宝塚ジャーナル

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稽古場レポート

凰稀かなめのライブステージ『The Beginning2』稽古場レポート

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9月16日〜17日に東京EX THEATER ROPPONGIで、9月29日〜30日には大阪森ノ宮ピロティホールで開催される凰稀かなめのライブステージ『The Beginning2』の稽古が順調に進んでいる。その一コマを報告する。

この日は、フラメンコに通じると思えるスパニッシュなダンスシーンの振付が進んでいた。構成・演出・振付を担うTETSUがリーダーを務めるダンスグループ「Bugs Under Groove」のメンバーであるIYO-Pをはじめ男性ダンサーたちが、次々と振りを揃えていく。半拍の動きにまでこだわりを見せるTETSUの指示から、見事に統一されていく動きの中に個々の表現があってダイナミックだ。

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そこから、センターを務める凰稀かなめの振付に。本番では階段の上からの登場となるようで、階段を降りるタイミング、拍数の取り方などが入念に打ち合わせされていく。TETSUの動きに合わせて次々と振りを身につけていく凰稀。その凰稀が動きやすいように意見を取り入れながら柔軟に振りを変化させていくTETSU。信頼感が感じられる2人のやりとりには、時に笑顔も弾けて、真剣さと共に明るさがある。

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音楽が決まったところで、手拍子がはじまり、振りに続けてどちらの方向が良いかも検討される。その時、凰稀の振付を見つめていた他の出演者たちからも、同じリズムを刻む手拍子が自然と加わってきて、全員で創り上げるこの『The Beginning2』の在り方の一端が垣間見えた気がした。

続いて、今度は白華れみと宮菜穂子の女性メンバーの振付へ。曲の途中で上手下手から登場する2人の動きは、ジャンプを多用した華やかなもの。お互いに位置や振りを確認し合いながらの作業を繰り返し、何度となく話し合う2人の表情は実に真摯だ。

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それら、1つ1つのパーツの振付を進めていたTETSUが、全体の確認に入る。凰稀、男性陣、女性陣、個々に進められていた振りが重なった時の迫力には、大きな感動があって、ここにセット、照明、衣装が加わる本番のステージの熱量はいかばかりかと期待が高まった。そこに続く音楽が軽快でアップテンポなもので、ほんの触りをTETSUが踊ると凰稀からは思わず「楽しそう!」という声が。きっと更にショーアップされた総踊りが展開されるのだろう。華やかに盛り上がるステージが予見された。

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何よりも印象的だったのは、この時間にはわずかな出番しかなかった「THE CONVOY」の石坂勇、トクナガクニハルを含めた稽古場の雰囲気がとても熱く、わずかな待ち時間にも振りを確認する全員の姿勢が意欲的なこと。そこかしこで笑顔がこぼれ、一方でストイック。メリハリの効いた時間の中から生まれる『The Beginning2』が、前回よりも更に高みを目指していることが、確かに感じられる熱量の高い時間だった。



〈公演情報〉
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凰稀かなめ『The Beginning 2』 
構成・演出◇TETSU(Bugs Under Groove)
出演◇凰稀かなめ
石坂勇(THE CONVOY)、トクナガクニハル(THE CONVOY)、IYO-P(Bugs Under Groove)、白華れみ、宮菜穂子
●9/16〜17◎EX THEATER ROPPONGI(東京)
●9/29〜30◎森ノ宮ピロティホール(大阪)
〈料金〉10,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京音響 03-5774-3030(平日11時〜17時)
http://t-onkyo.co.jp/?s=凰稀




【取材・文・撮影/橘涼香】




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白熱した場面が展開! 「地球ゴージャス」『The Love Bugs』公開稽古レポート

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岸谷五郎と寺脇康文による演劇ユニット「地球ゴージャス」が、結成から21年目を迎える2016年の年頭を飾って、最新作『The Love Bugs』を赤坂ACTシアターで上演する(2016年1月9日〜2月24日まで。のち、愛知、福岡、大阪でも上演)。

今回取り上げられるのは、「 Bugs」=昆虫の世界。タイトルである『The Love Bugs』は「胸キュンする」「愛らしい」などを指すスラングでもあり、人間が住む世界のすぐ近くにありながら、誰も知らない昆虫ワールドで、小さな住人たちが繰り広げる「命」と「愛」の物語が、ファンタジックに、かつダイナミックに展開される。

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そんな舞台の稽古が佳境を迎え、12月21日都内の稽古場で公開稽古が行われた。まず、昆虫たちに扮する城田優、蘭寿とむ、大原櫻子、平間壮一、マルシア、そして岸谷五郎・寺脇康文によるフォトセッションがあり、続いて岸谷五郎・寺脇康文から、一同を代表しての挨拶があった。

寺脇康文 本日はありがとうございます。普段は我々役者一同は稽古場で稽古して、舞台で稽古して、そして本番仕込みをして、衣装を着て、照明が当たって、お客様に観て頂くという流れが必要なのですが、今日はこうして稽古を関係者以外の方々にも見て頂けるということで、良いチャンスを頂いたと思って役者一同張り切っております。ですから是非皆さんもお仕事ではありましょうが、どこかお客さんになったつもりで観て頂いて、楽しそうだなと思われたらお客様にも観て頂けるように記事を書いて頂けたらなと思っております。短い時間ではございますが、今日は楽しんで帰って頂ければと思います。よろしくお願いします。

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岸谷五郎
 本当にわざわざありがとうございます。稽古場までこんなにたくさんの皆さんに来て頂けて感謝しています。寺脇康文と「地球ゴージャス」を結成して21年目になります。そして『The Love Bugs』が14作品目になります。今回も当然新作で、再演はありません。今回やりきってこの作品はもう一生やらないつもりですが、2016年にあるべき作品として皆様にお目にかけられますよう、今スタッフ・キャスト一同厳しい稽古を積んでおります。エンターテイメントの世界では演劇というものはまだまだ力の小さいものです。皆様のお力を借りてこの『The Love Bugs』が幸せな作品になれるよう、よろしくお願い致します。今日はいくつかのナンバーを見て頂きますが、今回34名という本当に素晴らしいキャストが集まってくれました。皆強者揃いです。その辺も是非1人1人を楽しんで頂けたらなぁと思います。私だけちょっと稽古不足なもので今回は出ていませんが、本番は出ますので(笑)。本日はよろしくお願いします。

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一同から明るい声で「よろしくお願いします!」という声が飛び交う中、公開稽古はスタート。まず大原櫻子を中心とした、オープニングナンバー「THE TOP OF THE BEST!」が披露される。共演者の城田優と並んでいると、身長差もあり愛らしい少女のようだった大原が打って変わった迫力の歌声を披露。小柄な体躯までが大きく見える存在感で、『The Love Bugs』の昆虫ならではの世界が一気に展開されてゆく。

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続いて、マルシアを中心とするナンバー「Birthplace The Earth」へ。城田優、蘭寿とむ、大原櫻子、平間壮一らもからみ、この『The Love Bugs』の世界にだけ登場する固有の昆虫役だというマルシアが、想像力を広げた個性的な仕草と、パワフルな歌声で場面を作り上げ、これまで何度もショーストップの歌声を披露してきたマルシアならではの力量が噴出する。

