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12月30日、宝塚大劇場にて雪組公演『ロミオとジュリエット』の公開舞台稽古が行われた。去年、星組によって梅田芸術劇場、博多座で上演されたのも記憶に新しい『ロミオとジュリエット』であるが、今回は新しい雪組のトップスター、音月桂のお披露目公演として宝塚大劇場と東京宝塚劇場で上演される。

フランス発のミュージカルとして人気の演目で、美しい音楽と迫力ある若者群像など見所の多い作品だが、今回はジュリエットがWキャストで演じられるということでも注目を集めている。そのジュリエットは、今までも新人公演やバウホール公演でヒロインをつとめてきた舞羽美海と、研1にして大劇場公演のヒロインに大抜擢された夢華あみが回替わりで演じていて、この公開稽古は舞羽のジュリエットで行なわれた。

まだ舞台稽古の段階だが、すでに完成度の高い舞台を作り上げていた印象を受けた。トップスターが変わったことで、それぞれが今までより一回りも二回りも大きな役柄を与えられているのだが、みなよく応えている。また、チームワークの良さが舞台全体の落ち着きに繋がっていたのも良い点。初日が開いたらこれに新生雪組のスタートという勢いや疾走感が加わり、更に進化していくだろう。

キャストは、まず音月桂のロミオだが、爽やかな美しさがあり音月にはぴったり。歌では「死」への恐怖や、内に秘めた繊細さを感じさせ、すでにロミオとして生き、トップお披露目公演というプレッシャーを感じさせない堂々とした舞台姿。何よりもこのミュージカルに必要な歌う技術を持っているので安心感がある。
舞羽美海は最近の彼女の著しい成長が反映されたジュリエット。今までの舞台を見る限り唯一の課題だった歌の安定感が増し、音月とのデュエットも心地よく響く。結婚を夢見ていた少女から、ロミオを通じて愛を知り、女性として成長していく様子をよく演じている。可憐さや清潔感もジュリエット役にふさわしい。
この公演から雪組の2番手となる早霧せいなは、ロミオの親友・マーキューシオ役。逆立てたヘアースタイルもよく似合い、ぱっと目につく華がある。気に食わないものにはすぐに噛みついていくような、若さと勢いのある演技も魅力的だ。
ロミオのもう一人の親友・ベンヴォーリオには花組から組替えしてきた未涼亜希。未涼が入ったことによって、歌の面も大きく強化された。ソロの「どうやって伝えよう」は技術を越えて、ロミオを心配する心情と、親友だからこそ何よりも辛い事実を自分の言葉で伝えようという決意がひしひしと伝わってきた。
モンタギュー家のロミオの敵役、キャピュレット家のティボルトを演じた緒月遠麻は人間味のある演技で、大人たちによって植え付けられた憎しみに燃える自分と、そうではない生き方もできたかもしれない本当の自分との間に生まれた葛藤を見せる。従兄妹であるジュリエットを愛しながら、運命に飲み込まれ命を落とすこととなるティボルトの一生には拭うことのできない悲しみがあるのだが、その部分を内面から感じさせてくれる。

乳母役の沙央くらまは男役であることを生かした豪快な乳母像を作り出して、作品に貢献。パリス役の彩那音は、ジュリエットの婚約者候補として一人場違いな空気感を漂わせなければいけないのだが、その役割りをしっかりと果たしていた。物語の象徴的存在として現れるのが、愛と死。愛の大湖せしるも沙央と同じく男役だが、その中性的な面が女役に最大限生かされていて、しなやかで美しい。死の彩風咲奈は、物語を司るような牽引力を見せるにはまだ若いが、ヘアメイクや表情などに工夫が見られ、妖しい雰囲気を漂わせていた。
ヴェローナの大公役の大凪真生には、対立するモンタギューとキャピュレットを抑える威厳が、ロレンス神父役の奏乃はるとには、ロミオとジュリエット、二人の愛を認め、平和を願う、大きな優しさがある。飛鳥裕のモンタギュー卿は渋くまとめ、モンタギュー夫人の麻樹ゆめみは母性的。キャピュレット夫人の晴華みどりは色気と貴族の気品、叔母という立場をこえてティボルトを愛する心情をうまく見せ、星組公演から続いて出演しているキャピュレット卿の一樹千尋とともに、歌と芝居で舞台に厚みを与えていた。
その他にも、モンタギューとキャピュレットに分かれて対立するメンバーたち、そしてヴェローナの町の人々が、各場面でエネルギッシュに歌い踊る。その群舞やコーラスの迫力もこの作品の大きな見どころだ。

今回は大劇場公演ということで、星組版にはなかったフィナーレがついている。早霧の銀橋での歌から始まり、そのあとは可愛らしい天使のロケットが続く。赤い衣装に身を包んだギャルソンの音月を中心にした群舞があり、衣装を変え、沙央と大湖がドレス姿で登場して踊るナンバーも。なお役替りとなっている舞羽と夢華は、ジュリエットとして出演しない回はフィナーレナンバーのみの出演となる。パレードのエトワールは舞咲りん。高音の伸びが綺麗だ。階段降りは蓮城まこと・香綾しずる・愛加あゆ→彩那・夢華(舞羽)→緒月→未涼→早霧→舞羽(夢華)→音月の順。音月が一人大きな羽根を背負って降りてくる姿を見ると、新しい雪組がスタートしたという実感が湧いてくる。このミュージカル『ロミオとジュリエット』は、歌も芝居も難易度が高く、挑み甲斐のある作品である。しかし、それぞれが与えられた役の重みをはね返した時、確実にレベルアップしていることだろう。音月を中心にした雪組のこれからに大きな期待を感じられる『ロミオとジュリエット』、心躍るスタートだった。

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雪組公演
『ロミオとジュリエット』

●1/1〜1/31◎宝塚大劇場
●2/17〜3/20◎東京宝塚劇場

<料金>
宝塚大劇場 SS席 11,000円、S席 8,000円、A席 5,500円、B席 3,500円(税込)
東京宝塚劇場 SS席 11,000円、S席 8,500円、A席 5,500円、B席 3,500円(税込)

<問い合わせ>

宝塚大劇場 宝塚歌劇インフォメーションセンター 0570-00-5100

東京宝塚劇場 03-5251-2001


【取材・文/岩見那津子】【撮影/岸隆子】