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2016年の年明けとともに、ジェットラグプロデュース『罠』が新宿・紀伊國屋ホールで上演される。(1月8日〜11日)
「オンナ、微笑みながら牙を剥く」というキャッチコピーと『罠』というタイトルそのものから、想像される内容はどうしてもサスペンスフルになるのだが、さてその実態は如何なるものなのか、興味は尽きない。
そんな作品に主演する元宝塚宙組男役の緒月遠麻と、この作品で女優デビューを果たす元花組娘役華耀きらりが、作品への思い、また初共演となるそれぞれへの印象などを語ってくれた。

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どんでん返しが続いていくサスペンスコメディ

──今回の作品の台本を読んだ印象はいかがでしたか?
緒月 一観客として、楽しんで読んだというのが最初の印象です。自分が演じるという以前に、まず本として楽しく読めましたね。前回出演させて頂いた『希望のホシ』に続いて、今回もコメディで。サスペンスコメディよね?
華耀 そうですね。
緒月 私はコメディ作品が好きなので、その気持ちがご縁を呼ぶのかなと。私自身は、自分からあれがやりたい、これがやりたいというよりも、ご縁があって私がさせて頂けるものならば、というスタンスで来ているので、良いご縁に恵まれていると思います。
華耀 私もとても楽しく読ませて頂いたのですが、どこかで「自分にできるかな?」と思いながら読んでいたところもありました。全く経験したことのないジャンルのお芝居なので。
──タイトルからもサスペンスと思っていましたが、コメディの要素も?
華耀 サスペンスと言えば、最初からずっとサスペンスなんですけれど。
緒月 そこに面白いことがたくさん挟まってくる、サスペンスコメディです。
──そうだったんですね。そのサスペンスの部分で、お話になれないところもあるかと思いますが、それぞれの役柄について今伺える範囲で教えてください。
緒月 難しいんです(笑)。私は女優の役で、明日入籍を控えている婚約者がいます。彼は売れない俳優で、明日入籍をするにあたり私は……ううん、でもこれは言えないか。
華耀 すでに難しいですね。
緒月 本当に全部が「罠」なんですよ。だからかなり最初の方から言えないんですね。
──すべてが伏線になっている?
緒月 そうなんです。設定だけでも言ってしまうと、ネタバレになると言いますか、すべてが引っかかってきてしまうので。
華耀 私は川崎の「ラウンジガール」という、そんなにメジャーではない飲み屋のお姉さんという役です。性格は明るくて、協調性もあって、良い意味でも悪い意味でも長いものに巻かれてしまう、そんなタイプの女性です。
緒月 その彼女と私がどう絡んでいくか、私の婚約者とどう絡んでいくか、他の女性とどう絡んでいくか、そこをすごく話したいんですけれど、関係性を話せない(笑)。
華耀 幕が開いたら休憩なしで、エピローグまで続いていって、二転三転のどんでん返しがどんどん続いていくので、騙され続ける感じですね。台本をまず読んだ時も「えっ!?えっ!?」の連続だったので。
緒月 その流れにお客様も乗せられてくださったらね。
華耀 そうなってくださるといいですね。
──ではお稽古場も刺激的で、新しい発見はありますか?
緒月 すごく細かい芝居が効いてくる作品だと思います。ちょっとした動きや目線がすごく効果的になったりするので、今そういう方向でとても勉強になっていますね。周りの方のお芝居を見ていてもそうですし、自分もこうしたらお客様を導けるのではないか、という発見が色々と生まれています。もちろん過剰になり過ぎてしまうといけないので、さじ加減は難しいですが、作品自体に騙すとか、ひっかける要素がたくさんあるので、目の動きだけなどの細かい芝居がかなり重要ですね。ここで得たものが今後にも活かせるかな?と思います。
華耀 私はピンマイクをつけずに芝居をするのが初めてなので、声の張り方から勉強ですね。もちろん100%の力で台詞を張ればお客様に届きますが、全部張ってしまっては芝居が成り立たないので、抑えていても一番後ろのお客様まで届く芝居を、今学んでいます。難しいです。ただ共演者の方達も、ずっとストレートプレイをやってきた方から、アイドルの方もいらして、様々な芝居の仕方があるので、本当にお芝居の仕方って何千通りもあるんだなと思います。

