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国境を超えて世界中で愛され、第39回日本漫画家協会賞大賞を受賞した安倍夜郎の『深夜食堂』。ドラマ、映画も大ヒットを記録したこの人気作品がミュージカルとなって、新宿シアターサンモールで10月26日にいよいよ開幕する(11月11日まで)。

脚本は第2回「韓国ミュージカル・アワーズ」で脚本賞を受賞したジョン・ヨンが担当。作曲は、日本でも話題となった『キム・ジョンウク探し( 『Finding Mr.DESTINY)』『オー!あなたが眠っている間に』など韓国ヒット作の常連となっているキム・ヘソンが担当。演出は煌びやかさと人間模様の細やかさを描き分ける荻田浩一が手がけている。 
 
深夜0時、看板もないその食堂は静かに店を開ける。メニューは豚汁定食だけだが、勝手に注文すれば出来るものは出してくれる。タネも仕掛けもないそんなマスターの素朴な料理を求めて、「めしや(深夜食堂)」に訪れる常連客たちを演じる壮一帆、愛加あゆ、藤重政孝、田村良太が、それぞれの役柄のこと、作品に感じる魅力などを、和気藹々と語り合ってくれた。

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藤重政孝 田村良太 愛加あゆ 壮一帆 

個性豊かな『深夜食堂』の
常連客たち

──絶賛お稽古中!という皆様ですが、まずそれぞれの役どころをお話しいただけますか?
 じゃあ、はい(藤重にどうぞと促す)。
藤重 いえいえ、((田村に)まず、先輩お願いします。
田村 何で先輩なんすか!(笑)僕は『深夜食堂』の常連客で、小寿々というゲイバーのママなんですけど。原作では初老の方で一番年上です。マスターとも色々話しますし、(藤重演じる)忠という、やはり常連客とも仲が良いというか何というか(笑)。
 一見仲が悪そうなんだけど。
田村 憎まれ口を叩き合うような、同じ常連としてきっと嫌いではないんだろうなという感じなんですけど。原作の設定が40代後半で、漫画や、映画、ドラマではもっと上の年代に描かれていて。ゲイ役はやった事があるんですけど、初老の役は初めてで、そこが今一番苦戦をしているところです。オギーさん(荻田浩一)の指導の下、どうやって年上の落ち着きを出すかを色々考えていて。例えば、声帯を閉じて喋ると、やっぱりそれは「若さの象徴」になる。訓練を積んだ喉みたいになってしまうので、声帯をあまり締めないように、息を多めにして話したりしています。
 ええっ?凄い!
田村 いえいえ(笑)。そういうところからアプローチしたらどうかということで、話すテンポを緩めて間(ま)を多くとったり、ひと言で文章を言い切らないで途中で切って喋る等で、年齢を演出しようかと。
藤重 考えてるねえ。
田村 いや、考えたの俺じゃないんですよ、オギーさんの指導です(笑)。ただ抜け道もあって、ゲイバーを28年間やってるんですけど、途中から受け持ったという事にもできますし、色々模索しながらやっている最中です。小寿々という役は、初老という設定ですが、メンタル的には高校生みたいにピュアなところがあったりして、特に恋愛面はそうで、そこには過去のトラウマみたいなものも入ってきているので、結構深みのある役ですから、自分では楽しんでやっています。
