』では一番稽古日数が少なかったのに、完璧に仕上げていらして、やっぱり本物のプロだと実感させられました。
愛原 でもかなめさんも染谷さんも、人間離れしたような美しさが共通しているというか、人間じゃない訳じゃないんだけど、でも近寄り難いような、美しさと言うかなんと言うか似ていると言うか…
凰稀 何が言いたいの?(爆笑)
愛原 ええと、だからお2人の美しさが似てるなって。
染谷 そんな!光栄です!
凰稀 染谷君、目が大きいよね〜。
染谷 かなめさんだって大きいじゃないですか!
凰稀 そう言われれば系統は似てるかも。
染谷 本当ですか?
愛原 そう! なんだかフィギュアっぽい…あ、フィギュアは失礼ですか?
凰稀 大丈夫(笑)。
愛原 人間離れした美しさのお2人だなというのが、私の印象です。かなめさん愛については、語りだすと長くなるので、また別の機会に(笑)。
──では「凰稀かなめの魅力を語る」という回をまた設けましょう。
TETSU 本当にずっと語ってそうだよね(笑)。
愛原 とにかく集中力がすごい方で、宝塚時代はついていくのに必死でしたし、他にもかなめさんを好きな娘役さんがたくさんいて、当時は私はすごく下級生だったので、あまり「好きです」とか言えなかったのですが、今回はライバルがいないので(笑)。
凰稀 いや、ライバルはいるから。お客様がたくさん(笑)。
愛原 はい、そうですね! でも舞台では、役としてですが、ちゃんと「好きです」って言えるのが嬉しいです。
TETSU 長くなりますから別の機会にと言いながら、ずっと言ってる(笑)。
凰稀 みなこ(愛原)の印象は、まず丸顔だなってことだったんだけど(笑)、芝居のすごく上手な子だなとはずっと思っていて、バウホール公演の『凍てついた明日〜ボニー&クライドへの邂逅』で初めて相手役として共演して、思っていた通りの深い芝居をするなと。可愛い下級生でした。染谷君はコツコツ頑張る人です。『銀河鉄道999』では私は本当に短期間しかお稽古場にいなかったのですが、その中でも黙々とやっている姿が印象的でした。
染谷 そんな風に見てくださっていたんですか?ありがとうございます!
凰稀 場面が終わって帰ってくるとひたすら台本を読み込んでいるのを見ていたので、きっとすごく真面目なんだろうなと思っていたので、今回の目標として是非ひとつ殻を破って欲しいですし、全然違う染谷君をお客様に観て頂けたらいいなと思っています。

0079

 あの人気キャラクターも登場して賑やかな Finalに

──クリエーターとしてのTETSUさんの魅力はどうですか?
凰稀 天才です。天才という一言だけで表してはいけないのかもと思うほど、引き出しが多い方で。何かひとつ言ったことに対して10以上のアイディアが返ってくる。永遠の少年、ピーターパンのような方ですね。
TETSU どうも、ピーターパンです(爆笑)。いや、この空気をどう変えようかなと(笑)。
染谷 いいじゃないですか!(笑)
──ステージがますます楽しみになりました。では、終わりでありはじまりという位置づけでもある『The Beginning Final』への意気込みをお願いします。
染谷 ホスト役を一緒にさせていただくのはすごくプレッシャーでもありますが、すごく楽しみでもあるので。
凰稀 ホスト役だけじゃなくてまだあるのよ。この子のシーンで(フライヤーの「付き人さん」のイラストを示す)。
TETSU 『The Beginning』から生まれた人気キャラクターで、かなめさんがスターさんの「付き人」を演じるシーンで、今回は染谷君の「付き人」になりますから!
染谷 えっ!?それは畏れ多い!!僕はクイーン・エメラルダスの凰稀さんしか知らないので、ドキドキものですが、楽しみなことばかりなので頑張ります!
愛原 私は宝塚を退団して8年経ちますので、宝塚の娘役のイメージから卒業して久しいですし、どんな役でもやります!
凰稀 なんでもやるよね!
TETSU 根本に愛がありますからね。
愛原 はい、そうなので、何にでも挑戦する意気込みで頑張ります!
凰稀 そういう気持ちがお客様にも伝わると思いますので、私も気合いを入れて『The Beginning Final』に臨みたいと思います。
TETSU シリーズ最後になりますが、染谷さんと愛原さんを含め、楽しいエンターテイメントショーになると思います。更に今回お2人に加えて、日替わりゲストも登場します。こちらは近日中に発表になりますが(※7/11に発表/姿月あさと、白華れみ)ゲストとかなめさん中心のファン必見のコーナーもありますから、そこも是非楽しみにしていてください。EX THEATER ROPPONGIに来て、一緒に騒いで、楽しんで、ちょっと感動して、素敵なかなめさんを観にいらしてください。お待ちしています。

