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早霧せいなと咲妃みゆを中心とした宝塚雪組選抜メンバーによる、タカラヅカ・シネマティック『ローマの休日』が、6月14日〜19日までの名古屋中日劇場公演を皮切りに、6月25日〜7月10日まで東京赤坂ACTシアター、7月30日〜8月15日まで大阪梅田芸術劇場メインホールで上演されることになった。

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イタリアのローマを舞台に、新聞記者ジョー・ブラッドレーと、ヨーロッパの伝統を誇る王家の一員であり、各国を歴訪中のアン王女との、偶然の出会いと束の間の恋を描いた映画「ローマの休日」。名優グレゴリー・ペックと、この映画で一躍スターダムに駆け上ったオードリー・ヘプバーン主演による1953年公開のこの作品は、アカデミー賞で3部門を受賞し、ウィリアム・ワイラー監督が、主演の2人の魅力を余すところなく捉えた数々の名シーンと共に、公開から半世紀を経た今もなお、世界中の人々から愛され続けている。その不朽の名作が、早霧せいなと咲妃みゆを中心とした雪組により、新たにミュージカル化されることが決定。期待の若手作家田渕大輔脚本・演出のもと、ロマンチックで切ない史上最高のラブストーリーが、宝塚歌劇ならではの華やかな舞台にどう蘇るのか、舞台には早くも大きな期待と注目が集まっている。
 
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そんな作品の制作発表会見が、3月17日都内で行われた。会見はまず、ジョー・ブラッドレーを演じる早霧せいなと、アン王女を演じる咲妃みゆによるパフォーマンスからスタート。あまりにも有名な、ローマの街をヴェスパに乗った2人が駈けて行くシーンが再現され、一気に会場はロマンチックな『ローマの休日』の世界へ。スクープ記事をものにしたい一念の中に、王女に惹かれる気持ちが湧き上がることに、自ら戸惑うジョーと、本当は王女である身分を隠している自分に罪悪感を覚えるアン、それぞれが、心に抱える懊悩と互いへの思いが、見事なミュージカルナンバーとなって披露され、宝塚のミュージカル版ならではの『ローマの休日』誕生への期待が、一気に膨らんでいく。作品のエッセンスを短い時間の中で、見事に伝える素晴らしいパフォーマンスが繰り広げられた。

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その後、宝塚歌劇団小川友次理事長、脚本・演出を担当する田渕大輔、早霧せいな、咲妃みゆが登壇。それぞれの挨拶から質疑応答へと続いた。
 
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【登壇者挨拶】

小川友次 宝塚歌劇は今年102周年のスタートを切っておりますが、皆様のおかげをもちまして101周年に続き好調を維持させて頂いております。特に早霧せいな率いる雪組は、昨年の正月公演『ルパン三世』『ファンシー・ガイ!』からスタートを致しましたが、それからやはり昨年の『星逢一夜』『La Esmeralda』そして、今年、先日大劇場で千秋楽を迎えましたばかりの『るろうに剣心』と、早霧お披露目以来の大劇場公演、3作続けて100%以上の動員を記録するという、宝塚歌劇団の新記録を作りました。3作続けて100%以上というのは、柚希礼音の時にもあったのですが、それがお披露目からというのは宝塚歌劇団史上初のことでございます。そのような早霧の充実、また早霧と咲妃コンビの良さを中心と致しまして、この『ローマの休日』に挑戦致します。早霧の演技の幅、深みは、まだまだ出て来ている最中ですし、人格的にも素晴らしくそれが舞台に表れてきていると思います。その影響を受けて咲妃も本当に成長しておりまして、その2人による『ローマの休日』を演出するのが田渕大輔です。バウホールでの作品を3本発表して、こうして満を持して皆様に脚本・演出の作品をご披露致します。宝塚には今若い演出家がどんどん出て来ておりまして、彼にも大いに期待しておりますので、皆様ご支援賜りますようお願い致します。