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そこから、場面は蘭寿とむを中心とした「其々のオーディション」1部〜「ENJOY MY LIFE」へ。蘭寿のナンバーは舞台でも立て続けにあるということだが、時に妖しく時にコケティッシュにくるくると変わる蘭寿の表情と、何よりもしなやかなダンスから目が離せない。宝塚時代にもダンサーとしてならした人だが、男役とはまた違った魅力を放つ全身の表現が美しく、本番への期待をかきたてる。

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そうしてすっかり稽古場の空気がヒートアップする中登場したのが城田優。「伝説の雄」と名付けられたナンバーに臨む城田は、その名の通り伝説の人を思わせる、圧倒的な存在感。あたりを払うようなスターオーラと歌だけでなく、大勢を従えて踊るダイナミックなダンスも披露して、まさに圧巻のパフォーマンスだった。舞台での喝采が早くも聞こえる思いがする。

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最後に寺脇康文がアクションシーンを披露。鍛えられた身体能力の高さを短い場面でふんだんに伝えていて、これら各々の中心シーンがどうつながり、どう流れていくのかに期待せずにはいられなかった。場面を待つ出演者個々の明るい表情も印象的で、ここに岸谷五朗が加わり、どんな新しい世界が広がるのか、『The Love Bugs』の開幕がますます待たれる時間となった。

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〈公演情報〉
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地球ゴージャスプロデュース公演Vol.14
『The Love Bugs』
作・演出◇岸谷五郎 
出演◇城田優、蘭寿とむ、大原櫻子、平間壮一、マルシア
岸谷五朗・寺脇康文 他
●2016年1/9〜2/24◎赤坂ACTシアター
〈料金〉S席12,000円、A席9,500円、B席8,500円(全席指定・税込)
〈問い合わせ〉チケットスペース 03-3234-9999(月〜土10時〜12時、13時〜18時)
●2016年3/1〜3/3日◎愛知県芸術劇場 大ホール 
●2016年3/11〜3/13◎福岡サンパレス 
●2016年3/19〜3/29◎(大阪)フェスティバルホール 


【取材・文・撮影/橘涼香】


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現代に蘇る寺山修司の『人魚姫』今日から開幕! 藤田俊太郎・悠未ひろ インタビュー


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寺山修司生誕80年を記念して、大人と子供のためのメルヘン作品、美女音楽劇『人魚姫』が、本日、9月18日、東京芸術劇場シアターウエストで開幕する(
27日まで。10月17日〜18日兵庫県立文化センター 阪急中ホールで上演)。

『人魚姫』は1967年に寺山修司と宇野亞喜良が作った人形劇団のために書かれた、切ない愛の物語。今回の上演では、13歳の時に米国アポロ・シアターアマチュアナイト(キッズ部門)で優勝を果たした抜群の歌唱力を持つ青野紗穂が初舞台で人魚姫を、元宝塚歌劇団男役スターの悠未ひろが船長=王子役を演じることにはじまり、ほぼ女性ばかりの出演者と人形で幻想的な舞台が展開される。演出は2015年2月に読売演劇大賞の杉村春子賞・優秀演出家賞を受賞した気鋭の若手藤田俊太郎。また同じ年の読売演劇大賞で選考委員特別賞を受賞した宇野亞喜良が、役者が操る人形と役者の衣装などを手がける。華麗でファンタジックで妖しさも帯びた美術、衣裳も含め、さまざまに期待が集まる舞台だ。

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9月はじめの稽古場では、ダンスシーンの白熱した稽古が展開中だった。悠未ひろを中心に、芝居からそのまま続くという形ではなく、むしろきっぱりとしたアクセントとして挿入されるミュージカルシーンだけに、効果をあげる為に、出演者1人1人の顔の角度、笑顔にまで強い意識が求められる。繰り返すにつれ、場面がみるみる締まってくるのが伝わってくる。

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稽古場にところ狭しと飾られた美術の数々も、東洋的なものと西洋的なものがミックスされた上に、一目で宇野ワールドとわかる独特の美しさとオーラを放っていて、それらに囲まれた空間にいるだけで、舞台が創り上げる世界に誘われる思いがする。演出の藤田、美術の宇野が熱心に見つめる場面の先に広がる、本番の舞台への期待がいやがうえにも高まる時間だった。
 
IMG_0209宇野亞喜良と藤田俊太郎

そんな稽古場で、演出を手掛ける藤田俊太郎、男役の幻想性をまとって王子様を演じる悠未ひろに、それぞれ作品への思い、また意気込みなどを語ってもらった。

【藤田俊太郎インタビュー】

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──この作品を演出しようと思われたきっかけは?
今回は僕から発信した企画ではなく、プロデューサーから「寺山修司さんの作品を演出しませんか?」と依頼されたところからのスタートでした。でも、元々寺山さんが大好きでしたし、また美術の宇野(亞喜良)さんも、僕にとっては藝大時代からスターでいらした方ですから、寺山さんの台本で宇野さんが美術をされるカンパニーに関われるということで二つ返事でした。寸分の迷いもなかったです。
──寺山作品の面白さをどう感じていますか?
様々な観点があると思いますし、寺山さんには色々な種類の作品があります。60年代後半から「天井桟敷」を率いてアバンギャルドな演劇をしている寺山さんというのが、最も一般的なイメージだと思うのですが、この『人魚姫』は違っていて、「天井桟敷」結成前に、人形の為に書かれた芝居です。俳優ではなく人形が演じる為の本なので、アバンギャルドな面もありながらも、まるで短歌のような、寺山さんの抒情的な面が凝縮されているんです。寺山さんが少女の視点で書かれた詩集などもたくさんありますが、この台本にも少女の視点で描かれた抒情性が詰まっているので、それをどう演出していくかがポイントですし、作品の最大の魅力だと思っています。
──先ほど「スター」という表現をされた宇野さんの魅力は?
その手から創られるものすべてが素晴らしいです。絵画も立体的な人形も、すべてが宇野さんにしか描けない世界で、僕はもう昔からただ圧倒されるばかりでした。60年代、70年代を経て今なお、時代に関わらず輝き続けておられて、たくさんの方達が宇野さんの美術、その独特のビジュアルに魅せられているというのは、本当に大きな魅力があるのだと思います。
──そういう方と実際に、現場で共に仕事をされていかがですか?
宇野さんともこの間お話したのですが、何がこんなにも胸震わせるものを残すのかな?と思った時に、おそらく僕は宇野さんの美術を通して自分自身の中に、少年性ではなく少女性を発見するんですね。良い意味でのある種の違和感と驚きを宇野さんの美術から感じる。インスパイアされるものに、少年の目線ではなく抒情的な少女性に気づかせるものが、誰しもの中にあるのではないかと思っています。不思議な言い方として残しますが「自分の少女時代」に出会うんです。
──それはある意味でかなり劇的ですね。
そうですね。自分がかつて感じていたかも知れない目線だったり、感覚に気づくことですから。

