えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

宝塚ジャーナルは2019年2月20日に引っ越しました。
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イベントレポート

数々の「LEGEND」を残して、柚希礼音宝塚に別れ ラストデーレポート

柚希礼音夢咲ねねパレード写真\_SSS0177

2015年5月10日、宝塚100年の歴史に一時代を画し、祝祭の時をまるで太陽のような輝きを放ち続けて牽引した星組トップスター柚希礼音が、相手役の夢咲ねね他、4名の同時退団者と共に宝塚に別れを告げた。

初舞台を踏む前、宝塚音楽学校時代からその高いダンス力で注目を集めていた柚希だが、星組一筋の男役人生の中で、想像を遥かに超えるビッグスターとして成長。ワイルドでエネルギッシュでタフな舞台上の男役姿と、どこかのんびりした風情のある語り口が象徴する、親しみやすいオフの魅力とが絶妙なギャップとなってファンの心を掴み、いつしか時代を象徴するスターとして君臨するに至った。宝塚のアジア戦略の第一歩とも言える台湾公演、また、宝塚100年の歴史でわずかに2人目の武道館コンサートなどをそれぞれ大成功に導き、このラストデーのライブ中継も通常の全国の映画館にとどまらず、さいたまスーパーアリーナ、また海を越えて台湾でも実施された。だから、3万人に近い人が見守る中での1日が、特別な熱さに満ちていたのも当然だったのかも知れない。最後に大階段を昇る背中を見せて去って行くトップスターは数あれど、盛り上がりが頂点に達したと思えるステージで、大階段を全速力で駆け上がって次のシーンに向かう姿を退団公演で毎日披露したトップスターは柚希くらいのものだろう。6年間という、現代の宝塚のトップスター任期としてはかなり長期になる在位期間を経て尚、全くやつれた様子がない、ギリギリ感がない柚希の溌剌とした男役姿が与えてくれる安心感には、宝塚の屋台骨を支えるに相応しい大きさがあった。すべてが「LEGEND」な、特別の大スターだった。

そんな柚希のサヨナラショーは、揺るぎない代表作であるライブ作品『REON!!』のオーバーチュアにはじまり、『REON!!』の主題歌に終わる、熱く濃く充実した内容で、1本のショー作品を観たかのような満足感があった。

舞台3

オーバーチュアと共に、ゴールドとブラックを基調にした煌めく衣装で大階段に立つ柚希が、トップ披露作品である『大王四神記VerII』より「チュシンの星のもとに」を歌う。柚希時代の幕開けを華々しく彩った楽曲が、この惜別の時の幕開けをも伸びやかに飾って美しい。そのまま星組生が登場し、今や日本でも人気ミュージカルとして定着したフレンチ・ミュージカル『ロミオとジュリエット』から「世界の王」を歌い踊る。日本オリジナルキャストの栄誉を担っている星組メンバーによる再現は華やかで、柚希と共にソロパートを取る紅ゆずるも溌剌としている。曲調が変わって金色のワンピースの夢咲が登場し、同じ『ロミオとジュリエット』から柚希とのデュエットで「天使の歌が聞こえる」。佳曲揃いの奇跡のミュージカルだけに、その美しさが際立った。一転して2人の表情が大人のそれに変わり、柚希が残って『激情』から「ジェラシー」をソロ。オペラで有名な『カルメン』を題材にした作品らしく、どこか爛れたような切迫感が柚希に宿る。ガラリと変わった明るいメロディーが流れて柚希と同期の十輝いりすが登場。『再会』より「恋のガイドブック」を銀橋で軽やかに掛け合う。お互いに鷹揚とした雰囲気を持つ同期生同士ならではの交感が微笑ましい。そこから同時退団の男役鶴美舞夕が女性役になって得意のダンスを披露した『REON!!II』から「Guy What Takrs His Time」。やはり同時退団の音花ゆりが歌う。鶴美のソロの間、柚希は銀橋から大階段に戻って座って待つのだが、この姿のカッコよさはまさにため息もの。強いインパクトを残した。続いて残る同時退団のメンバー、逢月あかり、海隼人、夢咲も加わって『ブエノスアイレスの風』から「ヴィエント・デ・ブエノスアイレス」。いつ聞いても胸締め付けられる佳曲だが、この日の感興にはやはり特別なものがあった。そこから柚希と夢咲が残り『めぐり会いは再び』から「LIFE is…」。平井堅の既成曲なのに、柚希の声で歌われると宝塚の曲に聞こえるのが感慨深い。そして、1人残った柚希が『THE SCARLET PIMPERNEL』から極め付け「君はどこに」をソロ。革命に信念を捧げたショーヴランは柚希が男役として鮮やかに飛翔した記念碑的な役柄であり、代表曲で「待ってました!」と声をかけたいほど。実にここまで柚希は出ずっぱり。すべての曲がフルコーラスまではいかないながら、メドレーほど詰めてもいずたっぷりと時間が取られていたことに驚嘆する。柚希ならではのタフなサヨナラショーだ。

