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1967年の日本初演以来、家族の絆と変わらぬ愛を描き続け、愛され続けてきたミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』。その栄えある50周年記念公演が、2017年の掉尾を飾る12月5日から29日まで、日生劇場で上演される。
2004年から、”21世紀の『屋根の上のヴァイオリン弾き』”を牽引してきた市村正親テヴィエと、その市村をして「最強の女房」と言わしめる妻・ゴールデの鳳蘭。そして豪華でフレッシュな新キャスト陣も加わり、不朽のミュージカル・ナンバーに乗せて、親から子へ、子から孫へと受け継がれる愛と旅立ちの物語を、次の50年に向けて力強く描き出す!
 
テヴィエ一家の長女ツァイテルに扮するのは、実咲凜音。宝塚では宙組のトップ娘役として、『ベルサイユのばら』のマリー・アントワネット、『エリザベート』のエリザベート、『双頭の鷲』の王妃など、記憶に深く残る大役の数々を演じてきた実力派スター。彼女にとって、この作品が宝塚退団後の初ミュージカルの舞台となる。
そんな実咲に、新たな世界への挑戦となる作品と役柄、初共演の豪華な面々への想い、更に、宝塚退団後の時間の流れ方などについて語ってもらった「えんぶ12月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介。

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移り変わる時代の中で、続いていくすごさを実感

──ミュージカル界に燦然と輝く傑作であり、しかも日本初演50周年記念となる『屋根の上のヴァイオリン弾き』が、宝塚退団後の本格的なミュージカルデビューとなります。出演しようと決断した決め手はなんでしたか?
宝塚在団中には、舞台を全力で務めるということだけに邁進していたので、退団後何をしたいのか? が自分でもよくわからなかったんです。引き続いて舞台をやりたいのかどうかも見えていないような状態でした。でも、そんな中でこのお話を頂いて、長く愛され続けてきた作品の、初演から50年という大切な記念の公演であること。また、市村正親さん、鳳蘭さんはじめ、錚々たる共演者の方々のお名前を拝見して、こんな素晴らしい機会に、本当に私で良いのならばやらせて頂きたい! という気持ちで、お引き受けさせて頂きました。製作発表の席上でも、50年も愛され続けている作品の空気を肌で感じることができましたし、宝塚を退団してすぐ、このような伝統ある作品に携わらせて頂けることをとても嬉しく思っています。
 
──実咲さんは宝塚創立100周年もトップ娘役で体感して、伝統の重みを様々に感じる機会も多かったと思いますが、50年続くこの作品の魅力についてはどう感じていますか?
宝塚100周年の時にも感じたことですが、時代がどんどん変わっていく中で、変わらずに続くというのは本当にすごいことで、同じ作品の上演が50年続くのは、奇跡だと感じます。それほど音楽、踊り、すべてが素晴らしいですし、ユダヤ人の方々のしきたり等が描かれていつつ、テヴィエさんのちょっとした言葉などには誰でもが笑える、普遍的なものがあるから、日本でもこれだけ長く愛され、上演が続いているのだと思います。
 
──実咲さんが演じるツァイテルの両親役の市村さんと鳳さんは、演劇界、ミュージカル界を代表する存在ですが、お二人との共演で楽しみにしていることは?
衣装をつけている訳でも演じている訳でもないのに、そこにお二人がいらっしゃるだけで、なんとも言えない温かい空気を醸し出してくださるんです。だからこそ私たちも萎縮せずに演じることができます。市村さんも鳳さんもあまりにも偉大で、私にとっては客席から拝見する方たちで、実際にお会いできることがあるとは思ってもいなかった雲の上の存在でしたので、そんな方たちと一緒に作品が作れること、濃密な時間を共有できることが本当に幸せです。
 
──鳳さんは宝塚の先輩で、100周年の記念イベントなどでもご一緒でしたね。
大大大先輩で、それこそ100周年にいらしてくださった時などは、現役生皆で花道のかぶりつきに詰めかけて拝見していました。そんな大先輩とご一緒させて頂けること、しかも今から、とても温かい言葉もかけて頂いているので、大きな懐に飛び込んでいって、精一杯頑張りたいと思います。

