宝塚ジャーナル

えんぶ4月号

稽古場レポート

市村正親は8度死ぬ!? 抱腹絶倒のミュージカル『紳士のための愛と殺人の手引き』公開稽古レポートと囲みインタビュー  

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2014年トニー賞の作品賞・脚本賞ほか4冠を達成したミュージカルが、満を持して日本に初上陸する。その名も『紳士のための愛と殺人の手引き』。
舞台はエドワード朝時代のイギリス。伯爵継承順位8番目の男が、継承順位上位の邪魔者たちを次々と殺していく。といっても、殺人手段があまりにバカバカしく、笑いあり涙あり間違いなしのコメディなのだ。
 
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殺されるダイスクイス家の現伯爵と継承権メンバーという8人を演じ分けるのは、日本演劇界の生きる伝説、歌も演技も卓抜な技術と才能で魅せる市村正親。
爵位継承者たちを、あれこれ馬鹿馬鹿しい手段で手にかけていくモンティ役はWキャストで、元・WaTで抜群の歌唱力を誇るウエンツ瑛士と、ミュージカル界の若き旗手として次々に話題作に出演している柿澤勇人。
モンティの恋人シベラを演じるのは、しなやかでキレのある歌と演技を見せるシルビア・グラブ。
殺される継承者ヘンリー・ダイスクイスの妹役で、モンティが恋をしてしまうフィービー役には、テレビ・映画で活躍し、ミュージカルでは美しい歌声を披露する宮澤エマ。
モンティの亡き母の友人であるミス・シングルを演じるのは、宝塚出身で紀伊國屋演劇賞も受賞した演技派女優・春風ひとみ。

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笑わずにはいられないコメディシーンとポップで軽快な音楽と歌が全編を彩る、この舞台の公開稽古と囲みインタビューが3月12日に行われた。
 
 【あらすじ】
優しい母に突然亡くなられてどん底に沈んでいるモンティ(ウエンツ瑛士/柿澤勇人)。そこに亡き母の古い友人であるミス・シングル(春風ひとみ)がとあるニュースを持ってくる。モンティの母は、実は大富豪の貴族「ダイスクイス・ファミリー」の血を引いており、モンティにも爵位継承権があるというのだ。とはいっても8番目の継承者。つまり現伯爵(市村正親)を含め、ダイスクイスのメンバー7人(市村正親)が死ななくては伯爵になれない。
そこでモンティは決意する。「7人+現伯爵=8人」を抹殺して、自分が伯爵に!莫大な財産と城をこの手に!」モンティは、一人、また一人、奇妙キテレツな方法で殺人を重ね、ついに全員を殺害するのだが、8人目の殺人でヘマをして捕まってしまい、投獄されるはめに。最後には恋敵同士のフィービー(宮澤エマ)とシベラ(シルビア・グラブ)が愛しのモンティを救おうと、彼の無実を証明するために奔走するのだが…。
 
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冒頭に演出家の寺秀臣が、「舞台上にモンティが獄中で自分の裁判を待っている最中に回顧録を書いているところから物語がスタートします。舞台上には大きな本があります。そこから様々なシーンが飛び込んできます」と説明。それが終わるやいなや、右手からカンパニーキャストの阿部裕、小原和彦、香取新一、神田恭兵、照井裕隆、安福毅の男性陣が登場。左手からは彩橋みゆ、折井理子、可知寛子、伽藍琳、高谷あゆみ、RiRiKAの女性陣、12人がフィンガー・スナップをしながら登場し、1曲目「観客への警告」を披露する。これが、おどろおどろしくてどこまでもキャッチー。すぐに口ずさめる。「血が飛び出る、殺人が出る、だから心臓の弱い方は帰れ!」というようなことを歌う。もちろん、それは逆説なのだけれど、これがコメディであることを知っていれば、ワクワク感は増していく。統制のとれた歌声と決めポーズがイカしてカッコいい。

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続いて、シベラ演じるシルビア・グラブと、このシーンではモンティ役に柿澤勇人が登場する。モンティがシルビアに、自分がお金持ちになれるチャンスがあるから振り向いてほしいと説得するのだが、「実際にお金がないといや」と振っておいて、「でもあなたが必要なの」と擦り寄りキスをする。

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そんないけずでお茶目なシベラが魔性の女の情感をたっぷり醸し出しているけれど、ドロドロな感じはなく、どこか陽気な2人のやりとりは笑いさえ誘われる。それは彼女の歌う「あなたがいなきゃ」が、アップテンポのワルツだからだろうか。2人の関係が微笑ましくて、次の展開が楽しみでワクワクさせてくれる。

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そして次は、ヘンリー役の市村正親とその妹のフィービーの宮澤エマ、モンティはウエンツ瑛士という3人が見せるヘンリーの殺害シーン。モンティがボートに乗りながらヘンリーに親しげに近づき、養蜂が趣味だと知って、ある殺人手段を思いつく。また、モンティは殺人をしようと近づいたのだが、フィービーに一目惚れをしてしまう。

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フィービーも彼の内面に好意を寄せ「裏を表に」という曲をソプラノで披露する。「人は外見によらない」というしっとりとしたバラードなのだが、和やかなシーンの裏では着々とモンティの計画した殺人が行われているという、まさに人は見た目によらないというテーマを見事に表現する楽曲だ。宮澤エマのソプラノはイノセントな愛そのもの。ウエンツ瑛士は、右手にあるシーソーのような舞台装置を扱いながら朗々と声を合わせる。彼の少し陰謀めいたダーティーなファルセットと宮澤のイノセントなファルセットの掛け合いが聞きどころだ。

