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斬新な振付と深い人間愛で数多くの話題作を発信し続ける謝珠栄が、全幅の信頼を置く後輩たち=宝塚OGと、歌唱力に優れたミュージカル俳優と、気鋭のダンサーという刺激的なキャスティングで紡ぐ、新感覚オリジナルショー Cosmos Symphony『Pukul』〜時を刻む愛の鼓動〜が、12月9日〜16日、東京・日本青年館ホールで上演される(のち、12月21日〜25日、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティでも上演)。

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『Pukul』とは内面が活力を得て動き出す「鼓動」に、時を知らせる意味も持ち合わせたマレー語で、歌×ダンス×プロジェクションマッピングによって、壮大な時間の旅が描かれる。ACT1では、インド舞踊やグルジニアンダンス等、アジアをはじめ各国の音楽や民族舞踊の要素を取り入れつつ、星たちの誕生と、美しくも時に脅威ともなる自然を神秘的に描く。また、ACT2では、馴染みあるジャズやポップスで、この地球で命を授かった人々の人生をスタイリッシュにたどっていく。

そんな作品の公開稽古が、11月都内稽古場で行われた。宝塚OGで全日程出演の湖月わたる、水夏希、蘭乃はな、舞羽美海、男性キャストの坂元健児、大貫勇輔、島地保武、岡幸二郎、ダンサーの千田真司、神谷直樹、田極翼、舞城のどか、鶴美舞夕、そして、日替わりで出演する宝塚OGのスペシャルキャスト姿月あさと、春野寿美礼、彩吹真央の、出演者全員が登場。本来は日替わりで出演する、姿月、春野、彩吹が、入れ替わって各場面に登場など、この公開稽古だけのスペシャルバージョンによる、作品のオープニング場面が披露された。 

【謝珠栄挨拶】
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今日はお忙しい中お集りくださいましてありがとうございました。『Pukul』とは何ですか?とよく訊かれるのですけれども、まずは人間の内なる秘めたものが、活力を得て動き出すことという意味の「鼓動」と、もう1つ時間が動き出すという意味の言葉をずっと探していました。その中でマレー語の「Pukul」という言葉の中に、鼓動と、時刻を表すのに太鼓を打って報せるもの、という両方の意味があることがわかって「あぁ、これはこのショーのテーマにピッタリだ!」ということで『Pukul』を選びました。1幕は地球の誕生から生命の誕生までを、アジアの民族音楽舞踊で。2幕は人間の一生についての時間の流れを現しています。今日は本当にさわりの部分なので、まだまだたくさん楽しいことがあるのですけれども、今日はお見せしませんので(笑)、劇場の方に是非いらして頂ければと思います。よろしくお願いします。

【公開稽古】

M2 宇宙の鼓動〜M3星たちの鼓動

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アジアのエキゾチックで神秘的な音楽が流れ、青い、人力で回転する象徴的なセットの前に、過去(岡幸二郎)、現在(スペシャルキャスト・姿月あさと)、未来(坂元健児)を司る三神が現われ、止まらずに流れる時の中で、宇宙に星々が誕生していくと歌う。時の矢である大貫勇輔が神々から託された矢を手に踊り、やがて次々に出演者が登場。星が生まれ、銀河となっていく様が踊られる。

M3a 星の一生

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星たちはぶつかりあいながら、ある者は消滅し、ある者は重なりあって、更に大きな星となっていく。現在の神がスペシャルキャストの春野寿美礼に交代。火星、木星、水星、更に多くの名もなき星たちの誕生と消滅、悠久の宇宙の神秘が歌われる。

M4 銀河の回転

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現代の神がスペシャルキャストの彩吹真央に交代。星々の中で最も偉大な力を持った太陽(湖月わたる)が、銀河の頂点に立つことになると語る。岡が歌い、地球の水夏希、月の蘭乃はな、舞羽美海ら、星々が太陽の周りを回りながら、自らを形成していく様が、美しい光と輝きで煌めく小道具も効果的に示されていく。

