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大人気アクションゲームの舞台版として愛され続けている斬劇『戦国BASARA』最新作、斬劇『戦国BASARA』第六天魔王が渋谷のAiiA2.5Theater Tokyoで3月2日〜11日まで上演される(のち16日〜18日まで大阪・森ノ宮ピロティホールでも上演)。
歴史に名だたる戦国武将たちが、その歴史の枠を超えて闘いを繰り広げる斬劇『戦国BASARA』シリーズは、戦国アクションゲームの決定版として、長きに渡り熱い支持を受けてきた。その舞台版の最新作であるこのステージは、各地で戦火の上がる群雄割拠の日ノ本で、禍々しいまでに圧倒的な力でその名を轟かせる第六天魔王・織田信長が創る、恐怖の世をなくす為に、奥州筆頭・伊達政宗、武田軍大将・真田幸村をはじめ、様々な者たちが立ち上がる、というストーリーとなっている。
そんな作品で、舞台版の斬劇『戦国BASARA』には初登場となる新キャラクター、京極マリアを演じるのが、元宝塚歌劇団雪組で活躍した大湖せしる。宝塚歌劇の新人スターの登竜門である「新人公演」で主演をした男役としては、極めて異例の女役への転向を果たし、男役、女役双方で次々と大役を務め、現在女優としての歩みを進める大湖が、アクションに次ぐ、アクションの斬劇『戦国BASARA』の世界に挑む意気込み、また宝塚での異色の経験が生きているという、女優としての現在について語ってくれた。

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殺陣、殺陣、殺陣の圧倒的な舞台

──斬劇『戦国BASARA』に初参加ということになりますが、まず作品に接していかがですか?
とにかくなんと言っても殺陣がすごくて。殺陣、殺陣、殺陣という状態です。前回の舞台を観させて頂いた時にも、ただただ殺陣の凄さに圧倒されて、更にその間に皆さんお芝居もしながらですから、あっという間に時間が過ぎて、気が付いたら終わっていたという状態だったんです。ですから、この世界に私自身が出るとなった時にも、まず「殺陣!!」と思いました。私は宝塚時代に男役を11年間させて頂いていましたから、一応殺陣はいくつかやってはいたのですが、そうは言ってもバサラのようなすごい長モノ等は使った事が無かったので、どうなることかという思いがまずありました。でも今回は、前回の舞台以上に結構お芝居の部分もしっかりとあって、それぞれの関係性もお芝居として見せているので、私もお芝居の方が多めなんですけど、もちろん殺陣もさせて頂くので、とても盛りだくさんな作品になると思います。ここからいよいよ追い込みですね。
──本当に、殺陣に続く殺陣に圧倒される熱量の高い作品ですが、演じる京極マリア役については?
まず役を頂いた時に、キャラクターの描き方から色っぽい感じを受けて、動画を見てみましたら、やはり声の感じ等もすごく色っぽくて。その声優さんが沢城みゆきさんなんです。今、『ルパン三世』の不二子ちゃんの声優もされている方で。
──宝塚時代に大湖さんも演じた役ですね!
そうなんです!「あぁ、みゆきちゃんだ〜」と思って、私が宝塚で峰不二子を演じさせて頂いたご縁で、お知り合いになっているので、またみゆきちゃんが声優をしている役ということは、つまりとても色っぽい女性、魅力的な女性の役だと思って。実際に台本上でも、結構皆さんをかき混ぜるというか、ちょっと小悪魔的だったりもしますので、舞台の良いスパイスになればいいなと思っています。自分の欲望に素直で、正直な人で。この作品の登場人物は皆、自分がこれがやりたい!っていう方向に迷わず向かっていきますけど、それプラス自分が一番大切という考えの、自分にこそ一番価値があると思っている人なので、皆をかきまわしていく感じが出たらいいなと思いながら、作っています。まだまだ探求中ですが、今はとりあえず殺陣がついて、立ち稽古もついて、通してという状態なので、そこから深めていきたいと思います。