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そして、やっぱり市村正親の素晴らしさ。彼らの歌に合わせて、蜂に刺されて大仰に苦悶していくのだが、その仕草が圧倒的に面白い。手と足をめいっぱいに使い鞭のようにしならせながら、右から左にジグザグに走っていく。その姿は、どこかキュートで可愛くて、市村正親のオーラ全開といったところ。最後にはボートの上で、死んだり死ななかったりを繰り返し、ようやく絶命。フィービーが嘆き、モンティがほくそ笑むというシーンで、この公開稽古は幕を閉じた。

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わずか3シーンだけでも、この作品の面白さが伝わり、そして市村正親のエンターティナーとしても凄みに改めて魅了される。えんぶ4月号でも「演じている方は至って真面目に演じて、真面目に殺されていくのが大事だと思う」と語っている通り、ある意味おバカで荒唐無稽な殺人方法でも、殺される側が大真面目にリアルに演じるからこそ、笑いへと繋がる。
コメディの奥深さと面白さを存分に楽しめる作品であり、市村正親をはじめとするこのカンパニーならではの楽しさに期待が高まる公開稽古となった。
 
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【囲みインタビュー】
 
この公開舞台稽古後に囲みインタビューが行われ、市村正親、ウエンツ瑛士、柿澤勇人、シルビア・グラブ、宮澤エマ、春風ひとみが登壇した。
 
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市村正親(ダイスクイス家のメンバー8人役)
今日は蜂に刺されただけですから、これからが正念場ですね。意気込みは(中央にポーズ)はっ!(左手にポーズ)はっ!(右手にポーズ)はっ!(笑)。実はこの出演者の中では、ウエンツとは前々からやってみたいと思っていました。だけど避けていたんです。ということで、彼が主役で、僕は脇を8役で固めることにしました。蜂だけにね(笑)。しかも、今日は原宿で買った靴がウエンツくんと被っててね。もう仲良し!(笑)。モンティとフィービーのラブソングは、邪魔しちゃいけないと思っているけれど、演出家から言われたし、台本に書いてあるので、台本に忠実な俳優としてはやらないとね。一番高いキーのところが出番だなとわかって真面目に出ていくから面白いんだ。これから8人殺されていくので、肉体的には重労働だなという気がしています。ただ、なるべく面白くしつつも、力が抜けた面白さが出たらいいな。怪我なく千秋楽までたどり着きたい。カッキー(柿澤勇人)とは『スウィニー・トッド』(2013年)で一緒だったけれど、ほとんど全員とは初めて。ただ、カンパニーは歌のテクニシャンが多いので、とても面白い作品をお見せできるなと思います。ぜひ、皆さんで笑いに来てください。
 
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ウエンツ瑛士(モンティ役/Wキャスト)
市村さんとのシーンは先ほどが初めてでした。今回は公開稽古ですから、コメディでもカメラもあるし笑えないから、急に緊張感がでてきました。まさに本番の空気を味わいました。市村さんとの舞台は初めてです。バラエティーやテレビではご一緒させてもらえますけれど、舞台こそが勉強になると思っていますので、いい刺激をもらっています。市村さんは8役をされますが、それぞれの役の下地の経験値があることが伝わってくるので、また新しい傑作キャラクターが生まれのかなと楽しみです。シベラとのキスシーンはあんなに濃厚だとは思わなくて、柿澤くんを見ながら「えーっ」と思わず叫んじゃいました。ついでにエマちゃんとキスシーンをしたいと演出の寺さんに提案したのですが、エマちゃんにマジで断られちゃいました(笑)。
 
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柿澤勇人(モンティ役/Wキャスト)
僕たちのキスシーン、そんな濃厚だった? 今回の稽古で初めてのキスシーンだったので、いわばファーストキスですね。もちろん最高でした。ちゃんと歯ブラシもしてエチケットもしましたからね(笑)。
 
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シルビア・グラブ(シベラ役)
市村さんの稽古を見ると笑わずにはいられない。出てくるだけで笑っちゃうんですよ。同じ舞台に出るシーンがあったら笑わないように気をつけないと。
 
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宮澤エマ(フィービー役)
歌稽古は何週間もやっていたのですが、全員忙しい方ばかりでお会いする機会が少なかったから、今日は本番以上に緊張しました。なので、お稽古の段階でもスリリングで新鮮でした。市村さんはエネルギー量がすごいです。私たちのシーンで必死に歌っているところで、出てくる市村さんがやたらに面白いんです。だから私たちの必死さも、笑い声の中に埋まるんだろうなと(笑)。しかも、私が一番高いキーで歌って頑張っているシーンで……もう諦めてます(笑)。
 
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春風ひとみ(ミス・シングル役)
出ていること忘れて各場面楽しみに見させていただきました。大声で笑いそうになって持っていたコーヒーがこぼれそうに(笑)。市村さんとは初めてですし、エネルギーもオーラもあるし、役者としてキュートなんですね。本当に大好きで、楽しみです。
 
