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トニー賞の作品賞・脚本賞ほか4冠を達成した傑作ミュージカル『紳士のための愛と殺人の手引き』の日本初演が、4月8日、ついに開幕した。

舞台はエドワード朝時代のイギリス。伯爵継承順位8番目の男が、継承順位上位の邪魔者たちを次々と殺していく。といっても、殺人手段があまりにバカバカしく、笑いあり涙あり間違いなしのコメディなのだ。
殺されるダイスクイス家の現伯爵と継承権メンバーという8人を演じ分けるのは、日本演劇界の生きる伝説、歌も演技も優れた技術と才能で魅せる市村正親。
爵位継承者たちを、あれこれ馬鹿馬鹿しい手段で手にかけていくモンティ役はWキャストで、元・WaTで抜群の歌唱力を誇るウエンツ瑛士と、ミュージカル界の若き旗手として次々に話題作に出演している柿澤勇人。
モンティの恋人シベラを演じるのは、しなやかでキレのある歌と演技を見せるシルビア・グラブ。
殺される継承者ヘンリー・ダイスクイスの妹役で、モンティが恋をしてしまうフィービー役には、テレビ・映画で活躍し、ミュージカルでは美しい歌声を披露する宮澤エマ。
モンティの亡き母の友人であるミス・シングルを演じるのは、宝塚出身で紀伊國屋演劇賞も受賞した演技派女優・春風ひとみ。
笑わずにはいられないコメディシーンとポップで軽快な音楽と歌が全編を彩る、この舞台のゲネプロと囲みインタビューが、初日を前に行われた。

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春風ひとみ、宮澤エマ、シルビア・グラブ、市村正親、ウエンツ瑛士、柿澤勇人

【あらすじ】
優しい母に突然亡くなられてどん底に沈んでいるモンティ(ウエンツ瑛士/柿澤勇人)。そこに亡き母の古い友人であるミス・シングル(春風ひとみ)がとあるニュースを持ってくる。モンティの母は、実は大富豪の貴族「ダイスクイス・ファミリー」の血を引いており、モンティにも爵位継承権があるというのだ。とはいっても8番目の継承者。つまり現伯爵(市村正親)を含め、ダイスクイスのメンバー7人(市村正親)が死ななくては伯爵になれない。
そこでモンティは決意する。「7人+現伯爵=8人」を抹殺して、自分が伯爵に!莫大な財産と城をこの手に!」モンティは、一人、また一人、奇妙キテレツな方法で殺人を重ね、ついに全員を殺害するのだが、8人目の殺人でヘマをして捕まってしまい、投獄されるはめに。最後には恋敵同士のフィービー(宮澤エマ)とシベラ(シルビア・グラブ)が愛しのモンティを救おうと、彼の無実を証明するために奔走するのだが…。
 
【囲みインタビュー】

ゲネプロと囲みインタビューには、市村正親(ダイスクイス家のメンバー8人役)、ウエンツ瑛士(モンティ役/Wキャスト)、柿澤勇人(モンティ役/Wキャスト)、シルビア・グラブ(シベラ役)、宮澤エマ(フィービー役)、春風ひとみ(ミス・シングル役)が登壇した。

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──いよいよ明後日に開演します。
市村 ハッハッハッハ。やってきたよ、ウエンツ!
ウエンツ どうして僕なんですか! 稽古中はそんな感じじゃなかったじゃないですか。
市村 長い間、みんなと稽古をしてきて、いい初日を迎えられるところまで出来上がっています。急に森繁久彌さんになっちゃったみたいな気分ですね。君! 最高ですよ!
ウエンツ まあまあ、いろんな役をやられていますから。テンションマックスですね。
市村 森繁さんはいらなかったか?
ウエンツ 時にはそんなテンションも必要です。

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──この作品にかける意気込みを。
春風 昨日、劇場に入りました。稽古場では、一番笑っていたのは私だと思います。なので、みなさんにも早く劇場で味わっていただきたい。最後の方の私が出るシーンで涙が出そうなところがあります。私の大好きなシーンですね。
宮澤 日本版オリジナル、そして初演ということで、海外版の演出とは違って、よりドラマチックにエモーショナルな部分がたくさんあって…市村さんなんで笑っているんですか?
市村 エモーショナルってかっこいいんだもん。
エマ はいはい。とにかく、みなさんそれぞれ個性があって、その個性に負けないように演じられたらと思っています。
シルビア みんなで力を合わせて作り上げたチームワークが見どころです。
市村 意気込み?(ポーズを決めて)ハッ! 何と言ってもエモーショナル(笑)。そして演技にパッションやヴァイタリティが溢れています。ちなみに、私は8役で初役ではないですよ。
ウエンツ わかってますよ。
市村 あらゆる手を使い尽くして笑いを生み出します。今回は、完全に僕は芸人ですので、お笑い系でやっております。みなさんにそんな僕を楽しんでもらいたいね。今まで稽古で吸収してきた笑いのパワーを全部出し切りますよ!

