松平、一路、水、大山

ミュージカル・コメディ『キス・ミー・ケイト』の2018年版が、この夏も全国で上演される。その東京公演が、7月3日に東京芸術劇場 プレイハウスにて開幕した。(7月8日まで、そののち8月8日まで、岩手、青森、愛知、石川、兵庫、香川、愛媛、広島、福岡で公演を行う)
 
シェイクスピアの名作『じゃじゃ馬ならし』を劇中劇として実際に演じながら、その楽屋裏で巻き起こる騒動を並行して見せていくかたちの「バックステージ・ミュージカル」。1948年にブロードウェイで初演、翌1949年にトニー賞を受賞。日本では東宝ミュージカルとして、1966年、宝田明&江利チエミで初演、以来、さまざまなスターたちによって上演されてきた。また一路真輝は、2002年と2003年にリリー役を演じていて、昨年は14年ぶりの出演となった。

シェイクスピア喜劇を下敷きにしたストーリー展開の面白さに加えて、「ソウ・イン・ラブ」や「またショウがはじまる」などコール・ポーターの名曲の数々、あるいは「トゥー・ダーン・ホット」をはじめとする見どころいっぱいのダンスナンバー、まさに歌・ダンス・芝居の三拍子が揃ったスタンダードミュージカルの傑作だ。

松平、一路

【あらすじ】
1948年の初夏、新しいショーの開幕準備のため、俳優や裏方たちがボルチモアの劇場へ到着した、このショーはシェイクスピアの「じゃじゃ馬ならし」をミュージカル仕立てにした新作で、ニューヨークで1ヵ月間稽古を積み、仕上げのトライ・アウト(試演)を行うために、ボルチモアにやってきたのだ。
一座を率いるのは、主演俳優にして脚本家・演出家、さらにはプロデューサーもかねるフレッド・グラハム(松平健)、その八面六臂の活躍ぶりはスーパーマン級。主演女優のリリー・ヴァネッシ(一路真輝)は、フレッドと別れて1年の元妻。二人はすぐケンカ腰になるが、まだ甘い思い出が残っている。
フレッドはこのショーに、新人女優のロイス・レイン(水夏希)を抜擢、彼女のことは気になる存在…。そのロイスはビル・カルハウン(大山真志)と良い仲だが、この二枚目俳優は困ったことにギャンブル愛好家。稽古を抜け出してホーガン親分の賭場に直行、散々むしり取られ、1万ドルの借用書にサインをしてしまう。おまけに自分の名前ではなく、フレッドの名前を書いたものだから…!
早くも開演30前。支度中のフレッドに珍客登場。ホーガン親分の手下のギャング(太川陽介、杉山英司)が、フレッドのサインのある借用書の取り立てに来たのだ。フレッドは悪い冗談だと思い、お二人に丁重にお引き取りいただく。一方、フレッドから初日祝いの花束が届き、大喜びのリリー。ところがそれは間違いでロイスに宛てたものだった。気づいたフレッドは大慌て! だがリリーは間違いとは知らず、上機嫌で舞台に向かった…。
いよいよ初日の開幕、賑やかに序曲は流れ、旅役者の一座がお客様に愛嬌を振りまく中、舞台はイタリア。デュボアの街へ。劇中劇が始まる…。
舞台は順調、だが舞台裏でアクシデントが! 例の花束がロイス宛てだとリリーにバレてしまったのだ。リリーは激怒、舞台を降りるとフレッドに宣言し、ホワイトハウスにいる「今カレ」のハウエル将軍(川麻世)に電話をかけて、今すぐに迎えに来てくれと頼み込む始末。
全財産をこの公演につぎ込んでいるフレッドにとって、公演中止は身の破滅。人生最大のピンチに、なぜかギャングがまた現れる。ひらめいたフレッドはギャングに「リリーが降りると公演中止になり、借金も返せない」と諭し、自分の味方につけることに成功する。
舞台裏の大騒ぎと同時に舞台は進行、1幕ラストの場面へとなだれ込む。いがみ合うのは役のペトルーキオとキャタリーナ?それともフレッドとリリー? 舞台と楽屋はどちらも険悪な雰囲気。一触即発の大緊張状態で物語は進んで行く!

松平、一路2

今回のカンパニーは、昨年の夏、ミュージカル・演劇文化の普及を目指した「ハロー・ミュージカル!プロジェクト」として全国ツアーを展開、その好評を受けて、ほぼ同じメンバーでの再演となった。
よりパワーアップしたと出演者たちが語るように、息の合った舞台が繰り広げられている。松平健のフレッドと一路真輝のリリーの火花散る元夫婦の痴話(?)ゲンカや、劇中劇でのドタバタは、磨きがかかって絶妙のコンビぶり。水夏希のモテモテ新人女優はさらにチャーミングに、その恋人でギャンブル中毒の俳優に扮する大山真志とは新鮮な組み合わせで、大型コンビの魅力を発揮。ギャング役で劇中劇でも大活躍の太川陽介・杉山英司(スギちゃん)の2人は、出番のたびに抱腹絶倒させてくれる。リリーの付き人ハッティーはちあきしんでラテンで明るいノリ。満を持しての登場となるハウエル将軍の川麻世は、スマートかつ貫禄もあってさすがの存在感。そして「トゥー・ダーン・ホット」に代表されるダンサーたちのパワフルなダンスも見逃せない。
そんなカンパニーのメインキャストたちが、神奈川(川崎)での初日を終えて、いよいよ東京公演開幕という7月3日、囲み会見に登場した。

