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野田秀樹率いるNODA・MAPの第22回公演『贋作 桜の森の満開の下』が、本年9月の東京芸術劇場プレイハウスを皮切りに11月末まで、パリ、大阪、北九州、そして再び東京公演を、豪華キャストによって行うことが発表された。

本作は野田秀樹が深くリスペクトする坂口安吾の小説「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」をモチーフに、『贋作 桜の森の満開の下』として、1989年に劇団夢の遊眠社公演として上演。国造りと仏像造りに魂を奪われていく人々の姿とその愛憎を、野田戯曲らしい言葉遊びや詩情とともに圧倒的なスケールで表現し、野田演劇の中でも傑作中の傑作として大評判になった。そして3年後の1992年に再演、2001年には新たな演出で新国立劇場主催で公演され、昨年は東京・歌舞伎座で『八月歌舞伎』の演目として歌舞伎俳優たちによって上演、大きな成功をおさめた。

その作品が、今回、豪華キャスト陣を迎えて、NODA・MAP公演として立ち上がる! 4月5日、公演の製作発表が都内にて行われた。登壇者は作・演出・出演の野田秀樹、出演の妻夫木聡、深津絵里、天海祐希、古田新太、秋山菜津子、大倉孝二、藤井隆、村岡希美、門脇麦、池田成志、銀粉蝶。まさに豪華な顔ぶれが勢揃いした。

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秋山菜津子、大倉孝二、藤井隆、村岡希美、門脇麦、池田成志、銀粉蝶
野田秀樹、妻夫木聡、深津絵里、天海祐希、古田新太


【挨拶】
 
野田秀樹/作・演出
この作品は昭和の終わり、平成元年に初演されて、奇しくも今回、平成の終わりに上演することになりました。きっかけとなったのは、今年の秋にパリで「ジャポニスム」という大きなフェスティバルがありまして、国立劇場でシャイヨー劇場というところで、これまで2度作品を上演しているのですが、その劇場から、『贋作  桜の森の満開の下』を上演してくれないかと逆指名をいただきました。そこで日本を代表して上演するならと、考えられる限り最高のキャストとスタッフを考えようと。まあ無理だろうなと、当たって砕けろとオファーをしてみたところ、理想通りの役者さんからスタッフさんからOKが出まして、これ以上ない良いカンパニーになったかと思います。

妻夫木聡耳男役
この話は、『エッグ』という舞台で野田さんとご一緒させていただいていた時に、やはりここにいらっしゃる大倉(孝二)さんと『贋作 桜の森』の話をしていたことがあって。その時はこういう作品があったんだな、もし再演があるなら観てみたいなという気持ちで話を聞いていたのですが、まさかその『贋作 桜の森』に自分がこうして関わらせていただくことになるとは、夢にも思っていなかったです。だから今、とても不思議な気持ちです。今回でNODA・MAPは6回目で、NODA・MAPの熱に溶かされないようにがんばっていきたいと思います。

深津絵里/夜長姫役
夜通し起きている姫、夜長姫を演じます。17年ぶりにこの姫を演じるのですが、まったく以前の記憶がないので(笑)、新しい気持ちで臨みたいと思います。夏の稽古から11月末の千秋楽まで、こんなに素晴らしく強烈にカッコイイ共演者のみなさんと一緒に過ごせることが、今からとても楽しみです。必死にがんばります。よろしくお願いいたします。

天海祐希/オオアマ役
私は歌舞伎版の『贋作 桜の森』をどうしても観たくて観に行ったのですが、歌舞伎座の楽屋でちょうど深津さんと、さらにたまたま毬谷友子さんもいらして、歴代の「夜長姫」が3人揃った場に居合わせまして。必死に写真を撮っていたその時のことを考えると、まさかこの作品に私が声をかけていただけるなどとは思いもしなかったので、すごく嬉しくて幸せで。もう、絶対にやりたい!とお返事をした後に、よくよく考えてみたら、あれ?ちょっと待って、オオアマって、染ちゃん(市川染五郎/現・幸四郎)がやってた役?あれ男の人?(笑)。ということで、宝塚退団後、舞台で初めて男性をやらせていただくことになりました(笑)。こんなに素晴らしい共演者とスタッフの方々に私も必死で食らいついていきたいと思っています。

