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谷崎文学の美しさと儚さと無常感を表現する

昭和10年代、大阪・船場の木綿問屋の4姉妹を主人公に、時代と季節が移り変わるさまを描いた谷崎潤一郎の名作小説『細雪』。初演の66年からすでに上演回数1400回を超える名作舞台が、6月に明治座で幕を開ける。
長女鶴子に高橋惠子、次女幸子が賀来千香子、三女雪子には水野真紀。そして今回、四女の妙子として初めてこの作品に出演するのが大和悠河。この美しく雅な世界に加わる喜びを話してもらった本誌のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介する。 

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姉妹という独特の関係がいいなと

──『細雪』は憧れの作品だったそうですね?
はい。私もいつか出てみたいと夢みていた作品ですから、とても光栄です。小説ももちろん読みました。そして今回、明治座さんでの公演ということも嬉しく思っております。明治座さんには初めて出させていただくのですが、和風の劇場なので、日本情緒いっぱいのこのお芝居にぴったりだと思います。
──悠河さんが演じる妙子は、4姉妹の末っ子ですね。
恋愛事件を起こしたりする活発な女性です。人に流されずに自分が思ったことをやってみる、そういうたくましさや好奇心旺盛な個性を持った妙子の、とくに現代的な面をうまく出せたらと思っています。妙子は和服だけではなくワンピースを着る場面もあるのでそれも楽しみです。
──そんな妙子と3人のお姉さんの関係も面白いですね。
この作品の姉妹の関係がすごく好きなんです。私には兄しかいないので、小さいころは「おねえちゃんが欲しい」と親に無理を言っていました(笑)。姉妹というのは特別な関係だなと感じていて、この『細雪』も、姉妹それぞれの生き方が違うし喧嘩もしますけれど、根本で繋がっている。それがすごくいい関係になっていると思います。
──姉妹とはいえ女性同士の嫉妬や確執もうまく描かれていますね
とくに妙子は一番下で、まだ小さいときに母親が亡くなっているので、親に甘えられなかったという思いがどこかにあるんですよね。末っ子ならではの、自分ももっと見ていてもらいたいという気持ちもあって、だから次々に恋愛をするし駆け落ちしたりもする。目立ちたい気持ちもあるし、かまってもらいたい。でも素直に甘えられない。そこが男性から見ると放っておけない感じになるんでしょうね。いい意味でのプライドや現代的な行動力を持ち合わせていて、無意識のうちに潜在的な思いがさまざまな事件や出来事を引き起こしてしまうのですが、姉妹の間のお互いを思い合う気持ちや絆があるからこそのことだと思います。

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「船場ことば」のはんなりを体に入れて

──姉役の方たちとは初共演だそうですね?
はい。ですが初めてとは思えないくらい皆さん心を開いて、すぐ受け入れて、というより引き入れてくださって(笑)、あっという間に“姉妹”にしていただきました。本当に感動しました。
──作品に愛情があるのでしょうね。
そうなんです。それはスタッフさんたちも同じで、この『細雪』という作品に誇りを持っていて、とても温かくて素敵なカンパニーです。私も早く溶け込んで、いい舞台にしなければと思っています。
──『細雪』の大きな魅力に姉妹が話す「船場ことば」がありますね。
はんなりしているんですよね。私は宝塚に17年間いたので、関西の言葉には耳慣れているつもりなのですが、1月に出させていただいた『売らいでか!』では、苦労しました。ですから「船場ことば」はさらに大変なことだと心しております。でも関西の言葉はリズムがいいので話しやすいんです。言いづらいことでもパッと言えるし(笑)。ある意味でこの舞台の要でもあるので、早めに「船場ことば」のイントネーションを体に入れておきたいと思っています。
──谷崎の小説も読まれたそうですが、どこが魅力ですか?
日本人ならではの儚さと無常感とでもいうのでしょうか。時代の大きな変化が背景にあって、姉妹それぞれに小さな事件が起きる。決して大きな事件ではないけれど、もちろん本人たちにとっては大変なことなのです。そのなかで時が流れ季節が移り、そして姉妹の心も移ろい、人生も先へとすすんでいく。とくに最初と終わりが好きで、いろいろあって、うまく終わりそうだけど、そうはいかないよ、と想像させられるような。
──名作ならではの奥の深さですね。今回は姉妹の着物姿も見どころですが、悠河さんは和物のお芝居によく出ていて、着慣れていますね。
1年に1作は必ず出ています。日本舞踊も大好きで、宝塚時代も和物の作品を楽しみにしていたのですが、意外と少なくて、むしろ退団してから和物によりいっそう縁があるようになりました。演じる妙子は、ふだんから着物で生活しているわけですから、そう見えるようにうまく着こなしたいですね。そして最後のお花見のところは豪華な着物を着させていただきますので、ぜひお客様にも目で楽しんでいただきたいです。また、地唄舞の「雪」を舞う場面も見どころのひとつですので、気持ちをこめて演じたいと思っております。

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やまとゆうが○東京都出身。95年宝塚歌劇団入団。天性の華やかさと抜群のスター性で早くから抜擢され宙組トップスターとして活躍。09年退団、以後、女優として映像や舞台で幅広く活躍中。主な映像はドラマ『彼岸島』(TBS)、バラエティ『関ジャニの仕分け∞』(テレビ朝日)情報番組『地球アゴラ』(NHK-BS1)『Rの法則』(NHKE テレ)など。最近の主な舞台は『DREAM LADIES』『生田川』『美少女戦士セーラームーン』『売らいでか!ー亭主売ります』『THE CLUB』など。今年11月にはブロードウェイミュージカル『CHICAGO』にロキシー役で出演予定。オペラカイエの開催、本の執筆など多方面で活躍している。

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明治座6月公演『細雪』
原作◇谷崎潤一郎 (中公文庫版)
脚本◇菊田一夫 
潤色◇堀越真 
演出◇水谷幹夫
出演◇高橋惠子 賀来千香子 水野真紀 大和悠河
葛山信吾 磯部 勉 太川陽介 川麻世 橋爪淳 他
●6/1〜27◎明治座
〈料金〉S席¥13,000 A席¥6,000(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉
明治座チケットセンター 03-3666-6666(10:00〜17:00)



【文/吉田ユキ 撮影/岩村美佳】 
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