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帝国劇場での『SHOCK』でミュージカル単独主演記録を更新し続けているKinKi Kidsの堂本光一と、ミュージカル界のプリンスとして活躍する井上芳雄が初共演を果たす、ミュージカル『ナイツ・テイル〜騎士物語〜』が、7月27日〜8月29日(7月25、26日プレビュー公演あり)、有楽町の帝国劇場で世界初演の幕を開ける(のち、9月18日〜10月15日大阪・梅田芸術劇場 メインホールで上演)。

ミュージカル『ナイツ・テイル〜騎士物語〜』は、ジョヴァンニ・ボッカッチョの「Teseida」、ジェフリー・チョーサー作「騎士の物語」、ジョン・フレッチャーとウィリアム・シェイクスピアによる「二人の貴公子」をモチーフとして、『レ・ミゼラブル』『ベガーズオペラ』『ダディ・ロング・レッグス』等で、日本でも高い評価を得ているシェイクスピアの権威ジョン・ケアードが、堂本光一と井上芳雄の初共演の為に用意した新作ダンスミュージカル。王女エミーリアに恋をした二人の騎士を中心とした物語が展開され、国内外の才能あふれるクリエイティブスタッフが集結して創られるオリジナルミュージカルとなっている。

そんな大型話題作の製作発表記者会見が、5月31日都内で開かれた。騎士アーサイト役の堂本光一、同じく騎士パラモン役の井上芳雄、二人が愛するアテネ大公の妹エミーリア役の音月桂、大公シーシアス役の岸祐二、森の楽団のダンス指導者ジェロルド役の大澄賢也、アマゾンの女王ヒポリタ役の島田歌穂。また脚本・演出のジョン・ケアード、振付のデヴィット・パーソンズ、ケアードの妻で日本語脚本・歌詞の今井麻緒子、東宝株式会社取締役演劇担当・池田篤郎が登壇、公演への抱負を語った。

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会見の冒頭に、稽古初日の和やかな映像がスクリーンに映し出されたあと、池田篤郎から、「2000年に『SHOCK』で帝劇に鮮烈デビューを果たして以来、全公演全席即日完売の公演は18年間で1630回を超え、日本のミュージカル単独主演記録1位を更新し続けている堂本光一さんの新たな作品に、同じく2000年にミュージカル『エリザベート』東宝版初演での皇太子ルドルフ役で、ミュージカル界に彗星の如く現れて以来、舞台を中心に大活躍を続けている井上芳雄さんがご一緒されるというのは、2000年というミレニアムというご縁で二人が結ばれていたのかも知れないと思う。新たなことをしたいというお二人の新作に、名匠ジョン・ケアードさんが力を発揮してくださり、二人に相応しい二人ならではのミュージカルの新時代を拓く作品が出来上がることを確信している。ご期待頂きたい」という挨拶があった。

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続いて脚本・演出のジョン・ケアードから、「東宝から光一さんと芳雄さんの二人に相応しい作品が作れないか、というオファーを頂いた。共にカリスマ性を持つこの二人が一緒に仕事をしたいという素晴らしい機会なので、二人が同等の活躍をする作品にしたいと思ったが、『ロミオとロミオ』という作品はなかなか見つからず難しかった」と笑わせ、「そこからボッカッチョの「Teseida」チョーサーの「騎士の物語」そしてフレッチャーとシェイクスピアの「二人の貴公子」にたどり着いた。三つの作品に共通するのは、友情で結ばれた二人が一人の女性に恋をし、決闘をするという筋立てだが、これらの原典には敬意を払いつつ現代にも通用するものを入れて脚色しようと思った。全体の中に三つのラブストーリーが入っているので、それを広げることによって、シェイクスピアの名だたる傑作に匹敵するものにできると考えた。様々な作品を演出してきたが、日本初演のミュージカルを創るのは初めての経験なので、だからこそ日本ならではの演出を考えている。物語を台詞と歌で伝えるのはもちろんだが、今回の作品ではダンスがとても重要になる。ストーリーを伝えるダンスシーンがふんだんにある。世界初演の作品を素晴らしいキャストとスタッフとで創っていきたい」と意気込みが語られた。