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古田新太
マナコ役
17年前もマナコをやったんですけど、新国立劇場で絵里ちゃんたちと一緒にやったそのとき、記者会見を野田さんがすっぽかし、大事件になったことを今も覚えています(笑)。今年もがんばりますので、よろしくお願いします。

秋山菜津子ハンニャ役
17年前の『贋作 桜の森』は呑気に観ていまして。こんなに時間が経ってから、まさか出演することになるとは思いませんでした。野田さんの舞台はとても体力がいるので、この長い公演を最後までなんとか生き抜いていきたいと思います(笑)。よろしくお願いいたします。

大倉孝二
青名人役
こんなことでもなければこんな高いところに来なかったと思いますし、丸まったサンドイッチもいただいて、幸せな気持ちでいっぱいです(笑)。僕も17年前の時に出させていただいて、今回はその時とは違う役です。もう43歳のオッサンなんですけど、驚くことにこのカンパニーの中では下から3番目になるので(笑)、フレッシュ感を出していきたいと思っています。

藤井隆/赤名人 
本当にこの舞台に呼んでいただき、声をかけていただけて光栄です。なんとか食らいついて、みなさんにご迷惑をおかけしないようにがんばろうと思っております。ぜひ劇場にお越しいただけたらと思います

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村岡希美/エナコ 
私にとっては10年ぶりのNODA・MAPへの参加となります。久しぶりなので、内面も身体もすべてひとくくりになる野田さんの世界を力一杯やれたらなと思います。17年前の舞台も拝見していて、とても圧倒的な作品だったイメージがありますので、今回は自分もそちら側に加われるのかと思うと、少し恐いのですが、楽しみにやっていきたいです。

門脇麦/早寝姫 
今回初めてNODA・MAPの作品に参加させていただけることになり、とても緊張しています。どうなるのか全然想像がつかないのですが、こんなに素敵な方たちに囲まれて、私は今25歳ですが、これはなかなかできる経験ではないので、精一杯いろいろなものを吸収して、必死に皆さんに食らいついていけるようにがんばります。

池田成志/エンマ 
昨日あんなに暑かったのに今日はこんなに寒くて、皆様大丈夫でしょうか。よく考えたら7月に稽古ということで、おそらく今年はものすごく酷暑になると勝手に思っています。とにかく身体のことが心配です(笑)、よろしくお願いいたします。
 
銀粉蝶/アナマロ 
私も同じく身体のことが心配です(笑)。私は日本青年館での公演と新国立劇場での公演と、両方を拝見しています。それを自分がやることになるとは思ってもみませんでした。やる以上は楽しみたいと思います。
 
野田秀樹/ヒダの王 
これだけの役者さんが揃うと、作品の出来が悪い場合、責任は全部私にかかってくるので、すごくプレッシャーに感じてます。ちょっと訂正したいことがあって、古田さんが話した「僕が記者会見をすっぽかした」という話ですが、裏話があって、前の日に古田と飲んでて、「明日の記者会見、ああいうのイヤなんだよね」と話をしたら、「じゃあ行かなきゃいいじゃないですか。僕がなんとかしときますよ」と。私は純粋ですからその言葉を真に受けて、なんとかしてくれるだろうとすっぽかしたんです(笑)。そして当日は大騒ぎになって、古田は「どうしたんでしょうねえ」と知らない顔してて、なんのフォローもしてなかった(笑)。それだけは言っておきたいと思います。
古田 どんなふうになるかなと思ってたんですが(笑)。野田さんちの部屋の鍵が壊されたんですよね(笑)。

