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本年元旦、宝塚歌劇100周年の記念すべき第一作として宝塚星組公演、宝塚大劇場で幕を開けた。演目はル・スペクタクル・ミュージカル『眠らない男・ナポレオン —愛と栄光の涯(はて)に—』。その公演が、いよいよ東京宝塚劇場へと所を移して上演中だ(3月29日まで)。
この作品は、ブロードウェイミュージカルの傑作『ウェストサイド・ストーリー』や、今や日本でも大人気の定番演目となったウィーンミュージカル『エリザベート』など、数々の国外ミュージカルを初演してきた宝塚歌劇団が、「宝塚から世界へ発信するオリジナル作品」を目指した超大作ミュージカルで、作曲に『ロミオとジュリエット』のジェラール・プレスギュルヴィックを招聘。ミュージカル作品の演出に絶大な実績を誇る小池修一郎の作・演出で、日仏コラボレーションによる創作が実現した。
 フランスの動乱期に頭角を現し、皇帝にまで上り詰め、幾多の武勲を残し時代を駆け抜けたナポレオン・ボナパルトの嵐のような生涯が、妻ジョセフィーヌとの愛と葛藤を中心に、壮大なスケールで描かれていく。
 
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開幕からナポレオンにかかわった多くの人々が、彼の生涯を回想して「嵐のように生きた男」を歌い継ぐ。その迫力が極まったところへ、中空から「眠らずに」デスクに向かって勉学に励む若き日のナポレオンが現れるオープニングは、迫力満点の劇的興奮に満ちている。ここからプレスギュルヴィックならではのリフレインを多用したメロディの数々に乗って、たたみ掛けるように進むドラマは正に一気呵成。この時代の歴史に仮に詳しくなくても難なくドラマについていけるのが最大の利点で、終盤に用意された宝塚ならではの華やかなフィナーレまでがあっという間。何より絵画で有名なナポレオンの戴冠式シーンで使われる豪華絢爛なマントをはじめとした、衣装、美術のゴージャス感には、さすが宝塚100周年の記念作品だけの重みがあり、絵巻物としても楽しめる作品になっている。
 
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そんな作品を支える柚希礼音がまた素晴らしい。野性的でワイルドで、宝塚の男役をどこかで超越したかの如き男らしささえ見せて、即断決行のナポレオンを骨太に活写。ある種の強引さまでを含めて、役柄の魅力に見せるのだからたいしたもの。対するジョセフィーヌの夢咲ねねも、キャリアを積んだ娘役ならではの成熟した色香を振りまき、ナポレオンと離婚せざるを得なくなる後半、舞台に共にいないにも関わらず、常にナポレオンを思い続ける心根を情感たっぷりに披露している。今の柚希&夢咲コンビなくしては、作品の成立が難しかったのでは?と思うほどの充実感を示してさすがの一言だ。

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他にナポレオンの副官マルモンの紅ゆずる、同じくミュラの真風涼帆が、それぞれの個性で役柄を伸び伸びと演じ、また、一樹千尋、英真なおき、美穂圭子、北翔海莉の専科陣が、基本的には歌でストーリーが綴られていく作品の屋台骨を、各々持ち前の歌唱力で支える好助演。他、星組全員による熱気あふれるパフォーマンスを是非劇場で体験して欲しい。
  
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【囲みインタビュー】
 
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初日を控えた2月14日午前中に通し舞台稽古が行われ、トップコンビの柚希礼音と夢咲ねねが囲みインタビューに答えた。
 
柚希 皆様本日はお集まり頂きありがとうございます。今日から出演者一同力を合わせて頑張って参りますので、どうぞ先週楽までよろしくお願い致します。
夢咲 皆様本日はお集まり頂きありがとうございます。この公演で2014年の東京公演がはじまることをとても幸せに思っております。お客様のご期待に応えられますよう一生懸命頑張りますので、どうぞよろしくお願い致します。
──歴史上に名高い人物をお二人共演じていらっしゃいますが、それぞれどういうところを魅力的に感じていますか?
柚希 あまりにも有名な方すぎて、色々な資料が多く残りすぎているので、どれを使って役作りをするかに散々悩みましたが、宝塚版のナポレオンは最終的には、今のヨーロッパ、フランスを作った、現代のヨーロッパにつなげた法律や銀行やすべてを整備し、身分制度による差別を排して、本当に能力のある者がちゃんと評価される時代を作った人物だという、そこのところを大切にやりたいなと思っています。
 