舞台1

ここで、柚希と入れ替わり白の衣装に着替えた夢咲が登場。『オーシャンズ11』から「楽園を出た二人」を銀橋を行きながらしっとりと歌い上げる。柚希と共にやはり6年間トップ娘役の地位にあったこの人もまた、愛らしい娘役から大人の女性までを堂々と演じられる存在に進化してきたことを鮮明に印象づける。ここまでの道のりで、まるで女優のようだと思わせられる芝居も披露してきたが、それでも必ずどこかで「宝塚の娘役」に対するこだわりを手放さなかったのは、本人の宝塚愛、娘役愛、そして相手役の柚希への愛の顕れだろう。スケールの大きな娘役の退団が改めて惜しまれるソロだった。

舞台2

引き続いて白の衣装に着替えた柚希が再び登場。同じ『オーシャンズ11』から、男役たちを率いて「Jackpot」を歌い踊る。男役祭りとも言えたスタイリッシュな作品が思い出された。そして「ちえちゃんファミリー」に扮した紅、壱城あずさ、如月蓮、真風涼帆がセリ上がってきて『REON!!』から柚希が自らの作詞で、家族への愛を歌った「ちえちゃん」が完全再現。柚希の言を借りれば作詞と言うよりは「作文」的な内容だが、それだけに柚希の素朴な家族への愛が溢れた名シーンで、客席からの歓声も一際高く、柚希礼音というスターが愛された理由の一端が垣間見えるようだった。そこから曲調が哀しみを帯び、柚希が歌い、夢咲が絡み、男女が踊る『眠らない男・ナポレオン』より「翼なき荒鷲」。『ロミオとジュリエット』の作曲者であるジェラール・プレスギュルヴィックの手になるメロディを歌い上げる柚希の歌声が切々と響く。そして、武道館コンサート『REON in BUDOKAN』より、やはり柚希の作詞で、宝塚へのまたファンへの愛を綴った「For Good」。退団というゴールに向かって歩く心境が綴られている歌だけに、柚希のソロに全員が加わっての歌唱には胸をつかれた。最後のショー作品『Dear DAIAMONDO!!』にちなんだダイアモンド型のペンライトのブルーの灯りが客席を埋めて美しい。けれどもそこでしっとりと終わらないのが、太陽のスター柚希の真骨頂。『REON!!』から主題歌「REON!!」が全員で明るく歌われて、この盛りだくさんという言葉ではとても足りないほどのサヨナラショーは遂にその幕を閉じた。充足感に満ちた贅沢な時間だった。

引き続いて、退団者が宝塚の制服である緑の袴に着替えて1人ずつ挨拶。それぞれ自らの言葉でこれまでの来し方を振り返り、感謝を述べ実に清々しかったが、中でも夢咲がやはり感謝を込めながら、今日という日がくるのが怖かったと涙声で吐露したのが耳に残った。宝塚という厳しさも多々ありつつも、「花園」とも呼ばれる世界で過ごした人の、それが実感でもあるのだろう。

そして、いよいよ柚希が最後の大階段を降りてくる。宝塚大劇場のラストデーと同じく緑の袴姿を選択した柚希は、努力をたやさず、研鑽し続けた宝塚人生に覚える達成感と周りへの感謝をいっぱいに現わした見事な挨拶で、その場を締めくくった。誰もが輝いていて、アンコールはいつまでも続き、打って変わってのんびりした柚希らしい「ありがとうございました」が微笑ましく、劇場は温かな涙に包まれていた。

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そのまま退団記者会見に臨んだ柚希は、「本日は本当にありがとうございました。今幸せで充実した気持ちです。本当に長い間お世話になりましてありがとうございました」と挨拶。記者の質問に答え、柚希らしい飾らない朴訥とした言葉で、けれども深いメッセージが込められた気持ちを吐露した。

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中でも「今、改めて宝塚とは?」という問いに、夢のようなところだと思っていたが、夢を見ているだけではとうてい歩いていけない場所だった。けれども、自分自身を全て認めて、戦って過ごした後となっては、やはり夢のような場所だった、との趣旨の言葉が印象的で、才能に頼ることなく高みを目指して歩み続けた柚希を象徴していた。

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また、さいたまスーパーアリーナや台湾での中継を含め、「LEGEND」と呼ばれたことに対して、最後まで自分のことではないような気がしたが、そう呼ばれたことを励みにこれからの人生も生きていくという思いが語られ、会見は大スター柚希の今後への期待も高まる時間となった。