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──そうした発見の中で、『人魚姫』の演出プランについては?
上演に向かって稽古をしている今の段階での演出プランを端的に言いますと、元々が、アンデルセンの童話である「人魚姫」、「リトル・マーメード」を底本に寺山さんの言葉で67年に書かれた人形の為の芝居です。ですから、まず人形劇をどう演出するのかを考えると、普通では表現できないキャラクターが出てくるんですね。クジラとか、そして人魚とか。物語はどなたもご存知のアンデルセンの童話ですから、単純な話なんです。人魚の女の子、人魚姫が人間の船長、王子に対して憧れを抱いて、初恋を胸に海の世界を飛び出て地上の世界に行くのですが、その初恋に破れて海の世界に帰ろうとした時には海はない。故郷は喪失してしまっている訳です。
これにどうやって色々な観点を持ち込んで上演するか?しかも人形劇ではなく、となると、普通にやったのではできない。そこで台本を読み込み、宇野さんとも話し合っていった結果、少しずつ見つかった観点が寺山さんの抒情性だったんです。短歌の中に凝縮されている寺山さんの抒情性がこの台本の中にはある。では、どうやってこの海を読み解こうか?と思った時に、寺山さんが青森にいた時に見ていた東京の風景、憧れがここにはあるんですね。実際に寺山さんが東京に出てこられてから書かれた「天井桟敷」のアバンギャルド性ももちろん内包してはいるんだけれども、一方で性的な台詞は1行もないんです。で、僕自身は秋田出身、東北の出身なんです。だからこそ寺山さんの田舎の少女の視点で書かれたような抒情性に惹かれるし、そこに僕が憧れていた宇野さんの美術がある。となると、この物語の人魚姫と王子様を読み解く上で、答えとしてバッと見つかったのが東北の海でした。東北の海の中で生きる少女。
今、東北の海岸の風景というのは一変しています。僕もボランティアで行きましたが、先日、この芝居に入る前にも自分の故郷には寄らずに、太平洋側をずっと旅してきました。やはりボランティアで見た時のように海岸沿いの風景は一変していました。でも、東北の方々は今、その2011年を語り継ごうとしておられて、語り部の方達がたくさんいらっしゃいます。ですから寺山さんの1967年の作品を今、2015年に上演しようとした時に、何が違うかと言えば当然ですが、2011年があった、ということなんです。これは歴然とした事実としてそこにある訳です。
じゃあ僕は東北人としてどうしようか。今、一変している東北の海岸沿いの風景は、もしかしたら東北の海の中で鮮やかな祝祭として生きていて、その祝祭の世界にいた青野(沙穂)さんの人魚姫が、悠未(ひろ)さんの王子様がいる、宇野さんの美術のある海の上の世界に憧れていった。そして自分が1番大事な声すらも失っても構わないという強い思いで行ったけれども、その初恋は実らずに海の世界に帰ろうとしたらその海はない。そう読み解くと全部つながるんです。少女が、悠未さんという男役がきちんとできて明晰な台詞術をもった素晴らしい存在感を持った王子と、宇野さんの美術と、黒色すみれさんが演奏する音楽に出会うという構造を作れば、この作品が演出できると思った、それが大枠です。それらがひとつひとつ具現化していったのがこの風景です(稽古場を示す)。
──舞台への期待がますます大きく膨らみますが、改めて見どころを。
まず寺山さんの言葉。その力に恐れおののきながら、毎日稽古をしています。日々発見の連続です。そして宇野さんの素晴らしい美術。更に笠松泰洋さんの音楽の構成が、寺山さんの言葉を通して、オペラのようでもあり、ミュージカルのようでもある色々な要素を、音楽の中に読み解かれています。出演者も皆素晴らしくて、悠未さんの歌は圧倒的ですし、人魚姫を演じる青野さんの17歳の溌剌とした歌声、その2人の主役と僕は考えているのですが、2人を軸に、出演、そして演奏の黒色すみれさんの奏でる音楽も良いですし、全員が本当に素晴らしいので、僕はこの出会いの中に、新しい観点を持ち込み、新しい表現ができないか?と思って演出をしています。人形もたくさん出てきますし、元々人形劇として書かれた寺山さんの作品が、どのようにしたら今の時代に新しく生まれ変われるか。僕自身も挑戦です。是非観にいらしてください。

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ふじたしゅんたろう○秋田県出身。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科在学中の04年、ニナガワ・スタジオに参加。当初俳優として活動し、05年以降15年初頭まで蜷川幸雄作品に演出助手として関わってきた。11年『喜劇一幕・虹艶聖夜』で作・演出を手がける。12年、彩の国さいたま芸術劇場さいたまネクスト・シアター『ザ・ファクトリー2(話してくれ、雨のように……)』を演出。14年1月〜2月新国立劇場小劇場で上演の『The Beautiful Game』を演出、その成果で15年2月第22回読売演劇大賞の杉村春子賞・優秀演出家賞をダブル受賞。絵本ロックバンド「虹艶Bunny」としてライヴ活動も展開中。


【悠未ひろインタビュー】

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──寺山修司作品にはこれまでどういう印象を持っていましたか?
私はこれまで宝塚ひと筋で、舞台が好きというよりもとにかく宝塚が好きという人間でしたから、お恥ずかしい話ですが、ほとんど存じあげていませんでした。ただ、住んでいるところが下町なので、歴史ある古書店で寺山修司さんの作品がコーナーになって並べられていたりするのを見て、改めてこんなにすごい方の作品に私が出させて頂いて大丈夫かな?と思ってしまっているところです。なので、事の重さが皆さんよりはわかっていないところがあったのではないかと思います。
──ではかえって自然体で作品に飛び込める面がありますね。
過度にプレッシャーを感じずに、この作品の中で私にできることはなんだろう?と探しながら、演出の藤田さんと、このキャストのメンバーと作る新しいものを、と思っています。
──戯曲を読んでの感想はいかがでしたか?
台詞がまるで詩のようで、とても文学的で、私のこれまでの感情の襞の中では手が届いていなかった部分の、心をくすぐられるものを感じました。藤田さんは、寺山さんがいなかったら自分はこの世界に身を置いていなかった。寺山さんがいたからこそいまの自分がある、といつもおっしゃっていて、台詞の抒情性の素晴らしさについてたくさんお話してくださるので、更に深く感じ取れてきていて、音楽的なものや崇高さも感じます。
──そんな作品の中で、悠未さんの王子様が観せて頂けるということなのですが。
今回も男役でのオファーを頂きまして。もちろん宝塚を退団して以降、男役だったらなんでもやります、というスタンスでいる訳ではないのです。でも、『人魚姫』という、自分自身が幼い頃から知っている物語の王子様役、寺山さんの戯曲の中では「船長」という役柄になりますが、皆が憧れて恋する「王子様」に扮することができることに魅力を感じました。特に私は宝塚時代も悪役や、色の濃い役柄が多かったので、白いイメージの役はさせて頂いた経験が少ないですし、更に外部で、宝塚の男役としてではなく、今の自分にできる新たな男役スタイルを、藤田さんに引き出してもらえるのではないかと。稽古でも、私が宝塚で培った男役としての経験から提案したものを、藤田さんが「あ、いいですね」と言ってくださることもあれば、「せっかく僕が演出するので、ここは大劇場スタイルではない形でやってみましょうか」と、おっしゃられることもあって、お互いにアイディアを出し合ってすり合わせているので、今、とても楽しいです。
──宇野亞喜良さんの装置や衣装についてはいかがですか?
これまで触れたことのない、まるで美術品の中で、こうしてお稽古させて頂いているので、もうここにいるだけで不思議な世界に迷い込んだような気持ちがします。