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夢咲 ジョセフィーヌという役は、ちょっと悪女的にも言われていて、ナポレオンがいながらも他の人と遊んでいたり、お金も大好きで、女性から見るとどこか「敵」のような印象を受けてもいたのですが、今回、小池先生がとても魅力的に描いてくださって、女性の方にも本当はこういう人間らしいところもあったんだな…と、共感して頂けるように作りたいなと思って、毎日格闘しております。
──この作品は「宝塚から世界に発信する」という壮大な野望がある作品ですが、どういうところを特に訴えたいですか?
柚希 やはりとても壮大なミュージカルになっているのではないかと。ジェラール・プレスギュルヴィックさんの曲と、小池先生の演出がうまくまじりあっていると思っていますので、そこをしっかりお見せしたいです。
夢咲 私も曲がすごく素敵だなと思っていますし『ロミオとジュリエット』の時にすごくファンになったプレスギュルヴィック先生だったので、先生に曲を書いて頂けるというのはとても幸せなことですし、またジョセフィーヌという役の生涯を演じられるということもすごいことだと思っています。またその役も歴史に対して詳しい方々に観て頂いてもきちんと納得して頂けるようにしなければと思っています。
──大劇場の初日が開いてからも色々と手直しがあったそうですが、どういうところが一番のポイントだったのでしょうか?
柚希 やはり一幕前半がやや慌ただしかったので、そこをお客様にきっちりと理解して頂きながら…すごく一生懸命聞かないと理解して頂けないようではダメなので、リラックスして観て頂きながらもどんどん(ストーリーが)入っていけるように、小池先生が整頓してくださり、キャッチして欲しい言葉をタメたりするようになりました。
 
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──戴冠式の場面も変わりましたね。
柚希 東京では銀橋に出るようになりました。せっかく豪華なのでよく見て頂きたいです。
頂点を極めて凋落していく人物ですが、その変化はどのように?
柚希 如何に一幕で頂点まで行くか?がすごく重要だと思っています。上り詰めれば上り詰めるほど、落ちる姿に色々と感じて頂けるかな?と思っているので、荒鷲のようにぐいぐいと自分の力で道を切り拓いて行く男を演じたいと思います。
─宝塚100周年イヤーの節目の作品ですが。
柚希 大劇場の100周年の1作目だったので、きっとお客様も100周年のお正月に観にいらして、これが宝塚の集大成みたいに受け留められたかな?と思うのですが、集大成でありながら、また新しい200周年、300周年へのスターなので、とても挑戦する作品になったと思っています。あまり守りに入らず、全員が挑戦する作品だったので、それがまた次の時代につながるものになったのではないかと思っています。
夢咲 大劇場の初日には開演前に口上があったのですが、紋付袴を着て出演させて頂いた時に、出演者も裏方の方も、お客様も緊張感がすごくて、これが100周年の重みなんだなと感じたのですが、作品に対しては今まで通りと言いますか、一生懸命その役を生き抜くことで、それがお客様に伝わって100周年からの1ページになるのかな?と。そういう気持ちを大切に演じて行きたいです。

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宝塚歌劇星組公演
ル・スペクタクル・ミュージカル
『眠らない男・ナポレオン —愛と栄光の涯(はて)に— 』  
L’Homme sans sommeil: Napoleon 〜Au-dela de l’Amour et de la Gloire
 Ecrit et mis en scene par Shuichiro Koike, compose par Gerard Presgurvic
作・演出◇小池 修一郎
作曲◇ジェラール・プレスギュルヴィック
出演◇柚希 礼音、夢咲 ねね ほか星組
●2/14〜3/29◎東京宝塚劇場
〈料金〉SS席¥11,000 S席¥8,500 A席¥5,500 B席¥3,500(全席指定・税込)
〈問合わせ〉東京宝塚劇場 03-5251-2001(劇場・月曜休み)




【取材・文/橘涼香 写真/岩村美佳】


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