 (小寿々は)この作品のヒロインだよね。
愛加 そう思います。
田村 あー、そう言われればヒロインかも知れないですね。初老のゲイバーのママがヒロイン。
藤重 一番女性っぽい気がする。
田村 そうですね、それは確かに。
 唯一純粋な恋愛をしてますもん。(藤重に)しげさん、最後がいいですか?
田村 凄くもったいぶりますね(笑)。
藤重 もったいぶってない!ただ、みんな凄く色々考えてるんだなってひしひしと伝わったから。俺は今考えてます!(笑)
 (愛加を示して)じゃあ私たちは二人セットで(笑)。
藤重 えっ?セットってあり!?(笑)
愛加 セットです(笑)。
 「お茶漬けシスターズ」の梅と。
愛加 明太子と申します。
 もう一人、谷口ゆうなちゃんの鮭がいて、三人でいつも一緒に『深夜食堂』に来てお茶漬けを注文するんですが、お茶漬けを頼むことは一緒でも、それぞれに好みの具が違うのと同じように、理想の男性を待っているという共通点はありながらも、三人それぞれ性格も恋愛観も全く違います。私は一番ファンタジックな、理想の男性を求めている、夢見る夢子ちゃんで。
愛加 私が一番現実主義と言いつつ、でも実は凄く理想が高い、ちょっと厄介なところのある女性ですね(笑)。でもいつもワイワイしながら、マスターになんやかや言いながら、友情を確かめ合っているような仲です。
──そうすると「お茶漬けシスターズ」が登場すると賑やかに。
愛加 そうですね、かなり賑やかナンバーが多いと思います。
──宝塚ではトップコンビだったお二人が、こうして並んでいるだけで嬉しいというところもあるのですが。
藤重 そうですよね、絶対!
 あ、でもそう思って見ると、ビックリしますよ。「え、そんなことしちゃうの?」っていう(笑)。
──女優同士としての共演は、すでに『マリーゴールド』でも初披露されていますが。
 それともまた、180度違うんです。
愛加 真逆ですよね!(藤重に)じゃ、お願いします。
藤重 えっと、では満を持して(笑)。忠という役を今回やらせて頂いているんですが、個人的に言うと、僕は特にドラマのイメージが強く残っていて、現在ものすごく悩んでいます。だからそのイメージを払拭する為にも、今は既存の作品から距離を置いて、俺の忠を追求している最中で。
 俺の忠(笑)。
藤重 そう(笑)。いつもは役柄と自分にどこかしら繋がる部分があって、そこから出来上がっていくのですが、今回自分と忠がとても遠いところにいるので。日々かなり葛藤していますね、探しているというか。ただ、もう今回は、共演者の皆さんが非常に舞台の経験豊かな方々なので、ある意味そこにお任せして、この関係性の中での忠を見つけていければいいのかなと。この人たちの間で忠という人物はどう育って、どう人間として生きていっているんだろうという作り方を今していて、探り探りの稽古ですね。それがいつもとは違った形です。