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ちあきしん、 大山真志、水夏希、杉山英司(スギちゃん)
川麻世、一路真輝、松平健、太川陽介 

【コメント】

松平健/フレッド役(劇中劇ペトルーチオ役)
去年に引き続いての再演ですが、より練り上げて素晴らしいものができました。この『キス・ミー・ケイト』というミュージカルはとても楽しい、笑いあり、踊りあり、歌ありで、色々ふんだんな内容になってます。バックステージと舞台表と行ったり来たりで、我々はたいへん忙しいのですが、観ているお客様もそのへんがたいへんかもしれません(笑)。お話は、最終的には「じゃじゃ馬ならし」の内容なので、慣らそうとしているのか、慣らされているのか(笑)、とにかく面白いお話です。前回やったことで、出演の皆さんと仲良くなって、そういった意味でもやりやすくなり、内容もより深くなって素晴らしいものができてます。名曲もいっぱいですし、ダンスも見どころです。とにかく分かりやすくなってます。ぜひ沢山の皆さんに観ていただきたいと思っています。

一路真輝/リリー役(劇中劇カタリーナ役)
リリー役ですが、劇中劇のシェイクスピアの「じゃじゃ馬ならし」の中ではカタリーナ、愛称がケイトです。そこからこの『キス・ミー・ケイト』という題名が付いたのですが。私一人でも3つの役名を持っていますので、お客様はちょっとややこしいかなと思いますが、そこを分かりやすくお伝えできるように、今回、去年よりさらに練り直して、みんなで一丸となって、この『キス・ミー・ケイト』というミュージカルを、お届けできるようがんばっております。このカンパニーは、年齢もそこそこ高いので(笑)とても安定感があって、伸び伸びとさせていただいて、それを全部皆さんが受け止めてくれて、この座組は最高です。東京が終わりましたあと、今回も多くの土地にお邪魔させていただくことになっています。劇中にも「旅から旅を行く」という歌詞が出てくるのですが、その歌詞のままこの一座が全国を回らせていただきますので、各地の皆さまも楽しみに待っていただけたらと思っております。よろしくお願いします。

水、大山
 
水夏希/ロイス役(劇中劇ビアンカ役)
私は相手役が変わりましたので、(大山真志を見ながら)この100cmの胸板に(笑)、体当りしてぶつかって弾けていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

大山真志/ビル役(劇中劇ルーセンショー役)
今回、僕は初参加させていただいてますが、前回、皆さんが作り上げたものに新しい風を吹き込めたらと思っています。この作品を観ていただいたお客さんは、きっと気持ちがほっこりすると思います。沢山の方たちに観ていただけたらと思っています。

一路、川
 
川崎麻世/ハウエル将軍役
昨年もすごく評判が良かった『キス・ミー・ケイト』ですが、今年はさらにパワーアップして全国の皆さまへお届けしたいと思います。なんといっても全国ツアーの醍醐味は、色々な土地のグルメを楽しめることです(笑)。そちらも楽しみに、全国をまわりたいと思います。ぜひ皆さん、いらしてください。

ちあきしん/リリーの付き人ハッティー役
ハッティー役と歌唱指導もさせていただいています。2年目ということで皆さんの歌が格段に進歩されていて、嬉しい限りです。コール・ポーター作曲の名曲たちをふんだんにお届けできると思います。昨年、ミュージカル初出演だったスギちゃん(杉山英司)も、音程正解率が格段にアップしているので、(杉山「はい!」)そのへんも楽しみに!ハッティー役のほうでは愛するリリーの付き人ですから、オフでもしっかり付いて(笑)楽しみたいと思っています。

松平、杉山、太川

杉山英司(スギちゃん)/ギャング
歌のほうが音程正解率が6割を越えて、やったな、越えたなと(笑)。すでに川崎での公演を終わったのですが、それを観てくれたお客さんに「ものすごく上手くなったね」と。ま、そのお客さんは私の熱烈なファンなんですが(笑)。実際、けっこう変わったと思いますし、セリフも前は忘れずに言わなきゃというのがあったんですが、今は気持ちが出ているので、ぐんと上がってると思います。前回は初ミュージカルでしたから、初々しさが残ってしまったけれど、今回は、終わった後に「え!あの人スギちゃんだったの!?」って思われるくらいに溶け込みたいなと。いや、もう溶け込んでると思います(笑)。

太川陽介/ギャング
僕はスギちゃんの世話役というか(笑)。この暑い夏、スギちゃんの歌と芝居を見れば、背中が凍りつくと思うので(笑)、ぜひ納涼にいらしてください。いや本当は、昨年に比べれば舞台での芝居というものがわかってきたので、そばで安心してます(笑)。

〈公演情報〉
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ミュージカル・コメディ『キス・ミー・ケイト』
脚本:ベラ&サミュエル・スプワック
訳詞:なかにし礼
翻訳:丹野郁弓
演出・振付:上島雪夫
出演:松平健、一路真輝、水夏希、大山真志、川崎麻世、ちあきしん、太川陽介、杉山英司(スギちゃん)ほか
●6/30・7/1◎カルッツかわさき ホール
●7/3〜8◎東京芸術劇場 プレイハウス 
〈料金〉 S席7,000円 A席4,500円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9:30〜17:30)
岩手、青森、愛知、石川、兵庫、香川、愛媛、広島、福岡公演あり





【取材・文/榊原和子 写真提供/TOHOマーケティング】



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