一気呵成に進んだ約15分に渡る公開稽古は終了。メインキャストの宝塚OGたちも、ダンサーたちと変わらなく踊るのが印象的で、謝珠栄ならではの、神秘的でエキゾチックなムードが広がり、作品の壮大な世界観を彷彿とさせた。

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続いて、全キャストによるフォトセッションが行われた後、謝珠栄、姿月あさと、湖月わたる、水夏希が、囲み取材に応えて公演への抱負を語った。

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【囲みインタビュー】

──まず一言ずつ意気込みをお願いします。
 このショー創るにあたって、色々な方たちにアジアの民族舞踊を知ってもらいたい、楽しんで欲しいという気持ちが最初にあったのですけれども、それを叶えてくれるのは、宝塚の後輩しかいないのではないかな?というところから、作品の企画がはじまりました。思い通りに色々な民族舞踊、とても難しいのですけれども、皆、果敢にトライしてくれていて、やはり私が信頼していたタカラジェンヌだけはあるなと思って喜んでいます。
姿月 私は今回歌の方の担当をさせて頂いて出演しているのですが、謝先生の本質というものは、人々が忘れてはいけない地球の根源を現しています。天変地異など色々なことがある中で、私たちなりに今伝えられる素晴らしいショーができていると思いますので、是非劇場の方に足を運んで頂いて、本番で何かを感じて頂きたいと切に願っています。

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湖月 謝先生とは宝塚時代からご一緒させて頂いていて、本当にエネルギッシュで心を打つ先生の作品や場面が大好きで、今回このショーに参加させて頂いて、とても光栄なんですけれども、まさしく先生の中からあふれ出るエネルギーを受け取って、今、色々な民族舞踊がある中で、私は韓国の「三面太鼓」に挑戦させて頂いています。
 すごいですよ!皆さん、韓国の先生も驚かれて「こんなに短時間でここまでできるとは」と言っていらっしゃいます。
湖月 心をこめてさせて頂きますし、本当に男性陣のエネルギッシュなダンスと、タカラジェンヌ、卒業生ならではの神秘的で優雅なダンスをお見せできるのではないかなと。そして昨日ちょっと映像の打ち合わせもされていたのですが、その映像があまりにも綺麗で、この映像の中に今私たちが創っている世界が入るのか!と思うと、今からワクワクしておりますので、1人でも多くのお客様にいらして頂いて、この『Pukul』を体感して頂きたいなと思います。

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 宝塚時代も先生の作品は自分との闘いだなと思ってはいましたが、退団しても尚かつ(笑)。謝先生の作品なのですごい闘いになるだろうなと想像はしておりましたが、想像を絶する闘いの日々で、まだまだ完成形に近づくにはほど遠いのですが、キャストの1人1人が自分と闘って、作品と向き合っていて、初日にはその1人1人の闘いが舞台で大きく花開くだろうと思っています。そのエネルギーが、生きているって素晴らしい!ということをお客様に伝えてくれるような作品になると思うので、一緒にこの生命賛歌を味わいにいらして頂きたいなと思います。
 宝塚OGに混じって、男性キャストも素晴らしいので。
 本当にすごいですよね。やっぱり女性ではできない、男役でもできないことをやってくれているので。
姿月 この人数でやっているとは思えないパワーですよね。
湖月 私たちもふんだんにリフトして頂いてね。この大きな私たちを…私か(笑)。そしてスペシャルキャストの皆様と、岡幸二郎さんと坂元健児さんの歌声が神々しくて、一気に『Pukul』の世界に連れていってくださるので、本当にありがたいです。
 皆、素晴らしいキャストです!