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必ず何か口ずさんで帰れる
魅力的なメロディーばかり

──舞台全体の中での立ち位置を考えているんですね?
藤重 もちろん普段も考えていないわけではないですけど(笑)、今回は特にそうですね。忠は本当に、完全なるマザコン野郎、マザコンを恥ずかしいと思っていないマザコンなので、そこは究極の愛だなと思っていて。所詮、男なんて女性から生まれてきたものなので、やっぱり母親には勝てない。その大きな愛を見せれたらね、(愛加に)お母さん。
愛加 お母さんをさせて頂きます。
藤重 そうなんですよ。だから、絶対現場では(愛加に)逆らえない(笑)。愛加さんより先に、稽古場に入っていないといけない。
 あ〜、だからいつも早いんだ(笑)。でも、宣伝用の動画を録った時、忠さん滅茶苦茶ハマってらっしゃいましたよ!本当に、失礼ながら最初はスタッフさんかと思った(笑)。
愛加 あの衣裳の着こなし方がハンパではなかったですよね(笑)。みんなでザワザワしました!
田村 凄かったですね。
 どこからどう見ても忠さんだった。
藤重 あそこで完成してた?(笑)
愛加 ハマりすぎていて驚きました(笑)。私服で稽古場にいらしたら「素敵!俳優の藤重さんだ!」ってなるのに(笑)。
藤重 あの日オギーさんに「今回悩んでいて」という話をしてたのに!
一同 ええ〜!?
藤重 衣裳って凄いですね(笑)。でも本当に、日々勉強させてもらっています。皆さんが盗めるところをたくさん持っていらっしゃるので、ちょいちょい盗んでますね。
──様々にメディアミックスが展開されている作品ですが、今回、ミュージカルならではの面白さはどう感じますか?
藤重 それは、田村くんが一番話せるでしょう!
田村 とりあえず先に喋らせようと思っていませんか?(笑)『深夜食堂』はもちろんストレート・プレイでやっても素敵になる作品だとは思うんですが、その場合どうしてもドラマや映画にも近くなる面があるかなと。折角『深夜食堂』を生のステージにあげて、華をプラスしたり、勢いやエネルギーをプラスした時に、一番良い形がミュージカルじゃないかなと自分は思っています。役柄に合わせた曲もあって、ミュージカルになることによって、より役の個性が引き立っているなと。もっと込み入った深い話は先輩方から(笑)。
藤重 いや、でも、おっしゃる通りですね。
田村 もうちょっと何かないんですか?(笑)
 (笑)私はこの間荻田さんとお話ししたんですけど、今回、それぞれの分野で活躍されている方々が、この『深夜食堂』のカンパニーに集結してるんですよ。それがリアルな居酒屋に集まるいわくつきの人々に繋がるんじゃないかなって。だから、最初に筧さんが豚汁を作るところから始まりますが、まさに私達はあの豚汁の「具」なんだなと思って。
愛加 豚汁の具ですか!
田村 凄いね。
 ちょっと上手い事言ってみるとね(笑)。で、この作品は韓国でミュージカル化されたものですから、日本と韓国の国民性の違いみたいなものはどうしてもあるので、今は私たち日本人の役者が、そこをどう滑らかにしていくかという作業をしています。やっぱり、何かしらのテンションというか、気持ちの膨らみがあってそれが歌になるのがミュージカルの醍醐味だと思うんですが、ミュージカル慣れしている私達が、違和感なくやってしまうことでも、例えば芝居一本でやっていらっしゃる方からすれば「何でここで歌う?ここで踊る?」と、ひっかかることがあるかも知れない。そいう異なる感覚を、リアルな居酒屋の店内のような、異種格闘技的な顔ぶれの中で、融合させられたら更に面白い事になるんじゃないかなと思っています。

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愛加 そうですね!あとはシンプルにとても楽しい曲がいっぱいあるんです。色々な食べ物の要素を音楽で表現した曲とか、しっとりした曲、パワフルな曲。それを聞いているだけでも、お客様に楽しんで頂けるのではないかなと。
 メロディーラインが、ちょっと日本の歌謡曲に似てるよね。
藤重 そうそう、濃い。 
──耳馴染みが良いのですね?
 絶対、何かしら口ずさんでお帰りいただけると思います。
藤重 例えば筧さんがここでずっと練習してるじゃないですか。で、その後、自分のナンバーの練習だとしても、筧さんのメロディーが入っちゃっていたり!凄く入ってくる曲なんで。
愛加 あ〜、わかります!
藤重 「あれ、何だっけ俺の曲?」とかそういう感じなんで(笑)、スッと入ってきやすい曲ばかりですね。本当に色々なジャンルの色々なリズムがあって、面白いナンバーが揃っています。
田村 それぞれのキャラにピッタリですよね。

