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霧矢大夢が2014年に主演し、読売演劇大賞優秀女優賞を受賞するなど高い評価を得たブロードウェイ・ミュージカル『I DO!I DO!』が、新たに鈴木壮麻とのコンビで、5月11日〜20日まで銀座の博品館劇場、5月26日に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで上演される。

ミュージカル『I DO! I DO!』は、1966年にニューヨークで初演されたブロードウェイ・ミュージカル。登場人物はアグネスとマイケルという一組の夫婦だけ。その夫婦がたどる50年間の日々を二人芝居で描いた作品で、オフ・ブロードウェイで世界最長となる42年間というロングラン記録を持つ『ファンタスティックス』の名コンビ、ハーヴィー・シュミット(作曲)とトム・ジョーンズ(脚本・作詞)が手がけている。日本では、1969年に越路吹雪と平幹二朗コンビで初演され、ミュージカル女優としての越路の代表作のひとつとなっている。その後も、越路吹雪と細川俊之、草笛光子と細川俊之、平みちと村井国夫、久野綾希子と細川俊之、高嶺ふぶきと川崎真世、春風ひとみと村井国夫など、さまざまなキャストで上演されてきた、傑作ミュージカルとして親しまれている。

2014年版では、蜷川幸雄のもとで演出助手をつとめてきた大河内直子が演出を手がけ、翻訳は小田島雄志翻訳戯曲賞を受賞した広田敦郎、音楽監修は島健、振付は前田清実と、この名作に相応しいスタッフ陣が集結。今回もスタッフ陣は続投となり、引き続いてアグネスを務める霧矢大夢と、マイケルで初参加の鈴木壮麻という実力派同士の魅力的な組み合わせが実現。公開されたフォトビジュアルの素晴らしさも大きな話題を呼び、新コンビが2018年に生み出す新たな『I DO! I DO!』への期待が高まっている。

そんな注目の作品の公開稽古が5月3日、都内の稽古場で行われ、作品の一端が披露された。

♪公開稽古1「プロローグ」

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はじめに演じられたのは二人がオープニングで歌うナンバー。マイケルとアグネスの結婚式の当日。二人は未知なる世界への不安もどこかでは感じながらも、幸せいっぱい。稽古場の端と端で、結婚式の支度をしながらときめきと不安が交互に表われて、気もそぞろな二人を演じる鈴木壮麻と霧矢大夢が初々しい。
やがて結婚式が始まり、二人は家族や友人の前で「喜びの時も悲しみの時もいつまでも共に」という愛の誓いに「I DO! 」と答え、新居の寝室にやってくるまでが軽やかに歌われる。
鈴木の馥郁たる美声と、霧矢のリリカルな声がよく合い、このコンビの相性の良さが早くも伝わるデュエットが耳に、目に楽しい。


♪公開稽古2「この胸にあふれる」

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続いて演じられたのは、パジャマ姿に着替えた二人が遥かに年齢を重ねてからのシーン。子供たちが成長し、二人きりで年越しを祝った夜。16歳に成長した息子はニューイヤーパーティから夜遅くに帰宅。子供たちの成長を実感したマイケルに、アグネスは「思い描いた人生とは違ったわね?がっかりした?」と問いかける。「いいや、ちっとも」とマイケルは答え、二人は共に過ごし、積み重ねて来た時間を慈しむように歌う。
ミュージカルナンバーとしてだけではなく、作品の発表当時からスタンダードナンバーとしてもヒットした、『I DO! I DO!』の中でも、特に著名なナンバーが、演じる二人によって美しく届けられる。鈴木も霧矢も共に、舞台姿に凛とした気品があるのが、この夫婦の物語を更に味わい深いものにするだろう予感に満ちた、公開稽古となった。

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そんな場面公開を終えた鈴木壮麻と霧矢大夢に、演出の大河内直子が加わり囲み取材が行われ、三人が作品への抱負を語った。