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──確かに周りを見回しただけで幻想的な空間ですね。
普通のミュージカルや、芝居の稽古場とはまったく違いますよね。
──宇野さんの作品についてはどんな印象を?
お名前はやはり失礼ながら存じあげないまま、絵本や雑誌などで目にしていて、作品にはよく親しんでいました。改めて伺ったら「かの有名な」というようなすごい方でいらして。でも作品だったら「私、子供の頃から知っている!」という気持ちがありましたので、懐かしさと同時に、嬉しさを感じます。作品の中には斬新なものもあるのですが、夢々しく美しくメルヘンの世界そのものの作品も多くて、とても惹かれますね。
──その独特の世界観の中で王子様を演じられますが、悠未さん自身も王子様に憧れた経験は?
あります、あります!(笑)幼い頃読んだ絵本から「いつか私にも白馬に乗った王子様が現れる」と憧れて、大人になっても心のどこかでは待っているところがありますね。
──そんな少女の憧れを今回具現化するにあたっては?
今回はキャストのほとんどが女性なので、男性のお客様にも沢山いらして頂きたいですが、まず女性の目から見て素敵!と思える男性像を作りたいです。それは宝塚の時から意識して作っていたものでもありますし、ときめいて頂けるような、本当の男性にはない柔らかさや、繊細さが醸し出せればいいなと思っています。それが私が退団しても男役を演じる時に目指しているところでもあります。宝塚は宝塚として世界が確立していますが、そこから抜け出した時に演じる男役が、違和感があっておかしいではなく、形を変えて成立するものとしてやっていけたらといつも思っているので、今回はまた良い挑戦の機会を頂いたなと。まだどうなるのかがハッキリ見えている段階ではないのですが、それは、自分の想像以上のところにゴールがあるからこそだと思いますから、絶対に良いものになると信じて進んでいきたいです。
──では、改めて意気込みを。
アンデルセンの童話、絵本の「人魚姫」とはまた違って、寺山さんと宇野さんと藤田さんが作られる『人魚姫』には色々なメッセージが込められていて、でもそれを押し付けるのではなく、お客様それぞれに感じとって頂けたらと。東北の海が舞台になっていて、日本ものの香りを持ってはじまって、そこに西洋のものがミックスされていく不思議な世界観になっています。私自身がこの世界に入っていることも不思議な雰囲気でしょうし、人魚姫役の青野さんはじめ、「初めまして」の方達との出会いから生まれる融合と化学反応を是非楽しんで頂きたいです。本当に美しい世界になると思いますので、多くの方に観にきて頂けたら嬉しいです。精一杯頑張ります。

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ゆうみひろ○東京都出身。97年、宝塚歌劇団入団。『Le Petit Jardin』(05年)、『逆転裁判3』、ディナーショー『Heroe』(13年)等に主演作の他数々の名舞台を残した。13年『風と共に去りぬ』アシュレ役にて宝塚歌劇団を退団。退団後は、14年に『東京會舘 悠未ひろトークショー』『日経ホール チャリティーコンサート』主演、『MOONSAGA−義経秘伝−第二章』(平教経役)『悠未ひろクリスマスディナーショー』、15年『NARUTO-ナルト-』 (大蛇丸役)、同作品のワールドツアーなどに出演。ホンダCM「Nシリーズ就職篇」で歌唱も披露するなど、活躍の場を広げている。

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〈公演情報〉
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美女音楽劇『人魚姫』 
作◇寺山修司 
演出◇藤田俊太郎  
美術・衣裳・宣伝美術◇宇野亞喜良  
作曲・音楽監督◇笠松泰洋   
振付◇新海絵理子  
出演◇青野紗穂、悠未ひろ
水嶋カンナ、フラワー・メグ、佐藤梟、関根麻帆、有栖川ソワレ、日和佐美香、神谷沙奈美
高畑こと美、大内慶子、小川愛理、肥田ももな、金世那
人形遣い:ルナティコ  
演奏:東グルナラ   
演奏・出演:黒色すみれ
●9/18〜27◎東京芸術劇場シアターウエスト
●10/17、18◎兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール
〈料金〉前売り¥5,000 当日¥5,500(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉
東京公演:Project Nyx 03-6312-7031 http://www.project-nyx.com  
兵庫公演:芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-0255
http://www1.gcenter-hyogo.jp/sysfile/center/top.html


【取材・文/橘涼香 撮影/アラカワヤスコ】


話題作のレビュー、製作発表、稽古場レポート、インタビューなど
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伝説のミュージカル『CHESS』日本初演! 公開稽古&囲みインタビュー

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これまでに2度のコンサート・ヴァージョンで話題となり、日本での初演が待たれていた伝説のミュージカル『CEHSS』が、9月27日から東京芸術劇場プレイハウスで、10月19日から梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される。その稽古が始まったばかりの8月31日、プレス関係者用の公開稽古とメインキャストの囲みインタビューが行われた。

スーパー・ポップグループABBAのベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァースが作曲、『エビータ』『ジーザス・クライスト・スーパースター』のティム・ライスが原案・作詞を手がけたミュージカル『CHESS』。1984 年にリリースされたコンセプトアルバムは大ヒットとなり、マレー・ヘッドが歌う「One Night in Bangkock」は全米3位、また「I know him so well」は全英1位にチャートインし、大ヒットした。1986 年にロンドンで開幕したミュージカル版は(演出:トレヴァー・ナン)は、1989 年までロングランを記録。その後、世界各国で上演されている。
 
クラシック的なものからロック、ポップスなど幅広い楽曲で構成されていることで、コンサートとして取り上げられることも多く、08 年にはロンドンでイディナ・メンゼル(『アナと雪の女王』『ウィキッド』)、アダム・パスカル(『レント』)、そして全世界で2500 万枚以上のアルバム・セールスを誇るジョシュ・グローバン、そして豪華メンバーによるコンサート版が上演され、話題を呼んだ。
 
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【ストーリー】
舞台は米ソの冷戦時代。イタリアのメラーノでチェスの世界一を決める選手権が開催される。時の世界チャンピオンはアメリカ合衆国のフレディ(中川晃教)。傍らには、彼のセコンドを務めるフローレンス(安蘭けい)がいる。対戦相手はソビエト連邦のアナトリー(石井一孝)。チェスの天才フレディはフローレンスの忠告もむなしく、記者会見で対戦相手を罵り、記者達から非難をあびせられる。天才チャンピオンの成功と孤独に苦しむフレディ。一方、アナトリーは共産主義のソビエト連邦という国家を背負ってチェスをプレイすることの重圧に苦しんでいた。
競技場には、彼らの世界を冷徹に支配するアービター(田代万里生)が待つ。精神的に追い詰められたフレディは試合を放棄、それによってアナトリーが不戦勝で新たな世界チャンピオンとなる。葛藤の中で、敵味方であるはずなのに恋に落ちてしまうフローレンスとアナトリー。しかしアナトリーには故郷に残してきた妻と子供がいた。フローレンスは1956年のハンガリー動乱で親を失くした孤独な身の上だ。アナトリーは亡命を決意する。
1年後、再びチェスの世界選手権がタイのバンコクで開催される。世界チャンピオンであるアナトリーは出場者としてフローレンスと共にこの国に来ていた。そしてこの地に、テレビ業界に転身したフレディ、アナトリーの妻スヴェトラーナ(AKANE LIV)も現れる。試合を前にKGB(旧ソ連国家保安委員会)、CIA(米国諜報機関)の思惑も錯綜する。彼らの人生はどのような軌跡を描いていくのか……すべてを賭したゲームが始まる。
 