笑いのツボ満載の 
もうひとつの「荻田ワールド」

──先ほどからお話にも出ていますが、今回荻田浩一さんの演出ということで、所謂「荻田ワールド」と呼ばれる、ちょっと耽美だったり、ダークでゴシックな世界観のイメージが強い方ですが、今回の荻田演出はいかがですか?
 (男性陣に)お二人は荻田さんとは?
藤重 僕は初めてです。
田村 僕もです。
藤重 初めてなんですが、僕には凄くわかりやすいです。
愛加 私も壮さんも何度もご一緒させて頂いていますが、荻田さんの作り方って、振付をする前に、役者の心情を確認しながら、まず動線などがギクシャクしないように作ってから振付の方にお渡しするので、演出と振付に齟齬がないんです。だから私達も「ちょっと動きにくいな」ということがなくて。
 円滑ですね。
愛加 それが毎回、荻田さんの作り方でわかりやすいですよね。
藤重 そう、わかりやすい。「何でこっちに俺行くんだっけ?」みたいな感じになると、台詞が出なかったりするんですけど、動きと役の心理があっているから。
──荻田さんはバレエ等にもとても造詣が深いですね。
藤重 なんか目で踊ってない?いつも。曲になると目が急に変わる。
 絶対にお好きですから!
田村 芝居を見ながら、指揮してることもありますよね?
愛加 あります、あります!
 あとは、先ほどおっしゃったように、摩訶不思議でダークな、ドロドロの世界観を表現される事が多いんですけど、私はそうじゃない荻田さんも好きで。意外と、と言ったらなんですけど(笑)面白いんです。笑いのツボが関西出身者らしいの。そっちの荻田さんも凄く好きです。
──では今回の作品ではその方向性が。
 遺憾なく発揮されています!
田村 僕は凄く繊細だなという印象を受けました。相手の感情とか、役者のやりたいことに対しても演出の方向性が繊細です。特に小寿々役は繊細なシーンが多いんですけど、そういうところに関しても、細やかで強引に引っ張っていくことはしません。例えば、感情が乗らなかったら音楽を伸ばしたりなどのやり方も考えてくれて。だから結構、明るくてドタバタしてるシーンも多いんですけど、お客様がグサッと胸にくるようなシーンも、いくつもある作品になると思います。
 
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「見せ方」と「自然体」、
良いところを盗み合う

──今お稽古を進められているなかで、お互いに感じている魅力を教えてください。
 しげさんも田村君も、とにかく声が素敵で!
田村 ありがとうございます、照れるけど。
愛加 そうですね、本当に素晴らしいですよね。
藤重 俺、二人が喧嘩してるところ大好きだな。女同士の喧嘩なんですけど(笑)。
田村 自分は、宝塚時代のお二人を知らないんですけど、この現場にいると「あ、宝塚の方だ」っていう印象が全くないです。普通の女優さんに見えます。
 私達は宝塚OGの中で、そういう意味では割と稀有な存在で(笑)。「宝塚っぽくない」ってよく言われるんです。
愛加 はい(笑)。
田村 そうなんですね! お茶漬けシスターズ以外の役も面白いですよね。
愛加 壮さんのもう一つの役、凄く面白いし、周りに従えている方も面白いし、曲ももちろん素敵ですし、グッとくる場面ですね。
 私はね、卵焼きとウィンナーの歌を真剣に歌いながら、一生懸命に踊ってる男子4人組が大好きで!慣れていない事に挑戦していらっしゃるから、大変そうではあるんですけど、その必死さが逆に胸を打つ!