 
0031
おうきかなめ○神奈川県出身。00年に宝塚歌劇団で初舞台。12年『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』ラインハルト・フォン・ローエングラム役で宙組トップスターに就任。数々の作品で活躍、15年『白夜の誓い〜誇り高き王の戦い』『PHOENIX 宝塚!!〜蘇る愛』で退団。16年『1789〜バスティーユの恋人たち』マリー・アントワネット役で女優デビュー。コンサート、テレビドラマ等、活躍の場を広げている。近年の主な舞台作品に『花・虞美人』『1789〜バスティーユの恋人たち』再演、『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜 など。11月『さよならチャーリー』への出演が控えている。
 
0058
そめやとしゆき○神奈川県出身。俳優・声優として多方面で活躍中。近年の舞台作品に『私のホストちゃん』『剣豪将軍義輝〜星を継ぎし者たちへ〜』『グランギニョル』『うたの☆プリンスさまっ♪ マスカレイドミラージュ』『池袋ウエストゲートパーク』『アンフェアな月』『御茶ノ水ロック』『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜など。8月に「奏劇『ライフ・コンチェルト』ある教誨師の物語〜死刑執行までのカウントダウン」に出演する。声優では『学園ベビーシッターズ』山羊朋也役、『HUGっと!プリキュア』若宮アンリ役などにも出演している。
 
0048
あいはらみか○東京都出身。04年宝塚歌劇団に入団。09年雪組トップ娘役に就任、10年9月『ロジェ/ロック・オン』で退団。以降、女優としてドラマや舞台で活躍中。最近の舞台は『スクルージ〜クリスマス・キャロル〜』『ザ・オダサク』『熱海殺人事件』『グレイト・ギャツビー』『ナイスガイinニューヨーク』『それいゆ』『ラ・カージュ・オフォール』『大きな虹のあとで〜不動四兄弟〜』など。11月『るろうに剣心』への出演が控えている。
 
0073
てつ○日本ジャズダンス協会主催、ジャズダンスコンクールにてグランプリ受賞。1993年よりダンス留学のため渡米し、帰国後は演出・振付・ダンサーとして活躍。近年では浜崎あゆみ、SMAP、関ジャ二∞、ジャニーズWEST、AKB48、チャングンソク、防弾少年団など数多くのアーティストを手がける。スタジアム、アリーナクラスの大規模なライブイベントやコンサートステージ、またテレビや映画、CMの振付と多方面でその手腕を発揮している。ダンスグループ「Bugs Under Groove」のリーダーとしても活躍中。
 
〈公演情報〉
『The Beginning Final Club Phoenix〜疲れたあなたにイケメンチャージ〜』
構成・演出◇TETSU(Bugs Under Groove)
出演◇凰稀かなめ、IYO-P(Bugs Under Groove)、日向野祥、RYOJI、NOSUKE、Kaji
スペシャルキャスト◇染谷俊之、愛原実花、
日替わりゲスト◇姿月あさと(9/14 15時、19時)、白華れみ(9/15 13時、17時)
●9/14〜15◎EX THEATER ROPPONGI
〈料金〉9,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉ラウンド・アバウト 03-6418-7205(平日:11時〜18時)
〈凰稀かなめ公式HP〉https://kaname-ouki.jp/news/833.html
 



【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】





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まもなく開幕!『宝塚BOYS』良知真次・愛華みれ インタビュー