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日本では2012年にコンサート版である『CHESS in Concert』が日本初演。安蘭けい、石井一孝、浦井健治、中川晃教という豪華キャストに加え、演出・訳詞に荻田浩一、音楽監督に島健という最高の布陣で、上演されるやいなやリピーター続出、再演希望の声が相次いだ。そして翌年には『CHESS in Concert』セカンドヴァージョンが上演されて成功をおさめている。
この音楽の魅力にあふれ、かつ国家、人間の対立や苦悩を描いたドラマが、ついにミュージカルとして立ち上がる。フローレンス役には安蘭けい、フレディ役には中川晃教、アナトリー役には石井一孝、アービター役には田代万里生という強力な布陣に加え、AKANE LIV、戸井勝海、大野幸人ほか実力派の出演者が集まった。 

【稽古風景】

この日は、オープニングからの15分間が公開され、『1956 - Budapest Is Rising』(コーラス)『ストーリー・オブ・チェス』(田代万里生)『Diplomats』(安蘭けい、石井一孝、田代万里生、中川晃教)の3曲が披露された。舞台美術は実際はもっと段差もあって一回り大きく組まれるという。
 
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第二次世界大戦を想像させるさまざまな音声、ヒットラーの演説や昭和天皇の玉音放送…やがて、ソ連の国旗とアメリカの星条旗が行き交い、この舞台の背景となる米ソ冷戦の時代が表現される。

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1956年のハンガリー動乱とブダペストの悲劇が語られる。「1956 - Budapest Is Rising」

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フローレンス(安蘭けい)は動乱の中で親を失った。

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ストーリーテラーであると同時に世界選手権の審判を務めるアービター(田代万里生)、そしてチェスの精(大野幸人)。

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「チェスの試合が始まるぞ」とアービターが歌うナンバー『ストーリー・オブ・チェス』。

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アメリカのチェス・チャンピオンである
フレディ(中川晃教)。彼と対決するソ連側のチャンピォンはアナトリー(石井一孝)、アナトリーのマネージャーでソ連代表団のモロコフ(ひのあらた)。

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アナトリーにはスヴェトラーナ(AKANE LIV)という妻がいるが、フローレンスに惹かれていく。

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フレディのセコンドで恋人の
フローレンスとアメリカのエージェントであるウォルター(戸井勝海)。

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世界はチェスのように駆け引きの世界。『Diplomats』を迫力いっぱいに歌いあげる
 

【囲みインタビュー】

稽古の終了後、囲みインタビューに安蘭けい、石井一孝、田代万里生、中川晃教が登場した。 

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田代万里生、石井一孝、
安蘭けい、中川晃教

──まず役名と役柄を紹介してください。
安蘭 私はフローレンス・ヴァッシーという、ハンガリー動乱で親を亡くした暗い過去を持つ女性で、フローレンスは中川くん扮するアメリカのチェス・チャンピオンのセコンドで、『あしたのジョー』で言えば丹下段平さん的な(笑)役割をする人です。
石井 僕はロシアのチェス・チャンピオンのアナトリー役です。安蘭さん扮するフローレンスを中川くんと取り合ってみごとにゲットするという役です(笑)。
田代 この作品でもっともミステリアスな役のアービターを演じます。アービターというのは名前ではなく審判という意味なので、名前もない役です。ほかの登場人物とは違って、生い立ちとかルーツとか国籍が何者かわからないというアービターですが、シーンによってはストーリーテラーになったり、この方々の審判を務めます。
中川 僕はボビー・フッシャーという実在した天才チェスプレイヤーがモデルになっている、フレデリック・トランパーというアメリカ人チェス選手の役を演じます。実際にモデルになっている人がいることや、冷戦時代が物語の背景にあることで、その時代に生きている人間たちの心の動きみたいなものが、チェスというゲームと重なって見えたとき、より洪水のように物語が客席に押し寄せていくのだろうなと、いま稽古しながら日々実感しています。音楽も素晴らしいので、初めて出会う音楽に心から感動しながら、1日も早く劇場で本番の幕を開けたいなと思ってがんばっています。
──安蘭さん、石井さん、中川さんに伺います。コンサート版とミュージカル版の違い、そして田代さんという新メンバーが加わった稽古場の雰囲気はいかがですか。
安蘭 コンサート版とミュージカル版はまったく違っていて、ストーリーがより分かりやすくなっていますし、それぞれのキャラクターがすごく色濃く出ているなと。やっぱりコンサートでは語り切れなかった部分もあって、ミュージカル版は、荻田さんならではのすごく摩訶不思議な世界観を持ちつつ、それぞれのキャラクターについても、私だったらハンガリー動乱とか過去のバックボーンなどを深く考えたり、お客様に想像していただいたりする場面が増えていて、話的にも深くなっていると思います。そして皆さんご存じのようにとても自由な中川くんと石井さんの(笑)、私が仕切れなかった部分を万里生くんにすべてやっていただいて、審判のように俯瞰しながら時には助けたりと。
石井 助けていただいてます(笑)。
安蘭 この中では一番若いのですが、一番しっかりしているので、頼りにしている感じです。

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石井 やっぱり歌の比重が強い、歌の分量が多い作品なので、ミュージカル版になっても台本の厚さが倍に膨らむとかないだろうし、そんなに変わらないんじゃないかなと思っていたんですが、荻田先生の演出が始まって、動きがついたり感情表現の説明を聞いて、ずいぶん違うという手触りがしています。僕に関しては、AKANE LIVさんのスヴェトラーナという妻がいるのですが、コンサート版では2幕から出てくる役だったのですが、今回は1幕からかなり僕のそばにいます。そのことで、僕がこれから安蘭さん演じるフローレンスに恋心を持って国を発つというところが、ものすごくやりずらいなと(笑)。万里生くんは、皆さんご存じの通りめちゃくちゃ歌がうまいので、すでに歌唱力で稽古を支配しています。この物凄いオーラを持った万里生に刺激をもらって、それがいい方向にいっているんじゃないかと思います。やっぱり日本初演の『CHESS』を最高のものにして、世界中の『CHESS』ファンに「おお!」と言ってもらえるようにしたいですね。
中川 コンサートからミュージカルになって、基本的にはこの作品の一番の要であるABBAが書いた音楽が、すごく私たちの中で熟成されてきているというのを、いま演じながら感じています。一方で、コンサートの時に容易に歌えた歌詞の内容とかフレーズが、やっぱりミュージカルになってストーリーの中でその役として生きることによって、もっと重要な意味を持ってくるし、譜面通り歌うとか美しく歌うとかではなく、自分自身の歌が一瞬一瞬、どんな意志をもって聴こえていくのかというのを感じずにいられなくなる。ですから役として挑んでいくうえで、すごく難しいし、決して簡単ではないということを実感しています。
──田代さんは、以前から『CHESS』の音楽が好きだったそうですが、その魅力は?
田代 大好きで、自分のコンサートではカズさん(石井)の役が歌う「Anthem」を歌わせていただいたりしてました。今回、出演のお話をいただいて全部音楽を聴いたら、ABBAというとダンスナンバーが印象的ですが、これはラップがあったりクラシックがあったりロックがあったりと、色々なジャンルが入り乱れていて、ずっと楽譜を見ながらCDを聴いていたら、だんだん五線譜がチェス盤に見えてくるくらい、入り組んでいるのを感じました。『CHESS』の奥深さと音楽の奥深さがリンクして、その上でこの人間模様、政治とか歴史とか色々なものが重なっている。難しいかもしれないですが、今の時代だからこそやるべき作品なんだなと思いました。
──ミュージカル版への出演が決まった時の気持ちと、このカンパニーの雰囲気は?
田代 これは3年前にコンサート版をすでにやっていたんですよね。稽古初日にプロデューサーの方が3年間熟成させて、ようやく日本初演を迎えることができたとおっしゃっていて、そこに僕が皆さんのお力をお借りして参加させていただいているわけで、このそうそうたる共演の方々や、キャスト、スタッフ、皆さん日本を代表するような方ばかりで、僕のとってオールスターというなかで、日本初演を迎えられるのはわくわくします。カンパニーの雰囲気については。
石井 面白いこと言わなくちゃだめだよ(笑)。
田代 (笑)とりあえず自由ですね。個性がすごいし、『CHESS』に対して熱いなと。皆さん熱くて、待機場所にも歴史の本が並んでいたり、休憩中もチェスを打ったりしてるんです。なかなかチェス盤から離れないくらい熱いです(笑)。

