えんぶ本誌の宝塚記事取材の機動力を生かして、宝塚歌劇の製作発表、会見などをいち早く紹介。 宝塚OGの公演やインタビューのほかに公演の批評なども展開しています。

『HEADS UP!』

会見

待望の宝塚ミュージカル化、遂に実現!宝塚歌劇団花組『ポーの一族』制作発表会見レポート

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少女漫画界で、長年に渡り数々の名作を生み出し、押しも押されもせぬ第一人者として活躍を続けている萩尾望都の、代表作であり、漫画史にその名を永遠に刻む傑作『ポーの一族』が、宝塚歌劇団花組でミュージカル・ゴシック『ポーの一族』として上演される(2018年1月1日〜2月5日 兵庫・宝塚大劇場 2月16日〜3月25日 東京宝塚劇場での上演)。

『ポーの一族』は、1972年に「別冊少女コミック」にて第1作が発表されて以来、多くの人々を魅了し、熱狂的なファンを世界規模で獲得している、少女漫画界の金字塔的作品の1つ。西洋に伝わる吸血鬼伝説を基に、少年の姿のまま永遠の時を生きるヴァンパイア=ヴァンパネラ、エドガーを主人公に、個性豊かな登場人物たちが200年以上の時を駆ける連作漫画。1976年に物語は完結していたが、2016年から2017年にかけて、40年ぶりの新作が書き下ろされ大きな反響を呼び起こしたことは記憶に新しい。

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この、登場人物と共に永遠に魅力を失わなて作品に魅了され、いつかミュージカル化したいとの夢をもち、宝塚歌劇団に入団以降、現在では宝塚歌劇のみならず日本のミュージカル界をも代表する演出家となった、小池修一郎の積年の想いが叶い、ついに宝塚歌劇の舞台に『ポーの一族』が登場することとなり、今、宝塚ファン、原作ファンにとどまらず、多くの人々から、大きな関心が集まっている。

そんな期待のミュージカルの制作発表会見が、11月16日都内で開かれ、宝塚歌劇団小川友次理事長、原作者の萩尾望都、脚本・演出の小池修一郎、エドガー・ポーツネル役の、宝塚花組トップスター明日海りお、シーラ・ポーツネル男爵夫人役の花組トップ娘役仙名彩世、アラン・トワイライト役の花組男役スター柚香光が登壇。公演への抱負を語った。

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柚香光、小池修一郎、小川友次理事長、原作者萩尾望都、明日海りお、仙名彩世

【小川友次理事長挨拶】

宝塚歌劇団の小川でございます。本日はお忙しい中、このように多数ご参加頂きましてありがとうございます。また原作の萩尾先生にも記者会見にご参加賜りまして誠にありがとうございます。宝塚歌劇は、先日宝塚大劇場で雪組の望海風斗のお披露目公演がはじまりました。おかげ様で、まだ年末まで公演がございますのでわかりませんけれども、目下103周年も公演動員は100%を超える勢いでございます。本当に100周年から4年連続で、宝塚大劇場、東京宝塚劇場と100%を超える公演をさせて頂いているのは、ここにおられる皆様のおかげと心より御礼申し上げます。そして、今年103周年の公演の中では、小池修一郎先生の星組『THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット ピンパーネル)』、そして皆様のご記憶に新しいことと思います月組の『All for One 』と、いずれも大劇場、東京共に100%を超える動員の素晴らしい公演となりました。小池先生にも改めて御礼申し上げます。
さて、この花組『ポーの一族』は、宝塚104周年の幕開けを宝塚大劇場で飾る公演でございます。ご存知の方も多いかと思いますが、宝塚歌劇と阪急電鉄が一緒になって、東京でも通年公演をしようと、TAKARAZUKA1000days劇場を立ち上げまして、来年で20周年となります。同時に宙組が誕生し小池先生の『エクスカリバー』で幕を開けてからも20周年。そういう記念の年に『ポーの一族』をやらせて頂くということは、大変な光栄の極みであります。この後のトークショーでもお話があるかと思いますが、小池先生が30数年の想いを懸けてやられる公演でございます。またこれを花組の明日海りおでやる。明日海は花組の、今や宝塚のトップでございます。明日海の神秘性、またピュアな持ち味が『ポーの一族』をやることを待っていたのだと感じます。私自身も来年の幕開け『ポーの一族』の初日が楽しみでなりません。どうぞ皆様のお力添えをよろしくお願い致します。本日は本当にありがとうございました。

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小川理事長の挨拶に続いて、出演者によるパフォーマンスが行われ、劇中歌よるミュージカルナンバー「ポーの一族」が披露される。作曲者の太田健のピアノ演奏が響き、暗闇の中に真紅の薔薇を手にしたエドガー役の明日海りおが浮かび上がる。すでにその姿は、まるでこの世の者とは思われない。続いてシーラ・ポーツネル男爵夫人役の仙名彩世、アラン・トワイライト役の柚香光も登場。三人での歌唱から、仙名のスキャットで明日海と柚香が踊り、永遠に生きる一族の妖しくも美しい世界が展開された。

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そこから曲調が変わり、1人残った明日海が「悲しみのヴァンパネラ」を熱唱する。滅びるからこそ美しい世界で、永遠に生き続けなければならない宿命と、悲しみを歌う明日海エドガーの美は、壮絶でさえあり、場の空気は作品の世界観一色に染め上げられ、拍手と共に感嘆のため息が漏れ、今から完成された作品の美はいかばかりかと、期待するボルテージが一気に高められた。

その後、原作者の萩尾望都、脚本・演出の小池修一郎、パフォーマンスを終えたばかりの出演者三名が、司会者と共にトークショー形式で、それぞれの想いを語った。

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──萩尾先生、今のパフォーマンスを見た率直な感想からお聞かせください。
萩尾 この世の者とは思えぬものを観て、ちょっと頭がどこかにいってしまいました。(出演者に)皆様ありがとうございます、そして小池先生ありがとうございます。本当に感激でなんと言っていいのかわかりません。

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──小池先生はこの作品を舞台化したいという気持ちがあって、宝塚歌劇団に入団されたということですが。
小池 そうですね。私が宝塚を目指した時は『ベルサイユのばら』がブームでしたから、当時の少女漫画と宝塚の相性、コンビ—ネーションの良さが、ちょっとしたひとつのブームでもありました。その頃、同級生に勧められて萩尾先生の『ポーの一族』を読みました。それまでほとんど少女漫画を読んだことがなくて、楳図かずお先生ぐらいしか知らなかったので「こんなものもあるの?」という感覚で。そしてSF漫画も好きでしたので、今で言うならタイムスリップものであり、ヴァンパイア伝説を「ヴァンパネラ」と称した作品に、大変美しい画と併せてものすごい衝撃を受けました。それで、普通に考えれば、これはアニメとか、映像、映画だったらさぞや凄いだろうなと思うのですが、当時から舞台の仕事がしたい、ミュージカルが創りたいと思っておりまして、宝塚歌劇団に入団させて頂くことになった時に、さて、どういうものを?となった時『ポーの一族』ができたら良いだろうなと、あまり細かく具体的なことまでは考えていなくて、漠然と考えておりました。ですがハッと気がつくと、宝塚のスターたちというのは、原作の設定よりも当然ですが大人なので、これは少し難しいかな?と思っていて、ちょっと時間が経ってしまったということでございます。

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──実際には、時が止まった14歳の少年ということですが、明日海さん今パフォーマンスを終えていかがですか?
明日海 ポスター撮影は終えていたのですが、今日初めて皆様の前で動く、漫画のキャラクターを立体にしてしまうということの重大さを感じて、大変緊張致しました。
──原作を読んだ印象はいかがでしたか?
明日海 私はもう読み進めていくうちに『ポーの一族』の世界に入り込んでしまって、普段私たちは役柄を頂いて読む時には、自分の役の感情を追っていけばいいのですが、先生の漫画を読んでいると、エドガーの気持ち、アランの気持ち、色々な人の想いが押し寄せてきて、途中から狂ってしまいそうな、胸がすごく苦しくて、本当にその時間が楽しくて仕方がない、ときめきの詰まった物語だなと思いました。
 
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──あ、抜け出てきた!降臨した!という感じで、お三方とも素晴らしいですが、シーラ・ポーツネル男爵夫人を演じる仙名彩世さんは、今のパフォーマンスを終えていかがでしたか?
仙名 私も皆様の前で動くことに、緊張もあり、ワクワクもありでしたが、作品の世界観が広がったなと思います。
──原作をお読みになって、シーラをどう感じていらっしゃいますか?
仙名 やはり愛というものをとても大切にしている、駆け落ちしてまでポーツネル男爵と共にと願い、一族に加わる訳ですが、加わってからも、一族や男爵を愛する気持ちは変わらず、ヴァンパネラにも愛はある、という強い想いがとても素敵だなと思います。
──本当に衣装も良く似合っていらして、素敵です。そしてアラン・トワイライト役の柚香光さんは、原作をお読みになってどんな印象を?
柚香 私も初めて『ポーの一族』を読ませて頂いた時に衝撃を受けて、漫画からこんなにも想像力を刺激されるのかと、今までにない体験をさせて頂いたなと感じました。更に読み進めていく上で、役の感情であったり、関係性はもちろんのこと、音楽や香りさえも想像させられるような、萩尾先生の描かれたこの作品に出会えたことに感謝致しております。

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──パフォーマンスはいかがでしたか?
柚香 私もやはり皆様の前で扮装して披露するということに、大変緊張したのですが、袖からエドガーを演じる明日海さんが舞台に立たれて、照明を浴びているのを今日初めて観て、その時ゾクッと、あぁ、この世の者ではないと。ヴァンパネラを見た時には、もしかしたらこのように身の毛がよだつのかな?と感じましたので、今回の宝塚の『ポーの一族』では、アランがまだ一族に入る前の、人間の時が長く描かれていますので、初めて明日海さん演じるエドガーに会った時の、このゾクッとした感情を、新鮮に覚えていたいな、そして舞台の上でもそれを表現したいなと感じました。
──今、中身の部分を、ちょっと情報として頂きましたが、小池先生『ポーの一族』のどの部分を抽出して宝塚歌劇で上演なさる構想なのでしょうか?
小池 原作で言いますと「ポーの村」「メリーベルと銀のばら」そして「ポーの一族」というのが流れになります。時系列から言いますと「メリーベルと銀のばら」からになりますが、「ポーの村」にはグレン・スミスという人が出てきて、一族に出会うというエピソードなのですが、この部分をかいつまんでやろうと試みましたが、それだけでも15分ほどかかってしまい、やはりとても収まらないので、ちょっと言ってしまいますと、プロローグの中に圧縮しています。でも、あまり言ってしまうとね、観てのお楽しみということに。
──すみません、訊いてしまって。でも内容については萩尾先生と小池先生の中ではやりとりはあったのですか?
萩尾 いえ、もうすべてお任せして。
小池 あ、でも、一応報告でメールをお送りして、ご意見を伺うのですが、何を伺っても「いいんじゃないですか?」という感じなので(笑)。 

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──萩尾先生と小池先生はどの程度お親しいのですか?
小池 初めて、ということになりますと1985年。今も忘れられないのですが『哀しみのコルドバ』という宝塚のヒット作があって、新人公演の演出を私がやっていたんです。その新人公演が終わったあと、劇場の向かい側のホテルで知人と会う約束をしていて、そこに行ったらば隣の席に萩尾先生がいらして、何か打合せをしていらしたんです。先生はあまりご記憶にないかも知れませんが、当時のホテルの席の間隔が(座っている椅子を示し)このくらいしかなかったので、先生がお仕事を終えられて、相手の方は帰られて、まだ先生がマネージャーの方とお茶を飲んでいらしたのがわかりまして。もうこんなことは一生ないかも知れないと思い「すみません、萩尾先生ですよね」と申し上げて、単純に「ファンなんです」と申しまして、今思い出すと名刺をお渡ししました。ただ、それから2ヶ月ない内に、ちょうどその時先生は、ミュージカルの脚本を書いていらして、それについて意見を求めるお手紙と共に、台本を送っていらしたんです。もう本当にびっくりして、それからですね。最初はただ、ご挨拶して名刺を置いたというそれだけだったので。
──萩尾先生は、そんな小池先生に対してどんな印象を?
萩尾 隣の席に座っていらした時に、お花をたくさん持っていらしたので「劇場からいらした方かしらね」と連れと話をしていたんです。そうしたら立ち上がってご挨拶なさったので、あまり男の方から「ファンです」と言われたことがなかったので、ちょっとびっくりして。それでお名刺を頂いたら、演出家の方だったので、あまり考えなしに図々しく台本を送ってしまいました(笑)。
小池 当時宝塚は皆さんからのお花の差し入れがたくさんあって、私はスターの子たちが持って帰れないものを頂いたので、たくさん抱えて歩いていたので、その時先生に確か赤い薔薇を差し上げたと思います。
──それは覚えていらっしゃいますか?
萩尾 はい、何か頂きました(笑)。
小池 本当にお裾分けのお裾分けでなんだったのですが(笑)。
萩尾 いえいえ、とんでもないです。
──先生はそれまでに宝塚の舞台はご覧になったことがあったのでしょうか?
萩尾 私は中学、高校と大阪の吹田市に住んでいましたので、中学の時に『霧深きエルベのほとり』を観に行ったのが最初です。3月だったので、卒業式の袴姿の方がたくさんいらして、別世界に来たみたいでした。
──それからはコンスタントに?
萩尾 それがなかなかできなかったのですが、当時大阪ではテレビで宝塚の放映がありましたので、それを観ていました。
──宝塚歌劇団に対してはどのような印象を?
萩尾 『霧深きエルベのほとり』を観た時に、男の方が美しいのに衝撃を受けて。スポーツ選手ですとか、カッコいい男の人はたくさん見たことがありましたけれども、美しい男の人を見たのがはじめてだったので、えっ?!美しい男の人がいるんだと、いえ、女の人なんですけどね(笑)。でも、美しい男の人というものにすごい衝撃を受けたというイメージが強かったです。その美しい男の人をもう1回見ようと思って、後に宝塚に通うようになりました。
──1年にどのくらいの頻度でご覧になっているのですか?
萩尾 2本か、3本です。
──そうですか!明日海さんの花組の印象は?
萩尾 心臓がバクバク(笑)。まだちょっと言葉にならなくて。イメージ以上に美しくて、小池先生のこだわりが、元々すごくこだわる方でしたけれども(笑)、本当にこだわって頂いてありがとうございます。

