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今年の春、宝塚歌劇団を惜しまれつつ退団した元花組男役トップスター蘭寿とむ。その退団後の初舞台となるオリジナルダンス・ミュージカル『ifi』が、9月5日から東京・青山劇場で幕を開ける。
 
誰もが人生のなかで必ず抱いたことがあるだろう「もしもあの時、別の道を歩いていたら?」をテーマに紡がれるダンス・ミュージカルとあって、その選択によって異なる結末「A、B」2つのパターンでの上演が用意されているという凝った構成だ。さらに、セリフ劇ではなく各シーンをダンスで演じ分けるために、主演の蘭寿を囲んで世界レベルの実力派ダンサーが集結した。
蘭寿の退団公演での振付でも話題を呼んだ、マイケル・ジャクソンスタイルの表現に卓越するケント・モリは出演と振付を担当。「BAD BOYS OF DANCE」 を主催し日本でもお馴染みの天才ダンサーラスタ・トーマス、究極の身体を持つと讃えられる「H・アール・カオス」の白河直子、日本人で初めて「シルク・ド・ソレイユ」に出演した辻本知彦、幻のストリートダンサーと言われるストリードボードPなどなど、多彩な顔ぶれだ。

また振付にも各ジャンルの才能が集う。元宝塚男役トップスターであり、男役の魅力を存分に引き出す振付家として信頼篤いANJU、日本のトップアイドルの振付、また宝塚の振付でも脚光を浴びるSHUNは、振付に加えBバージョンにも出演。さらにイギリス、ウェストエンドのミュージカル界で新進気鋭の振付家Tim Jackson、クラシックバレエの技巧をエンターティメントに昇華するエイドリアン・カンターナと、多士済々である。
 
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ここにドラマ部分を担うメンバーとして、日本でも大人気の韓国スターで「SS501」のメンバー、パク・ジョンミン、『MITSUKO』『RENT』など日本での活躍とともに、アジア系俳優としてオフブロードウェイで初めて『ロミオとジュリエット』のロミオ役を演じたジュリアン(Aバージョン)、全員が音楽大学出身者で結成されたヴォーカル・グループ「LE VELVETS」の一員として活躍中の黒川拓哉(Bバージョン)らが参加。これら各方面から集まった才能を、作・演出の小林香が主演の蘭寿を中心に、いかに有機的に舞台に乗せるかに大きな注目が集まっている。

そんな作品の製作発表が8月21日、都内で開かれ、チケット購入者の中から抽選で選ばれた幸運なオーディエンスと、メディアに向けて、蘭寿以下出演者と小林が抱負を語った。

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製作発表はまずケント・モリの極めて短く抜粋されたものだというダンス・パフォーマンスからスタート。次いで蘭寿、パク、ジュリアン、黒川による劇中歌「メビウスの輪」の歌唱パフォーマンスや稽古場映像などが披露され、早くも作品世界が立ち上るようだった。