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夫君のケアードの挨拶の通訳も務めていた日本語脚本・歌詞の今井麻緒子は、「これまではどこかの国で上演された作品を訳す作業をしていたが、今回は日本初演なので、この仕事を引き受けた時点では台本も出来ていなかったので、どうなるかという想いもあったが、ダンスのワークショップにも参加する等、作品の立ち上がりから参加したことで、オリジナル作品を創る難しさと同時に楽しさを感じている。稽古場でも役者さんに合わせてどんどん脚本を変えていくので、ブロードウェイで初演の出演者を"オリジナルキャスト"と呼ぶのはこういうことだったのかと、彼らも作者の一部として、インスピレーションを与えていくのだと実感している。そういう意味ではもちろん今は脚本も出来上がっているのだけれども、私の仕事も初日までなくなりそうにない。ジョンのシェイクスピアらしい韻を踏んだ台詞もたくさんあるので、日本語に訳す作業は難しくもあるけれども、初日の幕が開くのを楽しみにしている」と現場にいるならでのエピソードが明かされた。

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振付のデヴィッド・パーソンズは、「日本初演の作品、尊敬するジョン・ケアードの演出する作品に携われることを光栄に思っている。この作品はダンスによって物語が進んでいくので、私にとっても大きなチャレンジがたくさんある。楽しいダンスミュージカルを創り上げていきたいと思う。素晴らしいキャストに期待している」と、ダンスが重要な作品の振付を担当することに意欲たっぷりの挨拶があった。
 
ここから会見はいよいよ出演キャストの挨拶、そして質疑応答へと引き継がれた。

【キャスト挨拶】

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堂本 堂本光一です。いや〜ここまでの空気が…、ここどこの国だったっけ?と(笑)。
井上 ちょっと流れがね(笑)。
堂本 こうして多くの方にお集まり頂きありがとうございます。本当に自分にとってはずっと芳雄君と一緒にやれるのが夢だと話していたのがこうして現実になったこと。そしてジョンがそれを稽古してくださって、少しずつ形になっていっているのを今、まだ信じられないような感じもしております。正直、自分で飛び込んでしまったものの、これは大変なことだな、できれば客席で観たかった(笑)、と言ったら怒られますけど、こうして右を見ても、左を見ても、本当に素晴らしい方たちと共演できるということを、嬉しいと同時に恐れ多く、そして怖いという気持ちもあります。先日から少しずつ稽古に入っているのですが、芳雄君はこの仕事よりも素敵な仕事を今やっているらしく…(笑)
井上 いや!もう口が悪いから…(笑)
堂本 (笑)でも稽古はまだだよね?
井上 まだだね(笑)。 
堂本 でも、明日から遂に一緒に稽古ができるというのも、楽しみのひとつだなと思っております。先ほどジョンさんもおっしゃっていましたけれども、この『ナイツ・テイル』という作品は、非常に形にするのが難しい作品だと最初から聞いておりました。アーサイトという役をさせて頂きますが、ポスターも新しく撮影したものがありますけれども、ステージ上でもああやって脱ぐ姿があるのか(笑)、芳雄君はそういうシーンがあれば降りるという風におっしゃっていました(笑)。でも本当に数日だけの稽古の間でも、ジョンがサジェスションしてくれることによって、今まで本当に遠い存在だったシェイクスピアの作品が、今まるでシェイクスピアがそこにいるかのような作品になるという想いがします。ジョンが色々教えてくださるのでそこについて行って、お忙しい役者の皆さんにもついて行って、なんとか食らいついていきたいなと思っております。どうか皆様の支えもよろしくお願い致します。

