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ビゼーのオペラで殊の外有名な「カルメン」の物語に、謝珠栄が新たな光を当て、花總まり、松下優也他、豪華キャストの出演で創られるミュージカル『Romale ロマーレ〜ロマを生き抜いた女カルメン』が、3月23日〜4月8日東京・東京芸術劇場プレイハウス、4月11日〜21日大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される。

ミュージカル『Romale ロマーレ〜ロマを生き抜いた女カルメン』は、19世紀に書かれたメリメ原作の「カルメン」をベースに、小説、オペラの中では自由奔放な魔性の女として描かれるカルメンが、ロマ族として、当時の社会風土の中どのように生き抜いていったのかにスポットをあてた、演出・振付の謝珠栄の視点で描く作品となっている。主演のカルメン役には1999年宝塚歌劇団宙組で上演された『激情〜ホセとカルメン〜』でもカルメン役を演じた花總まりが、当代一の姫役者としての高い評価を得ている今、再び挑戦。そのカルメンを階級を越えて愛しぬくドン・ホセに歌手として、また俳優として活躍し、NHK朝の連続テレビ小説『べっぴんさん』の栄輔役の記憶も新しい松下優也が演じるのをはじめ、実力、人気を兼ね備えたキャストが集結。知られざるカルメンの真実の物語が、新たに生まれ出ることとなる。

そんな期待の作品の制作発表会見が2月14日、作品の雰囲気にピッタリのTABLAO FLAMENKO GARLOCHI─タブラオ・フラメンコ・ガルロチ─で行われ、多数のメディアをはじめ、抽選で選ばれた幸運なオーディエンスが見守る中、演出・振付の謝珠栄とメインキャストが公演への抱負を語った。

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制作発表会見は、まずフラメンコのステージでの楽曲披露からスタート。頭まですっぽりとマントをかぶった伊礼彼方、KENTARO、太田基裕、福井晶一の中に、カルメン・花總まりが立ち上がり、ロマとして生きる人々の魂の叫びを綴った「流浪の民」が歌われる。

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そこからは花總が残り、ドン・ホセの松下優也が登場。愛し合いながら互いの心がとらえられない焦燥を吐露する「すれ違う心」が歌われる。

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楽曲はドラマチックで、民族的な香りも強く、花總と松下の並びも美しく、早くも作品世界の壮大な一端が浮かびあがるようだった。
 
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そんな余韻の残るステージに椅子が運びこまれ、演出・振付の謝珠栄、花總まり、松下優也、伊礼彼方、KENTARO、太田基裕、福井晶一、団時朗のキャストに、梅田芸術劇場代表取締役社長木村有裕が登壇。まず木村社長から、この新しいカルメンを描いたミュージカルへの期待が語られたあと、司会の中井美穂とのトークも交えながらの、登壇者挨拶となった。

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【登壇者挨拶】

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 バレンタインデーの貴重な時間の中をいらしてくださってありがとうございます。謝珠栄です。情熱的で男を魅了する恋多き女の代名詞のように言われているカルメンなんですけれども、その光の部分ではなくて、影の部分に興味を引かれまして、2008年に書いて頂いたのが『Calli〜炎の女カルメン』という作品でした。その時にはわりとファンタジックな方向にストーリーが行っていたのですが、今回はロマとして生きた女カルメンに対してスポットを当てたいなと思いまして、脚本を高橋知伽江さん、音楽を音楽監督の玉麻尚一さんを中心に、新たに作って頂くことになりました。ロマとして生きた女カルメンなのですが、カルメンという女性が一般的には前面に出ているかと思いますが、私はホセとカルメンの愛の絆についてもっともっと知りたくて、最初にメリメの原作を読んだ時にホセの激しい情熱を感じて、それを宝塚歌劇団の『激情〜ホセとカルメン〜』という作品で描かせて頂きました。でもそれはメリメとホセの、白人の男性から見たカルメン像で、女性の私から見たカルメンはもっと違う女ではないのかな?という疑問が生まれたのが、この作品を作りだしたきっかけになりました。今、異文化コミュニケーション、グローバルな社会になっていて、差別や偏見という言葉にとても敏感になっていますから、露わには出ていないのですが、カルメンとホセの生きた時代にはもっとそういうことが多かったのではないのかな? その中で白人男性のホセとの愛を強く貫きながらも、死を覚悟してまでも生きた女性はどういう人物だったのか。それを今までよりも更に深く深く探っていきたい。もう寝ても覚めてもカルメンのことばかり考えています。それが今、楽しい稽古場の中でやっている私の仕事なのですが、それがどういう風に仕上がるか、皆さん楽しみに待っていてください。
 