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この日劇場前に集結したファンは実に1万2千人。過去最大の人出に、警備員が所謂「人間の鎖」を容易に作れるほどの厳戒態勢が敷かれ、おそらくそうでなければもっと人が集まったのではないか。それだけ柚希の最後のパレードを一目見たいという思いには強いものがあったのだろう。もちろん全国、また海外での中継で見送った人たち、更にはそれぞれの生活をしながらそれぞれの場所で柚希に思いを馳せた人たち、それら何万人の思いも一つになり、「柚希礼音フォーエバー」の熱さは、いつまでもいつまでも劇場前に残っていた。

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その後、柚希は退団後第1作として、ワールドプレミアミュージカル『プリンス・オブ・ブロードウェイ』への出演が決定。数々の傑作ミュージカルを生み出し、史上最多21度のトニー賞に輝くブロードウェイ最高の演出家、ハロルド・プリンスが自身を描く新作ミュージカルで、いきなりブロードウェイスター達との共演を果たすという、輝かしい初仕事が大々的に発表された。また夢咲も『オペラ座の怪人』『CATS』などの傑作ミュージカルで知られる作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーの作品『サンセット大通り』での女優デビューが決まり、新しい道を歩きはじめている。

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そんなそれぞれのこれからの歩みにももちろん大いに注目しつつ、この、柚希がタカラジェンヌとして過ごした最後の1日、ラストデーに集まった特別の熱気を忘れることはないだろう。それは「LEGEND」と呼ばれた柚希礼音伝説の、眩くも輝かしい1ページに他ならないのだから。
 
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尚、柚希礼音退団会見の詳細は、7月9日発売の「演劇ぶっく」8月号にも掲載します。どうぞお楽しみに!




【取材・会見撮影/橘涼香 舞台写真・退団パレード写真提供/宝塚歌劇団】
 

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凰稀かなめ 涼やかな笑顔を残して宝塚に別れ!ラストデーレポート


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2015年2月15日、東京宝塚劇場で宙組公演『白夜の誓い〜グスタフIII世、誇り高き王の戦い〜』『PHOENIX 宝塚!!〜蘇る愛〜』が千秋楽を迎え、トップスター凰稀かなめ、宙組の中核メンバーとして活躍した緒月遠麻ら、4名が宝塚に別れを告げた。

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持ち前の美貌と抜群のプロポーションで初舞台当時から注目を集め、スター街道をひた走ってきた凰稀が2度の組替えを経て、宙組トップスターとなって2年半あまり。トップお披露目公演にして、原作ファンから神レベルと絶賛された『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』のラインハルト・フォン・ローエングラムや、宝塚の代名詞的存在である『ベルサイユのばら』の男装の麗人オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェなど、凰稀本来の資質に合った役どころはもちろん、『モンテ・クリスト伯』の復讐に燃える男エドモン・ダンテスや、やはり宝塚を代表する作品のひとつである『風と共に去りぬ』のレット・バトラーなど骨太な男性像も見事に造形して、トップスターとしてこれから油が乗ってくるだろうという、この時期の退団は惜しみてもあまりある。

だが、記念式典、特別出演、大運動会など宝塚100周年の祝祭にわいたすべてを務めあげ、宝塚100年の顔の1人として宙組を牽引してきた凰稀自身には、おそらく強い達成感があったのだろう。千秋楽のこの日まで、平和国家を目指す理想に燃えた王として進化し続けた『白夜の誓い』のグスタフIII世の演じぶり、また鳳凰=PHOENIXとして凰稀ならではの中性的な魅力を大きく輝かせた『PHOENIX 宝塚!!』を通して伝わってくる燃焼度には、大きなものを成し遂げた者ならではの清々しさが宿っていた。
 
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そんな公演の後に続いた「凰稀かなめサヨナラショー」は、基本的には選ばれた1曲1曲をメドレーにせず、フルコーラスを歌い踊るという構成。必然的に曲数こそ少なくなるものの、凰稀の残した優れた舞台の思い出にじっくりと浸れる時間になった。 
 
まず『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』の「銀河の覇者」では、上演時唯一無二の親友役だった次期トップスターの朝夏まなととの交感が自然に立ち上り実に効果的。続いたソロ曲『ロミオとジュリエット』のティボルトのナンバー「本当の俺じゃない」は、星組時代の持ち歌を敢えて入れてきた、本人の思い入れの強さが伝わってくるかのよう。後に宝塚全体の財産となるフレンチ・ミュージカルの初演メンバーとして、凰稀が造形したナイフのように危険で美しいティボルト像がフラッシュバックする。やがて曲調が一転して、登場した相手役の実咲凛音と『モンテ・クリスト伯』の「手をのばせば」をデュエット。凰稀時代の宙組は大作が続いた関係で、凰稀と実咲ががっぷり組んだ作品は、大劇場公演としてはこの1作のみというイレギュラーな結果になったが、その1作の主題歌が美しい佳曲であったことが嬉しい。
 