愛加 私もあそこ大好きです!もう、可愛い。みんな可愛い(笑)。
藤重 ええと説明させてもらいますと(笑)、舞台の導入部なんですね。
壮 とても大切な!
藤重 そう、大切なところなので、男子4人責任をひしひしと感じながら、変な汗をかいてる(笑)。
 あそこは、逆にこなれないでほしい。
田村 いやでも、あれはこなれないでしょう(笑)。
藤重 たどたどしい感じを残したいですね。
田村 ちょっとお酒が入った、くらいの感じで。
藤重 急にバッキバキに踊ってたらちょっとね。
田村 まだ芝居じゃないし、踊りじゃないしね。
藤重 でも、そうやってると「ちゃんと踊ってください」って言われそうな気がする(爆笑)。
田村 ギリギリを攻めたいですね。あと、忠さん役は、ちゃらんぽらんだし、酒も飲んで、本当にどうしようもない男なんですけど、でも後半に、物凄く胸を打つシーン、「急にどうした」みたいな事がありまして。そこでしげさんの人生経験みたいなものが忠に重なると言いますか、滲み出ている部分が結構くるんですよ。
愛加 私、あそこお母さん役でずっと寝てるんですけど、上着を掛けてくれるシーンがあって。あれは荻田さんの指定ですか?
藤重 いや、なんかこうね。
 あそこは見ていてドキッとする。
愛加 私も良い息子持ったよ!みたいな(笑)、息子からの愛情をね。寝てるだけなんですけど母は感じてるんですよ。
藤重 そんな事を感じてるんだ!
愛加 そうなんです。
 私はすべてを絵にする為に計算しながら動く癖がついているんですけど、しげさんのお芝居は、その上着をかけるにしても、座る、お酒を飲む、注ぐ、などのタイミングにしても、物凄くなめらかにやってらっしゃるので注視しちゃいますね。どうしても、大きくわかりやすく動いてしまう私にとって、普段のしぐさをこういう空間で何気なくやるというのが、今一番のヒットする項目で、いかに自然に見せるかというのを、いつも学んでいます。
藤重 ああ、ええと、今度飲みにお連れしますね(笑)。
 ありがとうございます!
田村 同席します、自分も(笑)。
藤重 いやぁ、でもそんな風に言ってもらえる感じじゃないですよ、本当に、いっぱいいっぱいで。みんなバンバン進んでるんですけど、僕1人だけよく言えばしんがり的な、一番後ろをついていってるイメージですから。
田村 そんなことないですよ!
藤重 田村君とはこの間、役作りでとあるバーに行ったんですけど、全く違和感なくカウンターに入って。
壮 カウンターに?
田村 内側に行ったんですよね。
愛加 内側?
藤重 そう、実際のお店の内側に入ったんですけど、本当に違和感がなくて。ご経験あるんですか?(笑)
田村 ないです、もちろん!苦労してるところです!(爆笑)
藤重 逆に(女性二人の)「見せ方」を、僕は盗ませてもらっています。
田村 ここがポイントというところが、ハッキリわかりますよね。
藤重 「あ、この角度か」みたいなのがあるんですよ。
 それは無意識だと思うのですが、それがダメな時もあるから。
藤重 その辺りは、お互いに良いと思うところを盗み合えればね。ただ、俺が絶対に見るのは、愛加さんの、二人が喧嘩したところの、はけ際の横顔。
愛加 あそこ見られてますか!?
藤重 あれ、俺、ツボで。(壮に)見えないでしょ。振り返った後の顔が良いの!めっちゃ“男”なの。
 ええ〜!?凄いね!「一生懸命やってんだな」っていうのはひしひしと感じてたけど。
愛加 一生懸命です!

