宙組の凰稀かなめ、実咲凛音のお披露目公演として上演される『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』の制作発表会が12日、東京宝塚劇場にて行われた。原作は1982年に第一巻が刊行された、田中芳樹氏による大ベストセラー小説。累計1500万部の売り上げを誇り、今も多くのファンに愛され続けているSF超大作である。
この日の制作発表には脚本・演出を担当する小池修一郎のほか、ポスターに登場したメンバー、凰稀(ラインハルト)、実咲(ヒルダ)、悠未ひろ(オーベルシュタイン)、緒月遠麻(ヤン)、朝夏まなと(キルヒアイス)、蓮水ゆうや(ロイエンタール)、凪七瑠海(アンスバッハ)、七海ひろき(ミッターマイヤー)の8名が出席し、人物紹介を兼ねたパフォーマンスを披露。その後、座談会形式での会見が行われ、それぞれが作品に対する意気込みを語った。Part1、Part2に分け、制作発表会の模様をお届けする。

<パフォーマンス>
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<会見>
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小池 私がNTTさんからご後援いただく公演をやらせていただくのは、昨年の『オーシャンズ11』に続いてでございます。『銀河英雄伝説』は大変なロングセラーで、SFファンやアニメファンの方が愛してやまない作品です。今回はこうして宝塚版を作ることに関しても許可をいただきましたので、この機会にそのファンの方たちに宝塚を観ていただけたらありがたいなと思って公演を制作してまいりたいと思っております。
 それと今回は宙組の新しいトップ、凰稀かなめの門出でもございます。どういう作品をやるかとずいぶん討議を重ねました中で『銀河英雄伝説』のラインハルトという役は大変ぴったりであろうと、誰もの意見が一致したのですが、ちょうど去年から一般の舞台のシリーズがはじまっておりました。なので、宝塚で平行してやるということに関しては許諾いただけないのでは?とも思いましたが、田中先生、また一般の舞台を制作していらっしゃる方からもご快諾いただき、やれることになりました。
 宝塚は上演時間が限られており、フィナーレも付きますので、正味、2時間強の中、この膨大の物語の取捨選択には日々頭を悩ませ、田中先生の事務所にもいろいろお伺いしております。原作で申しますと2巻ぐらいのところまでやろうと思っておりますが、その中で凰稀かなめ、そしてずっと宙組にいたメンバー、そして今回宙組に来たメンバーが一緒になって新たな宙組の、新しい時代を築いていけたらと思っております。膨大な情報量のある原作をどのように調整していくかまだ現在進行中でございますので、結果は本番の舞台を観て、楽しみにしていただけたらと思っております。よろしくお願いします。

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凰稀 本日はお忙しい中、宙組公演『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』の制作発表にお集まりくださいまして、まことにありがとうございます。宙組の凰稀かなめでございます。多くの方々に愛されてきた大ベストセラーSF小説の初の舞台化。このような大作で新生宙組がスタートできることを本当に嬉しく、幸せに思っております。これからもみなさまに楽しんでいただける舞台を目指し、精一杯心を込めてつとめてまいりたいと思いますので、どうぞ新生宙組をよろしくお願いいたします。最後になりましたが、この度はNTT東日本様、NTT西日本様からご協賛いただきましたこと心より厚く御礼申し上げます。本日はありがとうございました。

<座談会Part1>
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──小池先生へ。今回『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』とタイトルに@がついていますが、これにはどういった意味合いが?
小池 外部でやられている舞台とは違う、宝塚版ということを題名でわかるようにしたほうがいいということで考えました。なんとか編、という風にしようかとも思ったんですが、それは今シリーズでやっているものに付いていますので、混乱するかな?ということで、(@TAKARAZUKAと)させていただいています。

──出演者のみなさんに、原作やアニメなどをご覧になった感想をそれぞれお願いします。
凰稀 小説はあとちょっとで読み終わるところで、ほぼ全部読ませていただきました。もう600人以上?の登場人物がいるみたいなんですね、原作では。その中の人間模様がすごく面白く描かれているなと思いました。ラインハルト的には、なんて喜怒哀楽のすごい人なんだろうと思いながらも、姉のアンネローゼとキルヒアイスに見せる少年のような可愛い部分もあり、とても魅力的な人だなと思いました。