そのまま1人残った凰稀が『Amour de 99!!』から「Lullaby」を歌いながら銀橋を渡って上手花道に去ると、入れ替わりに下手花道セリから緒月遠麻がセリ上がり、『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』のヤン・ウェンリーのナンバー「Sunset Valley」を歌いつつ銀橋へ。凰稀の同期生で凰稀トップ就任と同時に雪組に転入してきた緒月の存在は「凰稀の宙組」形成に欠くべからざるもので、『ベルサイユのばら』のアンドレ役を役替わりで務めるほどに大きなものだったから、今にして緒月には主演作がないのだという事実がむしろ信じ難くすらある。けれども『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』のヤン役は、作品の一方の雄であり、緒月の温かさと大きさが最も生きた役柄でもあったから、この選択は嬉しかった。2コーラス目からは本舞台に出た同公演のジェシカ役だった純矢ちとせとのデュエットとなり、美しいハーモニーを聞かせた。
曲調が弾むように変わってやはり同時退団の風羽玲亜、留美絢、緒月の3人で、凰稀かなめディナーショー『Metamorphose』から同名曲を軽やかに。凰稀ディナーショーのオリジナル曲なので、或いは馴染みのない観客もいたかも知れないが、宝塚に入団して走り続ける間に自分が成長し、変わることができた感謝を歌った歌詞がこの場に似つかわしいものだった。
 
3人が銀橋を行き下手花道で決めたあと、本舞台で凰稀を中心に『シトラスの風II』より「明日へのエナジー」を衣装も含めて完全再現。宙組発足時に大評判を取り、広く愛されてきた場面が、宙組6代目トップスターである凰稀にもきちんと引き継がれていることに深い感慨を覚える。朝夏、星組への転出が決まっている七海ひろきにもソロがあり、凰稀の宙組の集大成として、誠に相応しいシーンとなった。特に印象的だったのが、最後に凰稀が1人残って客席に深く一礼した後、ふっと笑って肩をすくめた仕草。外見のクールさの中に実はホットな内面を漲らせていることが、零れ落ちるように伝わる凰稀の、その熱さに対するちょっとした照れや、人を驚かすことが大好きという茶目っ気など、彼女の素の個性が巧まずして現れた瞬間だったように思う。
そのままサヨナラショーはいよいよフィナーレに。薄紫のガウン風衣装の凰稀にピッタリの紫に輝くペンライトが揺れる客席に『ロバート・キャパ 魂の記録』の「魂の記録」が届けられる。一見宝塚世界とは距離がある戦場カメラマンの鮮烈な生涯を、見事に宝塚作品として成立させたのは、凰稀のクールビューティなビジュアルと、柔らかな個性があったればこそだろう。そんな主題歌が全員のコーラスとなって、ゆっくりと凰稀が大階段を昇っていく背中で、サヨナラショーの幕は静かに下りた。洗練された美しい時間だった。

続いて行われた退団者の挨拶は、いずれもが率直に爽やかに感謝の言葉を述べる、シンプルだからこそ美しいもので、会場からは万来の拍手が贈られた。そしていよいよ凰稀が最後の大階段を降りてくる。宝塚大劇場では100年の歴史で初めてという、白の軍服姿で登場して客席に大きなどよめきと歓声が上がったものだが、この日はシンプルな黒燕尾服姿を披露。「ついに夢の世界から醒める時がきてしまいました」に始まる挨拶は、「15年間、私を怒らせ、泣かせ、笑わせてきた役たちは、 私の中でこれからもずっと生き続けます」という、周りへの感謝と同時に、演じてきた役柄に思いを馳せるもので、芝居カンに優れ、燃えるように役を生きて来た凰稀ならではの言葉として深い印象を残した。「宙組6代目(トップスター)凰稀かなめ本日をもって宝塚を卒業致します」と晴れやかに言いきった凰稀と、同時退団者への名残尽きぬ拍手はいつまでもいつまでも続き、カーテンコールが長く繰り返された。

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すべてを終えた後に退団記者会見に臨んだ凰稀は、「本日はお忙しいなかお集まり頂きありがとうございました。無事に終了したのですけれど、未だに実感がわきません。きっと退団後、何ヶ月もしたあとに、私はきっとすごく寂しい思いで、1人でいるんだろうなと思いながら、今日を過ごしています。今は皆が元気で千秋楽を一緒に迎えられたことにホッとしている状態です。でも明日からの宙組は朝夏(まなと)が引っ張っていくと思いますので、明日からの宙組もどうぞよろしくお願い致します」と挨拶。記者の質問に凰稀らしく飾らない、けれどきちんと配慮もある言葉で丁寧に答えた。
特に関心が集中した今後の進路については、希望をあれこれと語ることはよしとしないびっくり箱のような人間なので、とあくまでも明言を避けたが、これだけの人材をとても周りが放ってはおかないだろう。言葉の通りびっくり箱のように、どんな形で新しい姿を見せてくれるのかを楽しみに待ちたいと思う。またこれからの宙組もどうぞよろしくお願いします。という言葉が何度も聞かれ、組に対する並々ならぬ思いが感じられた。
最後に「長い間本当にありがとうございました」と深く一礼して会見場を後にした凰稀の、黒燕尾服姿が実に美しく、男装の麗人という言葉を体現した存在だったなという思いを、改めて感じた。

