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姿月あさと×マテ・カマラス×伊礼彼方という、ファン垂涎の豪華な顔合わせでのスペシャル・ライブが9月に実現することになった(9月13日〜15日まで、草月ホールにて)
2007年春の初来日以降、日本のミュージカルファンの間で根強く支持され続けているマテ・カマラス。また、宝塚歌劇団の元宙組トップスターで、現在はヴォーカリストとして音楽活動を中心に活躍中の姿月あさと。2人は共にミュージカル『エリザベート』のトート役を演じているという共通項を持っている。また、伊礼彼方は2008年東宝版『エリザベート』に、皇太子ルドルフ役に抜擢され、鮮烈な印象を放って以来、今最も期待されるミュージカル俳優の1人だ。
この『エリザベート』が縁となった3人の初コラボレーション・ライブの実現に、大きな注目と期待が集まる中、姿月あさとと、その姿月を「姐さん」と呼ぶ伊礼彼方が、ライブへ向けての意気込みを語ってくれた。この興味深い3人が作り出すライブステージは、どんな輝きを持って繰り広げられるのだろうか?
 
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念願の顔合わせで創るライブステージ

──大変魅力的な組み合わせのライブが実現しますが、今回の企画を聞かれていかがでしたか?
姿月 7年前に『LOVE LEGEND』というライブがありまして、その時には他の方達もご一緒だったのですが、そこに出演したという形で3人の出会いがありました。それから、プライベートや他のお仕事でも関っていて、またライブをやりたいね、やりたいねとお互いにずっと言い合っていたので、今回このようなお話を頂いて、自分たちも望んでいたことが実現できるのを大変嬉しく思っています。
伊礼 芝居やミュージカルの舞台に出ている人で、作品から離れた別のステージングを見せられる人は、意外に少ないと僕は思うんです。その中で姐さん(姿月)は、宝塚出身ですけれどまず存在が異色じゃないですか。
姿月 私はヴォーカリストとして、どちらかと言うとライブ等を中心にやってきたからね。
伊礼 マテもそうですけれど、音楽人というかステージでの表現者として素晴らしいんです。僕も元々音楽を目指していた人間ですから、ステージに立った時の自由な空気感、お客さんの反応をそのまま受け取って返せるポテンシャルを持った方達と一緒にライブができるというのは、とても嬉しいですね。
──選曲もご自分たちですると伺っていますが、今の段階で教えて頂けるものはありますか?
姿月 具体的にはまだこれからなのですが、ミュージカルやポップス、皆様にお耳馴染みのある曲をたくさん、むしろノンジャンルでお届けしたいし、あとは逆にこの3人だからこその異色なものもね。
伊礼 入れたいですね。普段は歌わないと言うか、歌えないというものも。
姿月 そしてやっぱりこの3人だと『エリザベート』は入ってくるのかな。
伊礼 誰が『エリザベート』を歌うのかでケンカになりそうだけど(笑)。
姿月 それからJ-POPで定番のデュエット曲なども、入ってくるかもしれない。ミュージカル一色ではなく、どこか奇想天外なものもお届けしたいです。

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──ミュージカルとライブでは歌い方も違うものですか?
姿月 ミュージカルは如何に譜面通りに、確実にパーフェクトに歌うかというところを、演出家や歌唱指導の先生と一緒に100点を目指して進みますが、ライブにはそもそも100点というものがないし、何の決まり事もないので、毎日違うお客様の空気を感じて、コミュニケーションを交わして作っていく自由さがあります。でも自由だからこそ難しいというところもたくさんあって、そこに柔軟性がないといけないので、ライブは難しいかもしれませんね。
伊礼 ミュージカルは基本的には舞台という額縁の中でこちらが創り上げたものを提示して、お客様個々に感じて頂いて持ち帰ってもらうものなのですが、ライブにはまずその額縁がないんですね。客席を含めたすべてがステージなので。僕はよく客席に飛び出しちゃったりもするのですが、それはそこまで届けようという気持ちからなので、投げて返してもらって、受け取ってまた投げてという、アーティストを応援している方達が熱狂している形に近い「コール&レスポンス」を目指して僕たちのライブは創っています。だからミュージカルしか観たことがないという方にも、是非その空気の中に参加して欲しいと思っています。