──この作品をやると聞いた時はどう思われました?
凰稀 まったく知らなくて、小池先生からお話を伺いましてすぐに漫画を購入して、「どういうものなのかな?」と。SFはたぶん宝塚では初に近い試みだと言ってもいいと思うので、それをどういう風に舞台化するのだろうと思いながら、ちょっとドキドキしました。

──続いて、みなさんも感想をお願いします。
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ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ役 実咲凛音
実咲 私もすごく大きな作品だなというところにまず衝撃を受けました。先ほどおっしゃっていたように本当にいろいろな方が出てきて、いろんな思いが交差しているような、そういうところに魅力がある作品だと思いました。ヒルダは伯爵令嬢で頭脳明晰で、という芯の強い女性だと思いますので、その辺りをどういう風に作り上げていくか…また今回新たに宝塚でやる『銀河英雄伝説』であるという中で、小池先生の描かれるヒルダという役に私自身も近付いていけるように努力してまいりたいと思います。

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パウル・フォン・オーベルシュタイン役 悠未ひろ
悠未 私もこの作品をやるにあたって初めて漫画から読ませていただいたんですけれども、本当に一人一人の人物がすごく個性豊かで魅力的なので、そこに惹かれました。私がさせていただくオーベルシュタインは、目が義眼で、自分の私利私欲で動くのではなく、あくまでも帝国の、ラインハルトの参謀として的確に動くという、ちょっと冷酷なんですけれども、そういう役どころです。参考資料もたくさんございますので、これから読んで役を深めていきたいと思っています。

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ヤン・ウェンリー役 緒月遠麻
緒月 本を読ませていただきましたが、ヤン・ウェンリーは自分の中でもすごく惹きつけられる役でした。あとヤン・ウェンリーさんのファンも多いと聞きましたので、プレッシャーも感じつつ、私なりに精一杯頑張っていきたいと思います。はい。

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ジークフリード・キルヒアイス役 朝夏まなと
朝夏 すごくスケールの大きい作品だという印象を受けたので、その中で自分はキルヒアイスとして、アンネローゼ様とラインハルト様の姉弟をずっとお慕い続ける役なのでその辺りを私らしさも取り入れつつ演じることができたらいいなと、今思っております。

──組替えになっていきなり凰稀さんと幼馴染、という役どころですね。
朝夏 そうなんです。ラインハルトとキルヒアイスはもう半身的存在という風に描かれているので、かなめさんとその部分を今から作ってですね(笑)、その原作に負けないぐらいの二人の関係性を作れるように頑張りたいと思います。
凰稀 袖でもちゃんとマントを持ってくれてたんですよ(笑)。
朝夏 本当に嘘偽りなくお慕いできるので、はい。その辺も見ていただけるように頑張ります。

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──続いて蓮水さんもお願いします。
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オスカー・フォン・ロイエンタール役 蓮水ゆうや
蓮水 私もこの作品をやるということになって、アニメや小説を拝見したんですけれども、最近見始めたアニメ版に、もうすっかりはまってしまって、「どうしてもっと早く観ておかなかったんだろう」というぐらい、作品の世界観に魅了されております(笑)。今回、沈着冷静でミステリアスな役をさせていただくんですが、いままで11年間宝塚にいて、こういう役どころはあまりやったことがない、私としても新たな挑戦の役なので頑張っていきたいと思います。

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アンスバッハ役 凪七瑠海
凪七 私もこの作品が決まってから原作を読ませていただいたんですが、アンスバッハはラインハルトと相反する貴族の腹心で、上級貴族にしてはすごくまともな考えというか、的確な判断ができる人だなという印象があります。でも主君には絶大的な忠誠心がありましたし、最後はキルヒアイスを殺してしまうという重要な鍵を握っている人物の一人だと思うので、その辺りの心理描写や年齢設定を小池先生とご相談しながら深めていきたいと思います。

