s_『円生と志ん生』舞台写真㈰
大森博史 ラサール石井

こまつ座公演『円生と志ん生』が、9月8日、紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて開幕した。
昭和の大名人噺家と呼ばれた六代目三遊亭円生と五代目古今亭志ん生が、満州に渡った後に敗戦を迎え日本へ戻ることができなくなった史実をもとに、井上ひさしらしい大胆な発想と趣向を駆使した作品だ。

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池谷のぶえ 太田緑ロランス ラサール石井 大森博史 大空ゆうひ 前田亜季
 
10年ぶりの上演となる今回の出演者は、自ら寄席にも出演するほどの落語好きで、顔も声も志ん生にそっくりのラサール石井、初日の井上戯曲で円生という大役に挑む大森博史、舞台となる大連の花々のような豪華女優陣、大空ゆうひ、 前田亜季、太田緑ロランス、池谷のぶえ。
初日前日に、このキャストたちと演出の鵜山仁が顔を揃え、舞台への意気込みを語った。

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太田緑ロランス・池谷のぶえ・大空ゆうひ・前田亜季
鵜山仁・ラサール石井・大森博史


【挨拶と質疑応答】

井上麻矢(こまつ座代表)
『円生と志ん生』は今から12年前に初演、10年前に再演しました。満州に取り残された日本人、引き揚げの時に苦労して途中で命が途切れて戻れない人もいて、その取り残された中にこの噺家2人がいました。言葉に渇望し、言葉がわかる人の前で落語をやりたいと思っていた2人の命がけの珍道中です。
ラサール石井さん、大森博史さんはじめ皆さんやっと念願かなって出演となりました。今日はラサールさんが鎌倉の井上ひさしのお墓参りに行ってくださいました。
女性達4人は当時の大連そのものを表しています。こういう歴史が過去あって、それでもめげずに名人になった2人。この2人を通して、きちんと歴史を再現することが大事だと、生前井上ひさしも話していました。鵜山さんの力を借りて形になってお届けできることを嬉しく思っています。

鵜山仁(演出)
敗戦体験、終戦体験をしたおかげで2人は落語がうまくなったと言われている。だからこの芝居をやると芝居がうまくなるはず(笑)。そして生きることが上手になります(笑)。乞うご期待!

大森博史
円生の魅力に引き込まれています。人間が好きだったんだな、というのをとても感じます。それがこの本の中にも書き込まれていると思います。紆余曲折があって現地で所帯を持ってしまったり、志ん生とぶつかったりしながら、そういうところに人間性がある。この役は役者冥利に尽きると思っています。史実に基づいて作られている作品で、鵜山さんによっていい感じに仕上がっています。

ラサール石井
志ん生を演じるのは芸人のはしくれとして畏れ多いですね。頭を剃ってみたけど、頭の形が違うので百田尚樹さんに近くなってしまった(笑)。学生時代から井上作品には憧れていた。これほど初日がこわいのは初めてです。ちょっとでも見守ってほしいと思って、今日、鎌倉の井上先生のお墓にお墓参りに行きました。明日は志ん生師匠のお墓参りに行こうかな(笑)。

大空ゆうひ
こまつ座作品には初めての参加です。ずっと憧れていて、稽古場から幸せをかみしめていました。素敵な言葉がたくさんなので、心と言葉を大切にして、毎日を愛おしみながらがんばります。

池谷のぶえ
女性4人で20人分を演じる、その重みを感じています。その時代の女性たちをリスペクトして演じたいと思います。こまつ座は初めてなので、どんなお客様なのか楽しみです。早く観ていただきたいです。

前田亜季
大変な時代、大変な生活だったと思います。でも師匠たちのまわりにはいつも笑いがあった。女性達はその笑いに助けてもらい、元気づけてもらっていた。笑いの力を信じて精いっぱいつとめたいと思います。
 
太田緑ロランス
本当に大変な時代を、笑いの力を借りて生き延びたのだなと思います。その女性達に0.1ミリくらいは近づけたらいいなと。稽古場では力いっぱい1ヶ月作ってきたので、これから本番は力みすぎずに演じられたらと思います。
 
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ラサール石井 池谷のぶえ 大森博史

──志ん生師匠の魅力とは?
ラサール 破天荒さ、あまり構築されていない”その場”感。でも稽古が大好きだったそうです。人間として大きい方ですね。ふっと、ビートたけしさん、師匠の杉兵助、勘三郎さんにも似ていると感じます。そういうエッセンスが出せたら。
──円生師匠の魅力とは?
大森 なめくじ長屋に住んでいても、貧乏を笑い飛ばすという感覚。笑いの力はすごいですよね。
──鵜山さん、新生『円生と志ん生』、稽古場での発見は?
鵜山 井上さんとは30年以上一緒にやっていて、当時は親父に聞かされる戦争の話という感覚だったのが、その世代が、井上さん以外にもどんどんいなくなってきて、今回の座組では最年長。当事者にならざるを得ない。これまでは弟気分だったけれど、これから、それを僕らはどう体現していくのだろうという意味で、いい経験をさせてもらいました。
 