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続いて参加者全員が登壇。挨拶ののち記者の質問に答えた。

【挨拶と質疑応答】
 
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小林香 本日はお忙しいなか『ifi』の初めてのパフォーマンス披露の場にお越しくださいましてありがとうございます。まだ劇中歌は1曲しか披露しておらず、ケント・モリさんのパフォーマンスはもっとすごいんですけれど、短く見て頂いただけでも客席がこんなに盛り上がって頂けていることを嬉しく思っています。蘭寿さんから「見どころをたんまり喋るように」と仰せつかりまして、たんまりではなくコンパクトにまとめて(笑)お話したいと思いますが、「もし私があの時別の扉を開けたら?」「もしあの時違う選択をしていたら?」と思うことが生きていれば色々あると思います。この舞台はその「もし別の扉を開けていたら?」をダンスで表現している舞台となっています。タイトルもやっと「ダンス・ミュージカル」に落ち着きましたが、確かに『ifi』の世界はなんと表現したら良いのかわからない…という世界観になっております。なのでこれはぜひ劇場に足を運んで頂けたらと思います。
見どころはやはり、蘭寿とむさんの宝塚退団後初めての舞台ということで、この素敵な男性陣に囲まれて、どういう役を演じるか、なのですが。実は占い依存症の女性です。そしてケントさんが占い師ということになります。ケントさんの占い師というのは拝見していてピッタリではないかと、ケントさんご自身から発想しました。なんとも表現しようのないオーラを使わせて頂いて描かせて頂いたものです。舞台は、現実の世界と『ifi』の世界、もう1つの扉を開けた先の世界を描いていまして、Aパターン、Bパターンそれぞれで蘭寿さんの異なる顔をご覧頂きますので、楽しみにして頂ければと思います。また見どころはやはりキャストですね。振付家自体が多国籍軍になっているのですが、このキャストは、私も今まで色々異種格闘技、サファリパークみたいな動物園状態な(笑)ことをやって来たのですが、もう今回は表現のしようがないです。とにかくそれぞれの畑で戦ってこられた世界の一流のダンサー陣が物語のために1つになる。これがこの作品の最大の見どころだと思っています。それぞれがそれぞれの個性を発揮する舞台は幾つもあると思うのですが、個性を発揮しつつ1つの物語を語るという舞台を今回は作ろうと思っています。9月5日の初日まで、稽古場で毎日奮闘中ですが、初日、そして17日のBパターンの初日、素晴らしい舞台をお届けしようと思いますので、皆様どうぞ楽しみにしていらしてください。

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蘭寿とむ
 退団後初ステージということで、こんなにも豪華なキャストの皆様、そして小林香さんの描かれるオリジナルのダンス・ミュージカルのなかで、自分を表現できること、この場を頂けたことを本当に幸せに感じております。そして音楽も先ほど歌いました「メビウスの輪」をはじめ、美しい音楽が散りばめられております。映像なども含めて新しい舞台が繰り広げられるので、私自身もとても楽しみにしていて、更になんと言っても世界的なダンサーの皆様とご一緒できること、今お稽古をしていて毎日が本当に刺激的で、自分自身経験したことのない感覚を味わっています。私は女優のスタートですけれど、まずは自分で慣れる(笑)、そしてファンの皆様にも見慣れて頂いて(笑)、そこから作品の世界にどっぷり入って頂けたらなと思っています。
今、(小林)香さんのお話を聞きながら思っていたのですが、『ifi』もう1つの世界。退団してすぐから「これからどのような道に行きたいですか?」とよく聞かれるのですけれど、女優としてのビジョンが実は浮かばなかったところに、『ifi』という作品に出会って、自分がこうして行きたいという意欲がわいてきたり、進んで行きたい道が見えてきて、もしこの作品に出会わなかったら、この先の私は全然違っていただろうな…と思うほど手応えを感じている稽古場です。なので、ステージにあがったらどのように見えるか、皆様に楽しみにして頂ける舞台になると思います。Aパターン、Bパターンとありますので、何回も観たいと思って頂けるように皆様と一緒に作り上げていきたいので、よろしくお願いします。
 
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パク・ジョンミン
 韓国でも日本でも久しぶりのミュージカルなので、とてもドキドキしていますが、この作品に出会ったことが本当に幸せだと思うし、またこんなに立派な方々と共演させて頂けてありがとうございます。それからこのストーリーのなかで、自分の役名が「パク」で、自分と同じだけれどちょっと冷たい感じなんですが…韓国ではいつも下呼びなので「ジョンミン」なんですが、今回は「パク」で。皆それぞれケントさんもそうですが、役名が自分の名前なので、本当の自分の名前で芝居をするので、それも珍しい経験かなと思います。本当に見どころいっぱいの舞台になると思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 
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ジュリアン
 今回は日本で3回目のミュージカルなんですが、このスーパースターたちのなかで、ミュージカルをさせて頂けるのがまずすごく光栄です。ありがとうございます。で、今回はエンターテイメントショー、ダンス・ミュージカルなんでとにかくダンスがメインなのですが、僕、ダンスすごく上手いんですけど(爆笑)、梅芸さんたちから「今回ジュリアンはやらなくていい、歌と芝居に集中しろ」ということなので(笑)、僕としては歌と芝居でストーリーを…あ、ちゃんとストーリーはあります。ただダンス踊っているだけではないので、小林さんが作った『ifi』の世界を歌と芝居で伝えられたらいいかな?と思っているので、頑張ります。よろしくお願いします。
 