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〈公演情報〉
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ミュージカル『紳士のための愛と殺人の手引き』
脚本・歌詞◇ロバート・L・フリードマン
作曲◇スティーブン・ルトバク
演出◇寺秀臣
出演◇市村正親、ウエンツ瑛士/柿澤勇人(Wキャスト)、シルビア・グラブ、宮澤エマ、春風ひとみ、阿部裕、小原和彦、香取新一、神田恭兵、照井裕隆、安福毅、彩橋みゆ、折井理子、可知寛子、伽藍琳、高谷あゆみ、RiRiKA
●4/8〜30◎日生劇場
〈料金〉S席13,000円、A席8,000円、B席4,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9:30〜17:30)
 
 
【取材・文・撮影/竹下力】




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柚希礼音が挑む新たな世界! 柚希礼音ソロコンサート『REON JACK2』公開稽古レポート

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宝塚歌劇団100周年の華やぎを先頭に立って牽引し、惜しまれつつ退団後、1人の表現者として新たな歩みを続けている柚希礼音が開催する、柚希礼音ソロコンサート『REON JACK2』が3月23日〜26日梅田芸術劇場メインホール、3月30日〜31日パシフィコ横浜国立大ホール、4月19日〜20日福岡市民会館で開催される。

昨年春に大好評を博したコンサート『REON JACK』を、更にゴージャスに発展させた今回の『REON JACK2』は、進化し続ける柚希礼音に相応しく、スタッフ陣を一新。音楽プロデューサーに本間昭光を迎え、国内外の著名アーティストのライブを手掛ける面々が、新たな『REON』の魅力をステージに振りまくべく結集した。

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共演者には、モーリス・ベジャールに直接指導を受け『ボレロ』を踊ることを許された、世界でも数少ないダンサーの1人で、世界のトップターンサーたちとの数多の共演歴を誇る、東京バレエ団の上野水香が大阪・東京公演に参加するのにはじまって、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』の“死のダンサー”役で注目を集め、バレエ、ジャズ、コンテンポラリー、アクロバット等、ジャンルの壁を飛び越える活躍で、世界的にも高い評価を得、この夏『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー』でも柚希との共演が決まっているている大貫勇輔。更に、柚希の振付をこれまで多数手掛け、今回ステージング・ 振付も担当する大村俊介(SHUN)、前回の『REON JACK』で柚希とのタンゴ が絶賛された記憶も新しい、東京を拠点に世界各地で活躍するタンゴ・ダンサー・クリスティアン・ロペス。そして、福岡公演には、日本のみならず世界で注目を集めるストリートダンサーの YOSHIEが参加するなど、まさに様々なダンスのスペシャリストたちが一堂に会し、柚希との夢のコラボレーションを繰り広げる、贅沢なステージが繰り広げられる。

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そんな、いやが上にも期待が高まるステージの開幕を前に、3月2日公開稽古が行われ、スペシャルな内容の一部が公開された。

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1曲目は、発売されるやいなや、2月28日付オリコンデイリーアルバムチャートにて10位を記録した、柚希礼音1stミニアルバム『REONISM』から、恋愛のダークな部分を描いた歌「Two Snakes〜feat. NAOTO」が、柚希の歌、更に大村俊介(SHUN)とのダンスで披露される。柚希と大村が妖しく絡み合うようなダンスナンバーは、大村俊介(SHUN)自身の振付でもあり、柚希のハスキーボイスと相まって、新たな柚希礼音の表情を存分に見せてくれる。

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続いて、アストル・ピアソラ作曲のタンゴの楽曲として、ピアソラの代名詞的存在である「リベルタンゴ」が、柚希礼音と上野水香の共演で展開される。
 
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これまで数多のダンスシーンにおいて、幾つもの名場面を生み出してきた「リベルタンゴ」だが、宝塚とバレエという異なる世界で頂点を極めた者同士の、時に鋭く、時に誘い合うような、身体表現の交感から生まれる情熱には、また独特の妙味があり、場所がある意味無味乾燥な稽古場だということをしばし忘れさせるほど。柚希のリードは男役時代を彷彿とさせながらも、上野の自立した愛らしさが、やはり互いの呼吸、雰囲気を全く新たなものにしていて、この場面に衣装、照明などの効果が加わった本番のステージの熱量は如何ばかりかと、嬉しい想像が膨らんだ。

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その後、柚希と上野によるフォトセッションが行われ、引き続いて、柚希が単独フォトセッションのあと囲み取材に応えて、コンサートへの抱負を語った。

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【囲み取材】
 
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──今回のコンサートにかける意気込みをお願いします。
本日はお足もとの悪い中お越し頂きありがとうございます。次は『REON JACK2』ということで、1回目の『REON JACK』をして皆様がたくさん観にいらしてくださって本当に幸せだったので、『REON JACK2』が出来ることになりありがたいなと思っております。『REON JACK2』は前回とはガラリと変えて、スペシャルなダンサーの方々にもたくさん出て頂いて、多くの挑戦になるような「いいもの観たぞ〜!」と思って頂けるようなショーにしたいなと思っています!
──本当に豪華な共演者の方々ですね。
まず、今一緒に踊って頂いた上野水香さん。バレエを知っている人なら誰もが「上野水香さんと踊れるなんて信じられない」とお思いになると思いますが、私も信じられない一人です。こうして上野さんも挑戦、私も挑戦というような、2人で挑戦する場面を創って頂き、本番までたくさん稽古をして不思議な化学変化が出たらいいなと思っています。
──稽古場で刺激は受けますか?
すっごく刺激的で「こういうところはこうした方がいいんじゃない?」とか「もうちょっとこうしたらやりやすくなるよ」とか、バレエ的なことは教えて頂きますし、私もきっとこの方が素敵に見えるんじゃないかなと思うことは教え合ったりして、2人にとってとても刺激的な稽古場になっています。
──本番がだんだん近付いてきて、熱が入ってきている感じでしょうか?
そうですね。本番、お客様の前でするのは緊張しますが、益々稽古を重ねて挑みたいと思います。