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【質疑応答】
──妻夫木さん、耳男役は野田さんと堤真一さん、中村勘九郎さんと4代目になりますが、耳男を演じるプレッシャーは?
妻夫木 プレッシャーはありますが、僕自身はこの作品を拝見したことがなかったので、逆に知らない強みみたいなものが出せるのかなと。そにぶんプレッシャーが半減されている気がします。今、自分自身が持っているものをうまく出せたらと、まあ出たとこ勝負で身を任せようかと思っています。
──野田さん、妻夫木さんに耳男をオファーしたのは?
野田 これまで5作やってて、何の作品だったか、彼が出ている作品を袖から見ててて、「あ、彼が『贋作 桜の森』の耳男をやるといいだろうなと。なんというか、妻夫木さんのキャラクターって弱っちぃんです(笑)。いじめられる対象というか、真面目に生きようとすればするほど、力が強いものに
抑圧されたりいじめられるという、僕の勝手なイメージがあって。自然と『贋作 桜の森』のワンシーンが浮かんできたんです。
妻夫木 光栄ですね。野田さんにそういうイメージを作り上げてもらえることは、本当に光栄だと思っています。その気持ちに応えられるようにがんばります。
──深津さんは、同じ役に再び挑むこと、今度は妻夫木さんが耳男ということで、いかがでしょうか?
深津 このメンバーでなければ、私は今回やっていなかったかもしれないです。これは嘘でもお世辞でもなく、そのくらい本当に大好きで、すごいなと思える共演者の方ばかりなんです。妻夫木さんはもしかしたら一番共演回数が多い相手かもしれないのですが、毎回慣れることがなくて、どんどん進化しているというか。ご自分を高めよう、前に行こうとするその姿勢は変わらないので、とても安心感がありますし、親戚みたいな感覚もあります(笑)。
妻夫木 じゃあ親戚になりましょう(笑)。
──天海さん、男役で相手役が深津さんと門脇さんですが、楽しみにされていることは?
天海 全部です。皆様方とお仕事させていただけるのも楽しみですし、こんな美しいお二人に恋していただけるので、ちゃんとカッコよくなってなきゃいけないなと、今、反省しました。
──天海さんと初共演することについては?
深津 初めて共演させていただくのですが、この作品のために今まで共演してこなかったんだろうなと思うくらい、奇跡的な出会いのような気がしているので、その思いを存分に出していきたいです。
門脇 私も大好きでいつも見ていたので、恋する気持ちは準備完了しています。あと、男性ではなく女性同士というのは、一味違った美しくてピュアなシーンになるのではないかと思うので、そういうところもお客さんに楽しんでいただけたらと思います。
──古田さん、海外公演は?
古田 非常に楽しみですね(笑)。フランスのお客様の前で日本のお芝居を紹介できるので、心躍っています(笑)。台詞の中に「銀座のライオン」という言葉が出ていますが、フランスで通用するか心配です(笑)。
野田 通用します。「銀座のライオン」でしょ(笑)。
──18名のアンサンブルが出演するそうですが、
野田 ちょうど今ワークショップをしていて、とても良い感じで、僕の演出はアンサンブルありきで、去年歌舞伎でやった『贋作 桜の森』も演出をがらっと変えてやりました。イギリスの著名なプロデューサーが「このアンサンブルは英国の役者では出来ない」と言ってくれて、「見えない1本の糸で繋がっているようにみんなが動いていた」と褒められました。今回も彼らに期待してます。
──大阪での公演では新歌舞伎座ですが、花道とか使用しますか?
野田 新歌舞伎座は昔の近鉄劇場で、僕はこけら落とし公演を劇団公演としてやっていて、非常に感慨深いです。花道は東京、北九州は作らない予定で、大阪でしかできない演出になるのか。まだ考えてません(笑)。

