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来年4月16日から29日まで天王洲銀河劇場で上演されるミュージカル『おもひでぽろぽろ』の製作発表が18日に行われた。
『おもひでぽろぽろ』は1991年に公開されたスタジオジブリによるアニメーション映画。今回、秋田県に拠点を置く劇団わらび座によって、ジブリ作品が初めて舞台化される。
物語は1982年の夏、疲れ気味のOL・タエ子は思い切って会社から10日間の休暇をもらい、親戚の住む山形の片田舎・高瀬へと一人、旅に出る。タエ子の前に現れる小学生の時の自分、思い出。都会にはない田舎の生活に魅力を発見するタエ子であったが東京に帰る前夜、ばっちゃ(おばあちゃん)から思わぬ話を聞き、タエ子はその場から飛び出していく。「思い出の中に未来がある。」タエ子の心に小学生のタエ子の言葉が浮かび上がる・・・。
秋田に拠点を置くわらび座、物語の舞台は山形、そして東京公演に出演するのは宮城県・仙台出身の朝海ひかると杜けあきということで、東北に縁の深い公演となる。この日の製作発表にはタエ子を演じる朝海ひかるや、タエ子の母とばっちゃの二役を演じる杜けあき、トシオ役の三重野葵(わらび座)、そして演出の栗山民也、台本・作詞の齋藤雅文、音楽の甲斐正人、スタジオジブリからは制作業務部の野中晋輔が出席した。

<登壇者挨拶>

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朝海 この『おもひでぽろぽろ』は、とても大好きな作品で、まさか自分が大好きなジブリ作品に出れるなんて、本当に夢にも思わなかった出来事です。今は本当にわくわくして、そして、良い緊張感をもって、この場に立たせていただいております。タイ子という役は田舎を知らずに都会で育つわけなんですけど、10日間の休暇で自分を見直していく、自分の過去を次々と思い出しながら未来に繋がっていく、という人生の中でとっても大事な10日間というのを過ごします。そのタイ子の大事な10日間を一生懸命演じてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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私は母とそして山形にいるおばあちゃんと二役、まるで対照的な役をさせていただきます。どのくらい対照的になれるのか、今は未知の世界ではあるんですけど、その生き方、土壌の違いの空気感、時間差、いろんなものを私の身体と心を通して表現できればと思っております。私たち(朝海と)東北出身なんですが方言って東北6県でもまるで違うんですね。そういう意味では私たちには逆に山形の言葉は難しいかもしれないんですけど、その辺も深く追求しながら良い作品を作っていきたいと思います。ジブリの作品の美しい背景の雰囲気を、今度は役者が心のピュアさや空気感オーラなどで表現しなければいけないと思うと、とても重圧を感じるんですがそれを目標にがんばりたいと思います。

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三重野 僕は、本当にスタジオジブリの作品が大好きで、そのジブリの作品がミュージカルになるということで、ものすごいドキドキワクワクしています。その中でこの『おもひでぽろぽろ』の舞台である山形と同じ東北、秋田にある劇団としてわらび座でしかできない世界観っていうのが、この舞台ではできると思います。そして、そのわらび座と朝海さん、杜さんをはじめ全キャスト、全スタッフで集結して、作品を作り上げた時に全く新しい世界観のミュージカルができると思っています。それに向けて、日々挑戦していきたいと思いますのでよろしくお願いします。

栗山 この『おもひでぽろぽろ』を映画で見たのはずいぶん昔のことなんですが、そのときになんていうか、妙な、不思議な浮遊感を感じました。それは気持ちの良い体験でした。その空気感を、今度は生身の肉体で舞台でどのように展開できるかが僕にとっての課題だと思います。アニメーションの良いところはごっそりいただいて、舞台でしかできないことを必死で作っていこうと思ってます。よろしくお願いします。

齋藤 大好きな作品です。激しいドラマが流れているわけではないんですが、どこが好きかと言われると、やっぱり美しいアニメーションだってことに尽きると僕は思っています。これに対抗するには、演劇らしい舞台でなければと思っています。東北の土壌から立ち上がるような新しい国産ミュージカルになるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

甲斐 脚本の斉藤さん、演出の栗山さん、私とこの3人でこの作品を作れるというのがとても私としてはとても嬉しいことであります。3年前に『火の鳥』という作品を作りまして、私の中では新しいミュージカルの1ページを開いたかなと思っております。それを今度は『おもひでぽろぽろ』で、さらに広げていくことができるんじゃないかと期待しています。脚本家と演出家と音楽家、この3人が一緒になって一つの目標に向かって、いわば三位一体のように作品を作るってことが、ミュージカルの一番の醍醐味だと思っております。4月16日の初日まで本当にわくわくしながら時を過ごしたいと思っております。
みなさんおっしゃったように『おもひでぽろぽろ』、美しい世界であります。どちらかと言うとわらび座は力で押して、頑張って、ゴツゴツ作っていくという劇団でありますので、どちらかというと真逆な作品なのかな?って感じもちょっとするんです。ハードルも高いかな?と思っているんです。従って、そのキーは音楽のあり方かな、と責任重大だと思っております。美しい音楽が積み重なって、美しい歌声が積み重なって、やがてそれが感動に至る。そんな作品になったらいいなと思っています。
斉藤さんが書かれた台本の冒頭は「息吹」って言葉で始まるんです。一言「息吹」、これがオープニングの音になります。この「息吹」という言葉で、斉藤さんが表現されたものは、おそらく大地の叫びであったり、森の音であったり、そういうものが最初に流れていく、ということであると思うんです。それは生きることに対してのエネルギーというかそういうものが、この作品の全体を通して、音の基調としてあるんじゃないかと思っております。
その歌声があらゆるところで時々再現されていきます。そのエネルギーがタエ子さんの心の奥にひたひたと迫っていき、そしてタエ子さんがどんどん変わっていく。そういう風な音楽構成にしたいと思っております。