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井上
 井上芳雄です。この作品は24日に顔合わせがあったのですが、僕はその足でニューヨークに飛びまして、トニー賞をレポートしてくるという仕事がありまして、まだ全く稽古に参加できておらず、帰ってきたばかりなので、皆さんにも馴染めておらず、非常に感じの悪い人になっています(笑)。なので、これからだなと思っているのですが、でも今こうやって製作発表の場を設けて頂き、こうして皆さんとご一緒させて頂いて、本当にやるんだな、現実になるんだなということを感じております。僕はパラモンという騎士の役をやりますけれども、光一君とは従兄弟同士の騎士で、二人は親友でありライバルであるという役柄です。色々なことが起こってくるのですが、僕が唯一稽古に出られた顔合わせの日にジョンが言ったのは「彼らはお互いに、お互いのことを羨んでお互いになりたいと思っている。だからこそ信頼もするし、いがみ合うこともある」というのを聞いた時に、僕は光一君になりたいとか、そんな大それたことは思ったことがないですけれども、どこかではスゴイな、良いなって思っていたのは事実で。僕らが仕事で交わることがあるとは思っていなかったのですが、それが色々な方の力により、こうした形で交わることができたのを、まず第一に嬉しいなと思います。光一君は『SHOCK』を長年続けてきて、これからも現状の活動を続けていかれても何の問題もない成果を納めている方なのですが、そうじゃなくて、1歩新しい、どうなるかわからないところに踏み出してみようと、光一君が思ってくれた、それがすごいことだとなと思います。そこにはリスクもあるだろうし…。
堂本 後悔も…。
井上 後悔?もう遅いよ!(笑)、もう引けない、今日この場で引けない!(笑) そんな心意気にすごく共感するし、尊敬します。でももっと言えば、そうでなければ人生って面白くないし、生きている意味もないんじゃないかと僕は思うので、光一君がひとつ飛び出して良かったなと思えるように、僕も力のひとつになりたいなと思います。やっぱり踏み出すんじゃなかったという結果にならないようにしたいと思います。僕はどちらかと言えばホームグラウンドのミュージカルで光一君を迎え入れる立場で、今回は余裕でできるのかな?と思っていたら、ダンスミュージカルだと聞きまして。「ちょっとそれ聞いてないよ?」と思って(笑)。僕はダンスは得意分野ではないですし、今日見て頂いた新しいポスターですが、この素敵なポスターの裸、完全に僕の筋肉は盛って頂いているので(爆笑)、光一君はこのままの肉体ですけど、ちょっと今からそこはスタッフと話し合いをしないといけないと思うんですが(笑)。
堂本 いや、僕にとってもそんなに簡単じゃない!
ケアード 芳雄にもこのくらい筋肉つけさせますので。
井上 僕、筋肉つかないんです(笑)。
堂本 筋トレのことだけは俺に訊いて!
井上 じゃあ、お互い助け合いながら(笑)。とにかく新しいものを、苦しいこともあると思いますが楽しみながら創りたいと思います。ジョンと、またデヴィッドさんという新しい出会いもありますから、このカンパニーで、皆が何かしら新しいリスクを背負っているので、それを楽しんでやっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 
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 音月 音月桂です、よろしくお願いします。今回は新作ミュージカルでアテネ大公シーシアスの妹のエミーリア役をさせて頂くことになりました。当時女性が結婚相手を自分で決めるということはなかなか難しい時代。特に位の高い女性であればあるほど、家の為、国の為に政略結婚という形を取らざるを得ないという状況の中で、今回演じさせて頂くエミーリアという女性は、すごく独立心の強い、自立したいと願っている女性という印象を、初めて台本を読ませて頂いた時に感じました。そして演出のジョンさんとお話させて頂いた時にも、まさにその通りで、そういう女性が二人の騎士に出会ったことによって変化をしていく。気持ちがどんどん豊かになっていく女性像だ、というお話を頂きまして、「あぁなるほど」と。現代の女性も皆さんどんどん自立しているので、観ている方々に共感して頂ける役なんじゃないかな?と楽しみにしております。私個人と致しましては、帝国劇場に立たせて頂くのが初めての経験ですので、今までは一観客として拝見する、客席にいた立場でしたので、憧れの劇場に立たせて頂くというのが今からとても楽しみでもありますし、不安でもあります。国民の王子様、国民のプリンスのお二人と共演させて頂ける、私は今までは、宝塚で王子様を演じて舞台に立つことが多かったので、女性でいいんだ!と。
堂本 音月さんもナイトやった方がいいんじゃない?(笑)
音月 いえいえ!(笑)
井上 三人でナイト!(笑)
音月 いえ(女性でいいことが)幸せなことだなと思いますので(笑)、その辺りを噛みしめながら、初日に向けて良い作品を創っていけるように、パズルのひとつのピースになれるように頑張っていきたいと思います。よろしくお願い致します。

