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貴城けいの芸能生活20周年を飾る記念作品として、また、久しぶりに男装姿で歌い踊ることでも話題のミュージカル、『ビクター・ビクトリア』が公演中である。

このミュージカルは、ジュリー・アンドリュースに当て書きされたもので、1982年に映画として発表されアカデミー賞で7部門にノミネート、『ムーン・リバー』などの作曲で有名なヘンリー・マンシーニがアカデミー音楽賞を受賞している。

そして1995年に舞台化、ジュリーが33年ぶりにブロードウエイの舞台にカムバック、トニー賞の主演女優賞にノミネートされたが、作品賞などで無視されたことから自身のノミネートを辞退して話題になった。
 

日本でもこれまでに何回か公演されているが、今回はタイトルロールのビクトリアに元宙組トップの貴城けいが扮し、ゲイの芸人トディを下村尊則と岡幸二郎(ダブルキャスト)、ビクトリアを愛し合うキングを葛山信吾、キングの元愛人ノーマを彩吹真央という実力派のミュージカル俳優が揃った。演出は元劇団四季の浜畑賢吉が手がけている。


物語は売れないソプラノ歌手のビクトリアが部屋を追い出され、職を失ったオカマ芸人のトディに助けてもらったことから始まる。
パジャマ姿が男前なビクトリアを見て、トディは彼女を「ポーランドのゲイの男爵で女装したショウ・ガール」ビクターとしてデビューさせようと思いつく。
トディの計らいでデビューが決まり、女装のゲイでソプラノを披露するビクターに客たちは魅了され、たまたま観に来ていたシカゴギャングのボス、キングはすっかり熱をあげてしまう。
だがキングはどうしてもビクターが男性と認めたくない。認めたら自分がゲイだということになるからだ。そこにキングの元ガールフレンドのノーマも絡んで、大騒ぎになっていく。
 

素朴なソプラノ歌手からダンディなゲイの男爵へ、そしてゴージャスなショウ・ガールと変化する貴城は、元宝塚の男役のよさも生かしてそれぞれの役割りを魅力的に演じている。
公開されたトディは岡バージョンだったが、世話好きで愛に溢れるオカマは実にチャーミング。キングの葛山はヒゲがよく似合いセクシーで純情ないい男。ノーマの彩吹はモンロータイプのオバカさんを突き抜けたテンションで演じている。
その他に、クラブのオーナーのラビスの金澤博、キングの子分のスカッシュの友石竜也や、何役も演じる伊東弘美、美郷真也、長谷川大佑、石井雅登、KENTAROといったメンバーの力も大きい。
アンサンブルのダンスはかっこよく(振付・本間憲一)、生オケも入っているという贅沢な公演で、ヘンリー・マンシーニらしい耳に心地よいナンバーが歌唱力のある俳優たちによって歌われている。
 

性の転換という1つの事件をきっかけに価値観までひっくり返り、いやおうなしに自分の心と向き合うことになる登場人物たち。その果てにつかむ素直な生き方と愛が心を温かくしてくれる上質のミュージカルである。

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ミュージカル

『ビクター・ビクトリア』

脚本◇ブレイク・エドワーズ

音楽◇ヘンリー・マンシーニ

演出◇浜畑賢吉

翻訳・訳詞◇保坂磨理子

振付◇本間憲一

出演◇貴城けい、葛山信吾、下村尊則、岡幸二郎、彩吹真央ほか

●7/16〜24◎ル テアトル銀座

●7/30〜31◎森ノ宮ピロティホール

〈料金〉11000円

〈問合せ〉

サンライズプロモーション東京  0570-00-3337(10:00〜19:00) 

キョードーインフォメーション 06-7732-8888(10:00〜19:00)  

http://victorv,jp




【取材・文/榊原和子 撮影/冨田実布】




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