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黒川拓哉
 僕自身今回、ミュージカル初挑戦ということで、芝居とかセリフとか初めてのことなんでけれど、その分毎日の稽古が新しいことの連続でとても新鮮で充実しています。この稽古がいつまでも続けばいいなぁなんて思うほどなのですが、初日まで頑張ります。そして僕もダンスはすごく上手なんです
(爆笑)。でも梅田芸術劇場さんから「踊るな」と言われているので(笑)、歌に専念して頑張ります。『ifi』の世界を少しでも表現できるように、頑張りたいと思いますのでよろしくお願い致します。
 
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ケント・モリ
 宝塚100周年の蘭寿さん退団公演で初めて宝塚に関わらせて頂いて、その時蘭寿さんに出会って『宝塚∞夢幻』のステージでご一緒させて頂いた時に、蘭寿さんの大ファンになってしまいまして、宝塚の舞台の大ファンにもなってしまって、こんな素敵なステージや、カンパニーが日本にあったんだというすごいサプライズがあったのですが、それは女性だけの舞台なので、自分が同じステージに立つなんてことは想像もしなかったんですね。それが終わる直前にこの話を頂いて、しかも蘭寿さんが出られるということを聞いたので、もう二つ返事でやらせてください!と言いました。そのあと、このキャストの方々を見た時に、先ほども言われていましたが、本当に多国籍、ロンドン、ニューヨーク、LA からスタイル的にも目指していたところが違う人たちが集まっているので、本当に異種格闘技と言いますか、新しい世界が作り上げられるメンバーだと思っています。
僕は今回ダンスでということなんですが、本当は歌唄えるんですけど(爆笑)、今回は遠慮させて頂いているんですが(笑)、同じダンスをやっていると言っても、コンテンポラリーの人たちとかとは普段一緒にならないので、僕自身とても刺激的で、まったく違うスタイルに行ったりもするので、お互いにコミュニケーションが地球規模と言っても大げさじゃないくらい、新たなものを作り出して行っています。なので僕からお客様へのお願いは、皆さん盛り上がってください。皆さんが盛り上がってくださったら、僕もどんどん行きます!という感じなので、でも大人しくいられるとだんだん落ち込みだすので(笑)、ぜひ今回のステージは固くならずに思いっきり楽しんで観て頂けたら素晴らしいショーをお届けできると思います。僕自身、制作の段階でとても楽しみにしているので、皆さんもぜひ楽しみにしていてください。ありがとうございました。