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 アテネ大公シーシアス役をやらせて頂きます岸祐二です。できれば僕の名前を憶えて帰って頂きたいと思います(笑)。2003年の『レ・ミゼラブル』で帝国劇場にアンサンブルとして立たせて頂いて、今、15年経って、同じジョン・ケアードさんの作品で、メインキャストとしてこういうところに立たせて頂くことを本当に光栄に思っています。この私のシーシアスという役が、国を倒し、光一君と芳雄君、二人の騎士を捕虜にします。そして妹に素晴らしい音月桂さんを迎え、そして世界的な歌姫、僕にとっても伝説的な歌姫の(島田))歌穂さんを嫁にするという、こんな興奮する出来事は人生でもそうないのではないか?と思うくらいで、毎日稽古場で興奮しております。そして2007年の『レ・ミゼラブル』以来のジョン・ケアードさんとご一緒させて頂けるということで、ジョンさんの世界に、演出に飛び込めることをありがたく思っています。また先輩である大澄賢也さんとは、今年やった舞台でご一緒させて頂いて、すごく仲良くして頂いて、僕にとってお兄さんのような存在の方ですので、また共演できることを楽しみにしています。この作品は和洋折衷というか、色々な要素があると思いますので、楽しめること間違いないと思います。是非よろしくお願い致します。
 
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 大澄 大澄賢也です。今ここにいて、縁をすごく感じています。堂本光一君とは二十数年前に、まだ光一君が中学生でしたが「家なき子」というドラマで、僕が学校の先生という役で共演をして以来の舞台での初共演。そして井上芳雄君とは『ウェディング・シンガー』というミュージカルで共演させて頂き、その後もドラマ等でも共演させて頂いたご縁があります。今や1人1人が帝国劇場を1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月ソールドアウトにするような人同士が合わさった舞台というのは、いったいどんな風になるのだろうか?というほど、贅沢な作品だと思っています。そこに世界的な演出家のジョンさん、振付のデヴィッドさんに来て頂き、僕も三十数年舞台をやってきましたけれども、新人のつもりで、吸収するつもりで、精一杯務めたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 
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島田
 アマゾンの女王ヒポリタを演じさせて頂きます島田歌穂です。アマゾンと言いますと、皆様アマゾン川を連想されると思うのですが、今回のアマゾンというのはギリシャ神話に出てくる「アマゾン族」です。女性だけで構成された女戦士たちの一族で、その女王、アマゾネスです。シーシアス率いるアテネ軍と戦い、負けてしまいまして、妃になれと求婚されます。女王としてのプライドもありますし、女性としての揺れ動く心と、非常にエネルギーと威厳が求められる役です。私はジョン・ケアードさんに初めてお会いしたのが、32年前『レ・ミゼラブル』初演のオーディションでした。私の人生を大きく拓いてくださった、心から慕い、尊敬している、一生の恩人だと思っています。その後『ベガーズ・オペラ』という作品でご一緒させて頂きましたが、また時を経て、この度、大人が求められる女性役をやらせて頂けることになりました。新たなチャンスを頂けたことにすごく感謝しつつ、堂本さん、井上さんをはじめキャストの皆さん、そして素晴らしいクリエイティブスタッフの皆さんとご一緒に、新作ミュージカルが生まれる瞬間、瞬間を味わっていけることにワクワクします。全身全霊で臨ませて頂きます。よろしくお願いします。

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キャストの挨拶に続いて、この日スケジュールの都合で欠席となったもう1人のメインキャスト、牢番の娘役の上白石萌音からの、映像メッセージがスクリーンで写し出された。

上白石 (映像メッセージ)皆さんこんにちは。ミュージカル『ナイツ・テイル─騎士物語─』で牢番の娘役を演じます上白石萌音です。本日は製作発表に参加できずとてもとても残念に思っております。申し訳ありません。私は小さい頃からミュージカルが大好きで、ずっとミュージカルを観て、自分自身も楽しんで育ってきました。このお仕事をはじめるきっかけもミュージカルがあったからです。なので、その私にとって憧れの大先輩方と今回ご一緒させて頂けること。そしてジョン・ケアードさん、デヴィッド・パーソンズさんはじめ、世界的なスタッフの皆様とご一緒できること、大変光栄にそして楽しみに思っています。私にとって初めての帝国劇場ということもあり、今から緊張しているのですが、皆様の背中を見て追いかけて、たくさん学んで初日を迎えられるよう精進したいと思います。是非皆さんも作品にご期待ください。

