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クリスマスから数えて十二日目の夜、「十二夜」に上演されたとも伝えられる、シェイクスピアの傑作喜劇『十二夜』が、3月8日〜30日まで、日比谷の日生劇場で上演される(全国公演もあり)

男女の双子を見間違えることによって起きるかん違い、延々とからみあう片思い、それらがロマンティックな狂想曲となって、賑やかに、また時に切なく描かれるこの作品を演出するのは、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで名誉アソシエイト・ディレクターを務めるジョン・ケアード。日本でも『レ・ミゼラブル』『ダディ・ロング・レッグス〜足ながおじさんより』の演出などで、広く人気と信頼を集めている演出家の謂わば本領発揮の場とあって、すでに大きな注目が集まっている。

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そんな作品で主人公の双子の兄妹を二役で演じる、元宝塚雪組トップスターで、現在女優として活躍中の音月桂をはじめ、小西遼生、中嶋朋子、橋本さとしの、主要メンバーとジョン・ケアードが集い、2月6日都内で制作発表会見が行われ、それぞれが作品に賭ける意気込みを語った。当日は天候にも恵まれ、ポスターにも描かれている緑豊かな森の中をイメージしたフォトセッションを含め、和やかな雰囲気の中で会見は進行。舞台への期待が高まる時間となった。

【登壇者挨拶】

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ジョン
 私が最も好きな芝居のひとつであります『十二夜』を演出できますことを、とても嬉しく思っております。多くの芝居の中でもとても美しい芝居でありますし、それを日本の皆様の前で披露させて頂くことを光栄に感じております。特にお気に入りの俳優たちと一緒に上演することができるのが嬉しいです。

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音月
 皆さん、本日はお忙しいなかありがとうございます。双子の兄のセバスチャンと妹のヴァイオラの二役を演じさせて頂きます音月桂でございます。お稽古がはじまってまだ1週間なのですが、本当に毎日が濃厚で充実していて、1週間というよりも、もっともっと月日が経っているという印象でした。昨日はお天気が悪かったのですが、今日は打って変わって素敵なお天気で、実は私雨女だったのですが『十二夜』の制作発表に向けて、今日晴れたので天気も『十二夜』を応援してくれているのではないかととても幸せです。今日はよろしくお願い致します。

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小西 オーシーノー公爵役を演じます小西遼生です。シェイクスピア作品にジョンの演出で初めて参加できることを、まずとても嬉しく思っています。セリフが難しくて、まだ覚えるのに精いっぱいなところはあるのですが、稽古を進めていく中でジョンがひとつひとつすごく本質的なことを教えてくださって、それを聞くとすべてが腑に落ちていくような感覚がたくさんあります。作品を多くののお客様に観て頂きたいのですが、自分自身にも響いてくるものを感じています。素敵な先輩方が大勢いらっしゃいますので、たくさん学びながら稽古をして本番を迎えたいと思います。よろしくお願い致します。
 
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中嶋
 (思わず笑いをもらしてから)オリヴィアを演らせて頂きます中嶋朋子です。本日は本当にありがとうございます。なぜ笑ったのかと言いますと、いつまでお姫様ができるのかな?とつい自分に突っ込んで笑ってしまいました(会場爆笑)。ジョンとシェイクスピアができるってこんなに幸せなことはないなと、毎日感じながらお稽古させて頂いております。ジョンはシェイクスピアと友達だったんじゃないか?と思うくらい、生きた知恵のすべてを私たちに託してくださり、私たちの中からも発見があるようにしてくれるので、本当に幸せな毎日です。きっとお客様にもたっぷりとギフトをお届けできるのではないかな?とそれも興奮しながら待っています。たくさん色々と舞台をさせて頂きましたが、こんなお稽古はあまりできる経験ではないと思ってさせて頂いています。皆すごく仲良しで明るくて、この雰囲気を皆様にお届けしたい思っています。よろしくお願い致します。