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この日、日比谷界隈は立っているのもやっとというほどの強風が吹き荒れ、酷寒と言える厳しい天候だったが、それでも最後の退団パレードを見送ろうと東京宝塚劇場前に集結したファンは約8000人。それぞれが思いのこもった言葉と歓声で去りゆくスター達を見送った。
その最後に宝塚の制服である緑の袴姿に着替えた凰稀が登場すると、盛り上がりは最高潮に。黒燕尾に映えていた白の薔薇の花束は、紋付袴姿にもよく似合い、ペンライトが揺れる光の道を、涼やかな笑顔を残して、いつまでも手を振りながら凰稀かなめは歩み去っていった。その残像を惜しむように、凍てついた夜のここだけに集まった熱気の余韻が、長く劇場前に残っていた。
 
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尚、退団記者会見の詳細は3月9日発売の演劇ぶっく4月号に掲載します。どうぞお楽しみに!



【取材・文・撮影/橘涼香】


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宝塚歌劇100周年記念『宝塚歌劇100年展〜夢、かがやきつづけて〜』オープニングセレモニーレポート

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C宝塚歌劇団

宝塚歌劇100周年を記念した『宝塚歌劇100年展〜夢、かがやきつづけて〜』が、名古屋、福岡、神戸の3都市を巡回した後、フィナーレとなる東京会場、有楽町の東京国際フォーラムで開催中だ(28日まで)。

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C宝塚歌劇団

宝塚歌劇100年の歴史をポスター、写真、記録映像、舞台デザイン画などの貴重な資料でたどるこの展覧会には、宝塚歌劇の華やかなフィナーレに欠かせない大階段や、『ベルサイユのばら』の上演時に実際に使用された「オスカルの居間」が原寸大で再現されるなど、迫力と臨場感たっぷり。2014年に上演された5組すべての舞台衣装、また過去著名なデザイナーに発注された懐かしい舞台衣装なども豊富に展示されていて、いずれもが目に楽しい。中でも現在の各組トップスターをはじめ、宝塚OGたちの100周年に寄せたお祝いメッセージの色紙の展示が圧巻で、1枚、1枚を丁寧に読んでいると、時を忘れるほどの見応えがある。撮影可能なスポットや、色紙類が掲載されている図録も貴重で、宝塚100年の歴史に思いを馳せられる充実した展覧会となっている。

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東京会場初日の16日にオープニングセレモニーが行われ、主催者を代表して、日本経済新聞社代表取締役副社長・佐藤雅徳氏、来賓の宝塚歌劇団理事長・小林公一氏、そして元雪組男役トップスター壮一帆が、テープカットに臨んだ。

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まず日本経済新聞社代表取締役副社長・佐藤雅徳氏から、日本経済新聞社は経済だけでなく、文化に常に高い関心を寄せており、世界でもユニークな存在であり、レベルの高い舞台を志向している宝塚歌劇の100年を記念したこの展覧会事業を展開できることを心から喜んでいる。宝塚歌劇と同じように、この展覧会も名古屋、福岡、神戸の3都市をめぐり、東京ファイナルを迎えるにあたり、日々進化してきたので、名古屋をご覧になった方にも、全く新しいものとしてお楽しみ頂けると思う。宝塚歌劇と阪急電鉄の全面協力のもと開かれた充実した展覧会を通じて、是非宝塚100年の歴史を味わって頂きたい、という趣旨の挨拶があった。
続いて来賓の阪急電鉄取締役創遊事業本部長・宝塚歌劇団理事長・小林公一氏から、宝塚歌劇団100周年の掉尾を飾る「宝塚100年展」が開催されることへの感謝と、改めて宝塚歌劇が100周年を迎えられたのは、時代時代のお客様が宝塚を支えてくださったからこそで、宝塚歌劇が歩んできたこれまでの100年に思いを馳せ、また新たに未来に向かっていく姿をこの展覧会から感じ取って頂ければ幸いです。多くの方に足をお運び頂きたい、旨の祝辞が述べられた。

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更に特別ゲストとして参加した、元宝塚雪組男役トップスター壮一帆が挨拶に立ち「この度は『宝塚歌劇100年展』誠におめでとうございます。中を見させて頂いたのですが、100年の長い歴史の中で、私がファンであった時代の作品、また私が現役であった頃の作品、色々な魅力が詰まった会場となっておりました。どうぞ皆様も宝塚に対するそれぞれの思い、その時代、時代の1ページを懐かしく、楽しく、ご覧頂ければと思います。本日は本当におめでとうございます」と爽やかに語った。

