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宝塚星組のトップ娘役として活躍した妃海風の、退団後初となる単独コンサートが、10月に大阪と東京で開催される(10月8日〜9日@大阪・松下IMP HALL、10月21日〜22日@東京・竹芝ニューピアホール)。
 
宝塚時代も、歌唱力抜群の北翔海莉の相手役として、ブロードウェイミュージカル『ガイズ&ドールズ』や、ディズニーミュージカルと宝塚メロディーで構成された『LOVE&DREAM』、オペレッタ『こうもり』など、多彩な歌の数々で魅了してきた妃海が、退団後に新たに取り組むコンサートとあって、その内容に大きな注目が集まっている。
そんな妃海に、『Magic!』と名付けたコンサートへの意気込み、退団後の日々、新たに取り組むクリエプレミアム音楽朗読劇『VOICARION GHOST CLUB』への出演や、今も続く北翔海莉との交流、また宝塚への想いなどを語ってもらった。

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入場から退場までがテーマパークにいるようなコンサート

──退団後初の単独コンサートが開催されることが決まりましたが、まずコンサートに取り組もうと思われた経緯から教えてください。
宝塚在団中には、「お茶会」と呼ばれているファンの方たちとの交流イベントがあるんです。ホテルなどの一室を使うことが多く、別にライブ会場ではないのですが、その「お茶会」の入場から最後までの演出を考えるのが私はすごく好きだったんです。演出と言っても本当に手作りで、音響と照明と伴奏もカラオケで、という手作り感あふれるものだったのですが、ファンの方たちはショーを観に来るような感覚だったと言って、とても楽しんでくださっていて。
──では、歌ったりもされていたんですか?
大好きで、歌っていました。宝塚の舞台をやっているのとは、また違う独特の興奮があったので、退団後コンサートができたら良いなと思っていましたから、今回実現することになって本当に嬉しいです。
──そうすると、演出などもご自分で?
こういうことをやりたいです!というものは、私から発信していきますが、今までは、例えばここでこの音楽で、じゃあこんな衣装がいいなと考えて調達するとか、ここの照明の色味はこんな感じで、と照明さんに伝えるとかを、全て自分でやってきたので、そこはプロの方たちの手に委ねて、自分のイマジネーションがどう化学反応を起こしていくかを私自身も楽しみにしつつ、本格的なものになっていくと思います。
──そうしますと、まだ内容は確定していないかと思いますが、今お話し頂ける範囲でこれだけはやりたい!と思っていることなどは?
どういう風に形になっていくかはまだわからないのですが、私、ディズニーランドが大好きなんです!
──在団中にディズニーの素敵なショーにも出演されましたね。
そうなんです!ディズニーのキャラクターが好きということもありますし、ディズニーランドのエントランスに入ってから、最後に外に出るまでの、非日常を味わえる空間がすごく好きで、園内にいる人たちも皆とても幸せそうな表情をしているんですよね。普通に街中を歩いているだけでは決して見られない表情に出会える、あの徹底した非日常性が素晴らしいと思っているので、私のコンサートもチケットをもぎる入口から、すべてが終わって外に出るまでを、テーマパークに来たような感じにできたらと思っています。それプラス、生きている人間のエネルギー的な血を感じるパワーも上手く融合していきたいと考えています。

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──歌いたい曲目なども絞り込んでいるのですか?
色々あって、まだ具体的に選曲を詰めるところまではいっていないのですが、全体の構成をブロックごとに分かれたものにしたくて、コンサート全体のテーマはありつつ、各ブロックごとにもまたテーマがある、というものになるように考えているので、今はそのテーマごとにどんな曲が合うのかな?と色々と聞きこんでいます。
──ではショーの要素も強いものに?
そうです。ショーをイメージして頂ければ。今までずっと手作りでやってきたものが、プロの手のMagicにかかって、どんな風にお見せできるか、色々な意味を含めて『Magic!』というタイトルにしているので、素敵なひと時をお楽しみ頂けるものにしたいです。
──出身地でもあり、宝塚とも至近の大阪と、東京と、二都市でのコンサートですから、ファンの方たちも心待ちにしていらっしゃることでしょうね。
東西でやってくれるのは嬉しいという声もたくさん頂いているので、せっかく東西で各2回ずつ、4回公演をするので、全部観て頂いても、どこかしらは違うものがあるステージにできたらとも思っています。
──では、日替わりコーナーも?
はい、何かしらそういう要素も入れたいと思っているので、楽しみにしていてください!