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──こだわりと言えば明日海さん、ポスター撮影も大変でいらしたと伺いましたが。
明日海 もちろん楽しくさせて頂きましたが、先生からメイクも、もう少しこういう方が良いのではないか?などアドヴァイスを頂きましたし、ポスター撮影に入る前にも、お衣装の生地感であったりですとかを、先生がすごくこだわって選んでくださったというのを聞きまして、ありがとうございます。
小池 いえ、とんでもない。『ポーの一族』を宝塚でやらせて頂きたいなと漠然と思っていて、萩尾先生にもお会いした時に、もう二度とお会いすることはないかと思いましたから「いつか宝塚でやらせてください」と申し上げたんですが。
──初対面の時におっしゃったのですか?
小池 はい、そこで言っておかないと、だって一期一会と言うか、こんな方と隣の席に座るなんてことがあるとは思わなかったですから。でも宝塚では難しいかな?と思った時期もあり。その中で、宝塚関連の書籍で扮装写真というのを、過去に何人かのスターの方たちが撮っていたんですけれども。今回のポスター撮影で、明日海が扮装したのを見た関係者の方たちが「うん、やっぱりこれは、何十年も待った甲斐がありましたね」と言ってくれて、それはすごく感動しました。やはりこれは、明日海がやる時の為に、運命の神のようなものが、これまでにやれないというか、やらない状況を作られたのかな?と思ったくらいです。
──「時は来た!」という感じが、ファンの間でも広がったと思います。もちろん明日海さんもそうですし、シーラの仙名さん、アランの柚香さん、という組のメンバーが皆さん揃って作品が立ち上がる訳ですから、小池先生やはり今の花組で『ポーの一族』というのは幸せなことですよね。
小池 もちろん後からまたお話も出るかも知れませんが、宝塚で上演するという発表があった時に、萩尾先生が「年齢とかはちょっと変わるかも知れませんが」とおっしゃったんですよね?
萩尾 そうです。
小池 で、年齢については正直に申し上げて曖昧にしてあります。何歳と言ってしまうと「えっ?これが?」と思われるかも知れないし、年齢だけで見られてしまうと話しが逸れてしまうと思って。でもその時に「原作の設定を変えるのは、例え萩尾望都が許しても、私が許しません!」というお手紙を頂いて(爆笑)。あぁ、遂にこの人は著作権というものを持ったのだなと(笑)。熱烈なファンとか読者というのはそういう風に思ってしまうんですね。でも私もそれはわからなくはない。私も子供の時に『鉄腕アトム』のアニメの描き手の人に怒っていた記憶があって、イメージが違うとか、自分が勝手に思い込んでいることと違うと、すごく反発をするのですけれども。『ポーの一族』くらいの作品になると、読者それぞれの方の『ポーの一族』がありますし、明日海りおのファン方たちにも、それぞれの明日海像があると思うので、すべての方の期待通りというようにはなかなかならない。ただ、今の私たちのできるベスト、そして花組でということです。やはり『ポーの一族』と言いますと、当然出てくるのは妹のメリー・ベルで、もちろんお話の中に出てきますし、意味もあるんだけれども、やはりお話を読んでいて「メリー・ベルと銀のばら」また「ポーの一族」の中では、シーラというのはとてもとても大きな存在であり、宝塚の女役、娘役である人にとっては絶対にやり甲斐のある役だと思います。ですから必ずしもメリー・ベルがヒロインでなくても成立すると思いまして、そのようにしてあります。もしかしてここですごく下級生の小柄な子が、明日海りおの相手役であれば、或いはその人にメリー・ベルがいったかも知れないけれども、やはりここは仙名彩世という役者の魅力を活かしていくことの方が大事であると私は思ったので、そこが宝塚と作品の接点かなと。それぞれの組のメンバーと合わせていく。ですからもしかして違う組の違うメンバーとやったとしたら、その組のバランスに合わせていくかも知れない。そういう調整と言ったらいいのかな、ということに対して、思い入れの強い方からは「萩尾望都が許しても私が許さない」という声が出るかも知れないし、当然色々なご意見が出ると思います。でも、1972年から描かれたものを2018年のお正月にやるということの為に、改めて読み込んでいくと、自分が思い込んでいたエピソードの流れとは違うんだなと思ったこともたくさんあるので、今の視点で観て、もう一度整理させるということに取り組んでおります。

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──では、皆様の意気込みを一言ずつ伺いましょう。
柚香 今回このような素敵な作品に出演できることに感謝しております。本当にたくさんの人に愛されて、大事に大事にされている作品なので、誠意をもって、宝塚のファンの方にも『ポーの一族』のファンの方にも喜んで頂けるような作品創りができたらいいなと思っています。心をこめて役に向き合っていきたいと思います。
──近くで見ると、グリーンの瞳がすごいですね。
柚香 はい、カラーコンタクトを(笑)。
──アランが出て来た!という感じです。
柚香 これにも早く馴染むようにしたいです。
──では仙名さん。
仙名 今、たくさんお話を伺って小池先生の『ポーの一族』への愛が詰まった作品、その想いを受けて、私たちも作品の中で息づけるようにと、今、責任を感じています。小池先生の想い、皆様の想い、すべてを表現できるように、大切に大切に創り上げていきたいと思います。
明日海 私もまずは萩尾先生と、小池先生と、そして原作のファンの皆様にご納得頂けるようなものを創りたいと思っております。漫画には音声がありませんので、エドガーってどんな声をしているんだろう?とそこからもう創っていかなければならないので、やることはたくさんあるのですが、自分のイマジネーションをフルに活用して、先生とお話しあいをしながら。本当に、稽古場で「エドガー」と呼ばれて「はい」と返事をすることさえ恐れ多い作品、特別なものだと思いますので、しっかりと自覚をもって、でも作品創りは組子と共に力を合わせて楽しくやっていけたらいいなと思っています。
──萩尾先生からも是非。
萩尾 私のイメージ以上に、イメージを超えた美しい世界が目の前に広がるのが予感できていて、今からワクワクしております。どうぞよろしくお願いいたします。

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【質疑応答】

──萩尾先生、数多ある作品の中で、先生にとって『ポーの一族』がどんな存在なのか。また、これまで様々な申し出を全て断られていたのに、なぜ今このタイミングでOKを出されたのか、また小池先生にご注文があれば教えてください。
萩尾 私が小池先生の作品をはじめて観たのが『蒼いくちづけ』で、それから『華麗なるギャツビー』を観まして、どちらもすごく素晴らしい作品で、舞台に入り込んで別の世界に連れていってくれそうな。ですので「いつか『ポーの一族』をやりたい」と言われていて、「小池先生ならいつでもOKですよ」と言っていたのですが、これだけ待たされたという(笑)、それだけの話でございます。『ポーの一族』という作品は、私が若い頃に勢いで描いたものなのですけれども、未だにキャラクターがすごく生きているんだなということを改めて再確認しました。一度終わった話なのですが、去年から新作を描いたのですが、自分でもハマってしまって、そこに至るものにこんなに長く気づかないでごめんなさい、と言うくらい今は身近なものになっていました。ですからとても大切な作品です。それをこんな素晴らしい先生にやって頂けるというのは、幸せです。注文はありません。
──出演者の皆様、今演じる役柄に対して感じている魅力、また何を大切に演じたいと思っているかを教えてください。
明日海 エドガーの存在そのものを私は魅力的に感じています。萩尾先生が描かれる表情、目の寂しさ、結んだ薄い口元、後頭部にあるオーラ…わかります?立っている時の背骨のラインも、少年なのにとてもセクシーなのに、惹きつけられるものがあります。それを私の佇まいでどう表現したら良いのかと、今、困っていところですが(笑)。やはり何年も何年も時を経ていく訳ですから、見た目が同じくらいの歳の子たちとは全く違う感情が流れていると思いますし、ヴァンパネラになったことによって彼が失ってしまったものへの想いを、彼はずっと抱えながら生きていかなけれでならない。先ほど歌わせて頂いた歌にも、「悲しみを抱いて生きる、僕はヴァンパネラ」という歌詞があって、そういう独特なものが表現できたら良いなと思います。あとは難しいところは、今まで男役をやっていく中で、私はそんなに背も高い方ではありませんので、声に深みがあればあるほど良いと思っていましたし、仕草などもなるべく男らしく見えるように研究して参りましたので、いざエドガーを演じるとなった時に、声を考え直さねばいけないなと思いました。
小池 いや、そんなに問題ないと思いますよ。
明日海 いえ、でも結構…
小池 今は学校に行っていても、中身の年齢は百何歳な訳だから。
明日 そうなんですよね。そういう経て来た年月、深くてまろやかな声でありつつ、少年の声というのを作れたらいいなと思っています。
仙名 シーラはまず美しい貴婦人であるということがありますが、中にはたぎっている情熱があって、小池先生にも「シーラは情熱的で妖艶な女性だ」とおっしゃって頂きまして、やはり佇まいや、声なども研究していかねばと思っております。自分の人生を自分で決めることができる、更に愛に生きようとする強さというものも表現できたらいいなと思います。また、男爵とエドガーが衝突するところが度々ありまして、エドガーが人間とヴァンパネラの間で葛藤する姿を近くで見ていて、それに対する母性もあるのではないか?と漫画を見ていて思いましたので、そうした優しさも持っている。読み進めていく中で色々な面があるなと、読む度に発見があるので、そうした色々な要素を含めた中で、素敵に見えるように如何に作っていけるか、これからたくさんお稽古していきたいと思います。
柚香 私が漫画を読んで感じた第一印象としては、とても人間らしい、感情を真っ直ぐに受け取ることができる、とても純粋な人だと感じました。その中に彼の生い立ちからの、ずっと悩みを抱えている面もありますので、彼の持つ孤独さ、愛を求めている、救いを求めているエネルギー、でもそれを人に見せたくなくて意地を張ってしまうところも彼の魅力だと思いますので、そういった部分を素直に表現していけたらいいのではないかな?と感じています。先ほど仙名さんもおっしゃいましたが、読み進めていく中で、一度読んだ時にはこういう風に見えたものが、二度目にはこういう面もあるのかな?という発見があったりしますので、アランという人を色々な角度から見ていきたいなと思っています。
──原作ファンなので、オタクな質問になってしまいますが、今回は座組の関係でメリー・ベルの役割りが少し小さくなるという印象を、先ほどのお話から受けたのですが、メリー・ベルがらみの最も有名なエピソードで「沈丁花、沈丁花」という台詞がありまして、多分これはオタク的には名シーン中の名シーンだと思いますが、その辺りは生かすのでしょうか?何かのナンバーになるとか。
小池 いや、ないです。すみません(笑)。でもメリー・ベルの存在はそんなに小さくはないんですよ。ちゃんと意味として存在していますけれども、でもどうなんですか?イギリスで「沈丁花、沈丁花」と言うのは?
萩尾 ここでバラしてしまいますと、沈丁花があんなに大きな木にはならないというのに、描いた後に気がつきまして(爆笑)。本当に植物に疎くて申し訳ないです。
──そういうところは皆さんありますよね。私はアランの靴紐をエドガーが結ぶシーンが是非とも見たいです。
小池 「小鳥の巣」ですね。それはずいぶん後のシーンなので、すみません、ないです(笑)。
──でも、どこが出てくるか、どう舞台化してくださるか、またオリジナルな部分がどうなるのかにも、皆期待していると思います。
小池 ありがとうございます。今日歌った最初の曲の前半というのは、すべて萩尾先生が描かれた詩のままですし、ずいぶんそういうところがあります。もちろんそこをつなぐ為に創作した部分もあります。一番舞台上の制約と言いますか、ひとつの板の上、舞台の上で展開していく為に、色々な場所で起きた出来事が1つに集約されています。そこを「見てのお楽しみ」と言えるのか「原作と違う!」とお思いになって「見てのお苦しみ」になることも多々あるかと思いますが、それはすべて宝塚の舞台で生かす為の算段であると解釈して頂ければと思います。

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記者からさえも、原作に対する強い思い入れがあふれる質問が飛び出すなど、作品が如何に愛され続けているかが感じられた会見はここで終了。宝塚歌劇ならではの『ポーの一族』の誕生に期待の高まる時間となっていた。


〈公演情報〉
宝塚歌劇花組公演
ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』
原作◇萩尾望都「ポーの一族」(小学館フラワーコミックス)
脚本・演出◇小池修一郎
出演◇明日海りお、仙名彩世 他花組
●2018/1/1〜2/5◎宝塚大劇場
〈料金〉SS席12.000円 S席8.300円 A席5.500円 B席3.500円
●2018/2/16〜3/25◎東京宝塚劇場
〈料金〉SS席12.000円 S席8.800円 A席5.500円 B席3.500円
〈お問い合わせ〉0570-005100 宝塚歌劇インフォメーションセンター
〈公式ホームページ〉 http://kageki.hankyu.co.jp/



【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】



『えんぶ8号』
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宝塚雪組新トップコンビ・望海風斗&真彩希帆お披露目公演『ひかりふる路〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』『SUPER VOYAGER!』─希望の海へ─制作発表会見レポート!

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宝塚歌劇団雪組新トップコンビ望海風斗と真彩希帆のお披露目公演、ミュージカル『ひかりふる路〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』レヴュー・スペクタキュラ—『SUPER VOYAGER!』─希望の海へ─が、11月10日〜12月15日まで宝塚大劇場、2018年1月2日〜2月11日まで、東京宝塚劇場で公演される。

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ミュージカル『ひかりふる路〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』は、フランス大革命の中心人物の1人であるマクシミリアン・ロベスピエールを主人公に、宝塚歌劇団がこれまで度々とりあげてきたフランス大革命の嵐を、革命家の側から描く生田大和の意欲作。作品の全楽曲を世界で活躍する作曲家フランク・ワイルドホーンが書き下ろすという大きな話題も加わり、非常に贅沢なオリジナル作品となっている。
またレヴュー・スペクタキュラ—『SUPER VOYAGER!』─希望の海へは野口幸作が「VOYAGER(航海者)」をテーマとして、新トップコンビが率いる新生雪組の航海を祝う、豪華絢爛なレヴュー作品となる。

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そんな、注目の公演の制作発表会見が9月都内で行われ、宝塚歌劇団の小川友次理事長、作・演出家生田大和、野口幸作、作曲家フランク・ワイルドホーン、雪組トップコンビ望海風斗、真彩希帆が登壇。作品への抱負を語った。

会見はまず、ュージカル『ひかりふる路〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』のパフォーマンスからスタート。この日の為に来日したフランク・ワイルドホーンのピアノの生演奏で、ロベスピエールに扮した望海風斗が「ひかりふる路」を歌い上げる。如何にもワイルドホーンらしい、壮大なメロディ—が望海の豊かな声量で響き渡り、会場は一瞬にして作品の世界に染められる。

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続いて登場したマリー=アンヌ役の真彩希帆が加わり、二人のデュエットで「今」が歌われる。台詞と歌詞からおそらくはクライマックス近くの楽曲ではないかと想像される楽曲は繊細かつドラマチックで、歴史の事実から、その人生の結末は周知のことであるロベスピエールが、マリー=アンヌという女性に出会ったことによって、別の何かを見たのではないか?が予見され、互いに歌唱力を武器とする新トップコンビの魅力があふれだすかのようだった。

