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宝塚雪組のトップスターとして活躍し、7月23日惜しまれつつ退団した早霧せいなの、宝塚退団後の初ステージ、〜Super StarsによるSpecial な Showtime〜『SECRET SPLENDOUR』が、東京・赤坂のTBS赤坂ACTシアターで開幕した(14日まで。のち、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで17日〜19日まで上演)。

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『SECRET SPLENDOUR』は、その名の通り、絶大な人気を誇った男役早霧せいなが、宝塚卒業後、1人の表現者として見せる新たな顔、秘密の輝きをキーワードに繰り広げられるショーステージ。『SECRET SPLENDOUR』の頭文字「SS」と早霧せいなの頭文字「SS」とがかけられているタイトルでもあって、更に、早霧退団公演のショー『Dramatic“S”』で連呼された「SS」からもイメージが引き継がれた、退団から3ヶ月という今だからこその、粋なネーミングが心憎い。

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そのタイトルに込められたオシャレな感覚が、ステージにもそのまま表れている。こちらもやはり元宝塚の演出家であり、ミュージカルやストレートプレイだけでなく、こうしたショーの、特に様々な魅力をコラボレーションする力に、他の追随を許さないものがある作・演出の荻田浩一ならではの、ユニークな場面構成が際立つ。何よりも面白いのは、男役時代の早霧の代表作。ちょっとマニッシュな女性=「今」現在の早霧せいなの、等身大の魅力を表現したシーン。更にはゴージャスなドレス姿で、ミュージカルナンバーを歌い上げる早霧という、未来への期待が膨らむシーンが、くるくると回転しながら現れることだった。

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こうしたショー作品の場合、多くは回顧のコーナー、未来への夢のコーナーといった形で、それらは流れの中で固められて登場することが多いが、1つ1つがショー全体の中に散りばめられることによって、びっくり箱を開けていくような意外性が続く妙味がある。「あ、回顧にはこの有名シーンを使ったのか…」と、思う間もなく、艶やかな早霧が登場したかと思うと、また別の懐かしいシーンがはじまる、という形で、どこまでいっても驚きの連続なのが、客席にいてなんとも楽しい。

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中でも、同じ長崎県出身の、早霧にとって同郷の先輩トップスターである、安寿ミラが特別出演したことによって「今どう?どんな感じ?あぁ、そうね、わかるわ」と言った、シャンソンそのままのやりとりがあれば「そうか!二人共この作品で主演していた!」という共通点に改めて膝を打った、宝塚作品『哀しみのコルドバ』の闘牛士エリオ・サルバドールを、共に演じるというゴージャスなプレゼントもあって心躍る。安寿の自然体のしなやかな舞台姿は、早霧の今後にとっても何よりの指針ともなることだろう。

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また、早霧ならではの和物のシーンでは、寸劇的な要素もあり、鮮やかに殺陣を決めて魅せるのは現役時代そのままだ。一方、美しいドレス姿で、意外なミュージカルナンバーを歌い上げるシーンでは、むしろ現役時代よりも高めの音域の方が早霧の声質が活きることがわかり、来年主演することが発表されたミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』への期待も大いに高まった。

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だからと言って、決して早霧ワンマンショーではないのが、実力派が大挙して出演したこの作品の見どころの1つ。大野幸人、小野妃香里、海宝直人、JKim、丹澤誠二、原田薫等、ダンス界・ミュージカル界の代表的な顔が揃い、その豊かな実力を如何なく発揮してくれる。大野の舞台狭しと踊りまくるダンスの伸びやかさ、小野、JKimのオールマイティー何でもござれの振り幅の広さ、丹澤のサックス、原田の力強いダンスと歌などが随所で楽しめる。更に、ミュージカル界の若手筆頭として躍進している海宝が、端正な若き二枚目の現在では役柄として演じることはまだ先かも知れないが、楽曲として取り組むことで格段の新鮮味と魅力が迸ったミュージカルナンバーを披露。これは実に貴重な必聴ものとなっていて、早霧以外のメンバーを目当てに客席に座った観客も、等しく満足できるだろう構成が美しい。

