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今年は名作ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の日本初演から50年目。その記念すべき公演の初日、5月5日がいよいよ間近に迫ってきた。

この作品の原作となっているのは、1913年に書かれたバーナード・ショーの戯曲『ピグマリオン』。
ロンドンの下町の花売り娘・イライザが、音声学の教授・ヒギンズと出会い、その教育の成果で優雅なレディに生まれ変わるという物語。その原作よりロマンス色を強めたものがミュージカル版で、英国ならではの階級社会への風刺や、教育する者とされる者という関係へのちょっと皮肉な目線も残してあって、甘いだけではない、辛さもほろ苦さもある大人のミュージカルとなっている。
 

ミュージカル版の世界初演は1956年のNY、ジュリー・アンドリュースがイライザ役だった。映画にもなって、オードリー・ヘップバーンのイライザは有名である。日本では1963年に初演、菊田一夫の演出で、江利チエミ・イライザ、高島忠夫・ヒギンズで大ヒットした。以来、名作ミュージカルとして、大地真央をはじめさまざまなスターがイライザ役を演じてきた。


今回は、宝塚でトップ男役をつとめた霧矢大夢と真飛聖がWイライザとしてチャレンジ。また、イライザと恋に落ちるヒギンズ教授には、映像や舞台で活躍中の寺脇康文が演じることも、大きな話題になっている。 


【あらすじ】

ロンドンの下町。貧しい花売り娘のイライザは、言語学者のヒギンズ教授の提案で、下町なまりの矯正と淑女になるための礼儀作法を教わることになる。

厳しいヒギンズ教授のレッスンに耐えたイライザは、見違えるような麗しき貴婦人へと変貌を遂げる。華々しく社交界へのデビューを飾ったイライザだったが、ヒギンズ教授にとって自分は研究対象にしか過ぎないと気づき、彼のもとを去ってしまう…。


【稽古場ルポ】

この公演の初日を前に、メディア用の公開稽古が行われ、まだレディになる前の花売り娘として、ロンドンの下町なまりを駆使する2人のイライザと、その下町なまりを矯正しようとするヒギンズ教授の熱いバトルの片鱗が披露された。
公開されたのは1幕の前半にあるシーンで、ヒギンズ邸にイライザが訪ねてくる。前の晩、オペラハウスの前で花を売っていたイライザは、なまりを収集しているヒギンズが上流社会の話し方を教えていると知って、私に綺麗な言葉を教えてほしいと頼みにきたのだ。


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下町なまりで言いたいことをまくし立てる霧矢イライザは、可愛い女の子ふうなのに迫力いっぱいの熱演。
イライザ「ゆんべのこと、すっとぼけるつもりじゃねーんだろうな。じょーしんに喋れるようにしてくれるって。ゼニが足りないっていうんなら出直すけど」
ヒギンズ「え、なにが足りないって?」


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ヒギンズ教授邸の居間は、クラシックなソファと椅子、そして言語学者の家らしく蓄音機が3台も置いてある。くつろいでおしゃべりするなかに、独身貴族でちょっと女嫌いな一面をうかがわせる寺脇ヒギンズと、大人で常識家という風格がある田山涼成ピッカリング大佐。セリフのやり取りも間がよく、同じ研究者の友人という雰囲気が自然ににじむバランスよいコンビだ。

イライザを本当にレディにできるかどうか賭けようと言い出すピッカリング。「きっと無理だろうが。なんならこの娘の授業料を全額払ってもいい」 

  

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この家を取り仕切るピアス夫人役の寿ひずるは、優しい物腰しのなかにも貫禄十分の英国婦人で場面を引き締める。
ヒギンズ「ピアスさん、この娘を連れてって綺麗にしてください。面倒をかけるならひっぱたいてもかまわん」

ピアス「ヒギンズ先生、相手は生身の人間ですよ」 


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こちらは真飛聖イライザ。
ヒギンズの物言いがあまりにも失礼なので、頭にきて帰ろうとする。そんなイライザをチョコレートで釣るヒギンズ。甘い香りに思わず寄っていったイライザの口に1つ放り込み…。

ヒギンズ「毎日、これが食べられるんだぞ」
イライザ「言っとくけど、行儀が悪いからいったん口に入れたものは出さねえだけだ」
強がりを言いながら美味しそうに味わう真飛イライザの姿に、思わず稽古場に笑いがこぼれる。

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女について辛辣な意見を歌うヒギンズ。
「ただの普通の男、静かで平和な毎日を楽しみたいだけなのに、女と暮らせば、すべてぶちこわし!」
二階まで上がったり降りたりしながら大活躍のソロパート。

 



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稽古がいったん止められ、演出のG2から細かい要求が伝えられる。セリフの言い方の裏にある気持ちについての解釈などを丁寧に説明する演出家。
霧矢への話には真飛も加わり、真飛への注文に霧矢も耳を傾けている。また、イライザ2人が話し合っている光景もあり、霧矢も真飛もそれぞれ宝塚を退団後、初の本格ミュージカル出演だけに、お互いの存在が心強い部分もあるのではないだろうか。

そんな2人のダブルならではの個性の差が、セリフだけでなく表情やリアクションにも反映して、それぞれがおかしく可愛いイライザ像を見せてくれる。そういう点でもこのWイライザは、公演を見る楽しみを二倍にしてくれる効果満点のキャスティングとなっている。


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このシーンには登場していないイライザの父親ドゥーリトルの松尾貴史、ヒギンズ教授の母であるヒギンズ夫人の江波杏子、イライザに恋するフレディの平方元基、その母のアインスフォード・ヒル夫人の麻生かほ里など、共演者も実力派揃いで、そのキャストたちや、20人のアンサンブル・メンバーがどんなふうに舞台を賑わせてくれるか期待は大きい。
そして、もう1つ今回の大きな注目ポイントがある。『マイ・フェア・レディ』といえば思い出す数々の名ナンバー、「I Could Have Danced All Night」や「The Rain In Spain」などの訳詞が、翻訳・訳詞も手がける演出のG2によって一新されている。あの「踊り明かそう」や「スペインの雨」が、どんなタイトルと歌詞で登場するか、ぜひ、実際の舞台で自分の耳で確かめてもらいたい!
 



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日本初演50周年記念公演

ミュージカル『マイ・フェア・レディ』

脚本・作詞◇アラン・ジェイ・ラーナー

音楽◇フレデリック・ロウ

翻訳・訳詞・演出◇G2

出演◇霧矢大夢(Wキャスト) 真飛聖(Wキャスト)/寺脇康文 田山涼成 松尾貴史
寿ひずる 平方元基 麻生かほ里 江波杏子 ほか

●5/5〜28◎日生劇場

〈料金〉S席¥9,500 A席¥7,000 B席¥4,000(全席指定・税込)

金沢、福岡、名古屋、大阪公演あり

〈問合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777

〈公式HP〉 http://www.tohostage.com/myfairlady/index.html



【取材・文/榊原和子 撮影/岩村美佳】


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