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そして、作品の中の大変重要なシーンで使われる予定だという、まだ歌詞のついていな楽曲が、ワイルドホーンのピアノソロで披露される。短調の哀切に満ちたメロディーが、次第に熱を帯びダイナミズムに展開する楽曲は、曲だけで心震わせる美しさを持っていて、この楽曲がどんな場面で使われるのか、更にすべての楽曲をワイルドホーンが書き下ろした作品が、どんな完成度を見せるのかに大きな期待が高まった。

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そんなパフォーマンスの熱気さめやらぬ会場に、小川友次理事長、生田大和、野口幸作、フランク・ワイルドホーン、望海風斗、真彩希帆が揃い、それぞれの挨拶のあと、質疑応答へと引き継がれた。

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【登壇者挨拶】


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小川友次
 皆様大変お忙しいところを、新生雪組の記者発表にお越しくださいましてありがとうございます。ご紹介いただきました宝塚歌劇団の小川です。まず最初にフランク、我が友ありがとう!素晴らしい楽曲をプレゼントしてくれて本当に心よりお礼を申し上げます。また、忙しいところ昨日ニューヨークから来てくれて、色々と打合せをしてくれて、宝塚の理事長として心から感謝しております。本当にありがとう!  
いま聞いていただいた通り、イメージが湧く素晴らしい楽曲でした、これからが楽しみです。おかげさまで、宝塚歌劇団は103周年目を迎えておりますが、宝塚大劇場、東京宝塚劇場、すべての公演が大入りでございます。これも一重に皆様のおかげと心より御礼申し上げます。さて、この新生雪組ですが、宝塚大劇場では103周年の締めの公演でございます。 早霧せいなからバトンを受け取った望海、そして真彩がお披露目をするわけでございます。また、東京は来年の幕開け公演でございます。東京では104周年になるわけですけれども、実は東京では来年の2018年からちょうど100年前に、小林一三翁が昔の旧帝国劇場で、初めて東京で興行をされたということです。 そして、宝塚歌劇を東京でやるということに自信と持たれて、東京でも興業がしていけるという確信を持たれた年でもあります。そして、ご記憶にもあるかと思いますが、20年前には、阪急が、宝塚が東京でも年間公演をするためにTAKARAZUKA1000days劇場を立ち上げた記念の年でもあります。そういう東京公演の幕開けを担う公演となります。ちょっと望海にはプレッシャーをかけ過ぎて申し訳ないのですが(笑)、そういう公演でありますので、よろしくお願いします。
『ひかりふる路〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』では、 この宝塚を今後支えていくであろう生田君が臨みます。また、『SUPER VOYAGER!』は、これも若い、これからのショーを支える野口君がやってくれます。この二人が、お披露目の公演に全力で立ち向かってくれると思います。素晴らしい公演になると思いますが、皆様のお力添えをいただいて、雪組の船出を祝っていただければと思っております。最後になりましたが、もう1度フランクにお礼を言って、初日には是非来てもらいたいと思っています。どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。本日は本当にありがとうございます。 


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生田大和
 皆様本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございました。ご紹介いただきました宝塚歌劇団の演出家生田大和と申します。今回、この作品が雪組の新しいスタートを切る作品であり、そしてその船出となるよう、素晴らしい楽曲でフランク・ワイルドホーンさんに彩っていただくということで、私にとっては何かと縁の深い望海風斗のトップスター大劇場お披露目公演であり、11年ぶりにミュージカル『NEVER SAY GOODBYE』以来の、フランクさんに全楽曲を書いていただく作品であり、様々な意味で特別な公演になると思っています。
宝塚にとってもも馴染みのある題材であるフランス革命の時代を生きたロベスピエール、私なりのフランス革命、ロベスピエール像を舞台の上に形づくっていければいいなと思っております。そしてまた望海の相手役には、私も過去に1度花組の公演で仕事をしたことがありますが、非常にハートがあり、パワーもあり、茶目っ気もある真彩希帆さんを迎えております。まだこれからの若い娘役さんですし、まだまだ未知数なところもあると思いますが、本人も気がついていないような部分も引き出しつつ、二人でこれからの雪組を担っていってくれたらいいなと期待しております。そういった意味で、特別なこの公演を心して勤めて参りたいと思いますので、初日を迎え、また千秋楽を迎えるまで皆様にご支援賜りますよう、よろしくお願いいたします。本日はお集まりいただきましてありがとうございます。 

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フランク・ワイルドホーン
 (日本語で)こんにちは、フランクです。(英語で)今日本語を勉強中です。今日このようにここに来ることは自分にとって本当に特別な日です。私は本当に宝塚歌劇団の皆様との関係を大切に思っております。そして小川理事長との関係も本当に大切に思っております。アーティストとしていつも大切だなと思っていることがあるのですけれども、それは芸術家として自分の声を聞いていいただく場があるということだと思います。そして、その聞いていただく場というのはプロデューサーの方がいらしてこそ、その場を与えていただいたということだと思いますので、本当にお礼を申し上げたいと思います。 
時の流れというのは早いもので、今ここにいるというのが、若干面白いなと思うところもあるのですが、もし11年前の『NEVER SAY GOODBYE』の時点で、私の人生がこうして宝塚歌劇団さんと関わることによって、何か変わることがあるか?と誰かに訊かれたとしたら、そんなことはありえないだろうと答えていたと思います。本当に11年前の稽古初日に、小池修一郎先生であったり、通訳の方や生田先生であったり、本当に皆と始めたあの1日のことが忘れられません。そしてショービジネスよりもっともっと大切なところで、私の美しい妻でありますTAKAKO(和央ようか)さんとも出会ったということになります。なので確信を持って言えることは、どのアメリカ人よりも、西洋人よりも、自分ほど宝塚歌劇団さんとの素晴らしい関係を持たせていただいている人はいないんじゃないかなと思っております。
このように美しいアーティストの皆さんとご一緒させていただき、新しい作品のために曲をという風に小川さんからお話をいただいた時には、本当に光栄でしたしとてもワクワク致しましました。そして本当にだいもん(望海)さんと、真彩さんは素晴らしい音楽家でいらっしゃいますし、とてもソウルフルでいらっしゃいます。自分にとっては、それはとても大切なところなのでソウルフルなお二人をとても楽しみにしております。生田先生のリードで、これから沢山の冒険に臨めるのではないかと思います。 そして、本当に自分の心と自分の最善の楽曲を皆様に託せるようにお約束しますので、これからの100年も沢山の素晴らしい冒険にご一緒させていただけるように、楽しみしております。(日本語で)ありがとうございます。

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野口幸作
 皆様本日はお忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。宝塚歌劇団演出の野口幸作でございます。一ミュージカルファンとして、フランク・ワイルドホーン氏と同席できるということを光栄に思っております。ちょっと今ドキドキしておりますが、その感動的な生田先生の『ひかりふる路』が終わった後の 第二幕のレヴュー・スペクタキュラ—『SUPER VOYAGER!』─希望の海へ─は、待望の新トップスター望海風斗と真彩希帆、この“希望コンビ”の誕生と、新生雪組の船出を盛大に祝福する爽やかで絢爛豪華な作品でございます。
まずは、良く船出などと申しますが、プロローグで船出を表現してみようということで、豪華客船の出港をテーマにした豪華なプロローグに始まりまして、望海風斗の芸名を4つのシーンに分けまして、「望(HOPE)」「海(OCEAN)」「風(WIND)」、「斗(BIG DIPPER)」北斗七星の場面とシンプルな主に4つの場面に望海風斗の男役の美学であったり、今年90年を迎えます、宝塚レビューの美学を詰め込んだ、王道宝塚のエンターテインメント作品となっております。見どころとして、いつくかご紹介したいと思いますが、まずはなんと言っても望海風斗と真彩希帆、この希望コンビのデュエットのシーンですが、これは本当は二人だけで55分持たせてもいいのかと思いますけれども、さすがにしんどいと思うので(笑)、二場面に絞りまして、まったく違うシチュエーションをお客様にお楽しみいただけたらと思います。それから少し前に星野源さんの恋ダンスというものが流行りましたが、我々は宝塚で希望ダンスというのを 流行らせてみようかなと思いまして。どういうことかと申しますと、プロローグの総踊りの振り付けを客席降りをいたしまして、出演者とお客様が一緒に踊って雪組の船出を皆で祝福しようという企画でございます。ホームページやCSで事前に振り付けを放送いたしまして、そしてキャトルレーヴでグッズも販売いたしまして(笑)、購入していただいて、臨んでいただく、一汗かいていただくという企画でございます。振付は宝塚を代表する振付家の羽山紀代美先生にお願いをしております。他にも色々とございますが、あとは見てのお楽しみということで、小出しにしていきたいと思います(笑)。年末年始のお忙しい時期の公演でございますが、皆様どうか足をお運びいただきまして、この新生雪組の船出を皆さんで祝福し、そして宝塚レビューの90年、100年へ向けての船出になるよう祝っていただけたらと思います。ありがとうございました。 

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望海風斗
 皆様本日は制作発表会にお集まりくださいましてありがとうございます。雪組の望海風斗でございます。お芝居は、今までにない新たなロベスピエール像というものが生まれるのではないかと思っております。歴史的事実は変えられませんが、そこに至るまでの背景を資料を参考にしながら、生田先生の思いや、自分自身から生まれ出てくるものにしっかりと耳を傾けて、素敵な音楽に支えてもらいながら、素敵な作品になるように、大切につくっていきたいと思います。そして、今回はフランク・ワイルドホーンさんに全曲作曲してただけるということで、こんな夢のようなことがあっていいのかなと思ったんですけれども、本日生演奏で歌わせていただけて、本当に幸せな気持ちでここに立てていて、これが全曲って、どんなことになるのだろうと、今、自分自身とてもワクワクしております。 そして、生田先生にはこれまでも沢山お世話になっていて、先生の作り出す世界観や、一緒にお芝居を作り上げていく過程というのがとても好きなので、二人のお披露目公演で先生に 担当していただけるということがとても嬉しいですし、心強く感じております。 ショーの野口先生とは今回初めてご一緒させていただくのですけれども、事前に私のことをとてもリサーチしてくださっていて、そして今お話にもありましたが、この新生雪組の船出を、絶対にこのショーで盛り上げるんだという先生の熱い思いや、宝塚への愛というものをすごく感じて嬉しい気持ちでいます。先生からショーの内容のお話を伺った時に、これは皆が舞台に乗って、先生の思い描いた世界を表現したら、とてもすごいことになるんじゃないかなと予感しているので、これからしっかりと皆でお稽古して作り上げていきたいと思います。この“希望コンビ”、そして新生雪組をどうぞよろしくお願いいたします。

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真彩希帆 
皆様本日はお忙しい中制作発表にお運びいただきまして本当にありがとうございます。真彩希帆でございます。この制作発表会という場所に出させていただくのが初めてなので、今とても緊張しているのですが、 お芝居のパフォーマンスも、フランク・ワイルドホーンさんの曲に乗せて歌えて、少しホッとしております。生田先生とは、花組の時に1度ご一緒させていただいて、こうしてまたお仕事させていただくこと、とても嬉しく思っております。『ひかりふる路』の中で、私自身がどういう女性なのかということが、まだあまり分かっていない状態なのですが、お稽古していく中で、フランス革命の中で生きたひとりの女性として、ロベスピエールとの関係や、他の皆さんとの関係など、その時代を1つ1つ大切に噛み砕いて生きていけたらいいなと思います。どんな女性になるのかすごく楽しみで、とてもワクワクしています。
フランク・ワイルドホーンさんに全楽曲をご提供いただけるということで、昔から大ファンでありまして、今回曲を最初にいただいた時に、この「ひかりふる路」を私の大好きなフランク・ワイルドホーンさんの曲で、望海風斗さんが歌われるのかと、すごく幸せな気持ちになりました。そしてデュエットの曲もなんて素晴らしい曲なのだろうという、メロディーを聴くだけで涙が出てくるような、素晴らしい曲をいただきました。望海さんもおっしゃっていましたが、全曲となると、どういう風になるのかと今からとても楽しみにしております。精一杯お稽古してお客様にお届けできるよう頑張りたいと思います。そしてショーの方では野口先生とはご縁があるのか、花組の時に野口先生のバウホールデビュー作品 『フォーエバー・ガーシュイン』─五線譜に描く夢─、星組では先生の大劇場デビュー作品『THE ENTERTAINER!』をご一緒させていただいていて、そして今回またご一緒させていただけることをとても嬉しく思っております。望海風斗さんの4つの文字をメインとした場面、自分がどのような色で支えていけるのかわからないのですが、とても楽しみにショーのお稽古も重ねて、お隣にいらっしゃる望海さんに精一杯ついて、しっかりと色々なものを吸収して、楽しんで前進して出航できたらいいなと思っております。精一杯頑張りますのでどうぞよろしくお願いいたします。

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【質疑応答】

──生田先生、野口先生、新トップコンビの魅力をどうとらえていらっしゃいますか?
生田 私が考えます望海さんの魅力は、役の概念的な部分だけではなく、もちろんそれも大事なのですが、それだけではなくて内面ですね、非常にその人物の感情、エモーショナルな部分、内側を掘り返すような、内側から外に向かって表すことができるのが最大の武器だと思っております。もちろん歌唱力という形で表現される、アイテムとしては歌唱力なのですが、その本質的な部分としての、役の感情、情念を表せるというところが最大の武器だなと。その瞬間に劇場を、例えば美しいとかいうことだけでは計り知れない興奮にひきずりこむことができると思います。その彼女に何故ロベスピエールか?と言いますと、やはりトップスターになってめぐってくる役というのは、二番手、三番手の時代よりも固定される傾向があると思います。どうしても善人であるとか、良い人、強い人。ですが、望海さんの魅力が発揮されるのは、必ずしも白い役だけではないなと、『ドン・ジュアン』で感じました。また私の作品『ラスト・タイクーン』ではなんと言いますか、非常にバイオレンスなブロンソンという男性を演じてもらいましたが、もしかしたらお客様に嫌われる役柄かも知れないと思ったのですが、意外にも非常に好評をいただきました。なのでそういう部分の魅力を引き出すことができたらと思っております。
真彩さんは、『1789』のロケットの中で全員が同じ振りをしているのに、何故だか見ずにはいられない人でした。フレッシュに輝くことができる人で。その中で試みに『ラスト・タイクーン』の新人公演で、仙名彩世さんの役をやってもらったところ、たった1曲の持ち歌で役の人生を一小節ごと、一音ごとに表現できる人だということを鮮明に覚えております。そういう内側を表現できるというのが最大の魅力で、そういう意味でとても似ている、でも異質な魅力も持っている二人が、舞台上でどんな色を放つかを楽しみに仕事をしていきたいと思います。

