宝塚ジャーナル : 新猿之助の助六が大活躍、朝海ひかる共演の痛快時代劇！　『助太刀屋助六外伝』＆囲みインタビュー　

喜劇にこだわり続けた映画界の鬼才・岡本喜八。江戸を目指す旅の途中で、ひょんなことから仇討騒動に巻き込まれた助六が“助太刀屋稼業”を思いつくという、傑作コメディー『助太刀屋助六』は彼の遺作となったが、12月15日からルテアトル銀座で上演されている『助太刀屋助六外伝』は、その映画につながる珍道中を描いた痛快活劇だ（24日まで）。

その開幕前日の12月14日に1幕のみの公開舞台稽古が行われ、その後、市川猿之助、朝海ひかる、吉沢悠、忍成修吾、石橋直也、鶴見辰吾の6名が囲み取材でインタビューに答えた。

【囲みインタビュー】

――いよいよ明日が初日です。

市川　図らずも猿之助になって初の外部出演ですが、襲名よりも前にこの話が決まっていました。鶴見さんをはじめとする皆とできることが楽しみです。

――手ごたえはいかがですか？

市川　不思議なことに、今回は石橋という無名の新人が立案者で（笑）。その舞台にこれだけの豪華キャストが出るんだから大したものです。彼は亡くなった勘三郎さんに可愛がられていて、この舞台も実は見に来るという約束だったんだよね。

石橋　勘三郎さんとは、『浅草パラダイス』やコクーン歌舞伎でご一緒して、可愛がっていただいたきました。ご病気になられて、今年1月にご挨拶に楽屋へうかがった時、この『助太刀屋助六外伝』が実現すると楽屋で報告したら、「おめでとう。元気になって、かならず見に行くからね」と楽しみにされていて…。

――猿之助さんの肩にかかるものも重いですね。

市川　鶴見さんも朝海さんも、こういう機会がなければ普段はご一緒できませんから。そういう意味で、このお芝居ならではの顔ぶれだと思います。

――歌舞伎の襲名でお忙しかったので、大変だったのでは？

市川　途中からしかお稽古に入れなくて、皆さんは1か月ぐらいだけど私は2週間だけなんです。台本通りにしゃべって、無事に幕が閉じればいいですが、あらぬ方向へ行っちゃうかもしれない（笑）。

――内容としては、だいぶ立ち回りもあるとか？

市川　立ち回りは悠さんと直也。あと先生（鶴見）も。僕はあんまりないです。

一同　ありますよ！（笑）

――お客さんに一言ずつメッセージをお願いします。

吉沢　いろんなジャンルの俳優さんが集まった、G2さんの演出のお芝居です。稽古場からそれぞれの個性がぶつかることなく、お互い高め合おうという空気の仲間ばかりなので、いい舞台をお届けできるんじゃないかなと思います。

朝海　自分の想像を上回るぐらい楽しい舞台になっていますので、12月のお忙しい時間ではありますが、ぜひ見に来ていただきたいです。時代劇は初めてなので、板についてないところもあるかもしれませんが、そこは大目に見てください（笑）。

鶴見　『助太刀屋助六』は岡本監督の遺作で、私は奇遇にもその映画に出ていました。その縁でこの舞台が決まったわけではないですが、映画で初めて時代劇に出演したのが『助太刀屋助六』で、舞台で時代劇をやるのも、この『助太刀屋助六』が初めてで。映画の世界観をそのまま舞台にいかして、とてもいいお話になっています。映画では仲代達矢さんがやるような役なので、毎日がんばってます（笑）。見て損はないので、ぜひ皆さんに見ていただきたい。

――映画版と比べて、舞台はいかがですか？

鶴見　かなり洗練されてますよ。音楽と時代劇のマッチングも面白いですね。できたら、ニューヨークまでもっていきたいぐらいです。

――猿之助さんの助六はいかがですか？

鶴見　もう痛快！　さすがですね。舞台を所狭しと飛び回って、非常に魅力的な助六を演じてらして、色っぽいです。

――忍成さんはいかがですか？

忍成　非常に素晴らしい方々とご一緒して緊張してますが、最後まで楽しみ抜きたいと思います。昨日初めて舞台装置を見て、かっこよくて、稽古の時から生音でやっていて、一観客としても面白くて。けっこう早く帰ったりもしてましたけど（笑）。ぜひ楽しみにしてください。

石橋　この舞台は猿之助さんと12年ぐらい前からお約束していたもの。無名の俳優が一生懸命がんばって何とか形にできたのも、猿之助さんのおかげです。その胸をお借りしてお芝居ができてうれしい。G2さんも素晴らしい演出をつけてくださったので、ご期待を裏切らないようにつとめたいと思います。

市川　「一緒にやろうね」ってのは社交辞令だったんですけど、実現しちゃったからね（笑）。瓢箪から駒。でもスーパー歌舞伎だってそういうところから生まれたし、得てしてそういうところから名作はうまれるので、ぜひこの作品も名作にしていきたいと思います。それこそ、ニューヨークに行きたいですね。

――そういえば、勘三郎さんもニューヨークで公演されていましたね。

市川　じゃあ、フランスあたりにしとこうか（笑）。舞台では毎日おんなじことやらないから、ぜひ毎日見に来てください。結末が全然違ったりするかもしれないし（笑）。それで毎日見て、「おんなじじゃねーか！」なんてね（笑）。

※公演レビューは近日中に掲載します。