宝塚BOYS2人

終戦直後の9年間だけ存在した「宝塚男子部」。その青春グラフィティを描く舞台、『宝塚BOYS』が8月4日に、東京芸術劇場プレイハウスにて幕を開ける。(19日まで)
2014年に創立100周年を迎えた宝塚歌劇団。「女性だけのレビュー劇団」として、日本のみならず今や世界的にも認知されている宝塚100年の歴史の中に、かつて「男子部」が存在していた事実は、ほとんど語られてこなかった。
1945年、敗戦の混乱が未だ残る日本で、「明日の宝塚スター」を夢見て集まって来た男たちは、9年後の解散の日まで、メインステージである宝塚大劇場に立つことは遂になく、ほぼ幻の存在だったと言える。けれど男たちもまた、宝塚に夢と青春を懸けた、宝塚歌劇を愛する1人に違いなかったのだ。
知られざる宝塚歌劇の歴史を紐解いて喝采を集めた傑作舞台『宝塚BOYS』が、その5回目となる今回の上演は、team SEAとteam SKYという2チーム制で、より多彩にパワフルに展開する。
その舞台に再び挑む良知真次と、紅一点として新たに加わる愛華みれが、作品への想いを語り合ってくれた「えんぶ8月号」インタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介する。

宝塚BOYS良知さん

稽古場の空気を吸って
わかった「BOYS」の気持ち

──『宝塚BOYS』待望の再演ということで、まず、すでにこの作品に出演経験のある良知さんから、作品に感じたことを教えて下さい。
良知 100年以上の歴史を誇る宝塚歌劇団で実際にあったお話で、前回出演した時に僕自身が全てを出しきった為に、ほとんど記憶がないんです。台本を開いてみても全く覚えていなくて。それほど前回のメンバーとその時代を生き抜いたのだと思いますし、僕もそれから時間を経ているので、これは真っさらな気持ちで臨まないといけないんだなと思っています。
愛華 何年前ですか?
良知 4年前です。
愛華 それなら覚えていないのは良いことですよ。そのあとの期間に積み上げた経験が豊かだからこそ記憶がないんだから、今回生まれるものがすごく楽しみ!
──愛華さんは宝塚OGとして「男子部」があったことはご存知でしたか?
愛華 劇団にいた頃に情報としては耳にしていましたが、その情報に対しても斜に構えていた部分が正直あります。「BOYS」なんて要る? と。
良知 あぁ、やっぱり!(笑)
愛華 「男子部」が出来た当時、春日野八千代さん、越路吹雪さん、寿美花代さんたちが「ここは女の園です」とおっしゃっていたという記録も残っていて、「私たちを否定するの?」という気持ちに先輩方がなられていたんじゃないかというのは、私も男役だっただけによくわかるんです。女性として一番キラキラしている年代を、男性の服しか着ずに如何に「男」を極めるか、それに懸けて過ごしていたので。
──でもそれは非常にリアルな、この作品にとって必要な視点ですよね。
良知 まさにそうだと思います。僕は去年、宝塚月組で振付をさせて頂いたのですが、やっぱり男役さんってカッコいいんですよ! あぁ極めるとはこういうことかと思って、目線や仕草等、僕が男役さんから学んで、引き出しに入れさせて頂いたこともたくさんあります。更に、振付で稽古場に初めて入った時に「あぁここなんだ」と思ったんです。「この空気か!」と。それで初めて、燃焼し尽くしたと思っていた『宝塚BOYS』の舞台に対して小さな悔いが出て。この空気を先に知っていたら、もっと違う表現ができたんじゃないかと思ったので、今回のお話を頂けたのが本当に嬉しかったです。
愛華 宝塚の稽古場を知っているというのはとても大きいですよね。
良知 そうなんです。ここから舞台に立ちたい! と思った男子がいることも当然だなと思えましたから。
愛華 そういう「男子部」ができたからこそ、春日野先生はじめ当時の男役さんたちが、男子に負けない! という思いで、髭もつけ、低い声も出し、女性だからこその男役の魅力を極めていったという部分は確かにあると思います。だから宝塚100年の歴史の中の表には出ていないけれども、「男子部」の皆さんの存在が確かにその歴史を作ったスパイスになっていたと思うので、彼らが宝塚に憧れた純粋な気持ち、切なさが感じられる貴重な作品ですね。