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縁をつないだ『エリザベート』の魅力

──皆さんのご縁として、先ほどもお話に出ましたミュージカル『エリザベート』があり、今回も取り上げられるであろうということですが、『エリザベート』の魅力は?
姿月 色々なミュージカルがある中で『エリザベート』を、私はロックオペラと捉えていて、あの楽曲は特別ですね。私、宝塚で『エリザベート』に出会った時に、宝塚を退めようと思ったので。
伊礼 そうなんですか?
姿月 そう、音楽が面白くて。宝塚で『エリザベート』を演りながら、退団して音楽を勉強したいなと思った。退団のきっかけになった作品でもあるの。
伊礼 それはすごいですね。
姿月 観ているのと演じるのとでは全然違って、あまりにも難しくて面白すぎて。それから退団してマテとの出会いがあり、また他の方が演じられるのを観たり、ガラコンサートをやらせて頂いたり、ずっと自分の音楽の中に刺激を与えてもらっている作品です。
伊礼 そうだったんだ。僕にとってはこの世界に入る大きなきっかけをもらった作品ですね。
姿月 皇太子ルドルフ役は、オーディションを受けたの?
伊礼 はい、真っ白な状態でオーディションを受けました。
姿月 それに受かったというのはすごいことよね。自分で手に入れたお役というのはね。
伊礼 よく受かったなと今でも思います。僕は『エリザベート』という作品も名前も、帝劇の場所も知らなかったくらいだから。譜面をもらってオーディションまで3日しかなかったんですよ。だから皇太子ルドルフに対しての知識を入れる時間もなく、ただやりたい!という気持ちだけ、この世界で生きて行きたい!という気持ちだけで受けましたから。皆綺麗にビブラートをかけて歌っていたけど、僕はその時ビブラートのかけ方もわかってなかった(笑)。
姿月 でもその中で受かったんだからね。
伊礼 小池(修一郎)さんに感謝しかないですね。この世界に足を踏み入れられたきっかけなので、思い入れも強いし好きな楽曲も多いです。すごく日本人好みの音楽ですよね。僕なんか聞くと遺伝子が奮い立つ気がするほど大好き。
姿月 今回もどんな形で取り組めるか楽しみだね。

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自由な感性と、挑戦者の気持ちを共有して

──お互いの魅力をどう感じられていますか?
姿月 伊礼君との初めての舞台が『LOVE LEGEND』で、その時から私は度々この7年間の彼の、他の仕事を見せてもらってきて、その成長ぶりと言うとちょっと偉そうなんですけれど(笑)、まるでお姉さんのような気分で観て来ましたから、本当に良い歳の取り方と、経験の重ね方を、彼独特のやり方でやってきていると思います。最近は客席から観ることが多かったですから、今回一緒の舞台に立つと、またそれを更に感じられるんだろうなと思います。
伊礼 ありがとうございます。今、僕を独特のやり方と言ってくれてましたが、姐さんの進み方がまさにそうで、その背中を見ていると自分もそこに進みたいと思える、そういう方の1人ですね。7年前、僕は右も左もわからない状態で、色々なことを教えていただきましたけど、それ以上にこの道を進めというスタイルの見本を見せてもらった気がするので、今の自分があるのはあの経験あったればこそですね。
姿月 「いいよ、いいよ、頑張って」ってずっと言ってたよね。そのままでいい、そのままでいなよ!って。
伊礼 そう、ずっと言われ続けてます。どうしても1つのカンパニーに入ると、1つの色にまとめようとするんだけど。学校の教育もそうで、30何人を1つにまとめようとするでしょう?でもそうじゃなくて、個性があっていいと思うんです。例えば樹の塗り絵があると、葉っぱは緑で、幹のところは茶色に塗るんだけど、それをピンクや青に塗っている子がいると、先生が「それは間違っている」って指摘する。でも僕はその指摘こそが間違っていると思う。
姿月 私もそれはおかしいと思う。
伊礼 何色に塗ってもいいじゃないか!と、そういう感覚を持っているのが今回の3人なんですよ。虹色に樹を塗りそうな人たち。ある意味、常識にとらわれない感性を持った方々と一緒にやれるのが嬉しいです。