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橋本
 マルヴォーリオ役の橋本さとしです。ジョン・ケアードさんとは『ベガーズオペラ』『レ・ミゼラブル』『嵐が丘』という作品で一緒にさせて頂いて、いつかはシェイクスピア作品をご一緒させて頂きたいとずっと思っていたので、嬉しいです。ジョンさんの要求される緻密な演出と、シェイクスピアに対する愛情がすごくて、毎日毎日それについていくのが必死ですが、シェイクスピアのセリフというのは美しくて切なくてとても面白い。ジョンと、この素敵なキャストと、制作陣と共に『十二夜』を上演できる、そこに参加できることをとても幸せに思っています。『十二夜』というのは喜劇なんですが、喜劇でお客様がシーンとなっているというくらい悲劇なことはないので、是非会場の皆様にこの作品の楽しさ、素晴らしさが伝わるように、そして皆様に愛されるように頑張っていきますので、よろしくお願い致します。

【質疑応答】

──シェイクスピア喜劇の面白さと難しさは?
音月 本を読んで感じていたことが、実際にお稽古に入ってかたちを作ってきますと、やはり一筋縄ではいかないんだなということを、決して甘く見ていた訳ではないのですが感じています。私はシェイクスピア作品は宝塚に在団中に、その頃は男役だったのですが『ロミオとジュリエット』を経験していて、そちらは悲劇でしたから、本当に同じシェイクスピア作品でこれだけ色が違うものを演じることができるというのを幸せに思いながら、難しさも感じます。演出のジョンが一番言ってくださるのは、間を空けないということで、まだまだ習得できてないのですが、1人のセリフの中でもあまり間を空けない、そして相手とのセリフのやりとりもあまり間を空けないので、感情の持って行き方が今まで私がしてきた演技法と言いますか、演じ方とは全然違っていて、今、そこにぶつかっている最中です。まだつかみきれていないので、日々戦いですけれども、稽古を重ねながら身につけていきたいなと思っています。 
小西 この作品に関して今思っていることは、登場人物は皆真剣なのですが、その思いが重ならないと言いますか、常に追っかけっこをしているようなところ、複雑に入り乱れている部分がとても面白くて、オリヴィアを思って、ヴァイオラが男装している小姓のシザーリオンに思いを打ち明けているところなど「その理想の相手目の前にいるじゃん」と思うのに、それに気づいていない可笑しさ、面白さがあります。喜劇ということに関しては稽古場でジョンが言ったことで印象的だったのが「子供が笑えるものが喜劇で、子供が引いてしまうものが悲劇」という言葉、ちょっと簡単に言ってしまっているのですが、喜劇というと面白おかしくやっているものが思い浮かびやすかったのですが、真剣に台本に向かっていけば作りが勝手に喜劇になっていってくれるんだなということを、今は感じています。
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中嶋 2人が言ってくれたように皆で感じている毎日なんですけれど、悲劇と喜劇というものは分けられるものではないんだなと。人生の中で悲劇的な面と喜劇的な面は同時に存在するのをすごく感じながら過ごしています。喜劇だからという姿勢で取り組んではダメだし、桂ちゃん(音月)が言ってくれたように「間」というのはすごく重要で、とにかく私は喜劇の経験がほとんどないので、やっぱり私悲劇体質なんだなと(笑)思いながら、本当に難しいです。真意はどこにあるのか?とか、互いに丁々発止とやりあっているところで、本当にお腹の中にあるものはなんなのだろう?とか、見えない面白さがあるので、それを発掘するのが難しいけれども楽しいという稽古場でやっています。とにかくダイブしていますね。あまり考え過ぎず、もちろん自分の役柄のオリヴィアは緻密に作らなければ面白さも出ないのですが、その繊細さと同時に飛び込んでいくような距離感も必要で、すごくエネルギーを使います。でもやっていて幸せです。
橋本 本当に悲劇と喜劇というのは、隣り合わせと言いますか、背中合わせだなとつくづく思います。マルヴォーリオという役は結構皆さんに嫌われる役、いじめられる役で冷静に考えるととても悲劇の人なんですね。そういう人物が必死で生きているところが滑稽であったりとか、コメディを生んで愛すべき存在になっているのかなとつくづく思います。僕関西人なものですから、どうしても狙わないといけないんじゃないかという気持ちになるのですが(笑)、でも狙っていったところって大概外すんですよ。で、自然に行ったところに笑いが起きるという、それが次第に快感になりつつあります。狙って外した時には僕気が小さいので動揺してしまってセリフを忘れたりするので、できるだけ今回は狙わずに、中から自然に湧き上がることこそコメディだというところで、一生懸命その人物を生きていきたいなと思います。 