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花總
 皆様本日はお忙しい中ありがとうございます。カルメン役を演じさせて頂きます花總まりです。役としては二回目で、その前回も謝先生の演出の元カルメンをさせて頂いたのですが、本当にカルメンを知り尽くした謝先生なので、今のお話を伺いながらも自分でカルメンを作っていくのが更に楽しみになりました。もっと深く、深く、カルメンという女性を作っていきたいと思いますので、是非皆様よろしくお願い致します。
──花總さんのこういった姿は新鮮な感じがしますね。
花總 自分でも新鮮で、ちょっと楽しいです。
──ちょっとですか?
花總 だいぶ楽しいです(笑)。

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──楽しみにしています。では松下さんお願いします。
松下 皆さん今日はお集まり頂き本当にありがとうございます!ドン・ホセ役の松下優也です。まずは製作発表で歌い終わってホッとしております。今、稽古に入って数日経ったのですが、もう1日目から謝先生がめちゃめちゃ飛ばして、飛ばして稽古場は進んでいますので、これからますます面白いものに変わっていくんじゃないかと思っています。今回はこのような素晴らしい役を演じさせて頂けるということを、すごく嬉しく思っています。花總まりさん、そして謝先生のお力をお借りしながら、この座組の中では一 番若いということになりますので、自分で言うのも変なのですが(笑)、若いパワーで頑張れたらなと思っております。よろしくお願いします。
──今日お衣装をつけた花總さんをご覧になってどうですか?
松下 この間パンフレットの撮影もあったんです。その時に初めて見て、稽古場で見るのとは全然違って。
花總 あ、稽古場とは全然違いますね(笑)、すみません!稽古場ではひどすぎるので(笑)。
松下 いえいえ、逆に稽古場でこれだったら困るので(笑)。
花總 確かに(笑)。
 
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──では伊礼さんお願いします。
伊礼 どうも(オーディエンスに手を振り)、よくいらっしゃいましたね。貴重な経験ですね。今回私、個人的なことですが、役者人生で初めて髭をはやしまして。私は女性ホルモンが多いもので、毛が少し薄いものですから書き足したりなんかもしているのですが、いかがでしょうか?皆さん素敵なお衣装を着られてね、花總さんも胸元パックリ開けてね。
花總 そんなこと言わないで、自分のことを言って!(笑)
伊礼 今回はスニーガ中尉という、いやらしい、ドスケベな役を(笑)やらせて頂きます。少し前だったらね、僕もホセの若いポジションを担っていたかも知れませんけれども、僕も36才になりまして、年男ですよ!ありがとうございます(笑)。本当にこうやって少しずつヒーローからヒール役にシフトチェンジしていって、少しでも皆様のお力になれればと思っておりますので、生理的嫌悪感を感じて頂けるような役作りに励んでいきたいと思います(笑)。よろしくお願い致します。
──軍服姿も素敵ですよ!
伊礼 ありがとうございます。

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──ではKENTAROさんどうぞ。
KENTARO ガルシア役のKENTAROです。僕はヒーローをやったことがありません(爆笑)。ヒーローから歳をとって悪役になるんですけれども、僕は根っからの悪役でして、ほぼご覧の通りのこういう感じになっております(笑)。でも花總さんとは『モーツァルト!』という作品でご一緒したのが数年前で、今回は光栄なことに夫婦役としてやらせて頂くので、どこまでロマの一族として生き続けて、さすらい続けるかをテーマに、ロマの一族の大ボスの役なので、ボス感満載でいってみたいと思っております。楽しみにしていてください。ありがとうございました。
──お1人だけ色合いが違って。
KENTARO 全然違いますね。
──隻眼は踊る時など大丈夫ですか?
KENTARO やってみないとわからないですね(笑)。

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──では太田さんどうぞ。
太田 ローレンス役をやらせて頂きます太田基裕です。この先輩の流れで僕が喋るのはイヤなんですけれども(笑)、本当に素晴らしい先輩方がたくさんいらっしゃって、多くを学びながら自分らしい素敵なローレンスを演じていけるように頑張っていきたいと思っております。よろしくお願いします。
──白の軍服は着たことがあるんですか?
太田 あまりないかも知れないです。
──どうですか?着心地は?
太田 ちょっと恥ずかしいですけれども、馴染んでいくと思います。本番では素敵に着こなしたいと思っております。