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引き続き、3人によるテープカットが行われ、セレモニーは和やかに終了。入場待ちの長い長い列が続くなか、展覧会が華やかに開幕した。このオープニングデーの壮一帆をはじめ、宝塚歌劇100年を彩った懐かしいスター達、また現役生のトークショーも多数予定されており、宝塚歌劇100周年フィナーレに相応しいファン必見の豪華なイベントが繰り広げられている。
 
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宝塚歌劇100周年記念
『宝塚歌劇100年展〜夢、かがやきつづけて〜』
●12/16〜28◎東京国際フォーラム 展示ホール2(東京都千代田区丸の内3-5-1) 
10時〜20時(日曜日は17時まで)入場は閉場の30分前まで
〈入場料〉一般1,400円(1,200円)、高・大学生700円、中学生以下無料 
※()内は前売・20名以上の団体料金
〈問合わせ〉03-5777-8600(ハローダイアル)




【取材・文・撮影/橘涼香】




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日比谷シャンテ「イルミネーション点灯式&トークショー」音月桂が登場!

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東京宝塚劇場の向かい側にある日比谷シャンテにて、11月22日の夕刻、元雪組トップスター音月桂の出演で「クリスマスイルミネーション点灯式&トークショー」が開催された。
毎年、このシーズンにはゲストを迎えて行われる日比谷シャンテの点灯式だが、今年は来年3月に日生劇場で上演される『十二夜』に主演する音月桂が、点灯のセレモニーに登場した。

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日比谷シャンテの正面入り口には、夕闇の中、この点灯式を一目見ようと集まったオーディエンスが歩道ぎりぎりまで詰めかけて取り囲んでいる。なかには何時間も前から待っていたという人もいて、そろそろ冷え込みがきつくなってきたこの時期だが、シャンテ周辺にはファンの熱気が溢れている。
やがて、点灯時間直前になり、音月桂が白のブラウスとスカートという清楚なファッションで登場。オーディエンスから「キャー」という歓声や、「桂ちゃん!」と声がかけられる。笑顔で手を振ってそれに応える音月桂。

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いよいよ点灯式が始まる。全員で声をそろえてのカウントダウン。そしてシャンテの入り口の2つのツリーと、正面入り口の上に星のように連なるイルミネーションが、一斉に点灯する。日比谷シャンテが華やかなクリスマス仕様に変身した瞬間だ。

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その後、15分ほど音月桂への質問やトークが繰り広げられた。

【音月桂トーク内容】
 
今回、点灯式でこの日比谷に久し振りに帰ってきました。とても懐かしい気持ちですし、こんなに沢山の方に集まっていただいて嬉しいです。何時間も前からいらしていた方もいるとのことで、寒くないですか?ありがとうございます。

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この日比谷の日生劇場で、来年3月、『十二夜』で主演させていただきます。シェイクスピアは宝塚時代に『ロミオとジュリエット』に出演しましたが、ロミオ役でしたから(笑)、女性の役は今回が初めてになります。今回は、ポスターをご覧になったかたはおわかりのように、ヴァイオラだけでなく、双子の兄のセバスチャンという男性の役も演じます。そちらには、私の男役時代の経験を生かせると思いますので(笑)、とても楽しみです。
 
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演出のジョン・ケアードさんとのお仕事も初めてですが、ポスター撮影のときも、それぞれの目線の先にちゃんとイメージを思い浮かべて見つめてくださいとおっしゃられて、とても刺激的な演出家さんだと思いました。共演の方々のなかでは、小西遼生さんは『ブラック メリーポピンズ』でご一緒していて、そのときは兄妹でしたが、今回は恋人役になります。ほかの方々との共演もとても楽しみです。

今日は短い時間でしたが、こうして皆様と過ごせて楽しかったです。ぜひ来年3月は日生劇場の『十二夜』へお越しください。

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『十二夜』
作◇ウィリアム・シェイクスピア
翻訳◇松岡和子
演出◇ジョン・ケアード
出演◇音月桂、小西遼生、中嶋朋子、橋本さとし/青山達三、石川禅、壌晴彦、成河、西牟田恵、宮川浩、山口馬木也 他
●2015/3/8〜30◎日生劇場
12/20 前売り開始
〈問合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777
〈料金〉S席¥12,000、A席¥7,000、B席¥4,000(全席指定・税込)
●2015/4/7◎iichiko総合文化センター iichikoグランシアター
●2015/4/10〜12◎梅田芸術劇場 メインホール