──演出側の立場としての喜劇の面白さと難しさは?
ジョン シェイクスピアの中期に書かれた喜劇がなぜこんなに面白いのか?を考えると説明できると思います。シェイクピアで面白い部分というのは、人間の弱い部分から生まれてくると思うのです。登場人物がそうなように、観客もそういう経験はあると思うのですが、自分が好きになった人が自分を好きになってくれず、そうでない人から好かれるというようなことが。この物語はオリヴィアの肉親の死からはじまる、すごく真面目な部分からはじまっているのですが、そこがシェイクスピアの天才的なところで、登場する人物たちがどんどんクレージーなことをしていくことによって面白くなっていく。それも特別なことではなく普通の人がしてしまうようなことなので、役者がそこを如何にリアルにものにしていくかで、面白さが決まっていくと思います。
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──『十二夜』という作品の魅力と、日本での上演に当たっての装置や衣装のプランは?
ジョン 他のシェイクスピア作品もそうですが、『十二夜』というのは素晴らしい芸術作品だと思っています。深いテーマがあり、読み返す度に新しい発見が必ずあります。それは典型的なミュージカルとは逆の位置にあって、歌って踊ってバーッと出てきて、視覚的に見せるというものとは違い、シェイクスピアの魅力は中身にあり、観客も一様にそれを感じていく、女性、男性、あらゆる年代の人が感じられるものです。芸術を愛する人びと誰しもが感じること、ベートーヴェンやモーツァルトの音楽を聞いた時に感じられるのと同じ感動が、シェイクスピアにはあります。またローマのシスティーナ礼拝堂に行って感じられるのと同じ、西洋芸術です。日本版は音楽にあふれる作品になっていて、ミュージカルとは違いますけれども、演技の一部として音楽があります。詩であったり、愛であったり、時の経過というものをテーマに、衣装も装置もとても美しいものになっています。有名なオペラを世界中で多く手掛けているヨハン・エンゲルスが素晴らしくデリケートに作ってくれました。ところで、私からケイさん(音月)に質問しても良いですか?男性役と女性役どちらが好きですか?
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音月
 演じる上でですか?えー、難しい質問です(頭を抱える)。そうですね、宝塚を退団して2年以上女優としてありがたいことに色々な作品をやらせて頂いてきましたが、このお稽古で少しずつ宝塚時代の男役が蘇ってきているんですね。特に今回は女性が男装する『ベルサイユのばら』のオスカルじゃないですけれど、そういう役柄もあり、男性役のお兄さんもあり、どちらも好きではあるのですが、えー、うーん、今は女性役が好きです。女性を演じるのが楽しいです。あー汗をかきました(笑)。兄妹を別々の役者さんが演じることも可能な台本なんですよね?
ジョン 以前、10年以上前ですが『十二夜』を上演した時には男女別々の俳優で上演しました。今回初めて1人の役者が2つの役をやるという演出にしていますので、毎日の稽古でとても興味深く見ています。ケイさんは本当に素晴らしくて、自然に男役ができる、西洋にはない宝塚の文化を感じます。
──シェイクスピア戯曲ならではの魅力、また難しさは?
音月 言葉の楽しさを考えながら皆でお稽古をさせて頂いています。シェイクスピアと言いますと、言葉遊びというイメージがありますが、遠周りをしながら素敵な道を歩いてきて家にたどり着くというような、美しく、また幸せな想像力を掻き立ててくれる印象です。難しいセリフもたくさんあるので、普段のお芝居にくらべると何倍もセリフが入りにくいところもあるのですが、今はそれも楽しめたらいいなと思っているところです。忙しいですけれど、毎日充実して幸せです。
小西 言葉の面白さと難しさをすごく感じます。英語で書かれているリズム、美しい音楽のようなものが元々にあるので、それを日本語に置き換えてやるというのがとても難しいと今は思っていて、韻を踏んでいるような美しさも言葉を発してみて初めて気づくこともあって、やればやるほど面白く、また難しいです。