宝塚BOYS愛華さん

夢を果たせなかった
沢山の人たちの思いと共に

──そんな作品で、演じる役柄についてはどうですか?
良知 僕は「男子部」の1人として、2回目の舞台に臨むことになりますが、周りが変わると芝居ってすべてが変わっていくと思うし、この作品は誰が主役ということはなくて、全員が主役だと思っていますから、新しい「男子部」から生まれるものを、何よりも大切にしたいですね。2回目だから何かを変えなければ、とは思っていないし、そういう自家発電って(演出の鈴木)裕美さんが一番嫌いなことなんですよ。僕、ある作品で、最終通し稽古の直前の通しが終わった時に「良知、おひとり様でお芝居なさってどうされたの?」って言われたことがありますから!
愛華 自分で考えた芝居を「どうですか?」とお見せしたらそう言われたということ?
良知 やっぱり、「こうきたら、こう返そう」と自分の中で考えていたのを見抜かれたんだと思います。その時、じゃあ、考えなかったらどうなるんだろう? と立ち止まれたので、今回も裕美さんが組み立ててくださるものから、稽古場の中で湧き上がるものを見つけていきたいです。
愛華 私も同じで、君原さんという役は、「BOYS」の寮母として彼らを包みこむと同時に、自分も大劇場に立ちたかったけれど果たせなかったという夢を、彼らに託している人ですよね。だから、「BOYS」の生の感情、思いの深さを、稽古場でたくさん感じていきたい。私も宝塚音楽学校を一緒に受験した友人が不合格で、自分が宝塚にいることは、たくさんの人の夢と共に行くことなんだ、と思っていましたから、そういう感情も大切にしたいですね。特に、初演からずっとこの役を演じていらした初風諄さんの魂を引き継ぐわけですから。初風さんは私にとって、宝塚を退団した後、初めての舞台『チャーリー・ガール』で母親役を演じてくださったご縁もある、最も尊敬する上級生なんです。そんな初風ママが舞台に創り出された役の人生には到底及びませんが、でも私なりに精一杯、良知君たち「BOYS」を見守っていきたい。お稽古場にご飯炊いて行こうか!? と思うくらいで(笑)。だから今日こうして、まず良知君と話せたのは本当に良かった!
良知 僕こそです! 僕『チャーリー・ガール』拝見してるんですよ!
愛華 本当?
良知 はい。だから今日はすごく緊張していたのですが、貴重なお話も伺えて、ご一緒させて頂けることがますます楽しみになりました。
愛華 今20年分の距離が埋まった気がしました(笑)。この舞台は宝塚に夢を懸けた「BOYS」たちの物語で、私もその宝塚の出身者として彼らの夢にはもちろん共感しますし、お客様にもきっと共感して頂けると思いますから、私と一緒に彼らの夢を感じにたくさんの方に観て頂きたいです。
良知 エンタメが当たり前にある今の時代ではなく、夢を見ることが命賭けだった彼らの人生を、2チームそれぞれが一丸となって演じきりますので、是非皆さん劇場にいらして下さい!

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らちしんじ○東京都出身。15歳で芸能活動を開始。舞台、テレビ、映画、アーティスト活動、振付と幅広く活躍中。主な舞台作品はミュージカル『陰陽師』〜平安絵巻〜、ライブ・スペクタクル『NARUTO─ナルト─』〜暁の調べ〜、『ダンスオブヴァンパイア』『シャーロック・ホームズ2』『アルジャーノンに花束を』『ブラックメリーポピンズ』『黒執事』『スリル・ミー』『ロミオ&ジュリエット』『ライムライト』『幕末Rock』など。

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あいかみれ〇鹿児島県出身。85年宝塚歌劇団に入団。99年花組トップスターに就任。数々の舞台で活躍。01年退団後は女優に転身。ミュージカルはもちろん井上ひさし作品等でも大きな存在感を発揮している。主な舞台作品に『頭痛肩こり樋口一葉』『タンブリングFINAL』『あるジーサンに線香を』『女房は幽霊』『アリバイのない天使』『きらめく星座』など。