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「青春」という言葉に尽きる「宝塚」での日々

──華耀さんは、この作品が女優デビューとなりますが、出演を決められた決め手は?
華耀 もちろんこれまで舞台に携わってきたので、何か舞台に関われたらと、漠然とは思っていたのですが、退団後絶対に女優になろうと思っていたというわけではなかったんです。ただ、表現をすることは好きなので、お芝居でもダンスでも何か表現することができたらいいなと思っていたのと、ストレートプレイをやってみたいという気持ちはずっとあったところに、このお話を頂いて、緒月さんが出られるということもあって、やってみようと思いました。
──やはり、様々な方達と新たなカンパニーを組まれる中で、同じ宝塚出身の方がいらっしゃるのは心強いですか?
華耀 それはもう、私は本当に心強くて!
緒月 私も同じです。共演者を聞いた時点で安心感がありました。前回『希望のホシ』は私1人で、でも、それなりに頑張れましたし、本当に楽しい思い出ばかりの公演にもなりました。石原プロの方達もなんでも来いと受け止めてくださり、また頼ってもくださって、お互いに寄り添って作り上げられたことが本当に心地良かったんです。パワーのいる作品でしたけれど、良い疲労感で終われたのは自分が充実していたからこそだと思いますし、石原プロの方達とは今でもつながりを持てていて、仲良くさせて頂いていて、全然所属じゃないのに「石原プロだ」とまで言って頂いて (笑)。
華耀 あ〜いいな〜!(笑)
緒月 行事にも全部呼んで頂けて、本当に出会いは宝だと思うし、この関係性をずっと続けてもいきたいと思っています。ですから、1人きりがどうとか、そんなことは全くないんですけれど、この『罠』で彼女がいてくれる安定感もまた、全く違うものがあります。滑舌も良いし、芝居の見せ方もわかっているので、安心できるし、頼もしいですね。
華耀 私はきたさん(緒月)と一緒に芝居ができるということが、けっこう皆から羨ましがられていて、ご一緒できるのが本当に光栄です。

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──宝塚時代には、お互いの存在をどうご覧になっていましたか?
緒月 サバサバした芸達者というイメージでしたね。そして実際にこうして一緒に芝居をさせてもらっても、そのイメージは変わりませんでした。本当にしっかりしています。
華耀 きたさんは、宝塚ではスターさんでいらして、同時に役者さんで、役者専科さんというか、そんなふうに思っていました。組も違っていたので共演させて頂く機会こそありませんでしたが、見て学ぶという存在でした。
──今、そんな宝塚を振り返っていかがですか?
華耀 青春でしたね。色々な喜怒哀楽があって、15年間沢山の事を本当に学ばせて頂きました。
緒月 青春だよね、もうその言葉に尽きる。楽しい思い出ばかりだし、好きな役ばかりだし。名前のないような「カフェの男」も「街の男」も楽しかったです。嫌いな役は全くなかった。
華耀 私も全く後悔はないですし、特に最後の3年間くらいは公演の度に全く違う、多彩な役どころを頂いていたので、前回この役をやっていたのと同じ人とは思えないと言って頂くことも多くて、それがとても楽しかったです。
──そこから現在OGの立場になられて見える「宝塚」は?
緒月 もう皆が可愛い!
華耀 あ、わかります!
緒月 一生懸命やっている皆が本当に可愛い。
華耀 そうですよね。
緒月 舞台上でも可愛いし、舞台を降りた楽屋でも色々なことを一生懸命やっているのも可愛い。その姿を見て改めて「青春だなぁ」と思うし、「今は必死かもしれないけれど、これが後々君たちの役に立つんだよ」と思いながら見ていますね。
華耀 退団してから舞台を観ると、あんなにまぶしいものなんだ!と思いますよね。
緒月 思う、思う!
華耀 現役時代には、観ていても色々と裏が見えるので「後でこれ言ってあげよう、あれ言ってあげよう」と思いながら観ていたのですが、全然違う場所に自分が来て、改めて宝塚を観ると、とにかくすごくまぶしくて、そのまぶしさが一番に飛び込んでくるようになりました。もう本当に皆がキラキラして見えます。
──ある意味でファン時代に近づいているような?
緒月 そう、きっと戻っていくんだと思いますね。
華耀 そうですね。

