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新国立劇場中劇場でクリスマスシーズンにピッタリのミュージカルが上演中だ。軽やかな音楽と適材適所のキャストがポッと心が明るくなるラブストーリーを届けてくれる。


出世のために上司にアパートを貸している青年チャックが、上司の恋人フランに恋をしてしまう…。
この『PROMISES PROMISES(プロミセス・プロミセス)』は、かつて『アパートの鍵貸します』というタイトルで、ビリー・ワイルダー監督が映画を撮り大ヒット。舞台版の脚本を手がけたのはコメディの名手ニール・サイモンで、音楽は、歌手としても有名なバート・バカラックが担当している。この贅沢なコンビによって作られだけあって、劇中ナンバーは「もう恋なんてしない」や「プロミセス、プロミセス」などよく知られているものが多い。
 

今回の公演はチャック役がダブルキャストで、前半が中川晃教、後半が藤岡正明という役替わりで、どちらも抜群の歌唱力とコメディにも強い芸達者、ッ贅沢なキャステイングとなっている。(この記事は中川チャックの回)


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主人公で存在感の薄い平社員のチャック、上役たちに翻弄されヘトヘトになる青年を、中川晃教は出ずっぱりで演じる。この舞台のチャックは客席に語りかける手法で距離を縮め、彼の野心から葛藤、恋心までを知ることになる観客は、ついこの愛すべき若者の応援団になってしまう。そんな「一所懸命なチャック」を、中川は身軽な動きと安定した歌唱でを軽快に魅せた。


チャックが憧れる役員食堂のキュートな女の子、フランに扮するのは大和悠河。1960年代を背景に職場のユニフォーム、アフターファイブ、デートなど様々なドレス姿を見せバービー人形のようで、美貌と抜群のスタイルが際立っている。美しく優しい女性なのに、部長(岡田浩暉)との不倫に苦しむフランは、自分が引き起こした事件から、名前も覚えられなかったチャックを段々と知っていく。フランは恋に悩むだけでなく、バスケが大好きという明るい面や可愛らしさがあり、そこもちょっとした仕種から自然に表れていた。チャックとしっとり歌うナンバー「もう恋なんてしない」の歌声は胸にしみる。


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フランが恋する部長役の岡田浩暉、チャックの隣に住む医師役は浜畑賢吉、部長秘書役の伊東弘美ら、脇を固めるキャストが実力派揃いでミュージカルとしても芝居としても充実している。

なかでも特筆すべきは樹里咲穂だ。演じるのはチャックがクリスマスイブの晩に酒場で出会うマージ役。セクシーすぎるいでたちで個性的。勘違い女として笑いを取りながら、チャーミングに仕上げたのはさすが。どんな役もその役割りを心得ながら、最大限に自分を活かす樹里の才能を見せ付けられた。

そのほかに宝塚OGの紫城るいや桐生園加、そしてKENTARO や 徳垣友子 といった歌やダンスに優れたメンバーが、さまざまな場面に出演していることで舞台の厚みと華が増している。

このパワフルなカンパニーの中に、後半で入る藤岡正明が、どんなチャックを見せてくれるか期待が集まる。


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この舞台に出演している3人からコメントが届いた。

 

中川晃教

今回僕が演じるチャックは誰よりも一生懸命仕事をして、会社に貢献し、自分の人生だけでなく、周りの人生にもプラスになるように、という思いを持っている人間です。そんな誰かのために一生懸命になるところ、一生懸命になり 

すぎて周りが見えなくなるところが僕と共通していると思います。今回、ダブルキャストでマサ(藤岡正明)が同じチャックを演じるのですが、彼は良い意味で確実に攻めていくのでチャックという役を客観的に見ることができました。この公演は、観にきてくださった方が、「観てよかった」と思えるような作品になっています。大人のラブコメディなので、老若男女問わずたくさんの方に観ていただき、この冬、心がほっこりと温かくなっていただければと思います。 

 

藤岡正明 

チャックという人間は、特別な取り柄も特技もない、どこにいても普通の冴えないサラリーマンです。しかし、状況が悪いときでも楽観的に乗り越える強さを持っています。同じ役を演じるアッキー(中川晃教)とはもともと交友があり、 

楽しく稽古をすることができました。アッキーの演技は特に意識をするわけではなく、公演に向き合っていく中での仲間としていい刺激になりました。しいて言うならば、アッキーのチャックは草食系、僕のチャックは攻めが入った肉食系です。前半のアッキー演じるチャックのおいしいところを盗むので、僕のほうが得だと思います。この寒い冬にピッタリな、明るいチャックにしたいと思います。 

 

大和悠河 

フランは不倫をしてしまう女の子ですが、人に恋をする、そして恋をしているからこそ経験するつらい気持ちや悲しい気持ちにとても共感できます。今回は主人公のチャックが中川さん、藤岡さんでのWキャストになっています。二人のチャックに対して、特に演じ分けようと思ってはいないのですが、お客さんから観たら全く違うプロミセス・プロミセスになっていると思います。二人とも、違う優しさに溢れているのでその相手役である私はとても幸せな思いをしています。遠回りをしながら、温かい恋に気づいていく彼女を丁寧に演じていけたらなと思います。 

 

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ミュージカル『PROMISES PROMISES(プロミセス・プロミセス)』

脚本◇ニール・サイモン

作曲◇バート・バカラック

上演台本・演出◇田尾下哲

振付・ステージング◇本間憲一

音楽◇宮崎誠 

出演◇大和悠河 中川晃教 藤岡正明 岡田浩暉 樹里咲穂 浜畑賢吉 紫城るい 徳垣友子 KENTARO 桐生園加 伊東弘美 他

●12/15〜23◎新国立劇場 中劇場

〈料金〉SS席11000円 S席9000円 A席5000円

〈問合せ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337

     オフィス・ミヤモト 03-3312-3526

〈公式HP〉http://www.promises.jp/


【取材・文◇佐藤栄子 撮影◇宮川舞子】
 

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