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──前回は退団後初のソロ、今回は2回目ということで思いも変わってくると思いますが、その違いは?
前回はやはり、宝塚歌劇団を退団して初めてのコンサートだったので、お客様とたくさんコラボレーションをしたり、自分としても外に出て挑戦している部分も何ヶ所か創らせて頂きながら、アットホームな温かい雰囲気のコンサートにしたかったのですが、今回は2回目なので、思いっきり、しっかりと見応えのあるような中身の濃いショーをしてみたいなと思ったので、そのように創りました。でも最後の方では、お客様とのコラボもしたいなと思っています。
──この1年でご自身の中で変化はどういったところですか?
今まで宝塚時代に歌っていた自分の持ち歌も今回歌うのですが、あの時歌っていいたのとは、歌い方も心情もちょっと違うので、今の自分の歌う曲になっているのがすごく不思議です。やはり退団して2年弱、色々なミュージカルにも挑戦した今の柚希礼音がそのまま詰まっているものになっているんじゃないかなと思っています。
──今日公開された最初のナンバーでは、女性らしさも出ているなと思いました。
出ていましたか?(笑)出ていたかどうかは分からないのですが(笑)前回の時だったらちょっと挑戦出来なかったようなことにも、この1年で色々なことを経験して、変化していく自分を恐れず、思いきってやってみようというところに今はいるので、他の様々な曲も、素敵なんじゃないかと思うことには勇気を持って挑戦しようと思いながら創っています。
──色々な柚希さんの顔が見られるのですね?
はい、そうです!

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──今回、横浜で行なわれる公演では、ファンからのリクエストを募集したそうですが、結果をご覧になっていかがでしたか?
たくさんの方がリクエストしてくださって、すごく嬉しかったです。いっぱいあったので。そして自分としてももこの曲なんじゃないかな?と思うものが、上位3曲に入っていたので、「わ〜みなさんと心が通じているな〜」と思いました。またそれ以外は「この曲をリクエストなんだ」という驚きのものもたくさんあって、自分が思っていたものと、「これを選ぶなんて信じられない!」と思うものにも、結構数が集まっていて、そういうことを知ることが出来たのは面白かったです。コメントも色々書いてくださっていて嬉しかったです。是非楽しみにしていてください。
──今年の限らず、来年以降の参考にもなりますか?
はい。「これって結構前に歌った曲だ!」ということもあって、なるほどと思いました。
──宝塚音楽学校の卒業式がありましたが、音楽学校のころを思い出していかがですか?
宝塚音楽学校という制度もすごく好きだったので、毎日朝から晩まで授業で芸事を習えたので、それがなくなるのは寂しいなと思いましたが、いよいよ舞台に立てるという嬉しさもありました。初舞台生の公演を観に行くのが楽しみです。
──宝塚音楽学校卒業生にエールを。
そうですね。色々大変なこともあると思いますが、ライバルは自分なので自分とたたかって頑張ってください。
──同じ曲でも宝塚時代とは感覚が違うとおっしゃっていましたが、そのあたりもう少し詳しくお願いします。
今回の5曲入りのCDを出させて頂いたことで、自分の持ち歌が10曲になりました。その中には、宝塚の現役中に出したCD、去年の『REON JACK』のCDもありますが、去年のものもすでに今とは違うし、現役中に出していたものは自分で聞いても(声が)「低っ!」と思いました(笑)。 声を出す場所が違うのか、声のあたる場所も違うのか、あの頃とは違う声なので、どのように創っていくか悩んでいるところです。先程お聞き頂いた「Two Snakes」などは、今までだったらああいう表現にはしなかったかもしれないですね。そのあたりも含めて、かっこいいけどかっこいいだけではない、というところを目指してみたいと思います。

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──上野さんとのタンゴは柚希さんがリードするところも多かったですね。
そうなんです!
──憧れの方をリードしてみていかがですか?
上野さんは私がバレエコンクールに出ている頃に、いつも1位を獲られていた素晴らしい方で、自分が一緒に踊ることでさえすごいことだと思うのに、リードするなんて!バレエの「リベルタンゴ」にはもともとああいうリードする振りがあったようで、そこからアレンジを加えているのですが、こういう風に組んで踊るのも久しぶりで、どうやるんだっけ?と思った自分もいます(笑)。こういう振りになると思わなかったのですごく新鮮ですし、でも相手が上野水香さんというすごさに感激しております。
──男役の血が騒ぎますか?
(囁くように)そうですね、ちょっと(笑)。
──思い出しますか?
こういう振りがせっかく入ったので、どっちもやるぞ!と思います。
──お客様にメッセージを。
本当にお稽古して場面が付くごとに感動で、このようにすごいメンバーの方々とご一緒出来ることが凄いなと毎日思っています。公演期間としてはそんなに長くないので、是非楽しみに、たくさん観て頂けるといいなと思っています。頑張りますのでよろしくお願いします。