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表現する仕事の素晴らしさを改めて感じて取り組む朗読劇

──宝塚を退団されてから今日までの日々で、時間の過ごし方などにも変化はありましたか?
私は宝塚にいる間は、本当にただ宝塚のことだけしか考えていなったので、退団後もまさかまたこうして表現をさせて頂く道に入れるとは思ってもいませんでした。ですから、まずは宝塚を卒業した自分が、何が一番好きなのかを、見つめ直す時間を持ったんです。その中で、単純に現役中よりはきちんと睡眠時間が取れるとか、人と会う機会も増えて、より自分自身のことをじっくり考えられたように思います。
──そういう時間の中で、芸能活動をしようと思われたきっかけは?
現役中の原動力が、自分が宝塚を大好きだという気持ちだったんです。とにかく私は宝塚が大好きで、その大好きな世界に自分が存在できているという興奮がずっとありました。ですから退団してから「自分がときめくものは何なのか?」をしっかりと見つめてから次の道を決めようと考えていました。その中で、私はファンの方たちに対して「ずっと応援してくれてありがとう!」という気持ち以上の、もっと深いお知り合い、仲間意識を持っていましたから「退団しましたからさようなら!」にはとてもできなくて、ファンの集いのような会を1度開いたんです。その時には「まだ何をするかわかりませんが、私は生きてますよ!元気です!」という形だったのですが、ファンの方たちが「もう会えないんですか?」と泣いてくださったり、「また会いたいです」とたくさんお手紙をくださったりして、「宝塚」という場所から卒業しても、こんなにも私のことを想ってくださる方たちがいて、そういう方たちと巡り合えた表現するお仕事というのが、如何に素晴らしいものだったかをまた改めて感じたんです。このお仕事は人間が生きていく上では、必ずしも絶対に必要というものではないかも知れないけれども、でも人の感情に深く訴えかけたり、元気の源になったりするし、もちろん私自身も元気をもらえる。それは本当に素敵なことなんだ!と思って、宝塚のOGの方たちのディナーショーなども観に行かせて頂いたら、退団されても皆さんが輝いていらっしゃる姿にもまた感動して。そうした中で人とのご縁があり、今に至るので、本当に心が良い流れで動いていきました。でも出会いから決断まではあっという間だったので(笑)両親もずいぶん驚いたと思います。
──決断は早かったんですね!
早かったです。そういう出会いには本当に感謝していますし、これから一からのスタートだと思っているので、皆さんに喜んで頂けるように頑張っていきたいです。

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──その中で、近いお仕事というのがクリエプレミア音楽朗読劇『VOICARION GHOST CLUB』ですが、こちらはまた豪華なメンバーですね!
まず私がご一緒させて頂く方々、紫吹淳さん、春野寿美礼さんは、私が宝塚ファン時代に客席から憧れて観ていた方たちで、現役中楽屋を訪ねてきてくださっても、畏れ多すぎてお話しすることもでないような方たちなので。
──妃海さんのトップ娘役のお披露目作品『大海賊』『ガイズ&ドールズ』は、紫吹さんが取り組まれた作品ですから、ご縁がありますね。
そうなんです!もう『ガイズ&ドールズ』などは、ファン時代に熱心に観ていた作品なので、自分が演じる側に回れたことも本当に嬉しかったのですが、また退団後にもこうしてご縁ができたことが嬉しいですし、自分でもびっくりしているくらいです。
──『VOICARION』で妃海さんが演じるのはデズモンド・クロフト卿、15歳の少年でありながら、クロフト家の爵位と財産を引き継いだという役柄ですね。
少年役ということもありますし、それぞれ同じ役を日替わりで演じる方々がプロの声優さんなので、朗読劇自体が初めてという私にとっては、何もかもが新しい挑戦です。特に私自身アニメもすごく好きで、アニメ雑誌などでも表紙になるような有名な方たちですから、すごいメンバーの中に入れて頂くので、精一杯私のできる表現をしながら貪欲に吸収していきたいです。

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北翔海莉との出会いは宝物、これからも宝塚に刺激をもらって