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イメージを大切にしながら、私風味を加味して

──宝塚でもキャラクターものの作品に多く出演されましたが、アニメーションや今回のゲームなど、キャラクターがある作品の楽しさ、また難しさはどうですか?
宝塚でさせていただいた『ルパン三世』にしても『るろうに剣心』にしても、舞台化は初めてでしたし、今回も俳優が演じるのは私が初めてなので、自分のインスピレーションを大事に作っていけるという利点はあります。一方で、原作ファンの方々がキャラクターに持っているイメージは厳然とありますから、そのイメージにどれだけ近づけられるかが難しいですね。ポーズの角度だったり、声質も声優さんが創られた世界観は踏襲しつつも、ただ声優さんの声真似になってしまってはいけないと思うので、役柄を内面からしっかり作っていって、キャラクターが出来上がるようにしていきたいです。
──イメージは大切にしながら、大湖さんが演じるならではのものも?
そうなんです。既存のものにただおさまってしまうのではなくて、そこに、私風味をちゃんとチョイスしながら入れていければと思います。
──そんな新しい舞台で、共演する方たちの印象はいかがですか?
宝塚を退団してから出演した舞台には、必ず元タカラジェンヌ、宝塚OGの方がいたんです。だから誰かしら知り合いがいたんですけど、今回は誰もいなくて。アンサンブルに知っている人はいるのですが、芝居で絡むキャストの方々は皆「はじめまして」なんです。私、実は結構人見知りなので、どうしようかなって思っていましたし、今回から入る初めてのキャラクターは、私と明智光秀の瀬戸祐介さんとお市の高柳明音さん、3人だけなので、出来あがっているカンパニーに入るドキドキ感があったのですが、皆さんウエルカムでホッとしました。特に私は前の舞台があって、お稽古に入ったのが遅かったので、今、必死についていってます。これからどんどんコミュニケーションを取っていけたらいいなと思っています。
──では前の舞台中にも、台詞を入れる準備などを?
していました! 前の舞台は博多弁で全然違う役柄だったので逆によかったのですが、セリフの量がすごかったんです。ですから、こちらをどうしようかと思ったのですが、終わって2、3日で覚えられるものでもないので、やっぱり同時にやらなければと。今日はこちら、次の日はあちらとか、切り替えながらやりました。今まで同時進行っていうのはなかったので、こういう大変さがあるんだなと。皆さん色々掛け持ちで出ていらっしゃるので、すごいなと改めて感じました。宝塚でも新人公演はありましたけれど、作品は一緒でしたし、基本的に同時進行というのはあり得なかったので、新しいチャレンジになりました。

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男役と女役、双方を経験したことが糧になっている

──宝塚退団後、バラエティに富んだ舞台を務めていますね。
もともと宝塚時代から型にハマらずにいたいと言いますか、色々なキャラクターが出来る役者になりたいという気持ちは強くありました。例えば、色っぽい役しか出来ないとかではなく、元男役でもあるので、その部分も活かした強い女性もやってみたいです。だから色々なものに挑戦していきたいですし、今回も2.5次元の世界って、人じゃない事をやってもいいと言うか(笑)、動きだったり見せ方などに誇張したものがあるのが、宝塚で培ってきたものと共通するので、やりやすかったりもします。  
──大湖さんは男役から女役に転向して、両方を幅広く経験していることが、色々な面で役に立っているのでは?
それはもう大いにありますね。自分が男役の時に女役さんを見ていて、女役さんのカッコいいはやはり可憐なカッコよさで、男役のカッコいいとは違いますよね。でも私には男役の引き出しがあるので、女役さんのカッコいいプラス大人のカッコいいを目指して作っていけたらと思っているので、今は両方させて頂いていて良かったと思います。
──しかも、双方で大役を演じてきました。
今思うと激動の青春時代だったなと思います。もう必死すぎて目の前のことしか見えていませんでした。だから今、宝塚を観に行って、「あぁ、すごいな。こんなことをしてたのか〜」と思いますね。もう無理だなって(笑)。舞台裏の事とかも知っているので、余計にすごいなと思います。自分のいた雪組は必ず観に行きますが、下級生の子達がどんどん立派になって、知らない下級生も増えましたが、皆堂々とやっているなと感動します。

