加藤×高橋

1966年にブロードウェイで初演されたサスペンスの傑作『暗くなるまで待って』。盲目の若妻と悪党三人組がアパートの一室で繰り広げる駆け引きと騙し合いが、スリリングに描かれるワンシチュエーションミステリーで、日本でも何度か上演を重ねてきた。この作品が、1月25日から2月3日までの池袋 サンシャイン劇場を皮切りに兵庫、名古屋、福岡で上演される。
主人公の若妻スージーには凰稀かなめ、スージー殺害を企てる悪党のリーダー、ロート役を演じるのは加藤和樹、詐欺師で甘い二枚目のマイク役を演じるのは高橋光臣、そのほかに猪塚健太、松田悟志など実力派の若手も参加する注目作品だ。この舞台で共演する 加藤和樹と高橋光臣が、役柄への思い、また盟友である互いの魅力を語り合ってくれた「えんぶ2月号」のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介する。

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高橋光臣 加藤和樹

ここまでのワルも二枚目も
お互いに初めて

──まず作品についてはどのような印象を?
加藤 僕は2007年に上演された時に観ているのですが、当時はまだ僕自身舞台経験もさほどなかった中で、全ての展開に衝撃を受けて、それ以来いつか演じてみたいとずっと思い続けていたので、今回オファーを頂けたことに喜びでいっぱいです。
高橋 僕はこのお話を頂くまで作品に接したことがなかったのですが、まず台本を読んで大人の雰囲気と色気があるなと感じました。台詞にも細かい駆け引きがあり、ワルなんだけれどもほのかな恋心を抱いたりする描写をどう作るのかに、とても興味を引かれてます。ラストまでスリリングなので、実際にどんな舞台になっていくのかが楽しみです。
──演じる役柄についてはどうですか?
加藤 ロート役を演じさせて頂きますが、僕にとってはこれだけの悪を演じるのが初めてで。
高橋 本当に? ちょっと意外。色々やっているから。
加藤 うん、ここまでの悪は初めて。悪い奴はやってるけど、そうせざるを得ない何か理由があるとか、心根は優しいとかだったんだよね。だから、今回のロートに対しては、どこまで自分が彼に歩み寄れるのか、彼が近づいてきてくれるのかがある意味挑戦かな。見るからに悪そうな人って意外と良い人だったりするしね(笑)。一見悪い人には見えない人が実は…となった時にこそ背筋が凍るような怖さにつながるだろうし、存在そのものに畏怖の念が湧くようなところがロートという人物には重要だと思うから、そこをどう表現できるかを追求していきたい。
高橋 僕が演じるマイクは詐欺師なんだけれども、だからこそ女性から惚れられるくらいの魅力がないと成立しない役で。カズさん(加藤)がワルをやったことがないって言ったけれど、僕も色気のある男前の二枚目役って、ほとんどやっていないんだよ!(笑)。だから今回まず二枚目に徹する! というのが僕もチャレンジングで。
──持ち前の武器が活かせる役ですね!
高橋 いや〜(笑)、僕つい何か面白いことやりたくなっちゃうので(笑)。そこを今回はグッと抑えて、観る人が心を動かされるような存在になっていけたらなと思っています。

_MG_0189加藤和樹

集中力を必要とする分、
ハマった時には凄いものになる

──今回のような場面が固定された少人数のお芝居の醍醐味についてはいかがですか?
加藤 やはり役者ももちろんですが、お客様が集中してご覧になれる、目を逸らしたくても逸らせないという緊張感があるのが、こういうワンシチュエーションものの魅力かなと思います。
高橋 僕はワンシチュエーションものに出るのは初めてで。台本を読んでもずいぶん制約があるなと。「三歩歩いて〇〇をとって」とか書いてあるよね?
加藤 うん、あるある(笑)。
高橋 そこをどう(深作)健太さんが創るのかというのもあるんだけど、その制約の中で何ができるのかというのが、楽しみなのと同時に難しさも感じる。
加藤 決め事をまず身体に入れないといけないんだよね。この台詞が終わるまでにあれと、あれをやっておかないと、全部が崩れるということさえあるから、そこは役者もスタッフも本当に集中しないといけないので緊張するけど、だからこそ上手くハマった時には凄いものができると思う。健太さんは役者と一緒に考えて、体当たりしてくれる演出家なので、そこは安心感があるかな。
高橋 僕は健太さんとは初めてなので、僕という材料をどうまとめてくれるかも楽しみだし、その為にはまず僕からもどんどんアイディアを出し、意見を聞いてやっていきたいと思っています。

