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世界中にファンを持つティム・バートンの監督作品をもとにした、ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』が、2月7日、日比谷の日生劇場で、待望の日本初上陸の幕を開ける(2月28日まで)。

家族の愛を、ティムバートンならではのファンタジックな色彩で描いた2008年の大ヒット映画が、ブロードウェイの舞台にミュージカルとして蘇ったのは2013年のこと。映画世界の物語の魅力はそのままに、アンドリュー・リッパによる美しい音楽と詞と、心躍るダンスに彩られた舞台は、更に大きな感動を巻き起こし喝采を集めて来た。
 
そんな作品の本邦初演となる今回の上演は、『ロンドン版 ショーシャンクの空に』『アダムス・ファミリー』『No.9〜不滅の旋律〜』『マホガニー市の興亡』など、数々の舞台で確かな演出力を発揮し、話題作を作り続けている白井晃が演出を担当。自らの体験談を、空想の世界にまで広げて語る父親エドワード・ブルームに川平慈英、その妻サンドラに霧矢大夢、父親の誇大な話を長じるにつれ素直に聞けなくなり、それがいつしか親子の溝となっている息子ウィルに浦井健治、その妻ジョセフィ—ンに赤根那奈、をはじめとした個性豊かな実力派俳優達が集結して創り上げられる日本版『ビッグ・フィッシュ』に大きな期待と注目が集まっている。
そんな舞台に向けての稽古が佳境を迎え、1月25日都内で公開稽古が行われた。

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まず稽古を前に、フォトセッションがあり、続いて演出の白井晃、出演者を代表して川平慈英からそれぞれ挨拶があった。
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白井 今日は『ビッグ・フィッシュ』の公開稽古にお越しくださってありがとうございます。この作品はティム・バートン監督の映画で有名なのですが、僕らがやっている作品はブロードウェイ版のミュージカルとして作られた『ビッグ・フィッシュ』です。2013年に作られたものなのですが、映画版とはまた違った形で楽しい音楽と、父親と息子の物語が強調された作品になっています。ご覧のようにですね川平慈英さんはじめ、浦井さん、赤根さん、そして霧矢さんと本当に個性的なキャストメンバーの皆さんに参加頂きました。もしかしたら…もしかしたら、ひょっとしてブロードウェイ版より良い作品になるんじゃないかと(川平の「来た〜!」という歓声で、キャスト陣から拍手)そんな予感がしております。と、手前味噌なんですけれど、それくらい充実した稽古をさせて頂いておりまして、楽しい雰囲気で作らせて頂いております。また今日は公開稽古で、稽古の途中段階ではありますが、皆様に観て頂ければ嬉しいです。よろしくお願い致します。

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川平
 川平慈英です。お寒い中稽古場まで足を運んでくださいまして、本当に感謝しています。ありがとうございます。まず楽しいです。本当に楽しいミュージカルに参加させて頂いて、その楽しさと喜びを感じながら稽古しています。個人的な話ですが、僕は今回劇中で3人の素晴らしい女優さんとキスさせて頂いておりまして、これはデカいです!(キャスト爆笑)、50を超えたおっさんが、霧矢さん、蘭々ちゃん、小林由佳ちゃんとね、白井さんありがとうございます!(会場からも笑い)でも冗談抜きに、素晴らしいチームと一緒に良いエネルギーになっています。圧倒的なミュージカルの楽曲と、ダンスとストーリー、これはもう感動間違いなしだと日々感じております。最後は特に感動的なシーンで、僕らも稽古していても涙が出てしまうんですけど、それくらい愛に満ち溢れた素晴らしい、温かいミュージカルになっております。東京の2月は1番寒い時期ですが、皆さんに日生劇場で心温まって、皆様と一緒に良い汗を分かちあっていいんです。2月は日生劇場で幸せになっていいんです!どうぞお客様にたくさんいらして頂けますよう、よろしくお願い致します。ありがとうございました。

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それぞれが、作品への手応えを感じていることが伺える力強い挨拶に続いて、1幕の通し稽古が行われた。

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川岸に佇むウィル(浦井健治)と、父親のエドワード(川平慈英)の会話から物語はスタート。結婚披露パーティを翌日に控えたウィルは、エドワードに得意の昔語りをしないで欲しいと何度も釘を差す。2人のどこかぎくしゃくした関係がこの短いシーンからすでに伝わってくる。

