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子供の頃に観ていた戦隊モノのヒーローたちを思い出した。
熱血漢なチームのリーダー、赤。
リーダーを支える切れ者、青。
力持ちで元気いっぱいの黄色。
斜に構えているけれど、いざというときに頼りになる黒。
チームにまとまりを与える優しい、緑。
5人のチョンガンネ=独身男たちの姿を観ていたら、くっきりとそれぞれのカラーが浮かび上がってきた。
役に当てはめるとこうなる。赤はもちろんチョンガンネ(八百屋)を立ち上げたテソン(和田正人)。青はテソンの友人で元大企業のサラリーマン、ミンソク(牧田哲也)。黄色は兵役を終えてすぐチョンガンネに就職したチョルジン(橋本汰斗)。八百屋の仕事に興味を持っていない資産家の御曹司ユンミン(三津谷亮)は黒。そして、幼い頃に両親を亡くしながらも懸命に働くチファン(近江陽一郎)が緑だ。
こうやってきちんとキャラクター分けがされていると、すぐ役柄と役者とが一致するので、もしこの5人を他の作品の中で観ても「あ、チョンガンネに出ていた、あの人だ」とすぐ思い出せるようになる気がする。
また5人の5色が混ざり合うことで新たな色が生まれて、そこでドラマが動き出す。反発し合っていたもの同士が理解し合い、孤立していたものが仲間に加わることで団結力が増す。
はっきりとしたキャラ分けは役者にとっても観る側にとっても嬉しいものだし、キャラ分けによって生まれたメリハリが作品全体も面白くしていた。

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原作は韓国の小劇場ミュージカル『チョンガンネ』。実在する“イケメン青果店”を題材にした韓国でも人気の作品で、柿喰う客の中屋敷法仁が日本バージョンとしてアレンジ。セットは八百屋の裏の倉庫のような感じで、がちっとした壁と階段があるのみ。そこで『チョンガンネ』の制服を着たテソンたちが歌い踊り、野菜と楽しさをお客様に届ける。
出演はD-BOYSやD2のメンバー。彼らを意識した演出も上手く作品に溶け込んでいて楽しい。例えば開演前には韓国で行われているラジオ放送の体でメンバーのトークが流れていて、その番組が終わると今度はスジン(舞羽美海)がMCをつとめる番組が始まり、スジンは原稿を読み間違えるミス。スピーカーからは「すみません…」と謝りながら、だんだんとフェードアウトしていくスジンの声が聞こえ、そこから部屋で落ち込むスジンが舞台の上に登場。そのまま物語がスタートする。

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この作品が宝塚退団後の初舞台となった舞羽は、失敗続きでテレビ局をクビになったレポーターのスジン役。取材で訪れたチョンガンネで、熱さや夢を持ったテソンに出会い、勝手に一目惚れ。恋に仕事にと一直線に突き進む、明るいながらも、ちょっとそそっかしい性格の女性で舞羽の可愛らしさや前向きさ、宝塚で培ってきたダンスの技術が存分に生きた役だった。ちょっと少年漫画チックな物語でもあるので、舞羽のがっくり落ち込んだり、キラキラ目を輝かせたりと、コロコロと大きく表情が変わる芝居も元気よく魅力的に映った。

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順調に営業を続けるチョンガンネだが、テソンが独断で2号店の準備を続けていたことで、これまで二人三脚で店を作り上げてきたミンソクとの間に大きな溝ができる。また他のチョンガンネメンバーたちも、それぞれ悩みを抱え、チョンガンネとどう自分が関わっていくべきか、新たに考えを巡らせていく。「お前は俺がいないとダメだ!」といった感じの熱い男同士の友情がちょっとこそばゆくもありながらも、この作品の中ではきらっと輝く。悩んで立ち止まったり、進む道に迷ったり、きっとチョンガンネのメンバーと同じような気持ちに誰もがなったことがあるはずで、だからこそ、そこから一歩踏み出して、やりがいのある仕事を持ち、仲間と共に夢を追う彼らを観て観客も元気をもらうことができる。

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Dステとしては初のミュージカルということで、歌い慣れていないような感じも受けたけれども、そこは演技とエネルギーでカバー。むしろ、こういう感情や個性重視のミュージカルがもっと世の中に増えていいと思う。やはり、音楽があると場面のテンポが良くなったり、勢いが増したり、観客との一体感が生まれたりと、芝居が盛り上がって単純に楽しい。まさにサブタイトルの「おいしい人生お届けします」の言葉通り、観た人の人生をちょっとおいしく彩ってくれるエネルギー満載の作品だった。



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Dステ13th
『チョンガンネ〜おいしい人生お届けします〜』
脚本◇イ・ジェグク
作詞◇チョン・ヨン
作曲◇キム・ヘソン
演出・訳詞・上演台本◇中屋敷法仁
出演◇和田正人 牧田哲也 橋本汰斗 三津谷亮 近江陽一郎/舞羽美海/黒崎ジュンコ(ズボンドズボン) 新良エツ子
●4/25〜5/6◎本多劇場
●5/11、12◎森ノ宮ピロティホール
〈料金〉7000円(全席指定・税込)
〈問い合わせ〉
東京公演 サンライズプロモーション東京 0570−00−3337
大阪公演 キョードーインフォメーション 06−7732−8888
〈公式HP〉
http://www.watanabepro.co.jp/mypage/artist/dst13_chonganne.html




【文/岩見那津子 撮影/冨田実布】 

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