【囲み会見】

──お稽古たけなわのところですが、手応えはいかがですか?
霧矢 私は2014年に続いて2度目の『I DO! I DO!』アグネス役でございます。この度は鈴木壮麻様という…
鈴木 様つける?(笑)
霧矢 大変頼もしい旦那様がいらっしゃって、新たな発見が毎日あり色々な解釈があるんだなと。また4年前とは自分の感じ方が変わっているのも感じますし、より密度の濃くなった『I DO! I DO!』のアグネスができれば良いなと思っております。やっぱりとても深い可能性がある作品で、脚本も演出によって変わってきたり、曲の入り方も少し変わったりですとか、今回のメンバーのオリジナル作品としての作業を改めてしていることが楽しいです。
鈴木 鈴木壮麻です。(霧矢と大河内の)二人は4年前にやっていらしっゃるという中に入って、どうやって追いつけば良いんだろう…とずっと思いなから、気が付いたら後1週間ほどで初日というところにいます。僕はこの作品の作曲ハーヴィー・シュミット、脚本・作詞トム・ジョーンズ、コンビの『ファンタスティックス』という作品がとても好きで、そのメロディーを醸し出してくれる様々な音が、この作品の曲にもいっぱい詰め込まれていて、着替えの練習等を袖でしながら、ピアニストの松田眞樹さんが弾いているピアノを聴いていて泣きそうになるんです。リチャード・ロジャースの『サウンド・オブ・ミュージック』に参加した時に「あぁ音のゆりかごにいるみたいだな」と袖で思いながら舞台に出て行ったのを、今回も体感できるのがすごく嬉しい、掛け値なしにそう思います。しかもそれがダブルピアノで実現されていくということが、なんて幸せなことなんだと思いながら、まるでご褒美もらったような気持ちでやっています。もちろんそのご褒美がご褒美たらんとするものとなるべく、演出家筆頭に三人でごちゃごちゃ悩みながらやっていますが、悩み甲斐のある作品だなと思っています。夫婦の話なので、お客様が「あ、そうだよね」と共感してくださったり「あ、これなら私はやめておこう」と思わせるのもひとつの手かも知れないし(笑)、色々な受け取りかたをしてもらえる作品だと思うので、そうしてもらう為には、エンターテイメントに終わらずに、リアルなものを持っていければ良いなと格闘している日々です。
大河内 二人に日々私が引っ張られながら、刺激を受けながら過ごしている毎日です。現実に夫婦の在り方って千人千様で、再演をやっていると壮麻さんはおっしゃるんですけれども、壮麻さんが入られることで、また夫婦の在り方というのが前回とは違っていて。千人千様だなとしみじみ感じる日々であり、逆に脚本から私たちが受け取った夫婦の在り方であるとか、愛の形であるとか、時には亀裂が入ったりなど、瞬間、瞬間に、二人でないと出てこない味わい深さが魅力なんだなと思っています。そこに注目してご覧頂けると嬉しいです。