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ウエンツ
 海外では劇場も小さく、セットも小さい中でお芝居をしていたそうですが、日本では大きな会場でやらせていただきますので、空間を埋め尽くすような笑いのパワーと音楽で面白い作品を届けられたらと思っています。何より、市村さんとはプライベートで仲良くさせてもらっているのですが、この作品で初めての共演で楽しみです。今までにもたくさん学ばしてもらいましたけれども、本番になると…。
市村 やったね。今回は弱音を吐いてないね。初めての日生劇場の舞台『天才執事 ジーヴス』の時は、弱音ばかり吐いて、本当に戻しちゃったもんね。
ウエンツ はい。日比谷公園の花畑に戻してしまいました。そこだけ花が異常に育ったという(笑)。
市村 俺がアドバイスしたんだ。楽しんでやれよって。今、すごく不安だから、ウエンツ、アドバイスちょうだい。
ウエンツ がんばれよ!
市村 なんだよ、がんばれよかよ!
ウエンツ はいはい。今回のパンフレットにも、自分が影響を受けた言葉を書く欄があったのですが、日生劇場に市村さんが観にきてくださって、その時にかけてもらったアドバイスを引用しています。その言葉を胸に刻んで頑張りたいですね。
市村 ねえねえ、俺にもちょうだい。
ウエンツ そろそろ柿澤さんにフリましょうよ。
市村 こいつは俺の後輩だからいいんだ!
ウエンツ ああ、もう、柿澤さんどうぞ。

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柿澤 
(笑)ストーリーも難しくないですし、とにかく、劇場に来て楽しんでもらえると思います。市村さんの8役以外にも僕とウエンツくんのWキャストが見どころです。キャラクターや動きや歌、どれも違うと思います。そのあたりの違いを楽しんでいただけたらいいですね。
──柿澤さんがおっしゃったように市村さんは8役を演じます。
市村 コスチュームもカツラも変えての8役だからね。『クリスマスキャロル』の時は54役やったけれど、キャラを変えただけだから。衣装もカツラも変えるのは大変ですよ。一歩間違えると出とちりになるからね。
ウエンツ 稽古の時、1ヵ所でて来れないことがありましたね。
市村 そう。服が脱げなくて、痛い!痛い!って叫んでた。
ウエンツ 早替えも見どころですね。
市村 出てこなくなっちゃうかもしれないよ。
ウエンツ 市村さんが出てくる時間をわざわざ作っているわけではないので、作品が流れる中でパッと出てくるから大変ですね。
市村 そうそう、慰めてよ。何か忘れちゃったりとかね。女性役なのに髭をつけたまま出て来たりとかね。そういうことがないようにしなくちゃね。
──早替えの最短記録は32秒だということです。
市村 そんなこと調べてたの!?
ウエンツ 僕とカッキーがセリフを巻きに言うと30秒ぐらいになっちゃうかも。
市村 やめてよ(笑)。
──日本初上陸の作品です。
市村 新作ですからね。楽しみであるのと同時に怖いですね。だから、さきほどウエンツにアドバイスをちょうだいって言ったの。僕は先輩として彼に言った言葉は、自分が楽しまなくちゃ、お客様も楽しまないっていうことですね。だから怖いのを乗り越えて楽しまなくちゃいけない。ただ、トニー賞まで獲っていますからね。演じるのは怖いところもありますが、見所は満載ですよ。音楽もいろいろな曲がかかって、楽しめると思います。

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──市村さんが8役をやられることに関して。
シルビア 面白いですよ。私は出てこないところは客席で観ていたいぐらい。あんなキャラやこんなキャラは、ひょっとしたらこの人がモデルかなと考えるのも楽しいですね。
市村 シルビア、わかってるねー。
宮澤 稽古場でも、1回と同じ役作りをしていなくて、毎回新鮮なんです。だから笑っちゃうんですね。笑うのはやめようと思うのに。引き出しが多いなと感心するんです。
市村 エマ、ありがとう。
宮澤 どういたしまして! 自分が出ていて、必死に歌っている場面で、真後ろで笑わそうとしているんです。
市村 演出なんだからさ。
宮澤 わかってますよ。でも、わざとですよね。
市村 まあ、ちょっとね(笑)。

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──今回はWキャストですが、柿澤さんとウエンツさんはライバル心があるんですか。
ウエンツ Wキャストは初めてですが、ライバル心はあまりないですね。だって、真似すると自分じゃなくなるから真似しないってカッコつけても、尊敬する大先輩ですからね。
柿澤 言ったことねえじゃねえか!
ウエンツ 靴を磨かせてもらって(笑)。
柿澤 お前、とか言ってくるくせに(笑)。
市村 楽だからいいよね!昼か夜の違いだもん。
ウエンツ 役作りの違いを聞きたいんですよ!
市村 僕なんか8役でギャラは1人分だよ。1人分を8つに分けてるんだから。
ウエンツ リアルだからやめてください。
──再演の可能性は。
市村 ノーコメント!僕は忙しいからね。みんなも忙しいし、実際やってみたら8役が7役になって、最後に1役しかないかもしれない(笑)。体調やお客様の反応をみて考えていきたいですね。
──お客様に向けて一言。
市村 じゃあ、みんなでタイトル言おう!
一同 『紳士のための愛と殺人の手引き』、8日からお待ちしております!

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〈公演情報〉
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ミュージカル『紳士のための愛と殺人の手引き』
脚本・歌詞◇ロバート・L・フリードマン
作曲◇スティーブン・ルトバク
演出◇寺秀臣
出演◇市村正親、ウエンツ瑛士/柿澤勇人(Wキャスト)、シルビア・グラブ、宮澤エマ、春風ひとみ、阿部裕、小原和彦、香取新一、神田恭兵、照井裕隆、安福毅、彩橋みゆ、折井理子、可知寛子、伽藍琳、高谷あゆみ、RiRiKA
●4/8〜30◎日生劇場
〈料金〉S席13,000円、A席8,000円、B席4,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9:30〜17:30)
 
 

 
【取材・文・撮影/竹下力】




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