【取材・文
/榊原和子】



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宝塚歌劇100周年記念「大運動会」レポート

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去る10月7日、大阪城ホールに於いて宝塚歌劇100周年記念の「大運動会」が賑やかに開催された。宝塚には組を超えたイベントごとがいくつかあるが、ベテランの専科生から音楽学校生までを含めた、現役タカラジェンヌ全員がひとつの会場に集うというのは、10年に1度のこの「大運動会」くらいのもの。しかも本業の芸事でなく、75m走、大玉転がし、綱引き、組対抗リレーといったスポーツ競技で得点を競うお祭り騒ぎとあって、会場はスタート前から大変なヒートアップ。花、月、雪、星、宙、専科のそれぞれの応援席には、組ごとに趣向を凝らして仮装したファンたちも多く集まり、同じ空間にいるだけで、もう盛り上がらなければ損!と言いたい熱気に溢れていた。
 
まず、華やかな入場行進は抽選による登場順でトップバッターは宙組。『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』の再現で、凰稀かなめのラインハルト、実咲凛音のヒルダ、朝夏まなとのキルヒアイス、緒月遠麻のヤンがそれぞれの扮装で、黒装束の組子を率いて登場。舞台冒頭のセリフをもじって全組の人数と宙組の人数を比較し「面白い、勝ってみせる」と凰稀が舞台そのままのキメ台詞を披露。これはなかなかシャレていて、着想の勝利と言ったところ。素顔化粧でラインハルトの扮装をこなす凰稀の美貌もさすがだった。
 
続く星組は全員黒学ラン姿で、柚希礼音が『ドラえもん』のガキ大将ジャイアンに扮し「俺はジャイアン」ならぬ「俺はちえちゃん」を歌い上げて練り歩く豪快な入場。組子のダンスも隊形を巧みに変化させて、広い会場の空間を埋め尽くし、ここからすでに気合い十分。柚希の熱血漢ぶりがまさにジャイアンそのもので、星組名物とも言える鶴美舞夕のバトンパフォーマンスもあり、大いに盛り上がった。
専科は、松本悠里が天女のような姿で登場、赤いジャケットで揃えた轟悠以下メンバー全員の紹介もあり、あくまで朗らかな北翔海莉や、最も新しい専科生である華形ひかるまで個々の顔がよくわかり、この人数ならではの贅沢感。音楽学校生が各組カラーの布を使ってマスゲームのようにキビキビと踊る姿がなんとも可愛らしかった。
 
月組は一世風靡セピアの「前略、道の上より」に乗って、全員暴走族風のパフォーマンス。かなりレトロな選曲に驚いたし、リーダーの龍真咲が乗り回しているのが、バイクならぬ自転車なのが笑いどころでもあるのだが、金ラメの学ランでキメにキメた龍の雰囲気がこのシチュエーションに似合い過ぎるほど似合っていて喝采もの。星条海斗の一輪車も巧みだったし、龍の自転車を旗を振りながら真っ赤な学ランで走って追いかけ、ラストを締めた愛希れいかの「男前」っぷりが光った。
 
雪組はこの運動会がトップコンビとしての初披露という新トップコンビ早霧せいなと、咲妃みゆが前作『一夢庵風流記 前田慶次』で秀吉が乗っていた記憶も新しい神輿に乗っての登場。初々しいコンビがまるでお雛様のようで、次公演『ルパン三世』のメインテーマに乗って、早霧と夢乃聖夏をはじめ組子が本格的な着物姿での殺陣も披露し、さすがは和ものの雪組。和製『ルパン三世』というのも、また実によく考えられたアイディアで、見応えがあった。
 
トリを務めた花組は白スーツの蘭乃はな以外は、娘役も含めて全員黒のスーツで、白スーツにグラサンの明日海りおを神輿に担ぎ上げての入場。公演中の『エリザベート』の雰囲気に合わせて、全員が黒天使ばりのダンスをこなし、花組の伝統を感じさせた。明日海のどこかアンニュイな雰囲気もこの趣向に合っていて、王子様降臨と言った趣。『エリザベート』のナンバーはおそらく著作権の問題で使えなかったのだろうが、望海風斗が全員を先導するなど、その意図するテイストは十分に伝わっていた。
と、もうこの入場行進だけで、エンターテイメントとしては十分に成立していて、前回優勝の月組から優勝トロフィー変換(龍がなかなかトロフィーを返したがらないという茶目っ気を披露、轟と各組トップによる聖火(と言っても電飾で模したもの点灯、選手宣誓と美しく流れて、各競技に突入した。
 