【質疑応答】

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──ご出演の方々の中に邦楽の方たちがいらっしゃいますが、どのような音楽になるのでしょうか?
ケアード とても良い質問をありがとう。彼らに対して何も言わなかったですね。古典的なヨーロッパのものを、21世紀の日本でやる、しかも世界初演でミュージカルの手法でやるにあたって、何か日本の文化を入れられないかと思い、日本の和楽器の方たちが演奏しながら踊りに混じっていたら面白いのではないかと思いました。4人の和楽器奏者が常に舞台上にいます。西洋と東洋の二つの文化が出会うことは興味深いですし、非常に効果的になるのではないかと期待しています。
──ジョンさんから観た堂本さん、井上さんの舞台人としての魅力は?
ケアード 芳雄の魅力は『キャンディード』『ダディ・ロング・レッグス』の仕事を通じてよく知っていましたが、光一の『SHOCK』を観に行った時には驚きました。3時間あれだけ様々な仕掛けのある舞台を1日に2回やっていて、今生きていることが奇跡だと思います(会場、そして堂本も爆笑)。二人に共通している魅力は、舞台の真ん中に立った時に圧倒的なカリスマ性があることです。それが二人の騎士に存分に生きると思います。帝劇という大劇場に相応しい大きな力を出してくださる、二人だけでなくここにいる全員がそうです。
──堂本さん、井上さんからジョン・ケアードさんの演出の魅力は?
堂本 この企画が本格的にスタートする前に何度かお会いして、食事をご一緒させて頂いたりしたのですが、その時からジョンは何か僕の心の奥底を見ているな、という、そんな緊張感がありました。まだ稽古がはじまってそんなに経っていないのですが、実は出演者の僕らにとってはこのストーリーがまだ、すごく漠然としている部分がありまして、そういうところをジョンが紐解いていってくれるのです。そこから感じるのは、シェイクスピアが完璧に書ききれなかったものをジョンが完成させてくれていると、そう思います。芳雄君と僕の魅力をカリスマ性だと言ってくださり、僕が「生きているのが信じられない」という風におっしゃって頂きましたが、僕は身体を張るしかなかったので(笑)、違う意味で今回生きることが大変だなと思いますね。ですからそういう緊張感をもってやらせて頂かないと、ジョンの期待を裏切らないようにしないといけないなと思っています。

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井上 この物語の説明を聞いていても、ジョンはシェイクスピアと友達だったのかな?今何歳なの?ジョンは?(笑)というくらい、今、シェイクスピアから見て、聞いてきたというように話してくれるんです。ジョンは演劇の魔法を教えてくれる、魔法を使える人です。演出家は皆それぞれ魔法を使える人ではありますが、ジョンは例えば山があるシーンで、舞台に本物の山を出すわけにはいかない。そこで小さな山を皆で作ることが表現の全てではなくて、箱を積み重ねてその上に乗った時に、本当に山に登ったんだなと感じられる。その豊かさをはじめとして、色々なことを教えてもらって体感してきたので、今回大きなカンパニーで、大きな作品になると思いますが、その中にもたくさんの演劇の魔法がジョンによって施されるのではないかと楽しみにしています。シェイクスピアの作品を今の時代でやる意味というのを考えておられると思いますし、結末はネタバレになってしまうので言えないのですが、僕はすごく良い話、面白い話、今の時代にピッタリな作品だと思います。結局男が愚かだということなんですが、でもそれはすごく正しいんですよ。女性はいつも正しいなぁと!(笑)『ナイツ・テイル』って良い意味で帝劇のイメージと違うよね?
堂本 全然違う!
井上 帝劇でやるミュージカルでこの結末って革命だと思うし、それがすごく皆さんの心にフィットするんじゃないかと思って、その新しさにもすごく期待しています。