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──『ifi』はもしあの時別の選択をしていたら?がテーマですが、皆さんがもし今の人生ではなかったとしたら、どんな人生を送りたいですか?
蘭寿 うーん、今もう大満足なんですよね。あぁ、そうですね。男性に生まれたかったかな?
──無茶苦茶カッコいい男性になっていたでしょうね。
蘭寿 そうですか?うん、そうだと思います(笑・拍手)。
──他のキャストの皆さんも、カッコいい蘭寿さんをご覧になっていますか?
ケント 僕は宝塚時代にご一緒させて頂いていますから、もうねぇ、カッコよすぎて生まれ変わったら蘭寿さんになりたい!と思ったくらいです。でも、今は女優蘭寿とむとして、メチャクチャ素敵なんですよ。だからもうスイッチをパチッと変えたくらい、男役の蘭寿さんじゃなくて、とても素敵な女性なので楽しみにして頂きたいです。
パク 生まれ変わったら?ですよね?僕は…人間じゃなくて、犬とか…動物に生まれ変わりたいです。
ジュリアン 今、ジョンミンが犬って言った途端に、皆「来た、来た!」って言いましたよ。本当にそんな感じなんですよね。
パク あ、でも僕、ジュリアンに生まれ変わってもらいたいものはあります。動物ではなくて虫。昆虫のカマキリ。
ジュリアン カマキリね。まぁいいんじゃないですかね(笑)。
パク 自分では何に生まれ変わりたい?
ジュリアン 僕は…ケントさんみたいに身体を自由自在に動かせるようになりたい。本当にすごいんですよ。今回このミュージカルの稽古場に行って、初めてダンサー達を見て、うわ〜と思って、これやりたかったなぁって。
ケント ジュリアン、遅くない!始めましょう!
ジュリアン お願いします。ですから人生もう1回生まれ変わるとしたらケントさんですね。
ケント 俺はジュリアンだよ。
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──相思相愛ですね。黒川さんは?
黒川 いい感じに盛り上がってきたところで恐縮なんですけれど、実は家系が教員家系で、自分も大学で教員免許は取ったのですが、生まれ変わったら学校の先生になりたいです。
蘭寿 わー、習いたい!
──何の先生に?
黒川 免許持っているのは音楽なんですが、本当は理科の先生になりたいです。
──ケントさん、蘭寿さんの退団公演からご一緒されて、蘭寿さんのダンサーとしての魅力と、それを振付にどう生かされたいですか?
ケント 僕の蘭寿さんの印象はひと言で言うと、とにかく素敵。「素敵」っていう言葉にすべて集約されると思っていて、ステージではもちろんですが、僕らは作る過程を知っているじゃないですか。その裏側の蘭寿とむも更に素敵なんですね。僕はダンサー蘭寿とむは「素敵」というワードを持っている方だと思っています。この舞台では振付の方がそれぞれ違うので、そのそれぞれのスタイルに蘭寿さんはアジャストしていかなければならないんですけれど、僕の場面でやる蘭寿さんはちょっと違った要素と言うか、僕のスタイルをフュージョンしたものをやってもらいたいなと。そうしたらまた違う蘭寿さん、でも蘭寿さんに元々ある「素敵」な部分はそのままの蘭寿さんを観て頂けるののではないかと思っています。
──それを聞いて蘭寿さんはいかがですか?
蘭寿 そんなふうに表現して頂けて嬉しいなと思います。これから2人で踊らせて頂けるシーンがあると…。
ケント (指を立てて)しー!(笑)
蘭寿 (笑)…あると伺っているので、ガッツリと。ケントさんの振りは『宝塚∞夢幻』の時もそうだったのですが、足の動きなど独特の動きが多いので、難しかったのですが、またハードルが上がるのではないか?と思っているので、そこは教えて頂いてバシッと決めたいなと思っています。