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何より、宝塚の男役を卒業して3ヶ月余り、早霧せいなの「今」が詰まったショー作品となっているのが嬉しく、日替わりゲストの平澤智と桜木涼介と早霧の掛け合いシーンも含め、今この時にしか味わえないスペシャルなショーとなっている。

【囲みインタビュー】 

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初日を控えた11月4日、マスコミ向けの公開ゲネプロを前に、早霧せいなが囲み取材に応えて公演への抱負を語った。

──『SECRET SPLENDOUR』がどのような作品になっているのか教えてください。
宝塚歌劇団を退団しまして、初めてのショー、外の舞台に立つ作品ということで、内容としては男役的な部分もありながら、1人の女性として、表現者としての変換期と言いますか、ちょうど今を切り取ったショーになっているんじゃないかな?と思います。でも私だけが出てくると言うよりも、他の出演者の皆さんとのコラボレーションや、歌ありダンスあり寸劇あり、その中でも和物もあったり、ボリューミーで盛りだくさんなショーになっています。
──『SECRET SPLENDOUR』という公演名の意味は?
「SECRET」は「秘密」で「SPLENDOUR」は「輝き」ということで、その名の通りです(笑)。特にそこまで深い意味はないんですけれども、自分の名前もSAGIRI SEINA でSSが入っていますし、『SECRET SPLENDOUR』もSSですので、そこにかけたというこもあり、観に来てくださる皆様に、観てのお楽しみ、観て頂ければその秘密がわかるよ!というような内容になっていると思います。
──宝塚歌劇団の公演と大きく違うところはどこでしょうか?
やはり宝塚の場合は「組」の中に存在していますので、組子の仲間たちとその作品が終わっても、また次の作品も共にあるという形なのですが、卒業しまして、今回は『SECRET SPLENDOUR』の為に集まった出演者、スタッフの方々と共に創り上げるということで、そこは大きな違いなのではないかと思います。一期一会ではないですが。
──男性が一緒の現場という点ではいかがてすか?
稽古当初は男性がいるということも含めて、知らない皆さんと振付を受けたり、お稽古をするということが、どの瞬間もそうですが、とても新鮮でした。
──苦戦したことなどは?
苦戦ですか?そうですね、リフトをする側からされる側になって、どうしていいか戸惑いました(笑)。今でも戸惑っております(笑)。