〈公演情報〉
宝塚BOYS_PR
 
『宝塚BOYS』
原案◇辻 則彦「男たちの宝塚」(神戸新聞総合出版センター刊)より
作◇中島 淳彦
演出◇鈴木 裕美
出演◇
○team SEA(8/4〜11)良知真次 藤岡正明  上山竜治  木内健人 百名ヒロキ 石井一彰 東山義久
○team SKY(8/15〜19)永田崇人 溝口琢矢 塩田康平 富田健太郎 山口大地 川原一馬 中塚皓平
○2team共通 愛華みれ 山西 惇
●8/4〜8/19◎東京芸術劇場 プレイハウス
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京  0570-00-3337 (10:00〜18:00)
※以下 全国公演はteam SKYのみの出演
8/22◎名古屋・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
8/25〜26◎福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール
8/31〜9/2◎大阪・サンケイホールブリーゼ


【構成・文◇橘涼香 撮影◇岩田えり】




公演間近のチケットが半額!
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ペーター・コンヴィチュニー演出、東京二期会オペラ劇場『魔弾の射手』本日開幕! ザミエル役 大和悠河インタビュー

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巨匠ペーター・コンヴィチュニーの演出による最高傑作、ウェーバー作曲のオペラ『魔弾の射手』が、本日、東京文化会館で幕を開けた。(7月18日・19日・21日・22日)
 
この公演はハンブルク州立歌劇場と東京二期会との共同制作で、二期会の歌手たちに混じって、悪魔ザミエル役で元宝塚宙組トップスターで、退団後は女優として活躍中の大和悠河が、オペラデビューを飾ることでも話題を呼んでいる。

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ウェーバー作曲の『魔弾の射手』は1821年に初演、歌とセリフで演じられる「ジングシュピール」(歌芝居)で、ドイツの国民的オペラとして知られている。またドイツ・ロマン派オペラの原点とも言われ、スコアを読んだベートーヴェンはその類い希な独創性に驚嘆し、幼き日のワーグナーはこのオペラを観て、作曲家になる決意をしたと言われている。コンサートでも度々演奏される「序曲」をはじめ、勇壮な「狩人の合唱」、愛らしい合唱曲「花嫁は冠を編んであげましょう」などの名曲、また、アリアも随所に散りばめられ、聞きどころが満載だ。
 
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演出を手がけるペーター・コンヴィチュニーは、ベルリンでオペラ演出を学び、1980年以降ドイツを中心とする著名劇場で数多くのオペラを演出、90年代から斬新かつ挑発的な演出で、世界のオペラファンを常に驚愕させてきた。二期会では『皇帝ティトの慈悲』『エフゲニー・オネーギン』『サロメ』『マクベス』を手がけ、今回は5年ぶりの登場となる。
今回の『魔弾の射手』の演出は、1999年にハンブルク州立歌劇場で上演、どんなオペラも過去の物語としてではなく、常に現代社会とリンクさせ、さまざまな仕掛けや舞台美術で聴衆の内面を刺激する演出が冴え渡り、“鬼才コンヴィチュニー”の名をヨーロッパ中に響き渡らせた。今回の上演ではセリフ部分はすべて日本語で上演、大和悠河が悪魔ザミエル役を演じるにあたり、新たな解釈で役割りと登場シーンを膨らませ、より一層刺激的で現代性のあるオペラ『魔弾の射手』を立ち上げた。

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《ものがたり》
17世紀のボヘミア。
若い狩人のマックスは、明日開かれる射撃大会で優勝すれば、森林保護官の娘アガーテとの結婚が許され、保護官の後任に就くことができるが、調子が悪い。そこで、仲間のカスパールにそそのかされ、“百発百中の魔弾”を手に入れるため狼谷へ向かう。カスパールは悪魔ザミエルと取引をしており、マックスの魂と引き換えに、自身の命を延ばし、マックスは7発の魔弾を手に入れる。この魔弾は、6発までは自分の意のままになるが、最後の7発目だけは悪魔の望むところに命中するという。
大会当日。マックスは魔弾のおかげで好成績を収めるが、領主が命じて鳩を狙った最後の1発が愛するアガーテに向かって飛んでいく。しかしアガーテは、隠者にもらっていた白バラの花冠に守られて、その弾はカスパールを射抜いた。
マックスは全てを告白し、領主は彼を追放しようとするが、隠者のとりなしによって、1年の執行猶予の後にマックスとアガーテの結婚が許される。

