朝夏

80年代〜90年代に全世界のヒットチャートを席巻した「グロリア・エステファン&ザ・マイアミ・サウンド・マシーン」。そのヴォーカリストでラテン・ミュージックの歌姫グロリア・エステファンの栄光と挫折の半生を描くミュージカル『オン・ユア・フィート!』が、日本初上陸。ブロードウェイでロングランとなった、今、一番熱いミュージカルが、真冬の東京をホットに染め上げる!
その公演が12月8日に、日比谷のシアタークリエで開幕する。(12月30日まで) 

作品のヒロイン、グロリア・エステファンを演じるのは朝夏まなと。元宝塚歌劇団宙組トップスターで、退団後第1作目のミュージカル『マイ・フェア・レディ』のイライザ役の好演の余韻冷めやらぬ中、客席も踊り出さずにいられないラテン・ミュージック満載の、この舞台に挑む朝夏に想いを聞いた「えんぶ12月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介する。
(※インタビュー中で触れているエミリオ役ダブルキャストの相葉裕樹さんは休演となりました) 

朝夏2

ミュージカルの楽しさが
詰め込まれた作品

──宝塚退団後、初単独主演ミュージカルとなる『オン・ユア・フィート!』。こちらは全米ツアー公演をご覧になったそうですが、どんな印象を?
ミュージカルに欲しい要素が全て詰まっていて、音楽も良い、ストーリーも良い、ダンスもあって盛り上がり、感動もするという素晴らしい作品です。「CONGA」とか「1-2-3」など、街中でもよくかかっている曲が、グロリアさんの曲だったんだ! という発見もありました。私の周りにもグロリアさんのファンです! という方がたくさんいらっしゃいますし、そういう知名度の高い実在の方を演じるのは、プレッシャーもあります。でも、とにかく楽しみですし、最初に出演したミュージカル『マイ・フェア・レディ』のイライザからのギャップも大きいのですが、やはり初挑戦の楽しみが勝っています。ラテン系の作品は宝塚でもやってきましたが、今回、本物のラテンダンサーでチャンピオンになられた方が振付に入ってくださるので、ラテンのワークショップもあるんです。こんな機会はこの作品にめぐり会えなかったら絶対になかったことですし、ワクワクしています。
──演じるグロリア役を、どう捉えていますか?
家族の為に歌が好きだという気持ちを犠牲にして、我慢しながら生きていたグロリアが、歌の才能を見出され、スターダムに乗っていく。最初に才能に気づいてくれたのは久野綾希子さん演じるグロリアの祖母のコンスエロですが、更に夫となるエミリオ、こちらは相葉裕樹さんと渡辺大輔さんがWキャストで演じてくださいますが、彼に出会って、人生が変わっていく。もちろんたくさんの苦労もしますが、まずそれだけの才能を持った人だというところが確立されていないと、役として成立しないと思うので、佇まいの中ににじみ出るものがあるようにと思っています。グロリアは自分をしっかり持っていて、今の時代の女性が理想とする女性像にピッタリはまる人なので、そこもきちんと表していきたいです。本当に成功を勝ち取る人って、運命が導く部分があると思うんですよね。彼女もまさしくそうで、何かを得たら何かを失うし、一路真輝さんが演じる母親のグロリア・ファハルドとの確執などもありますが、最後は大きく強くなっていく。その姿を出せたらと思います。あとは17歳から演じるのが挑戦ですね(笑)。

