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フランスが生んだ伝説的な大女優を描くオリジナル作品、『サラ・ベルナール 〜命が命を生む時〜』が、水夏希の主演で10月6日に兵庫県立芸術文化センターで幕を開けた。そしていよいよ10月12日〜14日には東京・シアター1010で上演される。
サラ・ベルナールは、19世紀から20世紀にかけてのいわゆる「ベル・エポック」、芸術文化華やかなりし時代の象徴とも言われ、当たり役の1つに「ハムレット」があるなど、性別のへだてなく演じ、多くの代表作を残している。また、さまざまな愛の遍歴を生き、壮絶な生涯を送ったことでも知られている。
そんな彼女の人生とその時代、そして芸術家たちを、詩情豊かに描くこの『サラ・ベルナール』で、サラを演じるのは、昨年春のリーディングドラマ『サンタ・エビータ』のエヴァ・ペロン役で好評を得た水夏希。彼女の「ヒューマンシリーズ」の第2弾ともいえる舞台で、今回は本格的な演劇作品として取り組む。その稽古場で、水夏希に現在の稽古の様子と作品への意欲を話してもらった。

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人間たちの愛憎と人間模様が細かく描かれている

──演劇史上でも有名な大女優を演じることになったわけですが、この作品への出演の話を聞いたときは?
昨年の朗読劇『サンタ・エビータ』を経験して、また女性の人生を演じたいなと思っていたところにお話をいただいたので、喜んで出演させていただこうと思いました。サラ・ベルナールという名前はもちろん知っていましたが、それ以上の知識はなかったので資料などを調べましたら、素晴らしい女優さんであると同時に、とてもドラマティックに生きた方で、その方を描く作品なら、取り組んで闘う価値があるなと思いました。
──ストレートプレイということですが、お芝居だけの舞台は久しぶりですね?
2月に出演した時代劇の『honganji!』以来ですね。そのあとダンスやミュージカルや朗読劇などが続いて、そろそろお芝居だけの舞台にチャレンジしたい気持ちだったので、すごく嬉しかったです。『CHICAGO』(ブロードウェイミュージカル 宝塚歌劇OGバージョン)の公演中から、時間が空くと演劇のワークショップへ行ったりして、レッスンしていました。でも、いざ稽古に入ったらものすごく難しいお芝居で、とくに作・演出の倉本朋幸さんが小劇場系の方なので、人間描写がすごく細かいんです。華やかでスケールの大きなお話なんですけど、その舞台裏の人間たちの愛憎と人間模様がとても細かく描かれていて、そこを演じるのがとてもたいへんです。
──今回の物語はサラ・ベルナールの生涯のどのあたりの部分なのですか?
ビクトル・ユゴーの『エルナニ』(1877年)という作品で成功してからの13年間です。コメディ・フランセーズを退団して、自分の劇団を作って世界に進出していくのですが、時代も19世紀から20世紀に変わる変革期で、周りにいる人達が次々と去っていく。それでも私は舞台に立ち続けたいというサラの強い思いが描かれます。
──海外公演や各界のアーティストとの交流など、演劇界のパイオニア的役割も果たした方ですね。女優であるだけでなくビジネスセンスや社会的視野もあって、水さんもそのへんの感覚は近いものがあると思いますが。
通じる部分もあるのですが、すごく感情の起伏の激しい女性だったそうで、劇中でも突然怒りだすところとかあって、私はあまりそういう部分はないので(笑)、難しいです。それからサラは、色々な男性と関わりを持つのですが、そのベースには1人の人に愛されたいという思いがあって、この物語の中では中河内雅貴さんが扮するダマラという夫になる俳優がその人なのですが、その愛が満たされない悲しみとか欲求で、色々な男性を渡り歩くんです。そういう二重三重の人間関係とか、母親との確執とかとても複雑で、これほどの愛情の遍歴を演じるのは初めてです。でも考えてみたら人間って、そんなに単純に割り切れないもので、楽しんでいるように見えても実は内面には不安を抱えていたりする。そういう人間の見え隠れする部分をこの作品では求められています。
──サラの複雑な心のひだをどう表現するかですね?
倉本さんはそういう部分を細かく説明してくださって、「でもそれは心に持っているだけでいいですから」とおっしゃるんです、表現しなくていいって。難しい…。