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──演出で変わるところは?
野田 台本に関しては変えようとしましたけど、やはり書いた若いときの自分は別人でいじり難くて、それに年をとってくるとどんどん理屈っぽく考えすぎて、若いときのほうが自由だった気がします。演出は新国立劇場では奥行きが50メートルくらいあるので、誰も使ってなかったそこを生かして巨大な空間を作ろうと。今回はその夢を追ってもしかたないので、その代わり見立てというかたちの演出をしようと思って、ワークショップでも今やってて、非常にうまくいってます。
──海外で公演する意味は?
野田 僕はもともと演劇を始めたことにも意味はないので、あまり考えてないんですが、海外で作るとこんな華やかな製作発表もないし、そういう意味では孤独だなと感じますが、モノを作るにはそのほうがいいんじゃないかと思っています。ただ今回は日本のお芝居を、ちゃんと見せたいと思っています。
──以前のパリ公演の経験者はいかがでしたか?
藤井 すごく浮き足立ってしまいまして、でもすごく楽しかったです。宿がホテルではなくマンションだったので、夜公演が終わるとレストランはやってない時間でしたので、みんなでお部屋でご飯を作って食べたり、午前中にお散歩行ったりお買い物行ったり、もちろん、お仕事はきちっとさせていただいてるんですけど、あそこのパンがおいしいよとか言い合ったり。なんかご褒美をいただいたような気持ちで。
野田 誰か他の人、代わって(笑)。
大倉 僕ですか? 僕はボンカレーばかり食べてました(笑)。
野田 だめだ(笑)。
秋山 フランスのお客様はつまらないと、 席をバタンと立って帰ってしまうんです。『エッグ』はそういう方はほとんどいなくて、ホッとしました。
妻夫木 感じたままにお客さんも表現されるので、新鮮でしたし刺激になりました。シャイヨー劇場の客席の傾斜も日本に比べて急なので、よりお客さんを近く感じて一体感を感じた記憶があります。
深津 私は歌姫役だったので、ソロで歌って踊ってノリノリでいるとき、何人か立たれて帰っていかれたんです。淋しくなりましたけど、それが味わえたのは良い経験だなと。今回は誰1人帰さないという気持ちで臨みたいと思っています。
──オオアマを天海さんにした理由は?
野田 オオアマは皇子役ですので、どういう人なら「皇子様だ」と瞬間的にピタッと来るか、ずっと探してて、男の人をイメージしていたんですが、天海祐希さんの名前を思いついたとき、あ、これだ!と。それで大至急連絡をしてもらいました。でも半分以上は、やってくれないのではと思っていたのに、即答していただけたおかげで、自分の作品作りへの気持ちもよりギアアップしましたね。
──天海さん退団以来の男役を引き受けたわけは?
天海 私は男役だろうが女役だろうが、野田さんの作品にまた出られるなら、なんでもよかったんです。あとから、あ、私だけ男役だと(笑)。
──その野田さんの舞台の魅力は?
天海 もちろん観ていてもワクワクしますし、演じる側になるとさらにワクワクしますね。観客として舞台を観ていたと、あんまり素敵で、なんで私はあっち側に行けないんだろうと悔しいし、いいなあと思える世界なんです。

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〈公演情報〉
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NODA・MAP第22回公演
『贋作 桜の森の満開の下』 坂口安吾作品集より 
作・演出◇野田秀樹 
出演◇ 妻夫木聡 深津絵里 天海祐希 古田新太 
秋山菜津子 大倉孝二 藤井隆 村岡希美 
門脇麦 池田成志 銀粉蝶 野田秀樹 

池田遼 石川詩織 織田圭祐 神岡実希 上村聡  
川原田樹 近藤彩香 城俊彦 末冨真由 
手代木花野 橋爪渓 花島令 藤井咲有里 松本誠  
的場祐太 茂手木桜子 吉田朋弘 六川裕史 

●9/1〜12◎東京 東京芸術劇場 プレイハウス
●9/28〜10/3◎フランス パリ・国立シャイヨー劇場  
●10/13〜21◎大阪 新歌舞伎座  
●10/25〜29◎福岡 北九州芸術劇場 大ホール  
●11/3〜25◎東京 東京芸術劇場 プレイハウス





【取材・文・撮影/榊原和子】



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