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田渕大輔
 この度雪組のトップコンビで『ローマの休日』をというお話を頂きまして、私自身も学生の頃に観たとても思い入れのある映画で、オードリー・ヘップバーンとグレゴリー・ペック、皆様もよくご存知の映画の宝塚歌劇版を私にということで、とても興奮致しました。それと同時に、理事長からもお話がありましたように、とても充実している雪組でその作品が上演できることを光栄に思っております。早霧と咲妃は、芝居に温度が感じられる2人であり、また様々なキャラクターを演じてきたトップコンビで、皆が知っている、すでに出来上がっている作品を、宝塚の新たな作品として作り上げることに長けている2人であると思っておりますので、完成度の高い作品ではありますが、新たな『ローマの休日』として出して行ってくれるであろうと、私自身も期待しております。宝塚歌劇版であり、映画の良いところは踏襲しつつ奇をてらうことなく演出をしていけたらと思っております。どうぞよろしくお願い致します。

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早霧せいな
 今回『ローマの休日』ということで、世界的に有名な映画にまた私達が挑戦させて頂ける嬉しさと同時に、身の引き締まる思いを新たに持っております。雪組全体としての公演ではなく、半数ずつに分かれての公演となりますが、人数が減ったからと言って、お客様に今の雪組のパワーが減退したとは決して感じさせることのない、充実した公演になればと思っております。それから、名古屋、東京、大阪と三都市を巡らせて頂きますので、宝塚というものの良さを色々な都市の方々に感じて頂ける公演になればいいなと思っております。また私は田渕先生の演出の舞台に初めて出演させて頂くのですが、この制作発表の(パフォーマンスの)お稽古で初めてご一緒させて頂いた時から、この爽やかなルックスとは裏腹に、粘り強い演出をしてくださるのでとても楽しみです。小池修一郎先生に負けないくらいの粘り強さなので
(笑)。内容についてはこれから固めて行くと思いますが、稽古を期待して、皆様に本番の舞台を楽しみにして頂けるものにになればと思います。どうぞよろしくお願い致します。

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咲妃みゆ
 私は個人的にも昔から、『ローマの休日』という世界的に有名な作品の一ファンでありまして、公演のお話を伺った時には本当に興奮致しました。早霧さん率いる雪組の結集した力をお届けできますよう、一雪組生としても一生懸命挑戦して参りたいと思います。早霧さんもおっしゃいましたが、私も田渕先生の演出される作品に出演するのは初めてですので、先生のご指導のもと、宝塚版の『ローマの休日』をお客様にお楽しみ頂けるように一生懸命頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

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【質疑応答】

──世界的に有名な作品を宝塚化するに当たって、心がけることは?
田渕 新たなミュージカル作品として公演自体を成立させたいという思いもあるのですが、それにプラスして、宝塚歌劇団ならではの男役トップスターが演じること、女性同士で演じることの魅力を踏まえて、物語の軸となっている王女の成長物語だけでなく、新聞記者のジョー・ブラッドレーの方もより描けたらなと思っております。先ほどのパフォーマンスにも少し含ませて頂いたのですが、映画よりも若く野心家で特ダネを追いかけるジョーが、王女との出会いによって、大切なものに気づいて成長していく。ジョーの成長物語でもあるところを軸にして舞台を作っていけたらと思っております。
──「スペイン階段」ですとか「真実の口」ですとか、有名なシーンがたくさんありますが、差支えない範囲でそのようなシーンがどう表現されるのかを教えてください。
田渕 名所めぐりというところも作品のポイントになっていますので、2人がどんどん心を通わせていくシーンは表現していきたいのですが、映画は切り貼りができますが、それを舞台で再現するに当たっては、ローマの街中で2人が1日過ごす、自然な流れの中で、景色の移り変わりを表現していきたいと思います。
──田渕先生からご覧になった雪組のコンビの魅力は?
田渕 私はこれまで雪組さんとはなかなかご縁がなくて、先日『るろうに剣心』の演出助手をさせて頂きまして、本当に久しぶりに雪組さんの稽古場に入って、2人を観た時に、「これが『ちぎみゆ』か!!」と感じました。お客様に愛されている「ちぎみゆ」と呼ばれる由縁に触れた思いがしました。先ほど粘り強いと言って頂きましたが、それはもう本当に早霧さんにお返ししたい言葉で、もちろんトップ男役として早霧さんが引っ張っていくという伝統は踏襲しているんだけれども、お互いの芝居がちゃんと成立するのをストイックに待つんですね。それは見ていてもワクワクするところで、細かいことを言うよりも、大きなものを投げてそれが返ってくるのを待つ。何かゲームのような感覚で面白いんです。本当にこの2人のコンビをお客様が「ちぎみゆ」と呼んで愛してくださっている、その期待に応えるパフォーマンスにしていきたいと思っています。