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──お二人が演じるマイケルとアグネスがどんな人物なのか、紹介してください。
鈴木 「僕は作家です。本を書いています」という台詞があるんです。『熱い雪』とか言って、文庫版で出ている、読みやすいけれども内容が薄い恋愛小説(笑)、そういうものを書いて生計を立てています。ただ時にはそれが当たったりもして、映画になったらいいなぁ等と思いながらね。
霧矢 40万部売れたというね。
鈴木 それを馬鹿にするんですよ(と、霧矢を示して笑う)。たぶん僕はアーチスト系の人で、それが成り上がった感と言うか、往々にしてあり勝ちなアメリカン・ドリームみたいなところにいるのを、支えてくれたのもこの人(霧矢)なんですけど。まぁ、夫に持ったら面倒くさい男ですよ、ほぼほぼ(笑)。そう思う。
霧矢 そうです、苦労が絶えません(笑)。本当にアーチストの夫を持つ妻という感じで、大きく受け止めているところと、やっぱり彼の作品に多少なりとも刺激になれるような、ミューズ的な存在?
鈴木 あ〜。
霧矢 でもない?そういうことにしておいて貰ってよいですか?(笑)
鈴木 どうぞ、どうぞ(笑)。
霧矢 一応内助の功として家庭を守るという立場にはいるんですけれども、同じように楽しむことも好きですし。
鈴木 胡坐をかくのも好きだしね(笑)。
霧矢 そうそう(笑)。富と名声を手に入れた夫に対して、支えている自分という存在もありつつ、どこの夫婦にもあることかも知れませんが、心に距離感が出てきて。それを散財することによって埋めようとするけれども、そんなことでは埋まらないのよ!という寂しさもにじませつつ、おおらかで明るい女性です。
鈴木 彼女の逞しさと明るさが男にとっては救いなんだな、とすごく思ったりした。今日電車に乗っていたら、17〜18歳くらいの男の子三人とお父さんとお母さんという家族が、たぶんスカイツリーか何かに行くのかな?という姿を見たんだけれど、すっごく逞しいお母さんで、お父さんも甘えているのがわかって。あー、これか、男ってこうか!と思って。
霧矢 大きい子供みたいなんでしょ?(笑)
鈴木 家の中に五人で、男四人で女子ひとりというお母さんって、どんな日々を過ごしているんだろう?と思ったんだけど、やっぱり男子は女子に甘えてるんだなって。四人共お母さんに甘えてたから!
霧矢 壮麻さんのマイケルもすごく甘え上手な感じですよ!
鈴木 本当に?
霧矢 はい、大先輩ですけれども「よしよし」ってしたくなる瞬間があります(笑)。壮麻さん今回初参加で不安な面もおありになったと思いますが、でもやはり引っ張ってくださる部分も大きくて「さすが!」って思います。
鈴木 「さ・す・が」ですよ!(笑) 
霧矢 私はだから自分も初演だったら壮麻さんのペースについていけなかったかも?と思うくらいです。1回やっているからこそ、なんとかついていけてるのかも知れないと思います。
鈴木 とんでもないです!
霧矢 いえいえ、ですから二度目と言っても全く余裕がないですし、それが夫婦の間の火花というか、良いバランスになっていければ良いなと思います。 

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──演出家から見たお二人の魅力は?
大河内 お二人共言葉に深みがあるんですよね。だからこそスッと入ってくる。「あぁ、コミュニケーションって言葉なんだな」と思いますし、そこから音楽が沸き起こってくると思わせてくれるお二人が、とても素敵だなと思います。
──演じるお二人が、お互いに感じている魅力は?
鈴木 とても脚本が良く書けているんです。ここに音楽が入ってくるんだ!と思わせてくれるし、ハーヴィー・シュミットお得意のリズムの刻みがワクワク感を醸し出してくれるビートなので、そこに上手く自分をのせていくことに、この人(霧矢)はとても長けています。それでまた見せ方が身についていてカッコよいの!なんでそんなにカッコよいの?って思う。男前だし!僕なんかグジグジしているのに(笑)。 
霧矢 ええと、そうですね!
鈴木 ほら(笑)。
霧矢 いやいや、グジグジしてるとは思わないですけど(笑)、すごく繊細なインテリジェンスで、とても色々なことをご存知です。ハーヴィー・シュミットとトム・ジョーンズに対する造詣がとても深くて、色々教えて頂いているのですが、でもちょっとグジグジ言うこともあったりして(笑)、それに対して私が「そんなことどっちでもいいじゃないですか!」ってすぐ言っちゃうところがあって(笑)。でもこれがアグネスとマイケルのバランスなんだろうな、と思ったので。
鈴木 そうだね。
霧矢 そこで一緒に私もグジグジ言ってしまうと、ドツボにハマった夫婦になってしまうので(笑)、このめぐり合わせがね!
鈴木 じゃあアテガキってこと?(笑)
霧矢 それに近いものがあると!
大河内 そう、本当に相性が良いですね。
霧矢 それで、色々な引き出しをお持ちなので。どう出ても対応してくださるので、頼もしいなと。
鈴木 それはあなただって!すごくそうですよ!振付なんかは全部この人におんぶに抱っこですから。「はい、こうこう、こうです!」と操られまくってますから!
霧矢 いえいえ、あぁ、まぁ、そうなんですけど(爆笑)
鈴木 ほら、そうでしょう?(笑)
霧矢 いえ、だから、私はいつもそうなんですが、リードし過ぎているように見えないようにしなきゃなと(笑)。あ、でもそれがアグネスがマイケルを掌で泳がせている感じかな?とも思うので、変に可愛らしい奥様みたいなのを演じ過ぎずに、私も自分の自然体を入れる方がいいのかな、と思ったりしています。だからちょっとウェットになり過ぎてしまったりした時には、もちろん指摘して頂きますし、もっと肝っ玉母さん的な、日本のではなくアメリカのですけれど、そういうお母さんでいないと、とは思います。 
鈴木 でも相手役だから、相手役に対して「このお芝居はどうなんだろう?」「こうなんじゃない?」とか、「そこの踊りはどうなんだろう?」「それはこうなんじゃない」と言うのは、結構デリケートな部分なんですけれども、そこを敢えて踏み込んで、試行錯誤しているプロセス自体も二人の夫婦像を作っていく上で、良い糧になっているんじゃないかな?と。「もしかしたらこういうのもいいんじゃない?」「あぁ、そうなんでしょうか?」みたいな、ソフトランディングをせずに、荒療治的なことの、ヒリヒリする感じもリアルでいいんじゃないかな?と思ってはいるんだけど、どうなの?
霧矢 いや、いいんじゃないですか?(笑)板の上ではフェアな感じでね。
鈴木 そうだね!