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──音月さん、島田さん、岸さん、大澄さん、ジョンさんとのエピソードや思い出を教えてください。
音月 私は『十二夜』というシェイクスピア作品でジョン・ケアードさんとご一緒させて頂いたのですけれども、今回の稽古場でもすごく思うのですが、今まで色々なお芝居を創らせて頂いてきた中で、稽古場の雰囲気ってどちらかと言うと自分の課題と取り組んだり、できなくて悔しいとかいう負の想いとの戦いも多くて、皆で一緒に切磋琢磨していく過程の全てが楽しいわけではないんですね。苦しいこともあるんです。でも『十二夜』の時も、今回もまるで一緒にお料理をしているような「お腹が空いたね、美味しいご飯が食べたいね」という、きっと皆さんがポジティブな気持ちでお料理を作られる時と同じに、稽古場の雰囲気が本当に楽しくて。私も初めて共演させて頂く方ばかりなのですが、初めての方同士が多くて、打ち解けるまでには時間がかかるかと思いきや、あっという間に、芳雄さんのおっしゃった「ジョンさんの魔法」がかかりまして、稽古場の皆がすごく仲良く、楽しいものになっています。もちろん曲の譜面と向き合う時間には「大変だな」と思う時もありますが、稽古場がすごく楽しいので、今日はどんな刺激がもらえるだろうか?というポジティブな気持ちで稽古場に向かえるというのが、私の印象です。
 2007年の『レ・ミゼラブル』で僕がアンジョルラス役をやっていた時、芳雄さんの言ったようにジョンさんの魔法にかかりました。役者に何かを指示するというよりは、話を聞いているうちにフワッと自分が役に変わってしまっているというか、役者がその世界に入り込めるように誘導してくださる。そういう大きな力があって。しかも最後の最後まで照明や、演出を作り変える勇気をお持ちで。良い意味で完成形を持たないと言うか、最後の最後まで良いものを創ろうとされるお力があるので、本当に信頼して毎日稽古をしていますし、これが絶対に良いのに仕上がると思って楽しみです。

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大澄 非常に女性にモテるんだろうなと思います(爆笑)。女性がこの人ならとついていきたくなっちゃうだろう、という方ですね。
島田 今回は井上さんと同じに稽古初日に参加できただけで、もうすぐ合流できるのですが、初日にジョンと再会した時には嬉しくてなりませんでしたけれど、今回の思い出はこれから紡がれると思っています。ですのでこれまでの思い出と言いますと『レ・ミゼラブル』の初演の初日の前に「歌穂、良かったよ!」と言ってくれるのですが、自分ではダメなような気がして「ダメ、ダメ」と首を傾げてばかりいましたら「歌穂いい加減にしなさい!歌穂は完璧主義者過ぎる。演出家の僕が良かったと言っているんだからそれを信じなさい!」と言ってくれて。それでやっと「ありがとう」と言えましたので、今回もたくさん「ありがとう」が言えるように頑張ります。
──堂本さん、今回の作品には演出には関わらずに一役者として稽古に入られていますが、いかがですか?
堂本 ジョンをはじめとして素晴らしいスタッフがいてくれるので、自分はただそこに飛び込んでいます。これから大変な戦いが待っていると思いますが、とにかくジョンについていかなければと思います。ここ1週間くらいでやった歌稽古、またその歌稽古の前に皆とちょっとしたワークショップ的なこともやりながら、コミュニケーションをはかっていって、顔を見て皆でやることで結果的に皆でステージに立つことにつながっていく、ということをやっています。もちろん先ほど皆さんもおっしゃっていたように譜面との戦いもあって、今回の曲は非常に難解な曲が多いんですね。それが稽古の中でアレンジされていく、それを見ていることもすごく楽しいです。こうやって物事がひとつずつ完成に向けて創り上げられていくんだなと。もちろん楽しいだけじゃなくやっていかなければならないですし、僕たちだけではなくてアンサンブルの方たち一人ひとりも、それぞれ輝きながら稽古をやっていて、この稽古の中ではアンサンブルもプリンシパルも関係ないという感覚があります。皆で創り上げていくということを、これだけ短い間に共有できたのは、芳雄君が言った通りジョンがかけてくれた魔法かな?と思っています。真面目に取り組みつつ、とても楽しみです。

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長時間に渡る熱のこもった会見が終了し、フォトセッションが行われたあと、キャストだけが登場しての囲み取材となった。

【囲み取材】

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──光一さんヤバいですね!