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私を愛して愛してと愛を求め続けた人

──女優という部分や生き方などでは、共感できる部分も多いのではないかと思いますが、女性としてはどうですか?
女性としてというよりも、1人の人間として愛されたい、認められたいという思いは誰にでもあると思うので。肩書きとか仕事とかではなく、個人として生まれたままの自分を、そのピュアな自分を認めてくれる人に愛されたいという、それは母親でも誰でもいいので、サラの場合は出会った男性たちだったわけで、ですからそこはわりと理解しやすいです。
──ダマラ役は中河内雅貴さんですが、共演していますね?
それがしてないんです!なぜか共通項が多くて、玉野(和紀)さんとかD☆Dとか、蒼乃夕妃ちゃんとか(笑)。でも初共演です。中河内さんは真っ直ぐな人でその部分は役と重なりますね。ただダマラは遊び人でもあって、サラは苦しみます。ダマラとの場面はわりと飛び飛びになっているので、演じる中河内さんはたいへんだと思います。
──そしてオスカー・ワイルド役が舘形比呂一さんで、ぴったりですね。
最高ですよね。オスカーが『サロメ』をサラのために書いてくれて、その台詞を読むシーンもあります。彼との間でも恋愛があって、サラは心の隙間が埋めたくて求めていくけれど、彼が同性愛者ということもあって、お互いにすれちがっていくんです。
──他に出てくる男性たちもみんな愛人だったのですか?
そうです。画家とかカメラマンとか周囲の男性たち皆と関わりを持ちますが、たぶんサラは、自分の出生の許可を与えられないまま生きていかなくてはならなかった。そこに一番の原因があるのではないかと思います。
──どこかエディット・ピアフに似ていますね。ピアフは男と歌を愛したわけですが。
サラは愛したというより愛されたかったんです。愛を求めて人に近づいていく。私を愛して愛してと、愛を求め続けた人だと思います。

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リアリティに繋がっていく緻密な芝居

──劇中劇もあるそうですが?
『ハムレット』と『椿姫』をほんのちょっとですが演じます。サラはハムレット役を男装で演じたそうですが、当時は女優の男装はそんなに特別なことではなかったそうです。でも日本でいえば明治時代の初めですからね。貞奴さんもびっくりですよね(笑)。
──水さんの『ハムレット』や『椿姫』を観られるのは楽しみですね。
今回は色々な挑戦をさせていただいています。台詞量もすごく多いんです。でも人間ドラマを書いてくださっているので、こういう場合は当然こういう会話になるだろうなという台詞なので、量は多いけれど覚えにくいということはないですね。
──その会話の中で、サラはいきなり怒ったり、泣いたりするわけですね。
そこがうまくいくようにがんばらないと(笑)。やはり流れの中でどう感じて、どうその感情にもっていけるかですね。それに、舞台上で描かれていない出来事をどう想像して補っていくか、それが大事かもしれません。
──久しぶりのお芝居ですが、改めて感じる面白さは?
100%とは言わないまでもかなり入り込んだ瞬間に、思いも寄らない感情が湧いてくるんです。その感情は相手役さんによっても引き出されるし、演出家にも引き出してもらっています。倉本さんはすごく動きなどの指示が細かくて、たとえばワインを置くとき、話しながらチラッとテーブルを見てくださいと。言われれば確かに人間って置く前に一瞬見るんですよね。すごく細かいんですけど、そういう緻密な芝居がリアリティに繋がっていくのだろうなと思います。それから、母親やシャルルとの場面で、「もっともっと間(マ)を使っていいですから。シーンとなってしまってもいいですから」と。その2人とはシリアスなやり取りが多いのですが、サラが言葉を口にするまで色々考えている時間は沢山とっていいと。台詞なのでつい急いで言ってしまいたくなるのですが、日常では考えて言葉を選ぶ場合も多いですよね。そういうことを細かく言ってくださるので、すごく楽しいです。 
──まさにリアリズム演劇ですね。この経験でストレートプレイの舞台での引き出しが増えますね。
そう思います。とてもいい時期にいい経験ができています。
──それにサラ・ベルナールは無声映画などで見ると所作が綺麗ですね。宝塚で身につけたことなど生かせそうですね?
ですから劇中劇のシーンはとても楽しいです(笑)。今まで培ったことを自由に使わせていただきます!みたいな(笑)。