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配役の妙を感じる
プロデュース公演の醍醐味

──今お話しにも出た相手役のエミリオが、相葉裕樹さんと渡辺大輔さんのWキャストということで、こちらも大変魅力的なキャスティングですが、お二人の印象は?
それぞれ全然違うタイプですね。相葉さんは甘えん坊要素があるので、「よしよし」という気分になります(笑)。本能タイプだなという印象です。一方、渡辺さんは私より年上でとても落ち着いていらして、「頭脳派だな」と。でもこれは第一印象なので、役を通してどう変わっていくかも楽しみです。もしかしたらお稽古を重ねて深く関わっていくうちに、印象が全く逆になる可能性もありますし、そういう意味でもどんな出会いになるかワクワクします。
──共演者の方達も錚々たる方ばかりで、特に母親役の一路真輝さんは宝塚の大先輩でもありますね。
普段からとても優しく可愛がってくださるので、意見が衝突して分かり合えない母と娘という関係性になるのが想像できないくらいで、どういうお芝居をしてくださるのかをとても楽しみにしています。他の皆さんも役にピッタリで、そこにいるだけで「おばあちゃんがいる」「お父さんがいる」と思わせてくださるのがすごいなと。例えば『マイ・フェア・レディ』では今井清隆さんがいてくだされば、もうそのままパパなんですね。その実存感と、プロデュース公演ならではの配役の妙には感動します。それは宝塚を卒業して一番違いを感じたことかもしれません。

客席の皆様も温まりに
劇場にいらしてください

──宝塚退団後、時間の使い方などに変化はありましたか?
それが『マイ・フェア・レディ』に入るまでは、「時間がたくさんある!」と思って、ヨガに行ってみたりもしたのですが、いざ稽古がはじまってみたら、何ら変わらなかったです。ただただ役に向き合い稽古に没頭する日々で。人間そうそう簡単に変わらないですね。取材的には面白いことが言えなくて申し訳ないんですが(笑)。でも『マイ・フェア・レディ』のイライザって全ての瞬間で本気で生きている人で、そういう人を演じる為には自分も本気で臨まないといけないので、日々痣だらけでしたが(笑)、そうして本気で向かっていくからこそ、共演している方達が心を動かしてくださるし、本気で向き合っていただける。そういう芝居の本質の部分では、演じる役が男性でも女性でも全く変わらないことがわかったのは大きな経験でした。来年もありがたいことに『笑う男 The Eternal Love –永遠の愛-』『Little Women ─若草物語─』『天使にラブ・ソングを〜シスター・アクト〜』と、様々な作品に出演させて頂きますが、作品の幅が広いですし、ジャンルの違う役柄に出会えることがとても楽しみです。外の舞台は1作1作が一期一会の世界ですが、その日々がとても刺激的で楽しいので、色々な色が出せる俳優になりたいと思っています。その為にも日本初上陸となる『オン・ユア・フィート!』のグロリアを精一杯生きて、演じたいと思っています。ミュージカルの感動が全て入っている作品ですし、しかもそれだけで終わらず、最後には客席の皆様にもペンライトを振っていただき、皆で一体となって盛り上がれるので、寒い時期の公演ですから、是非温まりに劇場にいらして下さい。お待ちしています!

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あさかまなと〇佐賀県出身。02年宝塚歌劇団で初舞台。花組に配属後、男役として頭角を現し、12年宙組に組替え。15年『王家に捧ぐ歌』で宙組トップスターに就任。17年宝塚歌劇団を退団、女優としてスタート。初コンサート『MANA-ism』、連続ドラマW『不発弾』を経て『マイ・フェア・レディ』でミュージカル初主演。19年は、『笑う男 The Eternal Love –永遠の愛-』『Little Women ─若草物語─』『天使にラブ・ソングを〜シスター・アクト〜』への出演が決定している。


〈公演情報〉
オンユアフィート画像

ミュージカル
『オン・ユア・フィート!』
脚本◇アレクサンダー・ディネラリス
音楽・歌詞・編曲◇グロリア・エステファン/エミリオ・エステファン(エミリオ&グロリア・エステファン&マイアミ・サウンド・マシーン制作のオリジナル楽曲より) 
翻訳・訳詞・演出◇上田一豪 
振付◇TAKAHIRO/藤林美沙/金光進陪 
出演◇朝夏まなと 渡辺大輔(Wキャスト) 青野紗穂 栗原英雄 久野綾希子 一路真輝 ほか 
●12/8〜30◎シアタークリエ 
〈料金〉11,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半〜17時半)
 https://www.tohostage.com/onyourfeet/




【取材・文◇橘涼香 撮影◇岩村美佳】 



『暗くなるまで待って』


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