堂本 ヤバいですよ!この並びヤバいでしょう?
──実感が押し寄せているんじゃないですか?
堂本 本当にすごく学ぶことがたくさんあるでしょうし、ワクワクはもちろんあるのですが、それ以上に今は恐怖が勝っています。
──井上さんとの共演は初めてだと思いますが、存在を知ったのはいつ頃ですか?
堂本 僕が帝劇で2000年からやらせて頂いて、同世代で芳雄君が東宝の作品で素晴らしい爆発をしているというのは、その時から知っていました。
──井上さんは?
井上 僕はもちろん小さい頃からテレビでも拝見していましたし、それこそヤバいなというのが『SHOCK』がはじまって、お客様がいっぱいで最初から完売で、このままいくと僕たちいらなくなるんじゃないか?(笑)という危機感、ミュージカル俳優には皆、ジャニーズの方があそこまで芝居をしていたらヤバいぞという、戦々恐々としたものがありました。でもそれが敵ではなくて、一緒にやれる味方になれる、もちろんそうなれば良いなとは思っていましたけれど、それが本当に実現するなんて夢のようです。
──そもそもどういう形でこの話が実現に至ったんですか?
堂本 最初は東宝のスタッフの方に引き合わせて頂いて。
──それはいつぐらいに?
堂本 いつだった?
井上 3年前くらい?
堂本 そう、そのくらい前だったと思うんですが、僕は一方的に客席から観ていたりはしていたんですね。それでちゃんとお会いしても最初から知らない人ではない、という不思議な感覚があって。お話をしていても舞台というものを専門としてやってらっしゃる方ですから、そういう方の話を聞くのはすごく楽しいし、話しをするとおこがましいですけれど、何か共通点のようなものも見えてきて。だからやってきたことはお互いに違うかも知れないけれど、何か二人が一緒になったらすごく面白いんじゃないか?を周りの方も、そして僕らも自然に感じていったという形です。
──見えてきた共通点というのはどういうところですか?
堂本 ステージに立つ姿勢であったり、どう?(笑)
井上 これから更に深まると思いますが、僕もずっと東宝の方やファンの方から「光一さんと芳雄さん似てるんじゃないですか?」と言われていて。「言っていることが似てます、ファンの人のイジリ方が似てます」とかと(笑)。
──毒舌なところですか?!
堂本 そこか!(笑)
井上 そういう話を聞いて、キャラクターとしてはどちらかと言うと「王子様」とか言ってもらいがちなのですが、もう年齢的にそれだけじゃないぞ、それだけじゃダメだなと自分でも思っていたので、光一さんの話を聞いて「あ、光一君もそんな毒づいたりするんだ」(笑)と親近感を。話していても同年代でもありますしね。
 僕らの中では「腹黒王子」と呼んでいて(爆笑)。

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──その「腹黒王子」と(笑)、共演される皆さんはいかがですか?
音月 先ほど会見でジョンさんが「圧倒的なカリスマ性」とおっしゃっていて、やっぱり吸い込まれてしまうようなところがあります。芳雄さんとはまだお稽古していないのですが、お稽古場に光一さんが現れると皆ヒュッって。
堂本 嘘!
音月 いえ、ホントですよ! 
堂本 すごくボヨーンとしていて。
音月 違います!ボヨーンとしてない!
堂本 僕、すごくスロースターターなんです。
音月 えっ?そうなんですか?
堂本 今回の稽古が11時にスタートなんですが、皆さんにとっては違うんでしょうが、僕にとっては早いんです!
音月 あ、そっち?(笑)
堂本 「早ぇ〜」って思っていて、時差ボケで。芳雄君は本当に時差ボケだろうけど。
井上 うん、今、時差ボケ(笑)。
堂本 僕は毎日、時差ボケ状態でボヨーンとしてる(笑)。
音月 そうなんですね!(笑)でもお二人のご活躍は今まで一方的に観る側として楽しませて頂いたところに、今回共演させて頂けるというお話を頂いて「私で大丈夫ですか?」と言ったくらいなので、この幸せを噛みしめて頑張ります。
 
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──それも二人を虜にする訳ですよね?
音月 私は……ええと、頑張ります!(笑)
──島田さんはどうですか?
島田 そんなにぼんやりとしてお稽古場に入ってらしていたなんて今初めて伺いました(笑)。でもこの両プリンスとご一緒させて頂けるという、毎日色々なエネルギーを頂きながらやっていきたいと思います。
──大澄さんはお久しぶりということで。
大澄 そうですね。光一君は中学生でしたからね。本当に素晴らしく成長して。芳雄君もね、すごいじゃないですか。もう飛ぶ鳥落とす勢いの二人が合わさる訳ですからね。
井上 今愕然とした。心がこもってない(爆笑)。
大澄 いやいや!(笑)
堂本 でも、稽古場では賢也さんと岸さんが癒しなんです。皆、椅子に座っているんですけど、賢也さんと岸さんがチャッチャ、チャッチャしてるんですよ。
大澄 光一君の方が早いじゃない!
──ヤバいとか言いながら余裕な感じですね?
堂本 いえ、素晴らしい方たちの中にいさせて頂けるからです。
 それは僕らも同じ!
──ポスターでも皆さん、見事な裸体に注目されていると思いますが。
井上 僕のは盛ってるんで(笑)。光一君のはほぼほぼ現実のものと一緒らしいです。
──絵画のようですね?
井上 写真を元にね。
堂本 絵にしています。
──舞台上でも裸になるんですか?
井上 光一君はずっと裸らしいです(爆笑)。
大澄 あ、でも僕もちょっとね。森の一座はそんな感じで。女性もね?
島田 私はアマゾネスですので、かなり衝撃的な衣装で。ちょっと今は言えませんが(笑)。