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野口
 では、続いて私が二人の魅力を語らせて頂きますが、私は家に帰ってもTAKARAZUKAスカイステージを見てしまう、誰よりも宝塚ファンの演出家だと自負しているのですが、望海の作品を担当させて頂くにあたり、望海の過去の出演作品の映像、また特集番組など見まして、これに衝撃を受けました。彼女は歴代の宝塚の男役さんをとても研究していて、出てくる名前が汀夏子さんであったり、高汐巴さんであったり、剣幸さんであったり、更に天海祐希さんも大好きということで、私と同じ時代に宝塚を観ていたのではないか?失礼かも知れないですが、同じ匂いを感じました(笑)。その中で、彼女は宝塚の男役芸を研究しつくして、ただ好きなだけではなく自分のものにしているんです。だからこそ今この立場に上り詰めることができたのだと思います。ですから今回の作品はそうした彼女の研究の成果をすべて注ぎ込み、これぞ宝塚!という直球ストレートな「ザ・宝塚」というものを、お見せしたいと思っております。もう1点歌がうまいということがありますが、上手いということは丁寧にやることなんだということを彼女を見ていて感じます。ここまできっちり歌を歌う人は今の宝塚随一だと思いますので、その魅力を活かしていきたいと思います。
真彩の魅力は、先ほど彼女も言ってくれましたが、私の作品にすべて違う組、花組、星組、今度は雪組で出てくれるということで、研6にして5組すべてに出演している彼女は、大舞台に強く、度胸が据わっていると思います。一番びっくりしたのは私の『THE ENTERTAINER!』という作品で彼女に、ロケットをやった直後に彼女1人だけが残ってそのまま歌うというサディスティックなことを(笑)をしてもらいました。その稽古場で「これが上手くいったらロケットの後で歌うのが恒例になるから頑張れ」と言いましたところ、彼女は本当に汗ひとつかかず涼しい風でやってくれまして、彼女はどんなに大変なことでも笑顔でやってくれるという信頼感がございます。なので彼女にはチャレンジ精神があると思いますので、ちょっと難しいこともやってもらおうと思っています。

──ロベスピエールというのは、最期に処刑されるという事実がわかっている人物ですが、敢えてお披露目公演にロベスピエールを取り上げた意図というのは?
生田 宝塚ではこれまで度々フランス革命を取り上げてきましたけれども、『ベルサイユのばら』『1789』など、いずれもクライマックスは1789年7月14日なんですね。バスティーユ襲撃がメインになっていて、その後のことは『ベルサイユのばら』でも王妃マリー・アントワネットの運命がどうなるか?というところくらいでした。また『スカーレット・ピンパーネル』では、すでにロベスピエールが恐怖政治の頂点に達し、独裁を敷いているという状況。そういう訳で、理想に燃えている青年として描かれる『1789』のロベスピエール、恐怖政治の独裁者として描かれる『スカーレット・ピンパーネル』のロベスピエール、その間のこと、あの理想に燃えていた青年がなぜ独裁者となったのか、その過程が描かれたことがないということに気づき、それが望海さんがこれまで培ってきた魅力と、宝塚のトップスターとして相応しい魅力との両方を、同時に表現できる役はないか?ということを模索した結果たどり着いたところでした。理想に燃えた青年がたどる路、一番最後に彼を待ち受ける運命は歴史が回答しておりますが、その瞬間に彼が見たものはなんだっのか、本当に望んでいたものはなんだったのか、理想はなんだったのか、なぜ理想の結果が彼が望んでいなかったものになったのか、を描くことによって、この作品が望海の新たな個性を見出すものになればと思っております。

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──全曲フランク・ワイルドホーン氏の書き下ろしという、お披露目公演に相応しい大変大きなサプライズが披露されて興奮が広がっていますが、歌唱力を武器とするトップコンビ誕生に合わせて企画が進んでいたのですか?
小川 望海を劇団の中でトップスターにと決めた時に、彼女の歌、ただ綺麗というだけではなく人生と言いますか、とても色濃いものを吐き出す歌、魂から出てくる歌をイメージしました。そこから相手役に真彩を持ってきました。更に雪組の前のトップの早霧が築いてきたものを更に進化させなければいけない。更に大きな組に、と言いますと望海にはプレッシャーでしょうが、それを目指す時に我々は生田君と話し合い、劇団の中でも相談をして『スカーレット・ピンパーネル』の時に、これまでずっとフランクにお世話になってきて、彼のハート、魂も伝わっておりましたので、今回のお披露目作品に力を貸してもらえないか?と打診しましたところ、OK!と言ってくれて、すぐさま彼と生田君とで楽曲の相談に入りました。その劇団の想いを受けて、望海も頑張ってくれまして、今日初めてお披露目をしたのですが、私自身も一ワイルドホーンファンとして初日が本当に楽しみです。ワイルドホーンの音楽は、大胆でかつ細心で魂を揺さぶる曲なので、まだまだこれからが楽しみなところです。
──フランクさん、今日の楽曲披露で望海さん、真彩さんの歌唱を聞き期待することは?
実はお二人にお会いしたのは、昨夜が初めてだったのですが、私自身ラッキーなことに世界各国の素晴らしいアーティストの方々と仕事をさせていただいていますが、実際にお会いしたことがないまま曲を書くというケースしたくさんあるんですね。なので初めて合わせる時というのは何が起きるかわからないですし、更に自分の書く音楽は必ずしも歌いやすいものばかりではなくて、様々なことをアーティストさんに要求しています。それは技術的な面だけではなく、ある意味自分をさらけ出していただくこと、そして素直であることを要求します。そこで昨夜自分が耳を澄まして聞き、結果しっかりと聞こえて来たことは何かと申しますと、たたただその場に立っていただいて実直に素直に歌っていただくこと、本当にシンプルな真実というものをお二人から感じることができました。それは知能や知性からくるものではなくて、すべて心からくるものです。そしていつも言っていることですが、音楽というのは国境がないものです。ですからその音楽を私が書いた時と同じ感情や、同じ情熱を持ってパフォーマンスしていただくと、皆さんに伝わると感じています。なので私から申し上げたいのは、お二人は本当に素晴らしい歌い手であるということです。そして是非お二人にも聞いていただきたいのは、是非挑戦を、チャレンジをしていただきたい。自分が楽に感じるもの、安全に感じるものにとどまるのではなくて、是非大胆に挑戦していただいて、今まで自分が行ったことがないようなところまで行っていただきたいと思います。お二人は今の状態でも素晴らしいのですが、これから皆様がまだ見たことがないものをお目にかけられると思います。

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──全国ツアー公演を終えて、コンビとして改めて感じたお互いの印象と、今後どんなトップコンビになっていきたいか?を教えてください。
望海 一緒にお芝居を作っていったのは、今回の全国ツアーが初めてだったのですが、もともと見ていてすごくガッツで前のめりで、何があっても私が受け留めます!という感じでやってくるのかな?と思いましたら、意外と繊細で(笑)。色々心の中で感じていることを、お芝居を通じて感じることができて、一緒に公演を全国の会場でしていくうちに、心の中にあるものをもっともっと見てみたいな、という感情がわいてきたのが、自分が演じていたクロードに通じていて、すごく毎日新鮮で楽しかったです。これからも様々な役で心のうちを知っていくことがこれからあるのではないかな?という風に感じています。どんなトップコンビになっていきたいかは、あまり掲げてしまうとそれ以上のものにならないと思うので、二人で力を合わせてやっていったことが、一番良い形につながっていくのではないかと思います。すごく力のある娘役なので、その辺も頼りにさせてもらっています。
真彩 プレお披露目の『琥珀色の雨にぬれて』のシャロンという役を演じさせていただき、今この時のこの役に出会えて本当に良かったなと思いましたし、望海さんもおっしゃったように、お芝居を通して心の会話をする、心の奥を知るという経験ができてとても濃い日々だったなと思っております。下級生の頃から尊敬してきた素晴らしい上級生の方なのですが、相手役さんという立場で、どうしたらこの素晴らしさを吸収できるのか?を常に考えておりまして、望海さんからたくさんのパワーをいただいて、ますます尊敬しております。理想のトップコンビ像は、望海さんが言われたように、その時その時に感じたものを嘘偽りなくしっかりと表現して、ただついていくだけではなく、舞台に立つ1人の人間として望海さんとたくさんお話をして、同じ曲、同じ舞台を共有していくうちに、たくさんのことを知ることができたら嬉しいと思いますので、望海さんを信じて精一杯務めていきたいと思います。 

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〈公演情報〉
宝塚歌劇雪組公演
ミュージカル『ひかりふる路〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』
脚本・演出◇生田大和
作曲◇フランク・ワイルドホーン
レヴュー・スペクタキュラ—『SUPER VOYAGER!』─希望の海へ─
作・演出◇野口幸作
出演◇望海風斗、真彩希帆 他雪組
●11/10〜12/15◎宝塚大劇場
〈料金〉SS席12.000円 S席8.300円 A席5.500円 B席3.500円
●2018/1/2〜2/11◎東京宝塚劇場
〈料金〉SS席12.000円 S席8.800円 A席5.500円 B席3.500円
〈お問い合わせ〉0570-005100 宝塚歌劇インフォメーションセンター
〈公式ホームページ〉 http://kageki.hankyu.co.jp/



【取材・文/橘涼香  撮影/岩村美佳】 
 

21世紀を生きる人々に本当の幸せを問いかけるミュージカル 宝塚花組公演『ハンナのお花屋さん─Hanna's Florist─』制作発表レポート

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宝塚歌劇団花組トップコンビ明日海りおと、仙名彩世を中心とした花組選抜メンバーによる、宝塚オリジナルの新作ミュージカル『ハンナのお花屋さん─Hanna's Florist─』が、東京赤坂のTBS赤坂ACTシアターで上演される(10月9日〜29日)。

『ハンナのお花屋さん─Hanna's Florist─』は、宝塚歌劇団女性演出家のパイオニア植田景子が書き下ろすオリジナルミュージカル。デンマーク人のフローリスト・クリスを主人公に、世界中から人が集まる街ロンドンと、自然豊かな北欧を舞台に、21世紀に生きる人々が求める本当の幸せ、人生の豊かさを問いかける、ハートウォーミングな内容だ。ヒロイン・ミアが内戦の傷跡が残る旧ユーゴスラビアのクロアチアから、新天地を求めてロンドンにやってきた女性という設定もあり、物語にはAAR Japan「難民を助ける会」のメインキャラクターであり、絵本「地雷ではなく、花をください」(「難民を助ける会」会長・柳瀬房子 著・葉祥明 絵)の主人公である「うさぎのサニーちゃん」も登場するなど、21世紀の人類すべてが抱える問題も、根底に織り込まれた作品となっている。

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そんな舞台の制作発表会見が7月都内で開催され、宝塚歌劇団理事長小川友次、作・演出家植田景子、花組トップコンビ明日海りお、仙名彩世が登壇。公演への抱負を語った。

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会見はまず明日海と、仙名によるパフォーマンスからスタート。『ハンナのお花屋さん─Hanna's Florist─』に相応しく、会見場には生花が飾られ、本作の作曲・編曲を担当する瓜生明希葉らが奏でるピアノと弦楽器の生演奏と、スライド映像も加わるという豪華なしつらえの中で、主人公クリスに扮した明日海が登場。世界の人々が感じている幸せ指数が、先進国の中で極めて低いのが日本だという、やや耳の痛い話も織り交ぜつつ、SNSを通じてミアと交流する過程が、芝居仕立てで演じられていく。やがてミアも舞台に登場し、二人のロンドンの街での再会、それぞれの想いが美しく歌われて、ハートフルな作品の世界観が伝えられた。

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その後、「地雷ではなく、花をください」の作者柳瀬房子会長が紹介された後、小川理事長、植田景子、明日海りお、仙名彩世が登壇。それぞれの挨拶のあと、質疑応答に引き継がれた。

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【登壇者挨拶】

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小川
 歌劇団の小川でございます。本日はお忙しい中、またお暑い中お越しくださりありがとうございます。宝塚歌劇団は103周年を迎えております。その103周年は月組公演からはじまりましたが、おかげ様で5組共本当に多くのお客様においで頂きまして、5組共大入りを記録することができました。宝塚歌劇団の「大入り」の基準と言いますのは大変厳しいものでございまして、95%を超えませんと「大入り」とは言わないのですが、全公演全組で「大入り」となりました。これも一重に皆様のお力添えの賜物と感謝致しております。改めてありがとうございます。その中でも、やはり「花組が元気だったら宝塚は元気」だとも言われており、明日海りおが2014年の『エリザベート』で花組トップスターとなりましてから6作すべてが大入りとなっておりまして、これは花組としての新記録でございます。103年の宝塚が堅調でおりますのも、明日海を中心とした花組が引っ張っていってくれているからだと思います。そして新しい相手役の仙名と共に、今回初めて明日海の花組が赤坂ACTシアターで公演させて頂きます。私も前の仕事の時に何度か行かせて頂いたのですが、東京のど真ん中の本当に良い劇場でございます。そこで今回花組が公演させて頂ける、作品は植田景子のオリジナルでハートフルな内容になっておりまして、これを明日海と仙名がどのように演じてくれるのか、本当に今から楽しみでなりません。『ハンナのお花屋さん』で、明日海がどんな大輪の花を咲かせて、花組を彩ってくれるのかをお楽しみして頂き、どうぞ皆様のご支援を賜りますようお願い申し上げます。本日は本当にありがとうございました。

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植田
 植田景子でございます。本日はお忙しい中、またお暑い中お集まりくださいまして本当にありがとうございます。私自身オリジナル作品に取り組むのが久しぶりで、原作のあるものや、歴史上の人物を取り上げてきておりまして、完全オリジナルものというのはハードルが高いのですけれども、キャラクター、ストーリー、テーマを含めて、すべて花組の為の書き下ろしですので、非常にやり甲斐のあるものでもあります。私にとっても挑戦で、良い作品にしたいと思っています。また、明日海りおとはこれまでも色々と仕事をして参りましたが、主演として作品を創らせてもらうのが初めてで、彼女がトップスターになってから初めての作品となります。明日海のキャリアの中で、やっていそうで意外とやっていなかった現代ものの役と作品を今回やるということで、花組さんも古典で、戦いのある作品が続いていることもありまして、今回はガラッと180度違う、音楽もカジュアルポップでハートフルな作品をということで、大変悩みましたがこういう方向性になりました。また仙名がトップ娘役になってオリジナル作品の2作目、トップになって3作目ということで、今回のこの役が彼女にとっても勝負所になるものかなと思って…プレッシャーかな?(笑)そういう意味で彼女の何かを引き出さればいいなと思って作っています。先ほどご覧頂きましたパフォーマンスの台詞の録音をする為に、花組のメンバーと久しぶりに会いまして、組自体の雰囲気といいますか、底から出てくる空気感が、明日海の雰囲気そのままなのですけれども、非常に明るくポジティブなものを感じましたので、一緒にやるのをとてみ楽しみにしております。そして温かいものを10月にTBS赤坂ACTシアターから皆様にお届けできるように頑張りたいと思います。

