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本年春に中国での公演を予定しているミュージカル「陰陽師」〜平安絵巻〜が、3月9日〜18日、東京・日本青年館ホールでプレビュー公演の幕を開ける。
ミュージカル「陰陽師」は、中国のゲーム会社ネットイースゲームズが制作し、2016年9月に運営が開始されたソーシャルゲームが原案。細部まで描き込まれた美麗なグラフィックと豪華声優陣の起用で話題となり、全世界で2億ダウンロードを突破している。プレイヤーは妖が蠢く美しき平安時代を舞台に、様々な式神とともに魑魅魍魎と戦い、謎を解き明かしていく。
その舞台化となるミュージカル「陰陽師」〜平安絵巻〜は、演出・脚本・作詞をミュージカル『薄桜鬼』や『黒執事』シリーズ『Messiah メサイア』シリーズなどの毛利亘宏が手がけ、天才陰陽師・晴明役に良知真次、黒晴明役に佐々木喜英が扮するのをはじめ、豪華キャストが揃った。また、公開されたビジュアルにも絶賛の声が集まるなど、初日に向けてますます期待が高まっている。
そんな舞台で、人魚の肉を食べ不老不死となってしまった名高い占い師・八百比丘尼(やおびくに)役を演じるのが、元宝塚雪組娘役トップスターで、現在女優として活躍する舞羽美海。可憐な容姿と、醸し出される抜群の愛らしさで、明るい元気な役どころを数多く演じてきた舞羽にとって、ミステリアスな八百比丘尼役への挑戦は、新たな魅力が観られるに違いない刺激的な機会となる。間近に迫る公演を前に、舞羽美海がこの舞台への意欲を語ってくれた。

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ゲームに忠実でありつつ、生身の人間のエネルギーもある舞台に

──ミュージカル「陰陽師」に出演ということで、とても素敵なビジュアルが公開されていますね!
ありがとうございます!実はビジュアル公開の前は、かなり不安があったんです。自分もアニメやゲームなどは元々大好きなので、その世界観を崩してはいけないという気持ちがすごくあって。まずこのお話を頂いた時点で「私は八百比丘尼になれるでしょうか?」とお尋ねしたくらいです。撮影の時も八百比丘尼的なポーズ等には相当心を配ったのですが、ビジュアル解禁がこんなに怖かったのは初めてでした。これまでは自分でも情報解禁が楽しみだったのですが、今回は「あぁ、出る、どうしよう!」と思って(笑)。最初に解禁された、晴明の良知真次さんと神楽の伊藤優衣さんがとっても美しかったので、ここに並んで大丈夫かな?とドキドキしました。
──いえ、本当に素敵です!
そうですか?八百比丘尼ファンの方もとても多いので、皆さんに受け入れて頂けていたら嬉しいです。こういう世界に入らせて頂くのは初めてなのですが、衣装や小道具など、忠実に再現しようとされているスタッフの方々の熱意が素晴らしかったので、そこに乗せて頂いて頑張りました。
──参加するミュージカル「陰陽師」という作品については、今どんな印象を?
思った以上に壮大な世界になっています。台詞や内容もゲームに忠実なところがたくさんあって、胸が熱くなるシーンや、鳥肌が立つようなところもたくさんあります。作品の魅力に生身の人間が演じるエネルギーがプラスされた「陰陽師」の世界観になっているなと。また、音楽がとても面白いんです。「陰陽師」の世界ならではの曲ももちろんたくさんありますが、ロック調とか意外な曲もあったりして一筋縄ではいかないです。スピード感のある場面とじっくり見せる場面のさじ加減も絶妙なので、飽きさせないものになっていると思います。演出の毛利さんが「Wow!ファクター」と称して、観て下さるお客様が3分間に1度「Wow!」と発してしまうようなものを作ることを目指していて、心が3分間に1回動くような創りになっています。確かに曲を入れ込むところも、曲によって芝居が進むものとキャラクターに合わせたものとがあるので、「Wow!ファクター」がどう結実するのか楽しみです。日本でのプレビュー公演、中国公演での反応がそれぞれどんなものになるのか今からワクワクしています。