ケント クライマックスの場面ですけれど、いいものにしようと思っています。
──多国籍軍のメンバーをまとめるのは大変だったかと思いますが、演出されるに当たって一番大切にされたこだわりは?
小林 「大変だったかと思いますが」とおっしゃられたのですが、今まさにその濁流に飲み込まれている最中でして、これだけ違う個性を持った方々ですし、違う言語を持った方々なので、その方々の個性を生かしつつ、いかにしてそのバラバラのものが1つになっていくか?を今回の舞台ではぜひ実現したいなと思っています。ただ、1つにまとめて行くということは、私1人でできることではなくて、それぞれの方々の心が自ずと1つの方向に流れていかないとまとまらないので、違う考えを持った方々の話をきちんと聞く、考えを聞くということで私自身が変わる、そして私の考えもまた伝えるという作業をしていく。演出家からの、上からの強制というようなことでは決してなく、なるたけ多くコミュニケーションを交わしながら1つの方向を示すことをやっているつもりです。
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──5人の振付家がいるなかで、ケントさんが果たされる役割は?
ケント 今回日本でやるプロジェクトに際して、僕自身初めてのことが多くて、他の振付師の人の振付を入れられるというのは、違うスタイルに合わせるということですから、個々の個性も活かしつつ、上手く新しい言語を取り入れながら自分の言葉で皆さんと会話をしないといけないなと思っています。例えば日本初上陸で、アメリカで話題になっているストリートダンサーの子がいるのですが、その子がまったく挑戦したことがない振付をやっていたりとか、色々な初挑戦があるなかで、一番良いバランスを見つけていくことなのかな?と思います。
──全員でピタリと合わせることにかけては日本一と言われる宝塚から、異種格闘技のような舞台に臨まれて新たな発見は?
蘭寿 本当にきっちり揃える美学というのが宝塚にはありますが、今回は皆さんがおっしゃっているように色々なジャンルの方々がいらしているので、手の角度が…というようなことではなく、場面場面の出す色を揃える作業をしていて、映像撮影をしているのを見ながら思ったのですが、思いは1つなんだなということを一番感じたんですね。それぞれの思いが、場面ごととか、ストーリーですとか、作品全体に対して1つであるということ。ダンスだけではなく、歌も芝居もそこを大切に作っていけたらと思っています。
──先ほどこの作品に出会って新しいビジョンが見えて来たというお話がありましたが、具体的にはどのような?
蘭寿 私に関して言えば、まず男役の発声ではないところでいまトレーニングしていて、今の方が自然に声が出せるな…というのが正直なところあります。ですからもっとトレーニングしていきたいという思いが強くなっているのと、お芝居については最初ジュリアンとお芝居させて頂いた時に、リアルであまりにも上手で衝撃を受けて、「うわー、楽しい!」と思って。男役の時には自分のなかから出て来たものを、娘役を包んであげたいとかそちらの方向に持っていっていたのですが、そうではなくて、自分のなかに流れるものをそのまま伝えていくキャッチボールがすごく楽しくて、お芝居ももっとやっていきたいなと思いますし、本当に黒ちゃん(黒川)もお芝居初めてと言っていますが、バーンと来てくれるので、私も楽しいです。ですから欲張りですけれど、全部やってみたい! 色々な可能性を求めて色々なことにチャレンジしたい思いが強くなっています。
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【囲みインタビュー】