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この作品の初日を前に2日間にわたりプレス用ゲネラルプローベ(総稽古)が行われ、2日目のゲネプロ終演後に、大和悠河への共同インタビューが行われた。

【大和悠河 
インタビュー】

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悪魔ザミエル役のさまざまな扮装の中でも最も衝撃的とも言えるバスタオルに黒いソフト帽、アタッシュケースという格好で記者たちの前に登場。初日を前にした心境とコンヴィチュニー演出について語った。

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──いよいよ明日、初日ですね。
今日はありがとうございます。今回初めてオペラデビューということで、私はもうオペラ大好きで、海外に行ってはオペラを観劇して、いつかオペラの舞台に立てたらこんな嬉しいことはないと。でも本当に夢のまた夢と思っていたのですが、今回、まさかこんな機会を与えて頂けて、二期会さんの舞台に立たせていただけて本当に嬉しく思っています。今、この東京文化会館に入って、ご一緒している東京二期会の歌手の皆様が、稽古場の時もそれは素晴らしい声と技を聴かせて頂いていたのですが、より生き生きと息づいていらっしゃって、また劇場の響きもやはり素晴らしくて、本当に良い仕上がりになっていると思います。私の悪魔ザミエルで役は、原作の『魔弾の射手』の中では2回しか出てきませんし、演出によっては声だけという場合もあるのですが、今回のコンヴィチュニーさんは、悪魔の匂いのするところにはすべて悪魔が出ているという演出をされていて、14回くらい出番があります。色々な場面に悪魔が登場して、実はこれは悪魔的要素で動いているんだよと、そういう演出をされています。そして出る度に違う格好をして、悪魔だけど変身をして人間界に入り込んでいる、そういう登場をさせていただいてます。コンヴィチュニーさんは、現代の今観るお客様に訴えかけるものを、作品から深く読み込んで、音楽から読み取って演出されるので、稽古場でも毎日が吸収の日々でした。ですから早く初日が開いて、お客様に早く観ていただきたいとワクワクしています。
──14回登場ということはその度に衣裳も?
そうです。引っ込みましたらすぐ着替えるという感じですが、早替えは宝塚出身なのでお手のものというか(笑)。ただ今回、悪魔ザミエルはコンヴィチュニーさんの演出でも、これまでは全部男性が演じていらしたのですが、今回初めての試みで女性でやりたいと。しかも男かなと思ったら次の場面は女性で、次は中性かな?というような得体の知れない生き物という、言ってしまえば両性具有という感じの存在になっていて、以前のコンヴィチュニーさんの演出ともまた違う悪魔ザミエルになっていると思います。

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──髪型もベリーショートからロングまで色々あるそうですね?
昨日のゲネプロのあとにコンヴィチュニーさんから、全部の場面のカツラを変えてほしいという要望がありまして(笑)、急いで自分の手持ちのカツラや床山さんのものや、色々ある中で急遽決めていったのですが、また初日にはどうなるかという(笑)。コンヴィチュニーさんという方は初日が開くぎりぎりまで、発想が浮かぶとどんどん変えて行かれる方なので、そこは私もびっくりしつつ楽しんでいて、新たな一面を引き出していただいてます。私はとくに男性の衣裳を着るシーンも多いので、そこは今まで宝塚で培ってきたもので、また女優になってから培ったものもありますので、それをこのオペラという芸術の中で、華開かせることができるんじゃないかなと。今まで積み上げてきたものが1つになるような感覚があります。
──オペラ出演の夢が叶った今、改めて感じることは?
まずこの東京文化会館の舞台に立った瞬間、本当に嬉しくて、宝塚大劇場も広い劇場なのですが、立った感覚はそれ以上に広くて声が響くんです。この幸せな感覚とともに、お客様に呑まれないようにと。それは宝塚で培った心構えというか、それがふつふつと蘇ってきました。それにオケピットも広くて、オーケストラの方がチューニングをしているだけで嬉しくて(笑)。歌手の方の声がすごく響いて幸せだなと。そしてオペラ作品という骨格のしっかりした作品に出られることを、本当に幸せに思っています。