ここからは基本的には誰にもなじみがあるだろう「運動会」の光景が続いていく。舞台上では可憐な容姿で目を引く新進娘役がびっくりするほど俊足だったり、逆にこういうことは得意そうに見えるダンスに秀でた男役が競技を上手くこなせなかったり、それぞれ意外な素顔が覗くのがこうした催しならではの楽しさにあふれる。「大玉転がし」など抽選で選ばれたファンとスターが協力して取り組む競技もあり、選ばれたファンには何よりの思い出になったことだろう。そんな中で特徴的だったのが「ダンシング玉入れ」という宝塚ならではの競技。組ごとに運動会には必ずある玉入れをするのだが、笛の合図に合わせて玉入れを中断、ダンシングエリアに移動して、各組が趣向を凝らしたダンスを披露。このダンスも得点対象になるという凝った競技だった。各組のダンスがそれぞれにとても面白かったが、柚希と夢咲ねねのトップコンビが延々とリフトで回り続けた星組の根性と、開脚した娘役三人を頭の上まで上げた宙組の、言うならば「リフト組」が分けても目立っていて、ダンス部門で高得点を叩きだしたのも納得だった。ここまでが前半で中間発表は、1位星組、2位宙組、3位月組、4位花組、5位雪組という並びになった専科は得点対象外
 
ハーフタイムの応援合戦は、専科が迫力の太鼓パフォーマンス。花組がこれも伝統の花組ポーズを取り入れピンク学ランの明日海を筆頭に「三、三、七拍子」。月組が龍の指揮の元ベートーヴェンの「第九」の替え歌コーラス。あくまで和ものの雪組は早霧を中心にソーラン節で龍踊り。柚希、紅ゆずる以下、全員黒学ランの星組はアカペラで「我が宝塚」。凰稀のみ白学ラン、メイン格の男役が黒学ラン、以下トレーナーの宙組は掛け声にのみ注力しての進行と、それぞれの特徴がよく表れていた。
 
後半戦は、あまりの勢いに見ていてどこか怖くさえあった椅子取りゲーム(花組娘役の活躍が目立った)、トップコンビと各組二番手格の男役での、障害物競争に宝塚作品のクイズ要素も取り入れた「ドン・ガン・ジャン・ヒーローズ!」(トップ娘役のポジションで走った専科の華形が娘役に扮している凝りよう)、「綱引き」、そしてこれぞ運動会の華「組対抗リレー」と、各組総力上げての競技が続いた。
なかでは綱引きのトーナメント方式の説明がなされなかったことや、アクシデントもあって、花組の不運がどうにも気の毒に映っただけに、司会進行のOG真琴つばさの絶妙のフォローに感嘆した。改めてクレバーな人だと感じさせ、彼女の起用は大成功。レポーターのOG陽月華、蒼乃夕妃も的確な仕事ぶりだった。
 
総体にまとめれば、花は「ほんわか」月は「やんちゃ」雪は「はっちゃけ」星は「ガチンコ」宙は「端正」とそれぞれ組を率いるトップスターの個性が、ちゃんと組の個性になっていることが如実に見えてくるのが面白かった。中でも全競技に勝ちに行く迫力が際立っていた星組の優勝は、終わってみればむしろ当然の趣。柚希のMVP受賞にも文句のつけようがない勝利だった。得点の大きな組対抗リレーで圧倒的な強さを見せた月組が2位に食い込み、龍を筆頭に優勝したかのような大喜びぶりも微笑ましい。常に良い位置にいた3位の宙組は懸命に頑張りながらも、あくまでもタカラジェンヌの枠をはみ出ない凰稀の雰囲気そのままに実に鷹揚。逆に、ここまで振り切れる人だったのか!と驚くほど全力で組子を鼓舞して4位雪組を率いた早霧の奮闘ぶりが、良い意味で予想を裏切って目を引いた。前述したように不運があり、また明らかに表彰に手違いもあったと思われる5位花組は、落胆している明日海を組子全員が励ますように円陣を組んだのが印象的。ピンクの学ランが着こなせるトップならではのこれもまた麗しい光景だった。
 
最後に轟が宝塚100周年記念の大イベントの閉会を宣言。会場全体で「すみれの花咲く頃」を唄って、3時間に及ぶ熱戦は幕を閉じた。それにしても、考えてみれば「大運動会」自体が10年に1度しかなく、更にそれが宝塚100周年の機会なのだから、会場を埋めた観客を含めて、得点に関係なくここに集うことができたすべての人が優勝者と言っても過言ではないと思う。それほど、誰もが童心にかえって大騒ぎのできる、熱く、たくましく、朗らかなイベントだった。
さて、次の運動会にはいったい誰が各組を率いていることだろうか。その時にも宝塚も自分も元気でまたこの場に集えたらいい。そんな感慨さえもが浮かぶ、華やかで賑やかな一夜だった。


宝塚運動会

宝塚歌劇100周年記念
「大運動会」
大会委員長◇小林公一
監修◇谷正純
構成・演出◇中村一徳、斎藤吉正
演出◇(専科・音楽学校)大野拓史、花組小柳菜穂子、月組鈴木圭、雪組生田大和、星組稲葉太地、(宙組原田諒
音楽・指揮◇吉田優子
音楽◇太田健、青木朝子、高橋恵
出演◇宝塚歌劇団生徒、宝塚音楽学校生徒、全員。
10月7日◎大阪城ホール


【取材・文/橘涼香】

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