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──その田渕先生の言葉を受けてお2人からは?
早霧 1つの作品を通して、今回は田渕先生ですが、演出の先生と私達が同じ土俵で作って行くというのが、私の理想とするところで、先生に引っ張って頂くのではなく、先生と私達生徒が共に作り上げることによって相乗効果が生まれて、よりお客様に楽しんで頂ける舞台になるのではないかという思いがあります。田渕先生はそれをきちんと受けて、私達のことをわかってくださっていながら、すごく「ここか!」というこだわりもお持ちです。優しくソフトなのですが、そのソフトな中に、先生の視野を感じるので、先生がどんな山を提示されても、そこを登って頂上でバンザイをできるような作品にしたいと思っています。
咲妃 田渕先生のお話を伺って嬉しく思っておりました。早霧さんもおっしゃっていらっしゃいましたが、先生と一緒に作り上げて行く舞台、そこで見えてきたものの中で息づけた瞬間というのはとても心地良いので、そうした瞬間をまた『ローマの休日』でも、経験できることを今から楽しみにしています。先生がこうやりたい、こうしたいという明確な意志を持って、今回の制作発表のお稽古も導いてくださったのが大変心強かったですし、一方で私達側の意見も聞いてくださって、和やかな雰囲気のもとお稽古を進めてくださったので、この先のお稽古期間もとても楽しみだなと感じております。
──どんな役作りをしていきたいですか?
早霧 名優が演じられた役ですが、でも宝塚の女性が演じるジョー・ブラッドレーをどのように演じるかによって、宝塚の良さが出てくると思います。決してグレゴリー・ペックさんの真似にならず、宝塚のこの雪組のメンバーだからこそ、そして相手役が咲妃だからこそ、早霧のジョーがこういう役になったと納得して頂けるものにしたいので、もちろん映画の世界観は大切にしたいと思うのですが、田渕先生が書いてくださった脚本の世界を大切に、新しい気持ちで取り組んでいきたいと思います。
咲妃 お話があまりにも有名ですし、お客様も物語の展開はご存知の方が多いと思いますので、名作の再現に走るのではなく、きちんとその瞬間、瞬間息づくことが舞台化する意味だと感じております。心を込めて地に足を着けて、そして新鮮に、早霧さんの演じられるジョー・ブラッドレーさんとの24時間の淡い恋を、私自身も楽しみつつアン王女を演じられたらと思います。

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──『ルパン三世』『るろうに剣心』『ローマの休日』と大変有名な作品の宝塚版を演じられることが続きますが、ヒット作を宝塚で演じることの大変さ、また楽しさは?
早霧 やはり、皆様の中にイメージのある作品ですから、自分も役としてそのイメージの中に入ることがベストだと思っていて「あ、イメージ通りだ!」と思ってくださる方が多ければ多いほどいいなと思っているのですが、それを再現するにあたって、アニメや漫画や映画ならば簡単にできることが、やはり生の舞台ですと急に変身する訳にはいかなかったり、などがありますので、その辺りの大変さは毎回感じます。でもだからこそ、生の温度を感じて頂けることが舞台ではできると思いますし、初日から千秋楽まで良い意味で移り変わって行く姿も観て頂けるので、それが舞台の良さだと思っております。今まで原作ものをやらせて頂く都度、初日が開いてからのお客様のご意見などから更にヒントを得て、楽しみながら膨らませていけたような気がしているので、やはり自分だけのイメージではなく、皆様がその作品をどう捉えておられるかということを、客観的にきちんと引いて見ることがいいのではないかと思います。自分自身が楽しみながら役に近づいて行く作業が、何度も原作ものを経験させて頂いてきたからこそなのか、良い意味でこなれて来ていて、アプローチの仕方を身体で覚えてきた感覚があります。オリジナル作品を作るのも、原作ものを作るのも、本当に変わらなくできていて、おかげ様で楽しくやれております。
咲妃 私はまだまだ模索中で、有名な原作のある作品の中で息づくということの大変さを実感している最中なのですが、組の第一線に立って早霧さんが、物語の中で役が必要とされる要素や特徴をきちんと明確に捉えつつも、ご自身ならではの息の通った舞台を作り上げておられるので、それを見習いたいと思う一心です。とても尊敬していますし、こういった名作がお客様にご好評を頂けるのも早霧さん率いる雪組全体の力だと思いますので、作品自体の仕上がりを褒めて頂けるのが、雪組の一員として嬉しいことなので、その喜びを胸に舞台を務めるのが楽しいです。