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──マテさんについてはいかがですか?
姿月 初めは本場の『エリザベート』のトート役をされている方!という気持ちがしていたのですが、いざお会いしたらものすごくフランクな方で。でもやはり彼を含めた本場の方達が『エリザベート』を創り上げて来てくださったからこそ、私達も演じることができた。今日本で大人気になっている『エリザベート』の第一人者ですから、本当に尊敬しています。そういう彼が、日本が好きで日本で仕事をしたいと思って『エリザベート』以降に積んできた努力もわかるし、音楽をやっていきたいという想いにおいて同じ方向を向いているので、友人としてもとても大事な人です。
伊礼 僕はマテに「自由であれ」ということを教わりました。さっきも言いましたけど、日本のとかく型にはめようとする教育を受けてきた僕は、本意ではなくてもその場に馴染もうとする傾向があったんです。でも彼には最初からそういう部分はなくて、良いものは良い、良くないものは良くないと言える強さを持っている。普段は本当にフランクだし、ちょっと天然なところもあるんだけれど(笑)、いざステージに立つと、僕にも「そんなに一生懸命にばかり歌うな。自分が楽しまないともったいない」と言ってくれて。『LOVE LEGEND』でのその出会いから、僕は自分の中にある自由な感覚をもう1度自分に取り入れて進むことができたので、とても大きな存在です。
姿月 全編日本語でミュージカルに挑戦したりとか、彼自身も良い意味での異端児として、どんなアーティストもしたことがないチャレンジをしている人だから。苦労もしているし、努力もしている。どこか似た者同士だねという話もしましたね。
伊礼 日本語を歌いこなすのは本当に難しいことだと思いますし。
姿月 響きにくい言語だからね。しかも1音に1語しか入っていないから、リズムもぬるくなるし。

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──そうした挑戦者であり、自由な感性をお持ちの3人でのライブで、たくさんの新しい化学反応が見られそうですね。
姿月 きっと毎公演変わると思うので、全部観て頂きたいです。まず自分たちの夢が叶った、ずっとやりたかったこのメンバーでのライブができるということが何より嬉しいですし、この想いをお客様にお届けしたいので是非会場にいらしてください。
伊礼 観に来てくださるお客様以上にというくらい、僕らが楽しみなので。お客様が僕ら以上に楽しんで頂けるかどうか、そこは勝負ということで(笑)
──ずっとシリーズ化して欲しいですね。
姿月 そう!このチラシは「あぶり出し」でVo.1って書いてあるんです(笑)。
伊礼 そう、心の眼で見てください(笑)。
姿月 でも自分たちの気持ちの中ではこれは「1」なので、ずっと「2」「3」と続けられるように、それは私達次第ですから。
伊礼 お客様の力もかりて、先に続けられるライブになるよう頑張っていきましょう! 

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【ライブ出演者プロフィール】
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マテ・カマラス、姿月あさと、伊礼彼方

しづきあさと○大阪市出身。87年宝塚歌劇団入団。98年宙組発足と同時に初代トップスターに就任。『エリザベート』の黄泉の帝王トート役などで活躍した。00年退団後はソロヴォーカリストとして活動を開始。ライブ等を中心に活躍する一方、宝塚OG公演にも多数参加。7月〜8月は『CHICAGO』宝塚OGバージョンへの出演が控えている。

まてかまらす○ハンガリー出身。地元高校のミュージカルで『レ・ミゼラブル』のジャン・ヴァルジャン役に抜擢され、その後の進路もミュージカル俳優として進む。日本公演するきっかけにもなった03〜05年ウィーン版『エリザベート』でトート役として活躍。07年初来日以降、数々のガラコンサート、また11年『MITSUKO〜愛は国境を越えて』、12年東宝版『エリザベート』では日本人キャストに混ざり出演を果たす。

いれいかなた○神奈川県出身。中学生の頃よりライブ活動をはじめ、ミュージカルと出会い08年『エリザベート』の皇太子ルドルフ役で脚光を浴びる。以降、ミュージカルからストレートプレイまで幅広い活躍を続けている。最近作はミュージカル『ピアフ』ミュージカル『グランドホテル』など。6月26日まで『あわれ彼女は娼婦』(新国立劇場)に出演中、8月にはミュージカル『王家の紋章』(帝劇)に出演する。

〈公演情報〉
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『姿月あさと×マテ・カマラス×伊礼彼方  Special Live -Musical Songs and Pop Galore!-』
演出◇玉野和紀
音楽監督◇森 俊雄
出演◇姿月あさと、マテ・カマラス、伊礼彼方
香音有希、丹羽麻由美
ミュージシャン◇森 俊雄(キーボード)澤田 将弘(ベース)赤迫翔太(ドラム)土屋玲子(ヴァイオリン)林  亜紗美(エレクトーン)
●9/13〜15◎東京 草月ホール
〈料金〉10,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉キョードー東京 0570-550-799(平日11:00〜18:00 土日祝10:00〜18:00)
〈チケット〉



【取材・文・/橘涼香 撮影/大倉英揮】




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