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コンサート本番では、柚希礼音×大貫勇輔×クリスティアン・ロペスの3人がアクロバティックに魅せるタンゴナンバーや、柚希の持ち歌全曲、さらにはカバー曲も披露される予定。また、この日は非公開だった、柚希が披露する東京公演でのリクエスト曲も発表され、3月30日14時の部は平井堅の「even if」。同日19時の部は『ロミオとジュリエット』の「僕は怖い」で、宝塚でロミオ役を演じた柚希と、同作品の一般公演で死のダンサーを演じた大貫勇輔とのスペシャルコラボが実現する。更に31日14時の部では、柚希の宝塚時代の愛らしい作品『めぐり会いは再び…』で歌われた平井堅の「LIFE is…」が披露されるなど、各日程スペシャル感満載。柚希が新たなパフォーマンスを繰り広げるコンサートに、更に大きな期待と注目が集まりそうだ。

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〈公演情報〉
柚希礼音ソロコンサート 『REON JACK2』
音楽プロデューサー◇本間昭光
ステージング◇大村俊介(SHUN)
振付◇大村俊介(SHUN)/YOSHIE 他
出演◇柚希礼音
上野水香 [大阪・東京公演]
大貫勇輔、大村俊介(SHUN)、YOSHIE [福岡公演] 
クリスティアン・ロペス
●3/23〜26◎梅田芸術劇場メインホール
〈料金〉S 席 10,000円、 A 席 7,500円、B 席 5,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888(全日10時〜18時)
●3月30〜31◎パシフィコ横浜国立大ホール
〈料金〉S 席 10,000円、A 席 6,500円、B 席 4,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉チケットスペース 03-3234-9999
●4/19〜20◎福岡市民会館
〈料金〉S 席 10,000円、A 席 7,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉キョードー西日本 092-714-0159(平日10時〜19時/土曜10時〜17時)
〈公式ホームページ〉http://www.reonjack2.com/




【取材・文・撮影/橘涼香】



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白井演出で更にファンタジックな舞台に!ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』公開稽古レポート

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世界中にファンを持つティム・バートンの監督作品をもとにした、ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』が、2月7日、日比谷の日生劇場で、待望の日本初上陸の幕を開ける(2月28日まで)。

家族の愛を、ティムバートンならではのファンタジックな色彩で描いた2008年の大ヒット映画が、ブロードウェイの舞台にミュージカルとして蘇ったのは2013年のこと。映画世界の物語の魅力はそのままに、アンドリュー・リッパによる美しい音楽と詞と、心躍るダンスに彩られた舞台は、更に大きな感動を巻き起こし喝采を集めて来た。
 
そんな作品の本邦初演となる今回の上演は、『ロンドン版 ショーシャンクの空に』『アダムス・ファミリー』『No.9〜不滅の旋律〜』『マホガニー市の興亡』など、数々の舞台で確かな演出力を発揮し、話題作を作り続けている白井晃が演出を担当。自らの体験談を、空想の世界にまで広げて語る父親エドワード・ブルームに川平慈英、その妻サンドラに霧矢大夢、父親の誇大な話を長じるにつれ素直に聞けなくなり、それがいつしか親子の溝となっている息子ウィルに浦井健治、その妻ジョセフィ—ンに赤根那奈、をはじめとした個性豊かな実力派俳優達が集結して創り上げられる日本版『ビッグ・フィッシュ』に大きな期待と注目が集まっている。
そんな舞台に向けての稽古が佳境を迎え、1月25日都内で公開稽古が行われた。

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まず稽古を前に、フォトセッションがあり、続いて演出の白井晃、出演者を代表して川平慈英からそれぞれ挨拶があった。
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白井 今日は『ビッグ・フィッシュ』の公開稽古にお越しくださってありがとうございます。この作品はティム・バートン監督の映画で有名なのですが、僕らがやっている作品はブロードウェイ版のミュージカルとして作られた『ビッグ・フィッシュ』です。2013年に作られたものなのですが、映画版とはまた違った形で楽しい音楽と、父親と息子の物語が強調された作品になっています。ご覧のようにですね川平慈英さんはじめ、浦井さん、赤根さん、そして霧矢さんと本当に個性的なキャストメンバーの皆さんに参加頂きました。もしかしたら…もしかしたら、ひょっとしてブロードウェイ版より良い作品になるんじゃないかと(川平の「来た〜!」という歓声で、キャスト陣から拍手)そんな予感がしております。と、手前味噌なんですけれど、それくらい充実した稽古をさせて頂いておりまして、楽しい雰囲気で作らせて頂いております。また今日は公開稽古で、稽古の途中段階ではありますが、皆様に観て頂ければ嬉しいです。よろしくお願い致します。

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川平
 川平慈英です。お寒い中稽古場まで足を運んでくださいまして、本当に感謝しています。ありがとうございます。まず楽しいです。本当に楽しいミュージカルに参加させて頂いて、その楽しさと喜びを感じながら稽古しています。個人的な話ですが、僕は今回劇中で3人の素晴らしい女優さんとキスさせて頂いておりまして、これはデカいです!(キャスト爆笑)、50を超えたおっさんが、霧矢さん、蘭々ちゃん、小林由佳ちゃんとね、白井さんありがとうございます!(会場からも笑い)でも冗談抜きに、素晴らしいチームと一緒に良いエネルギーになっています。圧倒的なミュージカルの楽曲と、ダンスとストーリー、これはもう感動間違いなしだと日々感じております。最後は特に感動的なシーンで、僕らも稽古していても涙が出てしまうんですけど、それくらい愛に満ち溢れた素晴らしい、温かいミュージカルになっております。東京の2月は1番寒い時期ですが、皆さんに日生劇場で心温まって、皆様と一緒に良い汗を分かちあっていいんです。2月は日生劇場で幸せになっていいんです!どうぞお客様にたくさんいらして頂けますよう、よろしくお願い致します。ありがとうございました。