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──とても良い雰囲気が伝わります。では改めて楽しみにしてくださっている方々にメッセージを。
大河内 この作品はヤン・ハルトクという作家が、ナチスの占領下で追っ手に追われながら、身を隠しつつ書いた小さな物語が原点なんです。その思いを引き継いだハーヴィー・シュミットとトムジョーンズによって現代に蘇った物語で、小さな愛と夫婦の物語なのですが、その向こうに脈々と受け継がれてきた命の物語があるのを感じながら作っています。そんな思いを受け取って頂ければ嬉しいなと思っております。
鈴木 素敵です!僕にとって霧矢さんがとっても大事だなと思える作品で、夫にとって、男にとって、妻、女性というパートナーが必ず必要なんだなと。この人がいてくれてよかったなと、すごく感じるんです。そこを観てくださる方たちにとっても、その対象が別に人間ではなくても、動物でも植物でも大好きな本でも、何か心を通わせられるものを愛おしく思える、そんな気持ちをふっと持ってもらえたら良いなと思いながら、この舞台を皆さんにお届けできたらと思っております。是非いらしてください!
霧矢 もったいなすぎるお言葉を鈴木さんから頂戴しました。
鈴木 ちょっと返して(笑)。
霧矢 はい(笑)。私ももちろん壮麻さんじゃなかったら、今回のアグネスはできなかったんだろうなと、本当に思っております。作品の素晴らしさはもうこのミュージカル界で皆様ご存知だと思いますが、今を生きる私たちがお届けして、皆様が劇場の中でマイケルとアグネスの50年間を一緒に駆け抜けて頂きたい、体感して頂きたいと思っております。是非、是非、劇場へ何度でも足をお運びください。
鈴木 きっとまた観たくなるよね。
霧矢 そう1回ではね、情報量が多いので!
大河内 何回も観て頂きたいですよね。
鈴木 そうですね。アグネスって呼ばなきゃいけないのに…
霧矢 他の女の名を呼ぶことが!(笑)
鈴木 なんだったんだ?今の?って(笑)
霧矢 と、言うような楽しい雰囲気で(笑)、稽古場は進んでおりますので、是非いらしてください!

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〈公演情報〉

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ミュージカル
『I DO! I DO!』 A Musical About Marriage
脚本・作詞◇トム・ジョーンズ
作曲◇ハーヴィー・シュミット
演出◇大河内直子
翻訳◇広田敦郎
音楽監修◇島健
出演◇霧矢大夢 鈴木壮麻
ピアノ演奏◇江草啓太 松田眞樹
●5/11〜20◎銀座 博品館劇場
●5/26◎兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
〈料金〉8,800円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉アン・ラト info@ae-on.co.jp

 
【取材・文・撮影/橘涼香】  




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