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──皆さん、おすすめのシーンを教えてください。
安蘭 まだ稽古が始まったばかりなのですが、すでに演出がついたところで言うならば、先ほど観ていただいたなかで、最初のハンガリー動乱のあとの「チェスの試合が始まるぞ」とアービターが歌って始まる「ストーリー・オブ・チェス」、あの曲がすごくワクワクして好きです。人の動かし方なども荻田さんならではで、登場人物の自己紹介を兼ねた登場になっていると思うのですが、これからよりキャラクターが立っていけば、すごく面白いシーンになるんだろうなと想像しています。
石井 まだ全部やってないので、未来の想像的に言うと(笑)、「カルテット」というものすごく難しいクラシカルなナンバーがあって、最初これは出来ないんじゃないかと思ったほどですが、さすがに3度目なので、もう手中におさめた感じなんですで、そのシーンをまだやっていない万里生くんが、こんなに歌の上手い万里生が、「僕、出来ないかもしれない」と言ってるので、早くそのシーンであえぐ万里生が見たいですね(笑)。おすすめとは関係ない話になりました(笑)。
田代 本番ではその姿は見せないようにがんばります(笑)。
石井 本番では完璧に手中におさめている万里生くんが見られると思うので、きっとおすすめになると思います(笑)。
中川 僕はちょっと真面目な話になっちゃうんですが、この物語は冷戦時代が下敷きになっていて、それぞれの役は、どうあがいても、どうしようもないものを抱えて生きているんですよね。それは今の時代にも置き換えられて、たとえば仲良くなりそうだった国同士が、次の瞬間、いきなり戦いだすんじゃないかという緊張感が走ったりする。それは私たちのことにも置き換えられるわけです。だから今、この物語をやる意味があるなと。それから、僕はこの物語でフローレンスと最初は恋人同士でありパートナーなんですが、最終的にはアナトリーとフローレンスが物語を担っていくことになる。その末にある美しいナンバーで、「You & I」という曲で、物語の後半の方のクライマックスに出てくるんですが、この曲はすごく感動すると思います。

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田代
 僕は初参加なのでまだ全貌は見えていないのですが、本当にこの『CHESS』みたいなミュージカルってほかに見当たらないんですよね。脚本の内容もそうですし、音楽的にもそうで、何が見どころかというと、ミュージカル『CHESS』そのものが見どころ、としか言えないです。
──初めて観る方は、歴史の勉強をしてから行ったほうがいいですか?
安蘭 勉強されなくてもこの『CHESS』を観ればわかると思います。冷戦時代もそんなに遠い昔の話じゃないし、アッキー(中川)が言ったように、近い国でこの作品のような状況は容易に想像できるので。この『CHESS』を観ることで、今の世界情勢を再確認できると思います。もちろんハンガリー動乱とか、ソビエトとアメリカの1970年から80年代の関係など、少しでもわかっていればより面白いかもしれませんが、勉強する必要はないし、観ていてわかると思います。
石井 導入の荻田さんの演出が、戦争の空気をウワーッと醸し出すようなものになっているから、あそこだけでもかなり時代を感じられるますから。
田代 今回、オーバーチュアから始まらないというところがかなりミソですね。コンサート版とちょっと楽曲が入れ替わっていて、説明にもなりうる楽曲が頭にきて、そのあとにオーバーチュアが来る。ちょっと面白いですよね。

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──モデルもある役ですが、それぞれの役作りのポイントは?
安蘭 私は色々なミュージカルで色々な女性を演じていますけど、今回は本当に難しいです。すごく濃い何かがあるとか個性があるわけでなくて、大女優だったとかそういうことがないんですよ。でも過去に両親を殺されたというような誰よりも深い傷は持っている。でもそれは内面に秘めていて、そういう内面で戦っているのをどう表現するか、そういうところで今すごく苦戦しているんです。それからチェスって私にとっては頭を使うゲームという印象で、ただ楽しく遊んでやるゲームじゃないという気がして、自分の役作りもつい真剣になっちゃって、そこに笑顔はないんじゃないかとか。でも実際は、チェスは日本でしたら公園でおじさんたちが打つ将棋のような、そういう娯楽だったはずで、それを今は競技としてやっているので、シリアスだけでなくてもっと面白いものとか楽しいものだと考えれば、フローレンスの喜怒哀楽ももっと出せるかなと思っています。変に「チェスだから」とかしこまってしまって、角ばったところに自分が入っているような感じがしているので、そこを抜けてもっと表現豊かになればいいなと思います。
石井 僕はこのチェス盤になぞらえた米ソの対立のなかで、アッキーの演じる役はすごく奔放でロックでファンキーな役なので、それと対比するように寡黙で大人でという、僕のもっとも遠いところにあるものなんですが(笑)、そういうアナトリーを考えています。歌うナンバーも「Anthem」をはじめクラシカルな曲という設定もありますし、その対比が出せたら面白いんじゃないかな。内面には燃えたぎるような情熱がそれぞれあるんですが、見た目は違って見えるといいなと思っていますし、白と黒になるようなことをすごくイメージしています。