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それぞれが、作品への手応えを感じていることが伺える力強い挨拶に続いて、1幕の通し稽古が行われた。

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川岸に佇むウィル(浦井健治)と、父親のエドワード(川平慈英)の会話から物語はスタート。結婚披露パーティを翌日に控えたウィルは、エドワードに得意の昔語りをしないで欲しいと何度も釘を差す。2人のどこかぎくしゃくした関係がこの短いシーンからすでに伝わってくる。

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時は遡り、ブルーム家のベッドルームで子供時代のウィルが父親に寝物語をねだっている。この幼いウィル役は鈴木福とりょうたのWキャストで演じられるが、この日は鈴木福が担当。ありものの童話を読み聞かせることに飽き足らないエドワードは、自身の子供時代、友人のドン(藤井隆)らと森に入って魔女に会った話を語って聞かせる。「ヒーローになれ」「おまえの欲しいもの」などのミュージカルナンバーにのって、舞台は華やかに展開。ベッドルームからの滑らかな展開が鮮やかだ。

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そこから物語は現代に戻り、ウィルの結婚披露パーティへ。妻・ジョセフィーン(赤根那奈)の妊娠を安定期に入るまでは隠しているつもりだったウィルの意向に反して、エドワードが「喜びごとを皆さんに伝えたい!」と話を公にしてしまったことから、2人の間の溝は決定的なものになってしまう。なんとか仲裁しようとする母サンドラ(霧矢大夢)の想いも虚しく、ニューヨークへ戻るウィルとジョセフィーン。それぞれの細かい表情の変化で、親子の関係を表す俳優たちの演技に見応えがある。

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だが、病院でジョセフィーンのお腹にいる子供が息子だと知ったウィルは、家族が増えること、自身が父親になることへの期待と不安の中で、自身の父親エドワードへの複雑な感情を吐露した「見知らぬ人」を歌う。思わず会場から拍手が沸き起こったほどの浦井の熱唱に、場が豊かに盛り上がる。

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一方エドワードは病を患っており、そのことをサンドラから聞かされたウィルは、父親の元に駆けつける。サンドラが夫と息子への思いを語るナンバー「わたしの人生のふたりの男性」がしみじみと美しい。だが、心配する息子夫婦にたいしたことはないのだと言い張るエドワードは、ジョセフィーンに昔の話を語りだす。「アシュトンで1番の青年」から続く、エドワードの夢物語は、舞台を一際賑やかな世界に誘う。ハイスクール時代のマドンナ・ジェニー(鈴木蘭々)らも加わり、何よりも川平の秀でたダンス力、軽快な動きが場を弾ませる姿は圧巻だ。

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父親の余命を悟ったウィルは、ジョセフィーンと共に父の創作物の整理をはじめ、それは同時に父の過去を旅することとなり、舞台はエドワードとサンドラが出会った、サーカスへと広がる。オーディションを受けにきたサンドラが踊る「アラバマの子羊」エドワードがサンドラに一目惚れをする「時が止まった」更にROLLY扮するサーカスの団長の強烈な個性で、舞台は更にテンポよく進む。1幕のラスト、遂にサンドラに想いを伝えたエドワードが手にするスイセンの花束から広がるのだろう、舞台一面の黄色が目に見えるような中、2人が愛を誓う「スイセン」のナンバーで1幕の通し稽古は締めくくられた。
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全体に感じられたのは、むしろ殺風景な稽古場でさえ、色鮮やかでファンタジックな舞台が容易に想像できる、実に滑らかな舞台の流れで、白井マジックと呼ばれる演出の白井晃の美しい舞台作りに感嘆させられる。川平のエンターティナーぶり、浦井の真摯な実直さ、霧矢の包容力と巧みさ、赤根の清新で真っ直ぐな視線などにはじまる、出演者の適材適所が心地良く、白井の言葉通り「ブロードウェイ版以上」の『ビッグ・フィッシュ』が生まれ出ることへの期待が高まる、本番の舞台にますます夢が膨らむ時間となっていた。

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〈公演情報〉
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ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』
脚本◇ジョン・オーガスト 
音楽・詞◇アンドリュー・リッパ 
演出◇白井晃
出演◇川平慈英 浦井健治 霧矢大夢 赤根那奈 藤井隆 JKim 深水元基 鈴木福/りょうた(Wキャスト) 鈴木蘭々 ROLLY ほか
●2/7〜28◎日生劇場
〈料金〉S席 13,000円 A席8,000円 B席4,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉03-3201-7777(東宝テレザーブ)



【取材・文・撮影/橘涼香】



水夏希出演、アルジャーノンに花束を




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柚希礼音が華麗にポップに挑む! シェイクスピア『お気に召すまま』公開稽古レポート