続いてフォトセッションで会見は和やかに終了。さらに蘭寿、ケント、パクが囲み取材に答えた。
 
──蘭寿さんの女優としての魅力は?
パク 僕は初めて会った時から女優として見ていたので、宝塚の男役だったということを聞いていなかったら、普通に女優と感じたと思います。そのくらい自然で良かったと思います。
──女性としてはどんな魅力が?
パク すべてです。すごい優しくて色々なところを見てくれますし、僕に足りないところがいっぱいあるので、それに気を使ってくれて、ちっちゃいところでも見てくれるので、とても女性的な配慮がある方だと思いました。
ケント 本当に気配りがすごいんですよ。毎日、蘭寿さんの僕らへの感謝の気持ちみたいなところで差し入れをもってきてくれたり、すごく僕らのことをケアしてくれる気持ちが伝わるし、もちろんリハーサルでの集中力にもすごいものがありますし、この舞台のポスターはじめの赤いスーツを着ているものを撮った時に、すでに女性になっていることに、僕は男役の蘭寿さんを見ていたのでまず衝撃があったんですね。あ、こういう風になっていくんだと。で、初日のリハーサルを終えた時にも、僕のなかではまだ半分半分みたいな気持ちがあったんですが、2日目くらいからはもう完全に「女優・蘭寿とむ」になっていて、逆に男役だった頃の蘭寿さんがあまり想像できないくらいで、その変わり方がマジックのようですごいなと。そして女優としても人としても、さっきも言ったように気配りや感謝の気持ちがすごいし、もらった振付ひとつにしても雑に扱わずに、時間が空いたらすぐ練習している姿から、僕らも学ばせて頂いています。そういう意味で「素敵」な人ですね。
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──蘭寿さんから見たお二人のパフォーマーとして、また男性としての魅力は?
蘭寿 パク君とはデュエットがあるのですが、必ず目を見て思いを伝えてくれるので、一緒にやっていく上ですごく嬉しいです。男性としてもこの長身に甘いルックスなので、ドキドキするんですけれど、それこそ細かい気配りで常に「大丈夫?」とか声をかけてくれるのですごく優しいなと思って助けられています。ケントさんはあまりにスーパーダンサーすぎて、振付を受けた時にも本当に嬉しかったですけれど、こんなに世界的に活躍されている方と共演させて頂けるということで…お芝居もね。
ケント ちょっとねぇ。
蘭寿 セリフもあるんですよね。ですから新しいことへの挑戦でもあるんですけれど、ケントさんも優しいですし、面白いところもすごくあって、その面白さで大変な時にみんなを和ませてくださったり、そういうところに温かさを感じますし、もちろん男性としても素敵な方なので。一緒に踊らせて頂くのも
ケント ガチで恐縮してます。
蘭寿 いえいえ、本当に素敵な方達とさせて頂くのを幸せに思っています。 
──宝塚のトップスターとして組を率いていく責任から、1人の女優として作品に入っていく上で、気持ちに変化は?
蘭寿 トップの時には重責も感じていましたし、皆を引っ張っていかなければならないという思いも強かったので、今、個人としての自分を見つめ直す良い機会でもあって、男役を外したところで、今、何ができるのかを。いまは自分のなかから沸き上がったものをシンプルにそのまま表現しているという段階で、多国籍軍の中で皆さんとても個性的なので、そこで自分をいかにのびのびと表現できるかに集中してお稽古に臨めているので、ありがたい環境だなと思っています。
──とても表情が柔らかくなられましたが。
蘭寿 毎日が楽しいです。もう起きるのが毎日楽しい。 
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──多国籍軍とおっしゃるメンバーですが、ウォーミングアップなどで新たな発見は?
蘭寿 筋トレとかすごくて、一緒になってやろうとするんですけれど、全然続かなかったりもして、筋力がすごいなぁと。私も肩リフトして頂いたりもするので、いつも上げてたのに!と新鮮です。
──男役の癖が出て遂足が開いてしまったりなどは?
蘭寿 そうならないように、今日は頑張りました(笑)。
──同時期にともにトップスターだった方達が退団発表をされていますが。
蘭寿 100周年記念式典などで一緒だった仲間などで、いまちょうど壮一帆も退団公演をやっていますが、同じ時代を一緒にやってきた者同士ですから、その時代が終わってしまうのかな…と思ったりもしますが、皆それぞれの組を引っ張ってきていて、一番輝いている時期だと思いますから、最後まで全うしながら輝いて欲しいと祈っています。
──蘭寿さんやパクさんなどとご一緒に舞台に立つことについて改めて。
ケント 僕は小さい頃からダンス教育を受けてきたという人間ではないので、自分がやっていることは昔も今も変わらず、音楽を聴いて自分のなかから出て来たものをナチュラルに表現するという作業をしているのですが、宝塚でやらせて頂いた時にもそれを受け入れてもらえて、今回もスタンスややり方は海外でも日本でも全く変わりません。ですから変わらないからこそ、この舞台にそれを残すことが色々なブレンドのひとつの味付けとして必要になってくるのかな?と思っているので、今回だけ敢えて特別に変えることはせずに、この舞台で求められている音楽や世界観のなかで表現したいと思っています。
──世界的なスターたちと共演する上でのプレッシャーの克服法は?
パク 本当に素晴らしい方々と共演できて嬉しいです。ありがたいと思っています。僕も実はダンスとか上手いんですけど(笑)、今回は踊りはそんなにはないんですね。歌など色々なパフォーマンスが流れとして混ざっていて、それが1つのストーリーになるという演出家の思いがあるので、それを信じてやってます。僕にとっては日本語のセリフのイントネーションが一番難しくて、「おはよう」と言うとすぐ…。
蘭寿 セリフが始まっちゃうのね(笑)。
パク そう!「おはよう…それで兄貴が…」とかセリフを言っちゃうんですけれど、皆嫌がらなくて優しく一緒にやってくれて、本当に共演している皆さんが優しいので頑張って付いて行っています。 
 
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オリジナル・ダンスミュージカル
『ifi』
作・演出◇小林香
出演◇蘭寿とむ/パク・ジョンミン、ジュリアン(Aバージョンのみ)、黒川拓哉[LE VELVETS](Bバージョンのみ)/ラスタ・トーマス/白河直子[H・アール・カオス]/辻本知彦/ストーリーボードP/ケント・モリ 他
●9/5〜21◎青山劇場(5日〜14日 Aバージョン、17日〜21日 Bバージョン)
〈料金〉S席¥10,800
 A席¥8,800
(全席指定・税込) 
●9/26〜28◎シアタードラマシティ(Bバージョンのみ公演)
〈料金〉¥10,800(全席指定・税込)  
〈問合わせ〉梅田芸術劇場
 東京/0570-077-039 
 大阪/06-6377-3888
〈公式サイト〉http://ranjyu-ifi.com/



【取材・文/橘涼香 撮影/榊原和子】


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