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野中 映画の『おもひでぽろぽろ』というのは、公開されてもう19年経つんですけど、幸いにしてこれまで非常にたくさんのお客さんに見ていただくことができました。非常にポピュラーになっている作品だと言っても良いと思うんですが、内容としてはとても野心的なものを持ってますね。
高畑勲監督というのは作品を作るときはいつも新しいものに挑戦していきます。『おもひでぽろぽろ』という作品についても、原作のマンガ自体は1960年代の思い出の部分しかなかったんです。それに大人になったタエ子というパートを完全に創作してくっつけて、それで現在のタエ子が、過去のタエ子とを行ったり来たりするというとっても複雑な構成を採用してます。
リアリズムを意識した山形弁の部分については、おそらくセルアニメーションで描かれた作品としては、現在のジブリの中で一番リアリズムを極めた作品じゃないかと思うんです。そういった意味では映画として、非常に際立った特徴を色々持っている作品ではないかと思っています。ですから、こういった作品を今回舞台にするということは、その企画自体も非常に野心的で意欲に満ちているのではないかと思います。
内容については、すべてわらび座のみなさん、スタッフキャストのみなさんにジブリとしてはお任せしております。映画は映画ですし、舞台は舞台ということで表現としては全く別のものですし、ミュージカルとして新しい『おもひでぽろぽろ』の魅力が生まれればいいなと思っております。ジブリの作品が舞台化されるというのは全く初めての経験です。ジブリとしては一観客の立場で、素晴らしい舞台ができることを心待ちにして、期待して待っていようと思います。本日はありがとうございました。

−−杜さんと朝海さんは『エリザベート』でも共演されていて、またわらび座の公演で共演されますね。お互いにどんな印象をお持ちかをお聞かせください。

朝海 杜さんは、私が音楽学校に入ったときから同じ仙台出身と言うことで本当に色々、気にかけてくださいました。私、初舞台が『ベルサイユのばら』だったんですけど、ちょうど杜さんがアンドレ役で特別出演なさっていて、お化粧を見ていただいたりした時からのご縁です。『エリザベート』でご一緒させていただけるっていう時も本当に嬉しかったんですけれども、またこうして東北のミュージカル、そして、東北のわらび座さんという劇団で私が杜さんとご一緒させていただけるっていうのは、本当に何か巡り巡って縁が、おこがましいんですけれども、繋がっているのかな?って思うような、ちょっと嬉しいんですけど、私は(笑)。そんなような風に勝手ながら思わせていただいてます。

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そんな化粧を見たなんてすっかり忘れておりました(笑)、でも宝塚ってそういうとても愛情の深い上下関係があるので、同郷ということでいつも気にしておりました。先月まで『エリザベート』で嫁姑ということで、あの、厳しくしつけてまいりましたけど(笑)、今度は、とても温かい、良い時代の、都会の家庭ですけれど素晴らしい日本の家庭の雰囲気の中で、朝海さんと『エリザベート』とは全く違う心の通い合った親子を演じられるのがとても嬉しいです。それと、わらび座さんという環境の元で、お稽古、リハーサルがあり、秋田でさせていただくんですけれども、それがとにかく楽しみで、ある意味、山ごもりして修行するぞ、みたいな心意気でいます(笑)。栗山さんに怒られたら雪のかまくらの中、二人で熱燗飲みながら、頑張っていこうね?って話を(朝海と)してるんですけど(笑)、演劇というものに、改めて向き合える期間、機会になるんだなと思って、わらび座さんに出させていただくことを、とても幸せに感じております。



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ミュージカル
『おもひでぽろぽろ』


原作◇アニメーション映画「おもひでぽろぽろ」
台本・作詞◇齋藤雅文
演出◇栗山民也
作曲◇甲斐正人
出演◇朝海ひかる 杜けあき 三重野葵 ほか

●2011/4/16〜4/29◎天王洲銀河劇場

<料金>
全席指定 8,500円(税込み)

<問い合わせ>
銀河劇場チケットセンター 03-5769-0011
わらび座関東・東海事務所 048-286-8730

※東京公演のち、2011年5月8日〜2012年1月3日まで、秋田県仙北市にある「たこざわ芸術村・わらび劇場」でロングラン。その後、全国各地にて上演あり。この公演のキャストは時期と地域によって異なります。東京公演以外のお問い合わせは、わらび座公演営業部センター 0187-44-3316まで。



【取材/文 岩見那津子】

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