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シェイクスピアの傑作喜劇『お気に召すまま』が、設定を大胆に変えて現代に蘇る!
演出はロック・オペラ『アメリカン・イディオット』で記憶に新しい鬼才マイケル・メイヤー、舞台音楽はブロードウェイで数々の音楽を担当し、ピュリッツァー賞を受賞したトム・キット。この夢のコンビが、シアタークリエ10周年記念公演のために来日した。

2人のもとに集まった俳優は、元宝塚星組のトップスター柚希礼音、日米の舞台で活躍するジュリアン、ミュージカルは百戦錬磨の橋本さとし、狂気と情熱を平然と演じる実力派・横田栄司、ジャンルも幅広い人気男優・伊礼彼方、いぶし銀の演派・小野武彦、可憐で清楚な佇まいのマイコなど錚々たるメンバー。彼らが紡ぎ出すのは、1967年のサンフランシスコでのフェスティバル「Summer of love」を彷彿とさせるハッピーな舞台だ。そんなロックでポップなストレートプレイが、シアタークリエで2017年1月4日から2月4日まで繰り広げられる。その公開稽古が12月21日に行われた。

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【あらすじ】
ロザリンド(柚希礼音)の父(小野武彦)は、弟のフレデリック(小野武彦/2役)に政治家の地位を奪われ、政界から追放される。しかし、ロザリンドはフレデリックの娘シーリア(マイコ)との友情からワシントンD.C.に留まることが許され、2人は姉妹のように仲良く暮らしていた。
ローランド・ド・ボイス家の息子たちも彼女たちの近くに住んでおり、その3男オーランドー(ジュリアン)は長男オリヴァー(横田栄司)から、とある確執から苛酷な生活を強いられていた。オーランドーは一発発起、自分の運を試そうと、フレデリック主催のレスリングの試合に出場し見事に勝利する。この試合を見物していたロザリンドは彼に一目惚れし、2人は恋に落ちる。
しかし、ロザリンドは、彼らの関係に気づいたフレデリックによって、ワシントンから追放されてしまう。ロザリンドは男装して素性を隠し、シーリアとタッチストーン(芋洗坂係長)を伴ってアーデンの森(舞台ではヘイトアシュベリー)に辿り着く。
森には、ジェークイズ(橋本さとし)やアミアンズ(伊礼彼方)たちが悠々自適にヒッピー暮らしをしていた。森でロザリンドはオーランドーを見つけるが、男装している彼女に彼は気付かない。それにヤキモキしたロザリンドは彼の愛の告白の練習相手になることを自ら提案して……。

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マイケル・メイヤーとトム・キット、彼らが手がけるということは、必然的にこの舞台がロックなエンターテインメントになることを意味している。劇中に流れる音楽は、KORGのキーボード、チェロ、ドラム、ベースと、現代っぽい、ポスト・クラシカルな編成になっている。トム・キットがパンク・バンド、グリーンデイの楽曲を舞台『アメリカン・イディオット』でストリングアレンジしたバージョンを彷彿とさせる。今回はトム・キットが書き下ろした新曲が使われており、チェロのメロディが舞台を引っ張る。

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稽古シーンの始まりは、アーデンの森(ヘイトアシュベリー)。アミアンズ(伊礼彼方)がバンドの曲に合わせてアコースティックギターを片手に歌うのだが、これが自由を謳歌する歌そのもの。まさにジャニス・ジョップリンやジェファーソン・エアプレインの系譜に連なるような、フラワームーブメントな曲調で、のどかでいて、サイケデリック、しかもハッピーなフィーリングに満ちた歌だ。

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そこへ追放されたロザリンドの父親(小野武彦)が、まるで映画『地獄の黙示録』のカーツ大佐よろしく、集まってきたヒッピーたちに復讐めいた演説をするのだが、どこか胡散臭く、でも陽気な感触が舞台全体から漂ってくる。小道具もカラフルでサイケな色彩、まさに60年代後半にタイム・スリップしてしまったような感触を覚えるのだ。

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続いてのシーンは、ギャニミードと名前を偽った男装したロザリンド(柚希礼音)が、エリアンナと変名したシーリア(マイコ)を連れ立って、オーランドー(ジュリアン)の恋の指南役をかってでる重要なシーン。

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ここでは、柚希礼音がセリフと動きで魅せる。元男役トップスターだけあって、華麗でいて奔放、なのにどこか女性的。そんな柚希にしかできない男装の女性をしっかりと見せてくれる。シェイクスピアの長ゼリフも難なくこなし、口跡もよく、しかもアクセントにきっちりした抑揚がついているから、まるでロックスターのインタビューのように知性的で熱気があってカリスマ性がある。

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それに翻弄されるオーランドーのジュリアンは、男性ってなんだか単純とでも言わんばかりのおとぼけさ加減で、その見事な天然ぶりには笑わされる。シーリア(マイコ)は、2人のやり取りに横の方でクスクス笑って、まるでいたずら好きの女の子みたいで初々しい。

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ロザリンドにすっかり騙されたオーランドーは、ジェークイズ(橋本さとし)に恋愛相談するのだが、真剣に恋の話をしているのに、悲観論者のジェークイズは、どんどん論点をずらしていってしまう。そのセリフを淀みなく喋る橋本さとしの巧みさ。この場面はシェイクスピアらしいレトリックの面白さが伝わってくる。