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 すべてが「罠」の芝居、そしてこれからの夢

──この『罠』の稽古を通して、また新たに今後のビジョンや夢などが見えてきていますか?
華耀 お芝居を作り上げることがとても楽しいと思えたので、やっていきたいと思いますが、自分としては「表現者」であることが好きなので、表現できる場所を与えて頂けたらその流れには乗りたいなと思っています。「女優」ですとか「ダンサー」ですとか、そういう言葉はおこがましいので、表現者としていられたらと思います。
緒月 私は芝居は大好きですし、ずっとやっていきたいのですが、その一方で結婚したいですね。あてはないのですが(笑)。やっぱり結婚、出産を経験したら、役者としても厚みが出るかも知れませんし。もちろんその為に結婚したいわけではなく、色々な人生経験を積みたいんです……なんて言って、ずっと役者一本でやっていたらすみません(笑)。「この人結婚したいって言ってたよね?」と言われるかもしれない(笑)
──いえ、「引退します」とさえ言わないで頂ければ。ずっと表現されている姿も観ていたいので。
緒月 需要があればなんですけどね!
華耀 本当ですね。
──たくさんの皆さんが待っていらっしゃると思います。最後に改めてこの『罠』の舞台に賭ける意気込みを。
緒月 新年早々の舞台ですし、こんなに忙しい時に来てくださるお客様に、1人でも多く満足して頂けるように、精一杯やりたいです。もちろん精一杯やるというのは、どんな時でも当たり前ですし、ベースにあることではあるのですが。今回も自分の全力を尽くします。
華耀 新年早々で、YouTubeなどで『罠』のCMが流れていて「すごく怖そうなんですが、お化け屋敷とか怖いんですけれど大丈夫でしょうか?」というお手紙を頂いたりしていますが(笑)。
緒月 その時点でもう「罠」ですからね!
華耀 そう、すべてが「罠」なので、ちゃんとお正月らしく終われる公演でもありますから、たくさん引っかかって頂けるように、一生懸命頑張りますので、怖がらずにいらしてください!

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華耀きらり・緒月遠麻

おづきとおま○愛知県出身。00年『源氏物語〜あさきゆめみし/ザ・ビューティーズ』で宝塚歌劇団の初舞台を踏む。雪組に配属後、温かな個性と、深い芝居心で頭角を現し、『ロミオとジュリエット』のティボルト、『ニジンスキー』のディアギレフなど、数々の印象的な役柄を好演。11年宙組に組替え後は、『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』のヤン役を皮切りに、組の中核メンバーとして活躍し、『風と共に去りぬ』のベル、『翼ある人々』のシューマン、役替わりで務めた『ベルサイユのばら』のアンドレとアランなど、多くの名舞台を残した。15年『白夜の誓い/PHOENIX宝塚!!』を最後に惜しまれつつ退団。朗読劇『約束』、ディナーショーを経て、石原プロプロデュース作品『希望のホシ』で女優として本格デビュー。今作『罠』出演のあと、4月には『月の角度』への出演が控えている。

かようきらり○東京都出身。02年『プラハの春/LUCKY STAR!』で、宝塚歌劇団の初舞台を踏む。花組に配属後、愛らしい容姿と卓越したダンス力で新進娘役として注目を浴び、08年バウホール公演『蒼いくちづけ』ルーシー/ヴィーナス役でバウホール公演初ヒロイン。09年バウホール公演『フィフティフィフティ』でもWヒロインを務めるなど、着実に成長。13年『愛と革命の詩』のアリーヌ、14年『ラスト・タイクーン』のヴィヴィアン、バウホール公演『ノクターン』のヒロイン・ジナイーダなど、清純な娘役から個性的な女役までを見事に演じて絶賛を浴びた。15年『カリスタの海に抱かれて/宝塚幻想曲』を最後に惜しまれつつ退団。今作『罠』が女優デビュー作品となる。


〈公演情報〉
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ジェットラグプロデュース『罠』
作・演出◇山崎洋平
出演◇緒月遠麻 華耀きらり 井端珠里 小林光 榊原徹士 廣瀬響乃 藤田奈那(AKB48)
●2016/1/8〜11◎紀伊國屋ホール
〈料金〉前売6,300円  当日6,800円  学生4,500円
〈チケットお問い合わせ〉ジェットラグ 080-5076-0481 info@jetlag.jp
〈公式サイト〉http://www.jetlag.jp/ 


【取材・文/橘涼香 撮影/大倉英揮】


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