s_IMGL3903

幕末の動乱に揺れる京都・伏見を舞台に、維新の嵐が吹き荒れる激動の時代を生き抜いた寺田屋お登勢とその夫伊助を描いた物語、『京の螢火』が11月明治座で上演される。
1971年に初演されたときの舞台の良さは残しつつ、脚本・演出のわかぎゑふが、2017年に相応しい幕末ものとして新たに書き下ろし、スピード感と華やかさを備えた、人間味あふれるドラマが生まれ出る。
その作品で、坂本龍馬ののちの妻であり、黒木瞳が演じるお登勢のもとへ養女として預けられるおりょう役を演じるのが田村芽実。元アンジュルムの中心メンバーであり、グループ卒業後、女優として着実な歩みを続けている期待の若手で、これが明治座初出演となる。
そんな彼女に、作品のこと、役柄のこと、更に初めての和物舞台への挑戦と、明治座初舞台に賭ける意気込みを聞いた「えんぶ12月号」のインタビューを、11月9日の本誌発売に先がけて公開!(本誌には別バージョンの写真が掲載されています)
 
自分がやりたいことに真っ直ぐなおりょうの役割を大切に

──まず作品について、どう感じていらっしゃいますか? 
背景になっている時代が幕末なので、坂本龍馬や新選組など皆さんがとてもよくご存じの実在の人物も多く登場するのですが、今回の物語でスポットが当たっているのが、黒木瞳さん演じる「寺田屋」の女将のお登勢で、女性が生きていく上で何かと窮屈だった時代に、強く生きていく姿が描かれている。人間の物語になっているところが、とても素敵だなと思いました。
──その中で田村さんが演じるおりょうは、坂本龍馬の妻として後の世にもよく知られている女性ですが、取り組んでいていかがですか?
たくさんの女優さんが演じてこられている実在の女性で、映画やドラマなどで様々に描かれてきた人物なので正直プレッシャーもあります。おりょうのことが書かれている本なども買い集めて読んだりもしました。台本の中で起きる出来事の1つ1つに対して、彼女がどう感じて行動したのかを大事にしたいと思っています。お登勢が周りの人間のことを第一に考えて、常に気配りを欠かさずに生きている女性なので、そんな姿をよりお客様に伝えるためにも、自分がやりたいことに真っ直ぐに飛び込んでいくおりょうを、私がきちんと演じることが必要だと思いました。そんなおりょうの役割を大切に演じたいです。

初めての和物の芝居でたくさんのことを学ぶ日々

──稽古の中で、楽しいと思うこと、また大変だなと思うことなどはどうですか?
私は和物のお芝居に出させて頂くのが初めてなので、毎日浴衣を着ること自体が初体験でした。帯があるので、椅子の背もたれに寄りかかれないですし、常に姿勢をピシっとしていないといけない。着物も浴衣も大好きですが、日常的に着てはいなかったので、所作や歩くことから大変です。歩くという事も、現代劇ではただ普通に歩けたものが、着物では裾を綺麗に歩かないといけない。ついそこに神経がいってしまって、役として表現することが後回しになってしまい。今は色々なところに神経を集中させ、張り巡らさなければいけなくて大変です。
──着物と洋服とでは歩幅も全く違いますし、特に田村さんはダンスをずっとやっていて、足も常に外向きだったところから、和物では内向きにするわけですものね。
そうなんです。元々はすごく内股で、小学校3年生くらいの時にダンスの先生に外股にしなさい、と指導されて一生懸命意識して外股にしていました。その分、今、内股に戻すのが難しいです。
──長年意識して矯正したものを、また意識して、しかも短期間で戻すというのは苦労も大きいと思いますが、だからこそ様々な意味で、吸収することの多い現場なのでは?
本当にそうです。大先輩のお芝居を毎日身近で拝見させて頂けるので、もう瞬きするのも惜しいくらい、日々前のめりで学ばせて頂いています。台本を読んでいた時には私が想像もしていなかった深い表現を皆さんがなさいますし、面白いポイントや、感動するポイントをどんどん提示してくださるので、毎日がとても刺激的です。

明治座の舞台に立てる奇跡に恥じない舞台を務めたい

──身近で演じる黒木瞳さんからはアドヴァイスなども?
たくさん頂いています。初めは、おりょうをもう少し大人っぽいイメージで捉えていたのですが、「もっと大胆にぶつかってきてくれて良いのよ、おりょうはこの時代のギャルだから」と、すごくわかりやすいように表現してくださって、自分の中でも方向性が固まりました。他にも様々なアドヴァイスをくださるので、とても感謝しています。
──坂本龍馬役の藤本隆宏さんとのお芝居はいかがですか?
藤本さんは本当に優しくて、紳士的な方です。ご一緒のシーンだけでなく、他の私が出ているシーンも見ていてくださって「ここがとても良かったですね」と言葉をかけてくださいます。水泳をやっていらして逞しいので、初めてお会いした時から、もう坂本龍馬そのままの方だと思いました。
──わかぎゑふさんの演出についてはどうですか?
実際にゑふさんご自身が動いて演出をつけてくださり、的確な指示をくださるので、とてもわかりやすいです。休憩時間には気さくに声をかけてくださいます。ゑふさん、黒木さん、筧利夫さんが中心になって、場を和ませてくださるので、本当に良い雰囲気の中お稽古させて頂けるのが幸せです。
──明治座という老舗の大劇場に出演される今の気持ちは?
私はこの舞台の幕が開く時には19歳になっています。この年齢で歴史ある明治座の舞台に立たせて頂き、そしてこんな大役を頂けたという事は奇跡だなと感じています。だからこそ、それに恥じないように演じたいですし、またいつの日か「また明治座に戻ってこられて嬉しいです」と言えるように頑張らなくてはと思いました。そして、個人的にもずっと忘れられない作品になるのではないかと思っています。どの役柄も魅力的で、どのシーンも素晴らしい作品なので、あちらこちらに込められた「螢火」を探しに、是非明治座にいらしてください!

s_IMGL3950

たむらめいみ○1998年10月30日生まれ、群馬県出身。11年にハロー!プロジェクト!スマイレージ(14年にアンジュルムに改名)としてデビュー。高い歌唱力と表現力で中心メンバーとして活躍。16年5月、かねてからの夢であった女優を志し、武道館公演をもってグループを卒業。17年、舞台『minako─太陽になった歌姫─』で主演の本田美奈子役に抜擢。続いて『TRUMPシリーズ グランギニョル』に出演するなど、着実な歩みを進めており、今後の更なる活躍が期待されている。


 
〈公演情報〉
0000000079362

明治座11月公演『京の螢火』
原作◇織田作之助「螢」司馬遼太郎「竜馬がゆく」脚本 北條誠より
脚本・演出◇わかぎゑふ
出演◇黒木 瞳、筧 利夫藤木隆宏渡辺大輔桜乃彩音田村芽実/深沢 敦伊藤正之河相我聞沢田亜矢子   ほか
●11/3〜26◎明治座
〈料金〉 S席(1階席・2階前方席)12,000円 A席(2階後方席・車椅子スペース)8,500円  B席(3階席)6,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉明治座チケットセンター 03-3666-6666(10時〜17時)




【取材・文/橘涼香 撮影/友澤綾乃】




誰か席に着いて
kick shop nikkan engeki