_MG_0222高橋光臣 
大人の色気と機微の詰まった
スリリングな作品

──共演者の皆さんも豪華なメンバーですね。
加藤 (凰稀)かなめさんとは『1789〜バスティーユの恋人たち』で共演はしているけど、ほぼ絡みがなかったので(笑)。同じ場面に一瞬いたかな? ぐらいで。
──加藤さんのロナンが目覚めてしまったことで、凰稀さんのマリー・アントワネットが逃げていくんですよね。
高橋 それを共演と言っていいのかってほどだね(笑)。でも結構そういうことあるね。
加藤 そうそう(笑)。ただもちろん稽古場でかなめさんの芝居は間近で見ているし、芝居に対する熱は感じているから、今回初めてしっかりと絡むことによって、どこまで深め合えるか、それに、皆でどう話し合って作っていけるのかもすごく楽しみです。
高橋 僕は松田(悟志)さんとは長いお付き合いで信頼感がありますし、カズさんのことはすべて知っている(笑)というと語弊があるけど、本当に何でもぶつけられる相手なので、今回一緒にできることが何よりも嬉しい。
──それほど親しいお二人なので、照れてしまうかも知れませんが、是非お互いの魅力を。
高橋 これは先に言った方がいいな(笑)。芝居もしっかりしてるし、アクションもできるし、知的で色気もあるのに馬鹿ができる男前。そこが男から見ると本当に魅力的です。
加藤 光さん(高橋)はどこを切っても魅力ばかりなんだけど、とにかく大好きなのは、誰に対しても分け隔てがなく優しいところです。更に役者としては、芝居にしてもアクションにしても揺るぎないベースがあるからブレがない。だからどこにでも行けるし、役をどんどん積み上げていく人なので、観ていて勉強になります。
高橋 あぁ、本当に照れる(笑)。自分を役者としてそんな風に見たことがないから。でもそう言ってくれるカズさんと舞台を作れるので、このサスペンスでありつつ大人の男女の機微の詰まった作品の色気をお客様に感じて頂けるように頑張ります。
加藤 僕はこの作品を心待ちにしていただけにプレッシャーもありますが、今の年齢になったからこそできる役だと思っています。台詞量も情報量も多い作品を、如何にお客様に理解して楽しんで頂けるかを考えながら、最後の暗闇の中での戦いに向けて全員で創っていきたいです。これだけスリリングな作品はなかなかないので、是非期待していて下さい!

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 ■プロフィール
加藤
かとうかずき○名古屋市出身。05年『テニスの王子様』で脚光を浴び、06年歌手としてもCDデビュー。大作ミュージカルで次々と大役、主演を務める一方で、16年にはアーティストデビュー。LIVE活動も精力的に行っている。近年の主な舞台作品に『フランケンシュタイン』『レディ・べス』『ハムレット』『マタ・ハリ』『1789〜バスティーユの恋人たち〜』『タイタニック』等があり、12月には自身の作詞をもとにした作品project K『僕らの未来』に出演した。
 
高橋
たかはしみつおみ○大阪府出身。05年に俳優デビューし、テレビドラマ、舞台と幅広い活躍を続けている。主な映像作品に『科捜研の女』『梅ちゃん先生』『実験刑事トトリ』『名もなき毒』『神谷玄次郎捕物控』『下町ロケット』『せいせいするほど愛してる』『西郷どん』、CMでは救心製薬『救心錠剤』のイメージキャラクターを務めている。主な舞台作品に『しゃばけ』『夕─ゆう─』『ヴェローナの二紳士』『真田十勇士』『光より前に─夜明けの走者たち─』など に出演。


〈公演情報〉
暗くなるまで待って画像

『暗くなるまで待って』
作◇フレデリック・ノット 
訳◇平田綾子 
演出◇深作健太
出演◇加藤和樹 凰稀かなめ/高橋光臣 猪塚健太 松田悟志  ほか 
●1/25〜2/3◎東京・サンシャイン劇場 
〈料金〉8,800円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京/サンライズプロモーション東京  0570-00-3337(全日10:00〜18:00)
●2/8〜10◎兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
●/2/16・17◎名古屋・ウインクあいち
●2/23◎福岡・福岡市民会館 大ホール 
〈公演HP〉http://wud2019.com



【構成・文/橘涼香 撮影/山崎伸康】




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