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ノンストップエンターテイメントショーとして愛され続けてきた『CLUB SEVEN』のDNAを引き継ぎ、エンターテイメントの旗手玉野和紀が、若き「GEM」=原石たちと作り上げる新たなショー『GEM CLUB』が、日比谷のシアタークリエで上演中だ(4月1日まで。のち、大阪、名古屋公演もあり)。

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オーナー、総支配人、チーフマネージャーのもと、若い原石の輝きを秘めた才能たちが集うショーハウスから舞台は始まる。そこでは今日も厳しいリハーサルが続いていて、いつかはこの世界で大成したいとの夢に向かって、若者たちが切磋琢磨を続けている。けれども、夢への道の先は容易に見通せるものではない。若さ故に、その夢の果てしなさ故に、彼らは時にぶつかり、時にすれ違う。それでも、新たに仲間に加わろうとする者の思いや、彼らを見守る大人たちの厳しくも温かい叱咤激励を受けて、彼らは「GEM」、原石である自らを磨き続け、やがてショーの幕が開く……。

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たたみかけるダンスと、笑い満載のショースケッチ、そして、ノンストップの50音メドレーが、多くのファンを獲得してきた『CLUB SEVEN』を創り続けてきた玉野和紀が、新たなショー『GEM CLUB』を立ち上げると聞いた時の驚きは忘れられない。あれだけ長い年月をかけ、高い評価を得て、何よりも観客からの大きな愛が注がれてきた『CLUB SEVEN』からひと時離れて、新しいショーを作る。その挑戦にどれだけ膨大な労力が必要かを思うと、空恐ろしいような気持ちがしたものだ。現実問題として、『CLUB SEVEN』ならばすでに固定のしっかりしたファン層が観客として担保されているが、作り手ばかりでなく、観客側の想いが深いほど、新しいショーもまた、即座に受け入れられるという保証はどこにもない。『GEM CLUB』はすべてが、1からのスタートを切らなければならず、玉野の賭けは、新しいショーへの期待と同等のリスクを伴うものだったはずだ。

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けれども、それら一抹の不安は、この新しいショー『GEM CLUB』に接した瞬間弾け飛んだ。玉野がなぜ、若い世代を引き上げる為の、新しいショーを作ろうとしたか、なぜ『CLUB SEVEN』ではなく、新たな『GEM CLUB』でなければならなかったのか、その答えが、このショーの中に、すべて注ぎ込まれていた。大まかに言えば1幕はショーのリハーサル、2幕はショーの本番という作りなのだが、様々な仕掛けがあり、アクセントがあって、統一感はありつつ飽きさせない舞台が、何しろ熱いのだ。

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中河内雅貴、相葉裕樹を中心に、植原卓也、矢田悠祐、更に若い面々、高橋龍輝、荒田至法、大久保祥太郎、渡辺崇人、石川新太が踊り、歌い、走り、飛ぶ。その頑張りと光る汗から立ち上る爽快感は、ちょっと形容のしようがない。「青春の輝き」とか、「若さの直情」とか、今、言葉にしてしまうとあまりにも気恥ずかしい、むしろあからさまにするのがカッコ悪いと思われかねないような、ひたすら真っ直ぐなもの、一生懸命なものが、ここにはてらいもなく打ち出されていて、そのストレートさが理屈抜きに胸を打つ。生身の人間が目の前で表現する、ライブならではの、ショーならではの、更に、若さならではの良さが、この『GEM CLUB』には詰まっている。決して『CLUB SEVEN』を否定するのではなく、全く新たな「原石」なればこそ、「GEM」なればこその、玉野が描く新しいショーがここにあった。

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中でもやはり、中心となる中河内雅貴のワイルドさを秘めた男っぷりと、相葉裕樹の甘さをたたえた爽やかさは実に良い好対照だし、植原卓也のクールなダンス、矢田悠祐の豊かな歌声は言うまでもなく、そうしたこれまで得意分野として認識されてきた以外の様々な挑戦を、全員が見事にこなしているのに感心させられる。4人に続く、高橋龍輝、荒田至法、大久保祥太郎、渡辺崇人、石川新太、それぞれの名前がきちんと印象に残るようにショーが作られていることも、玉野の次の世代を育てようとする、若者たちへの温かいまなざしあったればこそのことだろう。その玉野自身が総支配人としてリードする、バスケットボールや、階段を使ったタップダンスは見惚れるばかりだし、チーフマネージャーの原田優一の類いまれな歌唱力と、キャラクターに潜む可笑しみや、多彩な表現力が作品をしっかりと支えている。

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また、宝塚OGである女性陣2人の活躍も十二分だ。紫吹淳は昨今テレビのバラエティ番組などでお馴染みになった、摩訶不思議な個性がオーナーのミステリアスな役柄に生きた上、宝塚トップスター時代を思わせるカッコよさの披露もあるのは、ショーならではの贅沢さ。またやはりトップ娘役だった愛加あゆのキュートな魅力と、健康的なセクシーさが、男性陣の中にあってより輝くのも新しい発見で、『GEM CLUB』として披露された新メドレーで、歌い踊る溌剌とした姿が印象的だった。

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総じて、この『GEM CLUB』というショーのひたむきさが観る者に与える爽快感、これまでのどんなショーとも違う、新しい感動を呼び起こしたことが嬉しい。この作品に集う原石=「GEM」たちが、どんな輝きを放つ宝石に育っていくか、その道のりに客席からも夢を馳せられる作品となっている。

 

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〈公演情報〉
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SHOW HOUSE 『GEM CLUB』
作・演出・振付◇玉野和紀
出演◇玉野和紀 中河内雅貴 相葉裕樹 植原卓也 矢田悠祐 高橋龍輝 荒田至法 大久保祥太郎 渡辺崇人 石川新太 原田優一 愛加あゆ 紫吹淳
●3/19〜4/1◎シアタークリエ
●4/8〜10◎サンケイホールブリーゼ
●4/11◎愛知県芸術劇場 大ホール


【取材・文/橘涼香 文中写真提供/東宝 下段写真/榊原和子】


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