──そうした新たな挑戦の日々の中で、今、改めて宝塚時代を振り返るとすると?
常に仲間がいる温かい場所だったなと。同期がいて、また私は星組の中で、日々私のほんの少しの変化にも皆が気づいてくれて、共に喜んだり、共に悩んだりできた、星組だけでなく「宝塚」という1つのカンパニーが皆で同じ方向を向いていたんだということを感じます。ですから逆に今、宝塚というカンパニーから離れた時に、1つ1つの出会いが新しいもので、私をご存知ない方が私を見て感じてくださることを通じて、私自身が知らなかった自分に気づかされることが多いように思います。宝塚では皆が私を知っていてくれましたが、やはり今は自分から「私はこういう人間です」と発信していかないといけないので、そこから自分の色も強くなっていくのかな?と思っています。まだどうなるのかな?と思ってるというざっくりした気持ちなのですが(笑)、でも、楽しみも大きいです。
──相手役だった北翔海莉さんとも退団後も様々な交流が続いているそうですが。
何か不思議な感じがします。宝塚在団中はある意味で夫婦のような関係でしたし、もう私自身本当に北翔さんが大好き!という強い気持ちを経験してきたので、退団した後にはどうなるのかな?と思ったりしていたんです。でも同じ作品を創っていく中で、本当に密に過ごしてきた時間を経たからこそ、分かり合えるところがあって、今は日常に起きる細かい出来事なども、まさかこんなにご相談できるとは!と、想像もしていなかったような形で交流を続けさせて頂けているのが嬉しいです。
──そうすると、宝塚時代はプリンスとプリンセスの関係でいらして、今は親友のような?
そうですね、そう言葉にするとおこがましいような気持ちもありますが、でも退団後も本当に近い存在でいてくださる方ができたというのも、宝だなと思います。
──ご一緒に宝塚もご覧になったとか?
星組の紅ゆずるさんと綺咲愛里ちゃんのお披露目公演を拝見して、もう私は号泣でした。紅さんは現役時代に本当にお世話になった方ですし、綺咲愛里ちゃんとも1学年しか離れていないので、役作りも一緒にしてプライベートもよく遊びにいってる仲でした。そんな二人が星組新トップコンビとなった姿には、本当に感動しました。あぁこうやって宝塚は続いていくんだなと感じましたし、北翔さんもすごく感動されていて、それをまた二人で観に行けたことで、感動が倍になった気がします。宝塚からたくさん刺激をもらいました。

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──北翔さんとは今後、女優さん同士として共演する機会もあるかも知れませんね。
それが、確かにあるかも知れないのですが、その時自分の気持ちがどうなるのか?と(笑)。やはり宝塚時代の男役の北翔さんに対して持っていたときめきは残っているので、女優さんとしてドレッシーな北翔さんが私の目の前に現れた時、私のこの心がどうなるか?(笑)は、まだ未知の世界です!
──それも含めて、今後も色々なサプライズがありそうですね。
もう毎日がサプライズです!本当に!
──では、そんなサプライズに満ちた新しい妃海さんを拝見できるコンサート『Magic!』への意気込みをお願いします。
私が宝塚やディズニーから日々感じていた、忘れていはいけない「夢」と、現実に新しい生活から得ている生きるパワーを、お届けしたいです。今、毎日生きていることに少しでも辛さを感じている方や、何かしたいけれども何をしていいかを探している最中という方に、私が今の新しい生活の中で感じているワクワクした興奮を一緒に感じて頂けたら。夢とパワーの詰まったコンサートにしていきたいと思いますので、是非観にいらしてください!

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ひなみふう○09年宙組公演『Amour それは…』で宝塚歌劇団の初舞台を踏む。星組に配属。歌唱力に秀でた娘役として頭角を現し13年『南太平洋』など、数々の作品でヒロインを務める。15年、北翔海莉の相手役として星組トップ娘役に就任。『ガイズ&ドールズ』『LOVE&DREAM』『こうもり』など、持ち前の歌唱力を活かした作品で活躍した。16年『桜華に舞え』『ロマンス!!(Romance)』で惜しまれつつ宝塚を退団。女優としてまたアーティストとして今後の活躍が期待されている。17年9月シアタークリエでのクリエプレミア音楽朗読劇『VOICARION GHOST CLUB』への出演も控えている。


〈公演情報〉
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妃海風CONCERT 2017『Magic!』
●10/8〜9◎大阪・松下IMP HALL
〈料金〉8.500円
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888
●10/21〜22◎東京・竹芝ニューピアホール
〈料金〉8.500円
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
〈ぴあ先行〉8月5日(土)より受付中
〈一般発売日〉 9月9日(土) 



【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】



妃海風コンサート2017


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