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──では福井さんどうぞ。
福井 ジャン役の福井晶一です。よろしくお願いします。念願の謝珠栄先生の作品に初めて参加させて頂けるのを、とても楽しみに致しております。また花總まりさん、そして今回は団時朗さんとのからみがすごく多くなると思うですが、素晴らしいキャストの皆さんとの共演を、お稽古も少しずつ始まっている中、すごく楽しみにしております。今回フランスの社会人類学を研究する学者役ということで、一番最初に謝先生にお会いした時に「このジャンという役は私やねん!」とおっしゃっていらした、その言葉がすごく印象的で。まさにカルメンという物語を、謝先生の目で見た真実を、代弁している役ではないかと思っています。期待に応えられるように頑張りたいと思います。よろしくお願いします。
──福井さんは謝先生の魅力を一言で言うとどんなところにあるのですか?
福井 情熱だと思います。その情熱に負けないように頑張りたいと思います。

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──では団さんどうぞ。
 50年まえのホセを知る老人ということなのですが、皆さんに名前があるのに「老人」ではちょっと可哀想なので、「ドン・タコス」という名前にしたいと思います(爆笑)。どうぞよろしくお願いします。
──このカンパニーの雰囲気はいかがですか?
 若いエネルギーに満ち満ちておりますので、日々楽しみに稽古に参加させて頂いております。素敵な歌やダンスで、非常に面白い舞台になると思いますので、よろしくお願いします。
──このミュージカルをご覧頂くと、謎の老人が誰なのか?というのが明らかになると思います。ではここからは質疑応答とさせて頂きます。

【質疑応答】

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──キャストの皆さん、ご自身の演じる役どころの見どころや、魅力を感じているポイントなどを教えてください。
花總 カルメンの魅力をたくさんお見せできれば、全てが見どころ、全てが魅力と思っています。良い意味で皆様の期待を裏切りたいですし、期待通りのところにも行きたいですし、というカルメン像を作っていきたいと思います。
松下 自分の役の魅力ですよね?うーん、なんでしょう、熱量というか、カルメンへの思いの情熱的なところが魅力ではないかと思います。見どころはたぶんいっぱいあると思うので、ここという風に一言では表せないのですが、そうですね、全部です!(笑)
伊礼 私は先ほど長々とスニーガの魅力はお伝えしたと思いますので、そこは大丈夫だと思うのですが、今回音楽監督が玉麻さんで、他に斉藤恒芳さんと小澤時史さんという作曲家の方がいらっしゃって、このお二人が書かれている曲もとても素晴らしくて、民族的な音楽なのでそちらも楽しみにして頂ければなと思っております。
KENTARO ロマ一族の大ボス役として象徴的な役どころになるのではないかと思っております。何故ロマとして生きていかなければならないのかとか、そういうことも踏まえて観て頂けたらと思います。見どころは、皆さんがおっしゃっているように曲も情熱的で、ロマ族を表現する時に背中を押される感じなんですね。初日までにその熱量を落とさずに、皆様に熱い舞台をお届けできるように、すべてが見どころだと思います。楽しみにしていてください。
太田 本当にまだ稽古が序盤なので深いところまでお伝えできないのですが、僕のローレンスはカルメンに翻弄される男の1人として出てくるので、その辺のカルメンとの駆け引きなどを繊細に描いていたけらいいな、と思いながら、今、稽古しております。
福井 先ほどもちょっと話にあったのですが、ホセとカルメンが出会った50年後から今回の話が始まっていて、僕が演じるジャンという人がカルメンの真実を暴こうということで、カルメンに直接出会った人から話を聞くというところからはじまります。そういう意味ではもう1人のカルメンに虜になった男として、情熱を持って演じたいと思っています。またキーパーソンということで、お客様と舞台をつなぐ役割もあると思うので、その辺も見て頂けたらと思います。
 皆さんがおっしゃってくれた通りで、私からは言ってはいけないことがあるので、楽しみにしていてください、としか言えません(笑)。