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ミステリアスで妖艶な八百比丘尼役で新たな挑戦を

──演じる八百比丘尼についてはどんなふうに捉えていますか?
まず美しい人だなと思います。妖艶な部分と、何百年も生きている彼女の心の部分、いわば外から見える部分と内面の部分とがあるので、内にあるものを垣間見せたり、また秘めたり、そのミステリアスな部分をどう表現するかだと思います。今まで頂いてきた役柄は明るく元気なものが多かったので、今回は私にとって新しい挑戦になりますし、八百比丘尼を通して新たな発見をしていければと。ゲームで八百比丘尼の声を担当されている沢城みゆきさんが大好きなので、雰囲気は踏襲しつつ、私なりの八百比丘尼になれたらと。今まで出したことのないテンションの声も出てくると思うので、八百比丘尼を好きな方にも納得して頂けるものにしていきたいですし、このカンパニーの方々との舞台上での化学反応も楽しみです。ストーリーがしっかりしているので、まず忠実に、そしてお客様の心を動かせるようにしていきたいです。
──宝塚時代にも『JIN─仁』など漫画原作の作品に取り組んでいますが、原作ものの楽しさと難しさについては?
やはり原作があるものには、作品のファンの方がいらっしゃるので、その方達にも納得して頂けるものであること。そして、舞台ならではのオリジナリティーを感じて頂きたいです。何よりも原作のイメージは大切に、その上で舞羽美海が演じさせて頂く意味や、作品を舞台化する意味も感じて頂けるものにと。八百比丘尼についてもそれは同じで、キメ台詞等は本当に忠実に台本にも出てきて「やっぱりここはそのまま使うんだ!」と思いましたし、映像や音楽のエネルギーも感じるので、舞台ならではの「陰陽師」、そして八百比丘尼を観て頂けるように頑張りたいです。
──共演者の皆さんも豪華なメンバーで、先ほどお話に出た化学反応も楽しみですね。
多方面で活躍されている方々ばかりで、私にとっては初めてご一緒させて頂く方が多いので、顔合わせは本当に緊張したのですが、本読みの段階で皆さんの個性やキャラクターが見えたので、新しい世界が広がっていく楽しさを感じています。オープニングのミュージカル・ナンバーも、重厚感がありつつスピード感もあり、エネルギーがダイナミックで、冒頭から作品の世界観に入ってきて頂けると思います。私自身ゲーム原作の舞台は大好きでよく拝見させて頂くのですが、冒頭のキャラクター紹介の場面になると「キタ、キタ!」という気持ちでテンションが上がるので、そこから楽しんで頂きたいです。

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宝塚というルーツと絆は一生消えない

──新しい出会いがたくさんある今回の座組ですが、昨年末には宝塚OGの方が沢山出演した『Pukul』にも参加しましたね。OGの方達が集結した舞台の経験はいかがでしたか?
すごく楽しかったです。OGの方達がメインの公演に出させて頂いたのは初めてで、最初は上級生の方々とご一緒するということで緊張したのですが、皆さん本当に優しくて。やはり同じルーツを持った方達との絆は一生消えないということを感じました。カンパニーの中では下級生でしたから、皆さんが気にかけてくださって、とくに水夏希さんや彩吹真央さんは雪組時代に本当にお世話になったのですが、今回も1つ1つご相談させて頂き、とても心強かったです。
──舞羽さんが新進娘役だった頃のトップスターが水さんでしたね。
そうなんです! ほかの方も私がファン時代にスターでいらした方々ばかりで、稽古初日はファン時代に戻ってドキドキしていました(笑)。そして、そういう方々がすぐにアドバイスしてくださるのが、何より宝塚の良さだなと。1人の俳優として色々な公演に参加している時も、伺いにいけば皆さんこころよく教えてくださいますけれど、あちらから言ってくださるということはあまりないので。今回は、必ずどなたかが見ていてくださって「あそこなんだけどね」と言ってきてくださるんです。そのおかげで色々なことを吸収することが出来ましたし、同時に「あぁ、私はまだまだだ!」と痛感しました。
──難しそうな新しいダンスがたくさんありましたね。
筋力や精神的な面で、まだまだ変われる、もっともっとやれると思いました。最初のお稽古から筋肉痛が何日も続いて、新しい振付がつく度に新たな筋肉痛になって、「もう立てない!歩けない!」と思うこともありましたが、曲がかかると動いている自分にも驚きました(笑)。色々なジャンルのダンスや音楽に触れる機会をもらえたことは財産ですし、人生で一番踊った公演でした。1曲を踊るだけでもいっぱいいっぱいだったのですが、通し稽古の数がとても多かったおかげで身体も慣れましたし、衣装や小道具によって動きが規制される中での、美しさ、ビジュアルを追求する、それが宝塚だなと改めて感じました。観に来てくれた同期生に「水を得た魚だね」と言ってもらえましたし、久しぶりのダンス公演がすごく嬉しくて、思いきり踊ることができました。自主稽古もたくさんしました。稽古場で一瞬で揃えられるのが宝塚ですから。ディスカッションにも参加させていただきましたし、上級生の方々の見せ方などを側で見せていただき、多くを学ぶことができました。