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舞台は私の人生になくてはならないもの

──宝塚を退団してから、時間の過ごし方は変わりましたか?
変わりました! 自由な時間がすごく出来て、舞台と舞台の間のお休みもしっかりあることに、どうしたらいいかわからなかったんです。宝塚の時は休みが本当に少なくて、そのちょっとした休みにも何かしていないと、自分が怠けてるみたいで「すいません、申し訳ない、どうしよう」(笑)というのがあったんですけど。今は、お休みはちゃんとプライベートの自分のリフレッシュとして使えるようになりました。
──では、今は余裕も?
そうですね。じゃあこの日にこれをしたから、次の休みにはあれをしようとか。してみたいことや趣味も増えました。
──そんな日々の中で、女優として目指しているものや、夢などはありますか?
今でも模索中ではありますね。退団して1年半経ちましたけど、舞台をやりつつ色々なことにも挑戦してみたいと思っています。でもやっぱり変わらないのは、舞台は外せないということです。私の人生に舞台はなくてはならないということはすごく感じるので、そこはしっかりしてるんですけど。具体的にどうなっていきたいとかは、まだ見定めていないというか。宝塚時代も、新人公演で主役をさせて頂いた時に、色々取材を受けさせて頂いて「これからの目標はトップスターですか?」と訊かれたりもしましたけれど、「何も考えてないです」と言っていました。先の事が考えられないというか、夢がないっていうのではなくて、今目の前の事をしっかりと、与えられたことをやっていれば、きっと自然に進むべき道が見えてくるなと思っていたし、今もそれは変わらないです。色々な役に挑戦できる女優にはなりたいとは思いますけど、「絶対にこう!」というのではなく、私の性格上「こうかな?ああかな?あ、でも違う、あ、そうだな」と試行錯誤していく中で「あ、ここかな」が見つかるのではと。ゆっくりなんですよ私、色々な意味で。でもそれが私らしくていいのかなと思います。特に宝塚と違って外の舞台は一期一会ですから、1つの作品が終わったらもう二度と会えない人もいますよね。最初はそれに慣れなくて、1作目の時には「この人たちともう会えないんだ」と思ったら、もう前楽ぐらいから泣きそうになっていたんですけれど。でも今は、だからこそ毎日が貴重だと思いますし、皆さんと連絡を取り合ったり、舞台を観に行ったりもできるので、これからもそういう出会いが沢山あるといいなと思います。
──では、その出会いの1つである斬劇『戦国BASARA』への意気込みを。
「戦国BASARA」と言っただけで、皆さんが「ああ、バサラ」とすぐ反応があるほど知られている舞台なので、責任を持ちつつキャラクターと向き合って、如何にイメージに近づけるように出来るか、しっかりとやっていけたらいいなと思います。皆が全力で毎日稽古に取り組んでいるので、その情熱やパワーを、直接感じて頂きたいです。公演期間が1ヶ月もないので、「観られなかったら残念だよ!生で観るべき舞台だよ!」と言いたいです。是非劇場にいらしてください!

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だいごせしる○兵庫県出身。02年宝塚歌劇団に入団。同年雪組に配属、以後、期待の男役として活躍。08年『マリポーサの花』新人公演で初主演。11年『ロミオとジュリエット』の「愛」役を務めたあと男役から娘役に転向。13年『春雷』で初ヒロイン。15年『ルパン三世』の峰不二子役は当たり役となる。16年『るろうに剣心』で惜しまれつつ退団。『グレート・ギャツビー』のジョーダン役を皮切りに、女優として多彩な活躍を続けている。近年の主な舞台に30-DELUX『新版 国性爺合戦』A NEW MUSICAL『クロスハート』ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』〜暁の調べ〜等がある。

〈公演情報〉
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斬劇『戦国BASARA』第六天魔王
原作◇CAPCOM(「戦国BASARA」シリーズ)
構成・演出・映像◇ヨリコジュン
企画・原作監修◇小林裕幸(CAPCOM) 山本真(CAPCOM)
出演◇眞嶋秀斗 松村龍之介 中尾拳也 沖野晃司/椎名鯛造 井上正大 瀬戸祐介/汐崎アイル/斉藤秀翼 桜田航成/高柳明音 大湖せしる/伊藤裕一/唐橋 充
●3/2〜11◎AiiA 2.5 Theater Tokyo
●3/16〜18◎森ノ宮ピロティホール
〈お問い合わせ〉
東京公演 サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
大阪公演 キョードーインフォメーション 0570-200-888



【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】



水夏希・彩吹真央出演。夢幻朗読劇『一月物語』


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