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──謝先生からキャストの皆さんへの期待と、キャストの皆さんからは稽古場での謝先生の雰囲気や魅力を教えてください。
 梅田芸術劇場のプロデューサーの方たちと配役を決める時にすごく話し合ったのですけれども、非常に私は納得できる良いキャスティングだと思っています。今歌稽古がはじまって、ちょっと立ち稽古や、振付もはじまっているのですが、皆さん作品に対する想いを強くもってくれている。それは舞台には出ると思いますので、私のやれるところは舞台に行くまでのところであって、舞台に乗ってからは皆さんの気持ち、舞台に対する、役に対する想いなので、皆さんしっかりやっていってくださることを信じています。また舞台をもっとよくしてくださるのは、お客様の想いもあると思うので、そこを今すごく楽しみにしています。
花總 私から見ると謝先生もカルメンの要素を持っているところがあって、カラッとしているんだけれども、演出家として、自分を中心に全てを動かしていく力があって。周りが動かされてしまう、影響力があってパワフルです。でもとにかくカラッとしているので、そこは盗みたいなという味を持っています。カルメンと先生に通じる部分があるなと思います。
松下 親近感をめちゃめちゃ感じてます。僕は今回初めてなんですけれど。
 大阪のおばちゃんみたいなね。
松下 そうそう、とも言いずらいんですけど(笑)。稽古場で今ちょうど座っている席が謝先生の隣なんですが、昨日も稽古が休憩になった時に「おかき食べる〜?」と言ってきてくれて、おかきくれたりとか(笑)。そういうテンションなんで、それは自分的には非常にやりやすいです。あとは熱量とスピード感をすごく感じています。僕は稽古場ではどちらかと言うとスロースターターで「初日に間に合うように」と思っているのですが、結構うわーっと進んでいるので、それについていけるようにしたいと感じています。

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伊礼 謝先生はいつも「なんでやねん!ねん、ねん、ねん!」という感じで(笑)、稽古場に先生の声が響いているのですが、身長が小さいので下からくるんですね。「なんでや!こうやないか!」と(笑)。すみません、先生の印象を崩してしまうと申し訳ないのですが(笑)、そういったパワフルな先生で。で、必ず稽古場では立ち稽古がはじまると「好きにやり〜」というのでやると「ちゃうねん!ちゃうねん!」と言われる(笑)。言ったことと違うじゃないか(爆笑)ということが多々ある。でも僕は個人的なことで謝先生が創るオリジナル作品の醍醐味として、作曲家の玉麻さんが稽古場に音楽スタジオ的なものを作って、その場で音楽とか脚本を直していく作業を同時進行でやっていく。僕は謝先生の作品は4作品目なのですが、必ずその同時進行が行われて、より高みを目指していくという意味でも、素晴らしい演出家だと思います。僕たちもそこにインスパイアされて役作りも見えてくるし、どんどんパワーを頂いて、それを最終的にお客様にお見せして、お客様が日常に持って帰る。そういうつながっている作業に、僕は幸せを感じています。
KENTARO 僕は謝先生とは10年くらい前にご一緒させて頂きましたが、その頃から熱量が変わっていないですね。モノマネは(伊礼)彼方がやってくれたんで、僕は敢えてやりませんけど(笑)。一言で、いや一言じゃないな。パッションとアイディアとインスピレーションを全部持っていらっしゃる方なので、それが一気にきて。天才が凡人にバッとこられると応えるのに時間がかかってしまったりもするので、これから諸々の稽古が進んでいって、コミュニケーションを挟みながら良い作品にしていきたい、謝先生についていきたいと思っている、そんな存在でございます。
太田 僕は謝先生とは「はじめまして」なのですが、稽古場での熱量と迫力がすさまじくて、画面から飛び出てくるようなすごい立体感を感じて、びっくりする瞬間が多々あります。それ以上に作品に対する、キャストに対する愛情を、まだ稽古がはじまって短い中でもすごく感じますので、今後共しがみついて頑張って必死について行こうと思います。
福井 僕はまだ本番中で、なかなか稽古に参加できていなくて遅れを取っている状態なのですが、今皆さんの話を聞いて、あーそうなんだ、と思いながら、楽しみなような大変なような現場なんだろうなと。厳しいんですけれども楽しい稽古場で、良いものを作っていきたいと思っています。
 謝先生と楽しみにしているところは大阪で美味しいものを食べるということです(笑)。よろしくお願いします。

団の洒脱な挨拶が結びとなって会見は終了。公演への期待が高まる時間となった。

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〈公演情報〉
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ミュージカル『Romale ロマーレ〜ロマを生き抜いた女カルメン』
演出・振付◇謝珠栄
原作◇小手伸也
上演台本◇高橋知伽江
音楽監督・作曲◇玉麻尚一
作曲◇斉藤恒芳、小澤時史
出演◇花總まり/松下優也/伊礼彼方、KENTARO、太田基裕/福井晶一/団時朗
一洸、神谷直樹、千田真司、中塚皓平、宮垣祐也
●3/23〜4/8◎東京芸術劇場プレイハウス
〈料金〉S席12,500円 A席9,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 0570-077-039
●4/11〜21◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
〈料金〉全席指定 12,500円(税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 06-6377-3888


【取材・文・撮影/橘涼香】




水夏希・彩吹真央出演。夢幻朗読劇『一月物語』


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