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NYで勝負できなかったことで次への決意が固まった

──水さんは活躍ジャンルがとても幅広くて、今年もすでに、時代劇、ショー、フラメンコ、ミュージカルなど忙しかったですね。
本当に色々なジャンルの舞台に出させていただいています。今年は退団して7年目に入ったのですが、これまでの6年間を土台に、また次のステージにどうスタートしようかという、ちょうどその転換の時期に『CHICAGO』でNYに行ったことが、色々なことを考える機会になりました。自分の現在の立ち位置とか持っている力とか。
──外国の観客の前で勝負できたことで、感じることが多かったのでしょうか?
勝負できたというより、勝負できなかったことで、だからこそ次への決意が固まったという感じです。
──水さんはいつも簡単には自足しない人ですね。
そういう意味ではサラと似ているんです。サラ・ベルナールはもう十分じゃないかという名声を得ても、片足をなくしても、まだ舞台を続けます。それは経済的な事情もあったからですが、それだけではないエネルギーが彼女を突き動かしていたと思うんです。もっと勝負したいという。
──表現への欲というのは、そう簡単になくならないのでしょうね。そういう日々に疲れることもあるのでは?
疲れますけど、疲れたというならやめればいいわけで。こういう仕事は、自分がもういいやと思えばいつでもやめられるわけですけど、それでは納得がいかないじゃないですか、自分の人生に。そう思うから、立ち上がるわけです、また(笑)。
──サラと一緒ですね。会うべくして出会った役だと思います。良い女優っぷりを期待しています。
良い女優ね(笑)。がんばります。

 

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みずなつき○93年宝塚歌劇団入団。07年『エリザベート』のトート役で雪組トップスターに就任、10年『ロジェ/ロックオン』で宝塚を退団。最近の舞台は、リーディングドラマ『サンタ・エビータ〜タンゴの調べに蘇る魂』音楽朗読劇『幸せは蒼穹の果てに』DANCE OPERA『マスカレード2015 〜 FINAL』30-DLUX『新版 義経千本桜』『Honganji』ENTERTAINMENT ORIGINAL MUSICAL SHOW『RHYTHM RHYTHM RHYTHM』DANCE LEGEND vol.3 BAD GIRLS meets FLAMENCO BOYS『FLAMENCO CAFE DEL GATO』ブロードウェイミュージカル 『CHICAGO 宝塚歌劇OGバージョン』プレミア音楽朗読劇『VOICARION〜女王がいた客室〜』など。2017年3月にはミュージカル『アルジャーノンに花束を』、また2017年7月にはミュージカル『キス・ミー・ケイト』への出演が控えている。


〈公演情報〉
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『サラ・ベルナール』〜命が命を生む時〜
作・演出◇倉本朋幸 
出演◇水夏希、中河内雅貴/伊崎龍次郎、古谷大和、天羽尚吾/
舘形比呂一、コング桑田、柳瀬大輔
●10/12〜14◎シアター1010        
〈料金〉S席7,500円 A席5,000円(全席指定・税込)  
〈お問い合わせ〉アーティストジャパン 03-6820-3500




【文/榊原和子 撮影/岩田えり】


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