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明日海
 花組の明日海りおでございます。この度はロンドンのハムステッドヒースでフローリストを営むクリス・ヨハンソン役をさせて頂くことになりました。私は研究科2年生の時に植田先生の『THE LAST PARTY』という作品に出演させて頂いてから、芝居が大好きになったというきっかけがありました。ですからいつか植田先生の書かれる作品でご一緒したいと思っておりましたので、脚本を書いて頂けることがとても嬉しかったです。また私の念願のお花屋さんになることができるので、あ、もちろんタカラジェンヌという職業をとても愛しているのですが、一方で幼ない頃からお花がすごく好きで、日常生活の中でお花に助けられているので、身近に感じる心を活かして作品に取り組み、共演するメンバーたちと心を通わせて素敵な作品にしたいと思います。

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仙名
 仙名彩世でございます。この度は私はクロアチア人ということで、私はこのお話を頂くまでクロアチアというのに、あまりイメージがわかなかったのですが…。
植田 こういうのね(仙名の髪飾りのバンダナの柄を指さす)。
仙名 はい(笑)。それで、色々調べていて、2001年まで紛争していたところとは思えないほどとても美しい町で、驚きました。そして今回はクロアチアからロンドンに、生きる為に働きにきた女性の役ということで、このような役は初めてで、私も振り返ってみると、現代物はあまり経験したことないです。植田先生とは『愛と革命の詩』という作品に、初めて出演させて頂きましたが、その時は酒場の女将の役をさせて頂きまして、個性的な役だったのですが、先生の作品はいつも、とても美しくて、深いものが心に響くと思っております。そんな先生の作品にこうして出演させて頂くこと、そして花組でお花屋さんというのが「なんて素敵なんだろう」と思いました。このワクワクした気持ちと、役柄上の複雑な思いもあるのですが、幸せを求めて生きている、皆さまに共感して頂けるような役にできたらいいなと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

【質疑応答】

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──宝塚がキャンペーンに協賛するのは珍しいと思いますが、その趣旨は?
小川 キャンペーンに協賛したということとは少し違いまして、まず作品のテーマがありまして、演出家の植田景子が完全オリジナルを創るということの、色々なアイディアの中から出てきたものに、ハートフルな物語に賛同して頂いたということです。内容につきましては、また植田の方から話があると思いますが、ロンドンの美しいお花屋さんのお話というだけではない、テーマも持ちつつ、お客様にはあくまでも温かい気持ちになってお帰り頂いた中に、何か残るものがあればということでございます。
植田 この作品の趣旨にご賛同を頂いて、対人地雷廃絶キャンペーンの絵本を使わせて頂いておりますが、キャンペーンありきとですとか、その目的でこの公演があるということではなくて、ヒロインがクロアチアからロンドンにやってきた人物なのをはじめ、色々な地域の様々な境遇の人たちがやってきている中で、どんな人でも幸せに生きていって欲しい、でもそれが叶わない人もいるかもしれないし、自分が幸せであることに気づかない人もいるかもしれない。そういうことを考えていた時に「地雷ではなく、花をください」に思い至り、とても魅力のあるキャラクターうさぎのサニーちゃんを使わせて頂きたい、ということでご快諾を頂きました。
──お花屋さんということで、舞台でも生花が登場するのですか?
植田 今、ここには生花を使わせて頂いていますし、ポスター撮影でも生花を使っているのですが、舞台となりますと、やはり大きさの問題やライトが当たることなどもありますので、生花は少し難しいかとも思っています。そこは如何に作り物らしくなくお見せできるかを考えています。
──明日海さん、ポスター撮影の時はいかがでしたか?
明日海 お花屋さん好きと致しましては、まだ準備中のスタジオを拝見した時からテンションが上がってしまって、撮影が楽しみで仕方がなかったです。撮影で使ったブーケは、先生がおっしゃったように生花を使って頂いたので、手にしたとたんにグッと気持ちも入って、とても香りも良くて、生花にして頂けて良かったなと。撮影後には頂いて帰りました。
──宝塚は100周年を超えて、新たなチャレンジをしている歌劇団ですが、新しい世紀に向かう演者として、気持ちの上で変化を感じていますか?また特に小川理事長になってからそのチャレンジが加速しているように感じますが、明日海さん仙名さんから見た小川理事長の人となりは?
明日海 難しいですね(笑)。やはり100周年を超えて3年が経ち、私も花組の主演男役に就任したのがちょうど100周年の時で、それから3年経ちまして、少しずつ、少しずつ見えてくるものや思うことはだんだん変化してくるのですが、やっぱりいつも心にあるのは、支えてくださるスタッフの方々の仕事の丁寧さ、そして宝塚を今に繋いでくださった先輩方のお力と愛と、紡がれたものを感じています。新世紀に向けてという思いはありますが、変わらずに真心というような宝塚ならではのものを受け継いでいくという、受け継いでいかなければならないということを逆に強く感じております。小川理事長は…。
小川 それは良いから(笑)。
明日海 よろしいとおっしゃっていますが(笑)、本当に常にお稽古を見に来てくださったり、声をかけてくださったりするので、いつも見守ってくださっているんだなと感謝しております。
仙名 今、100周年を迎えた宝塚に在籍させてもらっていますが、やはり今までの宝塚を作って、そして発展させてくださった上級生の存在、スタッフの方々の存在を、本当に強く感じていますので、その思いを更に、更に次の時代に、日々舞台を心をこめて務めることで、どんどん繋いでいけたらなと思いますし、お客さまに楽しんで頂く舞台をというのを、いつもいつも思いながら務めて参りたいと思っております。そして小川理事長は、明日海さんもおっしゃったように、稽古場にいつも見に来てくださって、そういう気持ちが皆に伝わってとても励みになっていると思います。ですからこれからも見に来てください(笑)。そして皆の頑張る姿を見て頂ければ、これからもよろしくお願いします。
──明日海さんと仙名さんから理事長への言葉がありましたので、理事長からお二人のコンビに期待するところを教えてください。
小川 特に明日海自身が、本当に責任感があって、一途に芝居をやってくれます。本当に芝居が好きな生徒だな、そこが輝いているなと思います。仙名もまたそんな明日海と組んで2作、余裕が出てきたなと思っております。宝塚歌劇団は1つの作品を出す時に「これまでの最高の作品を」というつもりで、演出家、スタッフ、出演者共に出しているのですが、そこにやはり生徒の資質や思いが出てくるものですから、明日海が更に良くなってくれていることが、仙名と共に更に花組が良くなっていることにつながります。歌劇団もますます期待しているので、どんどん進んでいってもらいたいなと思っています。

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──明日海さんは、ファンの方なら知らない人がないというほどのお花好きで、毎日お花屋さんに立ち寄って帰られるという方ですが、植田先生は作品創りの折にそのことがヒントの1つになったのでしょうか?また明日海さんは、お花屋さんの作品をやるということを聞かれた時はどうでしたか?
植田 実は今回、企画がたくさんありまして、TBS赤坂ACTシアターでやるということで、色々考え、海外ミュージカルの話もありました。赤坂の真ん中でやるというのは宝塚大劇場とは空気感も違いますし、私自身も大劇場でやるものとは違う方向性のものをと、いま流行っている日本の小説とか、どういう内容にするか、今までで一番時間のかかった企画でした。それで、すごくすごく悩んだあとに、プロデューサーに話していて、ふと「最初に明日海りおさんで現代もの、と言った時にイメージしたのは『花屋の王子様』だったんですけどね」と言いましたら、プロデューサーたちが「それ、いいじゃないですか!」と。すみません、こんな簡単に決まったと誤解して頂きたくはないんですが(笑)、私としては「花組で、花屋の王子って、ベタですよ」と言ったのですが、「絶対キャッチーです、ファンの人は見たいです!」と言われまして(笑)。プロデューサーはいそいそと、「以前『宝塚GRAPH』で撮った明日海の花屋の写真があります!」と持ってきてくださって、またそれが似合っていて。私自身もお花は大好きですし、お花をテーマにした作品は言葉もどんどん出てくるし、「そうなのか!花屋の王子でいいんだ」というところから企画の第一歩が決まったということです。
明日海 そうですね。次の公演がどうやらお花屋さんになりそうだとプロデューサーに伺った時には、本当にびっくりしてしまいました。私も色々な取材の度に、花を飾るのが趣味だ、お花屋さんに行くのが大好きだと申し上げていましたら、『宝塚GRAPH』の編集さんがお花屋さんになる企画を立ててくれまして、エプロンをつけて撮影して、夢が叶ったなと思っていましたので、まさか今度は舞台の上でお花屋さんになれるなんて、本当に今まで宣伝してきてよかったな(笑)、と思いました。今回のクリスはとても頭のいい人で、良いい大学を出て、でも突然お花屋さんを持ちたいと目指す。そして花屋も軌道に乗り出してきて、今求めているものは、幸せとはなんだろうと考える時期にいるんですね。私もタカラジェンヌになりたいと家を飛び出し、新人公演の主役をしたい、いいお芝居をしたいというような思いを重ね、「男役10年」をすぎ、花組に組替えしてと、クリスとリンクするような気持ちがたくさんある感じがしていて。クリスも故郷のデンマークを離れてロンドンにきていますし、私も故郷の静岡を離れて宝塚にやってきましたので、そういうリンするところを活かして演じられたらと思っています。

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──仙名さんとの新コンビとなって、2作品が過ぎましたがお互いの魅力は?
明日海 今まで相手役として組む前は、私が『ME AND MY GIRL』という作品に最初に出た時に彼女は初舞台生で、首席で入団しておりまして、とっても優等生のイメージで。そして、私が花組に参りました時にはとてもエレガントな娘役さんだなと。パワフルさと大人っぽさを持ち合わせている人だなと思っていたのですが、いざ組み始めてみると、意外とテンパるところだったり(笑)、あたふたする瞬間があったりして、可愛らしいなと思ったり。でも普段から、もちろん芸事はしっかりやってくれていますし、私が疲れないように、たぶん本当はすごくしっかりしてるんですけれども、私にあわせてボケボケふわふわしてくれるような、気遣いをしてくれるところが魅力だな、できる人だなと思って過ごしております。
仙名 初舞台の時にご一緒させて頂いて、それから明日海さんが花組に来られてまたこうして一緒に舞台に立てているということが夢のようで、幸せに思います。明日海さんは、ここでは語りつくせないほどの魅力がたくさんあります。今お芝居やショーで組ませて頂く中で、明日海さんが、相手との心の交流であったり、その時生まれたもの、空気感やアイコンタクトなどを、ずっと大切にされてきたんだろうなというのが伝わってきます。その根底には舞台に対する愛情や、人に対しての心の底からの信頼や感謝や、色々なものが今の明日海さんの中にあるのだなと思うと、私もそうなりたいと思いますし、尊敬できる明日海さんの隣で相手役をさせて頂けることをとても幸せに思います。これからも二人で素敵な作品を作れるように明日海さんについて頑張っていきたいと思います。

〈公演情報〉
宝塚花組公演
ミュージカル『ハンナのお花屋さん─Hanna's Florist─』
作・演出◇植田景子
出演◇明日海りお、仙名彩世 ほか花組
●10/9〜29◎TBS赤坂ACTシアター
〈料金〉S席8,000円 A席6,000円
〈お問い合わせ〉宝塚歌劇インフォメーションセンター[東京宝塚劇場] 0540-00-5100
公式ホームページ http://kageki.hankyu.co.jp/



【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】



妃海風コンサート2017


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「三銃士」を全く新しい発想で描く宝塚月組公演『All for One〜ダルタニアンと太陽王〜』制作発表レポート

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珠城りょう率いる宝塚月組が、デュマの古典名作「三銃士」で知られる登場人物たちに扮し、時代も設定も飛び越え、小池修一郎の新たな発想で冒険活劇を繰り広げる、三井住友VISAカードシアター、アクション・ロマネスク(浪漫活劇)『All for One〜ダルタニアンと太陽王〜』を上演することになった(兵庫・宝塚大劇場で7月14日〜8月14日、東京宝塚劇場で9月1日〜10月8日の上演)。

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『All for One〜ダルタニアンと太陽王〜』は、本来ルイ13世時代に活躍した、銃士隊のダルタニアンと「三銃士」を、ルイ14世の時代へとスライドさせ、太陽王と呼ばれたルイ14世が治めるフランスで、銃士隊1の使い手ダルタニアンが、王の剣の相手に任命されたことから、ブルボン王朝を揺るがす王の秘密を知ってしまい、そのルイ14世の為に立ち上げるダルタニアンと、共に戦う三銃士との友情、敵対する勢力との確執を、壮大なスケールで描き出す浪漫活劇。海外ミュージカルの潤色・演出を含め、多くの作品を手掛ける小池修一郎の『眠らない男・ナポレオン─愛と栄光の涯に』以来の、オリジナル書き下ろし作品であることと共に、多彩な人材の集まる月組での公演に大きな期待が集まっている。

そんな作品の制作発表会見が、5月31日都内で行われ、宝塚歌劇団理事長小川友次、公演の冠協賛会社である三井住友カード株式会社代表取締役社長久保健、作品を担当する宝塚歌劇団演出家の小池修一郎、出演者を代表して宝塚歌劇団月組トップスター珠城りょう、トップ娘役愛希れいか、男役スター美弥るりか、月城かなとが登壇。公演への抱負を語った。

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会見はまず、出演者のパフォーマンスからスタート。「三銃士」の1人アラミスを演じる美弥るりかに加え、アトスを演じる宇月颯、ポルトスを演じる暁千星も登場し、お馴染みの「三銃士」が勢ぞろい。大胆不敵なポルトス、沈着冷静なアトス、そして、世紀の色男アラミスが、三人のくっきりと異なる個性で、一気に作品世界へと誘う。そこへ、珠城りょう演じる無敵のヒーローダルタニアンが登場し、剣を交えた4人が颯爽と歌い踊る姿は、まさに「 All for One One for All」の世界。冒険活劇に相応しい主題歌も場を盛り上げる。

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そこへ、月城かなと演じるベルナルドが登場。ダルタニアンと三銃士の前に立ちふさがるマザラン枢機卿の甥という設定が明かされ、ダルタニアンとの闘いのあと、専科の沙央くらまが演じるモンパンシェ公爵夫人も登場。二人がダルタニアンと三銃士たちを陥れる策を練ることが予見される展開が繰り広げられた。

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すると、金色のバレエ衣装に身を包んだルイ14世役の愛希れいかが仮面をつけてあらわれる。剣の稽古を促すダルタニアンを、ダンスのレッスンに夢中で相手にしない王という、月組のトップコンビの意表をついたこの作品ならではの関係性に、興趣が募る。
最後はまた華やかに「 All for One One for All」と歌い上げる主題歌のテーマが響き、出演者全員が登場。これからはじまる新しいドラマに期待の高まる迫力あるパフォーマンスとなっていた。


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そこから、舞台は記者会見へと移り、まず登壇者の挨拶、そして質疑応答へと引き継がれた。

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月城かなと、美弥るりか、小池修一郎、久保健、小川友次、珠城りょう、愛希れいか 