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──お二人同士としてはどうですか?今回。
壮 私は『マリー・ゴールド』の時には、脳内でノッキングを起こしたんです。二人で見つめ合って芝居をしてるのに「え?私、スカート穿いてる」っていう。今は一役者同士としてできているので。
愛加 私もそうです。
 ただ、これが最初だったらどうだったろう。
愛加 私は多分それこそ喧嘩の場面とか、躊躇したかも知れないです。ボン!と行けていなかったかも。
 そこは一作品ガッとやり合ったからね。『マリー・ゴールド』でも喧嘩するところがあったし。まぁ、あれはもっとお耽美だったけど(笑)。でも、あれがあるから今回があってね。
愛加 良い流れでしたね。
 ありがたいし、役者同士になれたというか。
愛加 良い先輩です。
──元トップコンビのお二人の共演が続くのもご縁ですね。
 本当にたまたまなんですけど、珍しいかなと。
愛加 はい、そうですね。

人と人とのつながりや
愛の詰まった作品に!

──最後に意気込みを伺う前に、『深夜食堂』にご自身が行ったとしたら、何を頼みますか?
藤重 僕は、豚バラにもやしとニラを入れた炒めものですね。鹿児島の黒豚がいいんですけど。
愛加 そこはこだわりの?
藤重 ですね。僕、それがこの世の終わりの、最後に食べたいものなんですよ。
 へえ〜。
藤重 それぐらい好きなの。「誕生日に何食べたい?」って言われたら、毎年リクエストするくらい。だからマスターに頼んじゃいます。作ってって。
田村 俺は多分、豆腐ですね。
愛加 豆腐!?
壮 温かいの?
藤重 何かける?
田村 できれば、ごま豆腐とか、ジーマーミ豆腐とか。
愛加 あ〜美味しいですよね!
田村 ちょっと変わった豆腐と、日本酒とかでいきたいなと思います。
 私はだいたい深夜に行くお店だったら二軒目とかになるんで、その時はもう飲んでるからお味噌汁。
藤重 ああ、良いですね。何味噌汁ですか?
 あんまり具とかも要らないので、できれば「あおさ」がいいな。
一同 ああ〜!
 あと何か梅干し系のものがあれば。梅水晶とか。サッパリしたものがいいのかな。食事した後に行くなら。
藤重 酒飲みだ!(笑)
田村 確かに(笑)。
愛加 私はお漬物かな。漬物、凄く好きなんですよ。
田村 へぇ〜、意外。
藤重 何の漬物ですか?
愛加 ぬか漬けが好きなんですけど。でも、何でも好きなんです。
 漬物、良いよね。

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──そういう、メニューに無いんだけど言うと出してくれる「めしや」というのが『深夜食堂』のファンタジーというか、素敵なところですね。では改めて公演への意気込みと、楽しみにしているお客様へのメッセージをお願いします。
愛加 本当に色々な場面があって、見た後にお客様が凄くほっこりできるような作品だと思うので、見る前よりも少しでも幸せな気持ちで帰って頂けたらとても嬉しいです。是非そう思って頂けるように、稽古を頑張りますので、何回でも見に来て頂けたら!お待ちしています。
田村 自分は何かやりたいなと思う時、やっぱり、観た人のためになるか、メッセージ性があるか、観てパワーをもらえるか等、そういうところをかなり考える方なのですが、そういうメッセージとか、パワーという点でいっても、かなり良いものができるんじゃないかなと思っていて。本当に色々な人、役柄がいて、みんな葛藤があり、背負っている人生があって、その上でこれからどう生きるかという部分も描かれているんですね。それがお客様の胸に刺さるように、頑張っていきたいです。その為にこの「豚汁の具」である僕達がどれだけいい味を出せるかなっていうのが(笑)。
 それ、私の見解なだけで(笑)、そう決まったわけじゃないから。
田村 それを頂いて(笑)、良い「具」になれるように自分も頑張りたいと思います。
壮 私は今回台本に没頭して読み始めた頃に、ふと思い出した感覚があって。私が本来なぜ色々な人と喋るのが好きなのかという原点になった、十代の頃のある方との出会いがあるのですが、その人の事を思い出したんです。その人との出会いで今の自分があるし、自分の人間性や人生が凄く変わったんです。だから、この作品をご覧になったお客様が、何か一つ、例えば忘れかけていた気持ちですとか、自分の人生に影響を与えた人ですとか、「そういえば」と思い出して、その方の人生がより豊かになるような、そんなきっかけの一つになったら嬉しいなと思います。また今回のカンパニーには、二十代も二人いるんですけど、同年代の人も多くて、そういう人たちがカウンターに並んだ時に、役者人生だったり、その人自身の人生というものが、きっと背中からも滲み出ると思うんです。だからこそ自分もそこに埋没しないように、しっかりと個性なり色なりを出して、しっかり役として存在していけたらいいなと思います。
藤重 結構出てる。
一同 (笑)。
藤重 衣食住の人間の生活を考えるとするならば、「食」って、真っ先にそれを失うと人間の命に関わってくるものだと思うんですね。だから食を通じて人の繋がりを描くというのは、まぁ僕の中ではですけど、命に繋がる重たいテーマだなとの想いがまず入口にあって。僕は凄くシンプルで、実生活では子どもがいるので、仕事を頂けること自体幸せなんですけど、その仕事をやるかやらないかの分かれ道って、自分の子どもに見せて、愛が伝わるか伝わらないかだけなんですね、その役が何であろうと。オカマであろうと、人殺しであろうと、そこに愛があるのかないのか。僕は、この作品にはその愛が詰まっていると思うので、これからそのメッセージ性をもっともっと膨らませて、みんなで作っていきたいです。毎回僕ゲネプロとか子供に観てもらっていて、2歳くらいから来てるんですよ。
一同 へぇ〜!
藤重 でもね、子どもって泣くんですよ、不思議なことに。パパが死んだわけでも何でもないシーンで、泣くんですね。ちゃんと伝わるんです。だからやっぱり、そういう作品に育てていきたいなと。
 あぁ〜、良いなぁ!
愛加 凄く良い話。
田村 素晴らしい。
藤重 とても愛が詰まっている作品になりますので、是非ご期待ください!
 