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ウォルフガング・ミッターマイヤー役 七海ひろき
七海 私はすごく昔に原作を一度読んだことがありまして、ずっとそれから読んでいなかったので、また改めて読ませていただきました。アニメは見た事がなかったので今回見るようになったんですけれど、やっぱり原作とアニメと、あと漫画もあるんですが、それぞれ3つともちょっとづつ感じが違うんです。その中で自分もミッターマイヤーという役を深めていきたいなと思います。あと蓮水さんのロイエンタールとは双璧という設定で、そういうシーンもあるかもしれないので、二人で、ね?(笑)深めていけたらなと思います。精一杯ミッターマイヤーという男気溢れる役を演じていきたいと思っております。

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──ビジュアルへのこだわりというのは、小池先生いかがですか?
小池 これも衣装のデザイナーや、スタッフの方たちが一生懸命考えて作ってくださっているところです。また今はメイクが本番よりちょっと薄いと思うんですね、みんな。もうちょっと宝塚のメイクは濃いと思うので、そこでまた作り込んでいく部分があると思います。で、今ちょっと最後に七海がいった意見が嬉しくて。そのアニメはアニメ、そして漫画は漫画でそれぞれスタッフの方が原作をいかに膨らますかを考えておやりになっているんですね。漫画やアニメは絵なので、色んなことを描けるんですが、生身の人間、まして女性である彼女たちがやるということで、おのずと色々制約というか、できない事も多くなってきます。その中でどうやっていくか。その意味でも是非本番の舞台にご期待いただきたいなと思っております。

──戦闘場面がたくさん出てきますよね?
小池 色々な意見が出てきていて、例えば頭に戦艦をつけて踊るとかね(笑)、腰に浮き輪みたいなのをつけるとか色々考えているんですが、でももっと大きいんですよね、この作品で描かれている宇宙船って。それはこの舞台全部を使っても表現できないような大きなものなので、そういうところは映像を使ったり、やはり宝塚ですから今もご覧いただいたように踊れますから、ダンスで表現したりして、そこが@TAKARAZUKAというところかな?と思っています。いろんなテクノロジーと、実際の彼女たちの技能、力の相乗効果になったら面白いかと思っています。

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──あっと驚くような演出も?
小池 あっと驚いていただけたらいいですけど(笑)、そうですね、ただ原作のファンの方は当然気になさると思うのですが、2巻ぐらいまでのキルヒアイスが死んだ後、ラインハルトが一人で頑張って生きていこうというところまでだとヒルダがあんまり出てこないんですね。でもこれはちょっと色々な形で出るようにしようと思っておりますし、多少、筋の展開や戦闘場面に関しては、こういう戦がありましたという形で提示して、その背後にある人々の心理、人間的な絡みが中心になっていくと思います。それをどこまでさばけるかというところですね。

──ラブロマンスよりは男の友情が描かれた原作ですよね。
小池 そうですね。原作の田中先生もいらしているので、あんまり偉そうなことを言えないんですけど、やっぱり戦争観というか、平和というものへの考え方。それから軍事社会のあり方とか、そういったことを一つの視点を持って書いてらっしゃると思うんです。最初に書かれたのが30年近く昔であるという所からしますと、現実に今日までの間に幾多の戦争があり、状況は書かれたときよりも悪いのかもしれません。そういう意味で、これは核戦争で地球を捨てた人々のその後の物語で、人類の未来の形なんだけれども、その中でいくつかの恋愛感情が錯綜しているところもありますので、それを上手く描ければと思います。

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『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』制作発表会Part2へ続く


宙組
NTT東日本・NTT西日本フレッツシアター
スペース・ファンタジー
『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』 
田中芳樹作「銀河英雄伝説」(東京創元社刊)より

脚本・演出◇小池修一郎


●8/31〜10/8◎宝塚大劇場
●10/19〜11/18◎東京宝塚劇場


<HP>
http://kageki.hankyu.co.jp/ginga/




【取材・文/岩見那津子】

 演劇キック演劇情報コーナーhttp://blog.livedoor.jp/enbublog-forecast/


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