【登壇者挨拶】

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小川
 皆さん本日はお忙しいところ月組の記者会見にご列席を賜り本当にありがとうございました。歌劇団の小川でございます。また三井住友カード様には今回も冠公演を賜りまして本当にありがとうございます。おかげ様で宝塚歌劇は2017年の103周年も順調にたくさんのお客様に来て頂いております。ご存知の通り今年の宝塚での正月公演は、この月組の『グランドホテル』『カルーセル輪舞曲』で開けまして、本当に大好評を賜りました。先日も雪組のトップコンビのサヨナラ公演が大劇場でありましたが、我々も更に!という思いでございます。そして私の考えとしては(新トップの)2作目が非常に重要なんじゃないかなということで、今回万難を排して小池先生にお願いをしたところでございます。
今回は小池先生の新作の書き下ろしでございまして、小池先生の新作書き下ろしで思い出しますのは、100周年のお正月公演、皆様ご存知の『眠らない男・ナポレオン─愛と栄光の涯に』でございますが、それ以来の書き下ろしでございますので、期待しているのは私だけではないと思っております。
後でご紹介もあると思いますが、三井住友VISAカード様には、今回で43回目の冠を頂戴しておりますが、小池先生の作品としては15作目のVISAさんの冠という、記念の公演でもございます。明日から宝塚で稽古を開始するのですが、作品の中身は小池先生の頭の中でございます。明日台本ができてくるかどうか楽しみなのですが、初日は7月14日、フランスの記念日でございますので、皆様と共に私も初日をワクワクして待っておりますので、どうぞご支援賜りますようよろしくお願いします。本日は本当にありがとございます。

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久保 ご紹介に預かりました三井住友カードの久保と申します。協賛各社を代表してご挨拶申し上げます。「One for All All for One」という言葉は宝塚に一番相応しい合言葉ではないかと思います。今ラグビーの世界では精神として言われておりますが、我々は子供の頃から親しんで参りましたデュマの「三銃士」、先ほどのパフォーマンスにもありましたけれども、4人の剣士が剣を重ね合わせて「One for All All for One」というシーンが非常に印象的でございまして、これはまさに日本人向きだなと。やはりチームワークと自己犠牲を良しとする日本人の心に一番刺さるんです。
日本で言いますと同じようなものに「南総里見八犬伝」がありますけれども、日本人が大好きな勧善懲悪、大冒険スペクタクルであり、今から大ヒットが予想される、待望の期待作品、しかもこれを小池先生が書き下ろして頂けるということで、更に期待が膨らんでいるというところでございますが、まぁ実はスポンサーでありながら、何も中身はわかっておりません(会場笑い)。何も知らんで金を出すのかと言われるかも知れませんが(会場爆笑)、私が知っている「三銃士」とはずいぶん違うなぁというのがありました。
だいたいまず若きダルタニアンというのはルイ13世時代ですよね。それがルイ14世の時代、ずいぶんダルタニアンは年をとっているような気がする、若きダルタニアンとルイ14世は30年〜40年くらいの差があります。で、太陽王を娘役のトップが演じる?これはいったいどういうことかな?と思いますし、ルイ14世というとレオナルド・ディカプリオの「仮面の男」の鉄仮面の話、王が入れ替わるみたいなものもあるので、これが(あらすじにある)ブルボン王朝の秘密なのかな?とも思いますが、そういうものが入っていながら、時代が全く違う。「ベルナルドって誰だ?」(笑)と思いましたら、先ほど月城さんが出てきて、ベルナルドはマザラン卿の甥か!ということとか、だんだんわかってきているのですが、実は結末もまだわかっていないということで、やはりこの「三銃士」は日本人がとても楽しめる題材で、それがとんでもなくぶっ飛んだ「小池ワールド」になるという、どういう展開になるのか今から興味津々です。スポンサーでありながら1ファンとして先行きにワクワクした気持ちを持っています。こういう機会を与えてくたさいました小川理事長はじめ、関係者の皆様方には熱く御礼を申し上げたいと思います。 
月組を今回協賛させて頂くということでございますが、月組のトップは『グランドホテル』でデビューを飾られた珠城りょうさんでありますが、素晴らしいデビューを飾られました。今度は若き野心家のダルタニアン、これは一番オーラが発せられる役どころであると思いますので、ここでまさしく珠城さんの魅力が炸裂するのではないかと思います。それから美弥るりかさんはアラミス役でございますが、アラミスという役は私の知る限りにおいては女ったらしなんだけれども宗教家を目指している、という二面性を持った非常に難しい役でありまして、『グランドホテル』のオットー役で非常に好演されまして、こういう繊細さのある役というのは美弥さんにしかできないと思います。

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それから娘役の愛希れいかさんが何故か太陽王になるということで、男になるのか女になるのかよくわかりませんけれども、元々愛希さんは男役から娘役に転身されましたし、非常に踊りは得意でいらしゃいましてダイナミックな踊りをされますので、この太陽王の踊りというのも非常に興味深いところであります。月城かなとさんに至っては雪組から組替えされたばかりということで、月組の月城というおさまるところにおさまったなと。何しろ美しすぎる男役と言われていた月城さんが加わって、ただでさえ若い月組に新風を巻き込むということで、今後の月組自体がどういう風になるのか、他の組とは全く違う新しい特徴を出して頂けるのではないかなということで、非常にワクワクしております。
そういう中で興味は尽きませんが、間違いなく言えるのは小池さんの世界で、歴史に名を残す名演目になるのではないかと期待しております。私がそう期待致しますのは、たまたま私共の会社が創業50周年でございまして、宝塚の100周年には遠く及ばないのですが、50周年の記念にあたってこの素晴らしい名作に協賛させて頂けるというところに、今から限りない名誉を感じておりますので、これから台本ができるところですから(会場爆笑)、実際には生徒さんがこれから、どういうことをされるのかわからない中で緊張感をもってやられるというところで、お稽古も大変だとは思いますが、是非素晴らしい本番を迎えられますよう期待したいと思います。私共三井住友カードも、先ほど43回目の協賛だと言って頂きましたが、宝塚と共に最もお客様に近い存在でありたいと願い続けております。そういう気持ちも込めまして、我々も万難を排してこの作品を応援したいと思いますので、よろしくお願い致します。

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小池 (久保社長の挨拶に)素晴らしいですね。ここまで何の紙を見ることもなく、即興でこれだけご紹介を頂きまして本当にありがとうございます。たいしたものでございました(会場笑)。と申しますのは、それぞれの特徴ですとか、作品のセールスポイントを全部言ってくださいました。
今簡単に申し上げると「三銃士」の物語をベースにしようと思いましたのは、タイトルにもあります「 All for One」そして社長のおっしやった「One for All」も含めたラグビーの合言葉にもなっておりますが、色々な翻訳がありまして、中には「一心同体」という四文字熟語に直しているものもあって、これが今の、そしてこれからの月組の目指すところになったらいいなと思っています。珠城りょうはトップに就任致しまして2作目、また月城かなとが雪組から参入して新たな体制でいくというところでございます。珠城りょうに関して私は、おおらかなオーラを持ったスターとして活躍して欲しいという思いがございますので、まぁ比較的これまて死ぬ役が多かったということがわかり、これまで主役をしたものとか、脇で出たものも、元々真面目な人ですから、重たい責任を果たすという役が多かったように思います。そこで少しのびのびできるものが良いかな?と思ったのと、今、申し上げたように新しい体制であるというところで「三銃士」をベースにしたら面白いものになるかなという風に思いました。
それぞれのキャラクターについては、(久保社長が)すべておっしゃってくださいまして、特にアラミスの解説に関しては見事なものでございました。宗教家の面もあり、美弥るりかならではのちょっとドキドキもある、あるという風に予定しております(笑)。ベルナルドに関しては敵役ではあるのですけれども、これは勧善懲悪ではあれ、社会正義で悪を駆逐するというよりは、17世紀フランス革命の100年以上前の物語でございまして、ルイ14世が新政をはじめる、だいたいルイ14世が20歳になるくらいの頃、というのに設定して、史実と、史実でない部分とを混ぜて作っております。
「三銃士」の物語自体が、デュマの前に別の作家が書いた物語があり、更にその前に実在の人物がいる、ですから実在の人物の伝記があり、それをもとに書いた作家がいて、更にそのもっと後にデュマが「三銃士」という物語を書いたということでございますので、色々なバージョンがあり、色々なエピソードがございます。これは私共がキャラクターとして有名なダルタニアンと他の3人というものを含めて、物語を作ってもよいのではないかと思いました。

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宝塚歌劇でも「三銃士」をベースにしたものは、これでたぶん4回目か、5回目ぐらいなんです。戦前からございまして、今回の為に阪急の池田文庫から資料を取り寄せましたら、色々なものを送って頂いてびっくりしたのですが、中でも一番驚いたのは白井鐵造先生が昭和30年代に、マル・サチ・オソノと言われたゴールデントリオを売り出す為に「三銃士」をやって大ヒットしたというのがあり、それは私も聞いたことがあったので改めて見ましたら、マルさんと呼ばれた那智わたるさんがダルタニアン、オソノさん藤里美保さん、サチさん内重のぼるさんといて、4人目は誰なんだろう?と思いましたら、これがいないんですね。ダルタニアンを入れての「三銃士」になっていて、確かポルトスがいなかったと思います。そういう風なところからも、私の大先輩である白井先生がそういう風になさっている、そうか!とちょっと逆に名作のどこを使おうかと思っていたのが、そういう大胆な脚色を先達もやっていたんだなとすごく感じました。
今回、皆さんが謎だと思っていらっしゃるのが、愛希のルイ14世、先ほどのお話にもありましたように「鉄仮面」と同じようなプロットがございますが、ただそれが愛希が一人二役をやるのかどうかはちょっと今は伏せておこう、その方が良いね、とさっき珠城りょうとも話しましてそういうことに致しました。秘密の部分に関しましては皆さん色々ご想像なさっているでしょうし、それはかなりあっていると思います(会場笑)。ですので、それを楽しみにとりあえず初日まで引っ張った方が良いかなと思っております。そして、あと今の言い方ですと、これは確かに「トンデモ三銃士」と言われるでしょうが、今から50年以上前に白井先生が「三銃士」をベースに自由なファンタジーを宝塚で作られて、それを大変お客様がお喜びになったというところからすると、私も今の月組のメンバー、ここには登壇しておりませんけれども、先ほどパフォーマンスに登場したメンバーを含め、更に70名以上いると思います月組全員一丸となって、「 All for One One for All」と言えるものを作りたいなと思っております。
あまり頭を悩ませて考え込むものではなく、娯楽として楽しんで頂けるものができればなと。ちょうど宝塚大劇場は夏休みでございますので、今、宝塚もファミリーランドがなくなって、あまり季節感というものはなくなったのですけれども、私などは長くおりますので、正月公演、春の公演、夏の公演というのは、娯楽性、エンターテインメント性の高いもので、願わくは多くの世代の方に楽しんで頂けるものがいいのではないかと思っております。ちなみにやっぱりそういうものをやりますと、もっとこうぐっと深刻なものですとか、濃いメロドラマや、純粋な悲劇を観たいというご意見も必ず頂くんですけれども、私は知らなったのですが、愛希さんは98年にやった『エクスカリバー』を観て、宝塚に入りたいと思われたと。 

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愛希 はい、そうです。
小池 またこれは皆さん出てくださった、龍真咲さんの時にやった『PUCK』というものも、龍さんが子供の時に涼風真世さんがやった初演を観てやりたいと思ってくれたということもあり、やっぱり宝塚歌劇を志してくださる少女たちの中には、夢とか希望とかの要素が必要であると思っています。今回の作品は、色っぽいアラミスもおりますので、あまりそういうことはできないと思いうんですけれども、でもトータルにエンターテインメントとして面白いものができれば、VISAさんのご期待にもお応えできればと。VISAさんの冠公演の時には、大人の男性が多く客席にいらっしゃるというのが凄く感じられますので、そういった方々が「宝塚か」と思って観にいらしても、帰る時には、ちょっとワクワク、活力と元気をもって帰って頂けるようなものが作れたらいいなと思っております。すみません、今日は私断罪の場のようでございまして(会場笑)、このように皆様にお集まり頂いていて、本当に恥ずかしいなと思いますけれども、でもその中で、この作品が1つのエンターテインメントとしてお心に届けばと思っております。よろしくお願い致します。

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珠城 皆様本日はお忙しい中このようにお集まり頂きましてありがとうございます。宝塚歌劇団月組の珠城りょうでございます。今回「三銃士」のダルタニアンをさせて頂くということで、まず小池先生の完全オリジナルな作品だというお話を伺った時に、すごく嬉しかったです。個人的に私は小池先生にご縁があり、月組としてもご縁があるのですけれども、今まで出演させて頂いた作品の中でも、自分が200%の力を出して挑まないと乗り越えられないような、壁を与えて頂いたと言いますか、そういう状況を作って頂いて、自分と闘いながら頑張る、立ち向かっていくという機会をたくさん与えて頂いたので、本当に小池先生と今まで一緒にお仕事させて頂いた機会は、自分にとって全部プラスになっていることだったなと思っておりました。
今回トップになって2作目ということで、新たに小池先生のオリジナルの作品をさせて頂けるということで、大変うれしいです。また、個人的に私は「三銃士」のお話が非常に大好きでして、映画などでも冒険活劇がすごく好きで、観ていてスッキリするような爽快感のある物語が大好きでした。その中で「三銃士」ダルタニアンの役をさせて頂けるということで、すごくワクワクしております。先ほどパフォーマンスをご披露させて頂きましたが、最初に音楽を聞いた時にも非常にワクワクしましたし、歌詞ですとか、音楽の方向性がとても希望に満ち溢れていて、それが「 All for One One for All」自分の為にではなく、誰かの為に、皆の幸せを勝ち取る為に皆で力を合わせようという作品の大きなテーマというのが、観に来てくださるお客様に強いメッセージを感じて頂けるような作品になるのではないかな?と思いますし、きっと皆様にはほっこりして頂けるような場面もたくさん盛り込まれてくるのではないかな?と思っております。そして愛希とはコンビを組んで2作目なのですが、きっと今回のこの作品も私と愛希だからこそできる、というそういった内容の作品になっているくると思いますので、そちらの方も楽しみにして頂けたらなと思います。また、今回一緒にパフォーマンスをさせて頂いた、沙央さん、宇月さん、暁、そして今の月組のメンバーと共に、夏なのでスッキリ爽快感のあるような、パワフルな舞台をお届けしていきたいと思っております。最後になりましたが、今回三井住友VISAカード様にご協賛頂けましたことを、熱く御礼申し上げます。ありがとうございます。

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愛希
 本日はお忙しい中お集まりくたさいまして、誠にありがとうございます。愛希れいかでございます。今回ルイ14世役をさせて頂きます。またこのような新しいお役に挑戦させて頂けますことを、とても嬉しく、緊張やワクワク、どんな感じになるんだろう?と色々な気持ちがありますが、すごく嬉しいです。そして先ほど小池先生もおっしやっていましたが、私は先生の作品『エクスカリバー』を観て宝塚に入りたいと思いました。そんな小池先生の作品で、すごくファンタジーな作品になるのではないかな?とパフォーマンスをさせて頂いて思いましたので、そのような作品にまた出演できるということをとても幸せに思います。たくさんのお客様に夢と希望と、そして先生もおっしゃっていましたが、観終わった後にワクワクして頂けるような舞台ができたらなと思います。精一杯頑張ります。どうぞよろしくお願い致します。