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最後は、宮廷側(舞台ではワシントンD.C.にいる保守派)の人間だったオーランドーの兄・オリヴァー(横田栄司)も、ヘイトアシュベリーに足を踏み入れ、ヒッピーたちに感化されていくシーン。いかにも頭が堅いオリヴァーが、ヒッピーたちの奔放な生活に憧れを抱いてしまう葛藤を、横田栄司が狂気に満ちた気迫で演じてみせる。

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音楽は、ジェファーソン・エアプレインの名曲「ホワイト・ラビット」が流れるが、この曲は「不思議の国のアリス」を題材にしたサイケデリックでダークな感じの曲で、その曲に合わせて短銃を持った横田が狂気に冒されていく姿は、ヒッピーの申し子だった亡きジミ・ヘンドリックスを彷彿とさせる。

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また、そこに現れる弟オーランドー役のジュリアンも、上半身をはだけ、厚い胸板を見せていて、そこに、ヒッピームーブメントの裏にある肉体と精神のバランスが崩れ去ってしまった危うさや儚さを感じさせる。この精神と肉体の変調というのはとても現代的な問題であると同時に、この舞台を象徴する場面のようにも感じられた。
 
そんなヒッピーの興隆と挫折という通底する主題があるとしても、それをどこ吹く風と軽やかにユーモラスに演じる役者たち。そう、これはシェイクスピアの喜劇である。そこにはハッピーで感動的な大円団が待っていることは間違いない。
 
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〈公演情報〉
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『お気に召すまま』
作◇ウィリアム・シェイクスピア
演出◇マイケル・メイヤー
音楽◇トム・キット
出演:柚希礼音、ジュリアン、橋本さとし、横田栄司、伊礼彼方、芋洗坂係長、平野良、古畑新之、平田薫、武田幸三、入絵加奈子、新川將人、俵木藤汰、青山達三、マイコ、小野武彦 ほか
●2017年1月4日〜2月4日◎シアタークリエ
〈料金〉11,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777


【取材・文・撮影/竹下力】


柚希礼音主演『お気に召すまま』




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凰稀かなめのライブステージ『The Beginning2』稽古場レポート

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9月16日〜17日に東京EX THEATER ROPPONGIで、9月29日〜30日には大阪森ノ宮ピロティホールで開催される凰稀かなめのライブステージ『The Beginning2』の稽古が順調に進んでいる。その一コマを報告する。

この日は、フラメンコに通じると思えるスパニッシュなダンスシーンの振付が進んでいた。構成・演出・振付を担うTETSUがリーダーを務めるダンスグループ「Bugs Under Groove」のメンバーであるIYO-Pをはじめ男性ダンサーたちが、次々と振りを揃えていく。半拍の動きにまでこだわりを見せるTETSUの指示から、見事に統一されていく動きの中に個々の表現があってダイナミックだ。

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そこから、センターを務める凰稀かなめの振付に。本番では階段の上からの登場となるようで、階段を降りるタイミング、拍数の取り方などが入念に打ち合わせされていく。TETSUの動きに合わせて次々と振りを身につけていく凰稀。その凰稀が動きやすいように意見を取り入れながら柔軟に振りを変化させていくTETSU。信頼感が感じられる2人のやりとりには、時に笑顔も弾けて、真剣さと共に明るさがある。

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音楽が決まったところで、手拍子がはじまり、振りに続けてどちらの方向が良いかも検討される。その時、凰稀の振付を見つめていた他の出演者たちからも、同じリズムを刻む手拍子が自然と加わってきて、全員で創り上げるこの『The Beginning2』の在り方の一端が垣間見えた気がした。

続いて、今度は白華れみと宮菜穂子の女性メンバーの振付へ。曲の途中で上手下手から登場する2人の動きは、ジャンプを多用した華やかなもの。お互いに位置や振りを確認し合いながらの作業を繰り返し、何度となく話し合う2人の表情は実に真摯だ。

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それら、1つ1つのパーツの振付を進めていたTETSUが、全体の確認に入る。凰稀、男性陣、女性陣、個々に進められていた振りが重なった時の迫力には、大きな感動があって、ここにセット、照明、衣装が加わる本番のステージの熱量はいかばかりかと期待が高まった。そこに続く音楽が軽快でアップテンポなもので、ほんの触りをTETSUが踊ると凰稀からは思わず「楽しそう!」という声が。きっと更にショーアップされた総踊りが展開されるのだろう。華やかに盛り上がるステージが予見された。

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何よりも印象的だったのは、この時間にはわずかな出番しかなかった「THE CONVOY」の石坂勇、トクナガクニハルを含めた稽古場の雰囲気がとても熱く、わずかな待ち時間にも振りを確認する全員の姿勢が意欲的なこと。そこかしこで笑顔がこぼれ、一方でストイック。メリハリの効いた時間の中から生まれる『The Beginning2』が、前回よりも更に高みを目指していることが、確かに感じられる熱量の高い時間だった。



〈公演情報〉
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凰稀かなめ『The Beginning 2』 
構成・演出◇TETSU(Bugs Under Groove)
出演◇凰稀かなめ
石坂勇(THE CONVOY)、トクナガクニハル(THE CONVOY)、IYO-P(Bugs Under Groove)、白華れみ、宮菜穂子
●9/16〜17◎EX THEATER ROPPONGI(東京)
●9/29〜30◎森ノ宮ピロティホール(大阪)
〈料金〉10,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京音響 03-5774-3030(平日11時〜17時)
http://t-onkyo.co.jp/?s=凰稀




【取材・文・撮影/橘涼香】




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