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新花組トップスター・蘭寿とむのお披露目公演となる『ファントム』の制作発表が、4月27日都内のホテルにて行われた。ガストン・ルルーの『オペラ座の怪人』を原作に、様々な形でミュージカル化されている『ファントム』。宝塚では、アーサー・コピット&モーリーイェストン版を2004年に和央ようか、花總まりにより宙組で初上演している。初演の好評を受け、2006年には花組の春野寿美礼、桜乃彩音により再演され、このたび3度目の上演を迎える。
ファントムを演じる蘭寿とむは5年前に花組から宙組に組替えになり、再び花組に戻ってきてトップに就任する形だ。無邪気な楽譜売りの少女・クリスティーヌを演じるのは、蘭乃はな。そのほかオペラ座の前支配人、ジェラルド・キャリエールを壮一帆が、クリスティーヌに恋心を抱く青年、フィリップ・ドゥ・シャンドン伯爵を愛音羽麗と朝夏まなとが役代わりで演じる。
この日の制作発表には、演出を担当する中村一徳や、蘭寿とむ、蘭乃はなの新トップコンビが出席し、まず蘭寿と蘭乃がパフォーマンスを披露。その後、会見が行われた。また今回の上演にあたり、作曲のモーリー・イェストン氏から新たに2つ、新曲が提供されることが発表されたが、その報酬は東日本大震災を支援する義援金として寄付する、というメッセージが届いていたので、まずそちらを紹介する。

【モーリー・イェストン氏からメッセージ】

宝塚の同士のみなさまへ

宝塚歌劇団、梅田芸術劇場での公演を通して『ファントム』が阪急電鉄グループの財産演目となっていることを、心より光栄に思っております。
きたる6月に開幕する再演のため、特別に2つの新たな歌を書かせていただくことになりました。敬意と心からの友情の証として、勇気で世界中を奮い立たせ続けている日本の国民のみなさんへ、この2つの新曲を捧げます。
新曲に対する報酬は固辞させていただき、その代わり、宝塚歌劇団が行っておられる、東日本大震災で被災された方々を支援するためのチャリティーの義援金として寄付させていただきます。
心を込めて。

モーリー・イェストン


【挨拶】
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蘭寿 花組の蘭寿とむでございます。みなさま本日はお忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。ミュージカル『ファントム』、この素晴らしい作品で、スタートをきることができる喜びを今、噛みしめております。今回の再演のために新曲を書いて下さるということで、とても嬉しく、光栄に思っております。
私は、5年ぶりに花組に戻りまして、新しい相手役の蘭乃はなちゃんと一緒に、そして花組のみんなと一緒に、一丸となって良いステージを作っていきたいなという思いで燃えております。みなさま今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

蘭乃 本日はお忙しい中お越しいただきまして、本当にありがとうございます。『ファントム』という素晴らしい作品に出演できること、クリスティーヌという花總まりさん、桜乃彩音さんという素晴らしい娘役の方が演じられた役に挑戦できること、とても光栄に思っております。
またこの公演は蘭寿さんの花組に戻られてのトップお披露目公演となっておりますので、そういった意味でも素晴らしい公演にできますよう、お稽古を重ね、心を込めて、演じられるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

【質疑応答】

──トップコンビのお二人に、それぞれどのように役を演じていきたいと思っていますか?
蘭寿 ファントムというのは暗闇の中で苦悩しながら生きているときに、クリスティーヌの声に出会い一筋の光を見出して、愛をはじめて知り、生きる意味を感じます。実際に、クリスティーヌを抱きしめて包み込むことはできないんですけど、愛を知った自分が思いを込めて歌う歌で、クリスティーヌを包み込めるような、そんな暖かさのあるファントムにしたいと思っています。
ただ、その愛ゆえに狂気に走ってしまう部分なども繊細に演じていきたいと思いますし、その辺は中村先生と御相談しながら、丁寧に描いていきたいと思っております。最後の親子の愛の部分も、客席から見たときにすごく感動いたしましたので、そちらに到るまでの心の葛藤も丁寧に演じたいと思っております。

蘭乃 ファントムの本当の心の美しさを見いだして惹かれていく純粋さがあるからこそ、彼の本当の顔を見てみたいと思ってしまうのがクリスティーヌだと思います。でも未熟な部分が彼女にはあって、だから顔を見て逃げてしまうという経緯にいたるので、純粋であるという部分とまだ彼女が人間として、一人の女性として成熟していないというところを大切に演じていきたいと思います。

──新曲2曲は、どんな場面で歌われるのか、教えていただけたら。
中村 ファントムがクリスティーヌに対してまだ愛まではいかないものの、恋というか、少し今まで感じなかった思いが芽生えはじめるところがありまして、そういうイメージの場面に1曲入るのと、伯爵の歌をまた新らしいバージョンで、イェストンさんからご提供いただくこととなりました。

──実際に今、曲を歌われてみていかがでしたか?
蘭寿 本当に美しい音楽ですので挑戦だと思っております。でもそういう機会を与えていただいたことに幸せを感じながら歌っておりました。特に蘭乃はなちゃんとのデュエットなんですけど、響きはなかなか合っている、かな?なんて自分で、はい(笑)、思いながら、本当に初めて一緒に歌ったので・・・。
彼女は、宝塚の娘役らしい清楚なピュアな娘役さんだと思いますし、その辺りに凄く惹かれているので、役と重ねながら一緒に美しいハーモニーを奏でたいと思っております。

蘭乃 初演や、再演のファントムを客席で見ていたときには、まさか自分がクリスティーヌを演じることになるとは思っていなかったので、クリスティーヌのまさか自分がオペラ座で歌えるようになるなんて、という気持ちと同じだと思って歌っていました。
蘭寿さんは本当にとてもお優しい方で、二人で向き合ったときに、これは大丈夫だとすごく安心できた部分がありましたので、この気持ちを持って、蘭寿さんについていきたいと思います。

──蘭寿さんはトップとしてのお仕事が初めてですが、どんなお気持ちですか?
蘭寿 まず「花組の蘭寿とむ」と言った瞬間に、あぁこの響きが懐かしいと、思いました(笑)。宙組にいったことも本当に良い勉強になりましたし、精神的にも強くなりました。5年ぶりに花組に戻ってきて、みんなと一緒に、とにかく良い舞台を作りたいなという一心で今はおります。

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花組公演 
『ファントム』

脚本◇アーサー・コピット
作詞・作曲◇モーリー・イェストン
潤色・演出◇中村一徳

●6/24〜7/25◎宝塚大劇場
●8/12〜9/11◎東京宝塚劇場

<問い合わせ>
宝塚歌劇インフォメーションセンター 0570-00-5100


【取材・文/岩見那津子】