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美弥 本日はお忙しい中お集りくださり誠にありがとうございます。三銃士のアラミス役をさせて頂きます美弥るりかでございます。先ほどご紹介があったように、世紀の色男ということで「世紀」がつきますと、とんでもない色男なんだなということでよろしいのですよね?(小池に確認し、応諾を得る)
今まで小池先生の作品の中では、先生が色気を引き出してくださると言いますか、それを必要とされる役が多かったですし、あとは正義と悪に分けたらたいてい悪チームに私はおりましたので、こうしてこの度、りょうちゃん(珠城)演じるダルタニアンと一緒に、正義として、立ち向かえる一員になれたということは、自分自身配役を聞いた時には驚きもありました。また、そういう新たな役のジャンル、三銃士の一員としてこの舞台に参加できますことをとても楽しみにしております。
あとはやはり色気ということで、女性関係は華やかなんでしょうか? そして久保社長にご説明頂きましたように、二面性もあるということで、まぁたぶんあるのでしょう(会場笑)、と思いますし、世界中で愛されているこの「三銃士」という題材を小池先生が、素敵に面白く描いてくださると思いますので、そこにアラミス役として一生懸命取り組んでいきたいと思いますし、珠城りょうちゃんがトップになり2作品目でもありますし、今回こうして月城が組替えしてきまして、本当に今月組は、エネルギーがたくさんある組だなと私自身も感じておりますので、きっと月組が良い状態でこの作品に挑めると思います。皆様に楽しんで頂ける舞台を目指して、頑張って参りたいと思いますので、よろしくお願い致します。

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月城
 皆様本日はお忙しい中お集り頂きましてありがとうございます。ベルナルド役を演じます月城かなとでございます。小池先生の作品に出演するのは『るろうに剣心』以来で、あの時に演じました蒼紫という役は、自分の中で本当に大きなターニングポイントになりました。そして今回は私にとって月組に組替えして初めての大劇場作品となりますので、珠城さん率いる月組の空気をしっかり感じて、皆様に楽しんで頂ける作品になるよう精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願い致します。

【質疑応答】

──今のところ予想できるのが、愛希さんの宮廷バレエシーンと、美弥さんのセクシーシーンなのかな?と思いますが、そういう場面があるのかどうかを教えてください。
小池 いえ、ダルタニアンを中心に、周囲の皆で闘うシーンもありますよ!
──全体としてはコスチュームプレイになるかと思うのですが、珠城さんのお衣装などはデニム生地のようで少しポップな感じですが、作品の全体のトーンは?
小池 作品のトーンはポップなものになってはおりますが、それは「折衷」ということで、100%そうではないと思います。衣装もすべて新調する訳ではないので、色々なものが出てくると思いますし。物語に関しては、本当にあまり言うとあれなのですが、ルイ14世の剣の先生にダルタニアンが選ばれていくというところが、物語の頭の方でございます。で、ダルタニアンがルイ14世に剣を教え、そこから色々なことが起きていくんですね。そのままはやりませんが、当時あった史実に「フロンドの乱」というクーデターのようなものがあったのですが、それをちょっと入れたりもしていますが、時代設定が「トンデモ」でございますので、嘘でございますので、その事件は彼が10歳くらいの時に起きたことなのですが、それを彼が成人したくらいの時代の頃に1つにまとめてしまっております。そして、かつ「三銃士」の話は先ほど久保社長がおっしゃったように、本当はルイ13世の時のことなのですが、14世の「鉄仮面」から20年ぐらい離れております。デュマの作品からすると、また実在の人物たちの年齢からするとですね。ですから、ルイ14世の時代に彼らがいて、ダルタニアンは銃士隊の中で一番の使い手であると認められた、よくごぞ存知の「三銃士」の物語のあと、という設定でございます。(ここで司会者から「台本はできているのですか?」という問いが改めてあり)いやいやとんでもございません(会場笑)、こういう場でこういうお話をして根本的によろしいんでございましょうか、すみません(平謝り)。

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──では、視点を変えて小池作品の魅力を皆さんどう感じておられるか教えてください。
小川 やはり皆さん小池先生の作品を観ておわかりだと思いますけれども、観る前からワクワクさせて頂ける。そしてこの宝塚大劇場、東京宝塚劇場、大劇場は2500人の、世界で一番大きい専用劇場ですので、そういう大きいところで魅せられるエンターテインメント、それは小林一三があげておられた、家族、多くの年代で楽しんで頂ける舞台を、小池先生はされているんですね。やはり今、東京宝塚劇場では『THE SCARLET PIMPERNEL』をやって頂いておりますけれども、先ほども言いましたように、この2017年、103周年の宝塚として「これを観てください!」と言える、No1の作品として我々が三井住友カード様にご提案をさせて頂いて、ご承認を頂いて冠協賛を頂いている。そういう意味合いで我々は小池先生にやって頂いています。宝塚の歴史の中でもそういう作品をやって頂いてきていますから、宝塚を本当に愛して頂いています。
珠城 私もワクワクするという点では理事長と一緒なのでけれども、私が客観的に先生の作品、例えば違う組の方の作品を観に行かせて頂いて、いつも小池先生の作品ですごく好きだなと思うのは、セットや照明の使い方です。映像も使われたりですとか、観ている側の人間の想像力を掻き立ててくれるような舞台の運びになっていて、そういったところが観ながらもワクワクドキドキして、魅力的で好きです。また出演している側から申しますと、それぞれの生徒の特性をすごく先生がわかってくださっていて、その生徒にあった役であったり、はたまた、今回こういう役をやったらもっと成長できるのではないか?と挑戦できる役を与えてくださったりですとか、色々なものを与えてくださるので、先生の愛情をすごく感じます。また、大劇場公演となりますと、70人以上の生徒がおりまして、大人数の群舞ですとか、大人数が出てくる場面の人の使い方なども、いつも素晴らしいなと思って、常々先生の愛情を感じております。
愛希 先生の作品は大好きで、幅拾い年齢層、子供にも、受験生にも、大人の方々にも楽しんで頂ける、すごく共感しやすいものだなと思います。そして、いつまでも思い出に残る感覚がすごくあります。宝塚は夢の世界ですけれども、その夢を再現してくださる、夢の世界という感じがするのが私はとっても大好きです。

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美弥 私が思う魅力は、幕が開いてから徐々にお客様の心を舞台にお連れするのではなく、プロローグの幕が開いた、ライトが点いたその瞬間から、お客様が作品に入れるスタートのしかたというのが、すごく魅力だなと思います。人物の紹介の仕方、音楽、照明、セットすべてだと思うんですけれども、すべてがエンターテインメントとしての完成度が高く、お客様の心をぐっとつかんで離さないような作品の始まり方というのがいつも素晴らしいなと思っております。そこから最後まで、お客様を作品の世界観から外さないと言いますか、物語の進め方、スピード、タイミングがすごく大切だと思うのですが、次の場面で誰が出てくるとよりお客様の心がつながっていくかとか、誰もがわかるような流れに添って作ってくださるのも、ミュージカルという形として先生の作品の魅力だと思います。また、皆も言っていましたが、私にとっても先生の作品で頂いた役は、自分にとって思い返せばとても大切な役で、あの役に出会えたから成長できて、今の自分があるんたなと思えるような役を生徒1人1人に与えてくださる。ここにいるメンバーだけではなくて、皆もそう思って、先生の宝塚への愛情、生徒に対する愛情に感謝の気持ちでいつもいっぱいです。
月城
 私が思う魅力は、出演者側から申しますと、先ほどもお話しましたように小池先生の作品が非常に大きな思い出になりましたので、お稽古は本当に緊張感にあふれた厳しいお稽古なのですけれども、公演が終わった後には必ず手応えを感じられるものになっているので、今回もそうなれるように精一杯頑張りたいと思います。

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〈公演情報〉
宝塚歌劇月組公演
三井住友VISAカードシアター アクション・ロマネスク(浪漫活劇)
『All for One〜ダルタニアンと太陽王〜』
脚本・演出◇小池修一郎
出演◇珠城りょう、愛希れいか 他月組
●7/14〜8/14◎宝塚大劇場
〈料金〉SS席12.000円 S席8.300円 A席5.500円 B席3.500円
●9/1〜10/8◎東京宝塚劇場
〈料金〉SS席12.000円 S席8.800円 A席5.500円 B席3.500円
〈お問い合わせ〉0570-005100 宝塚歌劇インフォメーションセンター
〈公式ホームページ〉 http://kageki.hankyu.co.jp/



【取材・文・撮影/橘涼香】



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平成のゴールデンコンビ 早霧せいな&咲妃みゆ退団公演『幕末太陽傳』『Dramatic“S”!』制作発表会見レポート

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当代の人気コンビとして雪組を牽引してきたトップコンビ早霧せいな、咲妃みゆの退団公演となる宝塚雪組公演かんぽ生命ドリームシアター ミュージカル・コメディ『幕末太陽傳』かんぽ生命ドリームシアター Show Spirit『Dramatic“S”!』が、宝塚大劇場で4月21日〜5月29日、東京宝塚劇場で6月16日〜7月23日に上演される。

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かんぽ生命ドリームシアター ミュージカル・コメディ『幕末太陽傳』は、鬼才川島雄三監督が1957年に発表した、日本映画史に燦然と輝く同名代表作を、宝塚歌劇団が初めてミュージカル化して上演する話題作。「居残り佐平次」を中心に「品川心中」他いくつかの古典落語を組み合わせ、実在した品川の遊郭・相模屋を舞台に起こる様々な人間模様を、軽妙なタッチで描いた傑作映画を、小柳奈穂子がどう宝塚ミュージカルとして仕上げるのかに、大きな注目が集まっている。また、かんぽ生命ドリームシアター Show Spirit『Dramatic“S”!』は、ショースター(Show Star)として輝く早霧せいな(Seina Sagiri)が率いる雪組(Snow troupe)の魅力を、共通する「S」をキーワードに詰め込んだショー作品で、中村一徳が作・演出を担当。早霧&咲妃コンビの卒業と、この公演で初舞台を踏む103期生のお披露目(宝塚大劇場公演)という、宝塚が織りなしてきた歴史が交錯する作品として、深く記憶に残ることは間違いない公演となる。

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そんな公演の制作発表会見が1月16日都内で開催され、宝塚歌劇団理事長小川友次、かんぽ生命保険取締役兼代表執行役社長石井雅実、宝塚歌劇団演出家の小柳奈穂子、中村一徳、そして出演者を代表して雪組トップスター早霧せいな、トップ娘役咲妃みゆ、二番手男役スター望海風斗が登壇。公演への意気込みを語った。

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会見は、早霧せいな、咲妃みゆ、望海風斗による『幕末太陽傳』のパフォーマンス披露からスタート。品川に実在した遊郭・相模屋が建っていた場所の、現在の様子を語る軽妙なナレーションから、佐平次を演じる早霧が登場。作品に相応しい軽快な音楽に乗せて「居残り佐平次」の生き様を歌う。そこから曲調はメロディアスに変化。相模屋の女郎おそめを演じる咲妃、幕末の英雄高杉晋作を演じる望海が加わり、思い出を胸にまだ見ぬ冒険の旅に走りだそう、今旅立とうという趣旨の、宝塚を卒業していく早霧と咲妃にもオーバーラップする歌詞が切なくも美しく歌われて、公演への期待を掻き立てた。

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続いて、出席者全員が登場。まずそれぞれからの挨拶があった。

【登壇者挨拶】


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小川友次理事長
 本日はお忙しいなかこのようにたくさんの方にお集り頂きまして誠にありがとうございます。またこの早霧せいなと咲妃みゆの卒業公演にご協賛を頂きましたかんぽ生命保険様に、改めて感謝申し上げます。宝塚は103周年の幕が開きました。宝塚歌劇100年の歴史の中で、早霧は壮一帆からバトンタッチを受けて5作目で、咲妃と共に退団することを先日発表致しました。今回の公演が卒業公演となります。早霧の雪組は『ルパン三世』ではじまりましたが、大劇場、東京の全公演のチケットが売り切れになるという新たな伝説を作ってくれました。本当に記憶に残るコンビになりました。早霧と咲妃が稽古場でもリスペクトしあいながらも高めあっていく姿、その真摯な態度は、私も見ていて心を打たれ、勉強になるものがあるトップコンビでした。100年の歴史の中では雪組には数々のトップスターがおりましたが、中でも麻実れい、遥くららはゴールデンコンビと呼ばれましたが、私はこの早霧と咲妃が、平成の雪組を引っ張ってくれたゴールデンコンビだと思っております。それほど良い舞台を見せてくれました。その2人が最後を飾ります作品ですが、お披露目を担当してくれた小柳が、この最後の公演も名作映画を題材に立派にやってくれるだろうと思います。ショーの方は、珍しく早霧が「中村一徳先生で」という要望を出してくれました。中村先生のタッチは生徒皆で盛り上げるものですから、タイトル通りドラマチックに最後を飾ってくれると思います。宝塚歌劇団としてはこの2人のコンビが永遠に続くことを願っていたのですが、やはりそうもいかないので、今の2人がいて、望海が入ってくる、今しか観られない芝居とショーを観て頂ければと思っております。7月23日の千秋楽までまだまだ高みを目指して、新たな早霧・咲妃伝説を作っていってくれたらと思っております。どうぞ皆様よろしくお願い致します。

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石井雅実社長 
本日はお忙しいところお集まり頂きましてありがとうございます。私も色々とマスコミの皆様の前でご挨拶させて頂く機会が多いのですが、宝塚さんとご一緒のご挨拶が1番楽しいです。今回は特に、早霧せいなさん、咲妃みゆさんの卒業公演を協賛させて頂く、ゴールデンコンビのこういう機会を頂いたことを、かんぽ生命としても感謝しております。また望海風斗さんはかんぽ生命として応援させて頂くことにしておりますので、是非よろしくお願い致します。宝塚さんは103周年ですが、かんぽ生命は昨年10月に100周年を迎えました。宝塚歌劇団とかんぽ生命の関係は、ずっと以前からキャンペーンにご当選された方を宝塚公演にご招待するというものを長くやっていたのですが、こうして公演に協賛させて頂くのは今回で2公演目となります。前回月組さん、今回の雪組さん、100年の歴史で舞台から夢を届けている宝塚歌劇さんと、人の人生は夢ですから、その夢というつながりでかんぽ生命は長くおつきあいをさせて頂きたいと思っています。皆様ご存知のラジオ体操ですが、かんぽ生命保険はラジオ体操第一の著作権を持っております。ラジオ体操第二はかんぽ生命とNHKさん両者で著作権を持っています。誰でもできる、健康を支えるラジオ体操の普及を通じて、国民の健康増進を支援するコンセプトを考えております。今回、早霧さん、咲妃さん、望海さんにもご出演頂きまして、雪組のみなさんがラジオ体操をしている動画を私共のホームページで公開しています。これからは体の健康はラジオ体操で、心の健康は宝塚歌劇で、ということで応援していければと思っております。まず今回の卒業公演を全力で応援したいと思っています。よろしくお願い致します。ありがとうございます。
 