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 中嶋 先日のお稽古でシザーリオンとオリヴィアのシーンがあったのですが、ジョンに、2人のセリフは続いていて、シザーリオンの言葉を継いで私が韻を踏んで話した時に、2人の言葉が詩になるんだよと言われて、普通は相手のセリフを受けて、考えて自分が話す、それだけでスリー・クッションくらい入ってしまうところが、ひとつの詩のように同じ呼吸で話すと、急に物語がふくよかになるんです。ついつい役者なので感情のことにばかり集中するのですが、そしてもちろん感情も持っていないといけないのですが、韻とかリズムとかを感じた時に詩のようなものがギフトとしていっぱい優美に詰まっているのがシェイクスピアの世界なんだなと感じました。あとはどうしても日本人はシェイクスピアと言われると構えるのですが、実は当時の時事ネタもいっぱい入っていて、ライトな部分と韻を踏む優美な部分が美しい織物のように交錯している作品だということを、ジョンのもとで楽しませて頂いてる状態なので、絶対にお客様にもそれを届けたいです。シェイクスピア?って構えてしまう部分が、この作品で終わりになるといいなと思っています。

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橋本 シェイクスピアと言えば全然関係ないのですが、僕、誕生日が一緒なんです(笑)。そこに勝手にものすごく縁を感じていいます。シェイクスピアが書かれた時代というのは、照明があるわけでもなく、セットがあるわけでもなく、映像で説明ができるわけでもない、設備が整っていない時代なので、そこで手がかりになるのは、やはり書かれているセリフだけなので、見に来るお客様もそのセリフからすごく想像力を膨らませたんだと思います。それだけセリフの力がすごいんですね。それをこの現代で、照明もバッチリ当ててもらって、色々な情報を入れてもらっている中でセリフだけで勝負をするシェイクスピアにチャレンジするというのは、役者にとってもとても刺激になるし、次につながっていきますね。それだけに役者の力量も問われてくるので、それに参加させて頂けるのはとても嬉しいので、今回も縁を感じながらチャレンジして行きたいと思います。 
──音月さん、宝塚退団後初の大阪公演となりますが、関西のお客様に向けてメッセージを。
音月 この質問をして頂いて改めて実感しました。大阪、2年、3年ぶりくらいでしょうか。宝塚にいた頃一番感じていたのは、関西のお客様と東京のお客様とではリアクションが違うということで、緊張感も違いました。関西がホームだったので、今回女優としてさせて頂いた上で、また男装の男役を演じるというところをお見せできるのが、本当に嬉しく光栄でちょっとドキドキもしています。温かく見守って頂けたら嬉しいですし、この作品で新しい音月桂を発見して頂けるのではないかと思いますので、そういうところも楽しみに観にいらしてください。
 
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『十二夜』
作◇ウィリアム・シェイクスピア
翻訳◇松岡和子
演出◇ジョン・ケアード
美術・衣装◇ヨハン・エンゲルス
音楽・編曲◇ジョン・キャメロン
出演◇音月桂、小西遼生、中嶋朋子、橋本さとし ほか
●3月8日〜30日◎日生劇場
〈料金〉 S席12,000円 A席7,000円 B席4,000円 ベンチ席1,2000円(全席指定・税込)
〈問合わせ〉 東宝テレザーブ 03-3201-7777

●4月7日 大分 iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ
●4月10日〜12日 大阪 梅田芸術劇場メインホール




【取材・文・撮影/橘涼香】


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