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ブロードウェイ・ミュージカル『サイド・ショウ』が、シアター1010で10月1日に再演の幕を開けた。

昨年の4月に上演され、その深くて心を打つ内容とクオリティの高い楽曲で大評判を呼んだこの作品は、ビル・ラッセルの脚本・作詞、『ドリームガールズ』などを作曲したヘンリー・クリーガーの音楽で、98年のトニー賞で4部門にノミネートされている。

主人公は20世紀前半に実在した結合双生児のヒルトン姉妹。彼女たちは「サイド・ショウ」と呼ばれる見世物小屋からヴォードビルの世界へ、やがてショービジネスで成功して名を知られるようになる。そんな彼女たちの、ドラマティックな日々とそれぞれの恋や愛を数々の名曲とともに描き出している。


今回の再演で、さらに息の合った舞台を見せてくれている貴城けいと樹里咲穂は、一心同体化した動きと、パワフルで感情豊かな歌声でますます魅力を増している。恋人役が変わった貴城ヴァイオレットは、可愛らしさを増している反面、芯も強くなった。姉のデイジーを演じる樹里は、内面の揺れや心のひだをより繊細に表現。

新しく参加のメンバーで、ヴァイオレットに恋する青年バディの吉田朋弘は、若さゆえの真っ直ぐさと迷いをストレートに押し出した演技と歌唱。見世物小屋でヒルトン姉妹を支え、秘かに愛するジェイクは吉原光夫で、たくましい持ち味なのだが、それゆえに悲しみが滲み出る。見世物小屋のボス役の大澄賢也は少ない出番でありながら見事なインパクト。デイジーを愛するプロモーターのテリーの下村尊則は、安定した歌唱に落ち着いた演技が印象的。

アンサンブルを含めて全員が歌い上げる場面では、劇場中が『サイド・ショウ』の世界に巻き込まれてしまうような迫力に満ちていて、それだけに姉妹の生きる日々やドラマが、鋭く、痛みとともに突きささってくる舞台だ。

このミュージカルの舞台稽古のフォトコールと囲みインタビューが、初日前日に行なわれ、貴城けい、樹里咲穂、大澄賢也、吉田朋弘、吉原光夫、下村尊則が、扮装姿で取材陣に答えた。


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【一問一答】
 

ーー初日を前に手応えは?

樹里 盛り上がってます。

貴城 楽しくお稽古してきました。

下村 再演というより新たな初演という感じです。

大澄 新しいメンバーといいチームワークでやってます。
 

ーー新メンバーの吉田さんと吉原さんは?

吉田 とても緊張していましたが、皆さんに優しくしていただいて、再演という作品ですが、新しい作品という気持ちで取り組んでいます。

吉原 頑張ってます(笑)。

樹里 こんがりしてるよね。

吉原 焼いたんです。

大澄 似合うね。
 

ーー初演時はブロードウェイがライバルと言ってましたが、今回は初演がライバルということですが。

貴城 超えたでしょ。

樹里 おー!

貴城 言ったなー!

全員 (笑)。

樹里 じゃ私も言うよ! 超えてます!

貴城 細かいところまでブラッシュアップされて、振りも、私たちくっついてやってるんですけど、バージョンアップしてます。

大澄 全部変えました。

樹里 難しいこといっぱいやってます。皆、1年半の間にそれぞれ成長してそれが反映されて中身の濃い『サイド・ショウ』になっていると思います。

下村 馴染んだというか、役が。前は一生懸命演じていたのが自分と等身大になってきたかなと思います。

大澄 ナンバーの振りもほぼ全曲変えているんですが、前回はくっついた2人が何ができるのかということを考えることから始まったんですが、今は1人の人間に振付けすると2人でくっついたまま踊るという、この進化たるや素晴らしいです。これ別に衣裳とか接着剤でくっついてるわけではないですからね。くっついたまま踊るんですから、何芸というんでしょうか?

樹里 双子芸?

貴城 双子芸!

下村 これはもう2人以外できないです。

大澄 2人だからできるんだと思うし、僕は振付けてて楽しかったし、いい経験しました。
 

ーーどうやって離れないでいるというか、最初はどうでしたか?

樹里 苦労しましたよ。

貴城 一歩歩くだけでも離れるし、普通に歩けないという。

樹里 今はなんでもできるし、足上げとかもね。

貴城 最初は離れるといけないからバンド付けようかみたいな話もあって。舞台もね。でもそんな必要は全然なくなりました。
 

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ーー吉田さんと吉原さん、好きなナンバーとか?

吉田 自分で歌ってる以外にも好きなものはたくさんあるんですけど、いちばん気をつけたいのは、音楽が素晴らしいので、その音楽を殺さないようにしながら、役の感情を混ぜ込んでいきながら。音楽をちゃんと聞いていただきたいので、全編聞いていただきたいですね。

吉原 無駄なところが1つもないと思います。自分のシーンは心を込めて歌いたいですね。
 

ーー意気込みを。

貴城 再演なんですが、お稽古の初めから初演のつもりで零からのスタートで、新たに作り直して、組み立てていった感じで、明日の初日を楽しみにしてるんですけど、確信として前よりもさらにいい作品、いい舞台になっていると思います。皆さんぜひぜひ観にいらしてください。

樹里 私たちの演じるこの双子で、どんな困難にあっても前向きに生きていくこと、生き生きと輝いていくことの素敵さを感じていただいて、前向きに元気になっていただきたいです。

大澄 生きていく意味、生きていく力を感じる作品です。

下村 この中にある「ありのままの自分を愛して」という素晴らしい歌のように、観た人それぞれがありのままの自分を、自分の人生を愛していただいて、そうすれば相手を愛していけると思います。

吉原 人の心理というか1920年頃の人間も抱いていた悩みや思いは変わらないんだなと思います。自分も一歩前に進んでいきたいと思います。 

吉田 前向きなメッセージが詰まってる作品だと思います。人間と人間がコミュニケーションを取る大きな縮図というか、人間と人間がどう関わっていけばいいのかという縮図が見事におさまっている作品なので、共感できる部分もそうでない部分もすべて感じ取っていただければと思います。
 

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ブロードウェイ・ミュージカル

『サイド・ショウ』

脚本・作詞◇ビル・ラッセル

作曲◇ヘンリー・クリーガー

演出◇板垣恭一

出演◇貴城けい、樹里咲穂、大澄賢也、吉田朋弘、吉原光夫、下村尊則 他

●10/1〜10◎シアター1010

●10/15◎森ノ宮ピロティホール

〈料金〉11000円 (全席指定、税込)未就学児童の入場不可

〈問合せ〉東京/03-3202-5400 コマ・スタジアム

大阪/キョードーインフォメーション 06-7732-8888

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【取材・文/榊原和子 撮影/冨田実布】

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