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中川 実在のボビー・フィッシャーという人の生い立ちみたいなものを勉強しながら、彼の天才といわしめた部分はなんなのかというのを、役作りとして掘り下げていきたいなと思っています。また、この作品のフレディはすごくエキセントリックな人間に描かれているんですが、本当に本人がエキセントリックだったかというと、そうではなくて、エキセントリックを演じている部分と、そう演じてしまう理由があって、そういう心の中にある孤独な部分、彼自身の生い立ちというものが、役作りの中で重要になっていくのかなと。さらに全体を通して言えば、いでたちというか、トウコちゃん(安蘭)演じるフローレンスは、実際に一緒にいるとお姉さん的に思ってしまうところがあって、甘えてしまう。でも実際のこの設定の中では、どうやらフレデリックの方が年上らしいので、立ち方、居方のなかで、男のセクシーな部分を見せられたらいいなと(笑)思っています。意外と思考だけでなく見せ方というところでも役作りが今回は必要なのかなと思っています。
田代 アービターはこの3人や他の登場人物とはまったく違うアプローチで作品に向き合わないといけないと思うんです。最初に荻田さんに言われたのは、アービターは芝居のキャッチボールをするなと。相手に合わさずに常に中立でペースを乱されず、自分が見たい時しか相手の目を見ないという感じでいいと。すごく抽象的な存在でもあるので、各国で『CHESS』が上演される際に、皮パンに上半身裸のマッチョの人がやっていたり、ビジネスマン風だったり、色々なイメージがあると思うんです。今回荻田さんが作ろうとしているアービター、僕がいま少しずつ作っているアービターというのが、きっと世界で今までにないアービターになると思いますので、まだ見ぬこのアービター、そして『CHESS』という作品をはやく完成させたいと思っています。
──最後に意気込みを。
安蘭 コンサートを観てくださった方も、ミュージカルになるというのですごく期待してくださっていると思います。きっとその期待に応えられる素晴らしい作品になると思いますので、ぜひ劇場に足をお運びください。
全員 待ってまーす!

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〈公演情報〉
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ミュージカル『CHESS』
作曲◇ベニー・アンダーソン ビョルン・ウルヴァース
原案・作詞◇ティム・ライス
演出・訳詞◇荻田浩一
音楽監督◇島 健
出演◇安蘭けい、石井一孝、田代万里生、中川晃教(50音順)
AKANE LIV 、戸井勝海/天野朋子、池谷京子、角川裕明、高原紳輔、田村雄一、遠山裕介、ひのあらた、横関咲栄/大野幸人
●9/27〜10/12◎東京芸術劇場 プレイハウス
〈料金〉S席¥12,000  A席¥10,000  B席¥8,000  U-25当日引換券¥5,000(全席指定・税込)
●10/19〜25◎梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
〈料金〉¥12,000  U-25当日引換券¥5,000 (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉(東京)梅田芸術劇場 0570-077-039 (10:00〜18:00)
(大阪)06-6377-3888(10:00〜18:00)
〈公式HP〉http://www.chess-musical.jp/



【取材・文・撮影/榊原和子】


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二組の元宝塚トップコンビが抱負を語る『SUPER GIFT!』取材会&公開稽古レポート

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数々の優れた舞台を生み出し続ける梅田芸術劇場の開場10周年を記念し、宝塚歌劇団の歴史を彩った元トップスター達が集結して繰り広げられるショーステージ『SUPER GIFT!』が、9月12日〜27日東京国際フォーラム ホールC、そして10月3日〜8日大阪梅田芸術劇場メインホールで開催される。

演出に長く宝塚歌劇を支え続けた功労者として、「宝塚歌劇の殿堂」入りを果たしている三木章雄。音楽監督に多くの宝塚作品で名曲を生み出し続けて来た宝塚歌劇団の吉田優子と、宝塚の魅力を詰め込んだこの公演に最も相応しいスタッフが揃い、出演者には元男役トップスターの剣幸、杜けあき、安寿ミラ、姿月あさと、湖月わたる。元娘役トップのこだま愛、森奈みはる、星奈優里、彩乃かなみらが勢ぞろい。また日替わりゲストとして、各時代を彩った錚々たるトップスター達が参加するだけでなく、大阪公演には宝塚歌劇団専科の美穂圭子、華形ひかる、沙央くらまも出演。日替わりコーナーや、企画コーナー、また梅田芸術劇場10thスーパーイベントなど、何度通っても違うものが観られるスペシャルな舞台に、大きな注目が集まっている。

そんな公演のもう一つの話題が、元月組トップコンビ剣幸とこだま愛。元花組トップコンビの安寿ミラと森奈みはるという、名コンビが復活を果たすことだ。それぞれが懐かしい場面を再び披露するというOG公演ならではの夢の共演が実現するとあって、心待ちにしているファンの方々も多いことだろう。

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その期待に応えるように、8月27日都内で二組の元トップコンビを囲んだ取材会と、公開稽古が行われた。剣幸、安寿ミラ、こだま愛、森奈みはるが揃って登場。それぞれの挨拶の後、記者の質問に答えた。

【挨拶】

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剣幸
 梅田芸術劇場10周年の公演で、私にとりましても久々に宝塚の男役らしいものを皆様の前でさせて頂けるということで楽しみに致しております。よろしくお願い致します。

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安寿ミラ
 20年前に森奈(みはる)と二人で、同じ劇場で退団公演をさせて頂きました。20年ぶりにまさかまた二人であの歌を歌うとは思ってもみませんでした。懐かしんでくださる方もたくさんいらっしゃると思います。頑張ります。よろしくお願い致します。

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こだま愛
 やっぱり宝塚での日々があって今の私がここにあると思っております。このような素晴らしい機会に懐かしい場面の再現があったり、今の自分を見て頂けるような場面もたくさんあります。よろしくお願い致します。

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森奈みはる
 今回懐かしい上級生の方達や、下級生の方達、そして安寿さんと20年ぶりにご一緒できることを本当に幸せに思っています。この幸せを噛みしめて失敗しないように頑張りたいと思います。よろしくお願い致します。

【質疑応答】

──今改めて、コンビを組まれていた方と同じ舞台を作られる上で、新しい発見などはありますか?
 新しい発見はありますね。宝塚でコンビを組むについては、宝塚の作品の中でしか自分を表現できませんでしたから、そういうものだと思って自分なりにずっとやって来ました。けれども、外で色々な作品に出させて頂いて、役を捉えるというのはどういうことかと改めて考えてきて、もう一度二人でコンビを組んで、この芝居の中でこの歌を歌うということになった時に、なぜ昔はこういう風に考えてやらなかったのだろう、と思うことが折々にたくさん出て来て。でもそれと同時に今やるととっても恥ずかしいという部分もあるのですが(笑)、でも二人とも退団してからの年月がありますから、その間に自分が積み重ねてきたものをもう一度反映できたらいいなとは思っています。
安寿 退団して色々な役をやっていく中で振り返って、あの時ってどうしてあんなにカチカチになって歌っていたんだろうと(笑)思うことがあって。すごく柔らかくなった分だけ、男役じゃないんですけれど、自然体で演じる男性というか、歌い方も柔らかくなっているのを感じます。
こだま お互いに退団したその日から別々の道を歩いて来て、やっぱり変わっている部分もあるのですが、でもその場面になったら醸し出す雰囲気と空気は変わらなくて、スーッと入っていけるんです。やはり女役というのは男役さんの出された空気に添っていくものなので、少し心配もありましたが、稽古に入った時にこんなに自然に寄り添えるんだな、不思議だなと思っています。
森奈 女優さんとしてのヤンさん(安寿)を見ると劇団時代とは全然違うヤンさんが観られるのですが、でもいざご一緒させて頂いた時は、本当に一瞬で昔に戻れて、隣に立っていられることが幸せで、自然なところがあります。