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小柳奈穂子
 今日は皆様ありがとうございます。早霧さんと咲妃さんはトップ第1作を担当させて頂いて、また遡れば早霧さんの新人公演初主演作品の、『NEVER SAY GOODBYE〜ある愛の軌跡〜』から担当させて頂いたというご縁があります。今回の『幕末太陽傳』は、私は川島雄三監督が昔から大好きで、全作上映の企画の折にも観ておりますし、小さい頃父のビデオラックにあったものを隠れて見ていた作品です。それを自分がさせて頂けるという喜びもありますし、かんぽ生命さんにご協賛頂ける公演を担当させて頂けることを光栄に思っております。逆にプレッシャーがかかってしまいそうなのですが、雪組らしく、明るく爽やかに面白く、を最後まで通せるように、ラジオ体操をしながら健康に努めて最後の最後まで皆様に楽しんで頂ける作品をお届けしたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

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中村一徳 
本日は雪組の制作発表にお越しくださいましてありがとうございます。皆さんご存知のように早霧さんと咲妃さんの退団公演となってしまいました。早霧さんとはトップになってからはご縁がなかったので、こちらから拝見するばかりでしたが、その前のご縁というのが、ちょうど前任の壮(一帆)さんの退団公演でした。その時に早霧さんは雪組を支え、壮さんからバトンタッチを受けた訳ですが、壮さんもすごく良い形で雪組を終えていましたから、それを引き継いだ早霧さんにはすごくプレッシャーもあったでしょうし、目の前のハードルも高かったと思います。でも早霧さんの人柄、人徳、持っているすべてで、また更に素晴らしい雪組を、雪組だけでなく宝塚を引っ張っていくトップスターになられたと思います。最後のご縁が退団公演で大変寂しい思いをしていますが、トップスターの退団は宝塚の宿命なので、こういう機会を頂いたことに感謝して、作品づくりに取り組んでいきたいと思います。先ほどお芝居のパフォーマンスを拝見させて頂いて、お芝居は日本もののコメディですし、ショーは洋物のショーで、皆さんイメージは湧かれると思いますが、早霧さん、咲妃さん、望海さんの人柄の良さが伝わる温かい作品を、雪組全員で作り上げていきたいと思っています。よろしくお願い致します。

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早霧せいな
 本日はお忙しい中お集まりくださいましてありがとうございます。パフォーマンスを終えてホッとしておりますが、いよいよ私と咲妃の退団公演がこれから始まろうとしております。更に身を引き締めて、今まで以上に進化する舞台を、今までと変わらず、そして今まで以上に、心をこめて精一杯務めていきたいなと、今日改めて思っております。お芝居の方はお披露目公演でご一緒した小柳先生に、またご縁があって担当して頂ける、そして中村先生にはトップになってからはご縁がなかったのですが、宙組の下級生時代、そして雪組に来てからもポイント、ポイントでご一緒しているご縁があるので、お2人の先生は、私のことを、たぶん私以上にわかっていてくださると思うので、先生方に身をゆだねて、雪組のみんなと専科から出演頂くお2人と心を一つに、お客さまに楽しんで喜んでいただける舞台を務めて参りたいと思います。最後になりましたが、ご協賛頂きました株式会社かんぽ生命保険様に心から感謝申し上げます。本日はありがとうございます。

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咲妃みゆ 
本日は制作発表会にお集り頂きまして誠にありがとうございます。私にとりましては卒業公演とうことではありますが、私も早霧さんと同様に、これまでと変わらず全力で舞台を務めて参りたい思いますし、これまで大変お世話になりました宝塚歌劇団、そして応援してくださった皆様に、感謝の気持ちを込めて、舞台をお届けできるよう頑張って参りたいと思います。雪組で過ごさせて頂ける時間にも限りがございますので、早霧さん、出演者のみなさんと作り上げられることに感謝して、1日1日過ごして参りたいと思います。中村先生、小柳先生にも最後の公演でご縁を頂きましたことを感謝しながら、お稽古に努めて参ります。本日はありがとうございます。

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望海風斗
 皆様本日は寒い中制作発表会にお集りくださいましてありがとうございます。お芝居では高杉晋作役をさせて頂きます。誰もが知っている幕末のヒーロー、映画では石原裕次郎さんが演じていらしたという大きな役を、私自身どのように立ち向かって作り上げていくか、きっと悩むことも多いかと思いますが、その時は『おもしろき こともなき世を おもしろく』(高杉晋作の句)の言葉を胸に、そしてラジオ体操をしてリフレッシュしながら楽しんで作っていきたいと思います。ショーの方は、中村先生とは本当に久しぶりにご一緒させて頂くのですが、まず題名がカッコいい響きだなと思いました。この題名にもある通り、ショーの中にこれからたくさんのドラマが詰め込まれていくのだなと思うと今から本当に楽しみにしております。この公演は早霧さん、咲妃の退団公演でもあり、初舞台生のお披露目公演でもあり、普段の公演よりも感情の振れ幅が大きい公演になることは間違いないと思いますが、いつも通り、早霧さん、そして咲妃が突き進んでいく方向にしっかりとついていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

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【質疑応答】

──これまでのお仕事を通じて感じた3人の個性と、それを今回の作品でどう生かしていかれるのでしょうか?
小柳 早霧さんの個性がまずあってのことだと思うのですが、もちろん宝塚には宝塚らしさ、男役らしさもあるということをわかった上で、目の前にお客様がいらっしゃると芸に行く、役者魂みたいなものがすごくあると思います。役者としての欲と言ってもいいのかも知れませんが、そこに行こうというアグレッシブさと、やってみようという前向きさがあると思います。だから、こちらも挑戦していこうと思いますし、宝塚を否定する訳ではないのですが、枠というものを越えた可能性、宝塚はもっとこんなこともできるんじゃないか、もっと面白くしていけるんじゃないかと私に思わせてくれるのが早霧さんであり、それについていこうとする咲妃さんであり、望海さんであると感じます。私も手加減せずに、ひよらずに、作品自体のクオリティを高めていき、それが結果的にお客さまの為になることを信じて作っていきたいと思います。

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中村 一言で言うと早霧さんは人を幸せにしてくれる。内側では繊細に舞台に取り組んでいて、でも舞台に立つとすごく明るさもあるし、ダイナミックでシャープで、やはり宝塚だけでなくどんな舞台でもそうですけれども、人柄がにじみでる、そういうところが魅力だと思います。咲妃さんも同じく取り組み方が真面目であるので、その分2人のコンビネーションがいい形で出て来ていると思います。望海さんはなかなかご縁がなかったのですが、お芝居をずっと拝見させて頂いていて、とてもエネルギッシュでどんな色にも染まるところが彼女のいいところだと思います。ショーではなかなか役柄というものはないんですけれども、でも、与えられた歌や振りを自分でどう表現していくか、どんな色をつけていくかが基本にあって、そういう意味で、早霧さんには早霧さんにしか出せない色、望海さんには望海さんにしか出せない色、誰にも比べられない彼女たちの魅力が一番だと思います。
──今回、これまで印象的な振付をなさってきたBryant Baldwinさんのお名前がありますが。
中村 はい、是非期待して頂きたいと思います。Bryant先生が初めて宝塚の振付をしてくださった時に、早霧さんの場面を担当して頂きましたので、このような形で最後にまた振付をしてくださいます。特にこれまでは振付が終わるとすぐアメリカに戻られていたのですが、今回は初日まで早霧さんの形をみて頂くようにしております。

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──ゴールデンコンビである早霧さんと咲妃さんの退団公演を『幕末太陽傳』で行こうと決定された決め手は?
小川 今、歌劇団では作品決定の候補案を、まずプロデューサーから私や制作部長に提出してもらうシステムを取っております。それはまずプロデューサーも育成しなければいけませんし、演出家にすべてを任せるのではなく、プロデューサーと演出家双方のスキルを上げ、制作集団として力を高めていく形を取っています。そうした作品の決定は1年以上前から試行錯誤するのですけれども、この2人に合う作品ということと、作品の流れがございますから、この間は正塚晴彦先生にオリジナルでやって頂いて、今度は退団公演という形で、この作品が上がって参りました。早霧と咲妃だったらこの作品を更にバージョンアップさせて、次の宝塚につなげてくれるだろうということになりました。ショーについては、最後の作品はどういうものがいいかを我々からトップに訊きますので、先ほども言いましたように早霧から「中村先生で」と。早霧は組ということを大事にしますので、自分の退団公演ではあるけれども、全員を使ってくれる先生を、更に生徒全員がバージョンアップしていきたいということを常に考えておりますから、そういう形で中村先生を指名したということでございます。

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──『幕末太陽傳』で、ご自分の役どころをどんなふうに演じたいと思っておられますか?
早霧 実はこの作品をやることが決まってから映画を拝見しまして、まず印象としては、佐平次という役が私にできるかな?と不安に陥ったのと共に、作品自体がとても面白い作品で、これに宝塚らしさ、華やかさ、そして雪組らしさを加えたら、お客様に喜んで頂ける作品になるのではないかと思いました。その為にはやはり、居残り家業の佐平次がいかに動いて、いかに皆様に愛されるキャラクターになれるかが、芯になってくると思ったので、先ほどのパフォーマンスで少しだけ羽織を使った動きをしたのですが、そういう小道具を使いながら、周りの皆さんを上手く居残り稼業として操りながら、先生と試行錯誤して「魅せるお芝居」ができればと思っております。
咲妃 今回は女郎おそめの役を演じさせて頂くのですが、パフォーマンスの最初にもナレーションでありましたように、妍を競える女郎の1人になれるよう、色っぽい女性を丁寧に作り上げていきたいなと思います。頑張ります。

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──ショーのタイトルに「S」がついています。この公演に対する思いをひとこと、「S」で答えるとしたらなんでしょうか? スーパーとかスペシャルとか、色々あるかと思いますが。
早霧 全部言っちゃってるじゃないですか!(会場爆笑)えぇ?うーん(考え込む)。
望海 (早霧の様子を見て、手を上げて)じゃあ行きます!「すごいぞ」の「S」ですね(会場から拍手が起こる。更に考え込む2人に、司会から「組の名前も、雪組は英語ではSnowですね」と助け船が出る)。
咲妃 (手を上げて)じゃあ失礼します。「Snow(スノー)魂」で、お願いします(会場から更に拍手)。

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早霧 (思いをめぐらした後)「スペシャル」で「スーパー」で「最高」で「スゴイぞ」で「Snow魂」です。全部! ひとことでは言えません!(拍手喝采)でも、もう1つ言っていいですか?この『Dramatic“S”!』のSの文字は実は私の手書きなんです!(会場から驚きの声)
──どんな思いで書かれたのですか?
早霧 皆さんに本当に、私と雪組、先生の作品に懸ける思いがお客様に伝わりますように、という思いで力強く、実はすごい枚数を書きました(笑)。その中のイチオシのSです!

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──日本物に伝統がある雪組ですが、退団公演で日本物を演じることへの思いなどをお聞かせください
早霧 私自身もまさか最後の公演が日本物になるとは想像していなくて最初は戸惑ったのですけれども、でももしかしたら、この作品をやるためにずっと日本物の経験を積んできたのではないかなと、今振り返ると思っております。2月には中日劇場で『星逢一夜』の再演も控えておりますが、やはり私達日本人ですので、和の心を大切にお伝えできたらと思っています。
咲妃 様々な日本物の作品に出演させて頂きましたが、どの作品も日本物という枠を越えて、時代背景も役柄も様々でしたので、今回も私にとっては挑戦となる役柄ですので、今までの経験を生かしつつ、真っ白な心で臨みたいと思っております。
望海 私は雪組に組替えになるときに、これから日本物を勉強しなくてはいけないなと覚悟をして、組替えをしたのですが、本当に色々な作品に携わらせて頂きました。またこうして日本物ということですが、まだまだ勉強中の身であるなと思っておりますので、早霧さんをはじめ組子の下級生に至るまで、皆さんに教えて頂きながら、一歩ずつ上達していければいいなと思っております。この公演でも学ぶことはたくさんあると思いますので、早霧さんから、そして組子からたくさん学んで上達していきたいです。

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──ショーの、宝塚ならではの楽しさと、意気込みをお願い致します。
早霧 芝居はやはり役になるということが前提で作品を創るのですが、宝塚のショーはまず芸名の自分自身を投影できると思います。場面場面で七変化しながら、お客様に色々な顔をお見せできるショーになればと思っておりますし、最後の宝塚での公演ということで、気持ちも更にに高まっていくと思いますので、その気持ちを大切に、出演者の皆と心を一つにしてお客さまに届くショーにできたらなと思っております。
咲妃 ショーは、皆で作り上げるという印象があります。お稽古場、そして舞台に上がってもそうなんですけれども、その過程が私にとっては魅力のひとつでして、お客様に皆で創り上げてきたパワーが届けば尚一層幸せです。私自身がショーを観て素敵だなと感じた率直な思いを、お客さまにも抱いて頂けるといいなと思って、頑張りたいと思います。
望海 ショーはやはりお客様との心の距離感がぐっと近くなるものかなと思います。私達もお客さまが楽しんでくださっている様子を見て、楽しく嬉しくなり、それをパワーに頑張ることができます。また、芸名の自分を育てていく、どういう風に作っていくか自分と向き合っていく、戦っていくことがショーの意味でもあるかなと思っていますので、自分自身と向き合って自分をどんどん高めていきつつ、公演が始まったらお客様を感じて楽しんでいけたらと思っております。

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〈公演情報〉
宝塚歌劇雪組公演
かんぽ生命ドリームシアター ミュージカル・コメディ『幕末太陽傳』
〜原作 映画「幕末太陽傳」(C)日活株式会社 監督/川島雄三 脚本/田中啓一、川島雄三、今村昌平〜 
脚本・演出◇小柳奈穂子
かんぽ生命ドリームシアター Show Spirit『Dramatic“S”!』
作・演出◇中村一徳
出演◇早霧せいな、咲妃みゆ  ほか雪組
●2017/4/21〜5/29日◎宝塚大劇場
〈料金〉SS席12,000円 S席8,300円  A席5,500円 B席3,500円 
〈お問い合わせ〉宝塚歌劇インフォメーションセンター 0570-00-5100
●2017/6/16日〜7/23日◎東京宝塚劇場 
〈料金〉SS席12,000円 S席8,800円  A席5,500円 B席3,500円 
〈お問い合わせ〉東京宝塚劇場 03-5251-2001


【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】

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