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──当日券に並ばれるお客様の列もとても長いと聞いていますが、宝塚ファン以外のお客様がご覧になっていることを感じることはありますか?
早霧 『ルパン三世』と『るろうに剣心』この2つの作品は、本当にお客様の幅を広げたな、男性のお客様、また年代の幅も広がったと感じています。当日券の列のお近くを通らせて頂くこともたまにあるのですが、その列を拝見する度に嬉しく思いますし、普段頂かない方々からのお手紙も頂いたりもしていて、直接皆様からの感想も頂くので、多くの方に宝塚を知って頂けるチャンスだと実感します。ですから、その方々にこの1作だけではなくて、ずっと続けて宝塚観に来たいと思って頂けることが1番の願いなので、原作があるということで注目して頂けるのはつくづくありがたいなと思っております。
──『ローマの休日』にも、また同じような関心が集まるでしょうね。
早霧 自分の青春時代を思い出すという、ある一定の年代より上の方々からのお手紙をたくさん頂いているのですが、逆に言えば、若い方達、むしろ映画を観たことがなかったという世代の皆様にも、今度は「じゃあ映画も観てみようかな?」と思って頂けたらいいですね。
──普段取材される側におられる早霧さんが、取材する側の役、記者を演じることについては?
早霧 私の役作りはもうすでに始まっております。今、こうして皆様が記者としていらっしゃるので(笑)。男役として日頃から男性を観察しておりますが、今こうして目の前におられる記者の方から、またジョー・ブラッドレーらしいものからヒントを得ることをこれからやっていく、やっていけることが楽しみです。
──ヴェスパの乗り心地はいかがですか?
早霧 普通免許は持っているので堂々と乗れるのですけれど、まだ怖いです(笑)。舞台という限られた範囲の中で自由に乗り回せるようになるように頑張ります。なんと言っても2人乗りなので、感覚が違って、ヘルメットなしで乗っていいんだという(笑)、今の時代捕まるよ!というね(笑)。でも楽しんで乗れるようにお稽古します。
咲妃 とてもお上手でした。
早霧 あなたが運転するシーンもあるので、よろしくお願いします。
咲妃 ご指導よろしくお願い致します。
早霧 私は指導しませんよ!(爆笑)。

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会見でも言及された通りの「ちぎみゆ」と呼ばれる、早霧せいな&咲妃みゆコンビならではの会話に、温かな笑いが広がった会見はこれで終了。三都市をめぐる公演が待たれる時間となっていた。

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〈公演情報〉
宝塚雪組公演
タカラヅカ・シネマティック『ローマの休日』
ROMAN HOLIDAY (R) & (C) Paramount Pictures Corp. All rights reserved.
脚本・演出◇田渕大輔
出演◇早霧せいな、咲妃みゆ ほか雪組
●6/14〜19◎中日劇場
〈料金〉S席8,000円 A席6,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉中日劇場 052-263-7171
〈中日劇場ホームページ〉http://www.chunichi-theatre.com
●6/25〜7/10◎赤坂ACTシアター
〈料金〉S席8,800円 A席6,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉阪急電鉄歌劇事業部 03-5251-2071
〈宝塚歌劇公式ホームページ〉http://kageki.hankyu.co.jp/
●7/30〜8/15◎梅田芸術劇場メインホール
〈料金〉S席8,800円 A席6,000円 B席3,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 06-6377-3800
〈梅田芸術劇場ホームページ〉www.umegei.com



【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】



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