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吉田鋼太郎と一路真輝主演の舞台『リタルダンド』が、7月15日初日を迎えた。
その前日の14日、渋谷のPARCO劇場で舞台稽古を公開した。

吉田が扮するのはカリスマ編集者で若年性アルツハイマーにかかってしまった夫。
一路が演じるのは、晩婚で彼と結婚したその妻。雑誌のコーディネーターをしているが、病気の夫のために自宅を自宅が編集部になるなかで協力する。

そして、夫とちょっとした過去もあるという編集部員に高橋由美子、彼女に憧れる熱血編集者に伊礼彼方。前妻との息子に松下洸平、音楽評論家に市川しんぺー、一路の兄役に山崎一と、少人数だが力のある役者揃いの舞台になっている。

中島淳彦の心に迫ってくる言葉、G2のリアルでテンポのいい演出、言葉を音楽で伝える「音楽劇」の部分は、作曲の荻野清子がセリフとうまく繋げてライブ感あふれるメロディを作り出している。

シリアスなテーマながら明るい場面展開で笑いもたくさん散りばめてあるが、最後は観た人の心を強く動かさずにはいないシーンになっていて、G2が10年温めてきたというだけに、まさに愛に溢れた作品となっている。
 


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その公開舞台稽古の前に、
吉田鋼太郎、一路真輝、高橋由美子、伊礼彼方の4人が記者インタビューに応じた。


【一問一答】
 

s_005ーーいよいよ初日ですが見どころを。 
 

吉田「僕は若年性アルツハイマーを患った男の役で、ちょっと重いテーマなんですけど、音楽劇なので歌が入ります。その歌によって本当にエンターテイメントで、楽しんでいただける作品になっていると思います。重さと楽しさと軽やかさと全部併せ持っていて、本当に面白い出来上がりになっていると思います」


一路「最近取り上げられている病気ですが、お薬も進歩していると聞きます。そんな中でとても重大な役割りを私たちは担ってるなと感じています。普通の日常の中で若年性アルツハイマーに向かい合ってる夫婦の姿を見ていただければと」


高橋「お話はハードなんですが、カンパニーがみんなすごく仲が良くて、お稽古もすごく楽しかったし、そういう意味では本番もきっと連係プレーがうまくいくと思います。そういうところを観ていただきたいです」


伊礼「僕には遠い病気だったんですが、この作品に携わって遠くもないというか、この作品のことを知った知人から自分もこの病気だと告白されたり、身近にある病気なんだなと。でも人には言い難いような病気だし、それを受け止められない人間模様が観られるので、この舞台を観に来ていただいて、男性のかたには見終わったら奥さんに有り難うと一言いえる、そういう芝居になってると思います」
 

s_004ーー共演は初めての方が多いようですが、仲いいんですね?

高橋「一路さんは前に共演してます。あとの方も酒席などで知っていたので、全然初めてではないんです。それも含めて仲がいいんです」 


ーー題名の「ゆっくり」ですが、そういう気持ちはどんなときに? 


吉田「飲んでる時間ですね(笑)。気がつくと朝になってます。もう少し飲んでる時間が実のある時間になればいいなと(笑)」


一路「やっぱり仕事してる時間です。あっという間に終わってしまうので、もう少しお稽古したいなと」


高橋「今、楽しくってこのままでいいんですが、あとは涼しく眠れる時間がもう少し長いといいですね」

伊礼「今回、稽古時間が短めで、遅く始まって早く終わるんです。それも鋼太郎さんが早く飲みに行きたいからで」
 

吉田「違うだろ! 伊礼がなかなかできないからだろ」
 

伊礼「確かに僕にかかる時間も長かったんですが(笑)、もっと皆さんと稽古していたかったなと。でも素敵なカンパニーでアドバイスもたくさんもらったので、本番がんばります」
 

ーーテーマのように最愛の人が壊れていったら?s_003
 

吉田「過去をどんどん忘れていって話ができなくなる。そうなったら自分がそれまで過ごしてきた時間を後悔するしかないじゃないですか? だから本当にそれまでの時間を大切にしなければいけないなと。ちゃんと女房を大事にしなくちゃと思います。壊れてからは、通じ合わない相手との時間をもう1回構築し直さなくてはならなくなる。歌詞に「神様、何を試されているんですか?」というのがあるんですが、そこで挫けちゃったり諦めてしまったらダメなので、もう1回やってみようと思うことが大事なんだと」


一路「私は役の中で再婚する妻の役ですが、彼の記憶が消えていくことでかなりつらい立場なんです。でも一生懸命看病しながら彼を助けていくという中で、やはり人間って心と心が通じ合っていると、違う方向を向いてても分かり合えるんじゃないかなと思いました」
 

ーー夫婦愛で大切だなと思うことは?
 

一路「お互いを信じるしかないと」
 

s_006ーー看病しながら仕事する女性ですが、私生活で子育てしながらというのは?
 

一路「正直言いまして、やっぱりまだ慣れないんですが、本当にカンパニーに恵まれていて、たとえば愚痴を言っても受け止めてくれるので、有り難いなと思います」
 

ーー実際にたいへんなことは?
 

一路「たとえば早く終わって、みんながわーいとか言って飲み行くんですが」


吉田「悪いね(笑)」


一路「その後ろ姿とか見て、でも私は明日朝6時起きでお弁当作らなきゃという自分が、ちょっと寂しいんですけど。でもそれはそれで貰うものもたくさんあるので、幸せです」


吉田「愚痴なんかほとんど言わないですよ、言ってくださいと言ってるのに。それに車で来てるのでもちろんお酒は飲めないんですが、1時間くらい付き合ってくれるんです。早く帰ればいいのに(笑)。あちこち気をつかってすごい人ですよ」


伊礼「朝のお弁当をいただきました」


一路「いえ、子供のついでなんです(笑)」

ーー時間が止まってほしいというさっきの話ですが、そんな経験は。

 

吉田「僕は私生活がむちゃくちゃなんで、好きな人に何度も逃げられ(笑)。あれをしなきゃよかったということが何度もあります」


一路「私は今、アタマがなんか沸騰してて…(笑)」


吉田「宝塚時代とかだよね」


一路「はい(笑)」
 
ーーご主人なんですが。

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伊礼「もうやめてください(笑)」


吉田「かっこいい!」
 

ーー一路さん、この舞台で考え直すきっかけに?
 

一路「…歯切れが悪くてすみません」
 

ーー最後に舞台について一言。
 

吉田「この舞台は、僕は30年やってきて、本当に3本の指に入るくらい良い芝居です。ぜひ皆さん、観にいらしてください」


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音楽劇

『リタルダンド』

作◇中島淳彦

演出◇G2  

出演◇吉田剛太郎 一路真輝 高橋由美子 伊礼彼方 松下洸平 市川しんぺー 山崎一 

7/15〜31◎PARCO劇場

8/5◎名古屋 青少年文化センター アートピアホール

8/6〜7◎シアターBRAVA!

〈お問い合わせ〉

キューブ 03−5485−8886

http://www.cubeinc.co.jp/
 


演劇キック演劇情報コーナー
http://blog.livedoor.jp/enbublog-forecast/

 

【取材・文/榊原和子 撮影/冨田実布】