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愛を貫く強さを大切に共感の持てる長女ツァイテルを

──三姉妹になる神田沙也加さん、唯月ふうかさんとは製作発表会見で、早くも息の合った「マッチ・メイカー」を披露されましたね。
あの曲のお稽古をするために集まったのが、初めての顔合わせだったのですが、とても楽しく演じることができたのが印象的でした。神田さんは歌も素晴らしく、舞台人として尊敬する方ですし、唯月さんも歌はもちろんお会いした瞬間から、このままチャヴァだわ! と思えるほど可愛らしい方で、そんなお二人と、姉妹として血のつながった役をさせて頂けるのが楽しみです。お二人からたくさん刺激を受けながら長女のツァイテルを演じられたらと思っています。
 
──そのツァイテル役についてはどんな思いが?
姉妹のキャラクターの違いがしっかり描かれていて、長女として面倒見がよく優しい中に、愛する人と一緒になりたいという強い意志も秘めている女性です。現代の私たちから見ても共感できる役柄でもあるので、自分の愛を貫くというところを大切に、しっかりしていない私が(笑)、しっかり者の長女に見えるよう頑張っていきたいです。
 
──初めて男優の方と恋人役になるわけですが、モーテルの入野自由さんについてはいかがですか?
歌稽古の時に「あ、男の方の声が聞こえる」と思いました (笑)。すべてが新鮮ですし、入野さんはとても爽やかな方で、気さくに接してくださるのが嬉しいです。私にとっては全く新しい環境ですから、不安ももちろんあるのですが、逆にそれは今しか感じられないものなので、それも楽しみに変えて、入野さんと1つずつ丁寧にご相談しながら役に入っていけたらいいなと思います。

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記念すべき公演での新しい経験を楽しみながら

──初めての環境と言えば、トップ娘役の激務を全うしての退団後は、時間にもゆとりが生まれたのでは?
生まれました! こんなに自分の時間があるんだとびっくりするほどで、それだけ在団中は忙しかったんだなと、今、振り返って感じています。公演中に次の公演の準備を並行して進めているという状態が、ずっと続いていたので、休む時間があるのなら資料を見ておきたいという日々でした。でもそれだけ多くの舞台に立たせて頂けたというのはありがたいことでしたし、本当に充実した濃い時間を過ごせた、私の人生に必要不可欠な大切な場所でした。宝塚は夢の世界と言われますが、私にとっても宝塚にいた時間はまるで夢のようでした。その経験を経て今、「今日は何をしようかな?」と考えられる1日がとても新鮮です。宝塚時代もどんな色にも染まれる、七変化できる娘役を理想としていましたが、その想いは女優になっても変わらないので、映像など新しいジャンルにも積極的に挑戦させて頂きながら、1つ1つのお仕事に全力で臨みたいと思っています。その為にも退団後の初ミュージカルとなるこの舞台を、皆さんと作りあげる時間を大切に頑張りたいと思います。全国ツアーの大千秋楽は市村さんの故郷の川越ですし、本当に記念すべき公演ですので、長年のファンの方はもちろん、初めてご覧になる方も、是非楽しみに、いらしていただければと思っています。

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みさきりおん○09年宝塚歌劇団入団。歌唱力に優れた娘役として注目を集め、12年『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』のヒルダ役で宙組トップ娘役に。『ベルサイユのばら』のマリー・アントワネット『王家に捧ぐ歌』のアイーダ『エリザベート』のエリザベートなど、数々の大役を歴任。17年『王妃の館/VIVA!FESTA!』で退団。以後、女優として活動を開始、この作品が退団後初の舞台となる。

〈公演情報〉 
やね
ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』
台本◇ジョセフ・スタイン 
音楽◇ジェリー・ボック 
作詞◇シェルドン・ハーニック
オリジナルプロダクション演出・振付◇ジェローム・ロビンス
日本版演出◇寺秀臣
出演◇市村正親 鳳蘭 実咲凜音 神田沙也加 唯月ふうか 
入野自由 広瀬友祐 神田恭兵 今井清隆 ほか
●12/5〜29◎日生劇場
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半〜17時半)




【構成・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】



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