■プロフィール 
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そうかずほ〇兵庫県出身。96年宝塚歌劇団に入団。12年雪組トップスターに、14年宝塚を退団。16年ミュージカル『エドウィン・ドルードの謎』で本格的に女優活動をスタート。以後、順調にキャリアを重ねている。近年の主な舞台は、『扉の向こう側』『細雪』『魔都夜曲』MUSICAL『WILDe BEAUTY〜オスカー・ワイルド、或いは幸せの王子〜』ミュージカル『アダムス・ファミリー』『戯伝写楽 2018』『GEM CLUB供戞SHOW  STOPPERS!!』『マリー・ゴールド』など。11月末にライブ『SO BAR 供戞2019年『Le Pere 父』『ベルサイユのばら45 〜45年の軌跡、そして未来へ』、への出演が控えている。

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まなかあゆ○富山県出身。05年宝塚歌劇団入団。12年、壮一帆の相手役として雪組トップ娘役に就任。14年宝塚を退団。主な出演作品にミュージカル『ブロードウェイと銃弾』、ミュージカル『王家の紋章』、ミュージカル『マリーゴールド』がある。舞台『嫌われる勇気』や朗読劇『私の頭の中の消しゴム10th』にも出演するなど、ミュージカルにとどまらず活躍の場を広げている。

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ふじしげまさたか〇山口県出身。1994年「愛してるなんて言葉より…」でアーティストデビュー。「激しく激しい情熱」「FOREVER」「rainy night」など数々の楽曲を発表。現在はシンガーソングライターとして、またテレビ、映画、舞台など俳優としても精力的に活動中。主な出演作品に、ドラマ『龍馬伝』『相棒』、映画『彼岸島』『表と裏』、舞台『RENT』『緋色八犬伝』などがある。

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たむらりょうた〇東京都出身。2013年『レ・ミゼラブル』のマリウス役でミュージカルデビュー、2017年まで同役を務める。少人数のミュージカルから大規模なミュージカル作品まで幅広く参加。近年は『魔界王子』などの漫画原作ミュージカルや『TRAMP』、社会派劇団ワンツーワークスの『蠅の王』でストレートプレイ出演など、更に多岐に渡る活動を展開している。またコンサート、ソロ・ライブも精力的に行っている。

〈公演情報〉
AD深夜食堂
 
ミュージカル『深夜食堂』
原作著作◇安倍夜郎「深夜食堂」(小学館)
Book&Lyrics by JEONG, YOUNG 
Music by KIM, HAESUNG
演出◇荻田浩一
日本語上演台本・訳詞◇高橋亜子
出演◇筧利夫 
藤重政孝 田村良太 小林タカ鹿 碓井将大 エリアンナ AMI(アミ) 谷口ゆうな 愛加あゆ 壮 一帆
演奏◇熊谷絵梨(Pf)、相川瞳(Perc.)、中村康彦(Gt.)、中村潤(Vc.)
●10/26〜11/11◎新宿シアターサンモール
〈料金〉8,200円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉info@meshiya-musical.com
〈公式HP〉http://meshiya-musical.com
〈公式ツイッター〉@meshiya_musical



【取材・文/橘涼香 撮影/山崎伸康】

 



舞台『刀使ノ巫女』


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