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──民族舞踊は具体的にどの国のものが使われるのですか?
 バリ、韓国、中国、インド、グルジア、ロシア、中近東もちょっと入って、6〜7でしょうか。それぞれの先生に来て頂いて、その部分だけをかっちりと作って頂いて、私はそのエッセンスを入れてという感じになっています。
 もう大変なんです、とっても大変!
湖月 うん、だからきっと外国の方が日本舞踊を踊るのが難しいのと一緒でね。
 あー、そうですよね!
湖月 身体の根本の使い方が違うからね。でも、色々なダンスを踊らせて頂く中での共通点もあって。ただ、手が難しいかな。
 本当に少しずつ違うんですよね。
 20数種類あるので、そこはもう先生たちに厳しく見て頂いてね。1幕の振付をやっている間は、皆、頭が固まってしまってね。
湖月 今までになかったところが筋肉痛になって。
 でもだんだん今、皆さん自分のものになっています。

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──謝先生が特にこだわられた部分は?
 こだわったのは、やはり民族舞踊を取り入れるからには、自分自身も民族舞踊を習得しないといけなかったので、その下ごしらえを作るのに時間がかかりました。またショーの台本を書くのは、歌詞も書かなければならないので、久々に大変でしたが、刺激的でした。今はもう稽古場に来たら皆と楽しくやりたいなと思ってやっています。
──日替わりのスペシャルキャストと伺っていたので、もう少しゲスト的な出演を想像していたのですが、公開稽古から、物語に深く組み込まれているんだと感じましたが。
姿月 まさしくその通りで、台詞と歌詞も多く、先生が書かれているメッセージ、歌詞の意味がちゃんとお客様に伝わらないと、皆さんがどんなに踊られても、その意味と融合した解釈がつながらないといけないなと。時の矢ということで大貫勇輔さんが存在していらっしゃるなど、1人1人が与えられた役名と意味を持って存在しないと、ただ歌って、ただ出ていくのではいけないので、語り部としての役割をちゃんとしたいと思います。先生の大きなメッセージ性がおありなので、そこをきちんとね。
 地球の誕生を知った時に、人間の一生と同じくらい地球も苦労していたんだなと、地球かすごく愛おしく思えてね。
姿月 2017年を締めくくるに相応しい『Pukul』です。

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──またスペシャルキャストの方たちが入れ替わることによって、雰囲気も変わるのでは?
湖月 本当に今までのスペシャルキャストの概念を覆す出演をされているので。
 皆、毎日稽古場に来てくれるから、もう「皆で出たら?」と言いたいくらい(笑)。
湖月 今日のように、ABCとバージョンを作って入れ替わって、毎日出て頂いたらと思うくらいなんですが。それくらい贅沢な出演をして頂いています。
 私はゲストのお三方それぞれとの、宝塚時代の思い出があるので、日替わりでその中に入れることが、すごくすごく楽しみです。
──名だたるダンサーさんが出演されていますが、振付にはダンサーさんからのアイディアなども?
 ここは自由に使っていいよ!と言ったところもあります。ここは自由に自分の見せ場にしてください、というお願いもしています。
湖月 「ポーンっと飛んで!」と言ったら本当にポーン!と飛んでくださいますものね。
 そうそう、そのポーンの意味がわかっていらして、ピョーンとポーンにも違いがあるので(笑)。
 その謝先生の表現の違い、今のでOKか否かというのが、すごくハッキリしていらっしゃるので、皆さん、「あ、これは違うんだな」って(笑)。
湖月 すぐ、別のをやってくださいますよね!すごく一緒に創りあげられている感じがします。

