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元宝塚宙組トップスター大和悠河が主演する舞台、ジェットラグプロデュース『終わらない世界』が、新宿・紀伊國屋ホールで11月29日、開幕した。(12月3日まで)
 
脚本を益山貴司(劇団子供鉅人)、演出は吹原幸太(ポップンマッシュルームチキン野郎)という、演劇界気鋭の若手クリエーターが担当、エネルギーに満ちたエンターテインメント作品を、現代演劇の殿堂とも言うべき紀伊國屋ホールの空間に繰り広げている。

大和悠河を囲むキャストたちも多彩で個性溢れるメンバーばかり。百名ヒロキは2017年、演劇界に彗星のごとく登場した才能溢れる若手俳優。野口オリジナルは劇団ポップンマッシュルームチキン野郎の中心役者。宝塚出身の帆風成海は、大劇場から小劇場まで活躍中で注目の女優。鈴木歩己は、ジェットラグ作品最多出演を誇るベテラン。森田匠は、TRASHMASTERSで確かな存在感を見せる個性派俳優。それ以外のキャストも、これまでジェットラグ作品に出演経験のあるキャストの中から選び抜かれた精鋭たち。そして振付は、繊細な感性と大胆な発想を併せ持つ椎田香王子が担当している。

【ものがたり】
小惑星の衝突による「世界の終わり」の情報が全世界を駆け巡り、混乱に陥る人類。日本ももちろん例外ではなく、人々はそれぞれの終末を迎えようとしていた。が、「世界の終わり」の数日後、発表されたのは「世界は救われた」の報。小惑星は見事、地球人の科学力によって粉砕され、人類は危機を脱することができたのだ。
物語はここから始まる。
それぞれの終末を迎えようとしていた登場人物たちは、「終わらない世界」の知らせに、「世界の終わり」以上の混乱、狼狽に陥る。終わるはずだった人生の最後に「やらかした」ことに、突如襲ってくる「終わらなかった世界」の日常が…。

この舞台で、主人公の大スター・七瀬ミワコを演じる大和悠河。ミワコ役では大女優としての華やかさとスケール感を、劇中劇のライアン役ではダンディなギャングとしてカッコよさを振りまいている大和悠河に、初日直前の劇場で、今回の作品への思いを聞いた。

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紀伊國屋ホールは文化の香りのする劇場

──今回の公演は悠河さんにとって新鮮な出会いが多い舞台だと思います。まず紀伊國屋ホールは初出演なのですね。
そうなんです。老舗の伝統ある劇場ということは知っていましたが、実際に入ってみて、改めて、昔からの文化の香りのする場所だなと思いました。楽屋も袖もこれまで沢山の演劇人のかたが使い込んできた歴史を感じますし、新宿という繁華街の真ん中なのに、ちょっと別次元のような、どこかレトロな良さが残っているような感じがします。
 
──今回、いわゆる小劇場の俳優さんをはじめ、さまざまな出身の俳優さんたちとの共演で、そこも新鮮なのでは?
本当に新鮮です。これまでも私はミュージカルから歌舞伎、新派の方々、映像の方たちなど色々なジャンルの方々とご一緒してきましたが、今回は、作も演出も俳優さんも小劇場の方々が多くて、やはり独特のパワーとかエネルギーがあるなと感じています。皆さん、ふだんと稽古場ではかなり違っていて、演技の突き詰め方などを見ていると、自分の方法で積み上げてきたものがあるし、自分の見せ方をがんばっていて、そこは見ていてとても刺激を受けます。
 
──役柄の七瀬ミワコですが、演じていて共通する部分は?
女優というところは同じですし、劇中劇では男性の役で、そこは男役だったことが役に立っています。また、ミワコは一度女優を引退するのですが、それも宝塚を卒業したときの自分と重なります。ただ、引退後のミワコは世界的なスケールで生きて、マフィアのボスの妻になったりと、かなりぶっ飛んでます(笑)。そして10年ぶりに女優として復活することになりますが、もともと演じるのは好きで、純粋にお芝居や舞台が本当に好きなんです。そこがあるから周りの仲間にも愛されるのでしょうね。
 
──その仲間たちとの芝居作りのバックステージドラマと、劇中劇とがテンポよく展開していきますね。
お芝居を作る人たちそれぞれのドラマを見せながら、劇中劇でギャングの世界を見せていくという構造なので、両方の面白さを楽しんでいただけると思います。ギャングの部分は宝塚でもよくあるような「男たちのドラマ」なのでカッコよく、バックステージの部分では、作る側のそれぞれの生活や思いを、笑いも入れながら見せていきます。そこでは私も、七瀬ミワコという1人の女優としての細やかな見せ方を意識しています。

1つ1つの役を一生懸命に演じていたら100に!
 
──衣裳替えも多くて、ダンディなスーツ姿から可愛いワンピースまで、しかもストッキングまで凝っていて、たぶん女性のお客様はファッション部分も楽しめるかなと。
着替えが多くてたいへんなのですが、それによって女優・七瀬ミワコの部分と、劇中劇のライアン・クーパーになる部分を切り換えられるし、いろいろ変身するのは自分自身も好きなので(笑)、楽しんでいます。宝塚を卒業してから、ここまで男女両面を出せる作品は初めてかもしれません。とても素敵な役をいただけたなと思います。実は私は、この七瀬ミワコ役で、ちょうど初舞台から100役目になりました。
 
──それは素晴らしいですね!
ありがとうございます。1つ1つの役を一生懸命に演じていたら100になっていました。出演した公演数は4148公演になります。たまたま数える機会があったので数えてみたんです。そしたらちょうど100役目ということで、自分でもびっくりしているんです。
 
──キャリアというのは本当に積み重ねですね。最後にテーマである「終わらない世界」についても聞かせてください。
今、世界中で起きているテロとかミサイルとか、そういう問題を考えさせられます。もしかしたら「今日、世界が終わるのではないか」という不安な気持ち、そのとき自分がどうなるのかと、すごく考えさせられるテーマが描かれています。でも笑いも沢山ありますし、最後はショウタイムもありますので、お客様には楽しく観ていただけると思います。ぜひ、紀伊國屋ホールへお越しください。


〈公演情報〉
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ジェットラグプロデュース『終わらない世界』
作◇益山貴司(劇団子供鉅人)
演出◇吹原幸太(ポップンマッシュルームチキン野郎)
出演◇大和悠河  百名ヒロキ 野口オリジナル 帆風成海 
渡辺慎一郎 廣瀬響乃 藤田奈那(AKB48)森田匠、伊藤真奈美 安楽信顕、椎田香王子・鈴木歩己
●11/29〜12/3◎紀伊國屋ホール
〈料金〉S席/前売7,800円 当日8,300円 A席/前売6,800円 当日7,300円 学生/4,500円(事前予約/ジェットラグ扱いのみ) (全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉http://www.jetlag.jp



【取材・文/榊原和子 写真提供/ジェットラグ】


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