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大森博史 大空ゆうひ 
 
──皆さん、井上ひさし作品の印象は?
太田 井上先生は素敵な先生という印象。憲法に関する本を読んで感銘を受けました。憲法は助けてくれる仕組みなんだとわかりました。まさか自分が先生の作品に出演できると思っていなかったです。この作品は演劇リレーのようで、演劇の仕組みが好きだったんだな、と思いました。
池谷 私は『道元の冒険』が初めての出演作でした。出身劇団がナンセンスコメディなので、どう読んだらいいのかと構えましたが、読み進めていくうちに「これは壮大なナンセンスコメディ」だと気づきました。良い意味でぶっとんでいるなと。言葉のたたずまいがとても刺激的ですし、言葉の丸みがすばらしいですね。
大空 言葉になにか魔法があるのではないかとずっと感じていました。役者がそれを言葉にするとどこかに連れて行ってくれるような飛躍感、不思議な力を持っています。そして本の中で知らないうちに鍛えられているなと。この作品を通して感じているのは、タイムスリップさせられるような感覚。リアルにその当時の空気を感じるんです。時がそのまま残されているような不思議な感覚になります。
前田 私は、10年前の『私はだれでしょう』が、井上先生の作品は最初で、初日が延びたこともあり余裕もなく始まってしまったのですが、今回はゆっくり台本を読む時間もあったので、リズムが心地よくて、こんなに素敵な日本語だったんだなと、改めて思うことができました。普段自分が話している言葉を少し反省しました(笑)。

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大森博史 ラサール石井 
 
大森 僕は自由劇場出身で翻訳ものが多かった。それで動きを重視することが多かったんだなと思いました。今回、言葉には大きなウェイトがあると実感しました。劇中の「言葉がまっすぐそのまま届いてほしい」という歌詞に、これはとても大切だぞと思いました。言葉をきちんと伝えていくことはとても大事だと再確認しながら、今回進めています。
ラサール 井上作品は学生時代から憧れていました。鹿児島から上京して、テアトルエコー養成所の「講師井上ひさし」に飛びついて、1期生に応募して、受かって入ってみたら、その時にはもういらっしゃらなくて(笑)、すれ違いでした。先生が作品を命を削って書いているのは知っていますので、一字一句間違えずに話さねばと、毎日試行錯誤しています。コント赤信号でストリップ劇場に出演したときも、何の抵抗もなく「井上ひさしや渥美清になれるんだ」と思いました(笑)。この作品の洗濯物のシーンもストリップシーンみたいですよね(笑)。井上先生がいた孤児院も「ラサール」で、僕の出身校と同じ系列なんです。モッキンポッド師のモデルになった人が、僕の寮の先生だったというつながりもあるんです。井上先生の「芝居は趣向だ。趣向があれば拠り所にやっていける」という言葉をずっと励みにしています。
──その熱い思いをご本人に伝えたことは?
ラサール KERA(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)さんと3人で鼎談をしたはずなんです。写真が残っているので、でも記憶がまったくなくて(笑)、よほど緊張していたのかなと。ラサールの同窓の集いに講演に来ていただいたときに、僕が司会をしていたのでご挨拶してお話もしたのですが、先生にはあまり響いていなかったようでした(笑)。
鵜山 僕がご一緒するようになってからは、善い人ばっかり劇に出てくるようになって、なんで善い人ばっかり出てくるんだ?と斜に見ていました。でもそれは、「周りの状況が厳しいから、逆に明るさ、良さに憧れて書くようになった」と聞きました。今の世の中も、明るい方に向かって、すがらないとやっていられない、正気を保っていられないかもしれない、というリアリティを感じているので、明るい方を向くエネルギーを大事にしていこうと思っています。

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太田緑ロランス 前田亜季 ラサール石井 池谷のぶえ 大森博史 大空ゆうひ

この公演の大空ゆうひインタビューはこちら
http://takarazuka-j.blog.jp/archives/1885104.html 


〈公演情報〉
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こまつ座『円生と志ん生』
作◇井上ひさし
演出◇鵜山仁
出演◇大森博史、大空ゆうひ、前田亜季、太田緑ロランス、 池谷のぶえ、ラサール石井
ピアノ演奏◇朴勝哲  
●9/8〜24◎紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA (東京都)
〈料金〉9,000円 学生割引 5,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉こまつ座 03-3862-5941 
●9/30〜10/1◎兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール (兵庫県) 
●10/8◎ 日立システムズホール仙台 シアターホール (宮城県) 
●10/14◎ 川西町フレンドリープラザ(山形県)
〈公演HP〉
 http://www.komatsuza.co.jp/program/

【スペシャルトークショー】
★9月11日(月)1:30公演後 樋口陽一(比較憲法学者)― 井上ひさしにとっての笑い ―
★9月14日(木)1:30公演後 大空ゆうひ・前田亜季・太田緑ロランス・池谷のぶえ
★9月17日(日)1:30公演後 大森博史・ラサール石井
★9月21日(木)1:30公演後 雲田はるこ(漫画家)―『昭和元禄落語心中』ができるまで ―
※アフタートークショーは、開催日以外の『円生と志ん生』のチケットをお持ちの方でもご入場いただけます。ただし、満席になり次第、ご入場を締め切らせていただくことがございます。
(出演者は都合により変更の可能性がございます。)



【舞台写真撮影:谷古宇正彦】




『SWAN 2017』


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