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──では身体作りも?
井上 いや、光一君はできてるんで!
堂本 ずっと言うんですよ「これ以上鍛えないでくれ」って(笑)。
井上 『SHOCK』を観る度に「なんか大きくなってるな」って(笑)。
──じゃあ光一君はあまりガチガチにはせず?
堂本 この歌稽古が始まってから1週間、ちょっとサボってますよね。それどころじゃなくて。
井上 それくらいでちょうど良い!
──お互いを見てプリンスっぽいなと思うところは?
井上 見た目はもちろんですが、キャラクター的にも、スロースターターと言ってましたが、最初からウェルカムで「イェイ!」という感じでは全然ないんです。でもちょっとずつ心を開いてくれて、その「あ、俺に心を開いていってくれている」というのにキュンとするというか(笑)。ちょっとずつね「ツンデレ」とは言わないけど(笑)、僕も人見知りなところがあるので、このちょっとずつ開くという感じがたまらない。
堂本 芳雄君は立っているだけでもうね。この身長差ですからね。
井上 関係ないじゃない、王子と(笑)。

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堂本 声も素晴らしいし。だから腹黒い部分だけは共通しながら(笑)。でも今回の役としてもどっちが腹黒いのか?って感じだよね?
井上 そうそう、友情で本当に愛し合ってると思った次の瞬間には「お前を殺してやる!」みたいな。本当に情緒不安定ですよね(爆笑)。
堂本 音月さんがそうさせるんだよね。
井上 どっちが抜け出るか?という腹黒さかな。
──ジャニーズの皆さんとではなく、これだけの顔触れと共演することについては?
堂本 皆さんから受けるエネルギーがすごく勉強になります。本当に日々勉強です。
──では最後にお二人から皆さんへメッセージを。
堂本 『ナイツ・テイル』いよいよ始動します。芳雄君は明日から初稽古?
井上 そう、僕は明日から始動します!
堂本 1週間くらいフライングしてます。
井上 そう、皆さんに遅れを取ってますが。
堂本 本当にこうして始動したことがまだ信じられないような気持ちがありますが。
井上 そうですね。
堂本 今まで夢見ていたことが少しずつ形になっていくのを楽しみながら、本番へ…いつ?
井上 7月27日!
堂本 そこに向かって、日本初演…
井上 世界初演ね。このしどろもどろになっている感じから、皆さん色々察して頂ければ!(笑)
堂本 どうぞ皆さん、楽しみにしていて下さい!

〈公演情報〉
ミュージカル『ナイツ・テイル─騎士物語─』
原作◇ジョヴァンニ・ボッカッチョ「Teseida」、ジェフリー・チョーサー「騎士の物語」、ジョン・フレッチャー / ウィリアム・シェイクスピア「二人の貴公子」
脚本・演出◇ジョン・ケアード
作詞・作曲◇ポール・ゴードン
日本語脚本・歌詞◇今井麻緒子
振付◇デヴィッド・パーソンズ
出演◇堂本光一、井上芳雄、音月桂、上白石萌音、岸祐二、大澄賢也、島田歌穂 ほか
●7/27〜8/29◎東京・帝国劇場
〈料金〉S席 13,500円 A席 9,000円
※7/25〜26 プレビュー公演あり(料金同じ)。
●9/18〜10/15日◎大阪・ 梅田芸術劇場 メインホール
〈公式ホームページ〉http://www.tohostage.com/kt2018/


 
【取材・文・撮影/橘涼香】




『大人のけんかが終わるまで』
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