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──本当に迫力あるダンスでしたが。
 この後がもっとすごいんです!今お見せしたのは本当にさわり、オープニングですから(笑)。わたるの太鼓もすごいしね。
湖月 女の子たちもすごいいですよね!2部はまた雰囲気が変わりますし。
 そうそう、カッコよくね。
──過去、現在、未来の三人の神が登場しますが、託した思いは?
 時というのは、過去なのか、未来なのか。砂時計を裏返したら過去が未来になってしまう、という仕組みが、時の流れとはどういうものなんだろう?と私は感じるので、三人で1つの時を現しています。語り部として歌を歌って、表現して頂くという意味では、歌唱力のある三人の方たちにお願いして、皆にはそれを舞踊で表現してもらう、良い役割分担かなと思っています。でも、湖月さんにも、水さんにも歌もあります。
──これまでの宝塚OGショーとは一線を画した、オリジナルのショーですが、特にダンサーとして活躍している方たちと共に踊ることについては?
湖月 宝塚OG公演のショーは、それならではの華やかさがあったり、懐かしい音楽や顔ぶれでというものがありました。でも、退団してから私は水ちゃんと一緒に何作か、ダンス公演もご一緒させて頂いていて、宝塚時代からダンスが好きで、退団してからもダンスと向き合ってきた私たちにとって、こうしてオリジナルのショーに参加できることは本当に嬉しいです。また、女性陣が宝塚卒業生ということでね。
 心強いです。
湖月 そう、心強いし、一緒にいつでも助け合っていけるし、そこに男性ダンサーの方がいてくださることによって、本当に引っ張りあげてもらえるし、皆さんが先生クラスの方たちなので、色々な身体の使い方を教えてもらったり、助けてもらいながら、こんな貴重な経験はないなと、謝先生に感謝しています。

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 本当に退団してからも色々なダンスをやらせて頂いてきたのですが、まだやったことがないジャンルがあったんだなということを、すごく実感しますし、普段ダンサーとか、振付家として活動される方に混じって、私が「ダンサー」という看板を出していいんだろうかと。
湖月 そうそう、それは思う!
 ですから、本当に色々と教えてもらいながら、新しい筋肉の開発にいそしんでいます。
湖月 日々すごいんですよ!筋肉痛が重なって!
 本当にすごいですよね!
湖月 なんの筋肉痛なのかわからないんだけど。
 毎日筋肉痛なんです。
湖月 それが嬉しいの(笑)。
 生きる喜びでしょう?(笑)
湖月 そうなの!生きてる!って思う。こんなに体中が痛くなる公演って他ではなかなかないから。挑戦できている自分がすごく幸せです。

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──では最後に皆様へメッセージを。
 まさしく鼓動という、自分の内なる、秘めたるエネルギーが動き出す作品ですので、この皆の頑張りを楽しみに劇場に足をお運びくださればと思います。
姿月 先ほども申しましたけれども、2017年の締めくくりにお客様の普段動かない心のどこかが動き出す、私たちの心が動くことも伝わるような作品だと思いますので、心を動かしに是非劇場にいらしてください。
湖月 かつてない壮大でエネルギッシュなショーになると思いますので、是非劇場に足をお運びください。お待ちしております!
 年末に、パワーあふれる舞台で、1部と2部で全然違う世界でありつつ、1つのストーリーになっているので、それそれを感じて楽しんで頂けたらいいなと思っています。

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〈公演情報〉
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Cosmos Symphony『Pukul(プクル)』—時を刻む愛の鼓動—
構成・演出・振付◇謝珠栄
出演◇Regular Cast 湖月わたる、水 夏希、蘭乃はな、舞羽美海、坂元健児、大貫勇輔、島地保武/岡 幸二郎
千田真司、神谷直樹、田極翼、舞城のどか、鶴美舞夕
Special Cast  姿月あさと、春野寿美礼、彩吹真央(日程別出演)
●東京公演 12/9〜16◎日本青年館ホール
●大阪公演 12/21〜25日◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
〈料金〉東京公演/S席11,000円  A席7,000円
    大阪公演/11,000円
〈お問い合わせ〉
東京公演 0570-077−039(梅田芸術劇場) 
大阪公演 06-6377-3888(梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)
〈公式ホームページ〉http://www.umegei.com/schedule/654/



【取材・文・撮影/橘涼香】




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