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──3幕初めに「狩人の合唱」を台詞で、しかもソロで語りますね。あそこはまさにザミエルの見せ場になっていますし、凄みがあります。
あそこは本来は合唱場面で、とても有名な誰でも知っている曲なのですが、実は歌詞がとても残酷というか、狩りをしている男性の気持ちとか闘争心とか、すごく残虐な意味もあったりするんです。それをコンヴィチュニーさんが、「みんなは知らないで口ずさんでいるけど、こんなに残虐なことを言っているんだ」ということで、ザミエルに語らせているんですね。ハンブルグでの初演ではブーイングが出たというくらい衝撃的な演出になっていますが、コンヴィチュニーさんからは、それくらい大切な場面なのだと言われていますので、私も肝に銘じて演じています。しかも女性である私が男性の格好をして男性のそういう面を語っているというのは、ちょっと皮肉で面白い場面になっていると思います。
──バスタオル1つで出る気持ちはいかがですか。
最初そう聞いたとき「え、バスタオル1つですか」と(笑)。どういう意図があるのだろうとコンヴィチュニーさんに聞きましたら、「ここは悪魔が、避暑地にいるオナシスを訪ねていくビジネスマンのように、ちょっと暑いからバスタオルで仕事しに行くんだ」と(笑)。マックスに握手を求めるシーンなんですが、そういう発想が湧いたらしいです。でも実際にこの姿で舞台に立つと「なんて気持ちいいんだろう」と思いました(笑)。

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──コンヴィチュニーさんからゲネを観て感想はありましたか?
はじめはコンヴィチュニーさんは、私の存在を掴みきれないところがあったようで(笑)、でもこの舞台に来てから掴んだらしく、私に色々なことをさせたくなったようで、今日もカツラについて変わったように、色々なアイデアをどんどん出して下さっています。とても有り難いです。 
──最後に皆様へアピールを。
この『魔弾の射手』というのは単なるドイツのメルヘンチックなお話で終わらずに、ウェーバー作曲の素晴らしい音楽に乗せて、現代の私たちにも訴えかけるものがあります。ぜひ観に来ていただいて、ハートをズキュンと射貫かれていただいて(笑)、帰りには素敵な音楽を口ずさんで帰っていただければと思っています。

【フォトレビュー 18日、21日出演者バージョン】 

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※お断り:すべての舞台写真はゲネプロでの扮装・髪型です。
 
〈公演情報〉
freischutz2018

東京二期会オペラ劇場 ハンブルク州立歌劇場との共同制作 
『魔弾の射手』 
【オペラ全3幕】日本語および英語字幕付き原語(ドイツ語)歌唱、日本語台詞上演
台本◇ヨハン・フリードリヒ・キント
作曲◇カール・マリア・フォン・ウェーバー
指揮◇アレホ・ペレス
演出◇ ペーター・コンヴィチュニー  
舞台美術◇ガブリエーレ・ケルブル
照明◇ ハンス・トェルステデ
演出補◇ペトラ・ミュラー  
合唱指揮◇増田宏昭
管弦楽◇読売日本交響楽団
●7/18、19、21、22◎東京文化会館 大ホール
【7/18、21 出演組】
オットカール侯爵:大沼徹/クーノー:米谷毅彦/アガーテ:嘉目真木子/
エンヒェン:冨平安希子/カスパール:清水宏樹/マックス:片寄純也/隠者:金子宏/
キリアン:石崎秀和/ザミエル:大和悠河
【7/19、22 出演組】
オットカール侯爵:藪内俊弥/クーノー:伊藤純/アガーテ:北村さおり/
エンヒェン:熊田アルベルト彩乃/カスパール:加藤宏隆/マックス:小貫岩夫/
隠者:小鉄和広/キリアン:杉浦隆大/ザミエル:大和悠河

〈お問い合わせ〉チケットスペース 03-3234-9999
二期会チケットセンター 03-3796-1831(平日10:00〜18:00/土曜10:00〜15:00/日・祝休業)
http://www.nikikai.net/lineup/freischutz2018/index.html




【取材・文/榊原和子 舞台撮影/友澤綾乃】 
 



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