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──やはり相手役さんと共にいらっしゃると、男役、娘役のスイッチが入りますか?
 私は入れてます。入れないとできないですね。今から昔の男役で、相手はミミ(こだま)の女役。ミミもみはるちゃん(森奈)もたぶん、宝塚の女役と今とは違うんですね。娘役と女優という差は絶対にあるし、女優としてこれまでやってきているわけですから、ミミもみはるちゃんも娘役にならなきゃいけないし、我々も男役にならなきゃいけないと私は思うので、ただ曲を聞いた時にふっと戻るというのはありますが、私は意識して(スイッチを)入れてます。
こだま 両方入れないとダメですよね。恥ずかしいと思っちゃうと。
 そう、お互いにね。(安寿に)そちらは?
安寿 私達入れてないです(爆笑)。スイッチ全然入らないです。無意識に入っているのかも知れないですけど、私、男役という気持ち全くないですね。今の自分。
 そんなことないよ!
こだま 二人で踊っているところ見ているとヤンがすごくリードしていてね。
森奈 人生的にリードしてもらっているのですが。
 あ、そうだ、きっと人生的にだよ。ミミはしっかりしてるもの。
こだま しっかりしてないです!
安寿 いや、そんなにリードしてないです。(森奈が)しっかりしてはいないけど(笑)。

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──公開稽古で三曲披露されますが、それぞれの見どころは?
 懐かしい懐かしい『ME AND MY GIRL』の中から「街灯に寄りかかって」を、歌だけではなくて、久しぶりに幻想的にサリーが出て来て、踊ってまたいなくなるという一連の流れで公開させて頂きます。スイッチ入れます!(笑)。
こだま 『ME AND MY GIRL』は一年間させて頂いた作品で、同じ役にずっと一年間携わっていて、役と自分の距離がどんどん近くなって交差するくらい皆がそれぞれの役を作っていったので、曲をちょっと聞いただけでももうその気分になるところがあります。幻想的に出会うのですが、それがすごくお久しぶりに剣さんと目が合う瞬間の振りがついた時には鳥肌が立ちました。そして手を差し伸べてくれる振りがあるのですが、幸せだなと思いながら踊らせて頂いております。ちょっと重いかな?大丈夫かな?(笑)デュエットダンスなので、華奢なウタコさん(剣)にあまりご負担をおかけしないように、素敵な場面になればと思っています。

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安寿
 『ファンシー・タッチ』というショーから「ベサメ・ムーチョ」と「マンボ」を。私はロンドン公演でもさせて頂いたのですが、やはりみはるとの方が印象に残っていて。また「マンボ」は久々にあんなに激しい曲を踊るのか?とびっくりしましたが、名倉加代子先生の新バージョンで振りがついておりまして、時間的には少し短くなっているのですが、久々に踊ってます。大変です(笑)。でも私たちも『ME AND MY GIRL』にはじめて参加させて頂いてね。
森奈 はい!
安寿 森奈は一曲歌わせて頂いていますし、「ランべス・ウォーク」は皆出て来ているので、もう本当に楽しくて、ロングランされていた素晴らしいミュージカルだということの、一端を感じられて嬉しいです。
森奈 本当に久しぶりに昔の場面を体験できるのと、あと、私は「マンボ」は実際には踊っていなかったので。
安寿 そうだっけ?
森奈 そうなんですよ。でも今回一緒に踊らせて頂いて、踊っているヤンさんがカッコいいなと思って見て、頑張って踊ろうと思って出て行くと足がからまって…
安寿 そんなこと言わなくてもいいから!
森奈 でもさっきまで練習してたので、頑張ります。
──二幕ではファンの方が望むものを思いながら、これまでにない新しい形でということですが、どのような思い、また今の時点で話せる場面がありますか?
安寿 2013年のOG公演の『DREAM, A DREAM.』でウタコさんと初めてご一緒させて頂いたのですが、そこでもウタコさんの同期でおられて、私の一代前の花組トップスターでおられた大浦みずきさんの懐かしい曲をウタコさんが歌われて、私が踊るという場面があのました。今回もナツメさん(大浦)の大切な曲をウタコさんが歌われて、私が踊る場面がありまして、ナツメさんを思いながら踊れたらなと思います。
 二幕はそれぞれが思い出深い曲をやります。皆それぞれに見せどころ、聞かせどころが用意されていますので、すごくバラエティに富んだものになると思います。

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──選曲はご自身でなさったのですか?
 それぞれだと思います。ご自分でこれが歌いたいとおっしゃった方もいらっしゃるでしょうし、私はすべてお任せしました。

和やかな剣とこだま。つい安寿に話しかける森奈に「皆さんに話しなさい」と促す安寿と、それぞれのトップコンビのカラーが巧まずして現れた囲み取材に続いて、舞台さながらに階段が作られた稽古場に場は移り、二組のトップコンビを中心とし三場面が披露された。

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まず『ME AND MY GIRL』から、「街灯によりかかって」。コートを羽織った剣は言葉通りに、一瞬にして男役スイッチがIN。サリーをひたすら思うビルの切ない胸のうちが切々と歌われていく。やがて幻想シーンとなり、サリーに扮したこだま他ダンサーたちが登場。美しいデュエットダンスが展開されていき、懐かしい名作が再び蘇る感動が広がった。

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続いて、ファーストールを肩に流した安寿が、小粋に歌い出す『ファンシー・タッチ』の「ベサメ・ムーチョ」へ。続いて森奈が登場し、二人のどこかセクシーでどこかコケティッシュな掛け合いがムードいっぱいに展開される。

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そして音楽がアップテンポに。階段の上に姿月あさとがあらわれて、迫力ある歌声での「マンボ」がはじまる。安寿&森奈コンビはじめ、何組ものカップルが激しく情熱的に踊り、煌びやかでカラフルな舞台が浮かびあがるような熱い空気に稽古場中が満たされた。

この三曲だけで、宝塚OG公演にしかない思い出と現在の美しい邂逅だけが持つ舞台の熱気と輝かしさが、目の前に立ち上る様はまさに感動的な光景だった。これからはじまる舞台への期待がいやが上にも高まる、充実した時間となった。
 
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〈公演情報〉
201504220029_b
梅田芸術劇場10周年記念
『SUPER GIFT!』〜from Takarazuka Stars〜
構成・演出◇三木章雄
音楽監督◇𠮷田優子(宝塚歌劇団)
出演◇剣幸、杜けあき、安寿ミラ、姿月あさと、湖月わたる、こだま愛、森奈みはる、星奈優里、彩乃かなみ、ほか
(スペシャルゲスト)◇紫苑ゆう、涼風真世、一路真輝、稔幸、愛華みれ、真琴つばさ、和央ようか、水夏希、大和悠河、壮一帆
(大阪公演特別出演・宝塚歌劇団)◇美穂圭子、華形ひかる、沙央くらま
●9/12〜27◎東京国際フォーラム ホールC
●10/3〜8◎梅田芸術劇場メインホール
チケット料金(東京大阪共通)S席12000円、A席8000円、B席5000円(全席指定・税込
〈問い合わせ〉梅田芸術劇場 (東京)0570-077-039 (大阪)06-6377-3800

【取材・文・撮影/橘涼香】


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