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──衣装も新しい挑戦が?
宝塚の時も女役をやったことがあったので、ドレスも着たことがあったのですが、その時は「男役だもん!」という気持ちが入っていて(笑)、ちょっと強すぎたり、違和感があったりしても「男役だから仕方がないよね」というところで許してもらっていたのですが、今はそういう訳にもいかないんじゃないかな…と、思っていたりもしているのですが、やっぱり「元男役だもん!」というのを(笑)、自分の中での言い訳にしながら、慣れないヒールと慣れないドレスシーンもやっています。でもそこで早霧せいなとしては、新しい挑戦をするんだという心意気でやっています。
──ドレスアップした衣装に抵抗があったりもしましたか?
抵抗と言うよりも、恥ずかしさの方がありました、慣れなくて。当初よりはだいぶ慣れましたが、やはり仕草ですとかドレスの裾裁きなどは、まだまだ自然には身についていなくて、1回1回考えながらやっているという感じです。
──楽曲にも早霧さんの代表曲と言うべきものが多く入っていますね。
やはり、今早霧せいなのショーを観に来てくださるお客様というのは、私の宝塚現役時代をたくさんご覧になった方々が多いのではないかなと思いましたので、その方々が入って来やすいように、(宝塚時代を)思い出して頂きながら、でも新しい部分も見せながら、というバランスを取りながらですね。でも、曲ってとても大切で、知っている曲が流れてくると人ってテンションが上がったり、聞きたくなったりするので、その辺の意味もあると思っています。
──公演以外のお話になりますが、退団されて3ヶ月、新しい生活で変わったことはありますか?
以前は本当に稽古場か劇場かと、自宅との往復だけで、どうしてもそこに集中するしかなかったのですが、退団して(この公演の稽古に入るまでの)2ヶ月間自由な時間が与えられて、視野が広がった気がしています。
──何か新たに始めたことなどは?
臆病者なので(笑)。特に何かを始めたということはありませんでした(笑)。その自由な時間そのものを楽しむと言いますか、味わう感じでしたね。まだまだ2ヶ月なので、何を始めるというところまでは行かず、この公演に臨むまでの覚悟の2ヶ月だったような気もします。
──来年、初ミュージカル『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』で主演されることも発表されましたが、そちらへの抱負なども。
まだこのショーが始まっていないので、宝塚を卒業しての外の舞台というものをこれから感じていくと思うのですが、このショーとは別で、やっぱりお芝居、ミュージカルとなりますと、今までやってきたことプラス違うものが要求されるのではないかな?と思いますので、ますます早霧せいなという自分自身を磨いていかなければと思います。でもちょっと違和感が残るくらいが、男役から女役への変換期にはちょうど良いんじゃないかな?と思いますし、そこを作品に取り込んでお客様に楽しんで頂くのが1番ではないかと思っているので、ちょっと無理をしつつ、でも無理をし過ぎずに、自分らしさをちゃんと残しつつ作品の中で生きられたらと思っています。

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──今回のショーは元宝塚の荻田浩一先生の作品ですが、ご一緒されていかがでしたか?
宝塚のことはもちろん、宝塚以外の舞台のこともよくご存じですし、男役さんから1人の女性として演技者になられた方とお仕事をなさった経験もすごく豊富でいらしたので、私よりも先に今の私の気持ちをわかってくださって。相談してもすぐ答えが返って来ますし、この時期をすごく大切にしてくださっているので、決して押し付けではなく、基本的には1番私の気持ちを優先してくださるのが、とてもありがたかったです。
──ショーの中で早霧さんが発信されたアイディアや要望はあったのでしょうか?
特にはないですが、早霧せいなのショーとはなっていますが、決して私だけのものではなくて、お客様に楽しんで頂ける作品にすることが1番大切だと常に思っているので、その辺りはお願いしました。だからと言って具体的にこれがやりたい、というものは特になく、演出の荻田先生や制作の皆さんにお任せしました。
──では、改めて『SECRET SPLENDOUR』に向かう意気込みと、ファンの皆様にメッセージを。
自分でも初日が開けてお客様がどう楽しんでくださり、どう反応してくださるのかがとても楽しみになっております。宝塚の公演ももちろん緊張したり、ワクワクしたり、また不安だったりと色々な思いの中で歩んできたのですが、今回はそれとはまた違う、言葉にできない不思議な気持ち、未知の世界が待っているという感覚が大きくあるので、1回1回の公演を大切にしながら、出演者の皆さんとお客様とその瞬間を感じとって、自分の中でも吸収して楽しんでいきたいと思いますので、千秋楽までどうぞ応援よろしくお願い致します。

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〈公演情報〉
『SECRET SPLENDOUR(シークレット スプレンダー)』
〜Super StarsによるSpecial な Showtime〜
構成・演出◇荻田浩一
CAST◇早霧せいな
大野幸人 小野妃香里 海宝直人 JKim 丹澤誠二 原田薫/安寿ミラ(特別出演)
Dancer◇笹岡征矢 鮫島拓馬 花岡麻里名 吉田繭
Guest◇平澤智 桜木涼介(日替わり)
●11/5〜14◎東京・TBS赤坂ACTシアター
●11/17〜19◎大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
〈料金〉東京・S席10,800円/A席8,800円
    大阪・10,800円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 (10:00-18:00) 東京・0570-077-039/大阪・06-6377-3888?



【取材・文・撮影/橘涼香】



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