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ビジュアルにこだわり演劇のファンを増やしたい

──『Pukul』で様々なダンスや美しさの追求、小道具使いを経験した後、この「陰陽師」というのは、最適な流れですね。
すごく活かせると思います。杖の持ち方や、手の角度などビジュアル面でのこだわりがたくさんありますし、カラーコンタクトも生まれて初めて使用したので、すごく時間がかかったのですが、それ1つで自分が変われました。鬘や衣装の繊細なこだわりも素敵ですし、原作の世界からそのまま抜け出てきたという2.5次元の良さの中で、自分自身に発見があるのも楽しいです。八百比丘尼の美しさにも、とことんこだわりたいです。
──2.5次元と呼ばれる舞台がたくさん生まれて、それまで舞台そのものを観たことがなかった方も劇場に足を運ぶきっかけになっていますね。
舞台を観たいと思っても最初の1歩を踏み出すのにパワーがいりますから、そのきっかけになってくれているのは本当に嬉しいですし、ライブビューイングや、アリーナのようなところでのライブなど、若いお客様が観たい!と思ってくださるような工夫が様々にされているのもすごいなと。特にフライヤーのクオリティが高くて、絶対に目に留まるし、手に取って開きたくなるように作られているところも素晴らしいなと思います。
──では改めて、公演を楽しみにされているお客様にメッセージをお願いします。
ゲームに親しんでいらっしゃるお客様もこの壮大な世界を絶対に楽しんで頂けると思いますし、日本と中国で公演することも素晴らしいことで、どんどん演劇を好きになってくださる方が増えたらいいなと思います。また、ゲームをご存知ないという方にもきっと楽しんで頂けますし、観てからゲームに触れてみるのも新しい世界が広がると思います。この壮大なプロジェクトに関われたことがとても嬉しいですし、斬新な、今まで観たことがない世界をご覧頂けると思いますので、是非劇場に足を運んで頂きたいです。そして、ミュージカル「陰陽師」がこれからシリーズ化していく作品になってくれたらいいなと夢見ているので、精一杯頑張ります!


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まいはねみみ○兵庫県出身。07年に宝塚歌劇団入団。11年から雪組トップ娘役を務め、様々な作品で可憐な魅力を発揮した。12年『JIN─仁─』『GOLD SPARK─この一瞬を永遠に─』で惜しまれつつ退団。以後は女優として活躍中。主な出演作品は、映画『マザー』『超高速!参勤交代リターンズ』、ドラマ『早子先生、結婚するって本当ですか?』『プリンセスメゾン』『山女日記〜山フェスに行こう/アルプスの女王〜』、舞台『道頓堀パラダイス〜夢の道頓堀レビュー誕生物語』『ドリアン・グレイの肖像』『ダンス オブ ヴァンパイア』『Pukul』など。

〈公演情報〉
 
ミュージカル「陰陽師」〜平安絵巻〜
s_ミュージカル「陰陽師」_メインビジュアル

原案◇本格幻想RPG「陰陽師」より (NetEase Inc./All Rights Reserved)
演出・脚本・作詞◇毛利亘宏
音楽◇佐橋俊彦
振付◇本山新之助
出演◇
良知真次/三浦宏規/伊藤優衣/舞羽美海/矢田悠祐/君沢ユウキ/遊馬晃祐/平田裕一郎/内海啓貴/片山浩憲/七木奏音/門山葉子/佐々木喜英/
西岡寛修 笹原英作 服部 悠 杉山諒二 松ヶ谷ほのか 渡邉 南 光岡茉美 佐竹真依 SATOCO
●プレビュー公演/3/9〜18◎東京 日本青年館ホール
●本公演/3/30〜4/22◎深セン、上海、北京〈料金〉プレビュー公演/S席 8,800円 A席 7,800円(前売、当日共・全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉ネルケプランニング  03-3715-5624(平日11:00〜18:00)




【取材・文/橘涼香 撮影/友澤綾乃】




水夏希・彩吹真央出演。夢幻朗読劇『一月物語』


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