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時は遡り、ブルーム家のベッドルームで子供時代のウィルが父親に寝物語をねだっている。この幼いウィル役は鈴木福とりょうたのWキャストで演じられるが、この日は鈴木福が担当。ありものの童話を読み聞かせることに飽き足らないエドワードは、自身の子供時代、友人のドン(藤井隆)らと森に入って魔女に会った話を語って聞かせる。「ヒーローになれ」「おまえの欲しいもの」などのミュージカルナンバーにのって、舞台は華やかに展開。ベッドルームからの滑らかな展開が鮮やかだ。

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そこから物語は現代に戻り、ウィルの結婚披露パーティへ。妻・ジョセフィーン(赤根那奈)の妊娠を安定期に入るまでは隠しているつもりだったウィルの意向に反して、エドワードが「喜びごとを皆さんに伝えたい!」と話を公にしてしまったことから、2人の間の溝は決定的なものになってしまう。なんとか仲裁しようとする母サンドラ(霧矢大夢)の想いも虚しく、ニューヨークへ戻るウィルとジョセフィーン。それぞれの細かい表情の変化で、親子の関係を表す俳優たちの演技に見応えがある。

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だが、病院でジョセフィーンのお腹にいる子供が息子だと知ったウィルは、家族が増えること、自身が父親になることへの期待と不安の中で、自身の父親エドワードへの複雑な感情を吐露した「見知らぬ人」を歌う。思わず会場から拍手が沸き起こったほどの浦井の熱唱に、場が豊かに盛り上がる。

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一方エドワードは病を患っており、そのことをサンドラから聞かされたウィルは、父親の元に駆けつける。サンドラが夫と息子への思いを語るナンバー「わたしの人生のふたりの男性」がしみじみと美しい。だが、心配する息子夫婦にたいしたことはないのだと言い張るエドワードは、ジョセフィーンに昔の話を語りだす。「アシュトンで1番の青年」から続く、エドワードの夢物語は、舞台を一際賑やかな世界に誘う。ハイスクール時代のマドンナ・ジェニー(鈴木蘭々)らも加わり、何よりも川平の秀でたダンス力、軽快な動きが場を弾ませる姿は圧巻だ。

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父親の余命を悟ったウィルは、ジョセフィーンと共に父の創作物の整理をはじめ、それは同時に父の過去を旅することとなり、舞台はエドワードとサンドラが出会った、サーカスへと広がる。オーディションを受けにきたサンドラが踊る「アラバマの子羊」エドワードがサンドラに一目惚れをする「時が止まった」更にROLLY扮するサーカスの団長の強烈な個性で、舞台は更にテンポよく進む。1幕のラスト、遂にサンドラに想いを伝えたエドワードが手にするスイセンの花束から広がるのだろう、舞台一面の黄色が目に見えるような中、2人が愛を誓う「スイセン」のナンバーで1幕の通し稽古は締めくくられた。
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全体に感じられたのは、むしろ殺風景な稽古場でさえ、色鮮やかでファンタジックな舞台が容易に想像できる、実に滑らかな舞台の流れで、白井マジックと呼ばれる演出の白井晃の美しい舞台作りに感嘆させられる。川平のエンターティナーぶり、浦井の真摯な実直さ、霧矢の包容力と巧みさ、赤根の清新で真っ直ぐな視線などにはじまる、出演者の適材適所が心地良く、白井の言葉通り「ブロードウェイ版以上」の『ビッグ・フィッシュ』が生まれ出ることへの期待が高まる、本番の舞台にますます夢が膨らむ時間となっていた。

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〈公演情報〉
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ミュージカル『ビッグ・フィッシュ』
脚本◇ジョン・オーガスト 
音楽・詞◇アンドリュー・リッパ 
演出◇白井晃
出演◇川平慈英 浦井健治 霧矢大夢 赤根那奈 藤井隆 JKim 深水元基 鈴木福/りょうた(Wキャスト) 鈴木蘭々 ROLLY ほか
●2/7〜28◎日生劇場
〈料金〉S席 13,000円 A席8,000円 B席4,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉03-3201-7777(東宝テレザーブ)



【取材・文・撮影/橘涼香】



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